説明

カートリッジホルダ、薬物送達デバイス及びカートリッジをカートリッジホルダに固定する方法

遠位端及び近位端を有するカートリッジホルダ(2)は、カートリッジが少なくとも部分的に挿入できるカップリングハウジング部分(14)を含む。カップリングハウジング部分(14)は、薬物送達デバイスの部材と連結するように構成される。カートリッジホルダ(2)は、さらにカップリングハウジング部分(14)と連結する取付け部材(21)を含む。取付け部材(21)は、取付け部材(21)がカートリッジの遠位方向の変位に抗してカートリッジを固定するのに適した位置に半径方向内側に可動である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カートリッジホルダ、カートリッジホルダを含む薬物送達デバイス及びカートリッジをカートリッジホルダに固定する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
薬物送達デバイスは、薬物をカートリッジから、例えばカニューレを経由して送達するように操作可能である。カートリッジは、薬物送達デバイスの一部であるカートリッジホルダに配置される。薬物送達デバイスの投与量設定及び送達メカニズムは、薬物の投与量が送達されるように、栓をカートリッジの内壁に沿って遠位方向に押し込む。
【0003】
もし、カートリッジが投与量設定及び送達メカニズム又は薬物送達デバイスのハウジングに連結されていないなら、カートリッジは、投与量設定及び送達メカニズムに対して軸方向に廃棄可能あればよい。カートリッジのほんの僅かの可動性(mobility)でも、薬剤の過少投与又は過剰投与を起こし得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、過少投与又は過剰投与のリスクを低減させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的のために、カートリッジホルダが提供される。遠位端及び近位端を有するカートリッジホルダは、カートリッジが少なくとも部分的に挿入されるカップリングハウジング部分を含む。カップリングハウジング部分は、薬物送達デバイスの一部分と連結するように構成される。カートリッジホルダはさらに、カップリングハウジング部分と連結する取付け部材を含み、その取付け部材は、取付け部材がカートリッジの遠位方向の移動に抗してカートリッジを固定するのに適した位置に、半径方向内向きに可動である。
【0006】
カートリッジホルダのカップリングハウジング部分の内側に少なくとも部分的に位置するカートリッジは、取付け部材が内向きに動かされた場合に固定され、それは取付け部材がカートリッジの方向に動かされることを意味する。取付け部材の変位は、取付け部材の外側に加える力によって引き起こされてもよい。
【0007】
取付け部材は、カートリッジを薬物送達デバイスの所定の位置にロックする働きをする。取付け部材を含むカートリッジホルダは、カートリッジを固定するために好適であり、それによってカートリッジホルダ内のカートリッジの可動性が低減し、正確な投与量が送達される。
【0008】
薬物送達デバイスは、選択された投与量の薬物、好ましくは複数回の選択された投与量、例えば、インスリン、ヒト成長ホルモン、ヘパリン、及びそれらの類似体及び/又は誘導体を投与するように設計された、単回投与又は複数回投与の、使い捨て又は再使用可能なデバイスである。デバイスは、どのような形状の、例えばコンパクト又はペン型のものでもよい。ペン型のデバイスは、基本的に円筒状又は楕円様の形態であればよい細長いデバイスである。投与量送達は、機械的もしくは電気的駆動メカニズム又は貯蔵エネルギー駆動メカニズムを通して提供されればよい。1つの実施態様では、薬物送達デバイスは、注射用のニードルユニットを含む。
【0009】
カートリッジは、薬物用の容器である。カートリッジは、再使用可能デバイスに取り外し可能であればよい。
【0010】
本明細書で使われる用語の「薬物」は、好ましくは、少なくとも1つの薬学的に活性な化合物を含有する医薬製剤を意味し、
ここで、1つの実施態様では、薬学的に活性な化合物は、最大で1500Daまでの分子量を有し、及び/又は、ペプチド、タンパク質、多糖、ワクチン、DNA、RNA、酵素、抗体、ホルモン若しくはオリゴヌクレオチド、又は上述の薬学的に活性な化合物の混合物であり;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病又は糖尿病性網膜症のような糖尿病に伴う合併症、深部静脈又は肺血栓性塞栓症などの血栓性塞栓性疾患、急性冠症候群(ACS)、狭心症、心筋梗塞、癌、黄斑変性症、炎症、花粉症、アテローム性動脈硬化症及び/又は関節リュウマチの処置及び/又は予防のために有用であり;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、糖尿病又は糖尿病性網膜症のような糖尿病に伴う合併症の処置及び/又は予防のための少なくとも1つのペプチドを含み;
ここで、さらなる実施態様では、薬学的に活性な化合物は、少なくとも1つのヒトインスリン又はヒトインスリン類似体若しくは誘導体、グルカゴン様ペプチド(GLP−1)又はその類似体若しくは誘導体、又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4又はエキセンジン−3若しくはエキセンジン−4の類似体若しくは誘導体を含む。
【0011】
インスリン類似体は、例えば、Gly(A21)、Arg(B31)、Arg(B32)ヒトインスリン;Lys(B3)、Glu(B29)ヒトインスリン;Lys(B28)、Pro(B29)ヒトインスリン;Asp(B28)ヒトインスリン;B28位におけるプロリンが、Asp、Lys、Leu、Val又はAlaで代替され、そして、B29位におけるLysは、Proで代替されてもよいヒトインスリン;Ala(B26)ヒトインスリン;Des(B28−B30)ヒトインスリン;Des(B27)ヒトインスリン、及びDes(B30)ヒトインスリンである。
【0012】
インスリン誘導体は、例えば、B29−N−ミリストイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−パルミトイル−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−ミリストイルヒトインスリン;B29−N−パルミトイルヒトインスリン;B28−N−ミリストイルLysB28ProB29ヒトインスリン;B28−N−パルミトイル−LysB28ProB29ヒトインスリン;B30−N−ミリストイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B30−N−パルミトイル−ThrB29LysB30ヒトインスリン;B29−N−(N−パルミトイル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(N−リトコリル−γ−グルタミル)−des(B30)ヒトインスリン;B29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル)−des(B30)ヒトインスリン、及びB29−N−(ω−カルボキシヘプタデカノイル) ヒトインスリンである。
【0013】
エキセンジン−4は、例えば、エキセンジン−4(1−39)、配列がH−His−Gly−Glu−Gly−Thr−Phe−Thr−Ser−Asp−Leu−Ser−Lys−Gln−Met−Glu−Glu−Glu−Ala−Val−Arg−Leu−Phe−Ile−Glu−Trp−Leu−Lys−Asn−Gly−Gly−Pro−Ser−Ser−Gly−Ala−Pro−Pro−Pro−Ser−NH2のペプチドを意味する。
【0014】
エキセンジン−4誘導体は、例えば、以下のリストの化合物:
H−(Lys)4−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)5−desPro36,desPro37エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39);又は
desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,IsoAsp28]エキセンジン−(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)、
desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25,IsoAsp28]エキセンジン−4(1−39)、
ここで、基−Lys6−NH2は、エキセンジン−4誘導体のC−末端と結合してもよく;
【0015】
又は以下の配列のエキセンジン−4誘導体;
H−(Lys)6−desPro36[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28 Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25]
エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
desMet(O)14,Asp28,Pro36,Pro37,Pro38 エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5,desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−Lys6−desPro36[Met(O)14,Trp(O2)25, Asp28]エキセンジン−4(1−39)−Lys6−NH2
H−desAsp28,Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−(Lys)6−des Pro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−NH2
desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
H−(Lys)6−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(S1−39)−(Lys)6−NH2
H−Asn−(Glu)5−desPro36,Pro37,Pro38[Met(O)14,Trp(O2)25,Asp28]エキセンジン−4(1−39)−(Lys)6−NH2
又は前述のエキセンジン−4誘導体のいずれか1つの薬学的に許容される塩若しくは溶媒和物;
から選択される。
【0016】
ホルモンは、例えば、Rote Liste,ed. 2008, Chapter 50に表示されているような、ゴナドトロピン(フォリトロピン、ルトロピン、絨毛性ゴナドトロピン、メノトロピン)、ソマトロピン(ソマトロピン)、デスモプレシン、テルリプレシン、ゴナドレリン、トレプトレリン、ロイプロレリン、ブセレリン、ナファレリン、ゴセレリンなどの、脳下垂体ホルモン又は視床下部ホルモン又は調節活性ペプチド及びそれらのアンタゴニストである。
【0017】
多糖類としては、例えば、グルコサミノグリカンのヒアルロン酸、ヘパリン、低分子量ヘパリン又は超低分子量ヘパリン若しくはそれらの誘導体、又はスルホン化された、例えば、上述の多糖類のポリスルホン化形態、及び/又は、薬学的に許容されるそれらの塩がある。ポリスルホン化低分子量ヘパリンの薬学的に許容される塩の例としては、エノキサパリンナトリウム塩がある。
【0018】
薬学的に許容される塩は、例えば、酸付加塩及び塩基塩がある。酸付加塩としては、例えば、HCl又はHBr塩がある。塩基塩は、例えば、アルカリ又はアルカリ土類金属、例えば、Na+、又は、K+、又は、Ca2+から選択されるカチオン、又は、アンモニウムイオンN+(R1)(R2)(R3)(R4)を有する塩であり、ここで、R1〜R4は互いに独立に、水素、場合により置換されたC1−C6アルキル基、場合により置換されたC2−C6アルケニル基、場合により置換されたC6−C10アリール基、又は場合により置換されたC6−C10ヘテロアリール基を意味する。薬学的に許容される塩の更なる例は、“Remington's Pharmaceutical Sciences”17.ed., Alfonso R.Gennaro (Ed.), Mark Publishing Company, Easton, Pa., U.S.A.,1985 及び Encyclopedia of Pharmaceutical Technologyに記載されている。
【0019】
薬学的に許容される溶媒和物は、例えば、水和物である。
【0020】
カートリッジホルダは、カートリッジが少なくとも部分的に位置する薬物送達デバイスの一部分である。カートリッジホルダは、カートリッジホルダがカートリッジ用のハウジングとしての役目をするように、カートリッジを保持して保護するように設計されればよい。1つの実施態様では、カートリッジホルダは、基本的に管の形をしている。カートリッジホルダは、カートリッジに提供される空間を少なくとも部分的に囲む側壁を含んでもよく、ここで壁は、カートリッジをカートリッジホルダの内部に保持できるように配置される。
【0021】
カップリングハウジング部分は、カートリッジの一部分が配置され得るカートリッジホルダの部分である。1つの実施態様では、カートリッジの遠位部分は、カップリングハウジング部分内に配置することができる。代りの実施態様では、カートリッジの近位部分は、カップリングハウジング部分内に配置することができる。カップリングハウジング部分は、薬物送達デバイスの他の部品と連結できるように構成される。「連結する」とは、薬物送達デバイスの2つ又はそれ以上の構成要素の連結、例えば、キー溝、留め金又はねじ連結を意味する。1つの実施態様では、カートリッジホルダのカップリングハウジング部分は、薬物送達デバイスの別の部品に、例えば、ねじによって挿入される。代りの実施態様では、カップリングハウジング部分は、薬物送達デバイスの別の部品に挿入され、留め金手段又は任意の他の好適な連結手段で連結される。好ましくは、カップリングハウジング部分は、カートリッジホルダの遠位端は近位端に配置される。
【0022】
取付け部材は、取付け部材がカートリッジホルダ又はカップリングハウジング部材に対して半径方向内向きに可動なようにカップリングハウジング部分に連結され、それは取付け部材がカートリッジホルダの縦軸方向に変位できることを意味する。換言すると、取付け部材は、カートリッジに提供される空間内に可動であり、又はもしカートリッジがカートリッジホルダに挿入されているならカートリッジに向かって可動である。好ましくは、カートリッジをカートリッジホルダに挿入できるように、取付け部材は、それが内向きに変位する前は初期位置にあることである。取付け部材が半径方向内向きに変位した場合、カートリッジは、取付け部材とカートリッジの間のポジティブロッキング(positive locking)及び/又は力拘束(force closure)によって確保される。1つの実施態様では、取付け部材は、内側と外側を有し、ここで取付け部材は、外側に力が加えられたときカートリッジに接触するように、カートリッジホルダに対して半径方向内向きに可動である。カートリッジホルダの1つの実施態様は、少なくとも2つの取付け部材を含み、それらはカップリングハウジング部分の周囲に基本的に等間隔に配置される。もし、2つの取付け部材が備えられるなら、それらは好ましくは、互いに反対側に設置される。もし、3つの取付け部材が備えられるなら、そのうち2つの間の角距離は120度又は約120度である。
【0023】
カートリッジを固定するとは、遠位変位が妨害される又は阻止されるような方法でカートリッジを固定することを意味する。好ましくは、近位変位も同様に妨害又は阻止される。
【0024】
遠位端は、薬物送達デバイスの投薬末端に近い。近位端は、薬物送達デバイスの遠位端から最も遠く離れる。
【0025】
カートリッジホルダの1つの実施態様では、取付け部材は、可撓性でありカップリングハウジング部分と一体的に形成される。可撓性とは、取付け部材が弾性的に変形可能であることを意味する。力がもはや取付け部材に加えられない場合、取付け部材の変位は可逆的である。取付け部材と一体的に形成されたカップリングハウジング部分を有するカートリッジは、単一工程で形成されてもよい。そのようなカートリッジホルダの1つの実施態様は、プラスチック製である。
【0026】
1つの実施態様では、取付け部材は、外側、内側及びカップリングハウジング部分に連結される側面を有する。取付け部材の縁は、カップリングハウジング部分に連結する側面の1つの末端からこの側面の他方の末端まで伸びる。縁は丸みを帯びた、例えば半円形であればよい。或いは、取付け部材が例えば三角形又は長方形を有することができるように、縁は1つ又はそれ以上の隅を有してもよい。縁は、カットアウト(cut-out)によってカップリングハウジング部分から隔てられるる。この取付け部材は、内向きに曲げることができるカップリングハウジング部材の壁区域である。
【0027】
1つの実施態様では、カップリングハウジング部分は、カップリングハウジング部分の外表面に配置された完全又は部分ねじ山であるねじ山を含む。ねじ山は、らせん構造、例えば畝又は溝によって形成されてもよく、それは、カップリングハウジング部材が取り付けられる薬物送達デバイスの部材に対してカップリングハウジング部材の回転的な軸方向変位を可能にする。
【0028】
1つの実施態様では、取付け部材は、取付け部材の外側に形成された第1の突出部を含む。取付け部材は、第1の突出部に力が加えられたとき半径方向の内向きに動く。第1の突出部は、第1の突出部を取り巻くカップリングハウジング部材の部分の上に突出する。1つの実施態様では、カップリングハウジング部材は、畝で形成されるねじ山を有し、ここで第1の突出部は、畝の上に突出する。代りの実施態様では、カップリングハウジング部材は、溝で形成されるねじ山を有し、第1の突出部は、溝が形成される外側の壁の上に突出する。カップリングハウジング部材が、カップリングハウジング部材が連結されるべき薬物送達デバイスの部材に挿入される場合、薬物送達デバイスの部材の内壁は第1の突出部に接し、それによって取付け部材が内向きに動かされてカートリッジは固定される。
【0029】
1つの実施態様では、取付け部材は、取付け部材の内側に形成される受け止め部分(catch portion)を含む。その受け止め部分は、カートリッジに接触及び/又は係合し、その結果その遠位方向の変位は、摩擦及び/又はポジティブロッキングの所為で妨害又は阻止される。好ましくは、近位方向の変位も妨害又は阻止される。
【0030】
1つの実施態様では、カップリングハウジング部分は、ニードルユニットと連結するように構成される。カニューレを含むニードルユニットは、カートリッジホルダの遠位部分と連結するように構成される。好ましくは、新しいニードルユニットは、各送達工程の前にカートリッジホルダに取り付けられる。
【0031】
1つの実施態様では、カップリングハウジング部分は、薬物送達デバイスのボディ部材と連結するように構成される。ボディ部材は、外部又は内部ハウジングのいずれかを含む薬物送達デバイスの近位部分であればよい。ボディ部材は、例えば投与量設定及び送達メカニズムなどの薬物送達デバイスの内部構成要素を収容、固定、保護、案内及び/又は係合するように設計されればよい。ボディ部材は、一元的又はマルチパートコンポーネント(unitary or multipart component)であればよい。
【0032】
薬物送達デバイスの実施態様は、上記のようなカートリッジホルダの実施態様及びカートリッジホルダに配置されるカートリッジを含む。薬物送達デバイスの部材はカップリングハウジング部分に連結され、ここでカートリッジが遠位方向の変位に抗して固定されるように取付け部材は所定の位置に置かれる。遠位方向の変位に抗するカートリッジの固定は、ピストンロッドがカートリッジの栓と接触し続けることを確実にし、そしてそれは間違った投与量の送達を防止する。好ましくは、カートリッジは同様に近位方向の変位に対しても固定される。
【0033】
薬物送達デバイスの1つの実施態様では、カップリングハウジング部分は、カップリングハウジング部分を連結する薬物送達デバイスの部材に挿入される。この薬物送達デバイスの部材の内壁は取付け部材に接し、それによって、取付け部材を内向きに曲げる。カートリッジホルダを連結する薬物送達デバイスの部材の実施態様は、第2の突出部を含み、それは取付け部材と接する。もし取付け部材が第1の突出部を有するなら、第2の突出部は第1の突出部に接してもよい。
【0034】
薬物送達デバイスの1つの実施態様では、取付け部材は、カートリッジに付けられたキャビティ又はカートリッジのくびれ(necking)と係合するように構成される。くびれは、カートリッジの外周の凹状の部分、例えば外周の溝である。1つの実施態様では、くびれはカートリッジのスカートとして形成される遠位端とカートリッジの体部分の間に位置するネック部分であり、スカートはネック部分の上に突き出し、そしてこれはスカートの直径がネック部分の直径よりも大きいことを意味する。1つの実施態様では、取付け部材は、ネック部分と係合しそれによってカートリッジを固定するように構成される。好ましくは、カートリッジは、ニードルユニットが取り付けられ、それによって少なくとも部分的に取付け部材がカートリッジのネック部分と係合するときに固定される。
【0035】
別の実施態様では、取付け部材は、カートリッジと接するのに好適であり、その結果、カートリッジと取付け部材の間に圧力嵌め連結を形成する。圧力嵌め連結は、取付け部材がカートリッジの方向に押された場合にもたらされる。代りの実施態様では、積極的な連結は、取付け部材がカートリッジの方向に押された場合にもたらされる。
【0036】
カートリッジをカップリングハウジング部分及びカップリングハウジング部分に連結している取付け部材を含むカートリッジホルダに固定する方法は、次の工程を含む。カートリッジが少なくとも部分的にカートリッジホルダのカップリングハウジング部分に挿入されるように、カートリッジをカートリッジホルダに挿入する。取付け部材がカートリッジの遠位方向の変位に抗してカートリッジを固定する位置まで取付け部材が半径方向内向きに変位するように、カップリングハウジング部分を薬物送達デバイスの部材に連結する。
【0037】
その他の特徴は、添付した図面と併せて考察するとき、以下の詳細な説明から明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】薬物送達デバイスの実施態様の分解組立図を示す。
【図2】カートリッジホルダの実施態様の図を示す。
【図3】カートリッジの遠位部分及び図2に示されるカートリッジホルダの詳細な断面図を示す。
【図4】カートリッジホルダの実施態様の近位部分の詳細な図を示す。
【図5】カートリッジホルダの別の実施態様の近位部分の詳細な図を示す。
【図6】取り付け中の、図5に示されたカートリッジホルダ及びボディ部材の断面図を示す。
【図7】取り付け後の、図6に示されたカートリッジホルダ及びボディ部材の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0039】
図1は、薬物送達デバイスの実施態様の分解組立図を示す。薬物送達デバイスは、ボディ部材1、カートリッジ3が挿入されるカートリッジホルダ2、及びニードルユニット15を含む。
【0040】
薬物を含むカートリッジ3は、基本的に円筒状に形成された本体部分4を有する。ラベル5は、本体部分4上に配置されればよく、そのラベルは、例えばカートリッジ3内の薬物に関する情報を提供する。カートリッジ3は、スカート29として形成されるカートリッジの遠位端と本体部分4の間が狭められる。狭められた部分はネック部分6である。セプタム7は、カートリッジ3の遠位端に位置し、そのセプタム7は、フランジ付リム8によって固定される。セプタム7は、カニューレ20によって穿刺することができ、ゴム製であればよい。
【0041】
栓9は、カートリッジ3の内部に配置される。最初、栓9はカートリッジ3の近端に配置される。栓9は、カートリッジ3の内壁に沿って遠位方向に可動である。1つの実施態様では、カートリッジ3は透明又は半透明の、例えばガラス製であるためカートリッジ3の内部の栓9が見え、それによってカートリッジ内に残留する薬物の量を知らせる。
【0042】
カートリッジホルダ2は、カートリッジ3を保持するために好適である。カートリッジホルダ2は、ウィンドウ10を有し、それはカートリッジホルダ2のカットアウト(cut-out)として形成されればよい。カートリッジホルダ2の内部のカートリッジ3がウィンドウ10を通して見える。
【0043】
カートリッジホルダ2は、カートリッジホルダ2の近位端に位置する接ぎ(connecting
piece)13によってボディ部材1に取り付け可能である。この実施態様では、接ぎ13は基本的に管状である。外側のねじ山17は、接ぎ13の外壁に位置する。遠位方向に接ぎ13の下に、止め具19として働く段差が形成される。
【0044】
ニードルユニット15が連結されるニードルハブ14は、カートリッジホルダ3の遠位端に備えられる。この実施態様では、ニードルハブ14は、ニードルユニット15の内部ねじ山(示されていない)とねじ式に連結できる外部ねじ山16を含む。代りの実施態様(示されていない)では、ニードルハブ14及びニードルユニット15は、クリップ式又は任意の他の好適な連結手段によって連結される。
【0045】
ニードルユニット15は、ニードルハブ14に取り付けることができる。ニードルユニット15は、ニードルユニット15がニードルハブ14に取り付けられるとき、カートリッジ3のセプタム7を穿刺するカニューレ20を含む。
【0046】
この実施態様では、ボディ部材1及びカートリッジホルダ2は、それぞれハウジングの近位及び遠位部分を形成する。ハウジングは、薬物送達デバイスの取り扱いを安全、正確、及び快適にできるように設計されればよい。
【0047】
ボディ部材1は、ボディ部材1内に配置される投与量設定及び送達メカニズムを収容しそして防護する。ボディ部材1は、基本的に管状であり、ボディ部材1の遠位内側の壁に位置する内部ねじ山18を含む。組み立て中に、ボディ部材1は、ボディ部材1がカートリッジホルダ2にねじ式に連結されるように、ボディ部材1の遠位端が止め具19に到達するまで接ぎ13にねじ締めされる。代りの実施態様(示されていない)では、ボディ部材1とカートリッジホルダ2は、クリップ式又は任意の他の好適な連結手段によって連結される。
【0048】
投与量設定及び送達メカニズム(明確に示されていない)は、例えばボタン部材11を回転変位させることによって薬物の投与量を選択するために好適であり、そして例えばボタン部材11をボディ部材1に対して遠位方向に押すことによって薬物送達を始動させるために好適であるボタン部材11を含む。投与量設定及び送達メカニズム(示されていない)の代りの実施態様は、投与量を設定するために使う回転式の投与量設定スリーブ及び送達のために使うボタン部材を含んでもよい。
【0049】
投与量設定及び送達メカニズムは、薬物送達デバイスのボディ部材1に位置するピストンロッド12を含み、そのピストンロッド12は、ボディ部材1に対して遠位方向に可動である。栓9は、ピストンロッド12が遠位方向に前進したときカートリッジ3の内壁に沿って遠位方向に変位し、それによって薬物を、カニューレ20を通して追い出す。
【0050】
薬物送達デバイスが組み立てられるとき、又は薬物送達デバイスの部材、例えばカートリッジ3、が交換されるとき、投与量設定及び送達メカニズムの部品は、カートリッジ3又は薬物送達デバイスのハウジングに対して所定の位置に配置されなければならない。もしその部品が、ピストンロッド12が栓9に接触することを含む所定の位置に配置されるなら、これは、薬物送達デバイスが使用されるとき所定の投与量が送達されることを確実にする。以下に説明される取付け部材(図1には示されていない)は、所定の位置におけるカートリッジの固定をもたらす。カートリッジ3は、軸方向の変位、特に遠位方向の変位に抗して固定されることによって、栓9はピストンロッド12と接触し続ける。
【0051】
図2は、カートリッジホルダ3の実施態様を示す。カートリッジホルダ3の遠位部分は、カートリッジのネック部分6及びスカート29(図2には示されていない)をセットすることができるニードルハブ14として形成される。ニードルハブ14は、ニードルハブ14がニードルユニット15(図2には示されていない)と連結するのに好適な外部ねじ山16を含む。
【0052】
2つの取付け部材21は、ニードルハブ14の反対側に位置しており、それは取付け部材21が互いに180度でセットされることを意味する。図2では、取付け部材21の1つだけが見える。外側41及び内側42(図2に示されないが図3に示されている)を有する取付け部材21は、取付け部材21が半径方向内向きに第1の位置から第2の位置に可動なように、ニードルハブ14の開口部に位置しニードルハブ14と連結される。力が取付け部材21の外側41に加わると、取付け部材21の内側42はカートリッジホルダ2の内側に位置するカートリッジ3の方向に動かされる。
【0053】
この実施態様では、取付け部材21は、可撓性で、ニードルハブ14と一体的に形成される。取付け部材は、ばねアーム(spring arm)として形成される。取付け部材21は、外側41、内側42(図2に示されないが図3に示されている)及びニードルハブ14と連結する側面43を有する。取付け部材21の縁44は、ニードルハブ14と連結する側面43の1つの端からこの側面のもう一方の端まで伸び、ここで、縁43はカットアウト22によってニードルハブ14から分離される。カットアウト22は、U字型、V字型であればよく、又はばねアームの形成に好適であるいかなる形を有してもよい。この実施態様では、カットアウトは、長方形の取付け部材21をニードルハブ14から分離する。換言すると、取付け部材21は、半径方向内向きに曲げることができるニードルハブ14の壁切断部分である。代りの実施態様(示されていない)では、取付け部材21は、ヒンジによってニードルハブ14と連結される。
【0054】
取付け部材21は、取付け部材21が内向きに曲げられるように力が加わる第1の突出部24を含む。ニードルユニット15がニードルハブ14に取り付けられていないことを意味する第1の状態では、取付け部材は第1の位置に配置され、そこでは、第1の突出部24はねじ山16の畝を越えて突出している。
【0055】
第2の状態では、可撓性の取付け部材21は、カートリッジ3を軸方向の変位に抗して固定するのに好適である。ニードルユニット15を取り付ける間に、ニードルハブ14はニードルユニット15に挿入され、それによってニードルユニット15の内壁が取付け部材21の第1の突出部24に接するため、取付け部材21は、第1の位置から第1の突出部24がねじ山16の外表面と並ぶ第2の位置まで半径方向内向きに押される。
【0056】
図3は、カートリッジ3及び図2に示されるカートリッジホルダ2の遠位部分の詳細な断面図を示す。明瞭性を期すため、対称的なカートリッジ3及びカートリッジホルダ2の遠位部分は、カートリッジホルダ2の縦軸50より上のみを示す。
【0057】
カートリッジホルダ2は、スカート29を含むカートリッジ3の遠位部分がニードルハブ14の内側にセットされるようにカートリッジ3を保持するように構成される。
【0058】
取付け部材21は、ニードルハブ14と一体的に形成されそして半径方向外向きに伸びる第1の突出部24を含み、その第1の突出部24は、ねじ山16の螺旋状に走行する畝の上に突出する。
【0059】
取付け部材21はさらに、取付け部材21の内側42に形成された受け止め部分25を含む。その受け止め部分25は、取付け部材21が半径方向内向きに曲げられた場合の遠位方向の変位に抗してカートリッジ3を固定するように構成される。受け止め部分25の1つの実施態様は、カートリッジ3の遠位部分の側面に適合する凹状の側面を有するので、受け止め部分25はカートリッジのスカート29の背後に置かれることになり、このことは、受け止め部分25がスカート29又はフランジ付きリム8の近位縁にのしかかり、少なくとも部分的にネック部分と係合することを意味する。部分的に係合するとは、取付け部材25が内向きに動かされた場合、受け止め部分25がスカート29に対して半径方向内向きに伸びることを意味する。1つの実施態様では、取付け部材21の内側42は、それがフランジ付きリム8のボタン縁(button edge)と適合する又は実質的に適合するように、勾配が付けられる。
【0060】
ニードルユニット15がニードルハブ14に取り付けられる場合、ねじ山16上に突き出ている第1の突出部24は、ニードルユニット15の内壁によって半径方向内向きに押されて、第1の突出部24はねじ山16の畝に揃えられる。受け止め部分25の勾配は、取付け部材が半径方向内向きに曲げられた場合、フランジ付きリム8のボタン縁の背後に横たわり、それによってカートリッジ3の軸方向変位に抗して固定し確保する。
【0061】
図4は、カートリッジホルダ2の実施例の近位部分の詳細な図を示す。
【0062】
カートリッジホルダ2の近位部分は、ボディ部材1(図4には示されない)に挿入されるように構成される。螺旋構造に形成される外部ねじ山17は、カートリッジホルダ2の近位端に位置する連結部品13上に配置される。
【0063】
連結部品13は、互いに180度の角度に設置された2つの取付け部材21を含む。図4では、取付け部材21の1つだけが見られる。外側41及び内側42(図4には示されない)を有する取付け部材21は、取付け部材21が内向きに第1の位置から第2の位置まで変位できるように、連結部品13の開口部に配置されそして連結部品13に連結される。従って、取付け部材21の内側42は、カートリッジホルダ2の内側に位置するカートリッジ3(図4には示されない)に向かって変位される。この実施態様では、取付け部材21は可撓性であり、連結部品13と一体的に形成される。取付け部材21は、U字形カットアウト22によって連結部品13から分離したバネアームとして形成される。代りの実施態様(示されていない)では、取付け部材は、ヒンジを使ってニードルハブ14に連結される。
【0064】
取付け部材21は、取付け部材21が内側に曲げられるように力を加えることができる第1の突出部24を含む。ニードルユニット15がニードルハブ14に取り付けられないことを意味する第1の位置では、取付け部材21は第1の突出部24がねじ山17の畝の上に突出するように位置する。
【0065】
第2の位置では、可撓性の取付け部材21は、カートリッジ3を軸方向の変位に抗して固定するために好適である。ボディ部材1が連結部品13に取り付けられる場合、連結部品13はボディ部材1に挿入され、それによってボディ部材1の内壁が取付け部材21の第1の突出部24に接触し、その結果取付け部材21は半径方向内向きに第2の位置に押され、そこで第1の突出部24はねじ山17の畝に揃えられる。
【0066】
図5は、カートリッジ3の代わりの実施態様の近位部分の詳細図を示す。
【0067】
この実施態様は、図4に示されたものに類似する。この実施態様では、取付け部材は、カートリッジホルダ3の縦軸に対して直角に位置するバネアームとして形成される。それに対して、図4に示される実施態様は、縦軸に対して平行に位置するバネアームを有する。
【0068】
図6は、取り付け中の図5に示すカートリッジホルダ2のA−A’線に沿った断面図を示す。明確を期すため、図6には、取付け部材21の1つのみを示す。
【0069】
図6は、取り付けする間にカートリッジ3が挿入されるカートリッジホルダ2を示し、それはカートリッジホルダ2の連結部品13がボディ部材1にねじ式で挿入されることを意味する。ボディ部材1は、まだ留め具19(図6には示されない)に到達していない。
【0070】
取り付け中の状態である第1の状態では、取付け部材21の内側42は、カートリッジ3をカートリッジホルダ2に挿入できるように連結部品13の内壁に揃えられる。取付け部材21は、ねじ山17の上に突出する第1の突出部24を含む。
【0071】
ボディ部材1は、ボディ部材1の内壁に位置する第2の突出部31を含む。第2の突出部31の位置は、第1の突出部24の位置と一致する。第2の突出部31は、ボディ部材1の第2の突出部31が連結部品13の第1の突出部24に接触したとき、取付け部材21の第1の突出部24が半径方向内向きに押されるように構成される。第1の突出部24及び第2の突出部31は、ボディ部材2がその最終位置に到達したとき、つまりボディ部材1の遠位縁が留め具19(図6には示されない)に到達したとき、第2の突出部31が第1の突出部24上に滑り上がれるように傾斜するか曲面にされればよい。
【0072】
図7は、図6に示されたカートリッジホルダ2及びボディ部材1の取り付け後の断面図を示す。
【0073】
ボディ部材1は、その最終の位置に到達している。ボディ部材1の第2の突出部31が取付け部材21の第1の突出部24に接することによって、取付け部材21は半径方向内向きに曲げられ、それによって取付け部材21の内側42がカートリッジ3に接触し、その軸方向、特に遠位方向への変位を固定する。換言すれば、取付け部材21の内側42がカートリッジ3に力を加えることによって、それはそのままの位置に保持される。
【0074】
1つの実施態様では、取付け部材21の内側42は、取付け部材21とカートリッジ3の間の摩擦抵抗が増すように粗面化される。1つの実施態様では、カートリッジ3は、粗面化された表面又は表面に粗面化された部分を有し、その上に可撓性の部材21の内側42が接する。図6及び図7に示された実施態様では、可撓性の部材21の内側42は、カートリッジ3上に位置するラベル5に接する。ラベル5の表面は、カートリッジ3の表面より粗ければよく、例えば、カートリッジ3はガラス製でありそしてラベルは紙製である。
【0075】
1つの実施態様では、取付け部材21の内側42は、カートリッジ3に半径方向の力を加える半径方向内向きに突き出たエレメント(図6及び7には示されない)を含む。従って、内向きに曲げられた取付け部材21によってもたらされる力は、突き出たエレメントがカートリッジ3と接触する点に、カートリッジ3に対して半径方向に加えられる。
【0076】
この実施態様では、取付け部材21の内側41は、カートリッジ3に向かって押され、それによって、軸方向の変位に抗してカートリッジ3を固定する。カートリッジ3は摩擦的連結によって固定される。或いは又はさらに、積極的な係止によって固定されてもよい。1つの実施態様では、取付け部材21の内側42は、カートリッジ3に付けられたキャビティ(示されない)に押し込まれる。
【0077】
他の実施は、請求の範囲に含まれる。異なる実施態様の要素は、本明細書に特に記載されない実施を形成するために組み合わせられてもよい。
【符号の説明】
【0078】
参照番号
1 ボディ部材;
2 カートリッジホルダ;
3 カートリッジ;
4 本体部分;
5 ラベル;
6 ネック部分;
7 セプタム;
8 フランジ付きリム;
9 栓;
10 ウィンドウ;
11 ボタン部材;
12 ピストンロッド;
13 連結部品;
14 ニードルハブ;
15 ニードルユニット;
16 外側ねじ山;
17 外側ねじ山;
18 内側ねじ山;
19 留め具;
20 カニューレ;
21 取付け部材;
22 カットアウト;
24 突出部;
25 受け止め部分;
29 スカート;
31 突出部;
41 外側;
42 内側;
43 側面;
44 縁;
50 縦軸。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
遠位端及び近位端を有するカートリッジホルダ(2)であって、
カートリッジ(3)が少なくとも部分的に挿入できるカップリングハウジング部分(13、14)(カップリングハウジング部分(13、14)は薬物送達デバイスの部材(11、15)に繋がれるように構成される)、
カップリングハウジング部分(13、14)に連結される取付け部材(21)(取付け部材(21)は、取付け部材(21)がカートリッジ(3)の遠位方向の変位に抗してカートリッジ(3)を固定するのに適した位置に、半径方向内側に可動である)、
を含んでなる、上記のカートリッジホルダ(2)。
【請求項2】
取付け部材(21)は可撓性でありカップリングハウジング部分(13、14)と一体的に形成される、請求項1に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のカートリッジホルダ(2)であって、取付け部材(21)が、カップリングハウジング部分(13、14)と連結される側面(43)、カップリングハウジング部分(13、14)に連結される側面(43)の一方の端からこの側面の他方の端まで伸びる取付け部材(21)の縁(44)(縁(44)はカットアウト(22)によってカップリングハウジング部分(13、14)から隔てられる)を有する、上記のカートリッジホルダ(2)。
【請求項4】
取付け部材(21)が、取付け部材(21)の外側(41)上に形成される第1の突出部(24)を含む、請求項1〜3のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項5】
取付け部材(21)が、取付け部材(21)の内側(42)に形成される受け止め部分(25)を含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項6】
カップリングハウジング部分(13、14)がねじ山(17、16)を含む、請求項1〜5のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項7】
カップリングハウジング部分(14)がニードルユニット(15)に繋がれるように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項8】
カップリングハウジング部分(13)が薬物送達デバイスのボディ部材(1)に繋がれるように構成される、請求項1〜6のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載のカートリッジホルダ(2)を含んでなり、そしてさらにカートリッジホルダ(2)内に位置するカートリッジ(3)を含んでなる薬物送達デバイスであって、薬物送達デバイスの部材(11、15)がカップリングハウジング部分(13、14)で繋がれ、それによって、薬物送達デバイスの部材(11、15)が取付け部材(21)に接して、取付け部材(21)がカートリッジ(3)を遠位方向の変位に抗して固定する、上記の薬物送達デバイス。
【請求項10】
カップリングハウジング部分(13、14)が薬物送達デバイスの部材(11、15)に挿入される、請求項9に記載の薬物送達デバイス。
【請求項11】
薬物送達デバイスの部材(11、15)が、取付け部材(21)に接する第2の突出部(31)を含む、請求項9又は10に記載の薬物送達デバイス。
【請求項12】
取付け部材(21)が、カートリッジ(3)に備え付けられたキャビティ又はカートリッジのくびれ(6)と少なくとも部分的に係合するように構成される、請求項9〜11のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項13】
請求項12に記載の薬物送達デバイスであって、カートリッジ(3)はネック部分(6)及びネック部分(6)の上に半径方向に突き出たスカート(29)を有し、取付け部材(21)がネック部分(6)と少なくとも部分的に係合するように構成される、上記の薬物送達デバイス。
【請求項14】
取付け部材(21)がカートリッジ(3)に接して、圧力嵌め連結が形成される、請求項9〜13のいずれか1項に記載の薬物送達デバイス。
【請求項15】
カートリッジ(3)を、カップリングハウジング部分(13、14)及び取付け部材(21)を含み、取付け部材(21)がカップリングハウジング部分(13、14)と連結しているカートリッジホルダ(2)に固定する方法であって、
カートリッジ(3)が少なくとも部分的にカートリッジホルダ(2)のカップリングハウジング部分(13、14)に挿入されるように、カートリッジ(3)をカートリッジホルダ(2)に挿入する工程、
取付け部材(21)が遠位方向の変位に抗してカートリッジ(3)を固定する位置に、取付け部材(21)が半径方向内向きに移動するように、カップリングハウジング部分(13、14)を薬物送達デバイスの部材(1、15)に繋ぐ工程、
を含む、上記の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公表番号】特表2013−517870(P2013−517870A)
【公表日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−550470(P2012−550470)
【出願日】平成23年1月31日(2011.1.31)
【国際出願番号】PCT/EP2011/051306
【国際公開番号】WO2011/092326
【国際公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【出願人】(397056695)サノフィ−アベンティス・ドイチュラント・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (456)
【Fターム(参考)】