説明

カーテン吊り具

【課題】本体と、これにラチェット式に係合するフック体3とを有するカーテン吊り具であって、カーテンに対して容易に、安定的に装着でき、かつ僅かな傾きのみでカーテンを吊ることができるカーテン吊り具を提供する。
【解決手段】 カーテン吊り具1は、本体2とフック体3とを持つ。本体2は主杆部4と挿入杆部5とを有する。主杆部4は、背面板6、左右一対の側壁7、ラチェット歯列8、ガイド溝9を持つ。背面板6は、装着時にカーテンの前面に沿って密着する。側壁7は、背面板6の左右両縁に沿って縦方向に伸びる。ラチェット歯列8は、側壁7の前縁に沿って縦方向に伸びる。ガイド溝9は、ラチェット歯列8と背面板6の前面との間に形成され、縦方向に伸びる。フック体3は、ガイド溝9に摺動自在に係合する摺動部10と、ラチェット歯列8に係合するラチェット爪11と、本体の両側壁7の間から前方へ延出するように伸びるフック12とを具備する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、カーテンをカーテンレールのランナに掛け止めるために、カーテンに装着して用いられるカーテン吊り具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーテンに装着される本体と、この本体に対して上下位置を調整可能にラチェット式に係合するフック体とを具備し、フック体が持つフックをランナに掛け止めてカーテンをカーテンレールに吊る合成樹脂製のカーテン吊り具が知られている(例えば特許文献1の図9参照)。このカーテン吊り具において、本体は、カーテンのヒダ形成部に挿入される挿入杆部と、カーテンの前面に沿って縦方向に伸びる主杆部を有し、この主杆部にラチェット歯列が形成されている。フック体は、主杆部に対してラチェット式に係合する係合部を有し、フックはこの係合部から前方へ延出している。このため、ランナの吊り環に掛かるフックが、カーテンの前面から離れた位置にあり、フックと吊り環との係合点周りに回転モーメントが生じる。この回転モーメントにより、カーテン吊り具が傾き、カーテンが折れ曲がって外観を損ねるという問題点がある。
この問題点を解消するため、本体の主杆部をなくし、フック体に主杆部に対応する連結杆を設け、本体(下鈎)の方に連結杆のラチェット歯列に係合する係合部(ホルダー)を設け、連結杆の上端にフック(上鈎)を設けたカーテン吊り具が提案されている(特許文献1の図1参照)。これは、本体(下鈎)側の挿入杆(軸杆)とフック体側の連結杆とでカーテンを所定距離わたって挟持することによってカーテンへの固定力を得る構造である。
【特許文献1】特開2006−68490号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
上記従来のカーテン吊り具のうち、後者は、カーテンに装着される本体側に、カーテンの前面に所定距離にわたって沿う主杆部がないため、フック(上鈎)を係合部(ホルダー)に近づけると、カーテンを挟持する部分が少なくなって、カーテンへの固定が不安定になり、またカーテンのヒダ形成部が不体裁になる(特許文献1の段落0017及び図6参照)という問題点がある。
したがって、この出願に係る発明は、カーテンに装着される本体側にラチェット歯列を有する主杆部を備えたカーテン吊り具であって、カーテンに対して容易に、安定的に装着でき、かつ僅かな傾きのみでカーテンを吊ることができるカーテン吊り具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題を解決するため、この出願に係る発明のカーテン吊り具1においては、本体2に、装着時にカーテンの前面に沿って縦方向に伸びる主杆部4と、カーテンに係止される挿入杆5とを設ける。主杆部4は、装着時にカーテンの前面に沿って密着する縦長矩形の背面板6と、この背面板6の左右両縁に沿って前面側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対の側壁7と、この側壁7の前縁に沿って内側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対のラチェット歯列8と、このラチェット歯列8と背面板6の前面との間に形成された縦方向に伸びる左右一対のガイド溝9とを具備させる。フック体3には、本体2のガイド溝9に摺動自在に係合する摺動部10と、本体のラチェット歯列8に対し相対的に下方へのみ移動可能に係合するラチェット爪11と、本体の両側壁7の間から前方へ延出するように伸びるフック12とを具備させる。
【発明の効果】
【0005】
この出願に係る発明によれば、フックがカーテンの前面に対して、本体の背面板の厚さ分の僅かな距離を隔てて接近した位置に配置されるため、フックとランナの吊り環との係合点の周りに生じる回転モーメントを小さくでき、実用上支障がない程度にフックの傾きを抑えることができるという効果を有する。本体の主杆部が、従来どおり、カーテンの前面に所定距離沿うように配置されるため、主杆部を介してカーテンとの係合部を大きく設定でき、吊り具を安定的にカーテンに装着することができる。
本体の背面板をカーテンの前面側に直接縫い付けることができるので、ヒダをとらない、いわゆるフラットカーテンへの縫い付けによる装着が容易である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
図面を参照してこの発明の実施の形態を説明する。図1は本発明に係るカーテン吊り具の分解斜視図、図2は本発明に係るカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の正面図、図3は本発明に係るカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の側面図、図4は本体の平面図、図5はフック体の側面図、図6は図5におけるVI−VI断面図、図7は他の実施形態のカーテン吊り具の側面図、図8は同平面図、図9はさらに他の実施形態の正面図、図10は同側面図である。
【0007】
合成樹脂製のカーテン吊り具1は、カーテンCに装着される本体2と、この本体2に対して上下位置を調整可能にラチェット式に係合するフック体3とを具備する。フック体3は、カーテンレール内を走行するランナの吊り環に掛け止めることができる。
【0008】
図1ないし図6において、本体2は、装着時にカーテンCの前面に沿って縦方向に伸びる主杆部4と、カーテンに係止される係止部である挿入杆部5とを具備する。
【0009】
主杆部4は、装着時にカーテンCの前面に沿って密着する縦長矩形の背面板6と、この背面板6の左右両縁に沿って前面側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対の側壁7と、この側壁7の前縁に沿って内側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対のラチェット歯列8と、このラチェット歯列8と背面板6の前面との間に形成された縦方向に伸びる左右一対のガイド溝9とを具備する。
【0010】
挿入杆部5は、背面板の背面下部から延出して上方へ屈曲し、背面板6に沿って上方へ伸びる。挿入杆部5は、カーテンCの上部のヒダ形成部C1に下方から挿入することができる。挿入杆部5は、カーテンCへの挿入状態において、主杆部4の背面板6との間でカーテンCを挟持する。
【0011】
フック体3は、本体2のガイド溝9に摺動自在に係合する摺動部10と、本体2のラチェット歯列8に対し相対的に下方へのみ移動可能に係合するラチェット爪11と、本体2の両側壁7の間から前方へ延出するように伸びるフック12とを具備する。フック12は、垂直に伸びる後部の直線部12aと、直線部12aの上端から前方へ突出するように湾曲して下方へ伸びる湾曲部12bとを有する。直線部12aと湾曲部12bとの接続部には鋭角に湾曲する屈折部12cが設けられる。 直線部12aの下部に連続して、摺動部10とラチェット爪11が設けられる。摺動部10は、本体2のガイド溝9に係合するように、左右両側へ広がる。ラチェット爪11は、本体2の左右のラチェット歯列8の間へ係合するように、摺動部10の前部に設けられる。
【0012】
このカーテン吊り具1においては、カーテンCへの装着時に、フック12の屈折部12cが、カーテンの前面に対して、本体の背面板の厚さ分のみの僅かな距離Dを隔てて接近した位置に配置される。このため、フック12におけるランナの吊り環21との係合点となる屈折部12cの周りに生じる回転モーメントは比較的小さなものとなる。したがって、実用上支障がない程度にカーテン吊り具1の傾きを抑えることができる。本体2の主杆部4が、カーテンCの前面に所定距離沿うように配置されるため、挿入杆部5との間でカーテンを比較的強く挟持して、フック体3の位置に関わりなく、吊り具1を安定的にカーテンCに固定できる。
【0013】
図7、図8に示す他の実施形態においては、本体2の係止部としての縫い付け片13が、背面板6の背面から直角方向に延出する。縫い付け片13は、カーテンのヒダ形成部C1を縫製するときに、縫い糸14によってヒダ形成部C1内に縫い込まれる。その他の構成は先の実施形態と同等である。
【0014】
図9、図10に示す他の実施形態においては、本体2の背面板6が縫い糸15によってカーテンCの前面側に直接縫い付けられる。その他の構成は先の実施形態と同等である。この場合、カーテンCは、ヒダ形成部が存在しない、いわゆるフラットカーテンである。この場合、カーテンCに対する吊り具1の取付は容易で、カーテンの縫製も容易で、安価なカーテンが提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明に係るカーテン吊り具の分解斜視図である。
【図2】本発明に係るカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の正面図である。
【図3】本発明に係るカーテン吊り具のカーテンへの装着状態の側面図である。
【図4】本発明に係るカーテン吊り具の本体の平面図である。
【図5】本発明に係るカーテン吊り具のフック体の側面図である。
【図6】図5におけるVI−VI断面図である。
【図7】他の実施形態のカーテン吊り具の側面図である。
【図8】他の実施形態のカーテン吊り具の平面図である。
【図9】さらに他の実施形態のカーテン吊り具の正面図である。
【図10】さらに他の実施形態のカーテン吊り具の側面図である。
【符号の説明】
【0016】
1 カーテン吊り具
2 本体
3 フック体
4 主杆部
5 挿入杆部
6 背面板
7 側壁
8 ラチェット歯列
9 ガイド溝
10 摺動部
11 ラチェット爪
12 フック
12a 直線部
12b 湾曲部
12c 屈折部
13 縫い付け片
14 縫い糸
15 縫い糸
C カーテン
C1 ヒダ形成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーテンに装着される本体と、この本体に対して上下位置を調整可能にラチェット式に係合するフック体とを具備し、フック体をランナに掛け止めてカーテンをカーテンレールに吊る合成樹脂製のカーテン吊り具において、
前記本体は、装着時にカーテンの前面に沿って縦方向に伸びる主杆部と、カーテンに係止される係止部とを具備し、
前記主杆部は、装着時にカーテンの前面に沿って密着する縦長矩形の背面板と、この背面板の左右両縁に沿って前面側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対の側壁と、この側壁の前縁に沿って内側へ立ち上がり縦方向に伸びる左右一対のラチェット歯列と、このラチェット歯列と前記背面板の前面との間に形成された縦方向に伸びる左右一対のガイド溝とを具備し、
前記フック体は、前記本体のガイド溝に摺動自在に係合する摺動部と、前記本体のラチェット歯列に対し相対的に下方へのみ移動可能に係合するラチェット爪と、前記本体の両側壁の間から前方へ延出するように伸びるフックとを具備することを特徴とするカーテン吊り具。
【請求項2】
前記本体の係止部は、前記背面板の背面から延出して当該背面に沿って上方へ伸びる挿入杆部であることを特徴とする請求項1に記載のカーテン吊り具。
【請求項3】
前記本体の係止部は、前記背面板の背面から直角方向に延出する縫い付け片であることを特徴とする請求項1に記載のカーテン吊り具。
【請求項4】
前記本体の背面板が前記カーテンの前面側に縫い付けられることを特徴とする請求項1に記載のカーテン吊り具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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