説明

カルバメート基含有共架橋剤

本発明は、カルバメート基変性トリカルバモイルトリアジンを含有する粉末ラッカー被覆に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
詳細な説明
本発明は、カルバメート基変性トリカルバモイルトリアジンを含有する粉末ラッカー被覆(Pulverlackbeschichtungen)に関する。
【0002】
DE19744561A1、DE19841408A1およびDE10027293A1は、殊にエポキシ含有バインダーならびにアルコキシカルボニルアミノトリアジンを架橋剤として含有する粉末ラッカーを記載する。開示されているのは、アルキル基で置換されているトリス(アルコキシカルボニルアミノ)トリアジンのみである。
【0003】
誘導は定められていない。
【0004】
ドイツ国特許出願DE102004018543A1には、カルバメート末端基を有するトリアジン誘導体が記載されている。
【0005】
粉末ラッカー中でのそれらの特別な使用可能性は記載されていない。
【0006】
WO03/025074(=US6699942)は、誘導されたアルコキシカルボニルアミノトリアジンを記載する。粉末ラッカー中のヒドロキシエチルカルバメートで変性されたアルコキシカルボニルアミノトリアジンを記載する一例が挙げられる。そのようにして得られた粉末ラッカーは、良好な引掻安定性(耐損傷性)を示す。しかしながら、変性されたアルコキシカルボニルアミノトリアジンの化学量論は開示されておらず、同様に製造のための反応条件または分析データも開示されていない。
【0007】
バインダーとして、種々の官能基を有してよいポリマーの広範囲に及ぶリストが、種々の硬化剤との組み合わせにおいて挙げられる。実施例および請求項の中で明確に開示されているのは単に、ドデカンジカルボン酸を有するエポキシド基含有アクリレート樹脂ならびに共架橋剤成分として不定の組成のカルバメート変性アルコキシカルボニルアミノトリアジンのみである。
【0008】
しかしながら、そこで記載されたこれらの系の欠点は145℃の高い必要な焼付温度である。加えて、使用されるアルコキシカルボニルアミノトリアジンの官能価度(Funktionalisierungsgrad)および製造について言及はない。
【0009】
本発明の課題は、従来技術から公知の系より低い焼付温度を有する、粉末ラッカーのための被覆材料を開発することであった。その際、ラッカー特性、例えば、得られたラッカーの耐溶剤性および/または付着力および表面品質は、少なくとも維持されるべきかまたはそのうえさらに改善されるべきである。
【0010】
該課題は、
−少なくとも2のカルボキシル基官能価を有する、少なくとも1つのカルボキシル基含有ポリエステル(A)、
−少なくとも2個のエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物(B)
−場合により、少なくとも2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1つの化合物(C)ならびに
−カルバメート基を含有する少なくとも1つのトリカルバモイルトリアジン化合物(D)
を含有し、その際、トリカルバモイルトリアジン化合物(D)が少なくとも2.0〜2.95までのカルバメート官能価を有する、粉末ラッカーによって解決された。
【0011】
本発明による粉末ラッカーの構成成分は、従来技術と比べて、殊にWO03/025074と比べて、焼付温度を下げることができるように選択されている。
【0012】
ある特定の官能基に関する官能価は、本明細書の範囲内では1分子当たりの官能基の統計的平均値を意味する。
【0013】
粉末ラッカーは、DIN EN971−1に従って、溶融および焼付後に被覆をもたらす粉末状の、溶剤不含の被覆剤(Beschichtungsstoffe)と理解される。
【0014】
カルボキシル基含有ポリエステル(A)は、少なくとも2の、有利には2〜20の、とりわけ有利には2〜15の、極めて有利には3〜10のおよび殊に3〜6のカルボキシル基官能価を有する。
【0015】
一般的に、カルボキシル基含有ポリエステル(A)は、
−2のヒドロキシ基官能価を有する少なくとも1つのジオール(A1)、
−場合により、2を上回るヒドロキシ基官能価を有する少なくとも1つのポリオール(A2)、
−2のカルボキシ基官能価を有する少なくとも1つのジカルボン酸(A3)、
−場合により、2を上回るカルボキシ基官能価を有する少なくとも1つのポリカルボン酸(A4)ならびに
−場合により、少なくとも1個のヒドロキシ基および/またはカルボキシ基と、ヒドロキシ基およびカルボキシ基とは異なる少なくとも1個の官能基を有する化合物(A5)
から構成されている。
【0016】
ジオール(A1)のための例は、エチレングリコール、プロパン−1,2−ジオール、プロパン−1,3−ジオール、ブタン−1,2−ジオール、ブタン−1,3−ジオール、ブタン−1,4−ジオール、ブタン−2,3−ジオール、ペンタン−1,2−ジオール、ペンタン−1,3−ジオール、ペンタン−1,4−ジオール、ペンタン−1,5−ジオール、ペンタン−2,3−ジオール、ペンタン−2,4−ジオール、ヘキサン−1,2−ジオール、ヘキサン−1,3−ジオール、ヘキサン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘプタン−1,2−ジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,2−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,2−デカンジオール、1,10−デカンジオール、1,2−ドデカンジオール、1,12−デカンジオール、1,5−ヘキサジエン−3,4−ジオール、1,2−シクロペンタンジオール、1,3−シクロペンタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、1,1−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、1,1−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,2−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(ヒドロキシエチル)シクロヘキサン、ネオペンチルグリコール、(2)−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、ピナコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコールHO(CHCHO)−HまたはポリプロピレングリコールHO(CH[CH]CHO)−H[式中、nは整数であり、かつn≧4である]、ポリエチレン−ポリプロピレングリコール(その際、エチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位の順序は、ブロック状またはランダム状であってよい)、ポリテトラメチレングリコール(有利には、5000g/モルまでの分子量まで)、ポリ−1,3−プロパンジオール(有利には、5000g/モルの分子量を有する)、ポリカプロラクタンまたは前出の化合物の2つ以上の代表物質の混合物である。その際、前で挙げられたジオール中の1個のまたは同様に2個のヒドロキシル基はSH基によって置換されてよい。有利には使用されるジオールは、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1.8−オクタンジオール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールおよび1,4−シクロヘキサンジオール、1,3−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサンおよび1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、ならびにジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコールおよびトリプロピレングリコールである。
【0017】
ポリオール(A2)の例は、グリセリン、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、トリス(ヒドロキシメチル)アミン、トリス(ヒドロキシエチル)アミン、トリス(ヒドロキシプロピル)アミン、ペンタエリトリトール、ジグリセリン、トリグリセリンまたはグリセリンの高級縮合生成物、ジ(トリメチロールプロパン)、ジ(ペンタエリトリトール)、トリスヒドロキシメチルイソシアヌレート、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレート(THEIC)、トリス(ヒドロキシプロピル)イソシアヌレート、イノシトールまたは糖、例えばグルコース、フルクトースまたはスクロース、糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトール、イソマルト(Isomalt)、3官能性のまたはそれより多い官能性のアルコールおよびエチレンオキシド、プロピレンオキシドおよび/またはブチレンオキシドをベースとする3官能性のまたはそれより多い官能性のポリエーテロールである。
【0018】
その際、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、1,2,4−ブタントリオール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)イソシアヌレートならびにエチレンオキシドおよび/またはプロピレンオキシドをベースとするそれらのポリエーテロールがとりわけ有利である。
【0019】
例えばジカルボン酸(A3)に含まれるのは、脂肪族ジカルボン酸、例えばシュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、コルク酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン−α,ω−ジカルボン酸、ドデカン−α,ω−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,2−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,3−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロヘキサン−1,4−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロペンタン−1,2−ジカルボン酸、シス−およびトランス−シクロペンタン−1,3−ジカルボン酸である。さらに芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸も使用されうる。不飽和ジカルボン酸、例えばマレイン酸またはフマル酸も使用可能である。
【0020】
挙げられたジカルボン酸は、
〜C10−アルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、イソペンチル、sec−ペンチル、ネオペンチル、1,2−ジメチルプロピル、イソアミル、n−ヘキシル、イソヘキシル、sec−ヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、トリメチルペンチル、n−ノニルまたはn−デシル、
〜C12−シクロアルキル基、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルおよびシクロドデシル;有利なのは、シクロペンチル、シクロヘキシルおよびシクロヘプチルである;
アルキレン基、例えばメチレンまたはエチリデンまたは
〜C14−アリール基、例えばフェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−アントリル、2−アントリル、9−アントリル、1−フェナントリル、2−フェナントリル、3−フェナントリル、4−フェナントリルおよび9−フェナントリル、有利にはフェニル、1−ナフチルおよび2−ナフチル、とりわけ有利にはフェニル
から選択された1個以上の基で置換されていてもよい。
【0021】
置換されたジカルボン酸の例示的な代表物質として以下のものが挙げられる:2−メチルマロン酸、2−エチルマロン酸、2−フェニルマロン酸、2−メチルコハク酸、2−エチルコハク酸、2−フェニルコハク酸、イタコン酸、3,3−ジメチルグルタル酸。
【0022】
さらに、前で挙げられたジカルボン酸の2つ以上の混合物が使用されうる。
【0023】
ジカルボン酸は、それ自体または誘導体の形で使用されうる。
【0024】
誘導体は、有利には
−モノマーの形のまたは同様にポリマーの形の該当する無水物、
−モノアルキルエステルまたはジアルキルエステル、有利にはモノ−C〜C−アルキルエステルまたはジ−C〜C−アルキルエステル、とりわけ有利にはモノエチルエステルまたはジメチルエステルまたは相応するモノエチルエステルまたはジエチルエステル、
−そのうえモノビニルエステルおよびジビニルエステルならびに
−混合エステル、有利には、異なるC〜C−アルキル成分を有する混合エステル、とりわけ有利には、混合メチルエチルエステル
と理解される。
【0025】
〜C−アルキルは、この明細書の範囲内ではメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルおよびtert−ブチル、有利にはメチル、エチルおよびn−ブチル、とりわけ有利にはメチルおよびエチルおよび極めて有利にはメチルを意味する。
【0026】
本発明の範囲内では、ジカルボン酸とその誘導体の1つ以上からの混合物を使用することも可能である。同様に本発明の範囲内では、1つ以上のジカルボン酸の複数の異なる誘導体の混合物を使用することも可能である。
【0027】
とりわけ有利には、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキサンジカルボン酸(ヘキサヒドロフタル酸)、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸またはそれらのモノアルキルエステルまたはジアルキルエステルが使用される。
【0028】
ポリカルボン酸(A4)は、例えばアコニット酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,3,5−ベンゾトリカルボン酸、1,2,4,5−ベンゾテトラカルボン酸(ピロメリット酸)ならびにメリット酸および低分子量ポリアクリル酸である。
【0029】
トリカルボン酸またはポリカルボン酸(A4)は、本発明による反応においては、それ自体または誘導体の形で使用されうる。
【0030】
誘導体は、有利には
−モノマーの形のまたは同様にポリマーの形の該当する無水物、
−モノアルキルエステル、ジアルキルエステルまたはトリアルキルエステル、有利にはモノ−C〜C−アルキルエステル、ジ−C〜C−アルキルエステルまたはトリ−C〜C−アルキルエステル、とりわけ有利にはモノメチルエステル、ジメチルエステルまたはトリメチルエステルまたは相応するモノエチルエステル、ジエチルエステルまたはトリエチルエステル、
−そのうえモノビニルエステル、ジビニルエステルおよびトリビニルエステルならびに
−混合エステル、有利には、異なるC〜C−アルキル成分を有する混合エステル、とりわけ有利には、混合メチルエチルエステル
と理解される。
【0031】
本発明の範囲内では、トリカルボン酸またはポリカルボン酸とその誘導体の1つ以上からなる混合物、例えばピロメリット酸とピロメリット酸無水物からの混合物を使用することも可能である。同様に本発明の範囲内では、1つ以上のトリカルボン酸またはポリカルボン酸の複数の異なる誘導体の混合物、例えば1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸とピロメリット酸二無水物からの混合物を使用することも可能である。
【0032】
化合物(A5)は、ヒドロキシ基および/またはカルボキシ基の他に少なくとも1つのさらなる官能性を有し、例えばカルボニル、アルコキシカルボニルまたはスルホニル、例えばジメチロールプロピオン酸またはジメチロール酪酸、ならびにそれらのC〜C−アルキルエステルを含有する。
【0033】
カルボキシル基含有ポリエステル(A)の製造は当業者に公知であり、かつ本発明の本質をなすものではない。
【0034】
決定的に重要なのは、カルボキシル基含有ポリエステル(A)が少なくとも2のカルボキシル官能価を有することである。
【0035】
有利なカルボキシル基含有ポリエステル(A)は、室温(23℃)で固体であり、とりわけ有利なポリエステル(A)は、少なくとも55℃の、極めて有利には70℃の融点を有する。しかしながら、ポリエステル(A)は焼付温度を下回る融点を有さなければならない。
【0036】
ISO 3219に従う、溶融物中における175℃でのポリエステル(A)の粘度は、50〜20000mPas、有利には100〜15000mPasである。
【0037】
一般に、カルボキシル基含有ポリエステル(A)は、少なくとも40℃、有利には少なくとも45℃およびとりわけ有利には少なくとも50℃のガラス転移温度を有する。
【0038】
ガラス転移温度Tは、ASTM 3418/82に記載されたDSC法(示差走査熱量測定法)により測定され、加熱速度は有利には10℃/分である。
【0039】
有利なカルボキシル基含有ポリエステル(A)は、DIN 53240、第2部(電位差分析)に記載された、0〜100mg KOH/g、有利には1〜50mg KOH/g、とりわけ有利には2〜25mg KOH/gおよび極めて有利には2.5〜10mg KOH/gのOH価を有する。
【0040】
さらに、カルボキシル基含有ポリエステル(A)は、DIN 53240、第2部(電位差分析)に記載された、0を上回る〜250mg KOH/g、有利には5〜150mg KOH/g、とりわけ有利には10を下回る〜100およびとりわけ有利には40〜100mg KOH/gの酸価を有してよい。
【0041】
有利には使用されるカルボキシル基含有ポリエステル(A)は、少なくとも500g/モル、有利には少なくとも600g/モルおよびとりわけ有利には750g/モルの数平均分子量Mを有する。分子量Mの上限は、有利には100000g/モルであり、とりわけ有利には、それは80000g/モルを上回らず、かつ極めて有利には30000g/モルを上回らない。
【0042】
化合物(B)は、少なくとも2個の、有利には2〜20個の、とりわけ有利には2〜15個の、極めて有利には2〜10個の、および殊に2〜6個のエポキシ基を有する。
【0043】
有利には、該化合物は20000g/モルを下回る、とりわけ有利には15000g/モルを下回る、極めて有利には10000g/モルを下回る、殊に5000g/モルを下回るおよび特に2000g/モルを下回る分子量を有する。
【0044】
化合物(B)の例は、脂肪族のまたは芳香族のポリオールのグリシジルエーテルである。このような生成物は多く市販されている。
【0045】
芳香族グリシジルエーテルは、例えばビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−F−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−B−ジグリシジルエーテル、ビスフェノール−S−ジグリシジルエーテル、ヒドロキノンジグリシジルエーテル、フェノール/ジシクロペンタジエンのアルキル化生成物、例えば2,5−ビス[(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]オクタヒドロ−4,7−メタノ−5H−インデン)(CAS番号[13446ー85ー0])、トリス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]メタン異性体)(CAS番号[66072−39−7])、フェノール型エポキシノボラック(CAS番号[9003−35−4])およびクレゾール型エポキシノボラック(CAS番号[37382−79−9])である。
【0046】
脂肪族グリシジルエーテルは、例えば1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、1,1,2,2−テトラキス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)フェニル]エタン(CAS番号[27043−37−4])、ポリプロピレングリコール(α,ω−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)ポリ(オキシプロピレン)(CAS番号[16096−30−3])のジグリシジルエーテルおよび水素化ビスフェノールA(2,2−ビス[4−(2,3−エポキシプロポキシ)シクロヘキシル]プロパン、CAS番号[13410−58−7])のジグリシジルエーテルである。
【0047】
とりわけ有利なのは、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型またはビスフェノールB型のポリグリシジル化合物、それらの完全に水素化された誘導体および多価アルコールの、例えば1,4−ブタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ネオペンチルグリコールの、1,6−ヘキサンジオールの、グリセリン、トリメチロールプロパンのおよびペンタエリトリトールのグリシジルエーテルである。このようなポリエポキシド化合物の例は、Resolution社のEpikote(R)1001、Epikote(R)1007およびEpikote(R)162(エポキシド値:約0.61モル/100g)、Hexion社のRuetapox(R)0162(エポキシド値:約0.58モル/100g)、Hunstman社(かつてVantico AG)のAraldit(R)DY 0397(エポキシド値:約0.83モル/100g)およびAraldit(R)GT 6063(0.14モル/100g)である。
【0048】
極めて有利なのは、ビスフェノール−A−ジグリシジルエーテル、1,4−ブタンジオール−ジグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテルおよびペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル、殊にビスフェノール−A−ジグリシジルエーテルである。
【0049】
エーテル以外の他の化合物、例えばジカルボン酸およびポリカルボン酸のエステル、例えば、グリシドール、ならびにトリグリシジルイソシアヌレートとの、フタル酸エステルおよびテレフタル酸エステルが考えられうる。
【0050】
有利には、化合物(B)は、50℃、有利には少なくとも65℃およびとりわけ有利には少なくとも85℃の最低融点を有する。
【0051】
有利には、化合物(B)は、0.1〜10当量/kg、有利には0,5〜8当量/kg、極めて有利には1〜7当量/kgのエポキシド価を有する。
【0052】
一般に、融点は120℃を超えるべきではない。しかしながら、化合物(B)は焼付温度を下回る融点を有さなければならない。
【0053】
ISO 3219に記載された、175℃での(B)の溶融粘度は、50〜5000mPas、有利には100〜3000mPas、極めて有利には200〜700mPasであるべきである。
【0054】
化合物(C)は、少なくとも2個のヒドロキシ基、例えば2〜20個の、有利には2〜15個の、とりわけ有利には2〜10個の、極めて有利には2〜6個のおよび殊に2〜4個のヒドロキシ基を有する化合物である。
【0055】
そのような化合物(C)は、例えばポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール;ポリウレアポリオール;ポリエステルポリアクリレートポリオール;ポリエステルポリウレタンポリオール;ポリウレタンポリアクリレートポリオール、ポリウレタン変性アルキド樹脂;脂肪酸変性ポリエステルポリウレタンポリオール、アリルエーテルとのコポリマー、例えば種々のガラス温度、ならびに挙げられたバインダーの混合物を有する挙げられた物質群からのグラフトポリマーである。有利なのは、ポリアクリレートポリオール、ポリエステルポリオールおよびポリエーテルポリオールである。
【0056】
有利には、ポリアクリレートポリオール、ポリエステロールおよび/またはポリエーテロールが使用され、とりわけ有利には、少なくとも1000g/モルの分子量Mを有するものが使用される。
【0057】
例えばポリアクリレートポリオールは、ヒドロキシ基含有モノマー、有利には2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレートまたは3−ヒドロキシプロピルアクリレート、1,4−ブタンジオールモノアクリレートまたは3−(アクリロイルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレートおよび、とりわけ有利には2−ヒドロキシエチルアクリレートおよび/または2−ヒドロキシエチルメタクリレートを、たいていの場合、他の重合可能な、有利にはラジカル重合可能なモノマーとの混合物において重合して含有するものであり、有利には、50質量%を上回ってC〜C20−アルキル(メタ)アクリレート、C原子20個までを有するビニル芳香族化合物、C原子20個までを含有するカルボン酸のビニルエステル、ビニルハロゲン化物、C原子4〜8個および二重結合1個または2個を有する非芳香族炭化水素、不飽和ニトリルおよびその混合物からなるものである。とりわけ有利なのは、60質量%を上回ってC〜C10−アルキル(メタ)アクリレート、スチレンまたはその混合物からなるポリマーである。
【0058】
さらにまた、ポリマーは上述のヒドロキシ基含有量に相当するヒドロキシ官能性モノマーおよび場合によりさらなるモノマー、例えばエチレン性不飽和酸、殊にカルボン酸、酸無水物または酸アミドを含有してよい。
【0059】
さらなるポリマーは、例えば、ポリカルボン酸、殊にジカルボン酸とポリオール、殊にジオールとの縮合によって得られるポリエステロールである。
【0060】
ポリエステルポリオールは、例えばウールマンの工業化学百科事典、第4版、第19巻、第62頁〜第65頁(Ullmanns Encyklopaedie der technischen Chemie, 4. Auflage, Band 19, S. 62 bis 65)から公知である。有利には、2価アルコールと2価カルボン酸との反応によって得られるポリエステルポリオールが使用される。遊離ポリカルボン酸の代わりに、相応するポリカルボン酸無水物または相応する低級アルコールのポリカルボン酸エステルまたはその混合物もポリエステルポリオールの製造のために使用されうる。ポリカルボン酸は、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、芳香族または複素環式であってよく、また場合により、例えばハロゲン原子で置換されていてもよくかつ/または不飽和であってもよい。これに関する例として、以下のものが挙げられる:
シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、酒石酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、ドデカン二酸、o−フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリット酸、アゼライン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸またはテトラヒドロフタル酸、コルク酸、アゼライン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、テトラクロロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、二量体脂肪酸、その異性体および水素化生成物ならびにエステル化可能な誘導体、例えば無水物またはジアルキルエステル、例えば、挙げられた酸のC1〜C4−アルキルエステル、有利にはメチルエステル、エチルエステル、またはn−ブチルエステルが使用される。有利なのは、一般式HOOCー(CH−COOH[式中、yは1〜20の数、有利には2〜20の偶数である]のジカルボン酸であり、とりわけ有利なのは、酒石酸、アジピン酸、セバシン酸およびドデカンジカルボン酸である。
【0061】
多価アルコールとして、ポリエステロールの製造のために、1,2−プロパンジオール、エチレングリコール、2,2−ジメチル−1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3ーメチルペンタン−1,5−ジオール、2−エチルヘキサン−1,3−ジオール、2,4−ジエチルオクタン−1,3−ジオール、1,6−ヘキサンジオール、162〜2000のモル質量を有するポリ−THF、134〜1178のモル質量を有するポリ−1,3−プロパンジオール、134〜898のモル質量を有するポリ−1,2−プロパンジオール、106〜458のモル質量を有するポリエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールエステル、2−エチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ビス(4−ヒドロキシシクロヘキシル)プロパン、1,1−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジメタノール、1,3−シクロヘキサンジメタノールおよび1,4−シクロヘキサンジメタノール、1,2−シクロヘキサンジオール、1,3−シクロヘキサンジオールまたは1,4−シクロヘキサンジオール、トリメチロールブタン、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ネオペンチルグリコール、ペンタエリトリトール、グリセリン、ジトリメチロールプロパン、ジペンタエリトリトール、ソルビトール、マンニトール、ジグリセロール、トレイトール、エリトリトール、アドニトール(リビトール)、アラビトール(リキシトール)、キシリトール、ズルシトール(ガラクチトール)、マルチトールまたはイソマルトが考慮に入れられ、それらは場合により、上で記載されたようにアルコキシル化されていてもよい。
【0062】
有利なのは、一般式HOー(CH−OH[式中、xは1〜20の数、有利には2〜20の偶数である]のアルコールである。有利なのは、エチレングリコール、ブタン−1,4−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、オクタン−1,8−ジオールおよびドデカン−1,12−ジオールである。さらに、有利なのはネオペンチルグリコールである。
【0063】
そのうえ、例えばホスゲンと、ポリエステルポリオールの構造成分として挙げられた低分子量アルコールの過剰量との反応によって得ることのできるポリカーボネート−ジオールも考慮に入れられる。
【0064】
ラクトンベースのポリエステルジオールも適しており、それはラクトンのホモポリマーまたはコポリマーであり、有利には、適した二官能性開始剤分子へのラクトンの末端ヒドロキシル基を有する付加生成物である。ラクトンとして、有利には一般式HO−(CH−COOH[式中、zは1〜20の数であり、かつメチレン単位のH原子はC〜C−アルキル基でも置換されていてよい]の化合物から誘導されるものが考慮に入れられる。例は、ε−カプロラクトン、βープロピオラクトン、ガンマ−ブチロラクトンおよび/またはメチル−ε−カプロラクトン、4−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフタリン酸またはピバロラクトンならびにその混合物である。適した開始剤成分は、例えば、前でポリエステルポリオールの構造成分として挙げられた低分子量の2価アルコールである。相応するε−カプロラクトンのポリマーがとりわけ有利である。低級ポリエステルジオールまたはポリエーテルジオールも、ラクトン−ポリマーの製造のための開始剤として使用されていてよい。ラクトンのポリマーの代わりに、ラクトンに相応するヒドロキシカルボン酸の相応する化学的に等価な重縮合物も使用されうる。
【0065】
さらに、ポリマーとして、エチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシドのH−活性成分への付加によって製造されるポリエーテロールも適している。同様にブタンジオールからの重縮合物が適している。
【0066】
当然のことながら、ポリマーは、第一級アミノ基または第二級アミノ基を有する化合物であってもよい。
【0067】
有利な化合物(C)は、少なくとも1000、とりわけ有利には少なくとも2000および極めて有利には5000の分子量Mを有する。分子量Mは、例えば200000g/モルまで、有利には100000g/モルまで、とりわけ有利には80000g/モルまで、および極めて有利には50000g/モルまでであってよい。
【0068】
これらの挙げられたポリマーの化合物の他に、ヒドロキシ基含有化合物(C)は、低分子量化合物、すなわち1000g/モルを下回る分子量を有する化合物であってもよい。
【0069】
それは、例えばジカルボン酸またはポリカルボン酸のヒドロキシアルキル化アミド、有利にはジカルボン酸またはポリカルボン酸とジエタノールアミンまたはジプロパノールアミンとのアミドである。
【0070】
それに関する例は、N,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシエチル)アジピン酸ジアミドおよびN,N,N',N'−テトラキス(2−ヒドロキシプロピル)アジピン酸ジアミドである。
【0071】
有利には、化合物(C)は、50℃、有利には少なくとも60℃およびとりわけ有利には少なくとも70℃の最低融点を有する。
【0072】
一般に、融点は120℃を超えるべきではない。しかしながら、化合物(C)は焼付温度を下回る融点を有さなければならない。
【0073】
有利な化合物(C)は、DIN 53240、第2部(電位差分析)に記載された、10〜500mg KOH/g、有利には20〜300mg KOH/gのOH価を有する。
【0074】
さらに化合物(C)は、DIN 53240、第2部(電位差分析)に記載された、0〜50mg KOH/g、有利には0〜20mg KOH/gおよび、とりわけ有利には10mg KOH/gを下回る酸価を有する。
【0075】
本発明により本質的なのは、カルバメート基を含有する少なくとも1つのトリカルバモイルトリアジン化合物(D)が粉末ラッカー中に含有されていることであり、その際、トリカルバモイルトリアジン化合物(D)は、少なくとも2.0〜2.95のカルバメート官能価を有する。
【0076】
その際、トリカルバモイルトリアジン化合物は、式的にメラミン((C)(NH)から構成されている化合物と理解され、該メラミンの3個のアミノ基ではそのつど1個の水素原子がウレタン基で、つまり任意にO−置換カルボキシル基で置換されている。式的に1つより多い、例えば2つまたは3つのトリアジン分子から構成されている、いわゆる多環式化合物も考えられえ、該化合物のトリアジン分子は互いに結合している。相応して、それから遊離アミノ基ではそのつど1個の水素原子が任意にO−置換カルボキシル基で置換されている。
【0077】
カルバメート基は、末端基−(CO)−NHまたは−(CO)−NHRと理解され、その際、Rは、R、RまたはR(下記参照)の意味を包含しうる。
【0078】
化合物(D)のカルバメート官能価は、本発明に従って2.0〜2.95である。有利には、カルバメート官能価は少なくとも2.1、とりわけ有利には少なくとも2.2、極めて有利には少なくとも2.3および殊に少なくとも2.4である。有利には、カルバメート官能価は2.9まで、とりわけ有利には2.8まで、極めて有利には2.7までおよび殊に2.6までである。
【0079】
有利には、化合物(D)は主に化合物(D1)
【化1】

と化合物(D2)
【化2】

[式中、R、R、RおよびRは、互いに無関係にC〜C18−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C12−シクロアルキルを意味し、
、RおよびRは、付加的に水素を意味し、かつ
、YおよびYは、互いに無関係にC〜C20−アルキレン、C〜C12−シクロアルキレンまたは1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換イミノ基によっておよび/または1個以上のシクロアルキル−、−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−または−(CO)O−基によって中断されたC〜C20−アルキレンを意味し、その際、挙げられた基は、それぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されていてよい]
の混合物からなる。
【0080】
、R、RおよびRの例はC〜C−アルキルであり、それはこの明細書中ではメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチルまたはtert−ブチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−デシル、n−ドデシル、n−テトラデシル、n−ヘキサデシル、n−オクタデシル、n−エイコシル、2−エチルヘキシル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロオクチルまたはシクロドデシルを表し、かつR、RおよびRに関しては、そのうえ水素を表す。
【0081】
は、有利にはメチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、イソブチルまたはsec−ブチルであり、有利なのはメチル、エチルおよびn−ブチルであり、極めて有利なのはメチルおよびn−ブチルおよび殊にメチルである。
【0082】
、RおよびRは、有利には水素である。
【0083】
、YおよびYの例は、互いに無関係に1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1−ヒドロキシメチル−1,2−エチレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンおよび2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、または
【化3】

または1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキシレンであり、有利なのは1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,3−プロピレンであり、とりわけ有利なのは1,2−エチレンおよび1,2−プロピレンであり、および極めて有利なのは1,2−エチレンである。
【0084】
とりわけ有利には、基R、RおよびRならびに基Y、YおよびYはそのつど同じである。
【0085】
化合物(D)は、化合物(D1)および(D2)からの合計において、一般に少なくとも60質量%で、有利には少なくとも70質量%で、とりわけ有利には少なくとも80質量%でおよびとりわけ有利には少なくとも90質量%で構成される。
【0086】
頻繁に、(D1)または(D2)でない化合物(D)の残留成分は、単に1個のカルバメート基を有する、有利にはトリアジン環の1個のアミノ基上の部分−CO)−O−(Y−O−(CO)−NHRの形の化合物、および/または少なくとも1個の非置換のNH−基をトリアジン環上に有する化合物、および/またはカルバメート基を有さず、その代わりにトリアジン環上の全ての3個のアミノ基がアルコキシカルボニル基−COORである化合物である。
【0087】
化合物(D)中の後者のトリス−アルコキシカルボニル官能性化合物の含有率は、一般に20質量%未満、有利には10質量%未満および極めて有利には5質量%未満である。
【0088】
本発明による粉末ラッカーは、そのうえ
(E)顔料および充填剤および
(F)添加剤
を含有してよい。
【0089】
顔料および充填剤(E)は、例えば以下のものである:
顔料は、この明細書の意味において包括的に本来の意味における顔料、染料および/または充填剤のために、有利には本来の意味における顔料および充填剤およびとりわけ有利には本来の意味における顔料のために使用される。
【0090】
本来の意味における顔料は、CD Roempp Chemie Lexikon−Version 1.0,Stuttgart/New York:Georg Thieme Verlag 1995に記載される、DIN 55943を基準とした粒状の"適用媒体中で実質的に不溶性の、無機または有機の、彩色または無彩色の着色剤"である。
【0091】
その際、実質的に不溶性であるとは、溶解度が25℃で1g/適用媒体1000gより下回って、有利には0.5より下回って、とりわけ有利には0.25より下回って、極めて有利には0.1より下回って、および殊に0.05g/適用媒体1000gより下回っていることを意味する。
【0092】
本来の意味における顔料の例は、吸収顔料および/または効果顔料、有利には吸収顔料の任意の系を包含する。その際、顔料成分の数および選択はいかなる制限も受けない。それらはそのつどの要求、例えば工程a)で記載されるように、例えば所望された色彩印象に任意に合わせられうる。例えば、規準化された混合ラッカー系の全ての顔料成分に基づいてよい。
【0093】
効果顔料は、薄板状の構造を示し、かつ表面被覆に特別な装飾的な色彩効果を付与する全ての顔料と理解されるべきである。効果顔料は、例えば自動車塗装および工業塗装において通常使用可能な全ての効果付与する顔料である。このような効果顔料の例は、純粋な金属顔料;例えばアルミニウム顔料、鉄顔料または銅顔料;干渉顔料、例えば二酸化チタン被覆マイカ、酸化鉄被覆マイカ、混合酸化物被覆マイカ(例えば、二酸化チタンとFeとのまたは二酸化チタンとCrとの)、金属酸化物被覆アルミニウム、または液晶顔料である。
【0094】
色付与する吸収顔料は、例えば塗装工業において通常使用可能な有機または無機の吸収顔料である。有機吸収顔料の例は、アゾ顔料、フタロシアニン顔料、キナクリドン顔料およびピロールピロール顔料である。無機吸収顔料の例は、酸化鉄顔料、二酸化チタンおよびカーボンブラックである。
【0095】
染料は同様に着色剤であり、かつ顔料とは適用媒体中でのその溶解度の点で異なり、すなわち、それは25℃で1g/適用媒体1000gを超える溶解度を有する。
【0096】
染料の例は、アゾ染料、アジン染料、アントラキノン染料、アクリジン染料、シアニン染料、オキサジン染料、ポリメチン染料、チアジン染料、トリアリールメタン染料である。これらの染料は、塩基性またはカチオン性の染料、媒染染料、直接染料、分散染料、イングレイン染料、バット染料、金属錯体染料、酸性染料、硫化染料、カップリング染料または直接性染料(Substantive Farbstoffe)として使用されうる。
【0097】
カチオン不活性の充填剤として、一方では彩色的に効果がない;すなわち、わずかな固有吸収しか示さず、かつその屈折率が被覆媒体の屈折率と類似している、また他方では表面被覆において、すなわち、施与されたラッカー皮膜中で効果顔料の配向(平行なアライメント(parallele Ausrichtung)に影響を及ぼし、そのうえ被覆または被覆材料の特性、例えば硬度またはレオロジーに影響を及ぼす全ての物質/化合物が理解されるべきである。以下では、例えば使用可能な不活性の物質/化合物が挙げられるが、しかしながら、彩色的に不活性の、トポロジーに影響を及ぼす充填剤の概念はこれらの例に制限されない。定義に相応する適した不活性の充填剤は、例えば透明のまたは半透明の充填剤または顔料、例えばシリカゲル、沈降硫酸バリウム、ケイ藻土、タルク、炭酸カルシウム、カオリン、硫酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸アルミニウム、結晶性二酸化ケイ素、非晶質シリカ、酸化アルミニウム、例えばガラスからの微小球または中空微小球、例えば01〜50μmの大きさを有するセラミックまたはポリマーであってよい。さらに、不活性の充填剤として、任意の固体の不活性の有機粒子、例えば尿素−ホルムアルデヒド−縮合物、微粉化ポリオレフィンワックスおよび微粉化アミドワックスが使用されうる。不活性の充填剤は、そのつど混合物においても使用されうる。しかしながら、有利には1つの充填剤のみが使用される。
【0098】
例えば添加剤(F)は触媒および助剤、例えば脱気剤、例えばベンゾイン(Benzoin)、流動性改良剤、UV−吸収剤、フリーラジカル捕捉剤および/または酸化防止剤である。
【0099】
有利な本発明による粉末ラッカーは、次のように構成されている:
(A)10〜75質量%、有利には15〜60質量%、とりわけ有利には20〜50質量%、極めて有利には25〜40質量%および殊に30〜40質量%、
(B)10〜75質量%、有利には15〜60質量%、とりわけ有利には20〜50質量%、極めて有利には25〜40質量%および殊に30〜40質量%、
(C)0〜10質量%、有利には0〜8質量%、とりわけ有利には0.5〜5質量%、極めて有利には1.5〜5質量%、
(D)1〜20質量%、有利には1〜15質量%、とりわけ有利には1〜10質量%、極めて有利には2〜7質量%、
(E)0〜70質量%、有利には10〜50質量%、とりわけ有利には20〜40質量%、極めて有利には25〜35質量%、
(F)0〜10質量%、有利には1〜8質量%、とりわけ有利には1〜6質量%および極めて有利には1.5〜5質量%、
ただし、全成分の合計は100質量%である。
【0100】
本発明に従って有利なのは、成分(A)〜(D)の最低皮膜形成温度が少なくとも50℃、有利には少なくとも60℃、とりわけ有利には少なくとも75℃、極めて有利には少なくとも85℃および殊に少なくとも100℃である場合である。最低皮膜形成温度は、試験されるべき混合物をドクターブレードによってガラス板上に付着するか、または細粒化された粉末をガラス板上に塗布し、かつ勾配炉で熱することによって調べられうる。粉末状の層が皮膜を形成する温度が、最低皮膜形成温度と呼ばれる。
【0101】
有利には、本発明による粉末ラッカーの細粒化された寸法安定性の構成成分の平均粒度は、0.5〜40μm、有利には0.5〜20μm、およびとりわけ有利には2〜6μmである。平均粒度はレーザー回折法に従って測定された50%−中央値と理解され、すなわち、粒子の50%は中央値までの粒径を有し、かつ粒子の50%は中央値を上回る粒径を有する。全般的に、細粒化された寸法安定性の構成成分の粒度は、粒子がその大きさに基づき焼付に際してもはや完全には流動しえず、またそれにより皮膜流動性にマイナスに影響が及ぼされる場合にその上限に達する。上限として80μmが重要であるとみなされる。それというのも、この粒度から高感度塗布装置の洗浄管路が詰まると想定されうるからである。
【0102】
本発明による粉末ラッカーの製造は、方法上の特殊性を有さず、むしろ当業者にそれ自体公知の仕方で行われる。有利な製造方法は、前で記載された構成成分の、例えば押出機またはスクリュー混練機(Schneckenkneter)を用いた均一化および分散、および粉砕によるものである。本発明による粉末ラッカーの製造に従って、これらは塗布のためにまたは分散のために、本発明による粉末ラッカーを製造する目的で、さらなる粉砕によってかつ場合により分級およびふるい分けによって準備される。
【0103】
有利な一実施態様において、本発明による粉末ラッカーは次のように製造される:
個々の成分は装入容器中で混合され、かつ例えばタンブルミキサー、プローシェアーミキサー、ヘンシェルミキサーまたはオーバーヘッドミキサー(Ueberkopfmischer)中で物理的に集中的に予混合されかつ粗砕される。
【0104】
そのようにして得られた予混合物は、有利には押出機中で、高められた温度、例えば80〜120℃で溶融され、かつその成分は混合エレメントおよび混練エレメントによって互いに非常によくかき混ぜて接触させられる。このプロセスの場合、粗製物質の集中的な混合が行われる:充填剤はバインダーで覆われ、顔料は分散されかつ細粒化され、バインダーおよび硬化剤は密接に接触させられる。特にこの接触は、後ほど粉末ラッカーの焼付に際して良好な皮膜形成を達成するために必要とされる。
【0105】
溶融均一化された混合物は押出機を一般的に約100℃で抜け出し、かつ現に熱反応性である材料の前反応を極力阻止するために、出来る限り早く室温に冷却されなければならない。そのため、押出物は冷却ローラでしばしば薄い材料帯へとロールアウトされ、冷却ベルトで運搬され、かつそこで1分未満内に室温に冷却される。次いで材料は、次の方法工程のための最適な調量を保証するために、粗砕してチップ(Chips)にされる。
【0106】
次いで粉末ラッカーチップは、完成された粉末ラッカーを得るために衝撃粉砕の原理に従って分級ミル中で粉砕される。DIN 55990−2に従う求められる粒度は10〜150μm、可能な限り30〜70μmである。場合により、なおふるい分け工程が粗粒および/または微粒の分離のために必要である。
【0107】
本発明のさらなる一対象は物体(Gegenstaenden)を被覆するための方法であり、該方法において本発明による粉末ラッカーは任意の方法で物体に塗布され、かつDIN 55990−4の記載により145℃を下回る、有利には140℃までの、とりわけ有利には135℃までの、および極めて有利には130℃までの目的物温度(Objekttemperatur)で20分の保留時間にわたり焼付される。目的物温度は、少なくとも100℃、有利には110℃、とりわけ有利には少なくとも120℃、および極めて有利には少なくとも125℃であるべきである。
【0108】
目的物温度は、ラッカー皮膜中でバインダーの架橋が完全に行われるように、塗布された物体が焼付炉で到達しなければならない温度である。目的物温度は、ある一定の予熱時間後にようやく到達し、かつ一般に内気循環温度より低い。目的物温度は、たいてい熱電対によって試験体が炉の流路内で測定される。
【0109】
膨張温度、つまり本発明による焼付ラッカーの化学的架橋が始まる最低温度または同様に開始温度は、一般に、焼付温度、つまり所定の焼付時間での粉末ラッカーの完全な硬化のために必要な温度より約10℃〜20℃低い。本発明による粉末ラッカーは、一般に過度の焼付の影響を受けない。
【0110】
本発明による粉末ラッカーは、コイルコーティングおよびコンテナコーティング(Container Coating)を含めた、なかでも自動車塗装、屋内領域および屋外領域における建築部材の塗装、家具、扉および窓の工業塗装において使用され、その際、これらの技術分野で通常のかつ公知の、金属、ガラスおよび/または木材からの全ての基材が考慮に入れられ、その際、導電性基材が有利である。
【0111】
殊に、金属性の基材、例えば鉄、鋼、Zn、Zn−合金、AlまたはAl−合金の表面が本発明による粉末ラッカーで被覆される。該表面は被覆されていなくてもよく、亜鉛、アルミニウムまたはその合金でコーティングされていてもよく、融解めっき、亜鉛めっき、蒸着亜鉛めっきまたはプライマーでプレコートされていてもよい。
【0112】
実施例
3:1の比で混合したブチル化されたおよびメチル化されたトリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジン250gを、N−メチルピロリドン(NMP)250ml中でヒドロキシエチルカルバメート273gと16時間のあいだ100℃および30mbarの圧力にて蒸留装置中で加熱することによって、カルバメート変性トリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジンを得た。
【0113】
溶剤を真空中で蒸留によって除去し、かつ生成物を水で洗浄した。
【0114】
この生成物(生成物1)のHPLC分析の結果、該生成物が2%未満の未反応のトリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジンを含有し、かつ1分子当たり平均して約2.5のカルバメート官能価(−OCONH)を含有していることが判明した。
【0115】
次いで、そのようにして得られた生成物(生成物1)を粉末ラッカー被覆材料中で使用した:
本発明による粉末ラッカー(例1)の焼付温度を20分の保留時間で変化させ、かつ比較としてカルバメート基含有トリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジンを含まない、エポキシド架橋剤を有するポリエステル粉末ラッカー系(比較例1)と比較した。
【0116】
得られた被覆の品質を評価するために、メチルエチルケトン(MEK)中に浸したクロスを用いて塗膜(Lack)の上を、これが最初の極微量の溶解を示すまで(MEK−試験)何回手でこすれるかを測定した。130℃の焼付温度の場合、約30回の往復移動(Doppelhueben)後に比較例が示したが、本発明によるラッカーに関しては、同じ焼付温度で100回を超える往復移動を行うことができた。
【0117】
それゆえ、例1に記載された本発明による粉末ラッカーは、すでにより低い焼付温度でも、ポリエステルベースの粉末ラッカー(比較例1)より高い耐溶剤性を示した。
【0118】
クロスカットのために塗膜を斜方形に切断し、かつ基材に対するラッカーの付着力を評価する(DIN 53151、データは評価記載される。小さい値は高い付着力を意味する)。この場合、比較例および本発明による被覆はほぼ同等であった。
【0119】
さらに、実施例の機械的特性をフィッシャースコープによってDIN 50359、DIN 55676、DIN EN ISO14577ならびにVDI/VDEガイドラインNo.2616に従い調査した。表面硬度(図1)、弾性ひずみエネルギー(図2)およびリフロー挙動(クリープ2、図3)を測定した。測定は、DIN 50133に記載されたビッカース硬度を測定するために、ダイヤモンドピラミッドが取り付けられたフィッシャースコープ H100C型の装置で実施した。表面硬度HUkは、表面での修正されたユニバーサル硬度である(試験体は、数マイクロメートルしか貫入しない)。データはN/mmで記載される。弾性ひずみエネルギー(W/Wtot、図3)は、%記載での弾性変形割合(hHU)であり、かつ弾性変形エネルギー(W)および全変形エネルギー(Wtot)からの商に相当する。形状補正は常に考慮される。リフロー挙動Cr 2は、%記載における負荷下でのクリープを表す。それは力の減少による一定の(所定の)最小試験力での材料挙動を表す。形状補正は常に考慮される(図1〜3を参照のこと)。本発明による例の場合、上記の全ての特性において、カルバメート基含有トリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジンを含まない比較例1と比べて改善が見いだされた。この効果は、殊に190℃より小さい焼付温度で生じる。
【0120】
さらに、もう一つ他の比較例(比較例2)を作り、その際、3:1の比で混合したブチル化されたおよびメチル化された非誘導トリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジン(生成物2)を使用した。本発明による粉末ラッカーの場合、類似した架橋温度にて改善された表面("ピンホール"またはブリスタリングなし)が見いだされる。
【0121】
本発明による、例1に記載されたカルバメート基含有粉末ラッカーは、それゆえカルバメート基を含まないトリス(アルコキシカルボニル)アミノトリアジンを有する比較に値する粉末ラッカーより良好な表面特性を示す。
【0122】
【表1】

[1]Crylcoat(R)1514−2(かつてCrylcoat(R)314)は、3mg KOH/gのOH価、68〜74m KOH/gの酸価および約55℃のガラス温度を有するCytec社(かつてUCB)のカルボキシル化ポリエステルバインダーであり、かつバインダーとして使用される。
[2]Hunstman社(かつてVantico)のAraldite(R)GT6063は、ビスフェノールAをベースとする700g/モルを下回る分子量を有する"2型"の固体のエポキシド樹脂であり、かつ架橋剤として作用する。ISO 3001に記載されたエポキシド価は1.37〜1.56eq/kgであり、ISO 3001に記載されたエポキシド当量は640〜730g/eqであり、ISO 12058−1に記載された粘度は350−500mPasであり、軟化点は90〜97℃である。
[3]皮膜形成添加剤BYK 365 Pは、約−40℃のガラス温度を有する、粘度130〜200mPasのポリブチルアクリレートである。
[4]ベンゾインは脱気剤として用いられる。
【図面の簡単な説明】
【0123】
【図1】表面硬度を示す図
【図2】弾性ひずみエネルギーを示す図
【図3】クリープ2(リフロー)を示す図
【符号の説明】
【0124】
× 本発明による例、 ○ 比較例

【特許請求の範囲】
【請求項1】
−少なくとも2のカルボキシル基官能価を有する、少なくとも1つのカルボキシル基含有ポリエステル(A)、
−少なくとも2個のエポキシ基を有する少なくとも1つの化合物(B)
−場合により、少なくとも2個のヒドロキシ基を有する少なくとも1つの化合物(C)ならびに
−カルバメート基を含有する少なくとも1つのトリカルバモイルトリアジン化合物(D)
を含有する粉末ラッカーであって、その際、トリカルバモイルトリアジン化合物(D)が少なくとも2.0〜2.95までのカルバメート官能価を有する、粉末ラッカー。
【請求項2】
カルボキシル基含有ポリエステル(A)が、
−2のヒドロキシ基官能価を有する少なくとも1つのジオール(A1)、
−場合により、2を上回るヒドロキシ基官能価を有する少なくとも1つのポリオール(A2)、
−2のカルボキシ基官能価を有する少なくとも1つのジカルボン酸(A3)、
−場合により、2を上回るカルボキシ基官能価を有する少なくとも1つのポリカルボン酸(A4)ならびに
−場合により、少なくとも1個のヒドロキシ基および/またはカルボキシ基と、ヒドロキシ基およびカルボキシ基とは異なる少なくとも1個の官能基を有する化合物(A5)
から構成されていることを特徴とする、請求項1記載の粉末ラッカー。
【請求項3】
カルボキシル基含有ポリエステルが少なくとも30℃のガラス転移温度を有することを特徴とする、請求項1または2記載の粉末ラッカー。
【請求項4】
カルボキシル基含有ポリエステルが、0より大きく250mgまでのKOH/gのDIN 53240、第2部に記載された酸価を有することを特徴とする、請求項1から3までのいずれか1項記載の粉末ラッカー。
【請求項5】
成分(B)が芳香族のまたは脂肪族のグリシジルエーテルであることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか1項記載の粉末ラッカー。
【請求項6】
成分(D)が、主に化合物(D1)
【化1】

と化合物(D2)
【化2】

[式中、R、R、RおよびRは、互いに無関係にC〜C18−アルキル、C〜C12−アリールまたはC〜C12−シクロアルキルを意味し、
、RおよびRは、付加的に水素を意味し、かつ
、YおよびYは、互いに無関係にC〜C20−アルキレン、C〜C12−シクロアルキレンまたは1個以上の酸素原子および/または硫黄原子および/または1個以上の置換または非置換イミノ基によっておよび/または1個以上のシクロアルキル−、−(CO)−、−O(CO)O−、−(NH)(CO)O−、−O(CO)(NH)−、−O(CO)−または−(CO)O−基によって中断されたC〜C20−アルキレンを意味し、その際、挙げられた基は、それぞれアリール、アルキル、アリールオキシ、アルキルオキシ、ヘテロ原子および/または複素環によって置換されていてよい]
の混合物からなることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか1項記載の粉末ラッカー。
【請求項7】
、RおよびRが水素であることを特徴とする、請求項6記載の粉末ラッカー。
【請求項8】
、YおよびYが1,2−エチレン、1,2−プロピレン、1,1−ジメチル−1,2−エチレン、1−ヒドロキシメチル−1,2−エチレン、2−ヒドロキシ−1,3−プロピレン、1,3−プロピレン、1,4−ブチレン、1,6−ヘキシレン、2−メチル−1,3−プロピレン、2−エチル−1,3−プロピレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレンおよび2,2−ジメチル−1,4−ブチレン、または
【化3】

または1,2−、1,3−または1,4−シクロヘキシレンであることを特徴とする、請求項6または7記載の粉末ラッカー。
【請求項9】
物体を被覆するための方法において、請求項1から9までのいずれか1項記載の粉末ラッカーを物体に塗布し、かつDIN 55990−4の記載により145℃を下回る目的物温度で20分の保留時間にわたり焼付することを特徴とする、物体を被覆するための方法。
【請求項10】
物体を被覆するための、請求項1から8までのいずれか1項記載の粉末ラッカーの使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2009−520851(P2009−520851A)
【公表日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546383(P2008−546383)
【出願日】平成18年12月13日(2006.12.13)
【国際出願番号】PCT/EP2006/069628
【国際公開番号】WO2007/074059
【国際公開日】平成19年7月5日(2007.7.5)
【出願人】(508020155)ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (2,842)
【氏名又は名称原語表記】BASF SE
【住所又は居所原語表記】D−67056 Ludwigshafen, Germany
【Fターム(参考)】