説明

カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末及びその製造方法

【課題】放電開始電圧が低く、かつ各製品間での放電開始電圧のばらつきが小さいプラズマディスプレイパネルを生産するのに有用な前面板を提供する。
【解決手段】プラズマディスプレイパネルの前面板10の誘電体保護層16の表面に、Mg1モルに対してS、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲の量にて含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末17を点在させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カルコゲン元素を含有する酸化マグネシウム粉末及びその製造方法に関する。本発明はまた、上記カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を含むプラズマディスプレイパネル用の前面板にも関する。
【背景技術】
【0002】
プラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)は、一般に、画像表示面となる前面板と、放電ガスが充填された放電空間を挟んで対向配置された背面板とからなる。前面板は、前面透明基板、前面透明基板の上に形成された一対の放電電極、放電電極を被覆する誘電体層、そして誘電体層の表面に形成された誘電体保護層からなる。背面板は、背面透明基板、背面透明基板の上に形成されたアドレス電極、背面透明基板とアドレス電極とを被覆し、かつ放電空間を区画する隔壁、そして隔壁の表面に配置された赤、緑、青の蛍光体で形成された蛍光体層からなる。
【0003】
誘電体保護層は、放電空間内にて生成するプラズマによるイオン衝撃から誘電体層を保護する機能と、PDPの放電開始時には高い二次電子放出効率によって、放電開始電圧を低くする機能とが要求される。これらの二つの機能を高い次元でバランスよく持っている材料として、酸化マグネシウムが広く利用されている。
【0004】
特許文献1には、放電空間内に放電ガスが充填されてなる密閉容器を有し、当該密閉容器における放電空間を臨む内表面の一部領域に保護層が形成されてなるPDPの放電開始電圧をさらに低減させるために、前記保護層を、酸化マグネシウムを主成分とし、これにVI族元素(S、Se及びTeなどのカルコゲン元素)または当該元素を含む化合物を添加した組成で構成することが記載されている。なお、この特許文献1には、上記の保護層の形成方法として、ペレット状のMgO材料にVI族元素を添加したものを材料として、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法を用いる方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2005−332718号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
大量生産される製品であるPDPでは、同一の規格に基づいて生産される各製品間での性能の不揃いを小さくすることが重要となる。前記特許文献1に記載されているように保護層にVI族元素(S、Se及びTeなどのカルコゲン元素)を添加して放電開始電圧を低く抑える場合、各製品間での放電開始電圧の不揃いを小さくするためには、保護層中のVI族元素の含有量を同一レベルに調整することが必要となる。しかしながら、前記特許文献1に記載されている、蒸着法、CVD法またはスパッタリング法では、原料となるペレット中のMgOとVI族元素との量比を一定にしても、蒸着等の処理条件のわずかな変動によっても、保護層に取り込まれるVI族元素の量が変動し易いため、保護層中のVI族元素の含有量を再現性良く一定のレベルに調整することが難しいという問題がある。
従って、本発明の目的は、放電開始電圧が低く、かつ各製品間での放電開始電圧の不揃いが小さいPDPを生産するのに有用な放電開始電圧の低減に有効な材料、及び該材料を用いたPDP用の前面板を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、PDPの前面板の誘電体保護層の表面に、S、Se及びTeなどのカルコゲン元素を含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を点在させることによっても、カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末のカルコゲン元素含有量によってはPDPの放電開始電圧の低下が実現することを見出した。そして、カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末のカルコゲン元素含有量をMg1モルに対して0.00015〜0.0075モルの範囲の量に調整することによってPDPの放電開始電圧を低く抑えることが可能となることを確認して、本発明を完成させた。なお、上記カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末は、酸化マグネシウム粉末とカルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末とを含む粉末混合物を焼成することによって製造することができる。カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末のカルコゲン元素含有量は測定することができ、前面板の誘電体保護層の表面に点在させる前に、カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の放電開始電圧低減効果の有無を確認することができる。また、カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を前面板の誘電体保護層の表面に点在させる量を調整することによって、PDPの放電開始電圧を調節することができる。従って、上記カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を利用することによって、放電開始電圧が低くかつ各製品間での放電開始電圧の不揃いが小さいPDPを工業的に有利に生産することができる。
【0008】
従って、本発明は、Mg1モルに対してS、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲の量にて含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末にある。
【0009】
本発明はまた、放電電極を被覆する誘電体層と、該誘電体層の上に形成された誘電体保護層とを含むプラズマディスプレイパネル用の前面板であって、誘電体保護層の上に、Mg1モルに対してS、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲の量にて含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末が点在していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用の前面板にもある。
【0010】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の好ましい態様は次の通りである。
(1)Mg1モルに対するカルコゲン元素の含有量が、0.00065〜0.0025モルの範囲にある。
(2)平均粒子径が、10〜1000nmの範囲にある。
(3)酸化マグネシウム粉末と、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末とを含む粉末混合物を焼成することによって得られた粉末である。
(4)下記の一般式(I)で表される化合物の粉末である。
MgO:Ax ・・・(I)
但し、Aは、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素であり、xは、0.00015〜0.0075の範囲の数である。
(5)カルコゲン元素が酸化マグネシウムの結晶内に取り込まれている。
【0011】
本発明はまた、酸化マグネシウム粉末と、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末とを含む粉末混合物を焼成する上記本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の製造方法にもある。
【発明の効果】
【0012】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を、PDPの前面板の誘電体保護層の表面に点在させることによって、PDPの放電開始電圧を低く抑えることができる。また、本発明の製造方法を用いることによって、PDPの放電開始電圧の低減効果の大きいカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末を工業的に有利に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に従う前面板を備えたPDPの断面図の一例である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末は、Mg1モルに対してS、Se及びTeなどのカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲、好ましくは0.00065〜0.0025モルの範囲、特に好ましくは0.00090〜0.0018モルの範囲の量にて含有する。カルコゲン元素は一種を単独で含有していてもよいし、二種以上を組み合わせて含有していてもよい。カルコゲン元素はSもしくはSeであることが好ましい。
【0015】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末は、下記の一般式(I)で表される化合物の粉末であることが好ましい。
MgO:Ax ・・・(I)
但し、Aは、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素であり、xは、0.00015〜0.0075の範囲の数、好ましくは0.00065〜0.0025の範囲の数、特に好ましくは0.00090〜0.0018の範囲の数である。なお、上記一般式(I)は、AがMgOのMgもしくはOに置換していることを必ずしも意味するものではない。
【0016】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末に含まれるカルコゲン元素は、酸化マグネシウムの結晶内に取り込まれていることが好ましい。カルコゲン元素は、酸化マグネシウムの酸素原子と置換していることが好ましい。
【0017】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末は、平均粒子径が10〜1000nmの範囲にあることが好ましく、100〜800nmの範囲にあることがより好ましい。
【0018】
本発明のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末は、例えば、酸化マグネシウム粉末と、カルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末とを含む粉末混合物を焼成することによって製造することができる。酸化マグネシウム粉末とカルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末との配合割合は、一般にMg1モルに対するカルコゲン元素の量が0.00015〜0.0075モルの範囲となる割合である。
【0019】
カルコゲン元素源として用いるカルコゲン元素の化合物は、カルコゲン元素の酸化数が−2価であることが好ましい。酸化数が−2価のカルコゲン元素の化合物の例としては、硫化水素、セレン化水素、テルル化水素を挙げることができる。カルコゲン元素源は、カルコゲン元素の単体であることが好ましい。
【0020】
粉末混合物の焼成は、外気雰囲気から遮断された雰囲気内で、例えば、蓋を閉じたるつぼ内にて行なうことが好ましい。粉末の混合物の焼成温度は、一般に800〜1500℃の範囲、好ましくは900〜1500℃の範囲である。焼成時間は、一般に10〜600分の範囲である。
【0021】
次に、本発明のPDP用前面板について、添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明に従うPDP用前面板を備えたPDPの断面図である。図1において、PDP(交流型PDP)は、前面板10と放電ガスが充填された放電空間20を挟んで対向配置された背面板30とからなる。
【0022】
前面板10は、透明基板11と、透明基板の上に形成された一対の放電電極14a、14b(それぞれ、透明電極12a、12bとバス電極13a、13bとからなる)と、放電電極14a、14bを被覆する誘電体層15と、誘電体層の上に形成された誘電体保護層16と、誘電体保護層16の表面に点在している前記カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末17とからなる。
【0023】
透明基板11の例としてはガラス基板が挙げられる。透明電極12a、12bの材料の例としては、ITO、ZnO及びSnO2を挙げることができる。バス電極13a、13bの材料の例としては、Ag、Al、Cr/Cu/Crの積層金属材料を挙げることができる。
【0024】
誘電体層15は、一般に低融点ガラス組成物から形成されている。低融点ガラス組成物の例としては、酸化亜鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(ZnO−B23−SiO2)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−B23−SiO2)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、三酸化二ホウ素、酸化ケイ素及び酸化アルミニウムの混合物(PbO−B23−SiO2−Al23)を主成分とするガラス組成物、酸化鉛、酸化亜鉛、三酸化二ホウ素及び酸化ケイ素の混合物(PbO−ZnO−B23−SiO2)を主成分とする低融点ガラス組成物が挙げられる。誘電体層15の厚さは、10〜50μmの範囲にあることが好ましい。
【0025】
誘電体保護層16は、酸化マグネシウムから形成されていることが好ましい。酸化マグネシウムからなる誘電体保護層は、電子ビーム蒸着法により成形することが好ましい。誘電体保護層16の厚さは、0.01〜50μmの範囲にあることが好ましく、0.1〜10μmの範囲にあることが特に好ましい。
【0026】
カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末17は、誘電体保護層16の表面に一次粒子の形で点在していてもよいし、凝集粒子(二次粒子)として点在していてもよい。凝集粒子として存在する場合は、凝集粒子の平均サイズは、0.5〜10μmの範囲にあることが好ましい。誘電体保護層16の表面に点在するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の量は、誘電体保護層の表面をカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末が占める占有面積が、誘電体保護層全体の面積に対して1〜30%の範囲となる量であることが好ましく、5〜15%の範囲となる量であることがより好ましい。カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の占有面積は、走査型電子顕微鏡により得られる誘電体保護層の拡大写真から測定することができる。
【0027】
カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末17を誘電体保護層16の表面に点在させる方法としては、カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末の分散液を、誘電体保護層の上に塗布した後、乾燥する方法を用いることができる。分散液の溶媒の例としては、エチルアルコール、プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、ブチルアルコール、イソブチルアルコール、s−ブチルアルコール、t−ブチルアルコールなどのアルコール類、アセトン、エチルメチルケトン、メチルプロピルケトンなどのケトン類を挙げることができる。
【0028】
放電空間20には、放電ガスが充填される。放電ガスとしては、一般にXeとNeの混合ガスが用いられる。
【0029】
背面板30は、透明基板31と、透明基板31の上に形成されたアドレス電極32と、アドレス電極32を被覆する誘電体層33と、放電空間20を区画する隔壁34と、誘電体層33と隔壁34の表面に形成された蛍光体層35とからなる。
【0030】
透明基板31の例としてはガラス基板が挙げられる。アドレス電極32の材料の例としては、Ag、Al、Cr/Cu/Crの積層金属材料を挙げることができる。誘電体層33及び隔壁34は、一般に低融点ガラス組成物からなる。低融点ガラス組成物の例は前面板10の誘電体層15で用いられる低融点ガラス組成物の例と同様である。蛍光体層35は、一般に赤色発光蛍光体、緑色発光蛍光体及び青色発光蛍光体のうちのいずれかの蛍光体から形成される。
【実施例】
【0031】
[実施例1〜14、比較例1、2]
酸化マグネシウム粉末(純度:99.98質量%、BET比表面積:42m2/g)と硫黄粉末(純度:99.98質量%)とを下記表1の量にて量り取り、両者を5分間撹拌混合した。得られた粉末混合物をアルミナるつぼに投入し、アルミナるつぼに蓋をして下記表1の焼成温度にて1時間の条件にて熱処理して、硫黄含有酸化マグネシウム粉末を製造した。
【0032】
表1
────────────────────────────────────────
酸化マグネシウム粉末(g) 硫黄粉末(g) 焼成温度(℃)
────────────────────────────────────────
比較例1 30 0.010 1400
────────────────────────────────────────
実施例1 30 0.012 1000
実施例2 30 0.050 1200
実施例3 30 0.060 1200
実施例4 30 0.300 1400
実施例5 30 0.040 1000
実施例6 30 0.045 1000
実施例7 30 0.100 1200
実施例8 30 0.050 1000
実施例9 30 0.060 1000
実施例10 30 0.080 1000
実施例11 30 0.100 1000
実施例12 30 0.120 1000
実施例13 30 0.180 1000
実施例14 30 0.300 1000
────────────────────────────────────────
比較例2 30 0.350 1000
────────────────────────────────────────
【0033】
[評価]
得られた硫黄含有酸化マグネシウム粉末の硫黄含有量と平均粒子径、さらに該硫黄含有酸化マグネシウム粉末を誘電体保護層の上に点在させたPDP前面板の放電開始電圧を下記のようにして測定した。下記表2に、その結果を示す。
【0034】
[硫黄含有量の測定方法]
試料の硫黄含有酸化マグネシウム粉末を酸で溶解し、得られた溶液中の硫黄量をICP発光分析法により測定する。
【0035】
[平均粒子径の測定方法]
試料の硫黄含有酸化マグネシウム粉末の比表面積をBET法により測定し、得られた比表面積から比表面積径を算出して、これを平均粒子径とする。比表面積径の算出方法は、「粉体−理論と応用−」(丸善株式会社、昭和54年5月12日発行)のp.453−454に記載されている。
【0036】
[放電開始電圧の測定方法]
[PDP用前面板の放電開始電圧の測定方法]
(1)硫黄含有酸化マグネシウム粉末分散液の調製
試料の硫黄含有酸化マグネシウム粉末をイソプロピルアルコールに試料粉末を分散させ、濃度1質量%の硫黄含有酸化マグネシウム粉末分散液を調製する。
【0037】
(2)PDP用前面板の作製
ホウ珪酸ガラス基板(縦横の長さ50mm、厚さ0.55mm)の上に互いに0.1mm間隔で平行に配置された一対の放電電極を10組形成し、次いで、該放電電極の表面に低融点ガラス組成物を塗布して誘電体層(厚み:10μm)を形成した後、誘電体層の上に電子ビーム蒸着法により酸化マグネシウム製誘電体保護層(厚さ:1μm)を形成して、ガラス基板、ガラス基板の上に形成された一対の放電電極、放電電極を被覆する誘電体層、そして誘電体層の表面に形成された誘電体保護層からなる積層体を作製する。次に、積層体の誘電体保護層の上に、上記(1)で調製した硫黄含有酸化マグネシウム粉末分散液をエアーブラシで噴霧した後、箱形電気炉に入れて500℃の温度で30分間焼成することによって、誘電体保護層の上に試料粉末を点在させて、PDP用前面板を作製する。
【0038】
(3)放電開始電圧の測定
上記(2)で作製したPDP用前面板を、ステンレス製真空チャンバーに設置し、真空チャンバー内を10Pa以下にまで減圧したのち、Neガス95体積%+Xeガス5体積%の混合ガスを60kPaの圧力となるように封入する。次いで、PDP用前面板の電極に電圧を印加し、その印加電圧を上昇させ、放電部が全点灯したときの電圧値をオシロスコープで読み取り、これを放電開始電圧とする。
【0039】
表2
────────────────────────────────────────
硫黄含有量(モル) 平均粒子径(nm) 放電開始電圧(V)
────────────────────────────────────────
比較例1 0.000036 230 260
────────────────────────────────────────
実施例1 0.00026 250 257
実施例2 0.00056 320 257
実施例3 0.00076 340 247
実施例4 0.00082 400 244
実施例5 0.00102 230 237
実施例6 0.00112 380 231
実施例7 0.00112 290 242
実施例8 0.00119 230 230
実施例9 0.00126 310 234
実施例10 0.00194 280 246
実施例11 0.00242 370 247
実施例12 0.00274 450 255
実施例13 0.00396 410 254
実施例14 0.00711 460 257
────────────────────────────────────────
比較例2 0.00784 500 261
────────────────────────────────────────
注)硫黄含有量は、Mg含有量を1モルとしたときの値である。
【0040】
表2の結果から明らかなように、硫黄含有量が本願発明で規定する範囲にある硫黄含有酸化マグネシウム粉末(実施例1〜14)を誘電体保護層の上に点在させたPDP用前面板は放電開始電圧が、硫黄含有量が本願発明で規定する量よりも少ない硫黄含有酸化マグネシウム粉末(比較例1)や硫黄含有量が本願発明で規定する量よりも多い硫黄含有酸化マグネシウム粉末(比較例2)を誘電体保護層の上に点在させたPDP用前面板と比較して低い値を示す。
【符号の説明】
【0041】
10 前面板
11 透明基板
12a、12b 透明電極
13a、13b バス電極
14a、14b 放電電極
15 誘電体層
16 誘電体保護層
17 カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末
20 放電空間
30 背面板
31 透明基板
32 アドレス電極
33 誘電体層
34 隔壁
35 蛍光体層

【特許請求の範囲】
【請求項1】
Mg1モルに対してS、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲の量にて含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末。
【請求項2】
Mg1モルに対するカルコゲン元素の含有量が、0.00065〜0.0025モルの範囲にある請求項1に記載のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末。
【請求項3】
酸化マグネシウム粉末と、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素の単体もしくは化合物の粉末とを含む粉末混合物を焼成することによって得られた粉末である請求項1に記載のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末。
【請求項4】
下記の一般式(I)で表される化合物の粉末である請求項1に記載のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末:
MgO:Ax ・・・(I)
但し、Aは、S、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素であり、xは、0.00015〜0.0075の範囲の数である。
【請求項5】
カルコゲン元素が酸化マグネシウムの結晶内に取り込まれている請求項1に記載のカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末。
【請求項6】
放電電極を被覆する誘電体層と、該誘電体層の上に形成された誘電体保護層とを含むプラズマディスプレイパネル用の前面板であって、誘電体保護層の上に、Mg1モルに対してS、Se及びTeからなる群より選ばれるカルコゲン元素を0.00015〜0.0075モルの範囲の量にて含有するカルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末が点在していることを特徴とするプラズマディスプレイパネル用の前面板。
【請求項7】
カルコゲン元素含有酸化マグネシウム粉末のMg1モルに対するカルコゲン元素の含有量が、0.00065〜0.0025モルの範囲にある請求項6に記載の前面板。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2012−218987(P2012−218987A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−87410(P2011−87410)
【出願日】平成23年4月11日(2011.4.11)
【出願人】(000119988)宇部マテリアルズ株式会社 (120)
【Fターム(参考)】