カンチレバーアレイのための、独立してアドレス可能な自己修正インク付け方法
堆積において使用するためのパターニング組成物またはインクを、チップおよび他の表面に負荷する改良法を提供する。(i)少なくとも1つのチップアレイを提供する工程;(ii)複数のパターニング組成物を提供する工程;(iii)パターニング組成物の少なくともいくらかをチップのいくつか上にインクジェットプリントする工程;および(iv)パターニング組成物の少なくともいくらかを基材表面上に堆積させる工程を含み、前記インクジェットプリントが、チップ上のパターニング組成物の実質的な交差汚染が阻止されるように適合される、パターニング方法を記載する。良好なプリンティングの再現性およびプリンティング速度の制御を達成することができる。インクジェットプリントに供せられる表面は、チップ上でのインクの局在化が促進されるように処理することができる。この方法は高密度アレイに関し特に重要である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年5月21日に出願された米国特許仮出願第61/055,028号;2008年4月24日に出願された同第61/047,630号;および2007年8月8日に出願された同第60/954,732号に対して優先権を主張し、これらの開示内容全体は、参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府補助金の表示
本明細書で記載した態様は、下記助成金の下で開発された:空軍科学研究局助成金第FA9550-08-1-0124および国立科学財団(NSF)、助成金番号EEC-0647560。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
引用した参考文献は、本特許出願において後に列挙する。
【0004】
ディップペンナノリソグラフィープリンティングは、例えば、DNA、リン脂質およびタンパク質を含む生体材料を含む様々な材料を、表面上に高レジストリ、サブ50nmの解像度で、直接プリントすることを可能にする[1-3]。大規模並列DPNの開発により、1cm2あたり55,000ものAFMカンチレバー数を含む二次元(2D)ペンアレイの使用によって、DPNのスループットが実質的に増加した[4,5]。それにもかかわらず、容易な多重化、または異なる材料から構成される構造を同時に生成させる能力は、依然として一連のDPNに基づくナノ作製ツールを開発する際の課題である。さらに、溶液から描画器具への一貫性のない、不均一なインク付けが、場合によっては、特別な用途のためのDPNの進歩を妨害する可能性がある。
【0005】
Hongらは、異なるチップを連続過程で使用した、高レジストリの2つの異なるインク、16-メルカプトヘキサデカン酸(MHA)および1-オクタデカンチオール(ODT)の直接DPNパターニングを初めて実証した[16]。このアプローチは、場合によっては、2つのインクの拡散速度および実験において作成されたナノ構造の対応する線幅に対し、不十分な制御を提供する可能性がある。後に、研究者達は、一体化マイクロ流体チャネルを通して様々なインクを充填することができる微小なインクウェルを開発した。例えば、米国特許第7,034,854号(特許文献1)を参照されたい。これらのインクウェルは、単一ペンアレイから複数のインクを同時DPNプリンティングするために、一次元(1D)カンチレバーアレイ内の異なるペンをアドレスするために使用される[17]。この技術により、使用できるインクウェルの数によって、単一の工程で8までの異なるインクを直線的なペンアレイにインク付けすることができる[18]。このアプローチは、比較的少数のペンからなる直線的なカンチレバーの状況で、わずかな数のインクしか統合されないいくつかの研究用途を含む多くの用途に対してはうまくいくが、この方法は、何千または実に何百万というペンから構成される2Dアレイには直接拡張することができない。例えば、1cm2に55,000の、個々にアドレス可能なインクウェルを含むインクウェルチップ(chip)は、インクリザーバが占める領域に対応するためだけに、0.5cm2よりも多くを必要とする。
【0006】
そのような性能は、それによって研究者が例えば、下記を実施することが可能になるので望ましい:(i)前例のない化学的および生物化学的複雑性を有するナノアレイ[6-10]を作製する;(ii)パターニングされた特徴の各々が、より高い秩序の構築物を製造するための異なる構成要素の配置を制御するように、親和性テンプレート[11,12]の使用により材料アセンブリを制御する;ならびに(iii)生物学的に意味のある長さスケールでの、パターニングされた表面とタンパク質、ウイルス、胞子、および細胞との間の多価相互作用の理解を発展させる[13-15]。これまでは、DPN実験の状況における多重化のための方法は、アレイの各ペンを異なる分子でアドレスし、インク付けすることに関連する課題のために、一般に制限されていた。
【0007】
そのため、例えば、アレイ内の異なるペンに、より均一に実質的に同じ量のインクをコートする、異なる分子のインク中での拡散速度を制御する、およびアレイ内の各ペンに独立したアドレス可能性でインク付けすることができるインク付け技術を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,034,854号
【発明の概要】
【0009】
概要
本明細書では、インクをプリントまたは堆積させる方法、およびプリントのためにプリンタを準備する方法、ならびにプリントするための装置、かつ、プリンタを使用する、およびインク付けする方法を提供する。
【0010】
1つの態様は、少なくとも1つのチップアレイを提供する工程;互いに異なる少なくとも2つのパターニング組成物を提供する工程;少なくとも2つの異なるパターニング組成物をチップの少なくともいくつか上にインクジェットプリントする工程;およびインクジェットプリントしたパターニング組成物の少なくともいくらかを基材表面上に堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでチップアレイおよびインクジェットプリントは、チップ上のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される。
【0011】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程;およびインクジェットプリントされたパターニング組成物を基材表面上に堆積速度で堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでインクジェットプリントのための条件は堆積速度を制御するように適合される。
【0012】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を、少なくとも2つのチップを含む少なくとも1つのチップアレイ上にインクジェットプリントする工程;およびパターニング組成物をチップから基材表面上に堆積させ、複数の特徴を形成させる工程、を含む方法を提供し、ここでインクジェットプリントのための条件はチップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合される。
【0013】
別の態様は、コンタクトプリンタ表面を提供する工程;少なくとも1つのパターニング組成物をコンタクトプリンタ表面上に配置する工程;および、配置したパターニング組成物の少なくともいくらかをコンタクトプリンタ表面から基材に堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでコンタクトプリンタ表面は、パターニング組成物の、表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される。
【0014】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのアレイ内の少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程を含む方法を提供し、ここでチップは、チップ上のパターニング組成物の局在化を促進するように処理されている。
【0015】
別の態様は、カンチレバーアレイを含み、カンチレバーはその上にチップを有し、カンチレバーおよびチップは堆積されたインクジェット液滴のチップ上への局在化を促進するように適合される装置を提供する。
【0016】
別の態様は、インクウェルを提供する工程、少なくとも1つのパターニング組成物をインクウェル表面上に配置する工程、を含む方法でり、ここでインクウェル表面は、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される。
【0017】
特別の態様では、DPNの状況における多重化インク付け問題に対処する、ペンアレイにインク付けするためのアプローチが提供され、関連するナノリソグラフィーが本明細書で提供される。特に、1Dまたは2Dアレイ内のペンのチップは、インクジェットプリンタを用いて異なる化学的に別個のインクで独立してアドレスさせることができる。さらに、ペンアレイ内のチップの表面を修飾する技術が記載されているが、この技術は、インク滴をカンチレバーのチップに誘導する。インク(または「パターニング組成物」)を送達するこの方法は、いくつかの態様では、インク付け過程に対する制御を提供することができ、DPNを、高スループット、高解像度、および多重化能力を独自に結合させる一般的なナノ作製ツールに変換することができる。
【0018】
本明細書における少なくとも1つの態様の少なくとも1つの利点は、より良好な再現性、インクのプリント速度に対するより良好な制御、および交差汚染の回避を含む、プリント過程に対するより良好な制御である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーは、要請および必要な料金の支払いがあれば、特許庁により提供される。
【図1】図1A〜1Bは、(A)インクジェットプリントによるペンアレイのアドレス可能なインク付け、および(B)多重化ディップペンナノリソグラフィー、に関するスキームを示す。
【図2】図2A〜2Bは、1Dペンアレイのアドレス可能なインク付けを示す。(A) 1つおきのペンを1滴のMHA-エタノール溶液(10mM、320pL)でインク付けした1Dペンアレイの光学像および(B)インク付けしたペンアレイを用いてパターニングした対応する金のナノ構造。
【図3】図3A〜3Bは、リン脂質を用いた1Dペンアレイの個々にアドレス可能な多重化インク付けを示す蛍光像である。(A)4つの異なるフルオロフォア標識リン脂質でインク付けしたペンアレイ(右に構造を示す)。(B)スライドガラス上に描画した対応する多重化パターン。
【図4】図4A〜4Dは、リン脂質を用いた2Dペンアレイのアドレス可能なインク付けを示す。(A)2Dペンアレイ上にプリントした4つのフルオロフォア標識リン脂質(90μm×20μm間隔)。(B)2Dアレイにおける1つおきのペンにアドレスされたローダミン標識リン脂質(90×90μm間隔)および(C、D)スライドガラス上に描画した対応する700nmの線幅のパターン。(A)において直面するクロストークの問題は、ペンとペンとの間隔を90μm×90μmまで増加させると排除される。
【図5】異方的に官能化されたペンの、自己修正インク付けに関するスキームを提供する。ペンは、チップ領域が親水性となり(MHA官能化)、残りの領域が疎水性となるように(ODT官能化)官能化される。インク分子は表面エネルギーの違いのために、親水性領域に優先的に誘導される。
【図6】図6A〜6Bは、異方的に官能化されたペンの、自己修正インク付けを示す。(A)3滴の10mM MHA/エタノール溶液(それぞれ320pL)を各チップ上でインクジェットプリントすることによる、ペンアレイ内のペン(白色矢印)のアドレス可能なインク付け。異方的に官能化された領域(赤い矢印により印付けされた境界)は、インク滴が乾燥した場所を定める。挿入図は、AFMプローブの異方的な官能化を示し、これは3つの工程から構成される:(1)後側を20nm Au/5nm Tiの薄層でコートし、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデカンチオールで官能化する、(2)シャドウマスクとしてガラスカバースリップを使用して、チップ領域の前側を金でコートする(10nm Au/4nm Ti)、および(3)チップのAuコートした前側をMHAで選択的に官能化する。(B)MHA/エタノール溶液で浸漬コートした、異方的に官能化させたペンの光学顕微鏡写真。インクは親水性チップ領域に制限されることに注目されたい。
【図7】図7A〜7Bは、疎水性-親水性境界上およびその近くでのインクジェット液滴のフットプリントを示す。(A)MHA-ODT境界付近でプリントされたMHAインク滴(320pL、10mMを含むエタノール)のフットプリントを示す代表的な光学像。フットプリントの半径はMHAについては233.3±6.2μmであり(左)、ODTについては35.7±3.7μmである(右)。液滴が疎水性-親水性境界に衝突すると、疎水性側の上の部分がMHA側に誘導され、局在化される(中心)。(B)MHAが完全に親水性側に局在化されたことを示すAFM像。
【図8】図8A〜8Bは、ペンとペンとの異なる間隔を有するカスタムペンアレイ上でのMHA(飽和アセトニトリル溶液)のインクジェットプリントを示す。(A)インク付けしたペンアレイの光学顕微鏡像。(B〜C)ペン3(インク付けされている)がDPNに有効である(0.015μm2 sec-1のインク拡散速度)ことを示す水平力顕微鏡像。(D)ペン4(インク付けされていない対照)はパターンを作成しなかった。DPNは49%の相対湿度で実行した。
【図9】インクジェットプリントされたペンアレイのパターンの均一性を示す。2滴のMHA-エタノール溶液(10mM、320pL/滴)を1つおきのペン上にインクジェットプリントした。DPNを40%の相対湿度で実行し、1ドットあたりの滞留時間は360秒とする。同じアレイ内でペンにより作成した金のパターンの標準偏差は4.4±1.4%であり、3つの異なるペンアレイと比較した場合4.8±0.7%まで増加する。
【図10】図10A〜10Dは、浸漬コーティングによりインク付けしたペンアレイのパターンサイズ変動を提供する。(A)浸漬コートしたペンアレイの光学顕微鏡像。(B)「A」におけるペンアレイにより作製された隆起した金の特徴の暗視野顕微鏡像。(C〜D)(B)において囲まれた部分のより高倍率のパターン。同じアレイ内の異なるペンにより作成したドットの標準偏差は少なくとも9.9%であった。両方のインク(2mM MHA-エタノール溶液および飽和MHA-アセトニトリル溶液)は同様の標準偏差を示した。この特別な実施例では、DPNは50%の相対湿度で実施し、各ドットに対する滞留時間は30秒であった。ドットを連結する「C」における線は、ペンが表面との接触から完全に除去されなかったために存在することに注目されたい。
【図11】図11A〜11Bは、パターン「NU」を有する55,000のペンの2Dアレイ上にプリントしたリン脂質を示す。(A)光学像。(B)「U」パターンを構成するローダミン標識DOPCインクを示す蛍光顕微鏡像。ここで、2DペンアレイはSiO2サポート上に存在した。カンチレバーは、公開されたプロトコルに従い、チタン/金でコートし、アニールし屈曲させた。カンチレバーの後側およびSiO2サポートをオクチルトリクロロシラン(OTS、1vol%を含むヘキサンで30分間)で官能化し、一方、前側は11-アミノ-1-ウンデカンチオール(AUT、1mMを含むエタノールで20分間)で官能化した。この官能化により、カンチレバーの後側およびSiO2サポートは疎水性になり、これにより、カンチレバーをSiO2サポートに接着させる毛管作用が阻止される。
【図12】図12A〜12Bは、(A)DOPCインク滴によりカンチレバーが毛管作用のためにサポートに粘着したことを示す。光学顕微鏡像はインク付けされたチップがSiO2サポートの焦点面内にあることを示す。(B)この粘着の問題は、カンチレバーの後側およびSiO2サポートをオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で官能化することにより排除された。
【図13】図13A〜13Dは、金のシャドウマスク堆積により作製した異方的な構造のペンを示す。カバースライドガラスをマスクとして使用し、カンチレバーの選択した領域を金の堆積のために暴露させた。(A)官能化スキーム。(B〜D)金でコートされた様々な領域を有するカンチレバーを示す光学顕微鏡像。金の領域は増強した反射のためにより明るくなっている。矢印はSixNy-Au境界を定める。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書で言及した出版物、特許出願、および特許は全て、参照により、図面、特許請求の範囲、実施例、および支援情報を含むその全体が、組み入れられる。
【0021】
序論
本明細書で引用した参考文献は全て、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0022】
2008年7月24日にオンラインで公開されたWangらによる論文“A Self-Correcting Inking Strategy for Cantilever Arrays Addressed by an Inkjet Printer and Used for Dip-Pen Nanolithography”,Small,2008は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0023】
2008年5月21日に出願された優先権主張米国特許仮出願第61/055,028号;2008年4月24に出願された同第61/047,630号;および2007年8月8日に出願された同60/954,732号の開示内容は全て、参照により、図面を含むその全体が本明細書に組み入れられる。
【0024】
器具類、材料、および方法を含むDPNプリンティングは、当技術分野において一般に公知である。本明細書で記載した様々な態様の実施では、リソグラフィー、マイクロリソグラフィー、およびナノリソグラフィー機器、ペンアレイ、アクティブペン、パッシブペン、インク、パターニング化合物、キット、インク送達、ソフトウエア、ならびに直接描画プリンティングおよびパターニングのためのアクセサリは、NanoInk, Inc., Chicago, ILから入手可能である。ソフトウエアとしてはINKCADおよびNSCRIPTORソフトウエア(NanoInk, Chicago, IL)が挙げられ、リソグラフィー設計および制御のためのユーザインタフェースが提供される。E-Chamberを環境制御のために使用することができる。ディップペンナノリソグラフィー(Dip Pen Nanolithography)(商標)およびDPN(商標)はNanoInk, Inc.の商標である。
【0025】
カンチレバー、チップおよびパターニング化合物を用いる直接描画プリンティングに関連する下記特許および共に係属中の出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられ、インク、パターニング化合物、ソフトウエア、インク送達装置などを含む、本明細書で記載された様々な態様の実施において使用することができる。
【0026】
Mirkinらの米国特許第6,635,311号は、インク、チップ、基材、および他の器具類パラメータおよびパターニング法を含むDPNプリンティングの基本的な局面を記載する。
【0027】
Mirkinらの米国特許第6,827,979号は、ソフトウエア制御、エッチング手順、ナノプロッター、ならびにコンプレックスおよびコンビナトリアルアレイ形成を含むDPNプリンティングの基本的な局面をさらに記載する。
【0028】
2002年9月5日に公開された米国特許出願公開第2002/0122873 A1号(“Nanolithography Methods and Products Produced Therefor and Produced Thereby”)は、DPNプリンティングの開口態様および駆動力態様を記載する。
【0029】
2003年2月14日に出願されたEbyらの米国普通特許出願第10/366,717号(“Methods and Apparatus for Aligning Patterns on a Substrate”)は、DPNプリンティングに対する整合法を記載する(2003年10月2日に2003/0185967として公開)。
【0030】
2003年2月28日に出願されたDupeyratらの米国普通特許出願第10/375,060号(“Nanolithographic Calibration Methods”)は、DPNプリンティングに対する較正法を記載する。
【0031】
Mirkinらの2003年4月10日に公開された米国特許出願公開第2003/0068446号(“Protein and Peptide Nanoarrays”)は、タンパク質およびペプチドのナノアレイを記載する。
【0032】
Mirkinらの2002年12月2日に出願された米国普通特許出願第10/307,515号(“Direct-Write Nanolithographic Deposition of Nucleic Acids from Nanoscopic Tips”)は、核酸パターニングを記載する(2003年6月12日に公開されたPCT/US2002/038252)。
【0033】
Mirkinらの2002年12月17日に出願された米国普通特許出願第10/320,721号(“Patterning of Solid State Features by Direct-Write Nanolithographic Printing”)は、反応性パターニングおよびゾルゲルインクを記載する(現在、2003/0162004として2003年8月28日に公開)。
【0034】
Liuらの米国特許第6,642,129号および同第6,867,443号(“Parallel, Individually Addressible Probes for Nanolithography”)は、アクティブペンアレイを記載する。
【0035】
Schwartzの、2003年1月9日に公開され、米国特許出願公開第2003/0007242号(“Enhanced Scanning Probe Microscope and Nanolithographic Methods Using Same”)。
【0036】
Schwartzの、2003年1月9日に公開された米国特許出願公開第2003/0005755号(“Enhanced Scanning Probe Microscope”)。
【0037】
現在、第2004/0101469号として公開されている、2003年8月11日に出願された米国特許出願第10/637,641号は、触媒ナノ構造およびカーボンナノチューブ用途を記載する。
【0038】
2004年2月12日に2004/0026681として公開されて現在公開されている、2003年5月23日に出願された米国特許出願第10/444,061号、および2004年1月15日に公開された米国特許出願公開第2004/0008330号は、それぞれ、タンパク質および導電ポリマーのプリンティングを記載する。
【0039】
現在、米国特許第7,005,378号となっている、2003年8月26日に出願された米国特許出願第10/647,430号は、パターニング化合物として導電性材料を記載する。
【0040】
2004年9月9日の2004/0175631として現在公開されている、2003年10月21日に出願された米国特許出願第10/689,547号は、フォトマスク修復を含むマスク用途を記載する。
【0041】
2005年2月17日の2005/0035983として現在公開されている、2003年11月12日に出願された米国特許出願第10/705,776号は、マイクロフルイディクスおよびインク送達を記載する。
【0042】
2005年1月13日の2005/0009206として現在公開されている、2004年3月1日に出願された米国特許出願第10/788,414号は、ペプチドおよびタンパク質のプリンティングを記載する。
【0043】
2005年12月8日の2005/0272885として現在公開されている、2004年7月19日に出願された米国特許出願第10/893,543号は、ROMP法およびコンビナトリアルアレイを記載する。
【0044】
2005年11月17日に2005/0255237として公開されて現在公開されている、2005年2月14日に出願された米国特許出願第11/056,391号は、スタンプチップまたはポリマーコートチップ用途を記載する。
【0045】
2005年10月27日の2005/0235869として現在公開されている、2005年2月25日に出願された米国特許出願第11/065,694号は、チップレスカンチレバーおよび平面パネルディスプレイ用途を記載する。
【0046】
2006年1月19日に公開された米国特許出願公開第2006/001,4001号は、DPN法により製造されるナノ構造のエッチングを記載する。
【0047】
2004年12月2日に公開されたLiu & MirkinのWO 2004/105046は、接触プリンティングのための走査プローブを記載する。
【0048】
ウイルスアレイを記載する、Mirkinの米国特許出願公開第2007/0129321号。
【0049】
例えば、2007年3月23日に出願されたMirkinらの米国特許出願公開第2008/0105042号に記載されている二次元ナノアレイもまた参照されたい。これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0050】
DPN法はまた、高いスループットの並列法の記載を含む、Ginger et al., “The Evolution of Dip-Pen Nanolithography,”Angew. Chem. Int. Ed. 43, 30-45(2004)においても記載されている。
【0051】
DPNプリンティングおよびパターン転写法を含む直接描画法は、例えば、Direct-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds)(2002)において記載されている。
【0052】
本明細書で記載した直接描画ナノリソグラフィー機器および方法は特に、ペプチド、タンパク質、核酸、DNA、RNA、ウイルス、生体分子、などに基づくバイオアレイ、ナノアレイ、およびマイクロアレイを調製する際に使用するには興味深い。例えば、チップ(chip)およびライブラリーの大量製造に関しては米国特許第6,787,313号;ペプチドチップを有する自動分子生物研究室のためには同第5,443,791号;薬学用途における分子アレイの自動合成のための装置に関しては同第5,981,733号を参照されたい。コンビナトリアルアレイを調製することができる。また例えば、Hendersonらの米国特許第7,008,769号;同第6,573,369号;および同6,998,228号を参照されたい。
【0053】
走査プローブ顕微鏡法は、例えばBottomley, Anal. Chem. 70, 425R-475R(1998)において概説されている。また走査プローブ顕微鏡は、例えば米国特許第5,705,814号(Digital Instruments)において記載されているプローブ交換機構を含む技術分野において公知である。
【0054】
チップおよび器具類
チップおよびカンチレバーのアレイを含む、1つまたは複数のカンチレバー上に配置された1つまたは複数のチップからのパターニングを提供する器具を使用することができる。器具は、例えば、ディップペンナノリソグラフィーのために修飾されたAFM器具、または、ディップペンナノリソグラフィーを実施するために直接適合された同様の器具でありうる。器具は、例えば、NanoInk(Skokie IL)から入手することができ、例えば、NSCRIPTOR(商標)が挙げられる。
【0055】
いくつかの態様では、器具は少なくとも1つのz軸圧電センサおよび少なくとも3つのz軸モーターを含み、これらはどちらも、使用者がユーザインタフェースを介して位置情報を入力することができるソフトウエアルーチンにより制御およびモニタすることができる。器具の一例はAmroらに対する、2007年5月9日に出願された米国特許仮出願第60/916,979号において記載されている。
【0056】
材料をチップから基材表面に転写させることによりパターニングを実施するための器具類は当技術分野において公知である。例えば、NanoInk, Inc.(Skokie IL)由来の製品を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,827,979号;同第6,642,129号;同第6,867,443号;同第7,008,769号;同第6,573,369号;および同第6,998,228号を参照されたい。例えば、チップはナノスコピックチップでありうる。チップは、例えば、走査プローブ顕微鏡チップまたは原子間力顕微鏡チップでありうる。チップは固体チップでありえ;チップは中空チップまたは万年筆チップでありうる。中空チップは開口を含むことができ、パターニング組成物をチップ端に送達するための送達流路を含むことができる。チップは、例えば、無機表面または有機表面を含むことができる。チップは硬質材料から、例えば、微細加工により製造することができる。チップの先鋭化を実行することができる。さらに、シロキサン材料から製造されたものを含むエラストマーチップを使用することができる。
【0057】
チップ作製後、チップはそのまま使用することができるが、そのまま使用する場合最初に清浄化することができる。チップはまた、所望であれば作製後、表面修飾することができる。例えば、有機コーティングを無機チップ表面に添加することができる。
【0058】
チップは、無機チップ表面を含むチップ表面を有することができ、これは有機材料により修飾されていない。
【0059】
チップはAFM技術分野で公知の材料から作製することができ、窒化ケイ素、ケイ素、および他の硬質材料が挙げられる。
【0060】
チップは、当技術分野において公知なように、カンチレバー端またはカンチレバー付近を含むカンチレバー上に配置することができる。
【0061】
チップは所望であれば、例えば、少なくとも5μm、または少なくとも10μmの長さを有するかなり長いチップでありうる。
【0062】
チップはチップアレイの一部でありえ、そのため、複数のチップを提供することができる。表面に対してz方向に移動するためには、チップは受動モードで共に移動することができ、または能動または作動モードで個々に移動させることができる。このように、堆積工程では、チップは受動的に使用することができ、または作動チップとして使用することができる。作動機構は、例えば、熱または静電またはピエゾ抵抗でありうる。チップの一次元アレイを使用することができ;またはチップの二次元アレイを使用することができる。特に、多数のチップを有するアレイを使用することができる。例えば、Lenhart Small論文(Lenhart et al.,Small 3, no.1, 71-75(2007))を含む、参照により全体が本明細書に組み入れられる、Mirkinらに対する2007年3月23日に出願された米国特許出願第11/690,738号を参照されたい。
【0063】
チップ、およびカンチレバー上に配置されたチップを、表面に対しx、yおよびz方向に移動させる器具類の方法は当技術分野において公知である。
【0064】
器具類は、チップを加熱するために適合させることができる。例えば、Sheehanらに対する米国特許出願公開第2006/0242740号を参照されたい。
【0065】
基材および基材表面
堆積のための表面を提供する様々な基材を使用することができる。基材は、当技術分野においてマイクロアレイを調製するために使用されるものでありうる。基材はポリマ、ガラス、セラミック、複合物、金属、半導体、酸化物、ケイ素、などでありうる。基材はモノリシック、ワンピースでありえ、または互いに配置された複数の層を含みうる。基材は無機または有機表面コーティングを含むことができる。自己組織化された単層を含む単層コーティングを使用することができる。表面は有機官能基または有機材料により官能化させることができる。例えば、基材は有機材料で修飾された無機材料表面を含むことができる。さらに、基材は無機材料に限定される必要はない。例えば、基材は、生体分子でありうる。
【0066】
基材表面は、パターニング組成物の1つまたは複数の成分に共有結合する、または化学吸着するように適合させることができる。例えば、基材表面は求電子性の表面でありうる。基材表面は、パターニング種中の官能基と反応するように適合させることができる。例えば、タンパク質中のアミノ基はスクシンイミドと反応しうる。または、チオール基もしくは化合物は金に化学吸着しうる。例えば、アルデヒド修飾基材もまた、アミン修飾またはアミノ含有生体分子のイミン形成による固定のための反応性サポートとして使用することができる。カプセル化された生体分子をADMチップから基材上に堆積させてすぐに、アガロースゲルマトリクスを空気に暴露することにより乾燥させ、MilliQ水で洗浄することにより除去することができる。
【0067】
蛍光検出を使用する場合、基材およびパターニングは、蛍光のクエンチングを最小に抑える、または回避するように適合させることができる。
【0068】
基材は必要に応じて予めパターニングすることができ、堆積ゾーンに対し、境界を提供し、空間を指定することができる。
【0069】
堆積
チップおよび基材表面は、パターニング組成物の堆積が起こり、材料がチップから表面に転写され、堆積物が形成されるように、互いに対し移動させることができる。場合によっては、堆積を促進するためにメニスカスが存在する可能性がある。チップは、堆積を望み通りに制御できるような位置にある。
【0070】
場合によっては、熱を使用して堆積を促進することができる。チップおよびチップを支持するカンチレバーは加熱することができ、または堆積領域の周囲の環境を加熱することができる。環境チャンバを使用して、湿度、温度、雰囲気ガス、および他のパラメータを制御することができる。例えば、堆積は、堆積を起こさせのに十分な、例えば、十分高い相対湿度で実行することができる。場合によっては、相対湿度が高いほど、堆積が活性化され、または加速される可能性がある。堆積は、例えば、少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも70%の相対湿度で実行することができる。
【0071】
担体がゲル-液晶転移温度を示す場合、堆積温度はこの温度より高くすることができ、例えば、ゲル-液晶転移温度より10℃またはそれ以上高い温度とすることができる。
【0072】
堆積工程は、チップを表面と接触させることにより実行することができ、この場合、チップは表面に対しxy表面内に固定して保持される。スポットもしくはドットを形成させることができ、または、線を形成させることができる。また、堆積工程は、チップを表面と接触させることにより実行することができ、この場合、チップは表面に対しxy表面内に固定して保持されず、むしろ、チップは移動している。
【0073】
スポッティング/堆積中の接触時間は、例えば、7〜10秒の間で変動する可能性があり、例えば、直径または線幅が、約10nm〜約1μm、または約100nm〜約10μm、または約15nm〜約10μm、または約25nm〜約1μm、または約200〜500nmの特徴が得られる。使用することができるAFMプローブは、例えば、約0.3〜約2N/m2の範囲のバネ定数kを有することができる。
【0074】
走査プローブ器具類、例えば、AFM器具類を使用する場合、例えば、接触モード、非接触モード、またはタッピングモードまたは間欠接触モードを含む、使用のための様々なモードを使用することができる。
【0075】
ゲルを形成する短いインキュベーション期間の後、AFMチップは、チップを直接ゲルインクに浸漬させることにより、インクウェルにより、またはゲルインク滴を固体基材上に置き、AFMもしくは他の制御機構によりチップをゲル内に下ろすことにより直ちにコートされてもよい。アガロースゲルインクの粘着性の、粘性性質により、最小〜無のチップが得られる。
【0076】
アレイ
チップの一次元または二次元アレイを使用することができ、それらはインクジェットプリントを用いてインク付けされるように適合させることができる。アレイはカンチレバーを含まないものでありえ、または複数のカンチレバーを含むことができ、カンチレバー上にはチップが配置される。いくつかの態様では、カンチレバーは少なくとも、一端にサポートを有し、他端にチップを有する。
【0077】
カンチレバーの2Dアレイは当技術分野において公知である。さらに、例えば、2007年3月27日に出願されたMirkinらに対する米国特許出願第11/690,738号は、カンチレバーの二次元アレイを記載する。
【0078】
二次元アレイは一連の行および列でありえ、好ましくは互いに実質的に垂直である、長さおよび幅を提供する。アレイは第1の次元および第2の次元を含むことができる。二次元アレイは、一連の一次元アレイが互いに隣接して配置され第2の次元を構築したものでありうる。2つの次元は垂直でありうる。カンチレバーは自由端および固定端を含むことができる。カンチレバーは、固定端から遠位にある自由端、またはその付近にチップを含むことができる。1つの列のカンチレバーは次の列上のカンチレバーと同じ方向に向くことができ、または1つの列のカンチレバーは次の列上のカンチレバーと反対の方向に向くことができる。
【0079】
二次元アレイは、2つの部品を結合することにより、より大きな器具装置に作製することができ、各部品は二次元でパターニングされた表面を有し、二次元で互いに結合されるように適合されている。1つの部品は、カンチレバーなしで、サポート構造を含むことができ、一方、他方の部品はカンチレバーを含むことができる。
【0080】
1つの重要な変数は、意図した目的に対し実際に機能することができるアレイ中でのカンチレバーの割合またはパーセンテージである。いくつかの場合において、いくつかのカンチレバーは不完全に形成される可能性があり、またはそうでなければ、形成後に損傷を受ける可能性がある。カンチレバーの収量は使用可能なカンチレバーのこのパーセンテージを反映する。好ましくは、アレイは、少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、またはより好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%のカンチレバー収量により特徴づけられる。カンチレバー収量を特徴づける際には、内部のカンチレバーに比べると、縁の処理により損傷を受ける、列の端にあるカンチレバーは無視してもよい。例えば、中心の75%を測定することができる。多くの場合、ウエハ作製においてはエッジ効果が周知であるので、作製は縁よりもむしろ中央で良好に実施される。欠陥密度は、いくつかの場合においては中心から縁に移動するにつれ、他の場合においては縁から中心に移動するにつれ、増加する可能性がある。欠陥密度が高すぎる部品を除去し、残りの部品を使用することができる。
【0081】
アレイは、チップが実質的に平らな表面と接触した場合に、アレイのチップでない構成要素の実質的な接触が阻止されるように適合させることができる。例えば、カンチレバーアームは、表面に接触すべきでなく、したがって、例えば、屈曲によりそのように適合させることができる。チップは、このために適合させることができ、同様に、長いまたは背の高いチップが含まれる。この結果を達成するのに有用である可能性のある因子としては、長いまたは背の高いチップの使用、カンチレバーアームの屈曲、チップのレベリング、列のレベリング、および全ての次元におけるカンチレバーのレベリングが挙げられる。因子の1つまたは複数の組み合わせを使用することができる。
【0082】
カンチレバーチップは当技術分野において通常よりも長くすることができる。例えば、チップは、平均して少なくとも4μmのカンチレバーに対するアペックスの高さを有することができ、所望であれば、チップは平均して少なくとも7μmのカンチレバーに対するアペックスの高さを有することができる。「アペックス」という用語は、チップの最端のみを示すものと狭く規定される必要はなく;むしろ、最端からある距離下方におよぶチップの一部を示すことができる。例えば、最端から、チップの端から底までの軸長の1%、5%、10%、または実に20%までとすることができる。さらに、チップアペックスの高さは、少なくとも10μm、または少なくとも15μm、または少なくとも20μmとすることができる。特別な上限は存在せず、当技術分野で公知の技術および改良を使用することができる。この長い長さにより、確実に、チップのみが表面に接触するように助けることができる。アペックスの高さは多くのチップのアペックスの高さの平均とみなすことができ、一般に、アペックスの高さはチップ間で実質的に変動しないように設計される。
【0083】
アレイに関するパラメータを測定する際には、平均測定値を使用することができる。平均測定値は、例えば、代表的な画像または顕微鏡写真の検討を含む、当技術分野において公知の方法により得ることができる。実用的でない可能性があるので、アレイ全体が測定される必要はない。
【0084】
いくつかの態様ではチップレスカンチレバーを使用することができるが、好ましい態様ではない。
【0085】
さらに、カンチレバーは屈曲させることができ、パターニングされる表面に向かって屈曲させることが含まれる。当技術分野において公知の方法を使用して屈曲させることができる。カンチレバーはベースおよびサポートから離れるような角度で屈曲させることができる。カンチレバーはカンチレバーの屈曲に関して適合された複数の層を含むことができる。例えば、熱膨張差またはカンチレバーバイモルフを使用してカンチレバーを屈曲させることができる。カンチレバー屈曲は少なくとも2つの異なる材料を使用することにより誘導することができる。また、同じ材料を使用することができるが、異なる応力を用いてカンチレバー屈曲を提供することができる。別の方法は、1つの材料を含むカンチレバー上に同じ材料の第2の層を堆積させるが、固有応力グラジエントを用いるものである。また、カンチレバーの表面は酸化させることができる。カンチレバーは、例えば、ベースから少なくとも5°、またはベースから少なくとも10°、またはベースから少なくとも15°の角度で屈曲させることができる。実施例で実証されている方法を含む、当技術分野において公知の方法を使用して、これを測定することができる。角度に関する平均値を使用することができる。カンチレバーは、平均して、約10μm〜約50μm、または約15μm〜約40μm屈曲させることができる。この屈曲の距離は、実施例で実証されている方法を含む、当技術分野において公知の方法により測定することができる。平均距離を使用することができる。屈曲により、基材の粗さおよび形態ならびにアレイ内でのチップ不整合に対する許容範囲がより大きくなり、そのため、例えば、約±20μmもしくはそれ以下または約±10μmもしくはそれ以下の不整合の補償が可能になる。
【0086】
屈曲を促進するために、カンチレバーは複数の層、例えば2つの本体の層および任意の接着層を含むことができ、例えば、バイモルフカンチレバーでありうる。カンチレバーは、カンチレバーのチップ側で、金属または金属酸化物によりコートすることができる。金属は、金属または金属酸化物がカンチレバーの熱による屈曲を支援するのに有用である限り特に制限されない。例えば、金属は金などの貴金属でありうる。
【0087】
好ましい態様では、アレイは、カンチレバーがどちらも表面に向かって屈曲され、また、画像形成のためのみに使用されるチップに比べ標準よりも長いチップを含むように適合させることができる。
【0088】
チップは使用前に作製および先鋭化することができ、例えば、100nm未満の平均曲率半径を有することができる。平均曲率半径は、例えば、10nm〜100nm、または20nm〜100nm、または30nm〜90nmとすることができる。チップ形状は変動させることができ、例えば、角錐、円錐、くさび、および箱形が挙げられる。チップは中空チップでありえ、または開口を含むことができ、チップ端まで通過するマイクロ流体チャネルを有するように微細加工により形成された中空チップおよび開口チップが挙げられる。流体材料はチップ端で貯蔵され、またはチップを通して流れることができる。
【0089】
チップの幾何学的形態は変動させることができ、例えば、固体チップまたは中空チップでありうる。HendersonらのWO 2005/115630(PCT/US2005/014899)は、本明細書で使用することができる、表面上に材料を堆積させるためのチップ幾何学的形態を記載する。
【0090】
二次元アレイは、2つの次元(例えば、長さの次元および幅の次元)の各々におけるチップ間隔により特徴づけることができる。チップ間隔は、例えば、チップアレイを製造する方法から得ることができ、または製造されたアレイから直接観察することができる。チップ間隔は、高密度のチップおよびカンチレバーが提供されるように設計することができる。例えば、チップ密度は少なくとも10,000/平方インチ、または少なくとも40,000/平方インチ、または少なくとも70,000/平方インチ、または少なくとも100,000/平方インチ、または少なくとも250,000/平方インチ、または少なくとも340,000/平方インチ、または少なくとも500,000/平方インチとすることができる。アレイは、二次元アレイの第1の次元における300μm未満、および二次元アレイの第2の次元における300μm未満のチップ間隔により特徴づけることができる。さらに高い密度を達成するために、チップ間隔は、例えば、1つの次元では約200μm未満、および別の次元では約100μm未満、または約50μm未満とすることができる。また、チップ間隔は、例えば、1つの次元では100μm未満、および第2の方向では25μm未満とすることができる。アレイは、二次元アレイの少なくとも1つの次元における100μmまたはそれ以下のチップ間隔により特徴づけることができる。1つの態様では、チップ間隔は、1つの次元では約70μm〜約110μm、例えば、90μmとすることができ、第2の次元では約20μm〜約100μm、例えば、90μmとすることができる。作製法により、時間と共に、より高密度のチップ間隔が得られるため、チップ間隔には特別な下限はない。異なるインクおよび2Dアレイが使用されるいくつかの態様では、チップ間隔は、望ましくないインクの広がりおよび異なるインクの交差汚染を阻止するように制御される。下限の例としては1μm、または5μm、または10μmが挙げられ、そのため、例えば、チップ間隔は1μm〜300μm、または1μm〜100μmとすることができる。
【0091】
二次元アレイ上のカンチレバーの数は特に制限されないが、少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約250、または少なくとも約1,000、または少なくとも約10,000、または少なくとも約50,000、または少なくとも約55,000、または少なくとも約100,000、または約25,000〜約75,000とすることができる。数は、パターニングのための特別な器具および空間的制約に対して許容される量まで増加させることができる。例えば、製造の容易さ、品質、および特別な密度要求などの因子を考慮し、特別な用途に対し適した平衡を達成することができる。
【0092】
チップは表面に一貫して接触するために一貫した間隔を有するように設計することができる。例えば、チップはそれぞれ、チップ端〜サポートにおよぶ距離Dにより特徴づけることができ、チップアレイはチップ端〜サポートの平均距離D’により特徴づけられ、チップの少なくとも90%に関して、DはD’の50μmの範囲内にある。別の態様では、チップの少なくとも90%に関して、DはD’の10μmの範囲内にある。チップ端とサポートの間の距離は、例えば、約10μm〜約50μmとすることができる。この距離は、例えば、ベース列の高さ、屈曲距離、およびチップの高さの付加的な組み合わせを含むことができる。
【0093】
カンチレバーの力定数は特に制限されない。例えば、カンチレバーは、約0.001N/m〜約10N/mの平均力定数、または約0.05N/m〜約1N/mの平均力定数、または約0.1N/m〜約1N/mの平均力定数、または約0.1N/m〜約0.6N/mを有することができる。
【0094】
カンチレバーは力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されないように設計することができる。または、少なくとも1つのカンチレバーは、力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。または、カンチレバーの実質的に全てが、力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。例えば、カンチレバーの90%を超える、または95%を超える、または99%を超えるものが力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。
【0095】
カンチレバーは、例えば、ケイ素、多結晶シリコン、窒化ケイ素、またはケイ素リッチ窒化物を含む、AFMプローブにおいて使用される材料から製造することができる。カンチレバーはある長さ、幅、および高さまたは厚さを有することができる。長さは例えば約10μm〜約80μm、または約25μm〜約65μmとすることができる。幅は、例えば5μm〜約25μm、または約10μm〜約20μmとすることができる。厚さは例えば、約100nm〜約700nm、または約250nm〜約550nmとすることができる。チップレスカンチレバーは、アレイ、アレイを製造する方法、およびアレイを使用する方法において使用することができる。
【0096】
アレイはそれぞれ、パッシブペンまたはアクティブペン使用のために適合されたパッシブまたはアクティブアレイでありうる。各チップの制御は、例えば、圧電、容量、静電、または熱電作動により実行することができる。
【0097】
アレイは、チップコーティングおよびインク送達の統合に関して適合させることができる。例えば、マイクロフルイディクスを使用してチップのインク付けおよびコーティングを制御することができる。チップは装置中に浸漬させることができ、または、中空チップ態様では、インクは直接チップの内部領域を通って送達させることができる。
【0098】
重要な態様では、カンチレバーはサポート構造に金の熱圧着を介して接着させることができる。重要な因子は、カンチレバーチップの堆積および窒化ケイ素カンチレバーを含む低いkのフレキシブルカンチレバーの使用に基づくリソグラフィー過程の固有の力の独立性でありうる。
【0099】
パターニング組成物
パターニング組成物は、チップから基材表面への転写および堆積のために、またインクジェットプリントのためにも、製剤化し適合させることができる。組成物は、1つまたは複数の多糖、1つまたは複数のパターニング種、および1つまたは複数の化学的添加物を含む、2つ以上の成分を有することができる。パターニング組成物は、堆積過程を妨害する成分および成分の量を排除するように製剤化することができ、ここで、パターニング組成物は良好な結果を達成するのに必要とされる構成要素を含む。パターニング組成物は、堆積工程前にチップ上で、部分的に、または完全に乾燥させることができる。
【0100】
パターニング分子はインクの形態でありうる。1つまたは複数のパターニング種を含むことができる。パターニング種は分子または微粒子またはコロイドでありうる。合成または天然でありうる。ポリマー、オリゴマー、または非ポリマーでありうる。小分子でありうる。生体分子の用途は特に注目すべきである。例えば、パターニング種は生体分子でありうる(ここで、水は生体分子ではない)。パターニング種は生体高分子でありうる。パターニング種は核酸またはアミノ酸単位の重合された単位または反復単位を含むことができる。パターニング種は例えばオリゴヌクレオチド、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、糖、炭化水素、などでありうる。パターニング種は、基材表面との相互作用に関して、合成的に適合されないように使用することができる。例えば、天然種、例えば、天然タンパク質でありうる。また、パターニング種は、基材表面との相互作用に関して、合成的に適合されるように使用することができる。例えば、末端の基を官能化させ、表面に結合させることができる。これは、例えばR-XまたはR-(X)nにより表すことができ、式中、RはX基により官能化されたパターニング種であり、nはX基の数であり、これは例えば、1〜10、または1〜5、または1〜3でありうる。
【0101】
パターニング種として機能しうる非生物化合物としては、例えば、微粒子材料、ナノ構造材料、有機化合物、無機化合物、ポリマー、合成ポリマー、金属(例えば、金)に化学吸着する化合物、例えば、チオールおよびスルフィド、などが挙げられる。
【0102】
1つの態様では、パターニング組成物は、1つまたは複数の脂質を含むことができ、脂質は一般に当技術分野において公知である。例えば、Bohinski, Modern Concepts in Biochemistry, 4th Ed., Chapter 8, “Lipids and Biomembranes”を参照されたい。例えば、脂質は単純脂質、複合脂質、または誘導脂質でありうる。単純脂質は、例えば、アシルグリセロールまたはワックスでありうる。複合脂質は、例えば、ホスホアシルグリセロール、スフィンゴミエリン、セレブロシド、またはガングリオシドでありうる。誘導脂質は、例えば、ステロイド、カロテノイド、または脂質ビタミンでありうる。
【0103】
当技術分野において公知の脂質に関しては、例えば、Organic Chemistry 6th ed., Morrison and Boyd, Prentice hall, Englewood cliffs, NJ 1992のchapter 33ならびにテキストブック全体;Molecular biology of the cell 3rd ed., Alberts et al., Garland publishing, New York, NY, 1994のchapter 2ならびにテキストブック全体;およびOrganic Chemistry 3th ed., Loudon, the Benjamin/Cummings publishing co., Redwood city CA, 1995のchapter 21ならびにテキストブック全体も参照されたい。
【0104】
天然または合成脂質を使用することができる。脂質は水溶液中、それ自体で、または他の脂質と組み合わされて、リポソームを形成することができる。
【0105】
脂質は、水中では不溶であるが、非極性有機溶媒中では可溶となるようにする長い炭化水素鎖を含む化合物でありうる。
【0106】
脂質の別の例としては、脂肪、油、ステロイドおよびワックスが挙げられる。
【0107】
グリセリドは、グリセロールおよび脂肪酸から形成される脂質の1つの型である。グリセロールは3つのヒドロキシル基を含み、1つ、2つまたは3つの脂肪酸とエステル化されると、それぞれ、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドが形成される。脂肪酸の1つが糖またはホスフェートと置換されると、得られた化合物は、それぞれ、糖脂質またはリン脂質となる。脂肪酸は不飽和、飽和、一不飽和または多価不飽和でありうる。不飽和脂肪酸の例としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸が挙げられる。さらに、脂肪酸はcisまたはtrans配置を採用してもよい。脂肪酸鎖の長さは変動してもよい。例えば、脂肪酸炭化水素鎖は、3を超える炭素原子、3〜18の間の原子、または12〜20の間の炭素原子を含んでもよい。鎖は分枝であってもよく、またはそうでなくてもよい。1つの態様では、脂質化合物はリン酸基を含む。別の態様では、脂質化合物は糖基を含む。1つの態様では、脂質化合物は1つ、2つまたは3つの脂肪酸を含む。別の態様では、脂質化合物は、飽和、一不飽和または多価不飽和である少なくとも1つの脂肪酸を含む。脂質は2つの脂肪酸を含むことができる。少なくとも1つの脂肪酸は一不飽和でありうる。どちらの脂肪酸も一不飽和でありうる。脂肪酸はcisまたはtransとしてもよい。1つの態様では、少なくとも1つの脂肪酸は少なくとも3つの炭素原子を含む。別の態様では、少なくとも1つの脂肪酸は3〜18の間の、その間の全ての整数を含む炭素原子を含む。別の態様では、少なくとも1つの脂肪酸は12〜20の間の、その間の全ての整数を含む炭素原子を含む。
【0108】
脂質はリン脂質またはリン脂質誘導体でありうる。脂質はゲル-液晶転移温度を示すことができる。脂質の分子量は例えば250〜約2,000、または約500〜約1,500、または約500〜約1,000とすることができる。非制限的な例としては、ホスファコリン、ホスホグリセロール、ホスファチジン酸、ホスホセリン、PEGリン脂質、などが挙げられる。脂質は担体として機能することができる。1つの態様では、脂質は1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)である。他の例としてはPOPCおよびDMPCが挙げられる。例えば、パターニングすることができる脂質に関しては、Lenhart et al., Small, 2007, 3, no. 1, 71-75を参照されたい。
【0109】
1つの態様では、染料で標識した脂質の各々を担体脂質、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)中で希釈した(1wt%)。多重化DPNのための担体としてのDOPCの使用はいくつかの理由のために重要でありうる。第1に、染料で標識した異なる脂質インクの輸送特性を均一にすることができる。第2に、約25wt%までのある機能性脂質(例えば、ビオチニル化またはニッケルキレート脂質)をDOPCと混和することが可能である。第3に、生体膜の主な構造および機能成分であるので、リン脂質はよく研究されており、多くの生体分子と適合することができる[18]。
【0110】
別の態様では、パターニング組成物はタンパク質材料ならびにタンパク質およびペプチドを含むことができる。タンパク質材料としては、例えば、抗体、酵素、などが挙げられる。
【0111】
ペプチドおよびタンパク質態様では、ペプチド結合を含む様々な種類の化学構造を含むナノアレイを調製することができる。これらには、ペプチド、タンパク質、オリゴペプチド、およびポリペプチドが含まれ、それらは単純か、または複雑である。ペプチド単位は、非ペプチド単位と組み合わせることができる。タンパク質またはペプチドは、単一のポリペプチド鎖または複数のポリペプチド鎖を含むことができる。一般に、分子量がより高いペプチドが好ましいが、オリゴペプチドを含む分子量がより低いペプチドを使用することができる。ペプチド中のペプチド結合の数は、例えば、少なくとも3、10もしくはそれ未満、少なくとも100、約100〜約300、または少なくとも500でありうる。
【0112】
タンパク質は特に好ましい。タンパク質は単一か、または複合でありうる。複合タンパク質の例としては、核タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質および糖タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
タンパク質は、他のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドとの複合体中で共存した場合、機能的となる可能性がある。タンパク質はウイルスでありえ、ウイルスはタンパク質および核酸の複合体でありえ、DNAまたはRNA型である。タンパク質は、より大きな構造、例えば、球またはロッド構造のシェルでありうる。
【0114】
タンパク質の形状は球形または繊維状でありうる。後者は一般に、水に典型的には不溶の強固な材料である。これらは1つのポリペプチド鎖または、例えば、繊維形態のような、平行に配列された複数のポリペプチド鎖を含むことができる。例としてはコラーゲンおよびエラスチンが挙げられる。球状タンパク質は、隙間なく折り畳まれて球状または球形の形状とされ、大部分は水系に溶解できるポリペプチドである。例えば、多くの酵素は、抗体、いくつかのホルモンおよび輸送タンパク質、例えば血清アルブミンおよびヘモグロビンのように、球状タンパク質である。
【0115】
ミオシンおよびフィブリノーゲンのような、繊維状および球状の特性を有するタンパク質を使用することができ、これらは強固でロッド状構造であるが可溶性である。タンパク質は1を超えるポリペプチド鎖を有することができ、オリゴマータンパク質でありえ、それらの個々の成分はプロトマーと呼ばれる。オリゴマータンパク質は、普通は互いに共有結合により結合されていない、偶数のポリペプチド鎖を通常含む。ヘモグロビンはオリゴマータンパク質の一例である。
【0116】
組み入れることができるタンパク質の型としては、酵素、貯蔵タンパク質、輸送タンパク質、収縮タンパク質、保護タンパク質、毒素、ホルモン、および構造タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0117】
酵素の例としては、リボヌクレアーゼ、シトクロムc、リゾチーム、プロテアーゼ、キナーゼ、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼが挙げられるが、それらに限定されない。酵素およびそれらの結合機構は、例えば、Alan FershtによるEnzyme Structure and Mechanism, 2nd Ed.,1977において開示されており、15章に下記酵素型が含まれる:デヒドロゲナーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、リゾチーム、炭酸脱水酵素およびトリオースリン酸イソメラーゼ。
【0118】
貯蔵タンパク質の例としては、卵白アルブミン、カゼイン、フェリチン、グリアジンおよびゼインが挙げられるが、それらに限定されない。
【0119】
輸送タンパク質の例としては、ヘモグロビン、ヘモシアニン、ミオグロビン、血清アルブミン、β1-リポタンパク質、鉄結合グロブリン、およびセルロプラスミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0120】
収縮タンパク質の例としては、ミオシン、アクチン、ダイニンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0121】
保護タンパク質の例としては、抗体、補体タンパク質、フィブリノーゲン、およびトロンビンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
毒素の例としては、クロストリジム ボツリヌム(Clostridium botulinum)毒素、ジフテリア毒素、コレラ毒素タンパク質、Alexa Fluor 594修飾コレラ毒素タンパク質、ヘビ毒、およびリシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0123】
ホルモンの例としては、インスリン、副腎皮質刺激ホルモンおよびインスリン様成長ホルモン、ならびに成長ホルモンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0124】
構造タンパク質の例としては、ウイルスコートタンパク質、糖タンパク質、膜構造タンパク質、α-ケラチン、スクレロチン、フィブロイン、コラーゲン、エラスチン、およびムコタンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0125】
天然または合成ペプチドおよびタンパク質を使用することができる。使用することができるタンパク質は、例えば組換え法により調製される。
【0126】
好ましいタンパク質の例としては、免疫グロブリン、IgG(ウサギ、ヒト、マウス、など)、プロテインA/G、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、リゾチーム、ストレプトアビジン、アビジン、フェリチン、レクチン(Con. A)、およびBSAが挙げられる。ウサギIgGおよび、IgGにサンドイッチ構造で結合されたウサギ抗IgGは有用な例である。
【0127】
スプライソソームおよびリボゾームなどを使用することができる。
【0128】
非常に広範囲のタンパク質が当業者に公知であり、使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、A. L. Lehninger, 1970 によるBIOCHEMISTRYの55〜66ページの第3章、“Proteins and their Biological Functions:A Survey”を参照されたい。
【0129】
標識タンパク質および蛍光標識タンパク質を含む、追加のタンパク質について、下記実施例において記載する。タンパク質はコレラ毒素サブユニットBおよびトリプシン阻害剤を含むことができる。
【0130】
その他の態様は、様々な核酸を含む。例えば核酸は、例えば基材への化学吸着または共有結合のために調整された官能基を含むように、合成により製造し修飾することができ、または天然由来である。核酸は、低、中、または高分子量を有することができ、オリゴマーまたはポリマーでありうる。核酸は一本鎖、二本鎖、または三本鎖とすることさえできる。核酸はデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはそれらの組み合わせに基づくことができる。核酸の構造は一般に、例えば、Calladine and Drew, Understanding DNA, The Molecule and How it Works, 2nd Ed., 1997において記載されている。
【0131】
パターニングすることができる核酸の一般型としては、例えば、DNA、RNA、PNA、CNA、RNA、HNA、p-RNA、オリゴヌクレオチド、DNAのオリゴヌクレオチド、RNAのオリゴヌクレオチド、プライマー、A-DNA、B-DNA、Z-DNA、DNAのポリヌクレオチド、RNAのポリヌクレオチド、核酸のT接合部、非核酸ポリマー-核酸ブロックコポリマーのドメイン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。核酸の別の一般型としては、例えば、ウイルスRNAまたはDNA、疾患と関連する遺伝子、細菌DNA、真菌DNA、生物学的起源由来の核酸、ポリメラーゼ連鎖反応増幅の産生物である核酸、ナノ粒子と接触した核酸、および三本鎖複合体の産生に至る、ナノ粒子上でオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされた二本鎖核酸が挙げられる。
【0132】
一般に、核酸は、遺伝情報の貯蔵および複製ならびにタンパク質合成によるその情報の発現において中心的役割を果たす、細胞およびウイルス内で見られる有機物の一群のいずれかでありうる。プリン、ピリミジン、および炭化水素、ならびにリン酸は一般に核酸の基本的な有機物を特徴づける。プリンおよびピリミジンはヌクレオチド、ヌクレオシドであり、ここで、2-デオキシ-D-リボースまたはD-リボースの一級ヒドロキシ基がオルトリン酸によりエステル化される。ヌクレオシドは、プリンまたはピリミジン塩基が、N-原子を介してC-1に結合されており、2-デオキシ-D-リボースまたはD-リボースのいずれかのヒドロキシ基が置換されているが、リン酸基を有さない化合物である。生体系における一般的なヌクレオシドはアデノシン、グアノシン、シチジン、およびウリジン(リボースを含む)ならびにデオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、およびチミジン(デオキシリボースを含む)である。このように、プリン塩基はアデニンヌクレオチドまたはグアニンヌクレオチドであってもよい。ピリミジン塩基はチミンヌクレオチド、シトシンヌクレオチド、またはウラシルヌクレオチドであってもよい。
【0133】
核酸配列は、ランダムであってもよく、または所望のアミノ酸構造をコードするように特異的であってもよい。例えば、3つのヌクレオチドの群はコドンを含む可能性がある。1つのコドンは1つのアミノ酸を含む。核酸のコード領域はコドンを含む。
【0134】
核酸は自由に存在することができ、またはペプチドもしくはタンパク質に結合し、別々の束または構造化形態、例えば染色体などの核タンパク質を形成することができる。核酸はまた、一本鎖または二本鎖形態で存在することができる。核酸は直線、環状、またはスーパーコイルであってもよい。核酸は直接、細胞または細胞小器官から単離してもよい。プラスミドまたはクローニングベクターもまた核酸の例である。
【0135】
核酸はヌクレオチドから構成させることができ、それぞれが、糖(デオキシリボース)、リン酸基、ならびに窒素含有プリンおよびピリミジン塩基の混合物を含む。糖は環状または非環状形態をとってもよい。DNAはチミンおよびシトシンピリミジンのみを含み、ウラシルを含まない。DNAは細胞から、ゲノム、核またはミトコンドリアDNAとして細胞から単離してもよく、または合成により製造してもよい(すなわち、化学的過程により)。
【0136】
細胞中に存在する遺伝子は典型的には、DNAのエキソンおよびイントロンストレッチから構成されるゲノムDNAを含む。エキソンストレッチは、アミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチドを含み、一方、DNAのイントロンストレッチは、おそらくアミノ酸をコードするコドンを含まないヌクレオチドを含む。プリンおよびピリミジンのヌクレオチド配列は、その遺伝子により特定されるタンパク質のポリペプチド鎖中のアミノ酸の配列を決定する。
【0137】
DNAはまた、RNA依存性DNAポリメラーゼの作用により、RNA鋳型から合成した相補またはコピーDNA(cDNA)として単離されてもよい。例えば、cDNAはPCR増幅により、約100〜800マー鎖とすることができる。RNA鋳型がイントロンを除去するように処理された場合、cDNAはRNAが転写された遺伝子と同一ではない。このようにcDNAは、実際には大部分がエキソンであるヌクレオチドのストレッチを含んでもよい。
【0138】
二本鎖形態である場合、2つのDNA鎖は二重らせんを形成する。このらせんでは、1つの鎖中の各ヌクレオチドは、もう一方の鎖上の特定のヌクレオチドに水素結合される。このように、DNAでは、アデニンはチミンと結合し、グアニンはシトシンと結合する。各鎖中に存在するヌクレオチドの互いに結合する能力により、鎖が相補的であること、例えば、1つの鎖上の全てのアデニンに対し、もう一方の鎖上にはチミンが存在することが決定される。
【0139】
RNAは一般にDNAに類似する可能性があるが、デオキシリボースの代わりにリボース糖を、チミンの代わりにウラシル塩基を含む。RNAは一本鎖または二本鎖でありえ、細胞DNAから転写される。RNA分子はヘアピンループまたは他の二本鎖構造を形成してもよい。RNAは鋳型RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、全RNA、またはトランスファーRNA(tRNA)であってもよい。ポリソーム。本発明により、RNA-DNAハイブリッド分子を堆積させることができる。さらに、タンパク質-核酸、または「ペプチド核酸」(“PNA”)もまた、使用してもよい。
【0140】
相補ヌクレオチド間で示される結合特性は、核酸を、他の核酸に結合することができるプローブとして有用なものでありうる。核酸は標識することができ、プローブとして使用することができる。多くの標準標識技術のうちのいずれか一つによって、核酸プローブを使用してハイブリダイゼーションにより別の核酸を検出することができる。標識が、例えば、蛍光、放射性または酵素標識である場合、ハイブリダイゼーションを可視化または検出することができる。このように、本発明の核酸はまた、蛍光マーカーまたはタグのような検出可能な実体、金粒子、ストレプタビジン、ジゴキシゲニン、磁性ビーズ、または当業者に公知の他のマーカーを含むように、標識、または修飾することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Landesの米国特許第4,626,501号(“Labeled DNA”)を参照されたい。
【0141】
ヌクレオチドおよび核酸はまた、核酸分解に対し保護されるように修飾することができる。例えば、核酸はリポソーム内にカプセル化されてもよい。また、チオール基をポリヌクレオチド内に、例えば、RNAまたはDNA分子内に、ヌクレオチドのリン含有基を置換することにより、組み入れてもよい。そのように核酸の「骨格」に組み入れられた場合、チオールはその部位でのDNAの切断を阻止することができ、従って核酸分子の安定性が改善される。
【0142】
Cookらの米国特許第5,965,721号もまた、参照によりその全体が組み入れられるが、パターニング可能で、改善されたヌクレアーゼ抵抗性を有し、改善された細胞取り込みを有することができるオリゴヌクレオチドが開示されている。
【0143】
このように、インビボでの核酸処理のバイオアベイラビリティを、記載のように核酸を修飾することによって改善してもよい。例えば、修飾した核酸製剤は、増加した半減期を有する可能性があり、および/または非修飾核酸よりも長い期間、血漿中に保持される可能性がある。例えば、核酸およびポリエチレングリコールの製剤もまた、任意の公知の持続放出核酸製剤のように、インビボでの核酸の半減期を増加させる可能性がある。このように、核酸を修飾することによって、インビボでの核酸の効果および/またはそのバイオアベイラビリティが増加する可能性がある。
【0144】
核酸のサイズは、数ヌクレオチドのサイズからオリゴヌクレオチドまで、またはプローブ、ポリヌクレオチドまで、遺伝子、染色体フラグメントから染色体全体まで、およびゲノムまで、相当の範囲でありうる。例えば、一本鎖または二本鎖核酸は、少なくとも10-、20-、30-、40-、50-、60-、70-、80-、90、または100-ヌクレオチドまたは塩基対(bp)の長さであってもよい。さらに大きい場合、核酸は、少なくとも0.2kb、0.3kb、0.4kb、0.5kb、0.6kb、0.7kb、0.8kb、0.9kb、または1.0kbのサイズであってもよい。実際に、本発明で使用するための核酸は、少なくとも1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、もしくは10kbまたはそれ以上のサイズでありうる。1つの好ましいサイズ範囲は1〜2kbである。核酸は様々な長さのヌクレオチド鎖でありえ、典型的には、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと呼ばれる。オリゴヌクレオチドは、一般にヌクレオチドの直鎖状配列から得られるオリゴマーである。オリゴヌクレオチドは、例えば、約2〜約100、約2〜約20、約10〜約90、または約15〜約35ヌクレオチドを含むことができる。オリゴヌクレオチドアレイでは、約25マーのオリゴヌクレオチドを使用することができる。別の特別な範囲は約60〜約80マーであり、これは比較的長いオリゴヌクレオチドである。
【0145】
核酸の選択、プロービング、標識、および検出を含む、マイクロアレイ法は米国特許第6,379,932号および同第6,410,231号(Incyte Genomics)に記載されており、使用することができる。これらの特許は参照により全体が組み入れられる。これらの参考文献はディップペンナノグラフィー法について言及しているが、どのようにディップペンナノグラフィー法を使用して本明細書で記載したような改善されたナノアレイを作製することができるかについて示唆しておらず、またはそれについての手引きを提供していない。
【0146】
単一ヌクレオチドを含む化合物もまた、インクとして使用することができる。核酸混合物を使用することができ、1つのアレイ上の異なるスポットは異なる核酸を含むことができる。
【0147】
堆積のための核酸は、基材表面上への直接描画の堆積前、または後に、他の要素と共に製剤化または混合してもよい。このように、本発明の「インク」は、所望の核酸試料に加えて、基材表面に堆積させるための他の化学物質、化合物、または組成物を含んでもよい。溶媒および塩を使用して、核酸をチップに適用することができる。界面活性剤もまた使用することができる。例えば、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを所望の核酸と共に基材表面に堆積させてもよい。
【0148】
核酸アレイ、およびその中で使用される核酸の型は、例えば、A Primer of Genome Science, G. Gibson and S. Muse, 2002, Chapters3-4(123〜181ページ)において記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。この参考文献は、例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドアレイの両方、標識、ハイブリダイゼーション、および統計分析を記載する。cDNAアレイを使用して、何千もの遺伝子の発現の相対レベルを同時にモニタすることができる。PCR増幅させたcDNAフラグメント(EST)を、蛍光または放射性標識したcDNAに対し、スポッティングまたはプロービングすることができる。観察されたシグナル強度は、研究しているRNA群中に存在する転写物の量に比例すると仮定することができる。強度の差は、処理間の転写物レベルの差を反映する。統計学的および生物情報学的分析をその後、通常、確立した分子生物学的アプローチを用いて試験してもよい仮説を作成する目的で、実施することができる。しかしながら、現在のcDNAマイクロアレイは、15,000要素の上限を有する可能性があり、より高等な真核生物のゲノムにおいて存在する遺伝子の完全な組を示すことができない。オリゴヌクレオチド対cDNAマイクロアレイの利点および欠点は前記A Primer of Genome Scienceにおいて記載されており、本明細書で記載した核酸ナノアレイを構築する際に使用することができる。
【0149】
オリゴヌクレオチドはまた、標識オリゴヌクレオチドおよびフルオロ標識したオリゴヌクレオチドを含む下記実施例において記載されている。
【0150】
インクジェットプリントインク付け
インクジェットプリントは当技術分野において一般に公知である。インクジェットプリントの記載は、例えば、Madou, Fundamentals of Microfabrication, Chapter 3, CRC Press LLC(2002)において見出すことができる。インクジェットプリントを含む直接描画法は、例えば、連続モードインクジェットプリントおよびデマンドモード(ドロップオンデマンドを含む)インクジェットプリントを含む、第7章を含むDirect-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds)(2002)において記載されている。また、流体分配ノズルを含むインクジェットプリントの記載、ならびにインクウェルに対する記載については、米国特許第7,034,854号も参照されたい。インク分配システムは、全体または一部において、1つまたは複数のマイクロメカニカルMEMS装置から構成されてもよく、ノズル、流体チャネル、ポンプ、および必要であれば制御電子回路が組み入れられる。
【0151】
インクジェットプリントを使用して、パターニング組成物をチップ上に堆積させることができる。1つまたは複数のノズルと共に使用することができる。ノズルは、使用するパターニング組成物の型によって、任意の直径を有することができる。直径はまた、例えば50μm〜200μmの間とすることができる。例えば、1つの態様では、ノズルは遠隔圧電制御ノズルであり、約85μmの直径を有する。
【0152】
多重化は当技術分野で一般に公知である。例えば、多重化スキームの説明を図1A〜1Bに示す。パターニング組成物を用いた一または二次元アレイの多重化インク付けが可能である。特に、堆積は、少なくとも2つの異なるインク組成物を同時に堆積させることにより、実行することができる。パターニング組成物は、任意の型のインクでありうる。例えば、様々な型の脂質、例えば複数のフルオロフォア標識リン脂質を含むことができる。アレイは前に記載したように、多くのペンを含むことができる。例えば、2Dアレイは55,000のペンを含むことができる。1つの態様では、チップは金属、例えば金の薄膜でコートすることができる。チップはさらに、異なる無機または有機化合物で官能化させることができる。例えば、1つの態様では、チップは1-メルカプトウンデカノールで官能化され、一方、窒化ケイ素およびケイ素/SiO2を含む、チップおよび/もしくはカンチレバーの一部ならびに/またはサポートの一部を含むペンの残りの部分は、1-オクタデシルトリクロロシラン(OTS)で不動態化させることができる。この化学修飾工程は、毛管作用により誘発される、インク付けされたカンチレバーのケイ素/SiO2サポートへの粘着を克服することができるので、重要でありうる(図12を参照されたい)。
【0153】
多重化の間、複数のインクをチップから同時に基材上に堆積させることができる。インクは互いに同じか、または異なるものでありうる。例えば、インクは物理的または化学的に区別しうる。
【0154】
ペンは任意の適した距離で離間させることができる。例えば、1つの態様では、ペンは約250μm未満、例えば約150μm未満または例えば約100μm未満で離間させることができる。ペンの2Dアレイが使用される別の態様では、間隔は例えば、約200μm×200μm未満、例えば約100μm×100μm未満、例えば90μm×90μm未満とすることができる。間隔は正方形である必要はない。例えば、間隔は100μm×80μmまたは50μm×200μmとすることができる。
【0155】
一般に、先行技術の方法におけるインク付け過程は、インク溶液中にペンを数秒間浸漬し、その後にN2でブロー乾燥する工程を含む[1, 23-25]。しかしながら、この過程は、窒素(N2)ブローイングの期間および角度、ならびに浸漬の様式に依存しうる不均一な溶媒乾燥のために変動を引き起こす可能性がある。1つの態様では、このインク付け中の問題は、インク溶液をそれぞれの各チップ上にインクジェットプリントすることを使用することにより、または各チップに「独立してアドレスすること」により克服される。インク溶液は、例えば、アセトニトリルに溶解した飽和MHA溶液でありうる。説明を図8A〜8Bに示す。また、インク溶液は脂質またはODTなどの疎水性分子を含むことができる。明確な量のインクを各ペンに高空間分解能で送達させることができるので、インクジェットプリントは、溶液からのインク付けに関連する、再現性がないという問題を克服することができる方法である。個々にチップにアドレスした結果、表面上に堆積されたインクは広がらず、接触せず、これにより交差汚染が回避される。パターン均一性の説明は図9で見出すことができる。
【0156】
ノズルからチップ表面上に堆積されるパターニングインク組成物は、少なくとも一部は使用するノズルの幾何学的形態によって、任意の幾何学的形態でありうる。例えば、液滴はほとんど球状または涙形でありうる。液滴サイズは、交差汚染のない成功したインクジェットプリントに適合させることができる。各液滴は例えば、約10〜約200μmの間の直径を有することができる。
【0157】
実質的な交差汚染の阻止および他の利点
チップアレイおよびインクジェットプリントは、チップ上でのパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合させることができる。完全な阻止もまた達成することができる。これは、例えばチップが少なくとも100/cm2、または少なくとも500/cm2、または少なくとも1000/cm2、または実に少なくとも55,000/cm2のチップ密度で存在する態様を含む高密度チップアレイに対し特に重要でありうる。例えば、チップアレイは、チップの間隔を制御することにより適合させることができる。チップアレイはまた、異なる様式および位置で、互いに隣り合って配置されたチップの幾何学的形態により適合させることができる。チップの二次元アレイは、列間の間隔ならびに列内の間隔を調節することにより適合させることができる。1つの態様では、アレイは二次元アレイであり、1つの次元におけるチップの列に沿った約90μm未満の、および別の次元におけるチップ列の間の約90μm未満の、チップ間の間隔により特徴づけられる。
【0158】
インクジェットプリントは、例えば、アレイに対するインクジェットプリンタの位置合わせを制御することにより適合させることができる。さらに、チップ上にプリントされるパターニング組成物の量を制御することができる。
【0159】
交差汚染の量は、約5重量%未満、または約1重量%未満、または測定を越えて無視できるものでありうる。例えば、顕微鏡法または蛍光法を含む当技術分野において公知の分析法を使用して交差汚染を測定することができる。インクは、堆積前または堆積後、チップ上にある間に交差汚染について測定することができる。ペンがインクによりコートされていない場合、ペンは描画せず、これは交差汚染がないことの別の証拠となる。
【0160】
チップはインクジェットプリントによりコートすることができ、そのため、チップは均一にコートされ、複数のチップが均一にコートされうる。
【0161】
さらに、インクジェットプリントのための条件は、堆積速度を制御するように適合させることができる。例えば、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量は適合させることができる。例えば、液滴数は適合させることができる。パターニング組成物の濃度は適合させることができる。
【0162】
特に、インクジェットプリントおよび堆積は、チップ上のパターニング組成物の量と輸送速度との間で直接の関係を生じさせるように実行することができる。
【0163】
さらに、インクジェットプリントのための条件は、チップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合させることができる。チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物は、チップ上に実質的に同じ量で配置させ、チップから実質的に同じ拡散速度で堆積させることができる。例えば、チップ上のパターニング組成物は拡散速度において、約10%未満、または5%未満の標準偏差を有することができる。さらに、パターニングされた特徴のサイズは、約10%未満、または5%未満の標準偏差を有することができる。
【0164】
インクジェットプリント後、チップの保管寿命を測定することができる。例えば、保管寿命は少なくとも14日または少なくとも30日または少なくとも60日とすることができる。
【0165】
局在化/自己修正
インクジェットプリントにより提供されるアドレス可能性に関係なく、インク付けの空間分解能は、インクジェットプリンタのアレイ内のペンとの位置合わせを制限する機械的ヒステリシス、ノズルのサイズ、偶発的な液滴形成の不一致、および表面上でのインクの広がりにより制限される可能性がある[19-21]。これらの問題を克服するために、化学的ウェッティングおよび表面修飾プロトコルに基づくインク滴の指向性の乾燥を可能にする自己修正インク付け戦略を開発することができる[12, 26, 27] (図5を参照されたい)。1つの態様は、チップ、例えば、角錐チップが残りの領域よりも親水性となる(またはチップはより疎水性にすることができる)ように、ペンを異方的に官能化するものである。異方的な官能化は、表面エネルギーの違いによりチップ上でのインク滴の局在化を促進することができる。異なる親水性の少なくとも2つの領域を分離する境界線を形成させることができる。チップアレイはカンチレバー上に配置することができ、チップおよびカンチレバーは、特別なチップ領域でのインク組成物の局在化を促進するように表面適合させることができる。チップは、チップ上でのパターニング組成物の局在化を促進するようにコートすることができる。これは、有機材料により修飾されていない表面を有するチップの代案である。インクジェットプリントは、チップの表面全体に配置されるように少なくとも1つの液滴を噴射する工程、続いて、乾燥により液滴を縮小させチップ上で局在化させる工程を含むことができる。
【0166】
チップは、より親水性の構成要素である必要はない;例えば、チップは残りの領域、例えばカンチレバーよりも疎水性となるように官能化させることができる。さらに、チップ全体を、カンチレバーに比べ異なる親水性を有するように官能化することができる。例えば、カンチレバーがアレイで使用されない態様では、先端に近いチップの部分のみが、チップの残りとは異なる親水性を有するように官能化される必要がある。チップの官能化は、前のセクションで記載した通りである。
【0167】
1つの態様では、アレイのチップは、シャドウマスクとしてカバースリップなどのマスクを使用して金属、例えば金の薄層で選択的にコートすることができる(図13を参照されたい)。このアプローチにより、チップ領域を、例えばMHAを含むパターニング組成物を用いて、例えばアルカンチオール-金化学により局所的に官能化することができる[11] (図6)。1つの態様では、金の堆積工程は成形および移送ペンの微細加工過程に統合することができるので[4, 28]、この異方的な官能化戦略は、個々のAFMカンチレバーおよびペンアレイの両方に都合良く適用することができる[4]。例えば、320pLの液滴をアレイ内の個々のペン上に送達するためにこのアプローチおよびインクジェットプリンタを使用すると、そのような構造は、付近のペンの汚染または「交差汚染」なしに、選択的にアドレスされうる(図6A)。液滴は特別な用途のための加工製作物を製造するように適合された、関連する任意の体積でありうる。例えば、1000pL未満または1000pLを超えるものでありうる。750pL未満、例えば500pL未満でありうる。
【0168】
インク滴を官能化させたチップ領域内に局在化させることが一般に望ましい。チップがMHAにより官能化される1つの態様では、官能化された領域は、MHAで官能化された金基材上で乾燥されたMHA/エタノールの液滴に関する総フットプリント領域の2%未満である。しかしながら、この実験は、カンチレバーアームからチップへの選択的インク局在化を示さない。1つの態様では、光学顕微鏡法で示されるように、液滴が乾燥するにつれ、インクは疎水性カンチレバーアームから親水性チップに移動することができる。液膜は疎水性-親水性境界で崩壊し、これにより、インクはチップ領域に限定される(図6B)。対照実験により、インクは天然の窒化ケイ素カンチレバー上ではランダムに乾燥することが示される。
【0169】
チップは、リソグラフィーおよびパターニング工程を含む当技術分野で公知の方法により処理することができる。カンチレバーの後側は当技術分野において公知のように官能化させることができる。
【0170】
リン脂質がパターニング組成物において使用される別の態様では、金でコートしたペンを疎水性分子、ODTで官能化することによりリン脂質インク滴が、チップにより良好に限定されることを見出すことができ;液滴のフットプリントは、親水性のMHA官能化表面上と比べて約50%減少した。
【0171】
別の態様は、カンチレバーアレイを含み、カンチレバーはその上にチップを有し、カンチレバーおよびチップは堆積されたインクジェット滴のチップ上への局在化を促進するように適合される、装置を提供する。局在化は親水性-疎水性境界の使用により促進することができる。
【0172】
局在化はまた、他の構造、例えばインクウェルまたは米国特許第7,034,854号において記載されているようなポストのようなチップのような構造に適用することができる。
【0173】
コンタクトプリンタ表面
ソフトリソグラフィーおよび直接描画技術を含み、例えば、チップを用いたDPNプリンティングおよびスタンプを用いたマイクロコンタクトプリンティングを含む、接触プリンティング法は当技術分野において公知である。接触プリンティングでは、インクは、連続過程によるかまたは並行過程によるかに関係なく、コンタクトプリンタ表面から基材表面まで流れ、またはそうでなければ、堆積される。
【0174】
自己修正法は、記載したようなインクジェットプリントインク組成物と共にのみ、使用する必要はない。例えば、独立してアドレスされるチップは自己修正法なしで使用することができる。同様に、自己修正された、官能化チップは、チップが独立してアドレスされるリソグラフィーのためだけに使用される必要はない。さらに、インクをチップから基材上へ転写させる堆積法は、特別な型である必要はない。例えば、堆積法はDPNまたはマイクロコンタクトプリンティングでありうる。
【0175】
コンタクトプリンタ表面は開口を含むことができる。または、開口を含む細長いビームを含むことができる。
【0176】
下記の非制限的な実施例において別の態様を提供する。
【0177】
非制限的な実施例
材料および方法
材料
16-メルカプトヘキサデカン酸(MHA、90%)、1-オクタデカンチオール(ODT、98%)、およびエタノール(200アルコール度、HPLCグレード)をSigma-Aldrichから購入した。Ti(99.7%)およびAu(99.99%)ワイヤをAlfa Aesar, Ward Hillから購入した。リン脂質は全てAvanti Polar Lipids, Inc.から購入し、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(リサミンローダミンBスルホニル)アンモニウム塩(ローダミン)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホニル)(ダンシル)、および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(カルボキシフルオレセイン)(フルオレセイン)が含まれる。
【0178】
インクジェットプリント
インクジェットプリントは、320pLの液滴を分配する85μm圧電制御ノズルを有するドロップオンデマンドマイクロディスペンサーシステム(Piezorray(商標)、Perkin Elmer, Inc., Waltham, MA)を使用して実行した。液滴の形成は、電圧およびパルス幅の分配条件(70V、40μsec)を調節することにより制御し、これらは、CCDカメラを使用して実時間でモニタすることができた。システムは環境チャンバに封入され、X-Y位置精度は25μmであった。インク溶液はエタノールに溶解したMHA(0.5〜10mM)、水に溶解したDOPCリン脂質(1wt%のフルオロフォア標識脂質を有する10g/Lの多重膜ベシクル)、および飽和MHA-アセトニトリル溶液を含んだ。
【0179】
ディップペンナノリソグラフィー
DPN実験を、100μmスキャナおよび閉ループ走査制御装置を備えたNScriptor(商標)(NanoInk, Inc., Skokie, IL)またはAFM(CP-III、Veeco/Thermomicroscopes, Sunnyvale, CA)を用いて実施した。DPNパターニング実験は全て、制御された環境(約40〜75%の相対湿度、20〜24℃)下で実行した。多結晶Au膜は、1Å/sの速度、<5×10-6Torrの基準圧で、SiOx上で5〜10nmのTiを、続いて25nmのAuを熱蒸着することにより調製した。
【0180】
実施例1:アレイにおけるチップの独立したアドレッシング
インクジェットプリントは、アレイ内で各ペンを独立してアドレスさせることが証明された。遠隔圧電制御ノズルを使用して、インクジェットプリンタは直接ピコ〜ナノリットルの体積のインクを各ペンに送達することができる。空中では、液滴直径は40〜100μmの範囲であるが、基材に衝突した場合数百μmまで増加する[19-22]。このインク付けプロトコルにより、多数の化学的に異なるインクを1Dまたは2Dペンアレイ内の各または数個のペンに送達させることができる。このアプローチを評価するために、図2Aに示すように、MHA/エタノール溶液(10mM、約320pLの液滴)で7-ペンの1Dアレイ内の1つおきのペンをアドレスし、コートすることができるか研究した。その後、このインクコートペンアレイをDPN実験で使用して、金薄膜基材上に4×4アレイの1.5μm直径のMHA特徴を作成した。露出した金のその後のエッチングにより、光学顕微鏡法により、より容易に特徴づけることができる隆起した特徴が残された;図2Bを参照されたい。4つのインク付けされたカンチレバーのみがパターンを生成したことに注目されたい。この実験により、150μm離間されたカンチレバーは交差汚染なしでアドレスされることが証明された。
【0181】
インクジェットプリントを使用して、アレイ内の異なるペンへ同量のMHAインクを送達するとサイズが同様のパターン特徴が得られることも見出された。パターンサイズは、MHAパターンのインサイチュー水平力顕微鏡法(LFM)により、光学顕微鏡法により前記の隆起した金構造を調べることにより、および、原子間力顕微鏡法(AFM)によっても、測定した。同じアレイ内の4つの異なるペンにより作成した特徴サイズの標準偏差は4.4±1.4%であり、異なるペンアレイ間ではほんのわずかに増加し、4.8±0.7%となった。このサイズ変動は、浸漬コートペンアレイに比べ非常に小さく、浸漬コートペンアレイのインク拡散速度はペン間で10%を超えて変動する可能性があり(標準偏差)、アレイ間では任意である。インク付けしたペンアレイは、少なくとも1ヶ月の保管寿命を有し、10%未満の特徴サイズの変動で、100nmまでの高品質な特徴を作成することができる。特徴サイズの変動の光学顕微鏡像は、例えば、図10A〜10Dにおいて見出される。これらの研究から、溶液中での浸漬コーティングによりインク付けされたペンアレイに関連する拡散速度の大きな変動は、主に、ペン上での不均一なインク分布から生じたことが確認される。
【0182】
多重化の可能性を評価するために、7-ペンアレイ内の1つおきのカンチレバーの、異なるフルオロフォア標識リン脂質を有する各々を、4つのインクの各々について、吸引、分配(インク付け)、およびクリーニングのサイクルを通過するように単一インクジェットノズルをプログラミングすることにより、インク付けした(図3A)。インク付けしたペンアレイをその後使用して、4つの異なるインクを正方形アレイでパターニングした。各正方形は10μmとし、300nmの平行な線の特徴から作成した。意義深いことに、ペンの間隔は150μmであったが、この技術および機械的なステージを使用して、ペンをAFMの標準視野(90μm×90μm)内外に移動させることができ、1つの視野内で異なる材料からなる構造を作成することができる(図3B)。このパターンにより、インクジェットプリントは複数のインクを用いる多重化DPNを可能にすることが証明された[2, 3, 16]。
【0183】
複数のフルオロフォア標識リン脂質を用いた二次元アレイの多重化インク付けもまた可能である。概念を証明する実験では、55,000のペンの2Dアレイ[4, 5]の、金でコートしたチップを1-メルカプトウンデカノールで官能化し、残りの領域(窒化ケイ素およびケイ素/SiO2)は、1-オクタデシルトリクロロシラン(OTS)を用いて不動態化した。この化学修飾工程により、毛管作用により誘発される、インク付けされたカンチレバーのケイ素/SiO2サポートへの粘着が克服される(図12を参照されたい)。1つの実験では、フルオロフォア標識リン脂質を、55,000のペンの2Dアレイの1象限に「NU」パターンでプリントした(図4Aおよび図11)。インク付けされたペンアレイを、その後、DPNパターニングのために使用した。この2Dアレイの隣接するペンの間の間隔が20μmであったために、各インクジェット滴は、1ではなく5〜7のペンを覆った。さらに、インク付けは、液滴が基材に衝突した時点での液滴の広がりのために、完全に均一ではなかった。これらの問題は両方とも、アレイ内でのペン間の間隔を増加することにより対処することができる。実際、概念の証明として、90μm×90μmのペン間の間隔を有する2Dペンアレイを用いて、単一のペンのアドレス可能性が達成された(図4B〜D)。リン脂質インク滴は、金でコートされたペンを疎水性分子ODTで官能化させることにより、よりよくチップに限定され;液滴のフットプリントは、親水性のMHA官能化表面上と比べて約50%減少したことに注目されたい。
【0184】
インクジェットプリントにより提供されるアドレス可能性に関係なく、インク付けの空間分解能は、インクジェットプリンタのアレイ内のペンとの位置合わせを制限する機械的ヒステリシス、ノズルのサイズ(本明細書で使用されるシステムに関しては約85μm直径)、偶発的な液滴形成の不一致、および表面上でのインクの広がりにより制限される[19-21]。これらの問題を克服するために、化学的ウェッティングおよび表面修飾プロトコルに基づくインク滴の指向性の乾燥を可能にする自己修正インク付け戦略が開発された[12, 26, 27] (図5を参照されたい)。基本概念は、角錐チップは親水性であり、残りの領域は疎水性であるように、ペンを異方的に官能化するものであった。異方的な官能化は、表面エネルギーの違いにより親水性チップ上でのインク滴の局在化を促進する。
【0185】
アレイのチップは、シャドウマスクとしてカバースリップを使用して金の薄層で選択的にコートした(図13を参照されたい)。このアプローチにより、チップ領域を、MHAを用いてアルカンチオール-金化学により局所的に官能化することができる[11] (図6)。金の堆積工程は成形および移送ペンの微細加工過程に統合することができるので、この異方的な官能化戦略は、個々のAFMカンチレバーおよびペンアレイの両方に都合良く適用することができる[4]。320pLの液滴をアレイ内の個々のペン上に送達するためにこのアプローチおよびインクジェットプリンタを使用すると、そのような構造は、付近のペンの汚染なしに、選択的にアドレスされうる(図6A)。インク滴はMHAで官能化されたチップ領域内に局在化され、この領域は、MHAで官能化された金基材上で乾燥されたMHA/エタノールの液滴に関する総フットプリント領域の2%未満である。しかしながら、この実験は、カンチレバーアームからチップまでの選択的なインクの局在化を示さない。局在化を評価するために、2mM MHA/エタノール溶液の0.2μLの液滴を7-ペンアレイのカンチレバーおよびチップ領域上に堆積させた(図6B、5つのペンを図示する)。光学顕微鏡法により、液滴が乾燥するにつれ、インクは疎水性カンチレバーアームから親水性チップに移動することが示された。液膜は疎水性-親水性境界で崩壊し、これにより、インクはチップ領域に限定された(図6B)。対照実験では、インクは本来のSixNyカンチレバー上ではランダムに乾燥することが示された。
【0186】
別の実験では、ケイ素上に金が存在する基材(25nm 金/5nm Ti/SiOx/Si)をODT単層で修飾し、続いて、ガラスカバースリップにより覆われていない領域上で金の第2の堆積を実施した。第2の金の領域はMHAで官能化した。この手順により、基材の疎水性部分と親水性部分との間ではっきりとした境界が形成される。10mM MHA/エタノールインク滴のアレイを境界上および境界付近に、液滴-境界の距離を変動させて、直接堆積させた。境界の230μm内にあるがODT側上にある液滴に関しては、インク滴は全て基材のMHA側に移動した(図7)。そのため、カンチレバーアーム上のインクがチップに移動するので、均一なチップのインク付けを得るためにアレイのチップを完全にアドレスする必要がない。
【0187】
異方的に官能化させた7ペンアレイ上で0.2mM MHA-エタノール溶液の0.2μlの液滴を乾燥させることを、1秒につき1フレームの速度で、5秒間隔で各フレームをとり、動画に記録した。
【0188】
下記参考文献は、上記で引用され、参照により本明細書でその全体が組み入れられ、主張した態様を実施するためのさらなる実現サポートを提供する。
参考文献
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2008年5月21日に出願された米国特許仮出願第61/055,028号;2008年4月24日に出願された同第61/047,630号;および2007年8月8日に出願された同第60/954,732号に対して優先権を主張し、これらの開示内容全体は、参照により全体として本明細書に組み入れられる。
【0002】
連邦政府補助金の表示
本明細書で記載した態様は、下記助成金の下で開発された:空軍科学研究局助成金第FA9550-08-1-0124および国立科学財団(NSF)、助成金番号EEC-0647560。政府は本発明において一定の権利を有する。
【背景技術】
【0003】
背景
引用した参考文献は、本特許出願において後に列挙する。
【0004】
ディップペンナノリソグラフィープリンティングは、例えば、DNA、リン脂質およびタンパク質を含む生体材料を含む様々な材料を、表面上に高レジストリ、サブ50nmの解像度で、直接プリントすることを可能にする[1-3]。大規模並列DPNの開発により、1cm2あたり55,000ものAFMカンチレバー数を含む二次元(2D)ペンアレイの使用によって、DPNのスループットが実質的に増加した[4,5]。それにもかかわらず、容易な多重化、または異なる材料から構成される構造を同時に生成させる能力は、依然として一連のDPNに基づくナノ作製ツールを開発する際の課題である。さらに、溶液から描画器具への一貫性のない、不均一なインク付けが、場合によっては、特別な用途のためのDPNの進歩を妨害する可能性がある。
【0005】
Hongらは、異なるチップを連続過程で使用した、高レジストリの2つの異なるインク、16-メルカプトヘキサデカン酸(MHA)および1-オクタデカンチオール(ODT)の直接DPNパターニングを初めて実証した[16]。このアプローチは、場合によっては、2つのインクの拡散速度および実験において作成されたナノ構造の対応する線幅に対し、不十分な制御を提供する可能性がある。後に、研究者達は、一体化マイクロ流体チャネルを通して様々なインクを充填することができる微小なインクウェルを開発した。例えば、米国特許第7,034,854号(特許文献1)を参照されたい。これらのインクウェルは、単一ペンアレイから複数のインクを同時DPNプリンティングするために、一次元(1D)カンチレバーアレイ内の異なるペンをアドレスするために使用される[17]。この技術により、使用できるインクウェルの数によって、単一の工程で8までの異なるインクを直線的なペンアレイにインク付けすることができる[18]。このアプローチは、比較的少数のペンからなる直線的なカンチレバーの状況で、わずかな数のインクしか統合されないいくつかの研究用途を含む多くの用途に対してはうまくいくが、この方法は、何千または実に何百万というペンから構成される2Dアレイには直接拡張することができない。例えば、1cm2に55,000の、個々にアドレス可能なインクウェルを含むインクウェルチップ(chip)は、インクリザーバが占める領域に対応するためだけに、0.5cm2よりも多くを必要とする。
【0006】
そのような性能は、それによって研究者が例えば、下記を実施することが可能になるので望ましい:(i)前例のない化学的および生物化学的複雑性を有するナノアレイ[6-10]を作製する;(ii)パターニングされた特徴の各々が、より高い秩序の構築物を製造するための異なる構成要素の配置を制御するように、親和性テンプレート[11,12]の使用により材料アセンブリを制御する;ならびに(iii)生物学的に意味のある長さスケールでの、パターニングされた表面とタンパク質、ウイルス、胞子、および細胞との間の多価相互作用の理解を発展させる[13-15]。これまでは、DPN実験の状況における多重化のための方法は、アレイの各ペンを異なる分子でアドレスし、インク付けすることに関連する課題のために、一般に制限されていた。
【0007】
そのため、例えば、アレイ内の異なるペンに、より均一に実質的に同じ量のインクをコートする、異なる分子のインク中での拡散速度を制御する、およびアレイ内の各ペンに独立したアドレス可能性でインク付けすることができるインク付け技術を開発する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第7,034,854号
【発明の概要】
【0009】
概要
本明細書では、インクをプリントまたは堆積させる方法、およびプリントのためにプリンタを準備する方法、ならびにプリントするための装置、かつ、プリンタを使用する、およびインク付けする方法を提供する。
【0010】
1つの態様は、少なくとも1つのチップアレイを提供する工程;互いに異なる少なくとも2つのパターニング組成物を提供する工程;少なくとも2つの異なるパターニング組成物をチップの少なくともいくつか上にインクジェットプリントする工程;およびインクジェットプリントしたパターニング組成物の少なくともいくらかを基材表面上に堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでチップアレイおよびインクジェットプリントは、チップ上のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される。
【0011】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程;およびインクジェットプリントされたパターニング組成物を基材表面上に堆積速度で堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでインクジェットプリントのための条件は堆積速度を制御するように適合される。
【0012】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を、少なくとも2つのチップを含む少なくとも1つのチップアレイ上にインクジェットプリントする工程;およびパターニング組成物をチップから基材表面上に堆積させ、複数の特徴を形成させる工程、を含む方法を提供し、ここでインクジェットプリントのための条件はチップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合される。
【0013】
別の態様は、コンタクトプリンタ表面を提供する工程;少なくとも1つのパターニング組成物をコンタクトプリンタ表面上に配置する工程;および、配置したパターニング組成物の少なくともいくらかをコンタクトプリンタ表面から基材に堆積させる工程、を含む方法を提供し、ここでコンタクトプリンタ表面は、パターニング組成物の、表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される。
【0014】
別の態様は、少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのアレイ内の少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程を含む方法を提供し、ここでチップは、チップ上のパターニング組成物の局在化を促進するように処理されている。
【0015】
別の態様は、カンチレバーアレイを含み、カンチレバーはその上にチップを有し、カンチレバーおよびチップは堆積されたインクジェット液滴のチップ上への局在化を促進するように適合される装置を提供する。
【0016】
別の態様は、インクウェルを提供する工程、少なくとも1つのパターニング組成物をインクウェル表面上に配置する工程、を含む方法でり、ここでインクウェル表面は、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される。
【0017】
特別の態様では、DPNの状況における多重化インク付け問題に対処する、ペンアレイにインク付けするためのアプローチが提供され、関連するナノリソグラフィーが本明細書で提供される。特に、1Dまたは2Dアレイ内のペンのチップは、インクジェットプリンタを用いて異なる化学的に別個のインクで独立してアドレスさせることができる。さらに、ペンアレイ内のチップの表面を修飾する技術が記載されているが、この技術は、インク滴をカンチレバーのチップに誘導する。インク(または「パターニング組成物」)を送達するこの方法は、いくつかの態様では、インク付け過程に対する制御を提供することができ、DPNを、高スループット、高解像度、および多重化能力を独自に結合させる一般的なナノ作製ツールに変換することができる。
【0018】
本明細書における少なくとも1つの態様の少なくとも1つの利点は、より良好な再現性、インクのプリント速度に対するより良好な制御、および交差汚染の回避を含む、プリント過程に対するより良好な制御である。
【図面の簡単な説明】
【0019】
特許または出願ファイルは、カラーで実行された少なくとも1つの図面を含む。カラー図面を有するこの特許または特許出願公開のコピーは、要請および必要な料金の支払いがあれば、特許庁により提供される。
【図1】図1A〜1Bは、(A)インクジェットプリントによるペンアレイのアドレス可能なインク付け、および(B)多重化ディップペンナノリソグラフィー、に関するスキームを示す。
【図2】図2A〜2Bは、1Dペンアレイのアドレス可能なインク付けを示す。(A) 1つおきのペンを1滴のMHA-エタノール溶液(10mM、320pL)でインク付けした1Dペンアレイの光学像および(B)インク付けしたペンアレイを用いてパターニングした対応する金のナノ構造。
【図3】図3A〜3Bは、リン脂質を用いた1Dペンアレイの個々にアドレス可能な多重化インク付けを示す蛍光像である。(A)4つの異なるフルオロフォア標識リン脂質でインク付けしたペンアレイ(右に構造を示す)。(B)スライドガラス上に描画した対応する多重化パターン。
【図4】図4A〜4Dは、リン脂質を用いた2Dペンアレイのアドレス可能なインク付けを示す。(A)2Dペンアレイ上にプリントした4つのフルオロフォア標識リン脂質(90μm×20μm間隔)。(B)2Dアレイにおける1つおきのペンにアドレスされたローダミン標識リン脂質(90×90μm間隔)および(C、D)スライドガラス上に描画した対応する700nmの線幅のパターン。(A)において直面するクロストークの問題は、ペンとペンとの間隔を90μm×90μmまで増加させると排除される。
【図5】異方的に官能化されたペンの、自己修正インク付けに関するスキームを提供する。ペンは、チップ領域が親水性となり(MHA官能化)、残りの領域が疎水性となるように(ODT官能化)官能化される。インク分子は表面エネルギーの違いのために、親水性領域に優先的に誘導される。
【図6】図6A〜6Bは、異方的に官能化されたペンの、自己修正インク付けを示す。(A)3滴の10mM MHA/エタノール溶液(それぞれ320pL)を各チップ上でインクジェットプリントすることによる、ペンアレイ内のペン(白色矢印)のアドレス可能なインク付け。異方的に官能化された領域(赤い矢印により印付けされた境界)は、インク滴が乾燥した場所を定める。挿入図は、AFMプローブの異方的な官能化を示し、これは3つの工程から構成される:(1)後側を20nm Au/5nm Tiの薄層でコートし、1H,1H,2H,2H-ペルフルオロデカンチオールで官能化する、(2)シャドウマスクとしてガラスカバースリップを使用して、チップ領域の前側を金でコートする(10nm Au/4nm Ti)、および(3)チップのAuコートした前側をMHAで選択的に官能化する。(B)MHA/エタノール溶液で浸漬コートした、異方的に官能化させたペンの光学顕微鏡写真。インクは親水性チップ領域に制限されることに注目されたい。
【図7】図7A〜7Bは、疎水性-親水性境界上およびその近くでのインクジェット液滴のフットプリントを示す。(A)MHA-ODT境界付近でプリントされたMHAインク滴(320pL、10mMを含むエタノール)のフットプリントを示す代表的な光学像。フットプリントの半径はMHAについては233.3±6.2μmであり(左)、ODTについては35.7±3.7μmである(右)。液滴が疎水性-親水性境界に衝突すると、疎水性側の上の部分がMHA側に誘導され、局在化される(中心)。(B)MHAが完全に親水性側に局在化されたことを示すAFM像。
【図8】図8A〜8Bは、ペンとペンとの異なる間隔を有するカスタムペンアレイ上でのMHA(飽和アセトニトリル溶液)のインクジェットプリントを示す。(A)インク付けしたペンアレイの光学顕微鏡像。(B〜C)ペン3(インク付けされている)がDPNに有効である(0.015μm2 sec-1のインク拡散速度)ことを示す水平力顕微鏡像。(D)ペン4(インク付けされていない対照)はパターンを作成しなかった。DPNは49%の相対湿度で実行した。
【図9】インクジェットプリントされたペンアレイのパターンの均一性を示す。2滴のMHA-エタノール溶液(10mM、320pL/滴)を1つおきのペン上にインクジェットプリントした。DPNを40%の相対湿度で実行し、1ドットあたりの滞留時間は360秒とする。同じアレイ内でペンにより作成した金のパターンの標準偏差は4.4±1.4%であり、3つの異なるペンアレイと比較した場合4.8±0.7%まで増加する。
【図10】図10A〜10Dは、浸漬コーティングによりインク付けしたペンアレイのパターンサイズ変動を提供する。(A)浸漬コートしたペンアレイの光学顕微鏡像。(B)「A」におけるペンアレイにより作製された隆起した金の特徴の暗視野顕微鏡像。(C〜D)(B)において囲まれた部分のより高倍率のパターン。同じアレイ内の異なるペンにより作成したドットの標準偏差は少なくとも9.9%であった。両方のインク(2mM MHA-エタノール溶液および飽和MHA-アセトニトリル溶液)は同様の標準偏差を示した。この特別な実施例では、DPNは50%の相対湿度で実施し、各ドットに対する滞留時間は30秒であった。ドットを連結する「C」における線は、ペンが表面との接触から完全に除去されなかったために存在することに注目されたい。
【図11】図11A〜11Bは、パターン「NU」を有する55,000のペンの2Dアレイ上にプリントしたリン脂質を示す。(A)光学像。(B)「U」パターンを構成するローダミン標識DOPCインクを示す蛍光顕微鏡像。ここで、2DペンアレイはSiO2サポート上に存在した。カンチレバーは、公開されたプロトコルに従い、チタン/金でコートし、アニールし屈曲させた。カンチレバーの後側およびSiO2サポートをオクチルトリクロロシラン(OTS、1vol%を含むヘキサンで30分間)で官能化し、一方、前側は11-アミノ-1-ウンデカンチオール(AUT、1mMを含むエタノールで20分間)で官能化した。この官能化により、カンチレバーの後側およびSiO2サポートは疎水性になり、これにより、カンチレバーをSiO2サポートに接着させる毛管作用が阻止される。
【図12】図12A〜12Bは、(A)DOPCインク滴によりカンチレバーが毛管作用のためにサポートに粘着したことを示す。光学顕微鏡像はインク付けされたチップがSiO2サポートの焦点面内にあることを示す。(B)この粘着の問題は、カンチレバーの後側およびSiO2サポートをオクタデシルトリクロロシラン(OTS)で官能化することにより排除された。
【図13】図13A〜13Dは、金のシャドウマスク堆積により作製した異方的な構造のペンを示す。カバースライドガラスをマスクとして使用し、カンチレバーの選択した領域を金の堆積のために暴露させた。(A)官能化スキーム。(B〜D)金でコートされた様々な領域を有するカンチレバーを示す光学顕微鏡像。金の領域は増強した反射のためにより明るくなっている。矢印はSixNy-Au境界を定める。
【発明を実施するための形態】
【0020】
詳細な説明
本明細書で言及した出版物、特許出願、および特許は全て、参照により、図面、特許請求の範囲、実施例、および支援情報を含むその全体が、組み入れられる。
【0021】
序論
本明細書で引用した参考文献は全て、参照により、その全体が本明細書に組み入れられる。
【0022】
2008年7月24日にオンラインで公開されたWangらによる論文“A Self-Correcting Inking Strategy for Cantilever Arrays Addressed by an Inkjet Printer and Used for Dip-Pen Nanolithography”,Small,2008は参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0023】
2008年5月21日に出願された優先権主張米国特許仮出願第61/055,028号;2008年4月24に出願された同第61/047,630号;および2007年8月8日に出願された同60/954,732号の開示内容は全て、参照により、図面を含むその全体が本明細書に組み入れられる。
【0024】
器具類、材料、および方法を含むDPNプリンティングは、当技術分野において一般に公知である。本明細書で記載した様々な態様の実施では、リソグラフィー、マイクロリソグラフィー、およびナノリソグラフィー機器、ペンアレイ、アクティブペン、パッシブペン、インク、パターニング化合物、キット、インク送達、ソフトウエア、ならびに直接描画プリンティングおよびパターニングのためのアクセサリは、NanoInk, Inc., Chicago, ILから入手可能である。ソフトウエアとしてはINKCADおよびNSCRIPTORソフトウエア(NanoInk, Chicago, IL)が挙げられ、リソグラフィー設計および制御のためのユーザインタフェースが提供される。E-Chamberを環境制御のために使用することができる。ディップペンナノリソグラフィー(Dip Pen Nanolithography)(商標)およびDPN(商標)はNanoInk, Inc.の商標である。
【0025】
カンチレバー、チップおよびパターニング化合物を用いる直接描画プリンティングに関連する下記特許および共に係属中の出願は、参照により、その全体が本明細書に組み入れられ、インク、パターニング化合物、ソフトウエア、インク送達装置などを含む、本明細書で記載された様々な態様の実施において使用することができる。
【0026】
Mirkinらの米国特許第6,635,311号は、インク、チップ、基材、および他の器具類パラメータおよびパターニング法を含むDPNプリンティングの基本的な局面を記載する。
【0027】
Mirkinらの米国特許第6,827,979号は、ソフトウエア制御、エッチング手順、ナノプロッター、ならびにコンプレックスおよびコンビナトリアルアレイ形成を含むDPNプリンティングの基本的な局面をさらに記載する。
【0028】
2002年9月5日に公開された米国特許出願公開第2002/0122873 A1号(“Nanolithography Methods and Products Produced Therefor and Produced Thereby”)は、DPNプリンティングの開口態様および駆動力態様を記載する。
【0029】
2003年2月14日に出願されたEbyらの米国普通特許出願第10/366,717号(“Methods and Apparatus for Aligning Patterns on a Substrate”)は、DPNプリンティングに対する整合法を記載する(2003年10月2日に2003/0185967として公開)。
【0030】
2003年2月28日に出願されたDupeyratらの米国普通特許出願第10/375,060号(“Nanolithographic Calibration Methods”)は、DPNプリンティングに対する較正法を記載する。
【0031】
Mirkinらの2003年4月10日に公開された米国特許出願公開第2003/0068446号(“Protein and Peptide Nanoarrays”)は、タンパク質およびペプチドのナノアレイを記載する。
【0032】
Mirkinらの2002年12月2日に出願された米国普通特許出願第10/307,515号(“Direct-Write Nanolithographic Deposition of Nucleic Acids from Nanoscopic Tips”)は、核酸パターニングを記載する(2003年6月12日に公開されたPCT/US2002/038252)。
【0033】
Mirkinらの2002年12月17日に出願された米国普通特許出願第10/320,721号(“Patterning of Solid State Features by Direct-Write Nanolithographic Printing”)は、反応性パターニングおよびゾルゲルインクを記載する(現在、2003/0162004として2003年8月28日に公開)。
【0034】
Liuらの米国特許第6,642,129号および同第6,867,443号(“Parallel, Individually Addressible Probes for Nanolithography”)は、アクティブペンアレイを記載する。
【0035】
Schwartzの、2003年1月9日に公開され、米国特許出願公開第2003/0007242号(“Enhanced Scanning Probe Microscope and Nanolithographic Methods Using Same”)。
【0036】
Schwartzの、2003年1月9日に公開された米国特許出願公開第2003/0005755号(“Enhanced Scanning Probe Microscope”)。
【0037】
現在、第2004/0101469号として公開されている、2003年8月11日に出願された米国特許出願第10/637,641号は、触媒ナノ構造およびカーボンナノチューブ用途を記載する。
【0038】
2004年2月12日に2004/0026681として公開されて現在公開されている、2003年5月23日に出願された米国特許出願第10/444,061号、および2004年1月15日に公開された米国特許出願公開第2004/0008330号は、それぞれ、タンパク質および導電ポリマーのプリンティングを記載する。
【0039】
現在、米国特許第7,005,378号となっている、2003年8月26日に出願された米国特許出願第10/647,430号は、パターニング化合物として導電性材料を記載する。
【0040】
2004年9月9日の2004/0175631として現在公開されている、2003年10月21日に出願された米国特許出願第10/689,547号は、フォトマスク修復を含むマスク用途を記載する。
【0041】
2005年2月17日の2005/0035983として現在公開されている、2003年11月12日に出願された米国特許出願第10/705,776号は、マイクロフルイディクスおよびインク送達を記載する。
【0042】
2005年1月13日の2005/0009206として現在公開されている、2004年3月1日に出願された米国特許出願第10/788,414号は、ペプチドおよびタンパク質のプリンティングを記載する。
【0043】
2005年12月8日の2005/0272885として現在公開されている、2004年7月19日に出願された米国特許出願第10/893,543号は、ROMP法およびコンビナトリアルアレイを記載する。
【0044】
2005年11月17日に2005/0255237として公開されて現在公開されている、2005年2月14日に出願された米国特許出願第11/056,391号は、スタンプチップまたはポリマーコートチップ用途を記載する。
【0045】
2005年10月27日の2005/0235869として現在公開されている、2005年2月25日に出願された米国特許出願第11/065,694号は、チップレスカンチレバーおよび平面パネルディスプレイ用途を記載する。
【0046】
2006年1月19日に公開された米国特許出願公開第2006/001,4001号は、DPN法により製造されるナノ構造のエッチングを記載する。
【0047】
2004年12月2日に公開されたLiu & MirkinのWO 2004/105046は、接触プリンティングのための走査プローブを記載する。
【0048】
ウイルスアレイを記載する、Mirkinの米国特許出願公開第2007/0129321号。
【0049】
例えば、2007年3月23日に出願されたMirkinらの米国特許出願公開第2008/0105042号に記載されている二次元ナノアレイもまた参照されたい。これは参照によりその全体が本明細書に組み入れられる。
【0050】
DPN法はまた、高いスループットの並列法の記載を含む、Ginger et al., “The Evolution of Dip-Pen Nanolithography,”Angew. Chem. Int. Ed. 43, 30-45(2004)においても記載されている。
【0051】
DPNプリンティングおよびパターン転写法を含む直接描画法は、例えば、Direct-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds)(2002)において記載されている。
【0052】
本明細書で記載した直接描画ナノリソグラフィー機器および方法は特に、ペプチド、タンパク質、核酸、DNA、RNA、ウイルス、生体分子、などに基づくバイオアレイ、ナノアレイ、およびマイクロアレイを調製する際に使用するには興味深い。例えば、チップ(chip)およびライブラリーの大量製造に関しては米国特許第6,787,313号;ペプチドチップを有する自動分子生物研究室のためには同第5,443,791号;薬学用途における分子アレイの自動合成のための装置に関しては同第5,981,733号を参照されたい。コンビナトリアルアレイを調製することができる。また例えば、Hendersonらの米国特許第7,008,769号;同第6,573,369号;および同6,998,228号を参照されたい。
【0053】
走査プローブ顕微鏡法は、例えばBottomley, Anal. Chem. 70, 425R-475R(1998)において概説されている。また走査プローブ顕微鏡は、例えば米国特許第5,705,814号(Digital Instruments)において記載されているプローブ交換機構を含む技術分野において公知である。
【0054】
チップおよび器具類
チップおよびカンチレバーのアレイを含む、1つまたは複数のカンチレバー上に配置された1つまたは複数のチップからのパターニングを提供する器具を使用することができる。器具は、例えば、ディップペンナノリソグラフィーのために修飾されたAFM器具、または、ディップペンナノリソグラフィーを実施するために直接適合された同様の器具でありうる。器具は、例えば、NanoInk(Skokie IL)から入手することができ、例えば、NSCRIPTOR(商標)が挙げられる。
【0055】
いくつかの態様では、器具は少なくとも1つのz軸圧電センサおよび少なくとも3つのz軸モーターを含み、これらはどちらも、使用者がユーザインタフェースを介して位置情報を入力することができるソフトウエアルーチンにより制御およびモニタすることができる。器具の一例はAmroらに対する、2007年5月9日に出願された米国特許仮出願第60/916,979号において記載されている。
【0056】
材料をチップから基材表面に転写させることによりパターニングを実施するための器具類は当技術分野において公知である。例えば、NanoInk, Inc.(Skokie IL)由来の製品を参照されたい。また、例えば、米国特許第6,827,979号;同第6,642,129号;同第6,867,443号;同第7,008,769号;同第6,573,369号;および同第6,998,228号を参照されたい。例えば、チップはナノスコピックチップでありうる。チップは、例えば、走査プローブ顕微鏡チップまたは原子間力顕微鏡チップでありうる。チップは固体チップでありえ;チップは中空チップまたは万年筆チップでありうる。中空チップは開口を含むことができ、パターニング組成物をチップ端に送達するための送達流路を含むことができる。チップは、例えば、無機表面または有機表面を含むことができる。チップは硬質材料から、例えば、微細加工により製造することができる。チップの先鋭化を実行することができる。さらに、シロキサン材料から製造されたものを含むエラストマーチップを使用することができる。
【0057】
チップ作製後、チップはそのまま使用することができるが、そのまま使用する場合最初に清浄化することができる。チップはまた、所望であれば作製後、表面修飾することができる。例えば、有機コーティングを無機チップ表面に添加することができる。
【0058】
チップは、無機チップ表面を含むチップ表面を有することができ、これは有機材料により修飾されていない。
【0059】
チップはAFM技術分野で公知の材料から作製することができ、窒化ケイ素、ケイ素、および他の硬質材料が挙げられる。
【0060】
チップは、当技術分野において公知なように、カンチレバー端またはカンチレバー付近を含むカンチレバー上に配置することができる。
【0061】
チップは所望であれば、例えば、少なくとも5μm、または少なくとも10μmの長さを有するかなり長いチップでありうる。
【0062】
チップはチップアレイの一部でありえ、そのため、複数のチップを提供することができる。表面に対してz方向に移動するためには、チップは受動モードで共に移動することができ、または能動または作動モードで個々に移動させることができる。このように、堆積工程では、チップは受動的に使用することができ、または作動チップとして使用することができる。作動機構は、例えば、熱または静電またはピエゾ抵抗でありうる。チップの一次元アレイを使用することができ;またはチップの二次元アレイを使用することができる。特に、多数のチップを有するアレイを使用することができる。例えば、Lenhart Small論文(Lenhart et al.,Small 3, no.1, 71-75(2007))を含む、参照により全体が本明細書に組み入れられる、Mirkinらに対する2007年3月23日に出願された米国特許出願第11/690,738号を参照されたい。
【0063】
チップ、およびカンチレバー上に配置されたチップを、表面に対しx、yおよびz方向に移動させる器具類の方法は当技術分野において公知である。
【0064】
器具類は、チップを加熱するために適合させることができる。例えば、Sheehanらに対する米国特許出願公開第2006/0242740号を参照されたい。
【0065】
基材および基材表面
堆積のための表面を提供する様々な基材を使用することができる。基材は、当技術分野においてマイクロアレイを調製するために使用されるものでありうる。基材はポリマ、ガラス、セラミック、複合物、金属、半導体、酸化物、ケイ素、などでありうる。基材はモノリシック、ワンピースでありえ、または互いに配置された複数の層を含みうる。基材は無機または有機表面コーティングを含むことができる。自己組織化された単層を含む単層コーティングを使用することができる。表面は有機官能基または有機材料により官能化させることができる。例えば、基材は有機材料で修飾された無機材料表面を含むことができる。さらに、基材は無機材料に限定される必要はない。例えば、基材は、生体分子でありうる。
【0066】
基材表面は、パターニング組成物の1つまたは複数の成分に共有結合する、または化学吸着するように適合させることができる。例えば、基材表面は求電子性の表面でありうる。基材表面は、パターニング種中の官能基と反応するように適合させることができる。例えば、タンパク質中のアミノ基はスクシンイミドと反応しうる。または、チオール基もしくは化合物は金に化学吸着しうる。例えば、アルデヒド修飾基材もまた、アミン修飾またはアミノ含有生体分子のイミン形成による固定のための反応性サポートとして使用することができる。カプセル化された生体分子をADMチップから基材上に堆積させてすぐに、アガロースゲルマトリクスを空気に暴露することにより乾燥させ、MilliQ水で洗浄することにより除去することができる。
【0067】
蛍光検出を使用する場合、基材およびパターニングは、蛍光のクエンチングを最小に抑える、または回避するように適合させることができる。
【0068】
基材は必要に応じて予めパターニングすることができ、堆積ゾーンに対し、境界を提供し、空間を指定することができる。
【0069】
堆積
チップおよび基材表面は、パターニング組成物の堆積が起こり、材料がチップから表面に転写され、堆積物が形成されるように、互いに対し移動させることができる。場合によっては、堆積を促進するためにメニスカスが存在する可能性がある。チップは、堆積を望み通りに制御できるような位置にある。
【0070】
場合によっては、熱を使用して堆積を促進することができる。チップおよびチップを支持するカンチレバーは加熱することができ、または堆積領域の周囲の環境を加熱することができる。環境チャンバを使用して、湿度、温度、雰囲気ガス、および他のパラメータを制御することができる。例えば、堆積は、堆積を起こさせのに十分な、例えば、十分高い相対湿度で実行することができる。場合によっては、相対湿度が高いほど、堆積が活性化され、または加速される可能性がある。堆積は、例えば、少なくとも30%、または少なくとも50%、または少なくとも70%の相対湿度で実行することができる。
【0071】
担体がゲル-液晶転移温度を示す場合、堆積温度はこの温度より高くすることができ、例えば、ゲル-液晶転移温度より10℃またはそれ以上高い温度とすることができる。
【0072】
堆積工程は、チップを表面と接触させることにより実行することができ、この場合、チップは表面に対しxy表面内に固定して保持される。スポットもしくはドットを形成させることができ、または、線を形成させることができる。また、堆積工程は、チップを表面と接触させることにより実行することができ、この場合、チップは表面に対しxy表面内に固定して保持されず、むしろ、チップは移動している。
【0073】
スポッティング/堆積中の接触時間は、例えば、7〜10秒の間で変動する可能性があり、例えば、直径または線幅が、約10nm〜約1μm、または約100nm〜約10μm、または約15nm〜約10μm、または約25nm〜約1μm、または約200〜500nmの特徴が得られる。使用することができるAFMプローブは、例えば、約0.3〜約2N/m2の範囲のバネ定数kを有することができる。
【0074】
走査プローブ器具類、例えば、AFM器具類を使用する場合、例えば、接触モード、非接触モード、またはタッピングモードまたは間欠接触モードを含む、使用のための様々なモードを使用することができる。
【0075】
ゲルを形成する短いインキュベーション期間の後、AFMチップは、チップを直接ゲルインクに浸漬させることにより、インクウェルにより、またはゲルインク滴を固体基材上に置き、AFMもしくは他の制御機構によりチップをゲル内に下ろすことにより直ちにコートされてもよい。アガロースゲルインクの粘着性の、粘性性質により、最小〜無のチップが得られる。
【0076】
アレイ
チップの一次元または二次元アレイを使用することができ、それらはインクジェットプリントを用いてインク付けされるように適合させることができる。アレイはカンチレバーを含まないものでありえ、または複数のカンチレバーを含むことができ、カンチレバー上にはチップが配置される。いくつかの態様では、カンチレバーは少なくとも、一端にサポートを有し、他端にチップを有する。
【0077】
カンチレバーの2Dアレイは当技術分野において公知である。さらに、例えば、2007年3月27日に出願されたMirkinらに対する米国特許出願第11/690,738号は、カンチレバーの二次元アレイを記載する。
【0078】
二次元アレイは一連の行および列でありえ、好ましくは互いに実質的に垂直である、長さおよび幅を提供する。アレイは第1の次元および第2の次元を含むことができる。二次元アレイは、一連の一次元アレイが互いに隣接して配置され第2の次元を構築したものでありうる。2つの次元は垂直でありうる。カンチレバーは自由端および固定端を含むことができる。カンチレバーは、固定端から遠位にある自由端、またはその付近にチップを含むことができる。1つの列のカンチレバーは次の列上のカンチレバーと同じ方向に向くことができ、または1つの列のカンチレバーは次の列上のカンチレバーと反対の方向に向くことができる。
【0079】
二次元アレイは、2つの部品を結合することにより、より大きな器具装置に作製することができ、各部品は二次元でパターニングされた表面を有し、二次元で互いに結合されるように適合されている。1つの部品は、カンチレバーなしで、サポート構造を含むことができ、一方、他方の部品はカンチレバーを含むことができる。
【0080】
1つの重要な変数は、意図した目的に対し実際に機能することができるアレイ中でのカンチレバーの割合またはパーセンテージである。いくつかの場合において、いくつかのカンチレバーは不完全に形成される可能性があり、またはそうでなければ、形成後に損傷を受ける可能性がある。カンチレバーの収量は使用可能なカンチレバーのこのパーセンテージを反映する。好ましくは、アレイは、少なくとも75%、または少なくとも80%、または少なくとも90%、または少なくとも95%、またはより好ましくは少なくとも98%、またはより好ましくは少なくとも99%のカンチレバー収量により特徴づけられる。カンチレバー収量を特徴づける際には、内部のカンチレバーに比べると、縁の処理により損傷を受ける、列の端にあるカンチレバーは無視してもよい。例えば、中心の75%を測定することができる。多くの場合、ウエハ作製においてはエッジ効果が周知であるので、作製は縁よりもむしろ中央で良好に実施される。欠陥密度は、いくつかの場合においては中心から縁に移動するにつれ、他の場合においては縁から中心に移動するにつれ、増加する可能性がある。欠陥密度が高すぎる部品を除去し、残りの部品を使用することができる。
【0081】
アレイは、チップが実質的に平らな表面と接触した場合に、アレイのチップでない構成要素の実質的な接触が阻止されるように適合させることができる。例えば、カンチレバーアームは、表面に接触すべきでなく、したがって、例えば、屈曲によりそのように適合させることができる。チップは、このために適合させることができ、同様に、長いまたは背の高いチップが含まれる。この結果を達成するのに有用である可能性のある因子としては、長いまたは背の高いチップの使用、カンチレバーアームの屈曲、チップのレベリング、列のレベリング、および全ての次元におけるカンチレバーのレベリングが挙げられる。因子の1つまたは複数の組み合わせを使用することができる。
【0082】
カンチレバーチップは当技術分野において通常よりも長くすることができる。例えば、チップは、平均して少なくとも4μmのカンチレバーに対するアペックスの高さを有することができ、所望であれば、チップは平均して少なくとも7μmのカンチレバーに対するアペックスの高さを有することができる。「アペックス」という用語は、チップの最端のみを示すものと狭く規定される必要はなく;むしろ、最端からある距離下方におよぶチップの一部を示すことができる。例えば、最端から、チップの端から底までの軸長の1%、5%、10%、または実に20%までとすることができる。さらに、チップアペックスの高さは、少なくとも10μm、または少なくとも15μm、または少なくとも20μmとすることができる。特別な上限は存在せず、当技術分野で公知の技術および改良を使用することができる。この長い長さにより、確実に、チップのみが表面に接触するように助けることができる。アペックスの高さは多くのチップのアペックスの高さの平均とみなすことができ、一般に、アペックスの高さはチップ間で実質的に変動しないように設計される。
【0083】
アレイに関するパラメータを測定する際には、平均測定値を使用することができる。平均測定値は、例えば、代表的な画像または顕微鏡写真の検討を含む、当技術分野において公知の方法により得ることができる。実用的でない可能性があるので、アレイ全体が測定される必要はない。
【0084】
いくつかの態様ではチップレスカンチレバーを使用することができるが、好ましい態様ではない。
【0085】
さらに、カンチレバーは屈曲させることができ、パターニングされる表面に向かって屈曲させることが含まれる。当技術分野において公知の方法を使用して屈曲させることができる。カンチレバーはベースおよびサポートから離れるような角度で屈曲させることができる。カンチレバーはカンチレバーの屈曲に関して適合された複数の層を含むことができる。例えば、熱膨張差またはカンチレバーバイモルフを使用してカンチレバーを屈曲させることができる。カンチレバー屈曲は少なくとも2つの異なる材料を使用することにより誘導することができる。また、同じ材料を使用することができるが、異なる応力を用いてカンチレバー屈曲を提供することができる。別の方法は、1つの材料を含むカンチレバー上に同じ材料の第2の層を堆積させるが、固有応力グラジエントを用いるものである。また、カンチレバーの表面は酸化させることができる。カンチレバーは、例えば、ベースから少なくとも5°、またはベースから少なくとも10°、またはベースから少なくとも15°の角度で屈曲させることができる。実施例で実証されている方法を含む、当技術分野において公知の方法を使用して、これを測定することができる。角度に関する平均値を使用することができる。カンチレバーは、平均して、約10μm〜約50μm、または約15μm〜約40μm屈曲させることができる。この屈曲の距離は、実施例で実証されている方法を含む、当技術分野において公知の方法により測定することができる。平均距離を使用することができる。屈曲により、基材の粗さおよび形態ならびにアレイ内でのチップ不整合に対する許容範囲がより大きくなり、そのため、例えば、約±20μmもしくはそれ以下または約±10μmもしくはそれ以下の不整合の補償が可能になる。
【0086】
屈曲を促進するために、カンチレバーは複数の層、例えば2つの本体の層および任意の接着層を含むことができ、例えば、バイモルフカンチレバーでありうる。カンチレバーは、カンチレバーのチップ側で、金属または金属酸化物によりコートすることができる。金属は、金属または金属酸化物がカンチレバーの熱による屈曲を支援するのに有用である限り特に制限されない。例えば、金属は金などの貴金属でありうる。
【0087】
好ましい態様では、アレイは、カンチレバーがどちらも表面に向かって屈曲され、また、画像形成のためのみに使用されるチップに比べ標準よりも長いチップを含むように適合させることができる。
【0088】
チップは使用前に作製および先鋭化することができ、例えば、100nm未満の平均曲率半径を有することができる。平均曲率半径は、例えば、10nm〜100nm、または20nm〜100nm、または30nm〜90nmとすることができる。チップ形状は変動させることができ、例えば、角錐、円錐、くさび、および箱形が挙げられる。チップは中空チップでありえ、または開口を含むことができ、チップ端まで通過するマイクロ流体チャネルを有するように微細加工により形成された中空チップおよび開口チップが挙げられる。流体材料はチップ端で貯蔵され、またはチップを通して流れることができる。
【0089】
チップの幾何学的形態は変動させることができ、例えば、固体チップまたは中空チップでありうる。HendersonらのWO 2005/115630(PCT/US2005/014899)は、本明細書で使用することができる、表面上に材料を堆積させるためのチップ幾何学的形態を記載する。
【0090】
二次元アレイは、2つの次元(例えば、長さの次元および幅の次元)の各々におけるチップ間隔により特徴づけることができる。チップ間隔は、例えば、チップアレイを製造する方法から得ることができ、または製造されたアレイから直接観察することができる。チップ間隔は、高密度のチップおよびカンチレバーが提供されるように設計することができる。例えば、チップ密度は少なくとも10,000/平方インチ、または少なくとも40,000/平方インチ、または少なくとも70,000/平方インチ、または少なくとも100,000/平方インチ、または少なくとも250,000/平方インチ、または少なくとも340,000/平方インチ、または少なくとも500,000/平方インチとすることができる。アレイは、二次元アレイの第1の次元における300μm未満、および二次元アレイの第2の次元における300μm未満のチップ間隔により特徴づけることができる。さらに高い密度を達成するために、チップ間隔は、例えば、1つの次元では約200μm未満、および別の次元では約100μm未満、または約50μm未満とすることができる。また、チップ間隔は、例えば、1つの次元では100μm未満、および第2の方向では25μm未満とすることができる。アレイは、二次元アレイの少なくとも1つの次元における100μmまたはそれ以下のチップ間隔により特徴づけることができる。1つの態様では、チップ間隔は、1つの次元では約70μm〜約110μm、例えば、90μmとすることができ、第2の次元では約20μm〜約100μm、例えば、90μmとすることができる。作製法により、時間と共に、より高密度のチップ間隔が得られるため、チップ間隔には特別な下限はない。異なるインクおよび2Dアレイが使用されるいくつかの態様では、チップ間隔は、望ましくないインクの広がりおよび異なるインクの交差汚染を阻止するように制御される。下限の例としては1μm、または5μm、または10μmが挙げられ、そのため、例えば、チップ間隔は1μm〜300μm、または1μm〜100μmとすることができる。
【0091】
二次元アレイ上のカンチレバーの数は特に制限されないが、少なくとも約3、少なくとも約5、少なくとも約250、または少なくとも約1,000、または少なくとも約10,000、または少なくとも約50,000、または少なくとも約55,000、または少なくとも約100,000、または約25,000〜約75,000とすることができる。数は、パターニングのための特別な器具および空間的制約に対して許容される量まで増加させることができる。例えば、製造の容易さ、品質、および特別な密度要求などの因子を考慮し、特別な用途に対し適した平衡を達成することができる。
【0092】
チップは表面に一貫して接触するために一貫した間隔を有するように設計することができる。例えば、チップはそれぞれ、チップ端〜サポートにおよぶ距離Dにより特徴づけることができ、チップアレイはチップ端〜サポートの平均距離D’により特徴づけられ、チップの少なくとも90%に関して、DはD’の50μmの範囲内にある。別の態様では、チップの少なくとも90%に関して、DはD’の10μmの範囲内にある。チップ端とサポートの間の距離は、例えば、約10μm〜約50μmとすることができる。この距離は、例えば、ベース列の高さ、屈曲距離、およびチップの高さの付加的な組み合わせを含むことができる。
【0093】
カンチレバーの力定数は特に制限されない。例えば、カンチレバーは、約0.001N/m〜約10N/mの平均力定数、または約0.05N/m〜約1N/mの平均力定数、または約0.1N/m〜約1N/mの平均力定数、または約0.1N/m〜約0.6N/mを有することができる。
【0094】
カンチレバーは力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されないように設計することができる。または、少なくとも1つのカンチレバーは、力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。または、カンチレバーの実質的に全てが、力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。例えば、カンチレバーの90%を超える、または95%を超える、または99%を超えるものが力フィードバックを含むフィードバックに対して適合されうる。
【0095】
カンチレバーは、例えば、ケイ素、多結晶シリコン、窒化ケイ素、またはケイ素リッチ窒化物を含む、AFMプローブにおいて使用される材料から製造することができる。カンチレバーはある長さ、幅、および高さまたは厚さを有することができる。長さは例えば約10μm〜約80μm、または約25μm〜約65μmとすることができる。幅は、例えば5μm〜約25μm、または約10μm〜約20μmとすることができる。厚さは例えば、約100nm〜約700nm、または約250nm〜約550nmとすることができる。チップレスカンチレバーは、アレイ、アレイを製造する方法、およびアレイを使用する方法において使用することができる。
【0096】
アレイはそれぞれ、パッシブペンまたはアクティブペン使用のために適合されたパッシブまたはアクティブアレイでありうる。各チップの制御は、例えば、圧電、容量、静電、または熱電作動により実行することができる。
【0097】
アレイは、チップコーティングおよびインク送達の統合に関して適合させることができる。例えば、マイクロフルイディクスを使用してチップのインク付けおよびコーティングを制御することができる。チップは装置中に浸漬させることができ、または、中空チップ態様では、インクは直接チップの内部領域を通って送達させることができる。
【0098】
重要な態様では、カンチレバーはサポート構造に金の熱圧着を介して接着させることができる。重要な因子は、カンチレバーチップの堆積および窒化ケイ素カンチレバーを含む低いkのフレキシブルカンチレバーの使用に基づくリソグラフィー過程の固有の力の独立性でありうる。
【0099】
パターニング組成物
パターニング組成物は、チップから基材表面への転写および堆積のために、またインクジェットプリントのためにも、製剤化し適合させることができる。組成物は、1つまたは複数の多糖、1つまたは複数のパターニング種、および1つまたは複数の化学的添加物を含む、2つ以上の成分を有することができる。パターニング組成物は、堆積過程を妨害する成分および成分の量を排除するように製剤化することができ、ここで、パターニング組成物は良好な結果を達成するのに必要とされる構成要素を含む。パターニング組成物は、堆積工程前にチップ上で、部分的に、または完全に乾燥させることができる。
【0100】
パターニング分子はインクの形態でありうる。1つまたは複数のパターニング種を含むことができる。パターニング種は分子または微粒子またはコロイドでありうる。合成または天然でありうる。ポリマー、オリゴマー、または非ポリマーでありうる。小分子でありうる。生体分子の用途は特に注目すべきである。例えば、パターニング種は生体分子でありうる(ここで、水は生体分子ではない)。パターニング種は生体高分子でありうる。パターニング種は核酸またはアミノ酸単位の重合された単位または反復単位を含むことができる。パターニング種は例えばオリゴヌクレオチド、DNA、RNA、タンパク質、ペプチド、糖、炭化水素、などでありうる。パターニング種は、基材表面との相互作用に関して、合成的に適合されないように使用することができる。例えば、天然種、例えば、天然タンパク質でありうる。また、パターニング種は、基材表面との相互作用に関して、合成的に適合されるように使用することができる。例えば、末端の基を官能化させ、表面に結合させることができる。これは、例えばR-XまたはR-(X)nにより表すことができ、式中、RはX基により官能化されたパターニング種であり、nはX基の数であり、これは例えば、1〜10、または1〜5、または1〜3でありうる。
【0101】
パターニング種として機能しうる非生物化合物としては、例えば、微粒子材料、ナノ構造材料、有機化合物、無機化合物、ポリマー、合成ポリマー、金属(例えば、金)に化学吸着する化合物、例えば、チオールおよびスルフィド、などが挙げられる。
【0102】
1つの態様では、パターニング組成物は、1つまたは複数の脂質を含むことができ、脂質は一般に当技術分野において公知である。例えば、Bohinski, Modern Concepts in Biochemistry, 4th Ed., Chapter 8, “Lipids and Biomembranes”を参照されたい。例えば、脂質は単純脂質、複合脂質、または誘導脂質でありうる。単純脂質は、例えば、アシルグリセロールまたはワックスでありうる。複合脂質は、例えば、ホスホアシルグリセロール、スフィンゴミエリン、セレブロシド、またはガングリオシドでありうる。誘導脂質は、例えば、ステロイド、カロテノイド、または脂質ビタミンでありうる。
【0103】
当技術分野において公知の脂質に関しては、例えば、Organic Chemistry 6th ed., Morrison and Boyd, Prentice hall, Englewood cliffs, NJ 1992のchapter 33ならびにテキストブック全体;Molecular biology of the cell 3rd ed., Alberts et al., Garland publishing, New York, NY, 1994のchapter 2ならびにテキストブック全体;およびOrganic Chemistry 3th ed., Loudon, the Benjamin/Cummings publishing co., Redwood city CA, 1995のchapter 21ならびにテキストブック全体も参照されたい。
【0104】
天然または合成脂質を使用することができる。脂質は水溶液中、それ自体で、または他の脂質と組み合わされて、リポソームを形成することができる。
【0105】
脂質は、水中では不溶であるが、非極性有機溶媒中では可溶となるようにする長い炭化水素鎖を含む化合物でありうる。
【0106】
脂質の別の例としては、脂肪、油、ステロイドおよびワックスが挙げられる。
【0107】
グリセリドは、グリセロールおよび脂肪酸から形成される脂質の1つの型である。グリセロールは3つのヒドロキシル基を含み、1つ、2つまたは3つの脂肪酸とエステル化されると、それぞれ、モノグリセリド、ジグリセリドおよびトリグリセリドが形成される。脂肪酸の1つが糖またはホスフェートと置換されると、得られた化合物は、それぞれ、糖脂質またはリン脂質となる。脂肪酸は不飽和、飽和、一不飽和または多価不飽和でありうる。不飽和脂肪酸の例としては、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、およびアラキドン酸が挙げられる。飽和脂肪酸の例としては、ミリスチン酸、パルミチン酸およびステアリン酸が挙げられる。さらに、脂肪酸はcisまたはtrans配置を採用してもよい。脂肪酸鎖の長さは変動してもよい。例えば、脂肪酸炭化水素鎖は、3を超える炭素原子、3〜18の間の原子、または12〜20の間の炭素原子を含んでもよい。鎖は分枝であってもよく、またはそうでなくてもよい。1つの態様では、脂質化合物はリン酸基を含む。別の態様では、脂質化合物は糖基を含む。1つの態様では、脂質化合物は1つ、2つまたは3つの脂肪酸を含む。別の態様では、脂質化合物は、飽和、一不飽和または多価不飽和である少なくとも1つの脂肪酸を含む。脂質は2つの脂肪酸を含むことができる。少なくとも1つの脂肪酸は一不飽和でありうる。どちらの脂肪酸も一不飽和でありうる。脂肪酸はcisまたはtransとしてもよい。1つの態様では、少なくとも1つの脂肪酸は少なくとも3つの炭素原子を含む。別の態様では、少なくとも1つの脂肪酸は3〜18の間の、その間の全ての整数を含む炭素原子を含む。別の態様では、少なくとも1つの脂肪酸は12〜20の間の、その間の全ての整数を含む炭素原子を含む。
【0108】
脂質はリン脂質またはリン脂質誘導体でありうる。脂質はゲル-液晶転移温度を示すことができる。脂質の分子量は例えば250〜約2,000、または約500〜約1,500、または約500〜約1,000とすることができる。非制限的な例としては、ホスファコリン、ホスホグリセロール、ホスファチジン酸、ホスホセリン、PEGリン脂質、などが挙げられる。脂質は担体として機能することができる。1つの態様では、脂質は1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)である。他の例としてはPOPCおよびDMPCが挙げられる。例えば、パターニングすることができる脂質に関しては、Lenhart et al., Small, 2007, 3, no. 1, 71-75を参照されたい。
【0109】
1つの態様では、染料で標識した脂質の各々を担体脂質、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)中で希釈した(1wt%)。多重化DPNのための担体としてのDOPCの使用はいくつかの理由のために重要でありうる。第1に、染料で標識した異なる脂質インクの輸送特性を均一にすることができる。第2に、約25wt%までのある機能性脂質(例えば、ビオチニル化またはニッケルキレート脂質)をDOPCと混和することが可能である。第3に、生体膜の主な構造および機能成分であるので、リン脂質はよく研究されており、多くの生体分子と適合することができる[18]。
【0110】
別の態様では、パターニング組成物はタンパク質材料ならびにタンパク質およびペプチドを含むことができる。タンパク質材料としては、例えば、抗体、酵素、などが挙げられる。
【0111】
ペプチドおよびタンパク質態様では、ペプチド結合を含む様々な種類の化学構造を含むナノアレイを調製することができる。これらには、ペプチド、タンパク質、オリゴペプチド、およびポリペプチドが含まれ、それらは単純か、または複雑である。ペプチド単位は、非ペプチド単位と組み合わせることができる。タンパク質またはペプチドは、単一のポリペプチド鎖または複数のポリペプチド鎖を含むことができる。一般に、分子量がより高いペプチドが好ましいが、オリゴペプチドを含む分子量がより低いペプチドを使用することができる。ペプチド中のペプチド結合の数は、例えば、少なくとも3、10もしくはそれ未満、少なくとも100、約100〜約300、または少なくとも500でありうる。
【0112】
タンパク質は特に好ましい。タンパク質は単一か、または複合でありうる。複合タンパク質の例としては、核タンパク質、リポタンパク質、リンタンパク質、金属タンパク質および糖タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0113】
タンパク質は、他のタンパク質、ポリペプチドまたはペプチドとの複合体中で共存した場合、機能的となる可能性がある。タンパク質はウイルスでありえ、ウイルスはタンパク質および核酸の複合体でありえ、DNAまたはRNA型である。タンパク質は、より大きな構造、例えば、球またはロッド構造のシェルでありうる。
【0114】
タンパク質の形状は球形または繊維状でありうる。後者は一般に、水に典型的には不溶の強固な材料である。これらは1つのポリペプチド鎖または、例えば、繊維形態のような、平行に配列された複数のポリペプチド鎖を含むことができる。例としてはコラーゲンおよびエラスチンが挙げられる。球状タンパク質は、隙間なく折り畳まれて球状または球形の形状とされ、大部分は水系に溶解できるポリペプチドである。例えば、多くの酵素は、抗体、いくつかのホルモンおよび輸送タンパク質、例えば血清アルブミンおよびヘモグロビンのように、球状タンパク質である。
【0115】
ミオシンおよびフィブリノーゲンのような、繊維状および球状の特性を有するタンパク質を使用することができ、これらは強固でロッド状構造であるが可溶性である。タンパク質は1を超えるポリペプチド鎖を有することができ、オリゴマータンパク質でありえ、それらの個々の成分はプロトマーと呼ばれる。オリゴマータンパク質は、普通は互いに共有結合により結合されていない、偶数のポリペプチド鎖を通常含む。ヘモグロビンはオリゴマータンパク質の一例である。
【0116】
組み入れることができるタンパク質の型としては、酵素、貯蔵タンパク質、輸送タンパク質、収縮タンパク質、保護タンパク質、毒素、ホルモン、および構造タンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0117】
酵素の例としては、リボヌクレアーゼ、シトクロムc、リゾチーム、プロテアーゼ、キナーゼ、ポリメラーゼ、エキソヌクレアーゼ、およびエンドヌクレアーゼが挙げられるが、それらに限定されない。酵素およびそれらの結合機構は、例えば、Alan FershtによるEnzyme Structure and Mechanism, 2nd Ed.,1977において開示されており、15章に下記酵素型が含まれる:デヒドロゲナーゼ、プロテアーゼ、リボヌクレアーゼ、ブドウ球菌ヌクレアーゼ、リゾチーム、炭酸脱水酵素およびトリオースリン酸イソメラーゼ。
【0118】
貯蔵タンパク質の例としては、卵白アルブミン、カゼイン、フェリチン、グリアジンおよびゼインが挙げられるが、それらに限定されない。
【0119】
輸送タンパク質の例としては、ヘモグロビン、ヘモシアニン、ミオグロビン、血清アルブミン、β1-リポタンパク質、鉄結合グロブリン、およびセルロプラスミンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0120】
収縮タンパク質の例としては、ミオシン、アクチン、ダイニンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0121】
保護タンパク質の例としては、抗体、補体タンパク質、フィブリノーゲン、およびトロンビンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0122】
毒素の例としては、クロストリジム ボツリヌム(Clostridium botulinum)毒素、ジフテリア毒素、コレラ毒素タンパク質、Alexa Fluor 594修飾コレラ毒素タンパク質、ヘビ毒、およびリシンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0123】
ホルモンの例としては、インスリン、副腎皮質刺激ホルモンおよびインスリン様成長ホルモン、ならびに成長ホルモンが挙げられるが、それらに限定されない。
【0124】
構造タンパク質の例としては、ウイルスコートタンパク質、糖タンパク質、膜構造タンパク質、α-ケラチン、スクレロチン、フィブロイン、コラーゲン、エラスチン、およびムコタンパク質が挙げられるが、それらに限定されない。
【0125】
天然または合成ペプチドおよびタンパク質を使用することができる。使用することができるタンパク質は、例えば組換え法により調製される。
【0126】
好ましいタンパク質の例としては、免疫グロブリン、IgG(ウサギ、ヒト、マウス、など)、プロテインA/G、フィブリノーゲン、フィブロネクチン、リゾチーム、ストレプトアビジン、アビジン、フェリチン、レクチン(Con. A)、およびBSAが挙げられる。ウサギIgGおよび、IgGにサンドイッチ構造で結合されたウサギ抗IgGは有用な例である。
【0127】
スプライソソームおよびリボゾームなどを使用することができる。
【0128】
非常に広範囲のタンパク質が当業者に公知であり、使用することができる。例えば、参照により本明細書に組み入れられる、A. L. Lehninger, 1970 によるBIOCHEMISTRYの55〜66ページの第3章、“Proteins and their Biological Functions:A Survey”を参照されたい。
【0129】
標識タンパク質および蛍光標識タンパク質を含む、追加のタンパク質について、下記実施例において記載する。タンパク質はコレラ毒素サブユニットBおよびトリプシン阻害剤を含むことができる。
【0130】
その他の態様は、様々な核酸を含む。例えば核酸は、例えば基材への化学吸着または共有結合のために調整された官能基を含むように、合成により製造し修飾することができ、または天然由来である。核酸は、低、中、または高分子量を有することができ、オリゴマーまたはポリマーでありうる。核酸は一本鎖、二本鎖、または三本鎖とすることさえできる。核酸はデオキシリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、またはそれらの組み合わせに基づくことができる。核酸の構造は一般に、例えば、Calladine and Drew, Understanding DNA, The Molecule and How it Works, 2nd Ed., 1997において記載されている。
【0131】
パターニングすることができる核酸の一般型としては、例えば、DNA、RNA、PNA、CNA、RNA、HNA、p-RNA、オリゴヌクレオチド、DNAのオリゴヌクレオチド、RNAのオリゴヌクレオチド、プライマー、A-DNA、B-DNA、Z-DNA、DNAのポリヌクレオチド、RNAのポリヌクレオチド、核酸のT接合部、非核酸ポリマー-核酸ブロックコポリマーのドメイン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。核酸の別の一般型としては、例えば、ウイルスRNAまたはDNA、疾患と関連する遺伝子、細菌DNA、真菌DNA、生物学的起源由来の核酸、ポリメラーゼ連鎖反応増幅の産生物である核酸、ナノ粒子と接触した核酸、および三本鎖複合体の産生に至る、ナノ粒子上でオリゴヌクレオチドとハイブリダイズされた二本鎖核酸が挙げられる。
【0132】
一般に、核酸は、遺伝情報の貯蔵および複製ならびにタンパク質合成によるその情報の発現において中心的役割を果たす、細胞およびウイルス内で見られる有機物の一群のいずれかでありうる。プリン、ピリミジン、および炭化水素、ならびにリン酸は一般に核酸の基本的な有機物を特徴づける。プリンおよびピリミジンはヌクレオチド、ヌクレオシドであり、ここで、2-デオキシ-D-リボースまたはD-リボースの一級ヒドロキシ基がオルトリン酸によりエステル化される。ヌクレオシドは、プリンまたはピリミジン塩基が、N-原子を介してC-1に結合されており、2-デオキシ-D-リボースまたはD-リボースのいずれかのヒドロキシ基が置換されているが、リン酸基を有さない化合物である。生体系における一般的なヌクレオシドはアデノシン、グアノシン、シチジン、およびウリジン(リボースを含む)ならびにデオキシアデノシン、デオキシグアノシン、デオキシシチジン、およびチミジン(デオキシリボースを含む)である。このように、プリン塩基はアデニンヌクレオチドまたはグアニンヌクレオチドであってもよい。ピリミジン塩基はチミンヌクレオチド、シトシンヌクレオチド、またはウラシルヌクレオチドであってもよい。
【0133】
核酸配列は、ランダムであってもよく、または所望のアミノ酸構造をコードするように特異的であってもよい。例えば、3つのヌクレオチドの群はコドンを含む可能性がある。1つのコドンは1つのアミノ酸を含む。核酸のコード領域はコドンを含む。
【0134】
核酸は自由に存在することができ、またはペプチドもしくはタンパク質に結合し、別々の束または構造化形態、例えば染色体などの核タンパク質を形成することができる。核酸はまた、一本鎖または二本鎖形態で存在することができる。核酸は直線、環状、またはスーパーコイルであってもよい。核酸は直接、細胞または細胞小器官から単離してもよい。プラスミドまたはクローニングベクターもまた核酸の例である。
【0135】
核酸はヌクレオチドから構成させることができ、それぞれが、糖(デオキシリボース)、リン酸基、ならびに窒素含有プリンおよびピリミジン塩基の混合物を含む。糖は環状または非環状形態をとってもよい。DNAはチミンおよびシトシンピリミジンのみを含み、ウラシルを含まない。DNAは細胞から、ゲノム、核またはミトコンドリアDNAとして細胞から単離してもよく、または合成により製造してもよい(すなわち、化学的過程により)。
【0136】
細胞中に存在する遺伝子は典型的には、DNAのエキソンおよびイントロンストレッチから構成されるゲノムDNAを含む。エキソンストレッチは、アミノ酸をコードするコドンを含むヌクレオチドを含み、一方、DNAのイントロンストレッチは、おそらくアミノ酸をコードするコドンを含まないヌクレオチドを含む。プリンおよびピリミジンのヌクレオチド配列は、その遺伝子により特定されるタンパク質のポリペプチド鎖中のアミノ酸の配列を決定する。
【0137】
DNAはまた、RNA依存性DNAポリメラーゼの作用により、RNA鋳型から合成した相補またはコピーDNA(cDNA)として単離されてもよい。例えば、cDNAはPCR増幅により、約100〜800マー鎖とすることができる。RNA鋳型がイントロンを除去するように処理された場合、cDNAはRNAが転写された遺伝子と同一ではない。このようにcDNAは、実際には大部分がエキソンであるヌクレオチドのストレッチを含んでもよい。
【0138】
二本鎖形態である場合、2つのDNA鎖は二重らせんを形成する。このらせんでは、1つの鎖中の各ヌクレオチドは、もう一方の鎖上の特定のヌクレオチドに水素結合される。このように、DNAでは、アデニンはチミンと結合し、グアニンはシトシンと結合する。各鎖中に存在するヌクレオチドの互いに結合する能力により、鎖が相補的であること、例えば、1つの鎖上の全てのアデニンに対し、もう一方の鎖上にはチミンが存在することが決定される。
【0139】
RNAは一般にDNAに類似する可能性があるが、デオキシリボースの代わりにリボース糖を、チミンの代わりにウラシル塩基を含む。RNAは一本鎖または二本鎖でありえ、細胞DNAから転写される。RNA分子はヘアピンループまたは他の二本鎖構造を形成してもよい。RNAは鋳型RNA、メッセンジャーRNA(mRNA)、全RNA、またはトランスファーRNA(tRNA)であってもよい。ポリソーム。本発明により、RNA-DNAハイブリッド分子を堆積させることができる。さらに、タンパク質-核酸、または「ペプチド核酸」(“PNA”)もまた、使用してもよい。
【0140】
相補ヌクレオチド間で示される結合特性は、核酸を、他の核酸に結合することができるプローブとして有用なものでありうる。核酸は標識することができ、プローブとして使用することができる。多くの標準標識技術のうちのいずれか一つによって、核酸プローブを使用してハイブリダイゼーションにより別の核酸を検出することができる。標識が、例えば、蛍光、放射性または酵素標識である場合、ハイブリダイゼーションを可視化または検出することができる。このように、本発明の核酸はまた、蛍光マーカーまたはタグのような検出可能な実体、金粒子、ストレプタビジン、ジゴキシゲニン、磁性ビーズ、または当業者に公知の他のマーカーを含むように、標識、または修飾することができる。例えば、参照によりその全体が本明細書に組み入れられる、Landesの米国特許第4,626,501号(“Labeled DNA”)を参照されたい。
【0141】
ヌクレオチドおよび核酸はまた、核酸分解に対し保護されるように修飾することができる。例えば、核酸はリポソーム内にカプセル化されてもよい。また、チオール基をポリヌクレオチド内に、例えば、RNAまたはDNA分子内に、ヌクレオチドのリン含有基を置換することにより、組み入れてもよい。そのように核酸の「骨格」に組み入れられた場合、チオールはその部位でのDNAの切断を阻止することができ、従って核酸分子の安定性が改善される。
【0142】
Cookらの米国特許第5,965,721号もまた、参照によりその全体が組み入れられるが、パターニング可能で、改善されたヌクレアーゼ抵抗性を有し、改善された細胞取り込みを有することができるオリゴヌクレオチドが開示されている。
【0143】
このように、インビボでの核酸処理のバイオアベイラビリティを、記載のように核酸を修飾することによって改善してもよい。例えば、修飾した核酸製剤は、増加した半減期を有する可能性があり、および/または非修飾核酸よりも長い期間、血漿中に保持される可能性がある。例えば、核酸およびポリエチレングリコールの製剤もまた、任意の公知の持続放出核酸製剤のように、インビボでの核酸の半減期を増加させる可能性がある。このように、核酸を修飾することによって、インビボでの核酸の効果および/またはそのバイオアベイラビリティが増加する可能性がある。
【0144】
核酸のサイズは、数ヌクレオチドのサイズからオリゴヌクレオチドまで、またはプローブ、ポリヌクレオチドまで、遺伝子、染色体フラグメントから染色体全体まで、およびゲノムまで、相当の範囲でありうる。例えば、一本鎖または二本鎖核酸は、少なくとも10-、20-、30-、40-、50-、60-、70-、80-、90、または100-ヌクレオチドまたは塩基対(bp)の長さであってもよい。さらに大きい場合、核酸は、少なくとも0.2kb、0.3kb、0.4kb、0.5kb、0.6kb、0.7kb、0.8kb、0.9kb、または1.0kbのサイズであってもよい。実際に、本発明で使用するための核酸は、少なくとも1kb、2kb、3kb、4kb、5kb、6kb、7kb、8kb、9kb、もしくは10kbまたはそれ以上のサイズでありうる。1つの好ましいサイズ範囲は1〜2kbである。核酸は様々な長さのヌクレオチド鎖でありえ、典型的には、ポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチドと呼ばれる。オリゴヌクレオチドは、一般にヌクレオチドの直鎖状配列から得られるオリゴマーである。オリゴヌクレオチドは、例えば、約2〜約100、約2〜約20、約10〜約90、または約15〜約35ヌクレオチドを含むことができる。オリゴヌクレオチドアレイでは、約25マーのオリゴヌクレオチドを使用することができる。別の特別な範囲は約60〜約80マーであり、これは比較的長いオリゴヌクレオチドである。
【0145】
核酸の選択、プロービング、標識、および検出を含む、マイクロアレイ法は米国特許第6,379,932号および同第6,410,231号(Incyte Genomics)に記載されており、使用することができる。これらの特許は参照により全体が組み入れられる。これらの参考文献はディップペンナノグラフィー法について言及しているが、どのようにディップペンナノグラフィー法を使用して本明細書で記載したような改善されたナノアレイを作製することができるかについて示唆しておらず、またはそれについての手引きを提供していない。
【0146】
単一ヌクレオチドを含む化合物もまた、インクとして使用することができる。核酸混合物を使用することができ、1つのアレイ上の異なるスポットは異なる核酸を含むことができる。
【0147】
堆積のための核酸は、基材表面上への直接描画の堆積前、または後に、他の要素と共に製剤化または混合してもよい。このように、本発明の「インク」は、所望の核酸試料に加えて、基材表面に堆積させるための他の化学物質、化合物、または組成物を含んでもよい。溶媒および塩を使用して、核酸をチップに適用することができる。界面活性剤もまた使用することができる。例えば、タンパク質、ポリペプチド、およびペプチドを所望の核酸と共に基材表面に堆積させてもよい。
【0148】
核酸アレイ、およびその中で使用される核酸の型は、例えば、A Primer of Genome Science, G. Gibson and S. Muse, 2002, Chapters3-4(123〜181ページ)において記載されており、これは参照により本明細書に組み入れられる。この参考文献は、例えば、cDNAマイクロアレイおよびオリゴヌクレオチドアレイの両方、標識、ハイブリダイゼーション、および統計分析を記載する。cDNAアレイを使用して、何千もの遺伝子の発現の相対レベルを同時にモニタすることができる。PCR増幅させたcDNAフラグメント(EST)を、蛍光または放射性標識したcDNAに対し、スポッティングまたはプロービングすることができる。観察されたシグナル強度は、研究しているRNA群中に存在する転写物の量に比例すると仮定することができる。強度の差は、処理間の転写物レベルの差を反映する。統計学的および生物情報学的分析をその後、通常、確立した分子生物学的アプローチを用いて試験してもよい仮説を作成する目的で、実施することができる。しかしながら、現在のcDNAマイクロアレイは、15,000要素の上限を有する可能性があり、より高等な真核生物のゲノムにおいて存在する遺伝子の完全な組を示すことができない。オリゴヌクレオチド対cDNAマイクロアレイの利点および欠点は前記A Primer of Genome Scienceにおいて記載されており、本明細書で記載した核酸ナノアレイを構築する際に使用することができる。
【0149】
オリゴヌクレオチドはまた、標識オリゴヌクレオチドおよびフルオロ標識したオリゴヌクレオチドを含む下記実施例において記載されている。
【0150】
インクジェットプリントインク付け
インクジェットプリントは当技術分野において一般に公知である。インクジェットプリントの記載は、例えば、Madou, Fundamentals of Microfabrication, Chapter 3, CRC Press LLC(2002)において見出すことができる。インクジェットプリントを含む直接描画法は、例えば、連続モードインクジェットプリントおよびデマンドモード(ドロップオンデマンドを含む)インクジェットプリントを含む、第7章を含むDirect-Write Technologies, Sensors, Electronics, and Integrated Power Sources, Pique and Chrisey (Eds)(2002)において記載されている。また、流体分配ノズルを含むインクジェットプリントの記載、ならびにインクウェルに対する記載については、米国特許第7,034,854号も参照されたい。インク分配システムは、全体または一部において、1つまたは複数のマイクロメカニカルMEMS装置から構成されてもよく、ノズル、流体チャネル、ポンプ、および必要であれば制御電子回路が組み入れられる。
【0151】
インクジェットプリントを使用して、パターニング組成物をチップ上に堆積させることができる。1つまたは複数のノズルと共に使用することができる。ノズルは、使用するパターニング組成物の型によって、任意の直径を有することができる。直径はまた、例えば50μm〜200μmの間とすることができる。例えば、1つの態様では、ノズルは遠隔圧電制御ノズルであり、約85μmの直径を有する。
【0152】
多重化は当技術分野で一般に公知である。例えば、多重化スキームの説明を図1A〜1Bに示す。パターニング組成物を用いた一または二次元アレイの多重化インク付けが可能である。特に、堆積は、少なくとも2つの異なるインク組成物を同時に堆積させることにより、実行することができる。パターニング組成物は、任意の型のインクでありうる。例えば、様々な型の脂質、例えば複数のフルオロフォア標識リン脂質を含むことができる。アレイは前に記載したように、多くのペンを含むことができる。例えば、2Dアレイは55,000のペンを含むことができる。1つの態様では、チップは金属、例えば金の薄膜でコートすることができる。チップはさらに、異なる無機または有機化合物で官能化させることができる。例えば、1つの態様では、チップは1-メルカプトウンデカノールで官能化され、一方、窒化ケイ素およびケイ素/SiO2を含む、チップおよび/もしくはカンチレバーの一部ならびに/またはサポートの一部を含むペンの残りの部分は、1-オクタデシルトリクロロシラン(OTS)で不動態化させることができる。この化学修飾工程は、毛管作用により誘発される、インク付けされたカンチレバーのケイ素/SiO2サポートへの粘着を克服することができるので、重要でありうる(図12を参照されたい)。
【0153】
多重化の間、複数のインクをチップから同時に基材上に堆積させることができる。インクは互いに同じか、または異なるものでありうる。例えば、インクは物理的または化学的に区別しうる。
【0154】
ペンは任意の適した距離で離間させることができる。例えば、1つの態様では、ペンは約250μm未満、例えば約150μm未満または例えば約100μm未満で離間させることができる。ペンの2Dアレイが使用される別の態様では、間隔は例えば、約200μm×200μm未満、例えば約100μm×100μm未満、例えば90μm×90μm未満とすることができる。間隔は正方形である必要はない。例えば、間隔は100μm×80μmまたは50μm×200μmとすることができる。
【0155】
一般に、先行技術の方法におけるインク付け過程は、インク溶液中にペンを数秒間浸漬し、その後にN2でブロー乾燥する工程を含む[1, 23-25]。しかしながら、この過程は、窒素(N2)ブローイングの期間および角度、ならびに浸漬の様式に依存しうる不均一な溶媒乾燥のために変動を引き起こす可能性がある。1つの態様では、このインク付け中の問題は、インク溶液をそれぞれの各チップ上にインクジェットプリントすることを使用することにより、または各チップに「独立してアドレスすること」により克服される。インク溶液は、例えば、アセトニトリルに溶解した飽和MHA溶液でありうる。説明を図8A〜8Bに示す。また、インク溶液は脂質またはODTなどの疎水性分子を含むことができる。明確な量のインクを各ペンに高空間分解能で送達させることができるので、インクジェットプリントは、溶液からのインク付けに関連する、再現性がないという問題を克服することができる方法である。個々にチップにアドレスした結果、表面上に堆積されたインクは広がらず、接触せず、これにより交差汚染が回避される。パターン均一性の説明は図9で見出すことができる。
【0156】
ノズルからチップ表面上に堆積されるパターニングインク組成物は、少なくとも一部は使用するノズルの幾何学的形態によって、任意の幾何学的形態でありうる。例えば、液滴はほとんど球状または涙形でありうる。液滴サイズは、交差汚染のない成功したインクジェットプリントに適合させることができる。各液滴は例えば、約10〜約200μmの間の直径を有することができる。
【0157】
実質的な交差汚染の阻止および他の利点
チップアレイおよびインクジェットプリントは、チップ上でのパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合させることができる。完全な阻止もまた達成することができる。これは、例えばチップが少なくとも100/cm2、または少なくとも500/cm2、または少なくとも1000/cm2、または実に少なくとも55,000/cm2のチップ密度で存在する態様を含む高密度チップアレイに対し特に重要でありうる。例えば、チップアレイは、チップの間隔を制御することにより適合させることができる。チップアレイはまた、異なる様式および位置で、互いに隣り合って配置されたチップの幾何学的形態により適合させることができる。チップの二次元アレイは、列間の間隔ならびに列内の間隔を調節することにより適合させることができる。1つの態様では、アレイは二次元アレイであり、1つの次元におけるチップの列に沿った約90μm未満の、および別の次元におけるチップ列の間の約90μm未満の、チップ間の間隔により特徴づけられる。
【0158】
インクジェットプリントは、例えば、アレイに対するインクジェットプリンタの位置合わせを制御することにより適合させることができる。さらに、チップ上にプリントされるパターニング組成物の量を制御することができる。
【0159】
交差汚染の量は、約5重量%未満、または約1重量%未満、または測定を越えて無視できるものでありうる。例えば、顕微鏡法または蛍光法を含む当技術分野において公知の分析法を使用して交差汚染を測定することができる。インクは、堆積前または堆積後、チップ上にある間に交差汚染について測定することができる。ペンがインクによりコートされていない場合、ペンは描画せず、これは交差汚染がないことの別の証拠となる。
【0160】
チップはインクジェットプリントによりコートすることができ、そのため、チップは均一にコートされ、複数のチップが均一にコートされうる。
【0161】
さらに、インクジェットプリントのための条件は、堆積速度を制御するように適合させることができる。例えば、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量は適合させることができる。例えば、液滴数は適合させることができる。パターニング組成物の濃度は適合させることができる。
【0162】
特に、インクジェットプリントおよび堆積は、チップ上のパターニング組成物の量と輸送速度との間で直接の関係を生じさせるように実行することができる。
【0163】
さらに、インクジェットプリントのための条件は、チップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合させることができる。チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物は、チップ上に実質的に同じ量で配置させ、チップから実質的に同じ拡散速度で堆積させることができる。例えば、チップ上のパターニング組成物は拡散速度において、約10%未満、または5%未満の標準偏差を有することができる。さらに、パターニングされた特徴のサイズは、約10%未満、または5%未満の標準偏差を有することができる。
【0164】
インクジェットプリント後、チップの保管寿命を測定することができる。例えば、保管寿命は少なくとも14日または少なくとも30日または少なくとも60日とすることができる。
【0165】
局在化/自己修正
インクジェットプリントにより提供されるアドレス可能性に関係なく、インク付けの空間分解能は、インクジェットプリンタのアレイ内のペンとの位置合わせを制限する機械的ヒステリシス、ノズルのサイズ、偶発的な液滴形成の不一致、および表面上でのインクの広がりにより制限される可能性がある[19-21]。これらの問題を克服するために、化学的ウェッティングおよび表面修飾プロトコルに基づくインク滴の指向性の乾燥を可能にする自己修正インク付け戦略を開発することができる[12, 26, 27] (図5を参照されたい)。1つの態様は、チップ、例えば、角錐チップが残りの領域よりも親水性となる(またはチップはより疎水性にすることができる)ように、ペンを異方的に官能化するものである。異方的な官能化は、表面エネルギーの違いによりチップ上でのインク滴の局在化を促進することができる。異なる親水性の少なくとも2つの領域を分離する境界線を形成させることができる。チップアレイはカンチレバー上に配置することができ、チップおよびカンチレバーは、特別なチップ領域でのインク組成物の局在化を促進するように表面適合させることができる。チップは、チップ上でのパターニング組成物の局在化を促進するようにコートすることができる。これは、有機材料により修飾されていない表面を有するチップの代案である。インクジェットプリントは、チップの表面全体に配置されるように少なくとも1つの液滴を噴射する工程、続いて、乾燥により液滴を縮小させチップ上で局在化させる工程を含むことができる。
【0166】
チップは、より親水性の構成要素である必要はない;例えば、チップは残りの領域、例えばカンチレバーよりも疎水性となるように官能化させることができる。さらに、チップ全体を、カンチレバーに比べ異なる親水性を有するように官能化することができる。例えば、カンチレバーがアレイで使用されない態様では、先端に近いチップの部分のみが、チップの残りとは異なる親水性を有するように官能化される必要がある。チップの官能化は、前のセクションで記載した通りである。
【0167】
1つの態様では、アレイのチップは、シャドウマスクとしてカバースリップなどのマスクを使用して金属、例えば金の薄層で選択的にコートすることができる(図13を参照されたい)。このアプローチにより、チップ領域を、例えばMHAを含むパターニング組成物を用いて、例えばアルカンチオール-金化学により局所的に官能化することができる[11] (図6)。1つの態様では、金の堆積工程は成形および移送ペンの微細加工過程に統合することができるので[4, 28]、この異方的な官能化戦略は、個々のAFMカンチレバーおよびペンアレイの両方に都合良く適用することができる[4]。例えば、320pLの液滴をアレイ内の個々のペン上に送達するためにこのアプローチおよびインクジェットプリンタを使用すると、そのような構造は、付近のペンの汚染または「交差汚染」なしに、選択的にアドレスされうる(図6A)。液滴は特別な用途のための加工製作物を製造するように適合された、関連する任意の体積でありうる。例えば、1000pL未満または1000pLを超えるものでありうる。750pL未満、例えば500pL未満でありうる。
【0168】
インク滴を官能化させたチップ領域内に局在化させることが一般に望ましい。チップがMHAにより官能化される1つの態様では、官能化された領域は、MHAで官能化された金基材上で乾燥されたMHA/エタノールの液滴に関する総フットプリント領域の2%未満である。しかしながら、この実験は、カンチレバーアームからチップへの選択的インク局在化を示さない。1つの態様では、光学顕微鏡法で示されるように、液滴が乾燥するにつれ、インクは疎水性カンチレバーアームから親水性チップに移動することができる。液膜は疎水性-親水性境界で崩壊し、これにより、インクはチップ領域に限定される(図6B)。対照実験により、インクは天然の窒化ケイ素カンチレバー上ではランダムに乾燥することが示される。
【0169】
チップは、リソグラフィーおよびパターニング工程を含む当技術分野で公知の方法により処理することができる。カンチレバーの後側は当技術分野において公知のように官能化させることができる。
【0170】
リン脂質がパターニング組成物において使用される別の態様では、金でコートしたペンを疎水性分子、ODTで官能化することによりリン脂質インク滴が、チップにより良好に限定されることを見出すことができ;液滴のフットプリントは、親水性のMHA官能化表面上と比べて約50%減少した。
【0171】
別の態様は、カンチレバーアレイを含み、カンチレバーはその上にチップを有し、カンチレバーおよびチップは堆積されたインクジェット滴のチップ上への局在化を促進するように適合される、装置を提供する。局在化は親水性-疎水性境界の使用により促進することができる。
【0172】
局在化はまた、他の構造、例えばインクウェルまたは米国特許第7,034,854号において記載されているようなポストのようなチップのような構造に適用することができる。
【0173】
コンタクトプリンタ表面
ソフトリソグラフィーおよび直接描画技術を含み、例えば、チップを用いたDPNプリンティングおよびスタンプを用いたマイクロコンタクトプリンティングを含む、接触プリンティング法は当技術分野において公知である。接触プリンティングでは、インクは、連続過程によるかまたは並行過程によるかに関係なく、コンタクトプリンタ表面から基材表面まで流れ、またはそうでなければ、堆積される。
【0174】
自己修正法は、記載したようなインクジェットプリントインク組成物と共にのみ、使用する必要はない。例えば、独立してアドレスされるチップは自己修正法なしで使用することができる。同様に、自己修正された、官能化チップは、チップが独立してアドレスされるリソグラフィーのためだけに使用される必要はない。さらに、インクをチップから基材上へ転写させる堆積法は、特別な型である必要はない。例えば、堆積法はDPNまたはマイクロコンタクトプリンティングでありうる。
【0175】
コンタクトプリンタ表面は開口を含むことができる。または、開口を含む細長いビームを含むことができる。
【0176】
下記の非制限的な実施例において別の態様を提供する。
【0177】
非制限的な実施例
材料および方法
材料
16-メルカプトヘキサデカン酸(MHA、90%)、1-オクタデカンチオール(ODT、98%)、およびエタノール(200アルコール度、HPLCグレード)をSigma-Aldrichから購入した。Ti(99.7%)およびAu(99.99%)ワイヤをAlfa Aesar, Ward Hillから購入した。リン脂質は全てAvanti Polar Lipids, Inc.から購入し、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホコリン(DOPC)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(リサミンローダミンBスルホニル)アンモニウム塩(ローダミン)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(5-ジメチルアミノ-1-ナフタレンスルホニル)(ダンシル)、および1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン-N-(カルボキシフルオレセイン)(フルオレセイン)が含まれる。
【0178】
インクジェットプリント
インクジェットプリントは、320pLの液滴を分配する85μm圧電制御ノズルを有するドロップオンデマンドマイクロディスペンサーシステム(Piezorray(商標)、Perkin Elmer, Inc., Waltham, MA)を使用して実行した。液滴の形成は、電圧およびパルス幅の分配条件(70V、40μsec)を調節することにより制御し、これらは、CCDカメラを使用して実時間でモニタすることができた。システムは環境チャンバに封入され、X-Y位置精度は25μmであった。インク溶液はエタノールに溶解したMHA(0.5〜10mM)、水に溶解したDOPCリン脂質(1wt%のフルオロフォア標識脂質を有する10g/Lの多重膜ベシクル)、および飽和MHA-アセトニトリル溶液を含んだ。
【0179】
ディップペンナノリソグラフィー
DPN実験を、100μmスキャナおよび閉ループ走査制御装置を備えたNScriptor(商標)(NanoInk, Inc., Skokie, IL)またはAFM(CP-III、Veeco/Thermomicroscopes, Sunnyvale, CA)を用いて実施した。DPNパターニング実験は全て、制御された環境(約40〜75%の相対湿度、20〜24℃)下で実行した。多結晶Au膜は、1Å/sの速度、<5×10-6Torrの基準圧で、SiOx上で5〜10nmのTiを、続いて25nmのAuを熱蒸着することにより調製した。
【0180】
実施例1:アレイにおけるチップの独立したアドレッシング
インクジェットプリントは、アレイ内で各ペンを独立してアドレスさせることが証明された。遠隔圧電制御ノズルを使用して、インクジェットプリンタは直接ピコ〜ナノリットルの体積のインクを各ペンに送達することができる。空中では、液滴直径は40〜100μmの範囲であるが、基材に衝突した場合数百μmまで増加する[19-22]。このインク付けプロトコルにより、多数の化学的に異なるインクを1Dまたは2Dペンアレイ内の各または数個のペンに送達させることができる。このアプローチを評価するために、図2Aに示すように、MHA/エタノール溶液(10mM、約320pLの液滴)で7-ペンの1Dアレイ内の1つおきのペンをアドレスし、コートすることができるか研究した。その後、このインクコートペンアレイをDPN実験で使用して、金薄膜基材上に4×4アレイの1.5μm直径のMHA特徴を作成した。露出した金のその後のエッチングにより、光学顕微鏡法により、より容易に特徴づけることができる隆起した特徴が残された;図2Bを参照されたい。4つのインク付けされたカンチレバーのみがパターンを生成したことに注目されたい。この実験により、150μm離間されたカンチレバーは交差汚染なしでアドレスされることが証明された。
【0181】
インクジェットプリントを使用して、アレイ内の異なるペンへ同量のMHAインクを送達するとサイズが同様のパターン特徴が得られることも見出された。パターンサイズは、MHAパターンのインサイチュー水平力顕微鏡法(LFM)により、光学顕微鏡法により前記の隆起した金構造を調べることにより、および、原子間力顕微鏡法(AFM)によっても、測定した。同じアレイ内の4つの異なるペンにより作成した特徴サイズの標準偏差は4.4±1.4%であり、異なるペンアレイ間ではほんのわずかに増加し、4.8±0.7%となった。このサイズ変動は、浸漬コートペンアレイに比べ非常に小さく、浸漬コートペンアレイのインク拡散速度はペン間で10%を超えて変動する可能性があり(標準偏差)、アレイ間では任意である。インク付けしたペンアレイは、少なくとも1ヶ月の保管寿命を有し、10%未満の特徴サイズの変動で、100nmまでの高品質な特徴を作成することができる。特徴サイズの変動の光学顕微鏡像は、例えば、図10A〜10Dにおいて見出される。これらの研究から、溶液中での浸漬コーティングによりインク付けされたペンアレイに関連する拡散速度の大きな変動は、主に、ペン上での不均一なインク分布から生じたことが確認される。
【0182】
多重化の可能性を評価するために、7-ペンアレイ内の1つおきのカンチレバーの、異なるフルオロフォア標識リン脂質を有する各々を、4つのインクの各々について、吸引、分配(インク付け)、およびクリーニングのサイクルを通過するように単一インクジェットノズルをプログラミングすることにより、インク付けした(図3A)。インク付けしたペンアレイをその後使用して、4つの異なるインクを正方形アレイでパターニングした。各正方形は10μmとし、300nmの平行な線の特徴から作成した。意義深いことに、ペンの間隔は150μmであったが、この技術および機械的なステージを使用して、ペンをAFMの標準視野(90μm×90μm)内外に移動させることができ、1つの視野内で異なる材料からなる構造を作成することができる(図3B)。このパターンにより、インクジェットプリントは複数のインクを用いる多重化DPNを可能にすることが証明された[2, 3, 16]。
【0183】
複数のフルオロフォア標識リン脂質を用いた二次元アレイの多重化インク付けもまた可能である。概念を証明する実験では、55,000のペンの2Dアレイ[4, 5]の、金でコートしたチップを1-メルカプトウンデカノールで官能化し、残りの領域(窒化ケイ素およびケイ素/SiO2)は、1-オクタデシルトリクロロシラン(OTS)を用いて不動態化した。この化学修飾工程により、毛管作用により誘発される、インク付けされたカンチレバーのケイ素/SiO2サポートへの粘着が克服される(図12を参照されたい)。1つの実験では、フルオロフォア標識リン脂質を、55,000のペンの2Dアレイの1象限に「NU」パターンでプリントした(図4Aおよび図11)。インク付けされたペンアレイを、その後、DPNパターニングのために使用した。この2Dアレイの隣接するペンの間の間隔が20μmであったために、各インクジェット滴は、1ではなく5〜7のペンを覆った。さらに、インク付けは、液滴が基材に衝突した時点での液滴の広がりのために、完全に均一ではなかった。これらの問題は両方とも、アレイ内でのペン間の間隔を増加することにより対処することができる。実際、概念の証明として、90μm×90μmのペン間の間隔を有する2Dペンアレイを用いて、単一のペンのアドレス可能性が達成された(図4B〜D)。リン脂質インク滴は、金でコートされたペンを疎水性分子ODTで官能化させることにより、よりよくチップに限定され;液滴のフットプリントは、親水性のMHA官能化表面上と比べて約50%減少したことに注目されたい。
【0184】
インクジェットプリントにより提供されるアドレス可能性に関係なく、インク付けの空間分解能は、インクジェットプリンタのアレイ内のペンとの位置合わせを制限する機械的ヒステリシス、ノズルのサイズ(本明細書で使用されるシステムに関しては約85μm直径)、偶発的な液滴形成の不一致、および表面上でのインクの広がりにより制限される[19-21]。これらの問題を克服するために、化学的ウェッティングおよび表面修飾プロトコルに基づくインク滴の指向性の乾燥を可能にする自己修正インク付け戦略が開発された[12, 26, 27] (図5を参照されたい)。基本概念は、角錐チップは親水性であり、残りの領域は疎水性であるように、ペンを異方的に官能化するものであった。異方的な官能化は、表面エネルギーの違いにより親水性チップ上でのインク滴の局在化を促進する。
【0185】
アレイのチップは、シャドウマスクとしてカバースリップを使用して金の薄層で選択的にコートした(図13を参照されたい)。このアプローチにより、チップ領域を、MHAを用いてアルカンチオール-金化学により局所的に官能化することができる[11] (図6)。金の堆積工程は成形および移送ペンの微細加工過程に統合することができるので、この異方的な官能化戦略は、個々のAFMカンチレバーおよびペンアレイの両方に都合良く適用することができる[4]。320pLの液滴をアレイ内の個々のペン上に送達するためにこのアプローチおよびインクジェットプリンタを使用すると、そのような構造は、付近のペンの汚染なしに、選択的にアドレスされうる(図6A)。インク滴はMHAで官能化されたチップ領域内に局在化され、この領域は、MHAで官能化された金基材上で乾燥されたMHA/エタノールの液滴に関する総フットプリント領域の2%未満である。しかしながら、この実験は、カンチレバーアームからチップまでの選択的なインクの局在化を示さない。局在化を評価するために、2mM MHA/エタノール溶液の0.2μLの液滴を7-ペンアレイのカンチレバーおよびチップ領域上に堆積させた(図6B、5つのペンを図示する)。光学顕微鏡法により、液滴が乾燥するにつれ、インクは疎水性カンチレバーアームから親水性チップに移動することが示された。液膜は疎水性-親水性境界で崩壊し、これにより、インクはチップ領域に限定された(図6B)。対照実験では、インクは本来のSixNyカンチレバー上ではランダムに乾燥することが示された。
【0186】
別の実験では、ケイ素上に金が存在する基材(25nm 金/5nm Ti/SiOx/Si)をODT単層で修飾し、続いて、ガラスカバースリップにより覆われていない領域上で金の第2の堆積を実施した。第2の金の領域はMHAで官能化した。この手順により、基材の疎水性部分と親水性部分との間ではっきりとした境界が形成される。10mM MHA/エタノールインク滴のアレイを境界上および境界付近に、液滴-境界の距離を変動させて、直接堆積させた。境界の230μm内にあるがODT側上にある液滴に関しては、インク滴は全て基材のMHA側に移動した(図7)。そのため、カンチレバーアーム上のインクがチップに移動するので、均一なチップのインク付けを得るためにアレイのチップを完全にアドレスする必要がない。
【0187】
異方的に官能化させた7ペンアレイ上で0.2mM MHA-エタノール溶液の0.2μlの液滴を乾燥させることを、1秒につき1フレームの速度で、5秒間隔で各フレームをとり、動画に記録した。
【0188】
下記参考文献は、上記で引用され、参照により本明細書でその全体が組み入れられ、主張した態様を実施するためのさらなる実現サポートを提供する。
参考文献
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのチップアレイを提供する工程;
互いに異なる少なくとも2つのパターニング組成物を提供する工程;
少なくとも2つの異なるパターニング組成物をチップの少なくともいくつか上にインクジェットプリントする工程;および
インクジェットプリントしたパターニング組成物の少なくともいくらかを基材表面上に堆積させる工程
を含み、前記チップアレイおよびインクジェットプリントが、チップ上のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される、方法。
【請求項2】
チップが少なくとも1,000/平方センチメートルのチップ密度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
チップアレイが、チップの間隔を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
チップアレイがチップの二次元アレイであり、かつ、各次元でのチップの間隔を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
インクジェットプリントが、インクジェットプリンタのアレイに対する位置合わせを制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
インクジェットプリントが、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
交差汚染の阻止が、交差汚染の量が約5重量%未満となるのに十分である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
実質的な交差汚染の阻止が顕微鏡法により測定される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
チップアレイがカンチレバー上に配置され、該チップおよびカンチレバーが、インク組成物のチップ領域内での局在化が促進されるように表面適合される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
チップアレイが二次元アレイである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
チップアレイが、チップがその上に配置される複数のカンチレバーをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
チップアレイが約150μm未満のチップ間隔により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
アレイが二次元アレイであり、かつ、1つの次元におけるチップの列に沿った約90μm未満の、および別の次元におけるチップの列の間の約90μm未満の、チップとチップの間の間隔により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
チップが走査プローブ顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量が約500pLより少ない、請求項1記載の方法。
【請求項17】
堆積が、少なくとも2つの異なるインク組成物を同時に堆積させることにより実施される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
チップが、チップ上でのパターニング組成物の局在化が促進されるようにコートされる、請求項1記載の方法。
【請求項19】
インクジェットプリントが、チップが均一にコートされるように制御される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
インクジェットプリントが、チップの表面全体に配置されるように少なくとも1つの液滴を噴射する工程、続いて、乾燥により液滴を縮小させチップ上で局在化させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程;および
インクジェットプリントされたパターニング組成物を基材表面上に堆積速度で堆積させる工程
を含み、インクジェットプリントのための条件が堆積速度を制御するように適合される、方法。
【請求項22】
適合される条件が、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
適合される条件が、チップ上にインクジェットされるインク滴の数を含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
適合される条件が、均一なチップコーティングを提供するのに十分に、インク滴の数を増加させることを含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
適合される条件が、パターニング組成物の濃度を含む、請求項21記載の方法。
【請求項26】
インクジェットプリントおよび堆積が、チップ上のパターニング組成物の量と輸送速度との間で直接の関係を生じさせるように実行される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項21記載の方法。
【請求項28】
チップがチップアレイのうちの1つである、請求項21記載の方法。
【請求項29】
チップがAFMチップである、請求項21記載の方法。
【請求項30】
チップが走査プローブチップである、請求項21記載の方法。
【請求項31】
チップがナノスコピックチップである、請求項21記載の方法。
【請求項32】
チップが固体チップである、請求項21記載の方法。
【請求項33】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項21記載の方法。
【請求項34】
インクジェットプリント後のチップが少なくとも約30日の保管寿命を有する、請求項21記載の方法。
【請求項35】
インクジェットプリントが、少なくとも1つの圧電制御ノズルを用いて実施される、請求項21記載の方法。
【請求項36】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造がインクのチップ上への局在化を促進するように処理される、請求項21記載の方法。
【請求項37】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造が、インクのチップ上への局在化を促進するために異なる親水性の少なくとも2つの領域が提供されるように処理される、請求項21記載の方法。
【請求項38】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造が、インクのチップ上への局在化を促進するために異なる親水性の少なくとも2つの領域が提供されるように単層で表面処理される、請求項21記載の方法。
【請求項39】
チップの少なくとも一部が、親水性または疎水性にされる、請求項21記載の方法。
【請求項40】
チップが、チップの異なる部分で異なる親水性を有するように官能化される、請求項21記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つのパターニング組成物を、少なくとも2つのチップを含む少なくとも1つのチップアレイ上にインクジェットプリントする工程;および
パターニング組成物をチップから基材表面上に堆積させ、複数の特徴を形成させる工程
を含み、インクジェットプリントのための条件がチップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合される、方法。
【請求項42】
アレイが一次元アレイである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
アレイが二次元アレイである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
アレイが少なくとも1つのカンチレバーをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
チップの少なくともいくつかがカンチレバー上に配置される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物がチップ上に実質的に同じ量で配置される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物がチップから実質的に同じ拡散速度で堆積される、請求項41記載の方法。
【請求項48】
インクジェットプリント後のチップが少なくとも約1ヶ月の保管寿命を有する、請求項41記載の方法。
【請求項49】
チップが走査プローブ顕微鏡チップである、請求項41記載の方法。
【請求項50】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項41記載の方法。
【請求項51】
チップが、有機材料により修飾されていない表面を含む、請求項41記載の方法。
【請求項52】
チップ上のパターニング組成物が、堆積時に実質的に同じ拡散速度を提供する、請求項41記載の方法。
【請求項53】
チップ上のパターニング組成物が約10%未満の拡散速度における標準偏差を有する、請求項41記載の方法。
【請求項54】
特徴が約100nm〜約10μmである、請求項41記載の方法。
【請求項55】
特徴が10nm〜約1μmである、請求項41記載の方法。
【請求項56】
特徴のサイズが約10%未満の標準偏差を有する、請求項41記載の方法。
【請求項57】
パターニング組成物の拡散が、チップの官能化により制御される、請求項41記載の方法。
【請求項58】
チップが、インクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項59】
チップが、より親水性となる、またはより疎水性となるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項60】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、チップおよびカンチレバーの両方が、チップ上のインクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのアレイ内の少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程を含み、該チップが、チップ上のパターニング組成物の局在化が促進されるように処理されている、方法。
【請求項62】
チップが、より親水性となる、またはより疎水性となるように処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項63】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項61記載の方法。
【請求項64】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーおよびチップが、チップ上のインクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理される、請求項61記載の方法。
【請求項65】
チップが単層で処理される、請求項61記載の方法。
【請求項66】
チップがチップの周りの領域よりも、実質的により親水性である、請求項61記載の方法。
【請求項67】
チップがチップの周りの領域よりも、実質的により親水性ではない、請求項61記載の方法。
【請求項68】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーがチップよりも親水性である、請求項61記載の方法。
【請求項69】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーがチップよりも疎水性である、請求項61記載の方法。
【請求項70】
異なる親水性を提供する処理が、異方的な官能化により作製される、請求項61記載の方法。
【請求項71】
チップがリソグラフィーを含む方法により処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項72】
チップが、チップを膜でコートすることを含む方法により処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項73】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーの後側がさらに官能化される、請求項61記載の方法。
【請求項74】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項61記載の方法。
【請求項75】
チップがナノスコピックチップである、請求項61記載の方法。
【請求項76】
アレイが一次元または二次元アレイである、請求項61記載の方法。
【請求項77】
インクジェットプリントが、約100μmまたはそれ未満の直径を有するノズルにより実施される、請求項61記載の方法。
【請求項78】
使用されるチップアレイおよびインクジェットプリントが、チップ上の複数のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される、請求項61記載の方法。
【請求項79】
チップアレイが、チップの間隔を制御して実質的な交差汚染を阻止することにより適合されて使用される、請求項61記載の方法。
【請求項80】
インクジェットプリントが、インクジェットプリンタの位置合わせを制御することにより適合される、請求項61記載の方法。
【請求項81】
コンタクトプリンタ表面を提供する工程;
少なくとも1つのパターニング組成物をコンタクトプリンタ表面上に配置する工程;および
コンタクトプリンタ表面から基材に、配置したパターニング組成物の少なくともいくらかを堆積させる工程
を含み、コンタクトプリンタ表面が、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化が促進されるように処理される、方法。
【請求項82】
配置工程がインクジェットプリントにより実行される、請求項81記載の方法。
【請求項83】
コンタクトプリンタ表面が、ソフトリソグラフィー法のために適合される、請求項81記載の方法。
【請求項84】
コンタクトプリンタ表面が、マイクロコンタクトプリンティングのためのスタンプ表面である、請求項81記載の方法。
【請求項85】
コンタクトプリンタ表面が、直接描画堆積のためのチップである、請求項81記載の方法。
【請求項86】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項87】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーがその上にチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項88】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーがその上にAFMチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項89】
コンタクトプリンタ表面がナノスコピックチップである、請求項81記載の方法。
【請求項90】
コンタクトプリンタ表面が走査プローブチップである、請求項81記載の方法。
【請求項91】
コンタクトプリンタ表面が開口を含む、請求項81記載の方法。
【請求項92】
コンタクトプリンタ表面が開口を含む細長いビームを含む、請求項81記載の方法。
【請求項93】
コンタクトプリンタ表面が固体チップである、請求項81記載の方法。
【請求項94】
コンタクトプリンタ表面がAFMチップである、請求項81記載の方法。
【請求項95】
コンタクトプリンタ表面が、異なる親水性を有する2つの領域の間の境界線を境にして局在化を促進する、請求項81記載の方法。
【請求項96】
コンタクトプリンタ表面が、チップ上のパターニング組成物の局在化を促進するように処理されているチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項97】
コンタクトプリンタ表面が二次元チップアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項98】
コンタクトプリンタ表面が、少なくとも3,000チップ/平方センチメートルのチップ密度を有する二次元チップアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項99】
配置工程が、インクジェットプリント工程であり、コンタクトプリンタ表面がその上にAFMチップを有するカンチレバーアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項100】
配置工程が、インクジェットプリント工程であり、コンタクトプリンタ表面がその上にAFMチップを有するカンチレバーアレイを含み、該アレイが約100μm未満のチップ間隔を有する、請求項81記載の方法。
【請求項101】
その上にチップを有するカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーおよびチップがチップ上に堆積されたインクジェット滴の局在化を促進するように適合される、装置。
【請求項102】
局在化が、親水性-疎水性境界の使用により促進される、請求項101記載の装置。
【請求項103】
チップがAFMチップである、請求項101記載の装置。
【請求項104】
アレイが二次元アレイである、請求項101記載の装置。
【請求項105】
アレイが、インクジェットプリントにより堆積されたパターニング組成物の交差汚染を阻止するように適合されたカンチレバー間隔を有する、請求項101記載の装置。
【請求項106】
チップがエラストマーチップである、請求項101記載の装置。
【請求項107】
チップが固体チップである、請求項101記載の装置。
【請求項108】
チップが万年筆チップである、請求項101記載の装置。
【請求項109】
インクウェルを提供する工程、
少なくとも1つのパターニング組成物をインクウェル表面上に配置する工程
を含み、インクウェル表面が、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される方法。
【請求項1】
少なくとも1つのチップアレイを提供する工程;
互いに異なる少なくとも2つのパターニング組成物を提供する工程;
少なくとも2つの異なるパターニング組成物をチップの少なくともいくつか上にインクジェットプリントする工程;および
インクジェットプリントしたパターニング組成物の少なくともいくらかを基材表面上に堆積させる工程
を含み、前記チップアレイおよびインクジェットプリントが、チップ上のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される、方法。
【請求項2】
チップが少なくとも1,000/平方センチメートルのチップ密度で存在する、請求項1記載の方法。
【請求項3】
チップアレイが、チップの間隔を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
チップアレイがチップの二次元アレイであり、かつ、各次元でのチップの間隔を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
インクジェットプリントが、インクジェットプリンタのアレイに対する位置合わせを制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
インクジェットプリントが、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量を制御することにより適合される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
交差汚染の阻止が、交差汚染の量が約5重量%未満となるのに十分である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
実質的な交差汚染の阻止が顕微鏡法により測定される、請求項1記載の方法。
【請求項9】
チップアレイがカンチレバー上に配置され、該チップおよびカンチレバーが、インク組成物のチップ領域内での局在化が促進されるように表面適合される、請求項1記載の方法。
【請求項10】
チップアレイが二次元アレイである、請求項1記載の方法。
【請求項11】
チップアレイが、チップがその上に配置される複数のカンチレバーをさらに含む、請求項1記載の方法。
【請求項12】
チップアレイが約150μm未満のチップ間隔により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項13】
アレイが二次元アレイであり、かつ、1つの次元におけるチップの列に沿った約90μm未満の、および別の次元におけるチップの列の間の約90μm未満の、チップとチップの間の間隔により特徴づけられる、請求項1記載の方法。
【請求項14】
チップが走査プローブ顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項15】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項1記載の方法。
【請求項16】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量が約500pLより少ない、請求項1記載の方法。
【請求項17】
堆積が、少なくとも2つの異なるインク組成物を同時に堆積させることにより実施される、請求項1記載の方法。
【請求項18】
チップが、チップ上でのパターニング組成物の局在化が促進されるようにコートされる、請求項1記載の方法。
【請求項19】
インクジェットプリントが、チップが均一にコートされるように制御される、請求項1記載の方法。
【請求項20】
インクジェットプリントが、チップの表面全体に配置されるように少なくとも1つの液滴を噴射する工程、続いて、乾燥により液滴を縮小させチップ上で局在化させる工程を含む、請求項1記載の方法。
【請求項21】
少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程;および
インクジェットプリントされたパターニング組成物を基材表面上に堆積速度で堆積させる工程
を含み、インクジェットプリントのための条件が堆積速度を制御するように適合される、方法。
【請求項22】
適合される条件が、チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物の量を含む、請求項21記載の方法。
【請求項23】
適合される条件が、チップ上にインクジェットされるインク滴の数を含む、請求項21記載の方法。
【請求項24】
適合される条件が、均一なチップコーティングを提供するのに十分に、インク滴の数を増加させることを含む、請求項21記載の方法。
【請求項25】
適合される条件が、パターニング組成物の濃度を含む、請求項21記載の方法。
【請求項26】
インクジェットプリントおよび堆積が、チップ上のパターニング組成物の量と輸送速度との間で直接の関係を生じさせるように実行される、請求項21記載の方法。
【請求項27】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項21記載の方法。
【請求項28】
チップがチップアレイのうちの1つである、請求項21記載の方法。
【請求項29】
チップがAFMチップである、請求項21記載の方法。
【請求項30】
チップが走査プローブチップである、請求項21記載の方法。
【請求項31】
チップがナノスコピックチップである、請求項21記載の方法。
【請求項32】
チップが固体チップである、請求項21記載の方法。
【請求項33】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項21記載の方法。
【請求項34】
インクジェットプリント後のチップが少なくとも約30日の保管寿命を有する、請求項21記載の方法。
【請求項35】
インクジェットプリントが、少なくとも1つの圧電制御ノズルを用いて実施される、請求項21記載の方法。
【請求項36】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造がインクのチップ上への局在化を促進するように処理される、請求項21記載の方法。
【請求項37】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造が、インクのチップ上への局在化を促進するために異なる親水性の少なくとも2つの領域が提供されるように処理される、請求項21記載の方法。
【請求項38】
チップがカンチレバー上に配置されて1つの構造を形成し、該構造が、インクのチップ上への局在化を促進するために異なる親水性の少なくとも2つの領域が提供されるように単層で表面処理される、請求項21記載の方法。
【請求項39】
チップの少なくとも一部が、親水性または疎水性にされる、請求項21記載の方法。
【請求項40】
チップが、チップの異なる部分で異なる親水性を有するように官能化される、請求項21記載の方法。
【請求項41】
少なくとも1つのパターニング組成物を、少なくとも2つのチップを含む少なくとも1つのチップアレイ上にインクジェットプリントする工程;および
パターニング組成物をチップから基材表面上に堆積させ、複数の特徴を形成させる工程
を含み、インクジェットプリントのための条件がチップアレイにおける堆積速度の変動を制御するように適合される、方法。
【請求項42】
アレイが一次元アレイである、請求項41記載の方法。
【請求項43】
アレイが二次元アレイである、請求項41記載の方法。
【請求項44】
アレイが少なくとも1つのカンチレバーをさらに含む、請求項41記載の方法。
【請求項45】
チップの少なくともいくつかがカンチレバー上に配置される、請求項41記載の方法。
【請求項46】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物がチップ上に実質的に同じ量で配置される、請求項41記載の方法。
【請求項47】
チップ上にインクジェットプリントされるパターニング組成物がチップから実質的に同じ拡散速度で堆積される、請求項41記載の方法。
【請求項48】
インクジェットプリント後のチップが少なくとも約1ヶ月の保管寿命を有する、請求項41記載の方法。
【請求項49】
チップが走査プローブ顕微鏡チップである、請求項41記載の方法。
【請求項50】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項41記載の方法。
【請求項51】
チップが、有機材料により修飾されていない表面を含む、請求項41記載の方法。
【請求項52】
チップ上のパターニング組成物が、堆積時に実質的に同じ拡散速度を提供する、請求項41記載の方法。
【請求項53】
チップ上のパターニング組成物が約10%未満の拡散速度における標準偏差を有する、請求項41記載の方法。
【請求項54】
特徴が約100nm〜約10μmである、請求項41記載の方法。
【請求項55】
特徴が10nm〜約1μmである、請求項41記載の方法。
【請求項56】
特徴のサイズが約10%未満の標準偏差を有する、請求項41記載の方法。
【請求項57】
パターニング組成物の拡散が、チップの官能化により制御される、請求項41記載の方法。
【請求項58】
チップが、インクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項59】
チップが、より親水性となる、またはより疎水性となるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項60】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、チップおよびカンチレバーの両方が、チップ上のインクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理されている、請求項41記載の方法。
【請求項61】
少なくとも1つのパターニング組成物を少なくとも1つのアレイ内の少なくとも1つのチップ上にインクジェットプリントする工程を含み、該チップが、チップ上のパターニング組成物の局在化が促進されるように処理されている、方法。
【請求項62】
チップが、より親水性となる、またはより疎水性となるように処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項63】
チップがカンチレバー上に配置される、請求項61記載の方法。
【請求項64】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーおよびチップが、チップ上のインクジェットプリントされた組成物の局在化が促進されるように処理される、請求項61記載の方法。
【請求項65】
チップが単層で処理される、請求項61記載の方法。
【請求項66】
チップがチップの周りの領域よりも、実質的により親水性である、請求項61記載の方法。
【請求項67】
チップがチップの周りの領域よりも、実質的により親水性ではない、請求項61記載の方法。
【請求項68】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーがチップよりも親水性である、請求項61記載の方法。
【請求項69】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーがチップよりも疎水性である、請求項61記載の方法。
【請求項70】
異なる親水性を提供する処理が、異方的な官能化により作製される、請求項61記載の方法。
【請求項71】
チップがリソグラフィーを含む方法により処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項72】
チップが、チップを膜でコートすることを含む方法により処理されている、請求項61記載の方法。
【請求項73】
チップがカンチレバー上に配置され、かつ、該カンチレバーの後側がさらに官能化される、請求項61記載の方法。
【請求項74】
チップが原子間力顕微鏡チップである、請求項61記載の方法。
【請求項75】
チップがナノスコピックチップである、請求項61記載の方法。
【請求項76】
アレイが一次元または二次元アレイである、請求項61記載の方法。
【請求項77】
インクジェットプリントが、約100μmまたはそれ未満の直径を有するノズルにより実施される、請求項61記載の方法。
【請求項78】
使用されるチップアレイおよびインクジェットプリントが、チップ上の複数のパターニング組成物の実質的な交差汚染を阻止するように適合される、請求項61記載の方法。
【請求項79】
チップアレイが、チップの間隔を制御して実質的な交差汚染を阻止することにより適合されて使用される、請求項61記載の方法。
【請求項80】
インクジェットプリントが、インクジェットプリンタの位置合わせを制御することにより適合される、請求項61記載の方法。
【請求項81】
コンタクトプリンタ表面を提供する工程;
少なくとも1つのパターニング組成物をコンタクトプリンタ表面上に配置する工程;および
コンタクトプリンタ表面から基材に、配置したパターニング組成物の少なくともいくらかを堆積させる工程
を含み、コンタクトプリンタ表面が、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化が促進されるように処理される、方法。
【請求項82】
配置工程がインクジェットプリントにより実行される、請求項81記載の方法。
【請求項83】
コンタクトプリンタ表面が、ソフトリソグラフィー法のために適合される、請求項81記載の方法。
【請求項84】
コンタクトプリンタ表面が、マイクロコンタクトプリンティングのためのスタンプ表面である、請求項81記載の方法。
【請求項85】
コンタクトプリンタ表面が、直接描画堆積のためのチップである、請求項81記載の方法。
【請求項86】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項87】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーがその上にチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項88】
コンタクトプリンタ表面がカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーがその上にAFMチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項89】
コンタクトプリンタ表面がナノスコピックチップである、請求項81記載の方法。
【請求項90】
コンタクトプリンタ表面が走査プローブチップである、請求項81記載の方法。
【請求項91】
コンタクトプリンタ表面が開口を含む、請求項81記載の方法。
【請求項92】
コンタクトプリンタ表面が開口を含む細長いビームを含む、請求項81記載の方法。
【請求項93】
コンタクトプリンタ表面が固体チップである、請求項81記載の方法。
【請求項94】
コンタクトプリンタ表面がAFMチップである、請求項81記載の方法。
【請求項95】
コンタクトプリンタ表面が、異なる親水性を有する2つの領域の間の境界線を境にして局在化を促進する、請求項81記載の方法。
【請求項96】
コンタクトプリンタ表面が、チップ上のパターニング組成物の局在化を促進するように処理されているチップを含む、請求項81記載の方法。
【請求項97】
コンタクトプリンタ表面が二次元チップアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項98】
コンタクトプリンタ表面が、少なくとも3,000チップ/平方センチメートルのチップ密度を有する二次元チップアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項99】
配置工程が、インクジェットプリント工程であり、コンタクトプリンタ表面がその上にAFMチップを有するカンチレバーアレイを含む、請求項81記載の方法。
【請求項100】
配置工程が、インクジェットプリント工程であり、コンタクトプリンタ表面がその上にAFMチップを有するカンチレバーアレイを含み、該アレイが約100μm未満のチップ間隔を有する、請求項81記載の方法。
【請求項101】
その上にチップを有するカンチレバーアレイを含み、該カンチレバーおよびチップがチップ上に堆積されたインクジェット滴の局在化を促進するように適合される、装置。
【請求項102】
局在化が、親水性-疎水性境界の使用により促進される、請求項101記載の装置。
【請求項103】
チップがAFMチップである、請求項101記載の装置。
【請求項104】
アレイが二次元アレイである、請求項101記載の装置。
【請求項105】
アレイが、インクジェットプリントにより堆積されたパターニング組成物の交差汚染を阻止するように適合されたカンチレバー間隔を有する、請求項101記載の装置。
【請求項106】
チップがエラストマーチップである、請求項101記載の装置。
【請求項107】
チップが固体チップである、請求項101記載の装置。
【請求項108】
チップが万年筆チップである、請求項101記載の装置。
【請求項109】
インクウェルを提供する工程、
少なくとも1つのパターニング組成物をインクウェル表面上に配置する工程
を含み、インクウェル表面が、パターニング組成物の表面上の所望の位置への局在化を促進するように処理される方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公表番号】特表2010−536033(P2010−536033A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519992(P2010−519992)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/009559
【国際公開番号】WO2009/020658
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/009559
【国際公開番号】WO2009/020658
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(507294960)ノースウエスタン ユニバーシティ (10)
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