説明

カートリッジのための送出装置

【課題】流動性の材料のための、簡単に操作することができかつ廉価に製造可能な単純な送出装置を提供する。
【解決手段】カートリッジのための送出装置であって、送出装置の弁を操作するためのトリガグリップ110と、圧力下にあるガスを供給するための接続部136と、カートリッジ接続片106と、基体101とを有しており、基体内に、少なくとも1つの貫通孔140が延びており、該貫通孔により圧力下にあるガスをカートリッジ接続片へ導くことができ、弁が、1つの弁体103であり、該弁体が回転可能に基体内に配置されており、トリガグリップの運動が、基体内での弁体の回転をもたらし、貫通孔が、弁体内に配置されており、弁体の第1の位置で、貫通孔が閉じられていて、弁体の第2の位置で、弁体内貫通孔が圧力下にあるガスをカートリッジ接続片へ導く。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジのための送出装置であって、送出装置の弁を操作するためのトリガ(引き金)グリップと、圧力下にあるガスを供給するための接続部と、カートリッジを接続するためのカートリッジ接続片と、基体とを有しており、該基体内に、少なくとも1つの貫通孔が延びており、該貫通孔を通して圧力下にあるガスをカートリッジ接続片へ導くことができ、カートリッジ接続片が、貫通孔への開口を有しており、これにより、カートリッジ接続片内に配置されたカートリッジの底部を、圧力下にあるガスによって負荷した場合に、カートリッジから内容物を追い出すことができ、貫通孔が操作可能な弁によって閉鎖可能かつ開放され得る形式のものに関する。
【背景技術】
【0002】
つまり、本発明の対象は、流動性の材料をカートリッジから押し出すための送出装置である。送出装置は、特に骨セメントの送出のために規定されている。圧縮されたガスを用いたカートリッジの押出しは、数十年来知られている。
【0003】
米国特許2818899号明細書は、シーリングガンを提案している。シーリングガンは、グリップ部材内にガスカートリッジを包含している。ガスカートリッジの圧縮されたガスは、このガスカートリッジの開放後に、カートリッジ内のピストンをカートリッジヘッドの方向へ押圧する。ペースト状の材料の流れの制御は、カートリッジを貫通する中央のロッドによって行われる。このロッドはカートリッジの出口開口を閉じることができる。
【0004】
1976年の米国特許第3938709号明細書には、ガス圧によって、中空のガン本体の内側に位置するチューブが搾られる送出装置が記載されている。この場合、ガス流は、ばねを備えた単純なピンバルブ(Stiftventil)により達成される。ピンバルブは、ハンドレバーにより操作され得る。この場合、ガスを排出するための装置は存在していなかった。このことは、ガス供給が遮断されているにもかかわらず、ガンが材料を、存在する残留圧によって後押しすることを意味している。
【0005】
1985年の欧州特許出願第0169533号明細書は、粘性剤のための噴射器を開示している。この噴射器では、圧力ガス供給の遮断後に、押出しは継続しない。なぜならば、放出開口に、粘性剤の流れを遮断する噴射制御弁が配置されているからである。この場合に興味深いのは、トリガグリップの弁によって、ガス供給と同時に、粘性剤の流出が一度に制御され得ることである。圧縮されたガスによる負荷が行われない場合、噴射制御弁は閉じている。
【0006】
米国特許4925061号明細書には、類似のシステムが記載されている。しかし、このシステムでは、噴射制御弁が、トリガグリップに結合されたロッドを介して操作される。
【0007】
欧州特許第1118313号明細書は、骨セメントの押出しのためのガンが開示されている。この場合、駆動は、同じくガスカートリッジにより行われる。重要なのは、この極めて複雑なシステムが、送出管内に含まれるセメント残留量を追い出すように規定されたロッドを有していることである。この精密な技術的解決手段は、従来のポリメチルメタクリレート骨セメントのために極めて良好に適している。しかし、スタティックミキサ(静止混合器)を備えた、複数の成分を混合するためのカートリッジシステムのためには、このガンは使用可能ではない。さらに、このガンの製造は極めて手間がかかる。
【0008】
米国特許出願公開第2004/0074927号明細書には、押出しガンが記載されている。米国特許出願公開第2004/0074927号明細書は、米国特許4925061号明細書に開示された特徴とほぼ同じ特徴を開示している。
【0009】
米国特許出願公開第2005/0230433号明細書、米国特許出願公開第2005/0247740号明細書および米国特許第6935541号明細書では、欧州特許出願第0169533号明細書から既に公知の技術的な解決手段と基本的に同じ技術的な解決手段が提案されている。
【0010】
国際公開第2008/109439号パンフレットは、圧縮されたガスにより作動させられる送出装置を開示している。この送出装置は、液圧媒体を使用する。この液圧媒体を圧縮されたガスが押圧する。
【0011】
ガスカートリッジにより駆動されかつ複雑な機械的構造を有するこれまでに知られている送出装置は、使い捨て用品として製造するために条件付きでしか適していないか、または全く適していないことが判った。特に、提案された弁は極めて高価であり、これにより、送出装置を使い捨て用品として使用することは問題となる。さらに、提案された技術的な解決手段は、プラスチック射出成形部分としては実施することが困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】米国特許2818899号明細書
【特許文献2】米国特許第3938709号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第0169533号明細書
【特許文献4】米国特許4925061号明細書
【特許文献5】欧州特許第1118313号明細書
【特許文献6】米国特許出願公開第2004/0074927号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2005/0230433号明細書
【特許文献8】米国特許出願公開第2005/0247740号明細書
【特許文献9】米国特許第6935541号明細書
【特許文献10】国際公開第2008/109439号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
本発明の根底を成す課題は、冒頭で述べた形式の送出装置を改良して、流動性の材料のための、簡単に操作することができかつ廉価に製造可能な単純な送出装置を提供することである。本発明の枠内では、用語「流動性の材料」とは、液状の粘性のある材料とも、圧力負荷時にだけ流れる高粘度の硬い材料とも理解される。流動性の材料の送出は、圧縮されたガスにより行われると望ましい。この場合、圧縮されたガスは、たとえば挿入可能なガスカートリッジ、または装置内に位置する圧縮ガスカートリッジから取り出される。この装置は、従来のプラスチックで廉価な射出成形により製造され得るできるだけ少ない部分から成っていることが望ましい。このためには、送出装置の、最大5分である使用時間内のガス流の制御を可能にする複雑でない単純な弁システムを提供することが必要となる。送出装置は、わずかな作業で組付け可能であり、かつ簡単に大きな個数で製造され得ると望ましい。さらに、送出装置が一度だけ使用されるべき使い捨て用品として適していることが所望される。さらに、使用者が送出装置の運転状態を外側で確認することができると有利である。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この課題を解決するための本発明による構成では、弁が1つの弁体であり、該弁体が回転可能に基体内に配置されており、トリガグリップの運動が、基体内での弁体の回転をもたらし、貫通孔が、弁体内に、または弁体に沿って配置されており、これにより弁体の第1の位置では貫通孔が閉じていて、弁体の第2の位置では弁体内の、または弁体に沿った貫通孔が圧力下にあるガスをカートリッジ接続片に向かって案内するようになっている。
【発明の効果】
【0015】
この場合、少なくとも1つの貫通孔と、カートリッジ接続片との間に、少なくとも1つの前方の通路が基体内に配置されている、かつ/または少なくとも1つの貫通孔と、圧力下にあるガスを供給するための接続部との間に、少なくとも1つの後方の通路が配置されることが規定されていてよい。
【0016】
さらに、第2の貫通孔が、弁体内に、または弁体に沿って配置されていて、第2の貫通孔が、弁体の第3の位置で、カートリッジ接続片を第1の排出部に接続するので、カートリッジ接続片における過剰圧力が、弁体の第3の位置で第1の排出部を通って漏れ出ることができると有利であり得る。
【0017】
この場合、本発明によれば、第1の排出通路は、第1の排出通路が弁体の第3の位置で、第2の貫通孔を第1の排出部に接続するように基体内に配置されている。
【0018】
さらに、本発明によれば、第3の貫通孔が、弁体内に、または弁体に沿って配置されており、第3の貫通孔が分岐通路を有していて、この第3の貫通孔が、弁体の第4の位置でカートリッジ接続片と圧力下にあるガスとを第2の排出部に接続し、これにより、送出装置内の過剰圧力が、弁体の第4の位置で第2の排出部を通って漏れ出ることができることが提案されている。
【0019】
この場合、第3の貫通孔と、圧力下にあるガスを供給するための接続部との間で、第2の後方の通路が基体内に配置されている、かつ/または第2の排出通路は、第2の排出通路が弁体の第4の位置で第3の貫通孔の分岐通路を第2の排出部に接続するように、基体内に配置されていることが規定されていてよい。
【0020】
同じく、排出部の少なくとも1つに細菌フィルタが配置されている、かつ/または排出部の少なくとも1つに過圧弁が配置されていると有利であり得る。
【0021】
さらに、本発明による送出装置は、トリガグリップが回転可能な弁体の下面に堅固に配置されていて、これによりトリガグリップにより弁体が基体内で回転可能であることにより優れている。
【0022】
さらに、回転可能な弁体に、位置表示器が、特に上面に配置されており、位置表示器で、基体内での弁体の位置を読み取り可能であると有利であり得る。
【0023】
基体の下面に、送出装置を保持するためのグリップが配置されていることも提案される。
【0024】
さらに、弁体が、少なくとも部分的に回転対称な円錐形成形体であり、成形体が、基体の、弁体の形状に適合する円錐形の開口内で回転可能に支承されていることが規定されていてよい。
【0025】
この場合、弁体の外壁が、貫通孔の開口を除いて、基体内の円錐形の開口の壁に、弁体のあらゆる位置において密に接触しているので、貫通孔の、基体内の少なくとも1つの通路への接続が漏れないように密に形成されている。
【0026】
この場合、通路として、基体内の前方の通路および後方の通路ならびに基体内の排出通路が考慮される。
【0027】
この場合、基体に、楔のための切欠きが設けられていて、切欠き内に押し込まれた楔が弁体を、基体内の円錐形の開口内へ押圧し、これにより、弁体が円錐形の開口内で気密なプレス嵌めを生ぜしめていることが規定されていてよい。
【0028】
基体の、カートリッジ接続片とは反対の側に、ガスカートリッジのための中空室が設けられており、中空室内に接続部が配置されていることも提案される。
【0029】
この場合、接続部がガスカートリッジを開放するための針体(Dorn)を有していることが提案され得る。
【0030】
基体に、取付け手段を備えた閉鎖キャップを取り付けるための取付け手段が配置されていて、ガスカートリッジが、閉鎖キャップの取付けによって開放され得ることが規定されていてよい。
【0031】
この場合、さらに、閉鎖キャップが付加的にロック手段を有していて、ロック手段が、中空室内のロック装置に係合し、この場合、特に有利にはロック装置が、適当なサイズの挿入されたガスカートリッジを中空室内で位置決めすることが規定されていてよい。
【0032】
さらに、複数の貫通孔がほぼ真っ直ぐに弁体の内部を通って延びていて、これらの貫通孔が弁体の回転軸線を中心として10°〜80°の角度だけ互いにずらされていることが規定されていてよい。
【0033】
さらに、送出装置は、直径が異なる少なくとも2つのカートリッジを接続させることができるようになっていると望ましい。これによって、互いに異なるカートリッジシステムからのペースト状の材料を唯1つの送出装置を用いて押し出すことが可能となる。この特性は、送出装置の減価償却に関して経済的な利点をもたらす。
【0034】
さらにこの課題を解決するためには、本発明により、第1のカートリッジ接続片の前縁に、より大きな横断面と第2の開口とを有する第2のカートリッジ接続片が設けられていることが提案される。この場合、第2のカートリッジ接続片は、より大きなカートリッジを接続するために適しており、第2のカートリッジ接続片の第2の開口は、カートリッジが第2の開口を通って第1のカートリッジ接続片に接続可能であるような大きさに形成されている。
【0035】
この場合、カートリッジ接続片は、1つの閉じた側を有する円筒状の中空体であり、第2のカートリッジ接続片の閉じた側が第2の開口を有しており、第1のカートリッジ接続片の閉じた側が第1の開口を有している。
【0036】
さらに、カートリッジ接続片の内面に、カートリッジを位置固定するための位置固定装置が配置されていると有利である。
【0037】
この場合、位置固定装置が、2つの同心円上でカートリッジ接続片に配置されていることが規定されていてよい。
【0038】
さらに、位置固定装置が、ねじ山、特に雌ねじ山であると有利である。
【0039】
これに対して択一的には、位置固定装置が、特に一方向で変形可能なピンの形の係止装置を有していることが規定されていてよい。
【0040】
したがって、本発明は、弁機能が、基体と共に貫通孔を形成しているかまたはその内部に貫通孔を配置された回転可能な弁体を備えた本発明による構成により、著しく簡略化されているという意想外な認識に基づいている。これによって、弁機能を廉価なプラスチック部分により実現することができるようになる。骨セメントの送出は、通常、セメントの混合後に30秒〜5分の範囲内で行われる。このことは、弁は、ガス流を最大でたった5分間だけ制御することができればよいということを意味している。シール機能も数分だけ保証されていればよい。弁は最高で5回、開放されかつ閉じられることが想定され得る。したがって、このような簡単な弁機能で十分である。
【0041】
圧力下にあるガスを供給するための接続部は、本発明の枠内では、中空の針体であってよい。この針体上にガスカートリッジが押し当てられて、ガスカートリッジはその際に開放する。しかし、同じく、圧縮ガスカートリッジをねじ被せ可能な、ねじ山を有する管部材も接続部として考慮される。ガスカートリッジの接続部に被嵌め可能なチューブ部材、または圧力ガス源としてのコンプレッサからのホースが接続可能な管片も、本発明の枠内では圧力下にあるガスを供給するための接続部である。圧力ガス源が、たとえば基体の部分として、送出装置に堅固に接続されている場合、本発明の枠内では送出装置の基体内の貫通孔または通路内への圧力ガス源の開口が圧力下にあるガスの供給のための接続部である。
【0042】
前側とは、本発明の枠内では、送出装置の、カートリッジの挿入に適した部分である。つまり、カートリッジは、前方からカートリッジ接続片に挿入される。これに相応して、後側とは、送出装置の、これとは反対の側に位置する部分である。送出装置の下面は、使用時に下方に向かって保持される側である。
【0043】
排出部のための細菌フィルタは、医学的な紙、ガス透過性のプラスチック薄膜、ガス透過性のプラスチック多孔板、ガス透過性の金属多孔板、ガス透過性のガラス多孔板またはガス透過性のプラスチック不織布から製造されていてよい。
【0044】
本発明によれば、トリガグリップはU字形に形成されている。
【0045】
送出装置が、主に医学的に許容可能なプラスチックから製造されていることが規定されていてもよい。
【0046】
本発明によれば、カートリッジ内に保管された流動性の材料をカートリッジから押し出すために、かつカートリッジ内に位置する袋内に保管されている流動性の材料を押し出すためにこのような送出装置を使用することが提案され得る。
【0047】
圧力下にあるガスのための供給源は、コンプレッサまたはガスカートリッジであってよい。この場合、カートリッジは圧縮されたガス、もしくは液化されたガスを充填されていてよい。たとえば炭酸ガスカートリッジが使用され得る。
【0048】
以下に本発明の実施形態を7つの概略的な図面につき詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明による送出装置の側面から見た平面図である。
【図2】図1に示した本発明による送出装置を前側から見た図である。
【図3】図2による位置固定エレメントの詳細図である。
【図4】本発明による第2の送出装置の断面図である。
【図5】図4に示した本発明による送出装置に用いられる弁体の断面図である。
【図6】図5に示した弁体の斜視図である。
【図7】本発明による第3の送出装置を上からみた平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
図1は、本発明による送出装置を側方から見た平面図を示している。この送出装置は、円筒状の形状を有する基体1を備えていて、基体1内には孔の形の側方の開口2が設けられている。開口2内には、この開口2内で回転可能に支承された、円筒状の幾何学形状を有する弁体3が位置している。この弁体3は、この弁体3内および基体1内の貫通孔により弁を形成している。これにより、弁体3の種々異なる2つの位置では、互いに異なる少なくとも2つの貫通孔が弁体3および基体1を通じて開かれている一方で、別の貫通孔は閉じられている。弁体3の形状は、この弁体3の壁が開口2に密に接触しているように開口2の形状に適合されている。
【0051】
送出装置の前側(図1で左側)には、大小異なる直径を有するカートリッジ接続片、すなわち大きな直径を有する第1のカートリッジ接続片4と、小さな直径を有する第2のカートリッジ接続片6とが配置されている。両カートリッジ接続片4,6は、円筒状の中空体として成形されている。この中空体は、前側では開いていて、後側(図1では右側)では開口を備えた壁を有している。この場合、大きなカートリッジ接続片4の唯1つの開口は、小さなカートリッジ接続片6の内室が覆われないような大きさに形成されている。小さなカートリッジ接続片6の後壁の少なくとも2つの開口は、基体1内の少なくとも2つの貫通案内部に通じている。
【0052】
送出装置の下面(図1で下側)には、ガングリップ8が配置されている。弁体3は、送出装置の下面ではトリガグリップ10に結合されており、上面では位置表示器15に結合されている。トリガグリップ10と位置表示器15とは、弁体3と共に基体1に対して相対的に回転可能である。基体1には、位置表示器15に対応配置された表記(図示せず)が設けられているので、複数の貫通孔のうちどの貫通孔が弁体3によってまさに開放されているのか、もしくは弁が閉じられているかどうかを読み取ることができる。トリガグリップ10は、2つのバーからU字形に構成されている。これにより、送出装置の使用者は、指が2つのバーの間へ延びている場合に、トリガグリップ10をガングリップ8に向けて容易に引っ張ることができるだけではなく、ガングリップ8から押し離すこともできる。
【0053】
図2は、図1に示した本発明による送出装置を前側から見た平面図を示している。第1のカートリッジ接続片4は外側のリングとして認識することができ、第2のカートリッジ接続片6は内側のリングとして認識することができる。両カートリッジ接続片4,6の円筒状内壁には、位置固定装置20,21が、同心円上に配置されている。これらの位置固定装置20,21により、カートリッジ(図示せず)をカートリッジ接続片4,6内に位置固定することができる。位置固定装置20,21は、カートリッジ接続片4,6内でカートリッジをロックするためのねじ山、ねじ山区分またはピンによって実現されていてよい。
【0054】
内側の第2のカートリッジ接続片6の後側の壁には、3つの開口25が位置している。これらの開口25は、基体1内の3つの貫通孔に通じている。カートリッジ接続片4,6内に位置固定されたカートリッジは、カートリッジ接続片4,6と密にシール作用を持って接触している。これにより、複数の開口25のうちの1つを通って位置固定されたカートリッジの底部に向けられたガス圧はこのカートリッジ底部にも作用することができ、カートリッジとカートリッジ接続片4,6との間で漏れ出ないことが保証される。このためには、シールエレメント(図示せず)が、カートリッジ接続片4,6内にかつ/またはカートリッジ、特にカートリッジ底部に設けられていてよい。しかし、たとえばねじ山により実現され得る密な位置固定装置20,21を設けることでも十分であり得る。
【0055】
図3は、図2に示した位置固定装置20,21を示している。位置固定装置20,21は、係止装置26を有している。この係止装置26により、カートリッジがカートリッジ接続片4,6に係合可能である。つまり、カートリッジを位置固定するための位置固定装置20,21には、一方向で変形可能なまたは弾性変形可能なピンの形の係止装置26が取り付けられていてよい。
【0056】
図4は、本発明による第2の送出装置の横断面を示している。この送出装置は基体101を有している。この基体101の前側には、大小異なる直径を有するカートリッジ接続片、すなわち大径を有するカートリッジのために大径を有する第1のカートリッジ接続片104と、小径を有するカートリッジのために小径を有する第2のカートリッジ接続片106とが配置されている。基体101の開口(図示せず)内には、回転対称の幾何学形状を有する弁体103が位置している。弁体103は、その対称軸線(図4に図示された横断面に対して垂直方向の軸線)を中心として回転可能に基体101内に支承されている。
【0057】
送出装置の下面には、ガングリップ108が配置されている。このガングリップ108により、送出装置は片手で保持可能である。弁体103の下面には、基体101の開口内で弁体103を回転させるためのトリガグリップ110が配置されている。このトリガグリップ110は、ガングリップ108の前方に位置決めされている。トリガグリップ110は、U字形に形成されているので、片手の指が中間スペース内に延びることができる。ガングリップ108に対するトリガグリップ110の配置は、ガングリップ108が片手で保持されている場合に、トリガグリップ110がその手の指で操作可能であるように選択されている。トリガグリップ110のU字形の形状により、弁体103の、両回転方向への運動が可能となる。
【0058】
弁体103の上面には、位置表示器115が配置されている。この位置表示器115により、送出装置内での弁体103の位置が認識され得る。閉鎖キャップ117は、基体101の後側に着脱可能に結合され得る。雌ねじの形の位置固定装置120,121が、雄ねじ山を有するカートリッジ(図示せず)を位置固定するためにカートリッジ接続片104,106内に設けられている。基体101の前方の部分には、1つの前方の通路130が配置されている。この通路130は、カートリッジ接続片104,106に向かう1つの開口125と弁体103に向かう1つの幅広の開口とに通じている。
【0059】
基体101の後方の部分には、3つの後方の通路135が配置されている。これらの後方の通路135は、弁体103への開口に通じている。基体101の、送出装置の後側に面した側では、後方の3つの通路135のうち2つの通路135が、通流路を備える両側で開放した中空の針体136内に開口している。後方の第3の通路135は、第1の排出通路137に開口している。第1の排出通路137は、第1の細菌フィルタ138を介して送出装置の周囲に接続されている。
【0060】
弁体103内には、この弁体103の対称軸線に沿ってずらされた3つの貫通孔140が配置されている。この3つの貫通孔140は、付加的に、この対称軸線を中心として互いにずらされている。弁体103の、基体101に対する回転により調節可能な弁体103の3つの位置で、前方の通路130がそれぞれ1つの後方の通路135に貫通孔140のうちの1つを介して互いに結合されていて、この場合に別の全ての後方の通路135が弁体103によって閉じられているように、通路140は弁体103内に配置され、かつ通路130,135は基体101内に配置されている。前方の通路130に開口する、弁体103に対する前方の開口の幅は、あらゆる貫通孔140が前方の通路130に結合可能であるために十分である。
【0061】
択一的には、3つの前方の通路130が、基体101の前方の部分に設けられていてもよい。この場合、各前方の通路130は、それぞれ1つの貫通孔140を介して、1つの後方の通路135に接続可能である。したがって、3つの各前方の通路130に、1つの後方の通路135と1つの貫通孔140とが対応配置されている。通路130,135の、弁体103に対する開口を取り囲んでシール(図示せず)が設けられていてもよい。
【0062】
前方の通路130を後方の通路135に接続する3つの貫通孔140のうちの1つの貫通孔140は、第2の排出通路131への分岐通路を有している。第2の排出通路131は、第2の細菌フィルタ132を介して送出装置の周囲に接続されている。細菌フィルタ132,138の手前に、所定の圧力で開放する過圧弁が配置されていてもよい。
【0063】
針体136は、基体101の後方の部分の中空室内に突入している。中空室は、ガスカートリッジ142を収容するために適している。針体136は、この針体136にその開口側で押し当てられるガスカートリッジ142を開放するために働く。中空室の後端部において、内側にはロック装置144が配置されており、外側には基体101において雄ねじ山の形の取付け手段146が配置されている。ロック装置144は、閉鎖キャップ117の意図しない運動を阻止するために役立つ。このためには、ロック装置144がロック用フック148に係合することができる。ロック用フック148は、閉鎖キャップ117に配置されている。取付け手段146は、閉鎖キャップ117を基体101に結合させ、この場合、ガスカートリッジ142を針体136に押し当て、これにより、開放するために役立つ。このためには、閉鎖キャップ117に、雌ねじ山の形の取付け手段150が設けられている。
【0064】
図5は、トリガグリップ110と、位置表示器115とを備えた図4に断面図で示した弁体103が示されている。弁体103の内部には、3つの貫通孔140が位置している。これらの貫通孔140は、トリガグリップ110に対して種々異なる角度で弁体103を貫通して延びている。3つの貫通孔140のうち1つの貫通孔140は、弁体103内で分岐通路を有している。この分岐通路は、組み込まれた状態で、1つの排出部に通じている。この排出部を介して、カートリッジ接続片104,106と、組み込まれたガスカートリッジ142との脱気が可能である。図6は、トリガグリップ110と、位置表示器115とを有する図5に示した弁体103の斜視図を示している。弁体103の円筒状外周面には開口152を認識することができる。これらの開口152には3つの貫通孔140が通じている。貫通孔140は、互いに隣り合って配置されており、それぞれ約45°だけ互いに対して傾斜している。貫通孔140のうちの1つの貫通孔140は、分岐通路を有しているので、これにより3つの開口152を接続している。
【0065】
図7は、本発明による第3の送出装置を上側から見た平面図である。この第3の送出装置は基体201を有している。基体201の前側(図7で左側)には、カートリッジ接続片206が配置されている。カートリッジ接続片206は、円筒状の壁と、カートリッジ(図示せず)を取り付けるための取付け手段(図示せず)とを有している。
【0066】
送出装置の後側(図7で右側)には、閉鎖キャップ217が位置している。この閉鎖キャップ217により、基体201の中空室がガスカートリッジを収容するために閉鎖可能である。送出装置の上面には、2つの開口の領域に2つの細菌フィルタ232,238が配置されている。開口は、基体201の内部の2つの通路に接続されていて、この場合、これらの通路を介して、ガスカートリッジのための中空室、もしくはガスカートリッジ自体が、カートリッジ接続片206に接続可能である。
【0067】
基体201の内部には、回転可能な円錐形の弁体(図示せず)が、基体201内の、この弁体201のために設けられた、カートリッジ接続片206と閉鎖キャップ217とを結ぶ線に対して垂直に配置された円錐形の孔内に位置している。この弁体により、カートリッジ接続片206、ガスカートリッジのための中空室、もしくはガスカートリッジ、および細菌フィルタ232,238を備えた開口の間の種々異なる通路が接続可能かつ閉鎖可能である。このためには、弁体内に、貫通孔が配置されていてよい。しかし、貫通孔は、同じく、弁体の外壁と、基体201の内壁とにより、基体201と弁体とが互いに接触する領域に形成されていてもよい。このためには、基体201と弁体との間の境界領域に、基体201と弁体との表面に溝が設けられていてよい。溝と弁体の内部の貫通孔との組合せも、弁体の貫通孔として考慮される。
【0068】
弁体の上面には、位置表示器215が位置している。位置表示器215を介して弁体の位置が読取り可能であり、したがって、複数の通路のうちどの通路が開放しているか、または弁が閉じているかどうかが読取り可能である。基体の上面には、切欠き260が、弁体を収容するために役立つ円錐形の孔に対して垂直に設けられている。この切欠きは、楔262を収容することができる。切欠き260は、楔262の圧入時に、円錐形の弁体が円錐形の孔内へ押圧されるように配置されている。
【0069】
弁体は、円錐形に一方の側から他方の側に向かって先細りしており、大きな側において、基体201へ切欠き260内に圧入された楔262によって位置固定されている。これによって、所望のシール機能が保証されるような、孔内での弁体の圧着圧が達成され得る。楔262自体は、プラスチック技術において通常のスナップイン装置または係止装置によって、楔軸線の方向への望まれない運動を阻止されている。択一的には、弁体に少なくとも1つの雄ねじ山を備え、基体の少なくとも1つの外面に配置されたナットによりねじ締結によって押圧しかつ固定することも可能である。
【0070】
本発明による送出装置の後側(図1、図4および図7で右側)には、基体1,101,201内の回転可能な弁体3,103の後方にガスカートリッジのための中空室が位置している。基体1,101,201は、ガスカートリッジの挿入または取出しのために、送出装置の後側に向かって開放している。この開口は、閉鎖キャップ17,117,217によりカバー可能であってよい。このためには、閉鎖キャップ17,117,217が、片側で閉じられた中空円筒体の形状を有していてよく、取付け手段によって基体1,101,201に取り付けられてよい。
【0071】
本発明によれば、少なくとも1つの孔2が設けられた基体1,101,201が存在しており、基体1,101,201の一方の側が、カートリッジを位置固定するための、同心円上に配置された少なくとも2つの位置固定装置20,120,21,121を備えたカートリッジ接続片4,104,6,106,206として配置されていて、位置固定装置が、ねじ山またはねじ山区分を形成しており、基体1,101,201の別の側が、ガングリップ8,108として形成されており、孔2内に、弁体3,103がその円筒体軸線を中心として回転可能に配置されており、弁体3,103が弁を形成していて、この弁が、(a)少なくとも2つの貫通孔140を有する弁体3,103、(b)位置表示器15,115,215および(c)トリガグリップ10,110から構成されており、この場合、弁体3,103が、位置表示器15,115,215と、トリガグリップ10,110とに結合されており、複数の貫通孔140は、弁体3,103内で1つの平面上には配置されておらず、少なくとも2つの前方の通路130が、基体1,101,201内に配置されており、これらの通路130が、カートリッジ接続片4,104,6,106,206の外側と貫通孔140との間のガス透過性の少なくとも2つの通流路を形成し、前方の通路130が、カートリッジ接続片4,104,6,106,206の外側において開口25,125に通じており、開口25,125が、同心円上に配置された、カートリッジを位置固定するための位置固定装置20,120,21,121の内側に位置しており、少なくとも1つの排出通路131が、圧力感知形の安全弁を備える、弁の複数の貫通孔のうちの1つに接続可能であり、安全弁が、予め設定されたガス圧で、1つの前方の通路130と1つの後方の通路135と外側の周囲との間の接続を形成し、安全弁と周囲との間に細菌フィルタ132が配置されており、弁体3,103の少なくとも1つの貫通孔140が、ガスカートリッジ142に接続された第1の後方の通路135に連絡することができ、第1の後方の通路135が、弁体3,103の少なくとも1つの貫通孔140と1つの前方の通路130に連絡することができ、後続の排出通路137を備えた第2の後方の通路135が、弁体3,103の少なくとも1つの貫通孔140と周囲との接続を形成し、排出通路137と周囲との間に、細菌フィルタ138が配置されており、後方の第2の通路135が、弁体3,103の少なくとも1つの貫通孔140を介して、第2の前方の通路130にガス透過式に接続されていてよい。
【0072】
本発明の有利な実施形態は、付加的に、ガスカートリッジ142のガス取出し開口が、差込み可能かつ抜取り可能なピンにより、または回し外し可能なプレートにより防護されており、これによりガスカートリッジ142が、使用前に、搬送時に生じ得るような機械的な力が作用することにより刺し開かれないようにされる。この他に、弁体3,103が、引抜き可能なピンまたはプレートにより意図しない回転から保護されることも可能である。ガスカートリッジ142および弁体3,103の保護部が1つのユニットを形成していて、共に、できるだけ1つの作業で使用前に除去されるか、または不活性にされ得ると特に有利である。送出装置の保護解除は、たとえばガスカートリッジ142の開放と連結されていてよい。
【0073】
送出装置の基体1,101,201は、有利には、カートリッジを位置固定するための円形に配置された2つの位置固定装置20,21,120,121を備えたカートリッジ接続片と、ガングリップ8,108と、1つのユニットを形成している。これらの部分は、関連したユニットとして、有利には射出成形部分として形成されている。
【0074】
カートリッジを位置固定するための2つの位置固定装置20,21,120,121を2つの同心的なリングに配置することは、内側のリングによって、個別のカートリッジにおいて通常であるように相応する小さな直径を有するカートリッジを位置固定することができ、かつたとえば多成分カートリッジのようなより大きな直径を有するカートリッジの使用時に、このカートリッジを同じ送出装置に結合させることができるという利点を有している。この利点は、このような送出装置で種々異なる直径のカートリッジを押圧することができることにある。これにより、送出装置の経済性は改善され得る。
【0075】
カートリッジを位置固定するための位置固定装置20,21,120,121を同心的な2つのリング上に配置することの他に、本発明の枠内では、位置固定装置20,21,120,121が、互いに同心的ではないリング上に形成されているか、または環状ではない配置で形成されていてもよい。
【0076】
弁は、少なくとも2つの貫通孔により貫通された弁体3,103によって形成されている。この弁体3,103には、位置表示器15,115,215と、トリガグリップ10,110とが取り付けられている。位置表示器15,115,215とトリガグリップと含む全体的な弁は、有利には一体的、つまりワンピースであり、かつ個別部分として射出成形により製造されていてよい。トリガグリップ10,110が、ガングリップ8,108の方向に引かれると、弁体3,103は、前方の通路130と後方の通路135とが貫通孔140によってガス通流式に接続されているように回転させられる。ガスカートリッジが予め開放されている場合、次いでカートリッジ接続片4,104,6,106,206の方向へガスが流れる。ガスは、開口25,125から流出して、予め挿入されたカートリッジのピストンを押圧する。これにより、ピストンがカートリッジヘッドの方向へ運動して、これによって流動性の材料がカートリッジから押し出される。
【0077】
トリガグリップ10,110がカートリッジ接続片4,104,6,106,206の方向に運動させられると、弁体3,103が回転し、貫通孔140は、一貫した前方および後方の通路130,135をもはや接続しない。トリガグリップ10,110の垂直の位置では、前方および後方の通路130,135は互いに接続していない。トリガグリップ10,110がさらにカートリッジ接続片4,104,6,106,206の方向に回転させられると、1つの貫通孔140が、一貫した前方の通路130と、第1の排出通路137に接続された後方の通路135とを互いに接続させる。圧縮されたガスは、カートリッジ接続片4,104,6,106,206から、複数の開口125のうちの1つ、複数の前方の通路130のうちの1つ、複数の貫通孔140のうちの1つおよび第1の排出通路137を通って細菌フィルタ138へ流れる。ガスは、細菌フィルタ138を通って周囲に流出する。これにより、圧縮されたガスはカートリッジピストンとカートリッジ接続片4,104,6,106,206との間のスペースから、細菌フィルタ138を介して周囲に放出され得る。これにより、ピストンの運動は即座に停止させられる。
【0078】
送出装置の上面に突出した位置表示器15,115,215は、トリガグリップ部材10,110の操作時に自動的に一緒に運動する。なぜならば、位置表示器15,115,215は、弁体3,103の上面に配置されているからである。このことは、位置表示器15.115.215が、弁の閉鎖状態を示すことを意味する。したがって、使用者は送出装置の使用時にいつでも、弁の閉鎖状態に関する情報を得られる。
【0079】
本発明によれば、弁体3,103内の複数の貫通孔140は、少なくとも10°の角度だけずらされて、円筒体の軸線に対して垂直な平面に配置されている。
【0080】
さらに、本発明によれば、基体1,101,201内に前方の通路130および後方の通路135が配置されている。この場合、第1の前方の通路130は、カートリッジ接続片4,104,6,106,206の外側を、弁体3,130内の第1の貫通孔140に接続している。この場合、第1の後方の通路135は、第1の貫通孔140を第1の細菌フィルタ138に接続している。細菌フィルタ138は、周辺雰囲気に接続されている。弁体3,103は、第2の貫通孔140を有している。第2の貫通孔140は、第2の前方の通路130と第2の後方の通路135とを互いに接続して、これによりガス通流が保証されている。
【0081】
トリガグリップ10,110は、有利にはU字形に形成されている。これにより、手による簡単な運動でグリップ部材をカートリッジ接続片4,104,6,106,206の方向に押圧し、これによってガス流、ひいてはペースト状の材料の流れをストップさせることが可能である。トリガグリップ10,110が、カートリッジ接続片4,104,6,106,206の方向にさらに運動した場合、圧縮されたガスは、第1の開口25,125を介して、前方の第1の通路130,第1の貫通孔140,後方の第1の通路135、排出通路137および細菌フィルタ138を通って周囲に排出され得る。
【0082】
細菌フィルタ132,232,138,238は、医薬的な紙、ガス透過性のプラスチック薄膜、ガス透過性のプラスチック多孔板、ガス透過性の金属多孔板、ガス透過性のガラス多孔板またはガス透過性のプラスチック不織布から製造されていてよい。
【0083】
本発明によれば、基体1,101,201の孔2は、有利には円錐形に一方の外面から他方の外面に向かって先細りしており、基体1,101,201には、孔2のより大きな開口の側に、孔2に対して垂直に1つの切欠き260が設けられていて、切欠き260が、楔262を収容することができることも規定されていてよい。切欠き260は、楔262の圧入時に弁体3,103が孔2内へ押圧されるように配置されている。
【0084】
本発明の特別な実施形態は、弁体3,103が、有利には円錐形に一方の側から他方の側に向かって先細りしていて、弁体3,103がより大きな側において、基体1,101,201の切欠き260内へ圧入された楔262によって位置固定されていることを特徴とする。これによって、所望のシール機能が保証されるような、孔2内での弁体3,103の圧着圧を達成することができる。楔262自体は、プラスチック技術において通常のスナップ装置または係止装置により、楔軸線の方向への望まれない運動に対して防護されている。択一的には、弁体3,103の円筒体端部に少なくとも1つの雄ねじ山を備え、基体1,101,201の少なくとも1つの外面に配置されたナットにより、ねじ締結によって押圧しかつ固定することも可能である。
【0085】
本発明による送出装置は、有利には、主に医学的に許容可能なプラスチックから製造されている。
【0086】
本発明による送出装置は、特に有利には、カートリッジ内に保管された流動性の材料をカートリッジから押し出すために、かつカートリッジ内に位置する袋の中に保管された流動性の材料を押し出すために適している。
【0087】
本発明による送出装置は、骨セメント、歯科材料、接着材およびシーリング剤をカートリッジから送出するために使用され得る。本発明による送出装置は、一回の使用および複数回の使用のために規定されていてよい。僅かな製造コストに基づき、一回の使用に特に適している。
【0088】
前述の説明、特許請求の範囲、図面および実施形態において開示された本発明の特徴は、個別でも、あらゆる任意の組合せとしても、本発明の実施のために種々異なる実施形態において重要であり得る。
【0089】
特に、回転可能な弁体3,103の実施のためには、1つよりも多いカートリッジ接続片4,104,6,106,206が設けられていることは必須ではない。
【符号の説明】
【0090】
1,101,201 基体
2 開口
3,103 弁体
4,104 カートリッジ接続片
6,106,206 カートリッジ接続片
8,108 ガングリップ
10,110 トリガグリップ
15,115,215 位置表示器
17,117,217 閉鎖キャップ
20,120 位置固定装置
21,121 位置固定装置
25,125 カートリッジ接続片の開口
26 係止装置
130 前方の通路
131,137 排出通路
132,232 細菌フィルタ
135 後方の通路
136 中空の針体
138,238 細菌フィルタ
140 貫通孔
142 ガスカートリッジ
144 ロック装置
146 取付け手段
148 ロック用フック
150 取付け手段
152 弁体の開口
260 切欠き
262 楔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カートリッジのための送出装置であって、当該送出装置の弁を操作するためのトリガグリップ(10,110)と、圧力下にあるガスを供給するための接続部(136)と、カートリッジを接続するためのカートリッジ接続片(6,106,206)と、基体(1,101,201)とを有しており、該基体内に、少なくとも1つの貫通孔(140)が延びており、該貫通孔(140)により圧力下にあるガスをカートリッジ接続片(6,106,206)へ導くことができ、カートリッジ接続片(6,106,206)が、貫通孔(140)への開口(25,125)を有しており、これにより、カートリッジ接続片(6,106,206)内に配置されたカートリッジの底部が圧力下にあるガスによって負荷された場合に、内容物をカートリッジから追い出すことができ、貫通孔(140)が操作可能な弁により閉鎖可能かつ開放され得るようになっている形式のものにおいて、
弁が、1つの弁体(3,103)であり、該弁体(3,103)が回転可能に基体(1,101,201)内に配置されており、トリガグリップ(10,110)の運動が、基体(1,101,201)内での弁体(3,103)の回転をもたらし、貫通孔(140)が、弁体(3,103)内に、または弁体(3,103)に沿って配置されており、これにより、弁体(3,103)の第1の位置で、貫通孔(140)が閉じられていて、弁体(3,103)の第2の位置で、弁体(3,103)内の、または弁体(3,103)に沿った貫通孔(140)が圧力下にあるガスをカートリッジ接続片(6,106,206)へ導くことを特徴とする、カートリッジのための送出装置。
【請求項2】
少なくとも1つの貫通孔(140)と、カートリッジ接続片(6,106,206)との間に、少なくとも1つの前方の通路(130)が基体(1,101,201)内に配置されている、かつ/または少なくとも1つの貫通孔(140)と、圧力下にあるガスを供給するための接続部(136)との間に、少なくとも1つの後方の通路(135)が配置されている、請求項1記載の送出装置。
【請求項3】
第2の貫通孔(140)が、弁体(3,103)内に、または弁体(3,103)に沿って配置されており、該第2の貫通孔(140)が、弁体(3,103)の第3の位置で、カートリッジ接続片(6,106,206)を第1の排出部に接続し、これにより、カートリッジ接続片(6,106,206)における過剰圧力が、弁体(3,103)の第3の位置で第1の排出部を通って漏れ出ることができる、請求項1または2記載の送出装置。
【請求項4】
第1の排出通路(137)は、該第1の排出通路(137)が弁体(3,103)の第3の位置で前記第2の貫通孔(140)を第1の排出部に接続するように、基体(1,101,201)内に配置されている、請求項3記載の送出装置。
【請求項5】
第3の貫通孔(140)が、弁体(3,103)内に、または弁体(3,103)に沿って配置されており、該第3の貫通孔(140)が、分岐通路を有していて、第3の貫通孔(140)が、弁体(3,103)の第4の位置で、カートリッジ接続片(6,106,206)と、圧力下にあるガスとを第2の排出部に接続し、これにより、送出装置内の過剰圧力が、弁体(3,103)の第4の位置で、第2の排出部を通って漏れ出ることができる、請求項1から4までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項6】
前記第3の貫通孔(140)と、圧力下にあるガスを供給するための接続部(136)との間に、第2の後方の通路(135)が基体(1,101,201)内に配置されている、かつ/または第2の排出通路(131)は、該第2の排出通路(131)が弁体(3,103)の第4の位置で第3の貫通孔(140)の分岐通路を第2の排出部に接続するように、基体(1,101,201)内に配置されている、請求項5記載の送出装置。
【請求項7】
排出部の少なくとも1つに、細菌フィルタ(132,138)が配置されている、かつ/または排出部の少なくとも1つに過圧弁が配置されている、請求項3から6までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項8】
前記トリガグリップ(10,110)が、回転可能な弁体(3,103)の下面に堅固に配置されていて、これによりトリガグリップ(10,110)によって弁体(3,103)が基体(1,101,201)内で回転可能である、請求項1から7までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項9】
前記回転可能な弁体(3,103)に、位置表示器(15,115,215)が、特に上面に配置されており、該位置表示器(15,115,215)において、基体(1,101,201)内での弁体(3,103)の位置を読み取り可能である、請求項1から8までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項10】
基体(1,101,201)の下面に、送出装置を保持するためのグリップ(8,108)が配置されている、請求項1から9までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項11】
弁体(3,103)が、少なくとも部分的に回転対称な円錐形成形体であって、該成形体が、基体(1,101,201)の、弁体(3,103)の形状に適合する円錐形の開口(2)内で回転可能に支承されており、弁体(3,103)の外壁が、貫通孔(140)の開口を除いて、基体(1,101,201)の円錐形の開口(2)の壁に、弁体(3,103)のあらゆる位置において密に接触しており、これにより貫通孔(140)の、基体(1,101,201)内の少なくとも1つの通路(130,131,135,137)への接続が漏れないようになっている、請求項1から10までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項12】
基体(1,101,201)に、楔(262)のための切欠き(260)が設けられており、該切欠き(260)内に押し込まれた楔(262)が、弁体(3,103)を基体(1,101,201)の円錐形の開口(2)内へ押圧し、これにより弁体(3,103)が、円錐形の開口(2)内で気密なプレス嵌めを生ぜしめる、請求項11記載の送出装置。
【請求項13】
基体(1,101,201)の、カートリッジ接続片(6,106,206)とは反対の側に、ガスカートリッジのための中空室が設けられており、前記接続部(136)が中空室内に配置され、かつガスカートリッジを開放するための針体を有しており、基体(1,101,201)に、取付け手段(150)を備えた閉鎖キャップ(17,117,217)を取り付けるための取付け手段(146)が配置されており、ガスカートリッジ(142)が、閉鎖キャップ(17,117,217)の取付けにより開放され得るようになっており、有利には、閉鎖キャップ(17,117,217)が付加的にロック手段(148)を有しており、該ロック手段(148)が、中空室内のロック装置(144)に係合し、特に有利には、ロック手段(144)が、適当なサイズの挿入されたガスカートリッジ(142)を中空室内で位置決めするようになっている、請求項1から12までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項14】
前記貫通孔(140)が、ほぼ真っ直ぐに弁体(3,103)の内部を通って延びており、貫通孔(140)が、弁体(3,103)の回転軸線を中心として10°〜80°の角度だけ互いにずらされている、請求項3から13までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項15】
第1のカートリッジ接続片(6,106,206)の前縁に、より大きな横断面と第2の開口とを有する第2のカートリッジ接続片(4,104)が配置されていて、第2のカートリッジ接続片(4,104)が、より大きなカートリッジを接続するために適しており、第2のカートリッジ接続片(4,104,204)の第2の開口は、カートリッジが第2の開口を貫通して第1のカートリッジ接続片(6,106,206)に接続可能であるような大きさに形成されている、請求項1から14までのいずれか1項記載の送出装置。
【請求項16】
前記カートリッジ接続片(4,104,6,106,206)が、1つの閉じた側を有する円筒状の中空体であり、第2のカートリッジ接続片(4,104)の閉じた側が、第2の開口を有しており、第1のカートリッジ接続片(6,106,206)の閉じた側が、第1の開口(25,125)を有している、請求項15記載の送出装置。
【請求項17】
前記カートリッジ接続片(4,104,6,106,206)の内面に、カートリッジを位置固定するための位置固定装置(20,120,21,121)が配置されている、請求項15または16記載の送出装置。
【請求項18】
前記位置固定装置(20,120,21,121)が、2つの同心円上でカートリッジ接続片(4,104,6,106,206)に配置されている、請求項17記載の送出装置。
【請求項19】
前記位置固定装置(20,120,21,121)が、ねじ山、特に雌ねじ山である、請求項17または18記載の送出装置。
【請求項20】
前記位置固定装置(20,120,21,121)が、特に一方向で変形可能なピンの形の係止装置(26)を有している、請求項17または18記載の送出装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2011−235962(P2011−235962A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103863(P2011−103863)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(508316210)ヘレーウス メディカル ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (21)
【氏名又は名称原語表記】Heraeus Medical GmbH
【住所又は居所原語表記】Philipp−Reis−Str. 8/13, D−61273 Wehrheim, Germany
【Fターム(参考)】