説明

カレンダーの製造方法及びその製造装置

【課題】吊下げ紐を備えたカレンダーを効率的に製造することのできるカレンダーの製造方法を提供する。
【解決手段】吊下げ紐18をカレンダー冊子13内に挟み込み、吊下げ紐18の両端部をカレンダー冊子13の外に出しておく。ついで、カレンダー冊子13の端部(綴じ枠を取り付けられる部分)にホットメルト樹脂などの接着剤21を塗布し、紐ハンドリングユニットで吊下げ紐18の端部を掴んで接着剤塗布箇所へ運び、吊下げ紐18の端部をカレンダー冊子13に接着させる。この後、綴じ枠をカレンダー冊子13に接着して綴じ枠でカレンダー冊子13の端部を綴じる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はカレンダーの製造方法及びその製造装置に関する。具体的には、吊下げ用の紐を備えたカレンダーを製造するための製造方法と製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
壁掛け用のカレンダーは、1年間の暦を1ヵ月単位又は2ヵ月単位で印刷された複数枚のカレンダー紙(すなわち、カレンダー冊子)を綴じ枠(ヘッダー)で綴じたものである。このようなカレンダーにおいては、カレンダーのリサイクルを容易にし、またカレンダーの分別回収の手間を省くため、最近では紙製の綴じ枠を用いたものが増加している。紙製の綴じ枠を用いたカレンダーでは、一般に、丸い吊下用孔が綴じ枠にあけられており、吊下用孔に釘などを通してカレンダーを吊り下げるようにしている。
【0003】
しかし、このような吊下用孔では釘などにカレンダーを吊り下げることはできても、幅の広い掛け具や異形の掛け具に吊り下げることができない。そのため、紙製の綴じ枠を用いたカレンダーにも、吊下げ用の紐(以下、吊下げ紐という。)を設けることが望まれる。そこで、本発明の出願人は、非金属製の綴じ枠、特に紙製の綴じ枠を用いたカレンダーに吊下げ紐を接着したものを実用新案登録出願している(実願2011−868)。
【0004】
一方、カレンダーの製造装置としては、特許文献1や特許文献2に開示されたものが知られている。これらは紙製の綴じ枠を用いたカレンダーの製造装置に関するものであるが、いずれの製造装置も吊下げ紐をカレンダーに取り付けられるようにはなっていない。従って、紐付きカレンダーを製造しようとすれば、特許文献3に開示されたような特殊な吊り具を用いて吊下げ紐をカレンダーに取り付けなければならず、コスト高になる。あるいは、手作業により綴じ枠の外面に吊下げ紐の両端を接着するしかない。そのため、いずれの方法においても紐付けの工程を自動化することができず、製造効率が劣る。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−318687号公報
【特許文献2】特許第3011097号公報
【特許文献3】実用新案登録第3163890号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような技術的課題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、吊下げ紐を備えたカレンダーを効率的に製造することのできるカレンダーの製造方法と製造装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載のカレンダーの製造方法は、カレンダー冊子の端部を綴じ枠によって綴じたカレンダーの製造方法であって、吊下げ用の紐の両端部が前記カレンダー冊子の外に出るようにして前記吊下げ用の紐を前記カレンダー冊子に挟み込む工程と、前記紐の両端部をそれぞれ前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着する工程と、前記綴じ枠を前記カレンダー冊子に接着して前記綴じ枠で前記カレンダー冊子の端部を綴じる工程とを備えたことを特徴としている。
【0008】
本発明の請求項1に記載の製造方法により製造されたカレンダーは、吊下げ紐の紐を備えているので、この紐を用いてカレンダーを吊り下げることができる。しかも、吊下げ用の紐はカレンダー冊子に挟み込まれているので、流通過程などで邪魔になることがなく、紐がカレンダー冊子や綴じ枠から外れにくい。また、紐をカレンダー冊子に挟み込む場合、紐の端をカレンダー冊子などに接着してからカレンダー紙を紐にくぐらせようとすると、カレンダー紙にしわをつける恐れがあり、また自動化も困難である。これに対し、本発明の方法によれば、吊下げ用の紐をカレンダー冊子に挟み込んだ後で、紐の両端部をカレンダー冊子又は綴じ枠に接着しているので、カレンダー紙にしわが寄りにくく、また容易に自動化することができる。
【0009】
本発明の請求項2に記載のカレンダーの製造装置は、カレンダー冊子の端部を綴じ枠で綴じてカレンダーを製造するための製造装置であって、吊下げ用の紐の両端部が前記カレンダー冊子の外に出るようにして前記紐を前記カレンダー冊子に挟み込む紐挟込み装置と、前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着剤を塗布し、前記紐の両端部をそれぞれ前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に運んで前記接着剤により接着させる紐接着装置と、前記綴じ枠を前記カレンダー冊子に接着して前記綴じ枠で前記カレンダー冊子の端部を綴じる綴じ枠取付け装置とを備えたものである。
【0010】
本発明の請求項2に記載の製造装置により製造されたカレンダーは、吊下げ紐の紐を備えているので、この紐を用いてカレンダーを吊り下げることができる。しかも、吊下げ用の紐はカレンダー冊子に挟み込まれているので、流通過程などで邪魔になることがなく、紐がカレンダー冊子や綴じ枠から外れにくい。また、本発明の製造装置によれば、吊下げ用の紐をカレンダー冊子に挟み込んだ後で、紐の両端部をカレンダー冊子又は綴じ枠に接着しているので、カレンダー紙にしわが寄りにくく、また容易に自動化することができ、吊下げ用の紐を備えたカレンダーを効率的に製造することができる。
【0011】
本発明の請求項3に記載の実施態様は、請求項2に記載されたカレンダーの製造装置において、前記紐挟込み装置により前記カレンダー冊子に挟み込まれた前記紐の両端部を吸着する吸着ベルトを備え、前記紐の両端部を吸着した前記吸着ベルトを走行させることによって前記紐を前記カレンダー冊子とともに前記紐挟込み装置から紐接着装置へ移動させるようにしたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、紐挟込み装置と紐接着装置とが異なる位置にあって紐挟込み装置から紐接着装置へカレンダー冊子と紐を移動させなければならない場合でも、カレンダー冊子に対する紐の位置(特に、紐の端部の位置)を所定位置に保つことができる。よって、紐接着装置において紐の端部を掴む場合に、センサなどで紐の端部の位置を検知する必要がなく、カレンダーの製造装置の構成を簡略にでき、コストを抑えることができる。
【0012】
本発明の請求項4に記載の実施態様は、請求項1又は2に記載されたカレンダーの製造装置において、前記紐挟込み装置が、前記カレンダー冊子を構成する複数枚のカレンダー紙のうち一部のカレンダー紙をめくり、また前記カレンダー冊子のめくられた箇所に前記紐が入れられるとめくっていた前記カレンダー紙を元に戻す紙めくりユニットと、所定長さの前記紐を、前記カレンダー冊子のめくられた箇所に入れる紐入れユニットと、ドラムに巻かれた長尺物の紐を所定長さにカットし、前記紐入れユニットに供給する紐供給ユニットとを備えたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、所定長さの紐をカレンダー冊子に挟み込む作業を自動化することができる。また、長尺物の紐を所定長さにカットして紐入れユニットに供給しているので、多数本の紐を連続供給することができ、紐の補充間隔を長くすることができる。
【0013】
本発明の請求項5に記載の実施態様は、請求項4に記載されたカレンダーの製造装置において、前記紐入れユニットが、前記カレンダー冊子の幅方向と平行に前記紐を入れて、前記紐の両端を前記カレンダー冊子の側端よりも外に突出させることを特徴としている。係る実施態様によれば、紐を真っ直ぐに伸ばしたままでカレンダー冊子に挟み込めばよいので、紐入れユニットの動作を簡略化できる。
【0014】
本発明の請求項6に記載の実施態様は、請求項4に記載されたカレンダーの製造装置において、前記紐供給ユニットが、前記ドラムに巻かれた前記紐の端を引き出してカットする前に、当該紐を弛ませるための機構を備えたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、紐の端を引き出す際の勢いが紐の弛みで吸収されるので、紐を引き出す勢いがドラムに直接に加わってドラムが慣性で回転するのを防ぐことができ、ドラムに巻かれた紐がほどけすぎてもつれるのを防ぐことができる。
【0015】
本発明の請求項7に記載の実施態様は、請求項4に記載されたカレンダーの製造装置において、前記紐接着装置が、前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に前記接着剤を塗布する接着剤塗布ユニットと、前記紐の端部を掴んで前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に運ぶとともに、当該紐の端部を前記カレンダー冊子の表面と垂直な軸の回りに回転させ、当該紐の端部を前記接着剤により前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着させる紐ハンドリングユニットとを備えたことを特徴としている。かかる実施態様によれば、カレンダー冊子に挟み込まれた紐の両端部をカレンダー冊子又は綴じ枠に接着する作業を自動化することができる。
【0016】
なお、本発明における前記課題を解決するための手段は、以上説明した構成要素を適宜組み合せた特徴を有するものであり、本発明はかかる構成要素の組合せによる多くのバリエーションを可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る紐付きカレンダーを示す概略図である。
【図2】図2は、図1のX−X線断面図である。
【図3】図3は、カレンダー製造装置を示す概略正面図である。
【図4】図4(A)及び図4(B)は、図3の製造装置により図1の紐付きカレンダーを製造する工程を示す一部破断した平面図である。
【図5】図5(A)、図5(B)及び図5(C)は、紐付きカレンダーの製造工程を示す一部破断した平面図であって、図4(B)に続く工程を示す。
【図6】図6(A)及び図6(B)は、紐付きカレンダーの製造工程を示す一部破断した平面図であって、図5(C)に続く工程を示す。
【図7】図7(A)及び図7(B)は、紐付きカレンダーの製造工程を示す一部破断した平面図であって、図6(B)に続く工程を示す。
【図8】図8(A)及び図8(B)は、紐付きカレンダーの製造工程を示す一部破断した平面図であって、図7(B)に続く工程を示す。
【図9】図9(A)は、図3に示した供給テーブル装置のテーブル面を示す平面図である。図9(B)は、カレンダー冊子を移動させるための移送チャックを示す正面図である。
【図10】図10(A)〜図10(F)は、前記移送チャックの動作説明図である。
【図11】図11は、パンチプレス装置に設けられたパンチングユニットを示す正面図である。
【図12】図12(A)及び図12(B)は、前記パンチングユニットの動作説明図である。
【図13】図13(A)及び図13(B)は、紐挟込み装置に設けられた紙めくりユニットとその動作を説明する側面図である。
【図14】図14は、紐挟込み装置に設けられた紐供給ユニット、紐入れユニット及び吸着ベルトを示す斜視図である。
【図15】図15は、前記紐供給ユニットによりドラムから吊下げ紐を引き出した状態を示す正面図である。
【図16】図16(A)、図16(B)及び図16(C)は、紐供給ユニットにより引き出した吊下げ紐をカットする工程を示す説明図である。
【図17】図17(A)及び図17(B)は、吊下げ紐を引き出す前に吊下げ紐を弛ませる工程を示す説明図である。
【図18】図18(A)、図18(B)及び図18(C)は、カット後に再び吊下げ紐を引き出す工程を示す説明図である。
【図19】図19(A)及び図19(B)は、カットした吊下げ紐を紐入れユニットによりカレンダー冊子に重ねて置き、吊下げ紐を吸着ベルトに吸着させる工程を示す説明図である。
【図20】図20(A)は、めくり上げていたカレンダー紙を元に戻した状態を示す説明図である。図20(B)は、紐入れユニットから吊下げ紐を解放して吸着ベルトに吸着させた状態を示す説明図である。
【図21】図21(A)は、図19(A)の平面図である。図21(B)は、図20(A)の平面図である。図21(C)は図20(B)の平面図である。図21(D)は、吊下げ紐を挟んだ状態で次工程へ送られるカレンダー冊子の平面図である。
【図22】図22は、カレンダー押え治具、接着剤塗布ユニット及び紐ハンドリングユニットを示す斜視図である。
【図23】図23(A)〜図23(D)は、前記紐ハンドリングユニットにより吊下げ紐を掴む動作を説明する概略図である。
【図24】図24(A)〜図24(D)は、前記紐ハンドリングユニットにより吊下げ紐の両端をカレンダー冊子に接着する動作を説明する概略図である。
【図25】図25(A)〜図25(E)は、綴じ枠供給装置において綴じ枠を作製する工程を説明する斜視図である。
【図26】図26(A)は、綴じ枠取付け装置の接着剤塗布ユニットによってカレンダー冊子に接着剤を塗布した状態を示す概略図である。図26(B)は、綴じ枠取付け装置の綴じ枠折り畳みユニットによって綴じ枠を2つに折り畳む動作を示す概略図である。
【図27】図27(A)、図27(B)及び図27(C)は、綴じ枠取付け装置により綴じ枠をカレンダー冊子に圧着させる工程を示す概略図である。
【図28】図28は、カレンダー冊子に挟まれた吊下げ紐をカレンダー冊子とともに移送する別な方法を説明する図である。
【図29】図29は、吊下げ紐の取り付け方法の他例を示す概略図である。
【図30】図30(A)〜図30(D)は、カレンダーの製造方法の他例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、添付図面を参照しながら本発明の一実施形態を説明する。但し、本発明は以下の実施形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々設計変更することができる。
【0019】
(カレンダーの構造)
まず、本発明に係るカレンダー製造装置により製造されるカレンダー11を説明する。図1は吊下げ紐を備えたカレンダー11の概略図であり、図2は図1のX−X線に沿った断面を示す。
【0020】
図1に示すカレンダー11は、複数枚のカレンダー紙12(表紙を含む。)を束ねてカレンダー冊子13を構成し、カレンダー冊子13の上端を紙製の綴じ枠14によって綴じたものである。表紙を除く各カレンダー紙12は、暦を印刷してあれば、どのような形態のものであってもよい。例えば、図1に示すカレンダー11では、装飾用の写真や図柄などを印刷するための装飾領域12aの下に2ヵ月単位で暦が印刷されている。各カレンダー紙12の上端部には、綴じ枠14の下縁に沿ってミシン目15が切り込まれており、カレンダー紙12を一枚ずつミシン目15から切り離せるようになっている。
【0021】
綴じ枠14は、図2に示すように二つ折りとなっていて、カレンダー冊子13の上端部を挟んでいる。カレンダー冊子13(すなわち、各カレンダー紙12)の上端部には、その幅方向に沿って複数個の接着剤注入孔19が開口されており、接着剤注入孔19に充填させたホットメルト樹脂等の接着剤20によって綴じ枠14の前面側の片(以下、前片という。)14aと背面側の片(以下、背片という。)14bとが接着され、同時にカレンダー冊子13が綴じ枠14に接着され保持されている。また、綴じ枠14の中央には、カレンダー11を釘やフックなどに引っ掛けるための吊下用孔16があいている。綴じ枠14の前片14aには、その強度を高めて綴じ枠14が折れ曲がりにくくするためのリブ17を設けている。
【0022】
吊下げ紐18は、カレンダー紙12とカレンダー紙12の間に挟み込まれており、ホットメルト樹脂などの接着剤によって両端部をカレンダー冊子13及び綴じ枠14に接着されている。吊下げ紐18は、断面が円形のものであってもよいが、少なくとも端部の断面が扁平なものを用いることが好ましい。吊下げ紐18の断面が扁平なものを用いれば吊下げ紐18とカレンダー冊子13又は綴じ枠14との接着面積を大きくでき、吊下げ紐18の取付け強度を高くできる。
【0023】
また、吊下げ紐18は、繊維系の紐、紙製の紐、ナイロン紐などを用いることができるが、ある程度腰(弾力性)のあるものが望ましい。図示例では、糸を編んだ編紐で全体が扁平な断面を有するものを用いている。
【0024】
このようなカレンダー11によれば、吊下用孔16に釘やフックを通すことによりカレンダー11を釘やフックに吊り下げることができる。また、吊下げ紐18はカレンダー紙12とカレンダー紙12の間に挟み込まれているが、吊下げ紐18にカレンダー紙12をくぐらせて吊下げ紐18を外に出せば、吊下げ紐18によってカレンダー11を吊り下げることができる。
【0025】
また、このカレンダー11では、吊下げ紐18がカレンダー冊子13の内側に挟み込まれているので、流通過程においてカレンダー11を取り扱う場合などに吊下げ紐18が手に引っ掛かることがなく、カレンダー11の取扱いが容易になる。
【0026】
また、カレンダー業界の形態としては、カレンダー製造業者からカレンダー代理店へカレンダーを卸し、カレンダー代理店では、顧客からの注文に応じてカレンダーに顧客名や商品広告などを印刷することがある。このとき、カレンダー代理店では、製本済みの完成されたカレンダーを印刷機にセットして印刷を行うので、カレンダーに吊下げ紐がついていると吊下げ紐が印刷工程において邪魔になる。たとえば、吊下げ紐が作業者などに引っ掛かってカレンダーから外れたり、印刷機に絡まったりする恐れがある。このような場合にも、図1のように吊下げ紐18をカレンダー冊子13に挟み込んでおけば、カレンダー代理店あるいはそれ以外のところでも、吊下げ紐18が邪魔になることがなくなり、カレンダー11の取扱いが容易になる。
【0027】
(カレンダー製造装置の概略)
図3は、上記のようなカレンダー11を製造するためのカレンダー製造装置31の概略正面図である。カレンダー製造装置31は、供給テーブル装置32、パンチプレス装置33、紐挟込み装置34、紐接着装置35、綴じ枠供給装置36、綴じ枠取付け装置37、孔明け装置38及び搬出テーブル装置39によって構成されている。まず、このカレンダー製造装置31によって紐付きのカレンダー11を作製する各工程を図4〜図8に従って簡単に説明する。なお、各工程を実施するためのパンチプレス装置33、紐挟込み装置34などの具体的な構成は、後述する。
【0028】
供給テーブル装置32には、カレンダー冊子13(綴じる前の複数枚のカレンダー紙12)が1冊ずつ供給される。供給テーブル装置32に供給されたカレンダー冊子13は、図4(A)に示すように揃えられて所定位置に位置決めされる。ついで、カレンダー冊子13は、パンチプレス装置33へ送られ、パンチプレス装置33によってカレンダー冊子13の端部に図4(B)に示すようなミシン目15と接着剤注入孔19を形成される。
【0029】
カレンダー冊子13は、さらに紐挟込み装置34へ送られ、図5(A)に示すように、一枚目のカレンダー紙12の端部を上方へめくり上げられる。ついで、図5(B)に示すように、2枚目のカレンダー紙12の上に一定の長さにカットした吊下げ紐18を重ねて置かれる。このとき、吊下げ紐18はカレンダー冊子13の幅よりも十分に長くカットされており、カレンダー冊子13の幅方向と平行な方向に沿って真っ直ぐに置かれる。そして、めくり上げていたカレンダー紙12を元に戻し、図5(C)に示すように、1枚目のカレンダー紙12と2枚目のカレンダー紙12の間に吊下げ紐18を挟み込む。
【0030】
カレンダー冊子13と吊下げ紐18は、さらに紐接着装置35へ送られ、図6(A)に示すように、接着剤注入孔19を避けてカレンダー冊子13の端部にホットメルト樹脂などの接着剤21を塗布される。ついで、図6(B)に示すように、吊下げ紐18の端部を掴んで接着剤21の位置まで運び、カレンダー冊子13の端部に接着させる。
【0031】
カレンダー冊子13が綴じ枠供給装置36へ送られると、綴じ枠供給装置36は板紙に型を付けて綴じ枠14を作製し、図7(A)に示すようにカレンダー冊子13の下に綴じ枠14の背片14bを挿入する。ついで、図7(B)に示すように、接着剤注入孔19と吊下げ紐18の端部の上にホットメルト樹脂などの接着剤20が塗布される。カレンダー冊子13と綴じ枠14は、そのままの状態で綴じ枠取付け装置37へ送られる。
【0032】
カレンダー冊子13と綴じ枠14が綴じ枠取付け装置37へ送られると、図8(A)に示すように綴じ枠14が二つ折りに折り曲げられ、接着剤20を硬化させることによって前片14aがカレンダー冊子13と吊下げ紐18の端部に接着される。同時に、接着剤注入孔19を通ってカレンダー冊子13の裏面側へ流れた接着剤20によって背片14bもカレンダー冊子13に接着される。
【0033】
カレンダー冊子13が孔明け装置38へ送られると、孔明け装置38によって綴じ枠14及びカレンダー冊子13の端部に図8(B)のような吊下用孔16が明けられる。こうして製造されたカレンダー11は搬出テーブル装置39へ送られ、手作業により、あるいは自動的にカレンダー製造装置31から搬出される。
【0034】
(供給テーブル装置)
つぎに、上記のような工程を実施するためにカレンダー製造装置31がどのように構成されているかを、供給テーブル装置32から順次具体的に説明する。図9(A)は、供給テーブル装置32の平面図を表している。供給テーブル装置32のテーブル面41には、縦位置定規42と横位置定規43が設けられている。1冊のカレンダー冊子13をテーブル面41に置き、縁を縦位置定規42と横位置定規43に当てると、カレンダー冊子13が揃えて位置決めされる(図4(A)の状態)。縦位置定規42は前後に位置調整でき、横位置定規43は左右に位置調整できるようになっており、カレンダー冊子13のサイズに応じて調整される。なお、カレンダー冊子13は、人手によって供給テーブル装置32に供給してもよく、コンベアなどによって自動的に送り込んでもよい。
【0035】
図9(A)に示すように、供給テーブル装置32とパンチプレス装置33の間では、各テーブル面41に設けた溝46内に移送用クランパ44aが納められている。移送用クランパ44aは、図9(B)に示すように、開閉可能となった上下一対のクランプ爪45a、45bを有しており、クランプ爪45a、45bを閉じることでカレンダー冊子13を掴むことができる。移送用クランパ44aは、エアー圧によって駆動されており、溝46に沿って水平に移動することができ、また、クランプ爪45aがテーブル面41から上に出た状態まで上昇したり、全体が溝46内に隠れた状態まで下降したりできる。
【0036】
図10(A)〜図10(F)は、供給テーブル装置32のテーブル面41に置かれたカレンダー冊子13が移送用クランパ44aによりパンチプレス装置33へ運ばれる様子を説明している。図10(A)は、供給テーブル装置32に供給されたカレンダー冊子13が縦位置定規42及び横位置定規43で位置決めされた状態を表している。供給テーブル装置32にカレンダー冊子13が供給されると、移送用クランパ44aはクランプ爪45a、45bを開いてカレンダー冊子13を掴みに行き、図10(B)に示すように、クランプ爪45a、45bを閉じて2つの移送用クランパ44aでカレンダー冊子13の縁を掴む。ついで、図10(C)のように移送用クランパ44aがパンチプレス装置33の方向へ向けて平行移動し、図10(D)に示すように、カレンダー冊子13をパンチプレス装置33の所定位置へ運ぶ。カレンダー冊子13を所定位置まで運んだら、図10(E)に示すように、移送用クランパ44aはクランプ爪45a、45bを開いてカレンダー冊子13を解放する。ついで、移送用クランパ44aは、図10(F)に示すように下降してテーブル面41よりも下がり、溝46内を通って供給テーブル装置32へ戻る。そして、再びテーブル面41の上へ突出して図10(A)のように供給テーブル装置32のカレンダー冊子13を掴みに行く。移送用クランパ44aは、このようにして周期的に供給テーブル装置32のカレンダー冊子13をパンチプレス装置33へ移送する。
【0037】
なお、パンチプレス装置33と紐挟込み装置34の間、紐挟込み装置34と紐接着装置35の間、紐接着装置35と綴じ枠供給装置36の間、綴じ枠供給装置36と綴じ枠取付け装置37の間、綴じ枠取付け装置37と孔明け装置38の間の各区間にも、それぞれ移送用クランパ44aと同様な移送用クランパ44b〜44fが設けられている。そして、各移送用クランパ44b〜44fは、供給テーブル装置32とパンチプレス装置33間の移送用クランパ44aと同期して、パンチプレス装置33から紐挟込み装置34へ、紐挟込み装置34から紐接着装置35へ、紐接着装置35から綴じ枠供給装置36へ、また、綴じ枠供給装置36から孔明け装置38へそれぞれカレンダー冊子13を移送する。
【0038】
(パンチプレス装置)
供給テーブル装置32からパンチプレス装置33へ移送されたカレンダー冊子13は、パンチプレス装置33において図4(B)のようにミシン目15と接着剤注入孔19を明けられる。パンチプレス装置33は、図11に示すようなパンチングユニット51を備えている。図11に示すように、パンチングユニット51は支持部52によって昇降自在に支持されており、パンチングユニット51の前面にはミシン目カッター53が固定されている。また、パンチングユニット51の下面には孔明け治具54が設けられている。パンチングユニット51は、モーターを動力とするクランク機構(いずれも図示せず。)によって昇降する。
【0039】
しかして、供給テーブル装置32からパンチプレス装置33へカレンダー冊子13が移送されると、図12(A)のようにパンチングユニット51が下降し、図12(B)のようにミシン目カッター53がカレンダー冊子13を貫通してミシン目15が形成される。同時に、孔明け治具54でカレンダー冊子13が打ち抜かれ、カレンダー冊子13に接着剤注入孔19が開口される。カレンダー冊子13にミシン目15及び接着剤注入孔19が加工されると、カレンダー冊子13は移送用クランパ44bによって紐挟込み装置34へ移送される。
【0040】
(紐挟込み装置)
パンチプレス装置33から紐挟込み装置34へ移送されたカレンダー冊子13は、紐挟込み装置34においてカレンダー冊子13内に吊下げ紐18を挟みこまれる。そのための手段として紐挟込み装置34は、図13(A)及び図13(B)に示すような紙めくりユニット61及び冊子押えバー66と、図14に示すような紐供給ユニット71、紐入れユニット91及び吸着ベルト98とを備える。
【0041】
図13(A)及び図13(B)に示す紙めくりユニット61は、アーム62の先端に吸着パッド63を備えており、アーム62の基端部は軸64によって回動自在に支持されている。また、吸着パッド63には吸着パッド63内を負圧にしてカレンダー紙12を吸着させるためのエアホース65が接続されている。冊子押えバー66は、カレンダー冊子13の幅方向と平行な方向に長くなっている。
【0042】
しかして、カレンダー冊子13が紐挟込み装置34へ移送されると、冊子押えバー66が下降してカレンダー冊子13を押さえ、カレンダー冊子13を固定する。ついで、図13(A)に示すように、アーム62が下方へ回動して吸着パッド63が下降し、吸着パッド63がカレンダー冊子13の表面に密着して1枚目のカレンダー紙12を吸着する。ついで、図13(B)に示すようにアーム62が上方へ回動し、吸着パッド63に吸着された1枚目のカレンダー紙12だけがめくり上げられる(図5(A)参照)。
【0043】
図14は、紐供給ユニット71及び紐入れユニット91を示す斜視図である。紐供給ユニット71では、ドラム72に長尺の吊下げ紐18が巻き付けられている。また、エアシリンダ75のロッド下端に設けた昇降リング74にはワイヤ76を固定してあり、ワイヤ76の両端には筒状のスリーブ77を設けている。ドラム72から引き出された吊下げ紐18は、固定リング73を通過して昇降リング74と2つのスリーブ77に通されており、さらに固定リング78、79及びプーリ80、81を経由して水平に引き出されている。
【0044】
ドラム72とプーリ81には、吊下げ紐18を引き出すときにドラム72が慣性で回るのを防ぐためにそれぞれバネブレーキを設けている。また、プーリ81にはニップローラ84を接触させてあり、吊下げ紐18はプーリ81とニップローラ84の間に挟まれている。
【0045】
プーリ81の近傍には、吊下げ紐18を掴むためのクリッパー85と、吊下げ紐18を切断するための鋏型のカッター83を設けている。カッター83としては、ナイフ型のものを用いることもできるが、鋏型のカッター83が好ましい。鋏型のカッター83を用いれば、吊下げ紐18にテンションを掛けることなく切断できるので、ドラム72から吊下げ紐18を不用意に引き出すのを防ぐことができる。また、紐供給ユニット71は、ランナー82を有している。ランナー82は、前方(図15の紙面前方)から吊下げ紐18を掴むことができ、水平に走行するとともに前後方向にも移動可能となっている。
【0046】
吸着ベルト98は紐挟込み装置34及び紐接着装置35のテーブル面41に設けられている。吸着ベルト98には多数の吸引孔99が一列に開口されており、吸引孔99を介して吸着ベルト98の下面側から吸引することにより、吸着ベルト98の上に置かれた吊下げ紐18を吸着することができる。また、吸着ベルト98は紐挟込み装置34から紐接着装置35へ向けてエンドレスに移動することができる。
【0047】
紐入れユニット91は、左右にそれぞれ紐保持部92と紐受け板93を有している。ゴム製の紐保持部92と薄板状をした紐受け板93は、後方から吊下げ紐18の端部を挟んで保持できるようになっている。また、紐入れユニット91は、吸着ベルト98の上面に吸着された吊下げ紐18を押さえるための紐押え94、95を紐保持部92の両側に有している。紐入れユニット91の全体は昇降可能で前後方向に移動可能となっており、また紐保持部92、紐押え94、95は上下方向及び前後方向に移動でき、紐受け板93も前後方向に移動できる。
【0048】
移送用クランパ44bによって紐挟込み装置34にカレンダー冊子13が移送されると、カレンダー冊子13は図15〜図21に示すようにして吊下げ紐18を挟みこまれる。図15は、ランナー82で吊下げ紐18の端部を掴み、ランナー82を所定距離走行させて吊下げ紐18を水平に引き出した状態を表している。引き出された直後、吊下げ紐18はクリッパー85によって掴まれる。このとき紐入れユニット91は水平に引き出された吊下げ紐18の後方に引っ込んでいる。
【0049】
ついで、紐入れユニット91が前方へ移動し、図16(A)に示すように紐保持部92と紐受け板93の間に吊下げ紐18を挟みこんで保持する。そして、図16(B)に示すように、カッター83が吊下げ紐18を所定位置で所定長さにカットする。カットされた吊下げ紐18は、両端部をそれぞれ紐保持部92と紐受け板93によって保持されている。また、ドラム72から引き出されている吊下げ紐18の端は、クリッパー85によって保持されている。吊下げ紐18がカットされると、図16(C)に示すように、ランナー82が開いて吊下げ紐18を解放する。
【0050】
吊下げ紐18がカットされると、図19(A)に示すように、カットされた吊下げ紐18の両端を掴んでいる紐入れユニット91は、吸着ベルト98の上へ下降し、図21(A)及び図5(B)に示すように吊下げ紐18を2枚目のカレンダー紙12の上に重ねる。また、吊下げ紐18の両端部は、それぞれ紐保持部92及び紐受け板93によって吸着ベルト98の上に置かれる。
【0051】
つぎに、図19(B)に示すように、紐押え94及び95によって吊下げ紐18が吸着ベルト98に押し付けられる。紐受け板93が後方へ引っ込んで吊下げ紐18の下面から抜けると、吊下げ紐18の両端部が紐保持部92によって吸着ベルト98に押し付けられる。こうして吊下げ紐18の両端部は紐保持部92、紐押え94、95で押さえられるとともに吸引孔99から吸引されて吸着ベルト98に吸着される。そして、吸着パッド63が下降して1枚目のカレンダー紙12を吊下げ紐18の上に重ね、吸着パッド63がカレンダー紙12を解放して再び上方へ戻る。このときの状態を図20(A)及び図21(B)に示す。
【0052】
こうして吊下げ紐18の両端部が吸着ベルト98に吸着されてまっすぐに延びた状態で保持されると、図20(B)に示すように、紐保持部92及び紐押え94、95は吊下げ紐18から離れて後方へ下がる(図5(C)の状態)。ついで、移送用クランパ44cがカレンダー冊子13を掴んで紐接着装置35へ移送する。このとき、吸着ベルト98も移送用クランパ44cと同期して紐接着装置35側へ走行するので、カレンダー冊子13と吊下げ紐18は、図21(C)及び図21(D)に示すように、吊下げ紐18がカレンダー冊子13に挟まれて吊下げ紐18の両端部が真っ直ぐに保持された状態で紐接着装置35へ運ばれる。
【0053】
一方、吊下げ紐18がカットされると、図17(A)のようにエアシリンダ75で昇降リング74及びスリーブ77が引き上げられ、ただちに図17(B)のように昇降リング74及びスリーブ77が元の高さまで下降させられる。吊下げ紐18の端はランナー82によって掴まれているので、図17(A)のように昇降リング74及びスリーブ77が引き上げられると、ドラム72が回転してドラム72に巻かれていた吊下げ紐18が一定の長さだけ引き出される。ついで、図17(B)のように昇降リング74及びスリーブ77が元の高さまで下がると、固定リング73とスリーブ77の中間やスリーブ77と固定リング78の中間で吊下げ紐18が垂れ下がる。
【0054】
ついで、図18(A)に示すように、カットされた吊下げ紐18が紐入れユニット91によって吸着ベルト98へ運ばれると、図18(B)に示すようにランナー82が水平に走行してクリッパー85とカッター83の間まで戻って吊下げ紐18を掴む。クリッパー85が開いて吊下げ紐18を開放すると、吊下げ紐18の端を掴んだランナー82が、図18(C)に示すように水平に移動して吊下げ紐18を水平方向へ引き出し、図15に示した状態に戻る。なお、図18(A)のようにスリーブ77を引き上げる高さを、ランナー82の水平移動距離の1/2程度となるように調整しておけば、ランナー82で吊下げ紐18を引き出すことによって吊下げ紐18の弛み分だけが引き出される。
【0055】
紐接着装置35は、図22に示すようなカレンダー押え治具101、接着剤塗布ユニット102、紐ハンドリングユニット103をそれぞれ左右に備えている。カレンダー押え治具101は、押え板104の先端部から端部押え105を延出させたものであって、端部押え105の先端部は下方へ向けて傾斜している。カレンダー押え治具101は昇降可能となっている。接着剤塗布ユニット102からは、ホットメルト樹脂などの接着剤21が吐出される。
【0056】
紐ハンドリングユニット103は、複数本の爪107を有する一対の可動爪部108をユニット本体106の下面に有している。一対の可動爪部108は、ユニット本体106の下面で動くようになっており、互いに接近して吊下げ紐18を挟んだり、離間したりできる。また、ユニット本体106には、可動爪部108の近傍で吊下げ紐18を押さえるための紐押え109と、可動爪部108で掴まれた吊下げ紐18を押さえるための紐押え110が設けられている。紐ハンドリングユニット103は、図3に示すように駆動部111から垂下されており、駆動部111によって昇降、水平面内での移動、水平面内での回転が可能となっている。
【0057】
紐ハンドリングユニット103は、図23(A)及び図23(B)に示すように、可動爪部108を開いた状態で吸着ベルト98の上に下降し、図23(C)のように一対の可動爪部108どうしを接近させて吊下げ紐18を挟み、図23(D)のように吊下げ紐18を摘み上げる。吊下げ紐18は、吸着ベルト98に吸着されて運ばれ、カレンダー冊子13に対して一定の位置を保っているので、センサなどによって吊下げ紐18の端部の位置を検知しなくても紐ハンドリングユニット103で吊下げ紐18の端部を掴むことができる。そのため、紐接着装置35の構造を簡略化することができ、コストも安価にできる。
【0058】
しかして、紐接着装置35にカレンダー冊子13が移送されると、図24(A)に示すように、一対の押え板104が下降してカレンダー冊子13を押さえて固定する。また、カレンダー冊子13の端が浮き上がらないように端部押え105の先端がカレンダー冊子13の端を押さえる。そして、接着剤塗布ユニット102からホットメルト樹脂などの接着剤21を吐出してカレンダー冊子13の紐接着箇所に接着剤21と塗布する(図6(A)の状態)。
【0059】
ついで、図24(B)に示すように、吸着ベルト98の上へ紐ハンドリングユニット103を下降させて可動爪部108で吊下げ紐18の端部を挟んで持ち上げる。そして、紐ハンドリングユニット103を回転させながら吊下げ紐18の端を接着剤21の塗布位置へ運び、紐ハンドリングユニット103を下降させて図24(C)のように接着剤21により吊下げ紐18をカレンダー冊子13に接着させる。吊下げ紐18の接着が完了したら、紐ハンドリングユニット103やカレンダー押え治具101は元の位置へ戻る。
【0060】
こうして吊下げ紐18の両端を接着されたカレンダー冊子13(図6(B)参照)は、図24(D)に示すように移送用クランパ44dによって綴じ枠供給装置36へ運ばれる。
【0061】
(綴じ枠供給装置)
図25(A)〜図25(E)は、綴じ枠供給装置36の構成を示す概略斜視図である。綴じ枠供給装置36には、図25(A)に示すように複数枚の板紙121がストックされており、ストック位置からは板紙121が一枚ずつ送り出される。ストック位置から送り出された板紙121は、図25(B)に示すように、賦形ローラ122と賦形ローラ123の間を通過して形付けられ、綴じ枠14が作製される。すなわち、賦形ローラ122の外周面には凸リング124a、124bが設けられており、賦形ローラ123には賦形ローラ122の凸リング124a、124bに対応して凹リングが形成されている。そして、板紙121は、賦形ローラ122の凸リング124aと対応する賦形ローラ123の凹リングで挟まれることにより、図25(C)に示すように、綴じ枠14を前片14aと背片14bとの間で折り曲げるための折り曲げ部125が形成される。同時に、板紙121は、賦形ローラ122の凸リング124bと対応する賦形ローラ123の凹リングで挟まれることにより、リブ17が形成される。ついで綴じ枠14は、図25(D)に示すように折り曲げ部125をブレード126で押さえて曲げられ、図25(E)のように略直角に曲げられる。
【0062】
さらに、綴じ枠供給装置36は、図26(A)に示すように、接着剤塗布ユニット131と綴じ枠折り畳みユニット132を備えている。
【0063】
しかして、移送用クランパ44dによって綴じ枠供給装置36へ移送されたカレンダー冊子13は、上記のようにして作製された綴じ枠14の背片14bを端部下面へ差し込まれる(図7(A)参照)。接着剤塗布ユニット131は、図26(A)及び図7(B)に示すようにカレンダー冊子13の接着剤注入孔19に沿ってホットメルト樹脂などの接着剤20を塗布するとともに、吊下げ紐18の端部にも接着剤20を塗布する。ついで、綴じ枠折り畳みユニット132が突き出され、図26(B)に示すように、綴じ枠14の前片14aがカレンダー冊子13の上に折り曲げられる。
【0064】
こうして綴じ枠14を仮止めされたカレンダー冊子13は、移送用クランパ44eによって綴じ枠取付け装置37へ運ばれる。
【0065】
(綴じ枠取付け装置)
綴じ枠取付け装置37は、図27(A)に示すような上下一対の加圧ローラ134、135によって構成されている。紐供給装置134、135は、いずれも複数のローラ136にベルト137を掛け回したものであり、紐供給装置134、135間には綴じ枠14を仮止めされたカレンダー冊子13が通過する隙間が形成されている。また、上側の加圧ローラ134は昇降可能となっている。
【0066】
しかして、移送用クランパ44eによって綴じ枠14仮止めされたカレンダー冊子13が綴じ枠取付け装置37へ移送されると、上昇していた加圧ローラ134が下降し、図27(B)のように加圧ローラ134と加圧ローラ135の間にカレンダー冊子13の綴じ枠14を仮止めされた部分を挟み込み、接着剤20によって綴じ枠14をカレンダー冊子13の端部に加熱圧着させる。
【0067】
こうして、カレンダー冊子13の端部には、図8(A)のように綴じ枠14が取り付けられる。カレンダー冊子13の端部に綴じ枠14が取り付くと、図27(C)のように加圧ローラ134、135のベルト137が回転して綴じ枠14を押圧しながらカレンダー冊子13を孔明け装置38へ送り出し、さらに移送用クランパ44fがカレンダー冊子13を孔明け装置38へ運ぶ。
【0068】
(孔明け装置)
孔明け装置38は、図3に示すように、孔明けパンチ141を備えている。そして、移送用クランパ44fによって孔明け装置38へ運ばれたカレンダー11は、孔明けパンチ141によって図8(B)のように綴じ枠14とカレンダー冊子13の端部に吊下用孔16を穿孔される。こうして製造されたカレンダー11は、コンベアなどによって搬出テーブル装置39へ送られる。
【0069】
(その他の変形例)
以上説明したカレンダー製造装置は、適宜設計変更することも可能である。たとえば、紐挟込み装置34から紐接着装置35へカレンダー冊子13と吊下げ紐18を送るとき、吸着ベルト98を用いない方法も可能である。すなわち、図27に示すように、カレンダー冊子13に挟まれた吊下げ紐18の全長にわたり、吊下げ紐18の下方を金属製の支持板151で支持し、吊下げ紐18を上方から保持バー152で押さえ、支持板151と保持バー152で吊下げ紐18を保持したままでカレンダー冊子13とともに紐接着装置35へ運んでもよい。
【0070】
また、図28に示すように、吊下げ紐18の端部をカレンダー冊子13の裏面と綴じ枠14の背片14bとの間に接着してもよい。さらに、吊下げ紐18の端部はカレンダー冊子13の幅方向と平行に接着する必要はなく、図28に示すように傾いていてもよい。
【0071】
また、図29(A)〜図29(D)は、カレンダー11の異なる製造方法を示す。この方法では、図29(A)に示すように綴じ枠14の背片14bに接着剤注入孔19に嵌り込むように複数個の突起161を設けている。突起161は、背片14bの内面に樹脂や接着剤を付着させて形成してもよく、綴じ枠14自体にプレスなどで加工していてもよい。そして、図29(B)に示すように、吊下げ紐18を挟み込まれたカレンダー冊子13の背面から接着剤注入孔19に突起161を嵌合させてカレンダー冊子13に綴じ枠14を仮止めする。ついで、接着剤塗布ユニット102によって前片14aに接着剤21を塗布する。この後、図29(C)に示すように、紐ハンドリングユニット103によって吊下げ紐18の端部を掴み、吊下げ紐18の端部を接着剤21によって前片14aの内面に接着する。そして、接着剤注入孔19の部分と吊下げ紐18の端部に接着剤20を塗布し、綴じ枠14を2つに折って前片14a及び背片14bをカレンダー冊子13に接着させる。
【符号の説明】
【0072】
11…カレンダー
13…カレンダー冊子
14…綴じ枠
16…吊下用孔
18…吊下げ紐
19…接着剤注入孔
20…接着剤
21…接着剤
31…カレンダー製造装置
32…供給テーブル装置
33…パンチプレス装置
34…紐挟込み装置
35…紐接着装置
36…綴じ枠供給装置
37…綴じ枠取付け装置
38…孔明け装置
39…搬出テーブル装置
44a〜44f…移送用クランパ
53…ミシン目カッター
54…孔明け治具
61…紙めくりユニット
71…紐供給ユニット
82…ランナー
83…カッター
91…紐入れユニット
98…吸着ベルト
101…カレンダー押え治具
102…接着剤塗布ユニット
103…紐ハンドリングユニット
108…可動爪部
109、110…紐押え
122、123…賦形ローラ
131…接着剤塗布ユニット
132…綴じ枠折り畳みユニット
141…孔明けパンチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カレンダー冊子の端部を綴じ枠によって綴じたカレンダーの製造方法であって、
吊下げ用の紐の両端部が前記カレンダー冊子の外に出るようにして前記吊下げ用の紐を前記カレンダー冊子に挟み込む工程と、
前記紐の両端部をそれぞれ前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着する工程と、
前記綴じ枠を前記カレンダー冊子に接着して前記綴じ枠で前記カレンダー冊子の端部を綴じる工程と、
を備えたカレンダーの製造方法。
【請求項2】
カレンダー冊子の端部を綴じ枠で綴じてカレンダーを製造するための製造装置であって、
吊下げ用の紐の両端部が前記カレンダー冊子の外に出るようにして前記紐を前記カレンダー冊子に挟み込む紐挟込み装置と、
前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着剤を塗布し、前記紐の両端部をそれぞれ前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に運んで前記接着剤により接着させる紐接着装置と、
前記綴じ枠を前記カレンダー冊子に接着して前記綴じ枠で前記カレンダー冊子の端部を綴じる綴じ枠取付け装置と、
を備えたカレンダーの製造装置。
【請求項3】
前記紐挟込み装置により前記カレンダー冊子に挟み込まれた前記紐の両端部を吸着する吸着ベルトを備え、
前記紐の両端部を吸着した前記吸着ベルトを走行させることによって前記紐を前記カレンダー冊子とともに前記紐挟込み装置から紐接着装置へ移動させるようにしたことを特徴とする、請求項2に記載したカレンダーの製造装置。
【請求項4】
前記紐挟込み装置は、
前記カレンダー冊子を構成する複数枚のカレンダー紙のうち一部のカレンダー紙をめくり、また前記カレンダー冊子のめくられた箇所に前記紐が入れられるとめくっていた前記カレンダー紙を元に戻す紙めくりユニットと、
所定長さの前記紐を、前記カレンダー冊子のめくられた箇所に入れる紐入れユニットと、
ドラムに巻かれた長尺物の紐を所定長さにカットし、前記紐入れユニットに供給する紐供給ユニットと、
を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したカレンダーの製造装置。
【請求項5】
前記紐入れユニットは、前記カレンダー冊子の幅方向と平行に前記紐を入れて、前記紐の両端を前記カレンダー冊子の側端よりも外に突出させることを特徴とする、請求項4に記載したカレンダーの製造装置。
【請求項6】
前記紐供給ユニットは、前記ドラムに巻かれた前記紐の端を引き出してカットする前に、当該紐を弛ませるための機構を備えていることを特徴とする、請求項4に記載したカレンダーの製造装置。
【請求項7】
前記紐接着装置は、
前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に前記接着剤を塗布する接着剤塗布ユニットと、
前記紐の端部を掴んで前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に運ぶとともに、当該紐の端部を前記カレンダー冊子の表面と垂直な軸の回りに回転させ、当該紐の端部を前記接着剤により前記カレンダー冊子の端部又は前記綴じ枠の内面に接着させる紐ハンドリングユニットと、
を備えていることを特徴とする、請求項1又は2に記載したカレンダーの製造装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【公開番号】特開2013−91197(P2013−91197A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233574(P2011−233574)
【出願日】平成23年10月25日(2011.10.25)
【出願人】(502371613)株式会社 杉本カレンダー (3)
【出願人】(393027246)株式会社共同精機 (5)