説明

カーテン用おもり

【課題】本発明が解決しようとする課題は、高比重で無害で耐食性が高いカーテン用おもりを得ることである。
【解決手段】タングステン単体又はそれを含有する材料からなるカーテン用おもりとすることにより前記課題を解決した。また、タングステン粉末と耐食性樹脂又は耐食性ゴムとを混合、加熱結合することによりカーテン用おもりを作製することにより前記課題を解決した。さらに、耐食性樹脂又は耐食性ゴムでおもり全体を覆うようにすれば、クリーニング時に洗剤や水や有機溶剤に侵されないものが得られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭のカーテン、ブラインド、シャワーカーテン等やホテル、映画館、劇場等の業務用で使用されるカーテン、緞帳等のいわゆるカーテン用おもりに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、カーテンの裾に使用されるおもりは、特許文献1に記載されているように、鉛、ガラス、セラミック、鋼、亜鉛やSUS304等のステンレス鋼やその他の材料が使用されていた。
しかしながら、鉛は毒性があり環境や健康上問題があったり、その他の材料は発錆したり、比重が小さく、大きい形状のおもりを用いる必要があった。また、クリーニングすると水や洗剤や有機溶剤と反応して腐食が起こった。
このため、比重が大きく耐食性があり無害な材料が待望されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2003−102615号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、高比重で無害で耐食性が高いカーテン用おもりを得ることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、タングステン単体又はそれを含有する材料からなるカーテン用おもりとすることにより前記課題を解決した。また、タングステン粉末と耐食性樹脂又は耐食性ゴムとを混合、加熱結合することによりカーテン用おもりを作製することにより前記課題を解決した。さらに、耐食性樹脂又は耐食性ゴムでおもり全体を覆うようにすれば、クリーニング時に洗剤や水や有機溶剤に侵されない。
そして、前記耐食性樹脂として、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレンその他のフッ素樹脂のなかの少なくとも1種以上からなるものを用いると、耐食性、耐薬品性があるので、そのままクリーニングしても洗剤や水や有機溶剤に侵されないので発錆の問題がなく、カーテン生地の変色がなく好適である。また、耐食性ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴムのなかの少なくとも1種以上からなるものであると、耐食性、耐薬品性があるので、そのままクリーニングしても洗剤や水や有機溶剤に侵されないので発錆の問題がなく、カーテン生地の変色がなく好適である。また、樹脂と比較すると弾性があり柔軟であるので風等でカーテンの裾が窓ガラスにぶつかっても割れにくい。
【発明の効果】
【0006】
1.本発明のカーテンおもりは、毒性がなく、環境や健康の面で優れている。
2.高比重であるので、鉛等従来のものより小さい形状で同等の作用をする。
3.耐食性樹脂、耐食性ゴムとの複合物は、カーテンをクリーニングしても耐薬品性が強く、耐食性があり錆びにくい。
4.カーテンおもり全体が、耐食性樹脂、耐食性ゴムで覆われていると耐薬品性が強く、耐食性があり錆びにくく、風による窓ガラスとの衝突でもガラスが割れにくくなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
請求項1に記載の本発明は、タングステン単体又はそれを含有する材料からなることを特徴とするカーテン用おもりで高比重であるので、従来より小さな形状で必要な機能を果たすことができる。具体的には、タングステン又はタングステン合金又はタングステン複合材が使用できる。タングステン又はタングステンの含有量を増減することで、必要重量を得ることができる。
請求項2に記載の本発明は、タングステンと耐食性樹脂又は耐食性ゴムからなることを特徴とするカーテン用おもりであるが、耐食性があるのでクリーニング時に使用する洗剤、水、有機溶剤に侵されず発錆しない。
請求項3に記載の本発明は、少なくとも表面全体が耐食性樹脂又は耐食性ゴムで被覆されていることを特徴とする請求項1記載のカーテン用おもりであるが、表面全体が耐食性樹脂又は耐食性ゴムで被覆されているので、クリーニング時に使用する洗剤、水、有機溶剤に侵されず窓ガラスに衝突しても割れにくく長寿命である。
請求項4に記載の本発明は、耐食性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレンその他のフッ素樹脂のなかの少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のカーテン用おもりであるが、耐薬品性が強く錆びにくく長寿命である。
請求項5に記載の本発明は、耐食性ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴムのなかの少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のカーテン用おもりであるが、弾力があるので、窓ガラスに衝突しても割れにくく、耐食性があり錆びにくく長寿命である。
以下、本願発明を実施例により詳細に説明する。
【実施例1】
【0008】
平均結晶粒子径が1μmのタングステン粉末を、プレス成形し約1000℃で予備焼結後、1900℃で焼結して2mm×5mm×70mmの本発明のW焼結体からなるカーテン用おもりを得た。
同様にして平均結晶粒子径が、3μmのタングステン粉末99wt%と、平均結晶粒子径が1μmのニッケル粉末1wt%とを混合しプレス成形後、1700℃で焼結し、2mm×5mm×70mmの本発明のW−Ni系焼結体からなるカーテン用おもりを得た。
平均結晶粒子径が10μmのタングステン粉末90wt%と平均結晶粒子径が10μmのポリプロピレン粉末10wt%とを攪拌混合し溶融させた後、2mm×5mm×70mmを有する型に充填し凝固させることにより2mm×5mm×70mm形状を有するW−ポリプロピレン複合材料の本発明のW−ポリプロピレン系カーテン用おもりを得た。
平均結晶粒子径が10μmのタングステン粉末90wt%と平均結晶粒子径が10μmのシリコーンゴム粉末10wt%とを攪拌混合し溶融させた後、2mm×5mm×70mmを有する型に充填し凝固させることにより2mm×5mm×70mm形状を有するW−シリコーンゴム複合材料の本発明のW−シリコーンゴム系カーテン用おもりを得た。
前記の2mm×5mm×70mmの本発明のW焼結体からなるカーテン用おもりにポリプロピレンを溶射して本発明のポリプロピレン被覆W製おもりを得た。ポリプロピレン被覆W製おもりを得るのに、ポリプロピレンを加熱した融液にディッピングしても良い。
前記と同様にして、前記の2mm×5mm×70mmの本発明のW−Ni焼結体からなるカーテン用おもりにポリプロピレン被覆をした本発明のポリプロピレン被覆W−Ni系おもりを得た。前記ポリプロピレン被覆W−Ni系おもりを得るのにポリプロピレンを加熱した融液にディッピングしても良い。
前記の2mm×5mm×70mmの本発明のW焼結体からなるカーテン用おもりにシリコーンゴムを溶射して本発明のシリコーンゴム被覆W製おもりを得た。本発明のシリコーンゴム被覆W製おもりを得るのに、シリコーンゴムを加熱した融液にディッピングしても良い。
前記2mm×5mm×70mmの本発明のW−ポリプロピレン系カーテン用おもりにポリプロピレンを溶射して本発明のポリプロピレン被覆W−ポリプロピレン系カーテン用おもりを得た。本発明のポリプロピレン被覆W−ポリプロピレン系カーテン用おもりを得るのに、ポリプロピレンを加熱した融液にディッピングしても良い。
前記2mm×5mm×70mmの本発明のW−シリコーンゴム系カーテン用おもりにシリコーンゴムを溶射して本発明のシリコーンゴム被覆W−シリコーンゴム系カーテン用おもりを得た。本発明のシリコーンゴム被覆W−シリコーンゴム系カーテン用おもりを得るのに、シリコーンゴムを加熱した融液にディッピングしても良い。
本発明カーテン用おもりと比較するために、従来使用されている2mm×5mm×70mmの形状の鉛製おもりとSUS304製おもりを作製した。
これらの試料について、比重、クリーニング後の耐食性、毒性の有無について調査した。
以上の結果を表1にまとめた。
この結果から判るように、本発明のカーテン用おもりは、鉛等の人体に有害な物質を使わず、高比重で耐食性があるので、クリーニングをしても薬品、水、有機溶媒にも耐え得る。
また、ここでは耐食性樹脂としてはポリプロピレン、耐食性ゴムとしてシリコーンゴムを使用したが、その他の耐食性樹脂として、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレンその他のフッ素樹脂のなかの少なくとも1種以上、その他の耐食性ゴムとして、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴムのなかの少なくとも1種以上の材料を使用しても同様の結果となる。タングステン合金についても他のタングステン合金を使用しても同様の結果となった。
【0009】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0010】
本発明のおもりは、鉛等の人体に有害な物質を使わず、高比重で耐食性があるので、クリーニングをしても薬品、水、有機溶媒にも耐え得るので、一般家庭のカーテン、ブラインド、シャワーカーテン等やホテル、映画館、劇場等の業務用で使用されるカーテン、緞帳等のいわゆるカーテン用おもりとして好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タングステン単体又はそれを含有する材料からなることを特徴とするカーテン用おもり。
【請求項2】
タングステンと耐食性樹脂又は耐食性ゴムからなることを特徴とする請求項1に記載のカーテン用おもり。
【請求項3】
少なくとも表面全体が耐食性樹脂又は耐食性ゴムで被覆されていることを特徴とする請求項1記載のカーテン用おもり。
【請求項4】
耐食性樹脂が、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリウレタン樹脂、ABS樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、塩化ビニル樹脂、ポリテトラフルオロエチレンその他のフッ素樹脂のなかの少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のカーテン用おもり。
【請求項5】
耐食性ゴムが、シリコーンゴム、フッ素ゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、イソブチレンイソプレンゴム、ポリイソプレン、ポリイソブチレン、ポリイソプレン、ポリブタジエン、ブタジエンスチレンゴムのなかの少なくとも1種以上からなることを特徴とする請求項2または請求項3に記載のカーテン用おもり。