説明

カーテンのウエイト

【課題】カーテンに対するウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れ、廃棄時に対する環境問題の発生が無く、しかも、新規な商品の製作が可能になるカーテンのウエイトを提供する。
【解決手段】可撓性を有する非磁性材料の紐体14に、同じく非磁性材料を用いて円軸状に形成された多数のウエイト単体15を所定間隔の配置で取付けてウエイト13とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンやたくし上げカーテンの裾に取付け、カーテンの垂れ下がり形状を整えると共に、裾の捲くれ上がり発生を防ぐために用いるカーテンのウエイトに関する。
【背景技術】
【0002】
カーテンやたくし上げカーテン(以下単にカーテンという)において、カーテンの吊り下げ時に垂れ下がり形状を整えると共に、裾の捲くれ上がり発生を防ぐ目的で、カーテンの裾にウエイトを縫い込むことが行われている。
【0003】
上記ウエイトは、上記した目的を達成するために適度な重量が要求され、重量のある厚手のカーテンの場合、亜鉛やステンレスのような金属を材料にした板状のウエイトを用い、これを裾の両端部と途中の位置に縫い込むようにし、また、薄手で軽いカーテンの場合、ウエイトチエンを用い、カーテンの裾の略全長にわたって縫い込むようにしている。
【0004】
従来のウエイトチエンは、鉛やステンレスのような金属を用いて短い円軸状に形成した多数のウエイト単体を用い、このウエイト単体を糸で編み上げた小径の繊維筒体の内部に組み込んで形成され、全体的に可撓性を備えた構造になっている。
【0005】
ところで、カーテンを縫製するには針を使用するため、縫製後のカーテンを検針機にかけ、針の残し忘れがないかを確認する必要がある。
【0006】
従来のように、カーテンの裾に縫い込まれたウエイトチエンが金属部分を備えていると、カーテンを検針機にかけたときに検針機がウエイトチエンの金属部分を検出して反応し、針の残し忘れの検出精度を低下させることになる。
【0007】
このため、カーテンの縫製工程では、縫い上がったカーテンに対して検針機で針の残し忘れをチェックした後、カーテンにウエイトチエンを取付ける工程を採用している。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、ウエイトチエンをカーテンに後付けする方法は、カーテンの縫製工程とウエイトチエンの取付工程が別工程となり、そのためカーテンの製造に要する手間と時間が余分にかかることになるという問題がある。
【0009】
また、ウエイトチエンの形成に鉛を用いている場合、その廃棄時に水質汚染等の環境問題を発生させる危険性がある。
【0010】
そこで、この発明の課題は、ウエイトが検針機に反応しないようにし、ウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れると共に、廃棄時に対する環境問題の発生が極めて少なく、しかも、設計の自由度が優れているので、新規な商品の製作が可能になるカーテンのウエイトを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記のような課題を解決するため、この発明は、可撓性を有する紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を紐体の長さ方向に所定間隔の配置で取付けた構成を採用したものである。
【0012】
また、別の発明は、可撓性を有する紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を所定間隔の配置で取付け、これを非磁性材料の可撓性筒体の内部に組み込んだ構成を採用したものである。
上記ウエイト単体が合成樹脂を用いて軸状に形成され、その軸方向の中心部を紐体が貫通するように紐体に取付けられているようにしたり、上記紐体が合成樹脂の紐もしくは繊維紐で形成され、この紐体が伸縮性を有している構造とすることができる。
【0013】
ここで、ウエイト単体の材料としては、検針や環境の面から合成樹脂の使用が好ましいが、合成樹脂以外にセラミックや非磁性金属等を用いることができ、また、紐体に対する各ウエイト単体の取付け間隔は、任意に設定すればよいが、隣接するウエイト単体を折り曲げて平列状にしたときに、隣接するウエイト単体の端部が衝突して紐体を緊張させることがないように、ウエイト単体の直径に応じた間隔に設定するのが好ましい。
【発明の効果】
【0014】
この発明によると、可撓性を有する紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を所定間隔の配置で取付け、また、これを可撓性筒体の内部に組み込んだので、ウエイトがカーテンの検針機に反応しないことになり、ウエイトの縫込みがカーテンの縫製工程で同時に行え、カーテン製造の能率向上が図れる。
【0015】
また、可撓性を有する非磁性材料の紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を所定間隔の配置で取付けたので、ウエイト単体の形成に用いる材料とウエイト単体の大きさを選択することにより、必要とする重量を簡単に得ることができ、様々な重量のカーテンに対して適切な重量のウエイトを選択して用いることが容易になる。
【0016】
更に、ウエイト単体の形成に合成樹脂を用いると、材料的に設計の自由度が優れているので、複雑な形状や大きさの大小等に対して新規な商品の製作が可能になり、しかも、廃棄時に対する環境問題の発生を極めて少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
【0018】
図1と図2に示す第1の実施の形態において、カーテンAは、建物側に固定するカーテンレール等の吊り部材11にランナー12で上端部を取付けることによって、建物の壁における開口部分の室内側に吊り下げ状に配置され、このカーテンAの裾aには略全長にわたってウエイト(ウエイトチエン)13が縫い込まれている。
【0019】
図2のように、第1の実施の形態のウエイト13は、可撓性を有する非磁性材料の長い紐体14に、同じく非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体15を紐体14の長さ方向に所定間隔の配置で取付けて形成されている。
【0020】
上記ウエイト単体15の形成に用いる非磁性材料としては、合成樹脂のほかにセラミックや非磁性金属、木粉、ガラス、タルク等を挙げることができ、このウエイト単体15は透明だけでなくその着色は自由に選択することができる。
【0021】
ちなみに、ウエイト単体15の形成に用いる合成樹脂としては、PBT、PET、ポリカーボネイト、PP(ポリプロピレン)等を例示することができる。
【0022】
また、紐体14としては、図2(b)のようなモノフィラメントである繊維紐と図2(c)のようなPET等の合成樹脂フィラメントの紐のような非伸縮性の紐や伸縮性のある紐を用いることができ、前記モノフィラメントの繊維紐の場合、紐は自由に曲がるので、カーテンの滑らかな形状に沿うウエイト13を形成することができ、また、樹脂製ウエイト単体15の成形と紐体14への取付けを同時に行う場合、何れの紐においても、ウエイト単体15の形成に用いる合成樹脂の溶融した温度に耐えるものを用いればよい。
【0023】
上記ウエイト単体15は、金型を用いて短い円軸状に形成され、その軸方向の中心部を紐体14が貫通するように紐体14に取付けられ、図示省略したが、紐体14の各ウエイト単体15を取付ける位置に、結び目や溶融による拡径によって形成した大径部を設け、各ウエイト単体15を前記結び目や大径部を内部に埋め込むようにして紐体14に取付ければ、紐体14に対するウエイト単体15の耐引き抜き強度の向上を図ることができる。
【0024】
上記ウエイト単体15を合成樹脂で形成する方法は、上下金型の重なり面に、紐体14を通すための溝と、この溝の途中に複数のウエイト単体成形部を形成しておき、金型に紐体14を送り込むと共に、上下金型を重ねた状態で成形部に樹脂を供給してウエイト単体15を成形し、この後、上下金型を離して成形部からウエイト単体15を脱型させ、この後、金型への紐体14の送り込みを行って上下金型を重ねた状態で、前記と同様にウエイト単体の成形を行えばよい。
【0025】
上記ウエイト単体15の重量は、形成材料とウエイト単体の大きさを選択することにより、必要とする重量を簡単に得ることができ、例えば、ウエイト単体15は、長さLが7mm〜15mm、直径φが4mm〜8mm程度の大きさに成形し、隣接するウエイト単体15の端面の間隔Wは0.1〜10mm程度に設定し、ウエイト13の重量が1m当り5〜30gになるようにする。
【0026】
ウエイト13の具体的な一例として、ウエイト単体15にPETを用いた場合、ウエイト単体15を直径5.42mm、長さ10mmに形成すると共に、ウエイト単体15の隣接する端面間の距離を5mm程度になるような間隔で紐体14に固定してウエイト13を製作すれば、PETは比重が1.3g/cm2であるので、1m当り20gの重さのウエイト13が得られることになる。
【0027】
上記した紐体14に対する各ウエイト単体15の取付け間隔は一例であり、紐体14が非伸縮性の場合、紐体14が切断するのを防止するため、隣接するウエイト単体15を折り曲げて平列状にしたときに、隣接するウエイト単体15の端部が衝突して紐体14を緊張させることがないように、ウエイト単体15の直径に応じた間隔に設定するのが好ましく、また、紐体14に糸長が安定した伸縮性のあるものを用いれば、各ウエイト単体15の取付け間隔をあまり考慮しないでも紐体14が切断するのを防止することができる。
【0028】
次に、図3に示す第2の実施の形態のウエイト13aは、上述した第1の実施の形態のウエイト13を可撓性筒体16の内部に組み込んだ構造になっている。
【0029】
上記可撓性筒体16は、非磁性糸で編み上げた小径の繊維筒体で形成され、ウエイト13a全体が可撓性を備えた構造になっており、全体が一本のウエイトチエンになるので製品としての外観の向上が図れる。
【0030】
この発明のカーテン用ウエイト13、13aは上記のような構成であり、カーテンAの縫製工程において、カーテンAの裾aに該当する折返し部分に上記したウエイト13又は13aを略全長にわたって縫い込むようにすれば、カーテンAの縫製とウエイト13又は13aの縫い込みが同一工程で行え、工程の削減が行えると共に、縫製後のカーテンAに対して検針機での針の残し忘れをチェックする場合に、非磁性体であるウエイト13又は13aは検出されることはないので、検針機による針の残し忘れのチェックが精度よく行えることになる。
【0031】
このようにして、裾にウエイト13又は13aが縫い込まれたカーテンAは、図1に例示するように、ウエイト13又は13aの重量によって、吊り下げ使用時に垂れ下がり形状が整えられると共に、裾の捲くれ上がりが防止されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】(a)は第1の実施の形態のウエイトを取付けたカーテンの全体形状を示す正面図、(b)は同上の裾の部分とウエイトを示す拡大した斜視図
【図2】(a)は第1の実施の形態のウエイトを示す斜視図、(b)は同ウエイトを拡大した一部縦断正面図、(c)は紐体の他の例を示す同ウエイトの拡大した縦断正面図
【図3】(a)は第2の実施の形態のウエイトを示す斜視図、(b)は同ウエイトを拡大した一部縦断正面図
【符号の説明】
【0033】
A カーテン
11 吊り部材
12 ランナー
13 ウエイト
13a ウエイト
14 紐体
15 ウエイト単体
16 可撓性筒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有する紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を所定間隔の配置で取付けたカーテンのウエイト。
【請求項2】
可撓性を有する紐体に、非磁性材料を用いて形成した多数のウエイト単体を所定間隔の配置で取付け、これを非磁性材料の可撓性筒体の内部に組み込んだカーテンのウエイト。
【請求項3】
上記ウエイト単体が合成樹脂を用いて軸状に形成され、その軸方向の中心部を紐体が貫通するように紐体に取付けられている請求項1又は2に記載のカーテンのウエイト。
【請求項4】
上記紐体が合成樹脂の紐もしくは繊維紐で形成され、この紐体が伸縮性を有している請求項1乃至3の何れかに記載のカーテンのウエイト。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−320627(P2006−320627A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−148243(P2005−148243)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000175906)三光商事株式会社 (15)
【Fターム(参考)】