カートリッジ及びカートリッジを収容する薬剤供与器、並びに、カートリッジの使用法及び薬剤供与器の使用法
ユーザによる錠剤Tの安全な格納及び簡単で安全な投与のために、固形薬剤片Tに対する薬剤供与器1内へと挿入され得るカートリッジ900であって、薬剤片Tを受容するリザーバを備えて設計されるカートリッジ900が提供され、且つ、このカートリッジ900を収容する薬剤供与器1も提供される。本発明に依れば、上記カートリッジ900は、該カートリッジ900の保存及び搬送の間における上記薬剤片Tの移動を阻止する安全搬送機構を備えて成る。この安全搬送機構は特に、摩擦嵌合にて上記リザーバ内に着座する許容差補償プラグ970であって、上記軸線方向に移動可能である許容差補償プラグ970である。上記カートリッジ900はまた、上記リザーバ内で軸線方向に移動可能であると共に当該カートリッジ900における少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材960であって、上記軸線方向に作用する力を当該カートリッジ内の上記薬剤片Tに対して伝達することで上記薬剤片Tの縦列状配置を束縛する錠剤後押し部材960も含んでいる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供与器のためのカートリッジであって、例えば錠剤などの固形薬剤片が好適には縦列状配置で収容されたカートリッジに関する。本発明は更に、自身内に収容された交換可能カートリッジを備える薬剤供与器と、例えばホルモン製剤などの薬剤片を格納して供与するカートリッジ及び薬剤供与器の使用法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対し、例えば錠剤などの固形薬剤片を、種々の形式のパッケージにて提供することは知られている。例えば、固形医薬品は非常に多くの場合に供給されると共に、その各々は、閉塞されたセル内にそれらが概略的に包装されるブリスタ・パック(blister pack)(PTP:押出しパック)と称されるパック内に個別的に密閉される。この目的のために、各片を受容する凹所を備えると共に殆どの場合には透明であるプラスチックフィルムがアルミニウム箔に対して溶着されることから、各錠剤が収容された個別的な複数のセルの形成に帰着する。投与される前に、錠剤は、受容凹所からアルミニウム箔を通して押し出されることにより個別的なセルから取出される。この形式のパッケージは広範囲に使用されている、と言うのも、個別的な各錠剤が、確実に格納されると共に、有害な外部影響から保護されるからである。別の形式のパッケージにおいて、固形医薬品は、個別的な複数の錠剤が個別的には包装されない小瓶において利用可能である。この場合にユーザは、錠剤を個別的に手で取出さねばならない。別の形式のパッケージにおいて、此処でも個別的には包装されない複数の錠剤は、管体内に縦列状配置で配置される。この場合にも、個別的な錠剤は手により取出される。このことは、個別的な錠剤が落下して破損し又は汚れる虞れが在る、という意味において問題である。更に、ユーザは、既に服用された錠剤の個数をチェック又は認識することができない。
【0003】
好適な回分供与及び高信頼性の投薬を許容すると共に、薬剤片の慎重な取扱いを確実とするためには、この様に包装された固形薬剤片が、ユーザによる投与のために、薬剤供与器において利用可能とされれば好適である。この場合、各薬剤片は供与器内に収容されると共に、必要とされる限りにおいて該供与器から供与され得る。斯かるシステムの利点は、とりわけ、供与器内の薬剤片が外部影響から保護されると共に、適切な手段により、各片が事前決定回分供与量で供与されることを確実とする可能性が在る、ということである。
【0004】
ブリスタ帯片で包装される医薬品を使用するために、例えば特許文献1は、ブリスタ帯片を受容するスリットを一端に有する供与器を記述している。個別的な錠剤を供与するために、上記ブリスタ帯片は、個別的な一個の錠剤のみ、又は、所定の少数の錠剤のみが露出される如く、部分的にのみ上記供与器から引き出される。このことは、上記供与器からの上記ブリスタ帯片の引抜き時における所定の前進移動量を設定するために把持器が係合する複数の突出部を有する上記ブリスタ帯片により可能とされる。
【0005】
特許文献2は、円形に配置された複数のブリスタ・セルを備えたブリスタ帯片を収容する更なる供与器を開示している。休止状態においては上記供与器の上面の窓部の全体に亙り延在することにより各錠剤を覆い且つ各錠剤を不正なアクセスから保護する帯片の各タブであって、上記供与器の側方に取付けられる各タブの少なくとも一方に対してユーザが圧力を及ぼしたときにのみ、各ブリスタ・セル内の錠剤は基本的に上記窓部を介して利用可能である。対照的に、ユーザが上記タブに対して圧力を及ぼしたとき、上記帯片は上方に屈曲されて錠剤を解放する。
【0006】
特許文献3は、錠剤リザーバを受容する錠剤供与器であって、搬送要素と、上記リザーバから錠剤を取出すためのスライド部材とを備えて成る錠剤供与器を開示している。
【0007】
更に、特許文献4は、錠剤形状の製品のための回分供与器を引用しており、その場合にこれらの製品は、リザーバ内に積層体形態で収容される。上記リザーバは、一端にて、当該スタンドの頂面上に取付けられた摺動レールと、この上方に配置されたアダプタ部材とを備えたスタンドを有しており、且つ、他端にてそれは閉塞用蓋体を有している。
【0008】
特許文献5は、支持体内に受容された複数の被覆錠剤を格納して個別的に供与する容器を開示している。上記支持体は、複数の被覆錠剤が内部に配置される長寸管体の形態である。上記支持体の一端は、被覆錠剤に対する供与開口を備えると共に、他端はストッパにより閉じられる。
【0009】
特許文献6は、口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤のための供与器を開示している。この供与器内に収容された複数のトローチ剤は、積層される。各トローチ剤は、案内部材内でスプリング力により上方に付勢されると共に、この様にして、供与器の側部から各トローチ剤を個別的に供与する放出用鉤爪を有する放出器ヘッドに到達する。
【0010】
特許文献7は、医療目的のための錠剤供与器を開示している。それは、管体の形態の容器であって、その中に各錠剤が積層され且つスプリング張力下で載置される容器を備えている。各錠剤は、上記供与器のヘッドから起動される放出機構により、該供与器から横方向に供与される。
【0011】
特許文献8は、例えば口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤などの積層された複数の錠剤を受容するマガジンを開示しており、該マガジンは錠剤供与器において使用されるべく提供される。各錠剤は上記マガジン内でスプリング張力下に在り、且つ、各錠剤は上記供与器のヘッドにおいて、放出機構により該供与器の軸線に関して横方向に供与される。
【0012】
更に、特許文献9は、例えば、避妊薬、ライタ用の着火石、又は、キャンディの如き御菓子などの錠剤のための供与器を開示している。各錠剤又は類似物は、供与器内に挿入され得るスリーブ内に積層体として収容される。各錠剤又は類似物は、上記供与器から横方向に供与される。
【0013】
特許文献10は、ハウジングと、該ハウジング内において繋止され得るマガジンとを有する、キャンディ又は錠剤用の供与器を記述している。上記ハウジング内には、上記マガジンにより2つのチャンバが形成される。上記チャンバの一方において、キャンディ又は錠剤は上記マガジン内に収容される。上記キャンディ又は錠剤は上記供与器の起動時に、親指により起動され得るスライド部材であって、上記マガジン上に配置され且つ起動されつつあるスライド部材と、故に、起動されつつある個別的なキャンディ又は錠剤を横方向に放出するための放出器とにより、横方向に放出される。
【0014】
特許文献11及び特許文献12は、錠剤容器に対する弾性的なスペーサを備えた蓋体ストッパを開示している。
【0015】
特許文献13もまた、医薬錠剤のための供与器であって、各錠剤に対するマガジンと、該マガジンを受容する外側容器と、蓋体片とを備えて成る供与器を記述している。上記蓋体片は、上記外側容器の下端部に対して螺着される。各錠剤は、上記マガジン内で積層されると共に、スプリングにより負荷を掛けられる。
【0016】
特許文献14は、複数のピルを受容するリザーバであって、その内部で各ピルは積層され且つスプリングにより負荷を掛けられるリザーバを有するピル用供与器を引用している。
【0017】
特許文献15は、各錠剤を個別的に供与するための供与器であって、各錠剤に対するリザーバと一端における供与開口とを備えた筒状ハウジングと、各錠剤を搬送する機構とを備えて成る供与器を開示している。上記リザーバの側部に対しては歯付きロッドが延在し、該歯付きロッドによれば、ラチェット前進移動の間において、最後の錠剤に対して当接する圧力プレートは、上記ハウジングの開孔縁部から1個の錠剤の厚み分だけ揚動される蓋体の方向に移動される。
【0018】
特許文献16は、ラチェットの如く作用する突き棒を備えたピル供与器を引用している。該供与器内に配置された各ピルは、該供与器の内部内に延在する動作要素により、圧力片を介して供与開口まで運ばれる。上記圧力片は、上記内部の内側壁上のラチェット歯に係合する弾性フィンガを介して、上記供与器の内側壁上に繋止される。
【0019】
特許文献17は、各トローチ剤が積層される、口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤のための供与器を記述している。各トローチ剤は、スプリング力により上方に押圧されると共に、放出器鉤爪を備えた放出器ヘッドにより個別的に供与される。各トローチ剤は、マガジン内に配置される。各トローチ剤に対してスプリング力を付与するために、スプリング張設されたアームが上記マガジンに貫通係合し、該マガジン内における各トローチ剤を放出器ヘッドに向けて上方に押圧する。特許文献6に関して示された如く、各錠剤は供与器の側部から供与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第2005/028316号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,409,020号
【特許文献3】独国実用新案公開第88 07 774号
【特許文献4】独国特許出願公開第31 43 953号
【特許文献5】独国特許出願公開第42 30 452号
【特許文献6】米国特許第5,080,258号
【特許文献7】欧州特許第1 189 822号
【特許文献8】米国特許公開第2003/0132239号
【特許文献9】米国特許第5,230,440号
【特許文献10】米国特許第5,048,720号
【特許文献11】独国実用新案公開第1 855 071号
【特許文献12】独国実用新案公開第1 863 564号
【特許文献13】米国特許第3,270,915号
【特許文献14】米国特許第3,854,626号
【特許文献15】独国特許出願公開第34 45 121号
【特許文献16】米国特許第3,612,349号
【特許文献17】米国特許第5,366,112号
【0021】
上記に列挙された公知の薬剤供与器の殆どにおいて、錠剤、トローチ剤、キャンディなどが供与器内に如何にして導入されるかが詳述されていない。特許文献9が、錠剤などを収容するスリーブが交換可能であり且つ供与器内のキャビティ内へと挿入されると述べていることは確かである。更に、特許文献10は、キャンディ又は錠剤を収容するマガジンはハウジング内へと挿入されると述べている。しかし、特に、視覚障害のある対象者により使用されるとき又は不十分な照明状態において使用されるとき、斯かる供与器の使用には問題が在ることが見出された、と言うのも、放出された錠剤などが全ての場合にユーザにより捕捉されることはできず、代わりに、錠剤などは地面上に落下して見失われる。特に供与器が小寸の錠剤を供与すべく使用されたとき、それを使用している対象者は、錠剤が既に供与されたか否かが定かでない、ということが起こり得る。
【0022】
先行技術の文献が、錠剤などのためのマガジンが交換可能であると開示する場合(特許文献9)、その中に収容される錠剤は安全には格納されないことも見出された、と言うのも、各錠剤は、マガジン内で自由に移動可能であることから摩耗に委ねられ且つ/又は供与器からの供与の間に詰まりが生じ、各錠剤の供与における問題に帰着するからである。
【0023】
従って、本発明により対処される問題は、公知の薬剤供与器は十分に簡素で安全な取扱いを許容せず、且つ、それらに収容される薬剤片は十分な保護を以ては取り入られないということである。故に目的は、薬剤供与器、及び、薬剤片に対するこの種のカートリッジが内部に配置される薬剤供与器のためのカートリッジであって、該薬剤供与器及びカートリッジは、それらの使用法に関して簡素で高信頼性であり、特に、搬送及び格納の間において且つ供与器内における使用の間において各薬剤片が破損されず且つ保護されて格納されることを確実にする薬剤供与器及びカートリッジを提供するに在る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
この問題及び目的は、特許請求項1に係る交換可能カートリッジ、特許請求項14に係る固形薬剤片のための斯かる交換可能カートリッジを収容する薬剤供与器、特許請求項15に係る上記カートリッジの使用法、及び、特許請求項17に係る上記交換可能カートリッジを収容する上記薬剤供与器の使用法により解決かつ達成される。本発明の好適実施形態は、従属請求項中に示される。
【0025】
以下における本発明の説明及び特許請求項において“固形薬剤片”及び“薬剤片”という語句が使用されたとき、これらの語句は、ピル、被覆ピル、カプセル、錠剤、及び、他の固形状形態を意味すると理解されるものとする。本発明の記述を簡素化するために、以下において“錠剤”という語句は、他の(固形)薬剤片を代表して使用される。故に、この語句を使用することは、夫々の場合において、任意の所望の形式の(固形)薬剤片を意味することが意図される。
【0026】
以下における本発明の説明及び特許請求項において、特に本発明に係る主題の構造要素を表すために、“受容手段”などの如き用語が使用される場合、それらが単数形で使用されるか複数形で使用されるかに関わらず、これらの用語は単数かつ複数として解釈されるものとする。
【0027】
本発明に係る上記カートリッジ及び固形薬剤供与器は、該供与器の使用のために、各錠剤のためのリザーバを備えて成る上記カートリッジを上記供与器内に挿入して、錠剤を供与するために組み合わせて使用される。上記カートリッジ及び上記供与器は、好適には薬剤を投与し、特に好適にはホルモン製剤を投与すべく、最も好適には、避妊薬、又は、ホルモン補充療法のための薬剤を錠剤の形態で投与する役割を果たす。
【0028】
上記カートリッジ内に収容される薬剤が、例えば、例えば避妊のためのホルモン製剤であるなら、該ホルモン製剤は、例えば二段階固定式の投与方式で24時間サイクルにおいて通常様式で服用され得る。これは、投与無し期間により追随される。例えば、該投与無し期間は、7日間、又は、4日間、又は、別の固定日数ともされ得る。例えば、21日間の投与及び7日間の投与無し、又は、24日間の投与及び4日間の投与無しという上記の固定期間の代わりに、あるいはまた、別の固定された投与計画の代わりに、例えば避妊のための一定の薬剤は、投与段階は例えば少なくとも24日間かつ多くとも120日間に亙り、且つ、投与無し段階は例えば4日間に亙る弾力的投与方式によっても服用され得る。
【0029】
本発明に係る上記カートリッジは、上記薬剤供与器に挿入可能であると共に、交換可能である。それは、空となったときに交換される。空のカートリッジは、満杯のカートリッジにより置き換えられる。満杯のカートリッジは、上記供与器に錠剤を補充すべく使用される。上記カートリッジの安全な保存及び搬送のために、該カートリッジは、例えばアルミニウム箔で作成されて閉じられた袋又はブリスタ・パックであって、カートリッジが未だ供与器内に挿入されない限りにおいて該カートリッジ用の受容凹所が常温成形されている袋又はブリスタ・パック内などの、好適には密閉された容器内に収容され得る。但し基本的に上記カートリッジは、該カートリッジが空となったときに供与器が廃棄される如く、上記供与器に対して固定的にも接続され得る。
【0030】
上記カートリッジは、各錠剤を好適には縦列状配置で受容するためのリザーバを備えている。故に上記カートリッジは、好適には円筒状であり、且つ、好適には円筒状リザーバを有する。
【0031】
本発明に従い上記薬剤供与器における錠剤に対する上記カートリッジの交換可能性を達成するために、上記供与器は、例えば上記供与器内で軸線方向に延在する受容シャフトであって、該受容シャフト内へとカートリッジが押し込まれ得る受容シャフトなどの、カートリッジのための受容手段を有する。上記薬剤供与器を使用するために、上記カートリッジは例えば、例えば上記受容シャフト内などへと、上記受容手段内へと押し込まれるなどして挿入される。故に上記カートリッジ及び供与器は、相互に対して空間的及び物理的な関係とされ得ると共に、協働して、本発明に係る薬剤供与器とカートリッジの組合せ物であって、組立てられて1つのユニットを形成し得る組合せ物を形成し得る。
【0032】
本発明に依れば、上記カートリッジは、好適には摩擦嵌合にて上記カートリッジ・ハウジング内に着座する安全搬送機構であって、上記カートリッジの保存及び搬送の間における各錠剤の移動を阻止する安全搬送機構を備えて成る。上記安全搬送機構は特に、好適には摩擦嵌合にて上記リザーバ内に着座する許容差補償プラグであって、軸線方向に移動可能である許容差補償プラグとされ得る。この許容差補償プラグは、カートリッジが錠剤により充填される前に上記リザーバ内に挿入されると共に、該プラグは、上記カートリッジが錠剤により充填された後で、錠剤の積層体上に強固に押圧される。
【0033】
上記許容差補償プラグは摩擦嵌合により上記リザーバ内に着座するという事実に依り、該プラグは、例えば、保存又は搬送の間などにおいて上記カートリッジが別体的に取扱われつつあるときなどの様に、上記カートリッジが供与器内に配置されないときでさえも、錠剤の積層体を緊密に詰め込んで維持し得る。各錠剤が傾斜して、無理矢理に押し込まれることから該錠剤の供与が阻害される、ということを確実に無くすために、各錠剤が上記リザーバ内で自由に移動することを阻止すべく、錠剤の積層体は一体的に強固に保持されることが必要である。更に、相互に対する継続的な移動時に、各錠剤は不都合な摩耗にも委ねられ得る。各錠剤は、錠剤の積層体の高さ変動に繋がる厚み許容差を有することも銘記されねばならない。例えば、3mm厚さの錠剤の厚み許容差が±150μmであるなら、30個の錠剤の積層体の高さの変動は約±4.5mmである。上記許容差補償プラグに依り、上記積層体は、その実際の高さに関わり無く、すなわち、カートリッジが供与器内に挿入されないときでさえも、上記リザーバ内に常に堅固に保持される。例えば特許文献9からの弾性手段などの、上記リザーバ内の各錠剤を相互に対して押圧することによりそれらを固定する圧縮スプリングと比較して、上記許容差補償プラグは、搬送及び保存の間において、各錠剤は何らの力なしで、且つ、圧縮スプリングの場合におけるのとは異なり、積層された各錠剤の高さに依存して変化するスプリング張力下で、相互上に位置して詰め込まれる、という利点を有している。故に、各錠剤は、公知のマガジンの場合よりも相当に穏やかに格納される。
【0034】
上記カートリッジのリザーバ内への上記許容差補償プラグの摩擦嵌合を許容するために、該プラグは、上記カートリッジの上記リザーバの内側壁上で好適には軸線方向に延在する形状部上へと繋止するための少なくとも1つの繋止手段を有している。この形状部は、例えば、相互に対して平行に延在する複数の横方向溝から構成された横方向溝形状部により形成され得る。例えば該横方向溝形状部は、上記カートリッジの内側壁上における少なくとも一本の軸線方向に延在するラチェット軌道を形成し得るか、又は、上記カートリッジの内側壁の内周部全体上に配備され得る。上記形状部をラチェット形状部の形態で構成することにより、(上記供与開口に向かう)一方向においては上記プラグの圧力嵌め係合が、及び、他方向においては摩擦嵌合係合が達成される。
【0035】
上記許容差補償プラグ上の上記少なくとも1つの繋止手段は特に、上記形状部上へと繋止される繋止突起部を備えた少なくとも1つの外方作用スプリング要素により形成され得る。例えば、繋止突起部を備えた2つのスプリング要素が上記プラグの基礎部分の各側部上に配備され得、各スプリング要素は好適には、略々軸線方向に突出する外方に弾性的なスプリング・アームであって、例えば2つの対置されたラチェット軌道内などの、上記形状部内に係合する繋止突起部を有するスプリング・アームである。上記許容差補償プラグは、上記少なくとも1つの繋止手段が垂直に起立することで滑落に対抗する如く、先ず上記スプリング要素により上記カートリッジの上記リザーバ内に挿入され得る。
【0036】
本発明の好適実施形態において、上記カートリッジは、好適には一端にて、単体化デバイスを有する。この単体化デバイスは好適には、複数の錠剤が各々、個別的に、又は、例えば同時に2個の錠剤などの様に別の所定個数で供与される如く設計される。この目的のために、上記単体化デバイスは、該単体化デバイスが、該単体化デバイスと、上記薬剤供与器上に配備された単一の起動デバイス又は幾つかの起動デバイスとの間の作用的接続を介して起動され得る如く設計される。上記起動デバイスは、1個の錠剤(又は一度に数個の錠剤)を供与するために上記薬剤供与器上に配備された手動起動手段と、該起動手段の手動起動により生成された運動を該起動手段から上記単体化デバイスへと伝達する上記供与器内の機構とを備えて成り得る。本発明のこの実施形態において、錠剤用の上記単体化デバイスはカートリッジ上に配備されることから、斯かるデバイスは薬剤供与器上には配備されない。対照的に、上記単体化デバイスに対する上記単一の起動デバイス又は複数の起動デバイスは、この実施形態において上記薬剤供与器上に取付けられる。これらの起動デバイスは上記単体化デバイスに対し、好適には機械的な作用的接続とされる。電気機械的な、又は、純粋に電子的な作用的接続も想起可能である。機械的な作用的接続を提供するために、上記カートリッジ上の上記単体化デバイスは、例えば、駆動ピンとも称され得るピンを備え得る。この場合、上記供与器上の上記起動手段の起動により、運動は、例えば、凹所を備えた鉤爪であってこの担体ピンに適合された鉤爪へと伝達されると共に、この鉤爪から、上記担体ピンへと、故に、上記単体化デバイスへと伝達される。上記供与器上の上記起動手段の手動起動により生成された運動は好適には、例えば、上記起動手段からの運動を上記単体化デバイスまで伝達する機構を代表する伝達レバーなどの、更に介設された機械的要素を介して、上記鉤爪へと伝達される。
【0037】
上記カートリッジ上に上記単体化デバイスを配備すると、幾つかの好適な機能が得られる。
【0038】
上記単体化デバイスは、上記カートリッジ内に収容された錠剤を、個別的に、又は、所定個数でユーザが供与することを許容すべく使用される。故にユーザは、1個より多い錠剤が偶発的に一度に供与されることなしに、カートリッジから錠剤を安全に取出すことが許容される。
【0039】
更に、上記単体化デバイスは、上記リザーバ内に収容された錠剤が破損され得ず又は別様に阻害され得ない様に、上記リザーバを閉じ、故に、該リザーバ内に収容された錠剤を外部影響から保護する。特に、上記単体化デバイスは、錠剤が外部影響から保護される如く、例えば、搬送及び保存の間、並びに、ユーザによる使用の間にも、蓋体要素として使用される。
【0040】
上記単体化デバイスを上記カートリッジ上に配備すると、錠剤が偶発的には抜け落ち得ないことが更に確実とされる、と言うのも、上記蓋体要素は偶発的には取り外され得ないからである。上記カートリッジが薬剤供与器に挿入されたときにのみ、上記単体化デバイスは好適に起動され得ると共に、各錠剤は個別的に(又は所定個数にて)解放され得る。上記カートリッジ上の上記単体化デバイスの起動のために、上記薬剤供与器上には手動起動手段が配備される、と言うのも、簡素な取扱いのためには、個別的な錠剤(又は所定個数の錠剤)を供与するために上記供与器上の手動起動手段を起動することが必要だからである。上記単体化デバイスに依れば、如何なる場合でも、1個より多い錠剤(又は所定個数の錠剤より多い錠剤)が上記カートリッジから供与されることはあり得ず、且つ、カートリッジが上記供与器内に配置されていないときに、上記単体化デバイス上における該カートリッジの蓋体要素が既に手動的に起動されていることも殆どあり得ない。
【0041】
上記カートリッジを供与器内に挿入するときの組立て作業も最小限である。例えば、カートリッジは、取り外されるべきカバー、又は、使用されるべき他の組立て手段なしで、供与器内のカートリッジ用受容手段内へと軸線方向に押し込まれれば十分であり得る。故に、カートリッジを受容シャフト内に載置するために、例えば特許文献9に係る供与器の場合における如く蓋体を取り外す必要はない。これにより、カートリッジを備えた供与器の使用が相当に促進される。この利点は特に、上記単体化デバイスは同時に蓋体要素であると共に、供与器上では無くカートリッジ上に配備されるという事実により達成される。
【0042】
更に、上記供与器の動作の間において上記単体化デバイスは、各錠剤を取出すために反復的に頻繁に起動される。上記単体化デバイスは薬剤供与器上ではなくカートリッジ上に配備されることから、単体化デバイスの摩滅及び裂断は、単体化デバイスが薬剤供与器上に配備された場合にユーザが受けるであろう不都合と同一の不都合は有さない、と言うのも、カートリッジがもはや錠剤を含まないときに単体化デバイスはカートリッジと共に交換されるからである。もし単体化デバイスがカートリッジ上ではなく供与器上に配備されるものとするなら、それは、適切な材料の選択及び適切な構成により、相当に長期の耐用寿命に対して設計されねばならない。更に、特に単体化デバイス内に蓄積し得る錠剤からの摩耗物質は、カートリッジと共に廃棄され、供与器の寿命全体の間において該供与器内には蓄積しない。いずれにせよ、この摩耗物質は、(空気)湿気と組み合わされて、細菌に対する良好な繁殖地となる。
【0043】
本発明の別の好適実施形態において、上記単体化デバイスは、上記カートリッジの軸線に対して実質的に直交して運動され得るスライド部材を有する。該スライド部材は、各錠剤の単体化のための構造要素の役割を果たす。該スライド部材は、個別的な錠剤の各々を別体的に受容すると共に、それを、積層体に対する摺動移動にて別体的に移動させ得る。カートリッジ内の各錠剤は好適には、該カートリッジ内の上記リザーバ内に配置された縦列状積層体として配置される。その場合に上記スライド部材は、この積層体の一端に配置されると共に、該積層体から錠剤を次々と分離し得る。
【0044】
この目的のために、上記スライド部材は好適には、軸線方向における両端部にて開放された受容区画室であって、例えば、個々の錠剤、又は、同時に2個の錠剤、又は、更に多い、すなわち同時に2個より多い錠剤などの所定の薬剤片を受容する受容区画室を有し得る。上記積層体から錠剤を受容するとき、この受容区画室は、上記積層体から離間した方を向く側にて閉じられる。上記受容区画室は好適には、1個(のみの)個別的な錠剤(又は、所定個数の錠剤)が、該区画室内に空間を見出す如く寸法設定される。単体化が有効であると共に再現可能であることを確実とするために、この区画室の高さは、個別的な錠剤の高さ(又は、所定個数の錠剤の積層体の高さ)と厳密に同一、又は、それよりも僅かに高くされ得る。故にこの場合、上記受容区画室内には単一個のみの錠剤(又は、所定個数の錠剤)が受容されると共に、該錠剤は摺動移動により上記錠剤の積層体から分離される。
【0045】
上記単体化デバイスは更に、底部シェルを備えて成り得る。更に、上記スライド部材は、上記カートリッジの軸線に関して直交して又は実質的に直交して、2つの摺動位置間で、上記カートリッジ内のリザーバに対して移動可能である。上記底部シェルは特に、上記受容区画室が各摺動位置の内の一方の位置(第2位置)において上記リザーバと面一とされたときに、上記カートリッジ内のリザーバから離間して位置する側で上記受容区画室を閉じるために使用され得る。この場合、1個の錠剤が上記受容区画室内へと通過すると共に、其処で上記底部シェルにより保持される。上記スライド部材は次に、2つの摺動位置の内の他方(第1摺動位置)へと移動され、其処で上記錠剤は取出され得る。
【0046】
好適実施形態において、上記底部シェルはこの場合、カートリッジ軸線に関してオフセットされた供与開口であって、上記スライド部材が該スライド部材の上記2つの摺動位置の内の一方、好適には上記第1摺動位置に配置されたときに上記開いている受容区画室と面一になる供与開口を有し得る。次に錠剤は、上記供与開口を通り落下することから、取出され得る。故に上記錠剤は、上記リザーバから離間する方に向けられた上記単体化デバイスの側から取出される。錠剤を供与する代替実施形態において、上記第1摺動位置はまた、上記単体化デバイスの側であって上記リザーバと同一である側にて錠剤が供与される様にも選択され得る。この目的のために、上記スライド部材は上記供与器から側方に突出すべきであろうし、且つ、上記受容区画室の上記第1摺動位置は上記スライド部材の側方突出部分内に配置されるべきであろう。各錠剤はまた、側方においても、すなわち、摺動プロセスの間において各錠剤が上記スライド部材により移動される平面内においても、供与され得る。これらの全ての場合において、各錠剤は、それらの主要表面を相互に重ねて配置されるという姿勢で、又は、それらが起立して配置され、すなわち、それらの側部表面を相互に重ねて位置されるという姿勢で、格納して分離され得る。
【0047】
上記単体化デバイスは好適には、上記2つの摺動位置の間で切換えられる。上記2つの摺動位置の内の一方は休止位置であり、且つ、他方の摺動位置は第2位置とされ得、例えば、単体化デバイスを上記休止位置へと戻し搬送するスプリングによりこの第2位置において張設されることにより、上記単体化デバイスは該第2位置から自動的に上記休止位置へと復帰する。上記スライド部材における上記受容区画室が上記カートリッジのリザーバと面一になる上記第2摺動位置が休止位置であること、又は、上記スライド部材における上記受容区画室が上記底部シェルにおける供与開口と面一になる上記第1摺動位置が休止位置であることが可能である。
【0048】
上記カートリッジの上記底部シェルは特に、上記供与器の外側殻体に対して面一に装着され得る。これにより、例えばカートリッジが完全に空になる前にユーザが手動により上記供与器から上記カートリッジを取り外すことが阻止される。更に、上記カートリッジは、各錠剤が、故に錠剤中の医学的作用物質が、単体化されて供与器から供与又は放出されるときに供与器又はその一部と接触しない如き様式で、上記供与器に嵌合される。この実施形態は特に、法医学的な理由で好適である。
【0049】
本発明の好適実施形態において、上記カートリッジ及び上記薬剤供与器は、各錠剤を収容する上記リザーバを画成する2つのカートリッジ半体の一方は前方に配向され且つ他方は後方に配向される様に、上記カートリッジが1つの(軸線的)回転配向においてのみ上記供与器内に押し込まれ得る如く設計される。これにより、上記2つのカートリッジ半体は異なる様式で使用され得る。例えば、一方の半体には、例えば上記カートリッジ内に収容された錠剤に関する情報が印刷され得ると共に、他方の半体は、各錠剤が外部からも視認され得る如く透明とされ得る。
【0050】
本発明の別の好適実施形態において、上記カートリッジは、各錠剤が軸線方向に供与され得る如く設計される。このことは、各錠剤は供与器から側方に供与されるのでは無く、代わりに、特に軸線方向に延在する方向において、すなわち、カートリッジの軸線に沿い、又は、この軸線に平行に、供与器の端面にて供与されることを意味すると理解されるものとする。この目的のために、各錠剤が軸線方向に供与される如く薬剤供与器も設計されるならば、それもまた好適である。
【0051】
故にユーザは、片手で上記供与器を保持すると共に、同じ手を使用して、錠剤が他方の手に落下する如く、錠剤を供与するために上記供与器上に配備された上記起動手段を起動することにより、供与されるべき錠剤を容易に取出し得る。この目的のために、ユーザは、カートリッジが供与器内に挿入された側部が上記他方の手の上方に保持される如く供与器を保持してから、錠剤を供与するために上記供与器を起動すれば十分である。錠剤が安全にユーザの手に落下することから該ユーザは安全にその錠剤を捕捉し得る如き、供与器を保持していない方の手に対する供与器の更に限定された配向は、必要とされない。故に実際問題として、錠剤が偶発的にユーザの手の外方に落下し、その手中に収まらないという不正確な使用は排除される。故に、上記供与器の取扱いは、公知の供与器よりも安全かつ高信頼性である。
【0052】
本発明の別の好適実施形態において、上記カートリッジは、上記リザーバ内で軸線方向に移動可能であり且つ該カートリッジにおける少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材であって、例えば、同様に好適に上記軸線方向に移動可能なスラスト・ブラケットなどの、上記薬剤供与器内に配置されたスラスト手段を帯同する役割を果たし、且つ、好適には外部から作用する好適には軸線方向に向けられた弾性力を、好適には縦列状配置で上記カートリッジ内に収容された錠剤に対して伝達することで、好適には縦列状配置の各錠剤を上記スラスト手段により束縛する役割を果たす、という錠剤後押し部材を含む。
【0053】
本発明の別の実施形態においては、上記薬剤供与器内へのカートリッジの挿入時に、該カートリッジ(900)が上記薬剤供与器(1)内へ挿入される方向(挿入方向)とは逆の軸線方向において上記カートリッジに対して弾性力を及ぼす少なくとも1つの弾性手段が配備され得る。このことは、上記供与器内のカートリッジが張力下に在り、好適にはスプリング張力下に在るという結果を有する。上記カートリッジ上に作用する上記スプリング力は、上記供与器の移動の間において上記カートリッジのリザーバ内で各錠剤があちこちに落下しない様に、カートリッジ内で各錠剤は相互に当接して押圧されるという効果を有する。各錠剤は常にスプリング張力下であることから、錠剤の積層体において最初に設定された順序は、喪失されない。
【0054】
上記スプリング力は好適には、少なくとも1つの定荷重スプリング、特に2つの定荷重スプリングの形態で構成された弾性手段により及ぼされる。この様にして、錠剤の積層体が例えば2〜3個などの非常に少ない個数の錠剤を含むときでさえも、該錠剤の積層体に対して張力を付与する利点を失わずに各錠剤が慎重に取り扱われる如く、カートリッジのリザーバ内に配置された錠剤の積層体は、実際の高さに関わらず、すなわち、カートリッジの充填レベルに関わらず、常に同一の力に委ねられ得る。上記少なくとも1つの弾性手段は、例えば、バネ鋼帯片により形成され得る。
【0055】
好適には上記受容シャフトに沿い移動可能である例えば上述のスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段はまた、特に、カートリッジ内に縦列状配置で収容された各錠剤に対して弾性力を伝達するためにも使用され得る。このスラスト手段は、一方では、外部の弾性力を錠剤の積層体に対して伝達する機能を有し得る。このことは、例えば、上記スラスト手段と、上記薬剤供与器における対応軸受とに対し、1個のスプリング又は2個のスプリングを固着することにより行われる。上記スラスト手段に対して対称的な力が伝達される如く、当該2つの定荷重スプリングの一方は、例えば上記スラスト・ブラケットの一端上など、上記スラスト手段の一端上に固着され、且つ、他方は、例えば上記スラスト・ブラケットの他端上など、上記スラスト手段の他端上に固着される、という2つの定荷重スプリングを配備することが好適である。代替的に、上記スラスト手段に係合する単一のスプリングを配備することも可能である。この場合、生成される非対称的な力が補償されることが意図される。既に上記にて説明された如く、上記スラスト手段はまた、特に、上記繋止作用を解除して上記カートリッジを放出するためにも使用可能であり、すなわち、上記スラスト手段は、上記繋止作用を解除する手段の少なくとも一部分とされ得る。
【0056】
例えば上記スラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段によれば、上記カートリッジが上記薬剤供与器内に配置されているとき、錠剤の積層体は常に軸線方向の力の影響下である如く、例えば、上記スラスト手段に係合する例えば定荷重スプリングなどのスプリングに由来する力が、上記リザーバ内の錠剤の積層体に対して付与される。この結果、各錠剤は上記リザーバ内で自由には移動し得ない。この力により、スライド部材が第1摺動位置に配置されているとき、常に1個の錠剤が上記単体化デバイス内の上記受容区画室内へと通過する如く、錠剤の積層体は、上記受容区画室に対して押圧される。これを達成するために、カートリッジの外側部に沿い摺動する例えばスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段は、上記錠剤後押し部材と形状適合接触し得る。この目的のために、上記スラスト手段が、当該アーム又は他の突出部を介し、上記錠剤後押し部材に対し、故に、錠剤の積層体に対して力を及ぼし得る如く、上記カートリッジのリザーバ内で軸線方向に自由に移動可能である上記錠剤後押し部材は、例えば、一本のアーム又は二本のアーム(この場合には、夫々が一個の軸線方向スリットを貫通する)により、上記カートリッジ上の少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合し得る。この様にして、上記カートリッジが上記薬剤供与器内に配置されているとき、好適には上記カートリッジ上に配備された単体化デバイスの方向に作用する軸線方向力が錠剤の積層体に対して付与される。この様にして、上記単体化デバイス内の上記受容区画室が上記リザーバと面一であるときに一個の錠剤が上記受容区画室内へと通過し得る如く、上記積層体は常に押し下げられる。
【0057】
当該錠剤後押し部材を介して外部からの力が錠剤の積層体に対して付与され乍ら、上記カートリッジ・ハウジングにおける1個のスリットに貫通係合する一本のアーム、又は、数個のスリットに貫通係合する数本のアームを有する錠剤後押し部材の代わりに、カートリッジ・ハウジングには何らのスリットも配備されない別実施形態を選択することも可能である。後者の場合、例えば、カートリッジ・ハウジングの一端のみにおいて又はカートリッジ・ハウジングの両端において外部力に委ねられて、錠剤の積層体に付与される軸線方向力に繋がる軸線方向伝達手段を介するなどの一定の他の手法にて、力は外部から錠剤の積層体に対して付与されねばならない。この種の実施形態は、例えば、好適にはカートリッジ・ハウジングの下端部にて該カートリッジ・ハウジング内に挿入される帯片であって、錠剤の積層体の回りに案内される帯片により実現され得る。その場合、この帯片が引張られたとき、錠剤の積層体に対しては下方に作用する軸線方向力が付与される。例えば、錠剤の積層体の回りに延在する上記帯片は、錠剤の積層体の基部にて両側にて、カートリッジ・ハウジングから側方外方に案内され得るまたは、上記帯片は、一側のみにおいて外方へと案内される共に、他側にてはカートリッジ・ハウジングの基部に対して固着される。代替的に、錠剤の積層体上に着座して該積層体に対し軸線方向力を付与する軸線方向移動可能なロッドも使用され得る。
【0058】
非常に概略的に、上記供与器内へと満杯のカートリッジが挿入方向に押し込まれたとき、例えばスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段は、例えば、該スラスト手段が上記錠剤後押し部材を介して上方に帯同されることにより、この移動に帯同され得る。このスラスト手段はまた、例えば、カートリッジを供与器内に繋止する目的で供与器の上側領域に配置された繋止レバーの乗り上げ表面上へと乗り上げるべく帯同された該スラスト手段により、少なくとも1つの適切な繋止手段を介して上記供与器内のカートリッジを繋止し得る。上記カートリッジの順次的な負荷解除時に、このスラスト手段は、カートリッジにおける充填レベルが供与器内における該カートリッジの位置によりコード化される如く、順次的に下方に移動され得る。このスラスト手段が最終的に、空のカートリッジにより事前定義される(下側)端部位置に来たとき、カートリッジの繋止は、カートリッジが供与器から取出され得る如く、解消され得る。このことは、最下位置に在る上記スラスト手段であって、上記繋止レバーを繋止解除位置へともたらすと共に、該当するなら、カートリッジに対する適切な放出手段を付加的に繋止解除する上記スラスト手段により行われ得る。
【0059】
上記受容シャフト内への挿入後に、又は、非常に概略的には上記受容手段内へのカートリッジの挿入後に、該カートリッジが上記供与器内に固定されたままとなることを確実とするために、上記カートリッジを上記薬剤供与器内に繋止する少なくとも1つの繋止手段が配備される。該繋止手段によるこの繋止作用は好適には、上記カートリッジが上記供与器内に押し込まれた後で、該カートリッジ内に錠剤が依然として在る限り、該カートリッジは繋止され、すなわち、繋止作用が解除されなければ再び取出され得ない如きである。この場合に上記カートリッジが空とされた後でのみ、錠剤が充填された新たなカートリッジが挿入され得る如く上記カートリッジを供与器から取出し得るために、上記繋止作用は解除され得る。
【0060】
上記繋止作用のために、例えば上記カートリッジ上の一個以上の繋止突起部と、例えば該繋止突起部に係合する上記供与器上の例えば鳩目などの一個以上の繋止用形状部とにより、又は逆に、上記供与器上の一個以上の繋止突起部と、上記カートリッジ上の例えば鳩目などの一個以上の繋止用形状部とにより、この種の繋止手段が形成され得る。当然乍ら、基本的に、例えば突出部の背後に係合する繋止突起部、又は、相互噛合する2つの繋止用形状部などの、他の繋止手段も可能である。例えば、上記少なくとも1つの繋止手段は回転移動可能とされ得る。それは好適には、特に2本のアームを有し得る回転運動可能な繋止レバーであって、繋止突起部を備え得る回転運動可能な繋止レバーにより形成され得る。特に、上記繋止突起部は各々、上記繋止レバーの下側部分に配備され得る。上記繋止手段は、上記供与器内に配置される。各繋止突起部は好適には、上記カートリッジ上に配備された繋止用鳩目などを備える上記繋止レバーに対して繋止する。繋止用鳩目の代わりに、例えば、上記繋止突起部が当接する突出部、又は、上記繋止突起部が係合する凹所を配備することも可能である。上記繋止作用を付加的に確実とするために、繋止突起部もしく突出部が配備される位置以外の位置にて、例えば上記供与器ハウジングにおける対応繋止突起部又は突出部の背後に繋止する繋止レバー上には、圧力点も配備され得る。
【0061】
特に適切な実施形態において、上記繋止突起部を備えた上記繋止レバーは、上記供与器における上記カートリッジに対する例えば上記受容シャフトなどの受容手段に隣接する該供与器の例えば前側領域などの、上記供与器内で上記カートリッジが受容される領域に隣接する領域内へと突出し得る。その場合、上記隣接領域において、上記カートリッジ上には受容鳩目が配備されねばならず、該鳩目には、上記繋止レバーの上記繋止突起部が係合する。この隣接領域は、例えば、上記カートリッジの底部シェル上に配置され得る。
【0062】
これに加え、例えば、解除レバーを備えて成り得る放出阻止器も配備され得る。カートリッジを放出する外部的に手動で起動される例えば放出ボタンなどの放出手段は、カートリッジが一切の錠剤をもはや含まないときにのみ該カートリッジの取出しが可能である如く、上記放出阻止器により阻止される。この阻止器は、この外部放出手段の起動を阻止すると共に、カートリッジが空となったときにのみ該外部放出手段を再び自由とする。この阻止器は特に、繋止作用を解除する上述の手段により解放され得る。この目的のために、上記カートリッジが少なくとも一個の薬剤片を依然として含むなら、上記放出手段により起動され得る放出用スライド部材が配備され得る。
【0063】
上述の少なくとも1つの繋止手段が上記供与器におけるカートリッジの繋止に至るなら、すなわち、この繋止作用の別体的な解除が無ければ上記少なくとも1つの繋止手段はもはや解放され得ないならば、上記繋止作用を解除するための少なくとも1つの手段も配備されねばならない。上記繋止作用を解除するこの手段は好適には、上記カートリッジ内に何らの薬剤片が残置されていないときにのみ上記繋止作用が解除され得る如く設計される。繋止作用が無ければ、上記捕捉部は、上記少なくとも1つの繋止手段の繋止力を手動的に克服するだけで、解放され得る。このことは、繋止接続を形成する適切な設計態様の各部材による上記少なくとも1つの繋止手段が、繋止作用が解除される如く力が付与されて該繋止手段が解放されるときにこれらの各部材が相互に沿って摺動する如く設計されるならば、可能であろう。
【0064】
但し、例えば、上記繋止突起部及び繋止用形状部が、繋止作用が同時に解放されるのでなければ、上記少なくとも1つの繋止手段を破壊しなければ繋止作用が解除され得ない様に設計されることから、上記少なくとも1つの繋止手段の係合時に繋止作用が生ずるならば、上記繋止作用を解除する上記少なくとも1つの手段は、手動的に、又は、好適には上記供与器内に存在する機構により、又は、これらの手段の組み合わせにより、解放されねばならない。この目的のために上記供与器は、錠剤による上記カートリッジの充填状態に依存し、好適にはカートリッジが空であるときにのみ上記繋止レバーの上記繋止突起部を解放する少なくとも1つの繋止解除手段を取り入れ得る。この場合、上記少なくとも1つの繋止手段が外部的な手動的起動なしで繋止位置から繋止解除位置へともたらされることで、繋止された該少なくとも1つの繋止手段は、上記少なくとも1つの繋止解除手段により解放される。この繋止解除手段は特に、上記カートリッジの繋止を、挿入時には繋止位置へと、且つ、カートリッジが空とされた後には繋止解除位置へともたらす上述のスラスト手段とされ得る。上記繋止手段は、上記繋止レバーの1つ以上の上側部分に当接して押圧される上記スラスト手段により繋止される。更に、上記スラスト手段は上記放出阻止器にも作用し、好適には、何らの錠剤が上記カートリッジ内に残置されていないときに、上記放出阻止器を解放し得る。この目的のために、上記放出用スライド部材が、及び、それと共に上記放出手段が繋止解除される如く、上記放出手段の阻止を解除する上記スラスト手段は上記解除レバーを起動し得る。上記放出用スライド部材は好適には、上記放出手段の起動により、上記繋止手段の、好適には上記繋止レバーの1つ以上の下側部分に当接して押圧され、この様にして、上記繋止手段により繋止された上記カートリッジを繋止解除する。
【0065】
上記繋止解除は、例えば、上記薬剤供与器内の適切な手段であって、該手段の位置はカートリッジの充填レベルに依存する手段により達成され得る。この目的のために、例えば、夫々の場合においてカートリッジ内の最上位置に配置された錠剤の高さに配置されるという、例えば、カートリッジ上に軸線方向移動可能に取付けられた上記スラスト・ブラケット、又は、別の移動可能なスラスト手段が配備され得る。上記スラスト・ブラケット、又は、他のスラスト手段が下限位置に配置され、この場合に上記繋止作用を解放するのは、上記カートリッジ内にもはや一切の錠剤が無いときだけである。
【0066】
上記カートリッジを放出する外部の手動放出手段を繋止解除し得るために、すなわち、上記放出阻止器の阻止を解除し得るために、自身の位置がカートリッジの充填レベルに依存する例えば上述のスラスト・ブラケット又は他のスラスト手段などの、上記繋止作用を解除するのと同一の手段が再び配備され得る。
【0067】
本発明の別の好適実施形態において、上記薬剤供与器の少なくとも1つの狭幅側部上には、薬剤片を供与する起動手段が配備される。更に、上記薬剤供与器の他方の狭幅側部上、好適には、上記第1狭幅側部から離間した方を向く第2狭幅側部上には、更なる起動手段が配備され得る。これらの起動手段は各々、手動起動により上記カートリッジから1個の錠剤を供与する役割を果たす。この目的のために上記起動手段は、各々の場合にカートリッジから1個の錠剤を解放するために、機械的、電気機械的、又は、電子的な作用的接続にて適切な伝達手段を介し、単体化デバイスに対して作用的に接続され得る。上記起動手段は薬剤供与器の各狭幅側部上に配備されることから、例えば、ユーザは供与器を一方の手で保持すると共に、供与器の各狭幅側部に対して圧力を付与することで該起動手段を起動することにより、該起動手段はユーザが供与器をまさに片手で操作するときでさえも容易に起動され得る。上記供与器の一方又は両方の狭幅側部上に位置される上記起動手段の代わりに、該起動手段はまた、例えば、供与器の前面又は背面、又は、一方又は両方の端面上などの、供与器上の別の箇所にも配置され得る。
【0068】
本発明の好適実施形態において、上記起動手段を上記単体化デバイスに対して機械的に作用的に接続する上記伝達手段は、上記起動手段の起動により生成された運動を、カートリッジ上に配備された単体化デバイスに対して伝達する機構により形成される。この目的のために、例えば、該当するなら、例えば各々の場合に歯付きロッドと、それに噛合する歯付きホィールとを介して同期され得る伝達レバーが使用され得る。例えばこの伝達レバーは、例えば、上記単体化デバイス上における担体ピン、及び、該担体ピンに対して作用的接続された凹所であって各伝達レバーの少なくとも一方上における凹所、あるいはその逆、という配備による例えば形状適合接続などの、単体化デバイスに対する直接的で機械的な作用的接続とされ得る。
【0069】
更に、本発明の好適実施形態においては、上記カートリッジ内に配置された錠剤が外部から視認可能である如く、上記薬剤供与器のハウジングの外側面には窓部が配備され得る。更に、上記錠剤後押し部材はまた、該部材を各錠剤と対比させるために、且つ、例えば、その様にしなければ上記窓部を通して視認可能である上記カートリッジの裏面及び/又は上記供与器の構成要素とも対比させるために、着色もされ得る。これにより、上記窓部を通しての上記カートリッジの充填レベルの視覚的監視が更に容易とされる。この目的のために、上記カートリッジは好適には少なくとも部分的に、透明材料で作成され得る。但し基本的に、それはまた半透明材料でも作成され得る。特に、上記供与器のハウジングにおける上記窓部を介して視認可能であるカートリッジの部分は、カートリッジ内に収容された各錠剤が視認可能である如く、透明又は半透明の材料で作成され得る。
【0070】
これに加え、上記薬剤供与器は、服用された錠剤の個数、及び/又は、更に服用されるべき錠剤の個数、及び/又は、カートリッジ内に依然として配置されている錠剤の個数を示す電子ディスプレイを有し得る。これらの情報項目の各々は、例えば手動選択により交互的に表示され得る。上記電子ディスプレイは、例えば、錠剤が服用されるべき期間が過ぎたか又は対処されなかったことを示すと共に、供与器において使用されるバッテリの充電状態を示す如く、付加的に設計され得る。上記ディスプレイはまた、ユーザが、例えば、第1段階は定常的に24日間に亙り、第2段階は例えば0〜96日間に亙る如く弾力的であり、且つ、第3段階は例えば再び定常的に4日間に亙るという第1、第2、第3又は第nの段階に在るということを示す表示内容などの、異なる投与段階の状態を視認するためにも使用され得る。
【0071】
上記情報を上記電子ディスプレイ上に表示し得るために、好適には自身上に取入れられた半導体集積回路を備える回路盤の形態の電子回路が配備される。例えば、表示モード(服用された錠剤の個数、カートリッジ内に依然として配置されている錠剤の個数)を選択するために、必要な入力を実施すべく、上記回路盤上には、好適には電子操作ボタンであるスイッチも取付けられて該回路盤に対して接続され得る。更に、例えば、上記供与器内へのカートリッジの最初の挿入又は押し込みによる上記供与器の最初の使用であって、その結果として、例えば、上記電気回路及び電子ディスプレイに対して電力を供給する役割を果たすバッテリが起動され、すなわち、上記回路及び上記ディスプレイに対して接続される上記供与器の最初の使用、及び、同様に、上記カートリッジ内に何個の錠剤が依然として配置されているかを正しく表示するために、錠剤の供与、カートリッジの放出、及び/又は、カートリッジ内に残存する所定の少数の錠剤の検出などの、上記カートリッジを備えた上記供与器の一定の動作状態を自動的に決定し得るべく、上記供与器には電気スイッチが配備され得る。最後に言及された機能に対し、完全に満杯のカートリッジにおける錠剤の個数から開始し、1個の錠剤毎の供与が検出されるならば、カートリッジ内に何個の錠剤が依然として配置されているかを計算すれば、通常は十分である。但し、この表示は、完全に満杯のカートリッジにおける各錠剤の不可避の厚み許容差の故に錠剤の個数が変動するならば、誤差に遭遇することがある。この誤差は、例えば、カートリッジ内に依然として4個の錠剤が配置されていることを検出することにより、除外され得る。
【0072】
本発明は以下において、各図中に概略的に示される代表的実施形態に基づき更に詳細に説明される。但し、本発明は、各実施形態に限定されるのでは無く、代わりに、好適実施形態を示すのみである。本発明の個別的な特徴の変更例を備えた他の実施形態は、等しく想起可能であると共に、本発明の保護の範囲内に収まる。個々の図における同一の参照番号は、同一の要素を表し、又は、機能が同一であるか又はそれらの機能に関して対応する要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】挿入されたカートリッジを備えた本発明に係る供与器の正面斜視図である。
【図1B】背面図とされた図1Aと同様の図である。
【図2】挿入されたカートリッジを備えると共に此処では背面から示された上記供与器の内部の斜視図である。
【図3】錠剤を供与するために必要な単体化デバイスの各部分を備えたハウジング内部フレーム構造であって、此処では供与器の前部から示されるハウジング内部フレーム構造の下側部分の詳細な斜視図である。
【図4】錠剤が充填されると共に上記単体化デバイスを備えたカートリッジを正面から見た断面図である。
【図4A】正面から見た上記カートリッジのヘッドの断面図である。
【図5】錠剤が充填されて挿入された(内部視認可能とされた)カートリッジを備えた供与器を外側殻体無しで背面から見た斜視図である。
【図5A】図1と同様に左側の繋止レバー上の圧力点の詳細を示す図である。
【図6】上記供与器のハウジング内部フレーム構造をスラスト・ブラケット及び定荷重スプリングと共に背面から見た斜視図である。
【図7】外側殻体無しで背面から見た上記供与器の詳細を上記カートリッジに対する繋止部と共に示す図である。
【図7A】カートリッジが繋止された上記供与器の左側部分の図7と同様の詳細な斜視図である。
【図7B】カートリッジが繋止解除された図7Aと同様の図である。
【図8A】カートリッジが満杯であるときの上記供与器の下側部分を側方ハウジング部分なしで放出ボタン及び解除ボタンと共に右側から見た部分的斜視図である。
【図8B】カートリッジが空とされた図8Aと同様の図である。
【図8C】脚部スプリング及び放出用スライドを備えた上記解除ボタンを背面から見た斜視図である。
【図8D】カートリッジの放出時における図8Cと同様の図である。
【図8E】上記ハウジングの前側部分及び後側部分無しで背面から見た上記供与器の断面図である。
【図9】背面から見た上記供与器の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1A、図1Bに示された供与器1は、例えば避妊のために服用される錠剤Tを供与すべく使用される。上記供与器は特に、弾力的投薬計画と称される毎日的様式で服用される避妊薬、すなわち、24日間継続する第1投与段階において、且つ、その後において0〜96日間継続する第2投与段階において、第1及び第2投与段階が併せて120日まで継続し得る如く服用される避妊薬を供与するに適している。この場合にユーザは、第1投与段階の満了の後で、投与が中断されて投与無し段階が開始されるべき時点を判断する。上記第2投与段階に続く4日間の投与無し段階は、再び第1投与段階により追随される。
【0075】
当然乍ら、上記供与器は、例えば、ホルモン補充療法のための薬剤、利尿剤、又は、血圧降下剤などの他の錠剤Tを供与するためにも使用され得る。
【0076】
供与器1は、ハウジング前側シェル11.1(図1A)及びハウジング後側シェル11.2(図1B)と、該2つのハウジング・シェルを接続するハウジング部分12であって、当該供与器を3つの狭幅側部にて囲繞し、数個の部材で構成され、且つ、下側領域においては各側部にて起動ボタン14、15として設計されるハウジング部分12とを有する供与器ハウジング10を備えて成る。上記ハウジング部分は、領域13における一端面に配置される部材は堅固である一方、供与器本体に向かうボタン移動(矢印を参照)を実施し得るために上記供与器の狭幅面上で側方に配置される2つの上記起動ボタンが移動可能であることを確実とするために、複合材料から作成される。代替的に上記ハウジング部分は、起動ボタンが形成される如く下側領域において内方に押圧され得る変形可能な硬質シェルとしても設計され得る。
【0077】
ハウジング前側シェル11.1には、電子ディスプレイ16及び操作ボタン17、18が配備される。上記電子ディスプレイは、錠剤Tの投与をチェックするために使用される。操作ボタン14、15は、例えば、バッテリ、投与日、投与無し日、及び、カートリッジ内に依然として配置された錠剤の個数をチェックし、且つ、錠剤の投与が中断されるべきか否かを選択するために、上記ディスプレイ上に示されたメニュー項目を選択するために使用される。
【0078】
図1Bは、供与器1の後面を示している。該後面は、軸線方向に延在する窓部20であって、カートリッジ内に収容された錠剤Tを露呈する窓部20を含んでいる。この目的のために、上記窓部の領域における上記カートリッジのハウジング後側シェル11.2及び上記カートリッジ・ハウジングは、少なくとも上記窓部を通して視認可能な部分においては透明とされねばならない。
【0079】
供与器1の下側領域において、上記カートリッジの一部、すなわち、上記供与器のハウジングと面一に位置するカートリッジ底部シェル920が視認され得る。該カートリッジ底部シェルにおいては、錠剤Tのための供与開口922が視認され得る(図1A)。ハウジング前側シェル11.1内にはカートリッジ放出ボタン19が嵌合されると共に、該ボタンは、空となったときにカートリッジを上記供与器から放出するために矢印の方向に押圧される。
【0080】
図2は、背面から見た、(外側殻体なしでの)供与器1の一部分、及び、該供与器内に押し込まれたカートリッジ900を示している。上記カートリッジは下方から上記供与器内に押し込まれると共に(矢印を参照)、該カートリッジは単体化デバイス910を有し、該デバイスの一部はカートリッジ底部シェル920であり、且つ、該デバイスを介して、上記カートリッジは上記供与器の下側領域において供与器ハウジング上に担持される(図1A)。上記カートリッジは、内部に錠剤Tが配置されるカートリッジ・ハウジング930を付加的に備えて成る。このハウジングはカートリッジ前側シェル933及び(不図示の)カートリッジ後側シェルにより形成され、該カートリッジ後側シェルは、上記供与器において使用されるために、上記供与器の後面における窓部20を通して錠剤が視認され得る如く(図1B)、好適には透明材料で作成される。
【0081】
その内側に、供与器1は、該供与器の実質的に全ての静的機能を実施するハウジング内部フレーム構造100を含んでいる。該ハウジング内部フレーム構造は、例えば、カートリッジ・ハウジング930(該カートリッジ・ハウジングの前側半体が部分的にのみ視認され得る)を受容するために、一側から内方に円筒状に湾曲された(覆い隠されている)中央ウェブ110を有している。このウェブの内向き湾曲は、上記供与器の(此処では不図示の)更なる構造要素と協働して(参照番号150により示される)受容シャフトを形成し、上記カートリッジは下方から該シャフト内に向けて上記供与器内に押し込まれ得る。上記受容シャフトは此処では破線によってのみ示されると共に、長寸の中空空間により特徴付けられる。
【0082】
図3は、外側殻体無しで正面から見た、供与器1のハウジング内部フレーム構造100の下側部分を示している。上記カートリッジの単体化デバイス910は、上記供与器の底部狭幅側部において、但しこの場合には底部シェル920なしで、示される。この理由の故に、上記単体化デバイスに属する錠剤スライド部材940が此処では視認され得、該錠剤スライド部材940は、スライド部材ホルダ950内へと摺動すると共に該ホルダにより受容され、且つ、供与されるべき錠剤Tに対する受容区画室の役割も果たす貫通開口942を有する。第1位置において、この受容区画室は、該受容区画室内に配置された錠剤が外方に供与され得る如く、上記底部シェルの上記供与開口と面一である。上記錠剤スライド部材が(矢印により示された如く左方に向けて)第2位置へと移動されたとき、上記受容区画室は、この位置における該受容区画室内へと錠剤が落下し得る如く、(不図示の)カートリッジ・ハウジング930により形成される錠剤用のリザーバと面一となる。この位置において上記受容区画室は底部にて、(不図示の)カートリッジ底部シェル920により閉じられる。この移動を行うために、以下の構造要素が配備される。
【0083】
供与器ハウジング10上の起動ボタン14、15は、供与器1を起動すべく内方に押圧される(図1A;各矢印を参照)。これを行う際にそれらは、2つの伝達レバー、すなわち右側伝達レバー210及び左側伝達レバー220に作用する。これらの2つの伝達レバーは、歯付きロッド212及び222を夫々有すると共に、これらの歯付きロッドを介して歯付きホィール230に対して作用的に接続される。該歯付きホィールは、ハウジング内部フレーム構造100上に取付けられる。上記右側伝達レバーは、この伝達レバーが、故に、上記左側伝達レバーも、開始位置(第1位置)へと、すなわち上記各起動ボタンの起動後に両方のレバーが外方へと駆動される位置へと復帰する如く、圧縮スプリング240を介して当接部102上に支持される。上記伝達レバー上には、凹所226を有する張出しアーム224も一体的に形成される。錠剤スライド部材940上には担体突起部944が一体的に形成され、この凹所内に係合する。伝達レバー210、220は圧縮スプリング240のスプリング力により外方に付勢されることから、各レバーは、上記錠剤スライド部材が(図3に示された)右側位置に配置される如く、外側の負荷解除(第1)位置に配置される。この位置において、上記錠剤スライド部材における受容区画室942は、カートリッジ底部シェル920における供与開口922と面一である。起動ボタン14、15の起動により、各伝達レバーは内方に付勢されることから、上記錠剤スライド部材を左方(第2位置)へと押圧する。この様にして、上記受容区画室は、1個の錠剤が上記カートリッジのリザーバから該受容区画室内へと落下する如く、上記リザーバと面一な位置へと移動される。上記各起動ボタンから手が放されたとき、各伝達レバーは、故に、上記スライド部材内に配置された上記受容区画室もまた、該受容区画室が上記供与開口と面一となる上記位置に該受容区画室が再び到達する如く、スプリング力により右方へと戻し移動される。この様にして、1個の錠剤が上記供与器から供与される。
【0084】
図4は、正面から見た、錠剤Tが充填されたカートリッジ900の断面図を示している。該カートリッジは、此処で認識可能なカートリッジ底部シェル920を備えた単体化デバイス910と、(此処では不図示の)カートリッジ前側シェル及びカートリッジ後側シェル932により構成されるカートリッジ・ハウジング930とを有する。該カートリッジ前側シェル及びカートリッジ後側シェルに依り、各錠剤が内部に積層される円筒状リザーバが形成される。上記2つのカートリッジ・シェルの間において、一側(右側)には、軸線方向に延在するスリットが配置される。
【0085】
此処に示された形態においてカートリッジ900は別体的に取扱い可能であり、すなわち、該カートリッジは、供与器における実質的に円筒状の受容シャフト150内へと該カートリッジを端面から押し込まれて該シャフト内に繋止されることにより、供与器1を補充すべく使用され得る。別体的なカートリッジの搬送及び保存のために、該カートリッジは好適には、例えば袋又はブリスタ・パック内などの、水密で気密な補助パッケージ内に密閉される。
【0086】
錠剤Tの積層体の上方にて、カートリッジ・ハウジング930内には、上記カートリッジのリザーバ(図4A)内で基本的に軸線方向に自由に移動し得る錠剤後押し部材960が載置される。この目的のために、上記錠剤後押し部材の後押し部材アーム961は、(不図示の)カートリッジ前側シェル933とカートリッジ後側シェル932との間で軸線方向に延在するスリットに貫通係合する。上記錠剤後押し部材は、錠剤の積層体上に着座する。しかし、頂部に向かう該錠剤後押し部材の軸線方向移動は、許容差補償プラグ970により制限される。このプラグは、各錠剤Tによりカートリッジ900が充填される前に上記リザーバ内に嵌合されると共に、該カートリッジが充填された後で、該プラグは錠剤の積層体及び上記錠剤後押し部材上へと押圧される。上記許容差補償プラグは摩擦係合を以て上記リザーバ内で摺動することから、個々の錠剤が所定位置から外れて又は相互に対して滑動し得ない様に、該プラグは、上記供与器の外部にてカートリッジを取扱う間は錠剤の積層体上へと押圧され且つ積層体を一体的に保持する。これにより、一方においては各錠剤の摩耗が回避され、他方においては、自由な移動の間において各錠剤が縁部に沿い又は所定角度とされて配置されることが回避される。これにより、上記リザーバ内における各錠剤の傾斜が、故に詰まりが、阻止される。許容差補償プラグ970の摩擦摺動を達成するために、該プラグは、本体971と、上記カートリッジ・ハウジングの内側壁上に当接して担持される繋止突起部972、972’を備えた2つのスプリング要素とを有している。上記摩擦係合を行うために、各繋止突起部が上記内側壁と接触する領域(図4Aにおける詳細を参照)において、該内側壁は相互に対置されたラチェット軌道975を有する。これらのラチェット軌道は約2cmの長さに沿ってのみ形成される、と言うのも、個々の錠剤の厚みの許容差から帰着する積層体高さの変動を補償することが必要な領域においてのみ、上記許容差補償プラグがカートリッジ・ハウジングの内側壁に対して摩擦接続されるべきである様に、該プラグは、上記カートリッジが完全に満杯であるときにのみ取扱いの間において緊密に詰め込まれた各錠剤を維持することが意図されるからである。
【0087】
図5は外側殻体なしで背面から見た供与器1を示しており、該供与器1は、錠剤Tが充填されたカートリッジ900を収容している。該カートリッジは、錠剤の積層体上に着座する錠剤後押し部材960であって、カートリッジ・ハウジング930から突出する後押し部材アーム961を有する錠剤後押し部材960を含んでいる。繋止突起部972を備える各スプリング要素(此処ではスプリング要素の一方が示される)を囲繞する許容差補償プラグ970は、上記錠剤後押し部材上に着座する。上記各スプリング要素の繋止突起部は、ラチェット軌道975に係合する。
【0088】
供与器1は、ハウジング内部フレーム構造100の中央ウェブ110の回りに係合するスラスト・ブラケット300であって、例えば、上記ウェブの各側面と当該ブラケットのU状脚部311、312とにより形成された蟻継ぎ案内部により、又は、上記ウェブの各側面上へのこれらのU状脚部の繋止(図6)により、軸線方向において該ウェブに沿い移動可能とされて該ウェブ上で案内されるスラスト・ブラケット300を付加的に備えて成る。
【0089】
図6においては、供与器1の背面から見た、スラスト・ブラケット300を備えたハウジング内部フレーム構造100が示される。上記スラスト・ブラケットは、U状脚部311、312に対して略直角にて該U状脚部上に形成された2つの張出し部315、316を有する。これらの張出し部の端部には、定荷重スプリング320、330の一端に対する留め具が在る。それらの夫々の他端にて、上記定荷重スプリングは、ハウジング内部フレーム構造100の下側部分に締着されて其処に巻回される。この様にして、軸線方向における上記スラスト・ブラケットの上方移動は、上記定荷重スプリングのスプリング力に抗してのみ達成され得る。但し代替的に、各定荷重スプリングはまた、例えば上記スラスト・ブラケットの張出し部上などの、該スラスト・ブラケット上の適切なホルダに巻回して保持されると共に、それらの他端は底部にて、上記ハウジング内部フレーム構造上に締着され得る。
【0090】
上記カートリッジが供与器1内の(此処では不図示の)受容シャフト150内へと下方から押し込まれるとき(矢印)、該カートリッジの(不図示の)カートリッジ後側シェルとカートリッジ前側シェル933との間の軸線方向スリットに貫通係合している後押し部材アーム961(図5)は、スラスト・ブラケット300のU状脚部311の下側部に係合すると共に、上記カートリッジが押し込まれるにつれて上記スラスト・ブラケットを上方に押圧する。錠剤後押し部材960は錠剤の積層体上に着座すると共に、押し込まれつつあるときに上記カートリッジは満杯であることから、上記スラスト・ブラケットもまた、上記中央ウェブの上端部まで上方に押圧される。この様にして、2つの定荷重スプリング320、330は、上記スラスト・ブラケットが下向きのスプリング張力に委ねられる如く、張設される。この張力は、上記錠剤後押し部材を介して錠剤の積層体へと伝達される。
【0091】
カートリッジ900が供与器1の受容シャフト150内へと押し込まれたとき、該カートリッジは該供与器内に繋止される。この目的のために、上記カートリッジに対しては左側繋止レバー420及び右側繋止レバー410が配備される。各繋止レバーは、枢動点415、425にてハウジング内部フレーム構造100上に取付けられる。各繋止レバーの夫々の下端部には繋止突起部412、422が配備される(図7、図7A、図7B)。これらの繋止突起部412、422は、上記各繋止レバーの下側脚部が、故に該繋止レバーの繋止突起部が内方に傾斜されたとき(図5;内方に向けられた矢印を参照)、上記カートリッジのハウジング前側シェル932上の対応鳩目981、982に係合する(図7A、図7B)。この傾斜運動は、供与器内へのカートリッジの挿入時にスラスト・ブラケット300は、上記ハウジング内部フレーム構造の中央ウェブ110上で上方へと押圧されてから、上側領域にては、上記各繋止レバーの乗り上げ表面416、426に沿い摺動することから、各繋止レバーを頂部にて相互から離間させる、という事実によりもたらされる。この様にして、各繋止レバーの上側脚部は外方へと枢動されることから、各下側脚部は内方へと枢動される。夫々の枢動点の上方にて各繋止レバーに対して一体的に形成されたスプリング・アーム417、427は、各繋止レバーがこの位置に固定的に保持される(図5A)如く、協働する突出部419、429の背後において、対応する圧力点418、428を介して上記ハウジング内部フレーム構造に対して弾性嵌合される。故に、満杯のカートリッジが押し込まれた後、各繋止レバーは、カートリッジがもはや補助手段なしでは取り外され得ない様に、繋止位置に拘束される。これにより、カートリッジが挿入時に完全に満杯である限りにおいて、供与器内に挿入されて該供与器内に繋止された後で該カートリッジは再び取り外され得ないことが確実とされる、と言うのも、上記スラスト・ブラケットは各繋止レバーの乗り上げ表面まで押し上げられることからこれらの繋止レバーを繋止位置へと移行させるからである。この繋止作用は、カートリッジが完全に空になるまで維持される。
【0092】
空のカートリッジを上記供与器から放出し得るために、上記各繋止レバーにより引き起こされる阻止を解除する放出機構が配備される。この放出機構の詳細は、図8A、図8B、図8C、図8D及び図8Eに示される。
【0093】
カートリッジを放出し得るために、(覆い隠されている)放出ボタン19を構成する放出用スライド部材600の直ぐ背後に配置された解除レバー500が配備される。該解除レバーは、脚部スプリング510(図8C、図8D)により、実質的に垂直な位置に固定される。この目的のために上記解除レバーはピン520、520’により、ハウジング前側シェル11.1上に一体的に形成された鉤爪121、122において、ハウジング前側シェル11.1上に取付けられる。上記解除レバーは、上記脚部スプリングのスプリング力に対抗してのみ、各鉤爪内で枢動可能(図8A、図8B、図8C、図8Dにおける矢印)である。
【0094】
解除レバー500の休止位置において捕捉突起部531、532(又は代替的に、まさに単一の捕捉突起部)は放出用スライド部材600の対応突出部611、612の正面に(又は代替的に、まさに単一の突出部の正面に)位置して上記スライド部材の下向きの平行移動を阻止するという事実により、解除レバー500は、放出用スライド部材600を束縛することから、放出ボタン19を束縛する(放出阻止)。図8Cは、上記解除レバーにより束縛された上記放出用スライド部材を示す一方、図8Dの概観において上記放出用スライド部材は繋止解除されて既に押し下げられている。
【0095】
各錠剤Tが供与される結果としてカートリッジ900が空とされるにつれ、供与器1におけるスラスト・ブラケット300は下方に摺動する(図8B)。上記カートリッジ内の最後の錠剤に対する行程の間において上記スラスト・ブラケットが最下位置に到達したとき、それは解除レバー500のレバー540に係合し、脚部スプリング510のスプリング力に抗して、該解除レバーの下端部を以て該解除レバーを前方に傾斜させる(図8B;矢印)。この様にして、上記解除レバーは放出用スライド部材600を解放し、捕捉突起部531、532は該放出用スライド部材の対応突出部611、612から離間して移動される。
【0096】
図8Eには、カートリッジ900の解放時における繋止レバー410、420の機能が示される。カートリッジの繋止は、約2mm(矢印)だけ押し下げられている放出用スライド部材600により解除される。それを行う上で、該放出用スライド部材の乗り上げ表面551、552は、繋止レバー410、420の下側脚部が外方(矢印)に押圧される如く、該下側脚部と接触する。この様にして、上記各繋止レバーの繋止突起部412、422は外方に押圧されると共に、上記カートリッジの鳩目981、982から解放される。上記カートリッジは、この様にして解放される。上記放出用スライド部材の更なる下方移動により、カートリッジは今や、下方向に放出され得る。この目的のために、上記放出用スライド部材の各捕捉突起部は同時に放出突起部として作用する、と言うのも、それらはカートリッジ底部シェル920の頂面の縁部に係合し、該縁部を、下向きの移動の結果として押し下げるからである。そのときに上記カートリッジは手により把持され得ると共に、供与器1の受容シャフト150から引抜かれ得る。起動の後、上記放出用スライド部材はスプリング力下で元の位置へと再び復帰する。脚部スプリング510は、この目的に資する。
【0097】
供与器1は、電子ディスプレイ16と、2つの電子操作ボタン17、18を有している(図1A)。上記電子ディスプレイは、カートリッジ900内に配置された錠剤Tの個数、及び、錠剤投与の状況、すなわち、24日間の第1投与段階が経過したのか未だ経過していないのかということ、及び、前者の場合が実状ならば、第2の弾力的な投与段階において既に経過した日数を表示すべく使用される。上記投与段階の間において、所定の時的間隔内に錠剤が服用されたか否かを表示することも可能である。これに加え、上記ディスプレイは、導入されることもある投与無し段階において既に何日が経過したかも示し得る。更に、上記ディスプレイは、バッテリ状況を示し得る。上記各操作ボタンは、投与無し段階への移行を選択すべく、且つ、種々のメニュー選択肢を選択すべく使用され得る。
【0098】
供与器1は、可及的に長期に亙り当該バッテリを交換する必要なしで該供与器1の機能性を維持すべく設計されたバッテリ1010、1020(代替的には、まさに単一のバッテリ)を含む(図2、図5)。故に、上記供与器は、カートリッジ900が最初に該供与器に押し込まれたときに該供与器を始動する初期化スイッチ710であって、上記ハウジング内部フレーム構造上に配置される(図9)初期化スイッチ710を含んでいる。このスイッチは、左側繋止レバー420の上側アーム上における該左側繋止レバーのスイッチ分岐部430により形成される。上記カートリッジが押し込まれるとき、それは上記左側繋止レバーの上記上側アームを外方に押圧する、と言うのも、スラスト・ブラケット300はこの繋止レバーの上側アーム上の乗り上げ表面426に沿い摺動し、それを行う上で上記アームを外方に押圧するからである(図5)。上記左側繋止レバー上に一体的に形成された上記スイッチ分岐部は、上記初期化スイッチに当接して押圧されてそれを起動する。このスイッチの起動により、それまでは電力消費なしに休止位置に置かれた電子機器は初期化され、且つ、上記初期化スイッチの特殊な構成により、上記カートリッジの引抜きの後でさえも、上記電子機器は投入されたままである。
【0099】
カートリッジ900が初めて供与器1に押し込まれるときに上記電子機器が初期化されるのと同時に、初期化スイッチ710に隣接して配置された(不図示の)第2スイッチが起動されると共に、該第2スイッチは、上記右側繋止レバーの上側アームが外方に押圧されている限り、すなわち、上記カートリッジが上記供与器内に留まる限りにおいてのみ、投入されたままである。上記カートリッジが取り外された後、この第2スイッチは、繋止レバー420の上側アームの内方枢動により再び切断される。この第2スイッチは、上記供与器内にカートリッジが配置されていることを上記電子機器に対して信号通知する。この様にして、特に、満杯のカートリッジ内には例えば30個の錠剤などの所定個数の錠剤Tが常に在るということに基づき、且つ、上記電子機器に対して送信される更なる信号であって、該信号により上記供与器からの1個の錠剤の取出しが夫々記録されるという更なる信号にも基づき、上記供与器内に配置されている錠剤Tの個数が算出され得る。更に、空のカートリッジが上記供与器から取出されて満杯のカートリッジが挿入されたとき、上記第2スイッチからの更なる信号は、今や完全に満杯のカートリッジが再び上記供与器内に配置されたことを上記電子機器に対して通知する。
【0100】
当該更なる信号により、供与器1からの1個の錠剤Tの取出しが記録される上記更なる信号は、伝達レバー210、220の一方の領域に配置された(不図示の)第3スイッチであって、各伝達レバーが起動される毎に投入されてこの更なる信号を生成する第3スイッチにより生成される。
【0101】
供与器1は更に、受容シャフト150の下側領域に配置された(不図示の)第4スイッチであって、該スイッチにより、スラスト・ブラケット300の摺動通過が記録され且つ付加的信号として上記電子機器へと伝達される第4スイッチを含んでいる。例えば5個のみの錠剤Tがカートリッジ内に残されているときなどの様に、カートリッジ900が最終的に空になる少し前に、この第4スイッチは、カートリッジ内に残存する錠剤の個数に関する信号を上記電子機器に対して送信すべく使用される。このことは、上記受容シャフト上におけるこの第4スイッチの厳密な空間的位置決めにより定義され、その結果として、該第4スイッチは、カートリッジ内に所定個数の錠剤が依然として在るときにのみ、1個の錠剤の取出しにより起動される。この確認計数は、まさに数個の錠剤が在るときに、カートリッジ内には依然として何個の錠剤が配置されているかをユーザに対して正しく表示するために必要とされ得る。これにより、残存する錠剤の個数に関して不正確な想定が行われないことが確実とされる、と言うのも、空となったカートリッジが適時にユーザに対して警告されなければ、重大なことになり得るからである。この予防的な対策は、カートリッジが錠剤により充填される程度が、充填シーケンスの間において所定位置における全ての制御手段により安全には確認され得ないときに好適である。この理由は、個々の錠剤の高さは許容差を有する結果、錠剤の積層体の高さも変動し得るからである。しかしいずれの場合においても、ユーザはハウジング後側シェル11.2における窓部20により、カートリッジ内に錠剤が依然として残されているか否かを判断し得る。
【0102】
此処に記述された各実施例及び各実施形態は例示の役割を果たすのみであること、並びに、各実施例及び各実施形態に対する種々の改変及び変更、並びに、本出願中に記述された他の特徴の組み合わせもまた、当業者に対して直ちに明らかであると共に、此処に記述された発明の開示範囲内及び各請求項の保護の有効範囲内に収まることは理解されよう。これにより、此処で言及された全ての特許及び特許出願は、本出願の開示内容に援用される。
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤供与器のためのカートリッジであって、例えば錠剤などの固形薬剤片が好適には縦列状配置で収容されたカートリッジに関する。本発明は更に、自身内に収容された交換可能カートリッジを備える薬剤供与器と、例えばホルモン製剤などの薬剤片を格納して供与するカートリッジ及び薬剤供与器の使用法とに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに対し、例えば錠剤などの固形薬剤片を、種々の形式のパッケージにて提供することは知られている。例えば、固形医薬品は非常に多くの場合に供給されると共に、その各々は、閉塞されたセル内にそれらが概略的に包装されるブリスタ・パック(blister pack)(PTP:押出しパック)と称されるパック内に個別的に密閉される。この目的のために、各片を受容する凹所を備えると共に殆どの場合には透明であるプラスチックフィルムがアルミニウム箔に対して溶着されることから、各錠剤が収容された個別的な複数のセルの形成に帰着する。投与される前に、錠剤は、受容凹所からアルミニウム箔を通して押し出されることにより個別的なセルから取出される。この形式のパッケージは広範囲に使用されている、と言うのも、個別的な各錠剤が、確実に格納されると共に、有害な外部影響から保護されるからである。別の形式のパッケージにおいて、固形医薬品は、個別的な複数の錠剤が個別的には包装されない小瓶において利用可能である。この場合にユーザは、錠剤を個別的に手で取出さねばならない。別の形式のパッケージにおいて、此処でも個別的には包装されない複数の錠剤は、管体内に縦列状配置で配置される。この場合にも、個別的な錠剤は手により取出される。このことは、個別的な錠剤が落下して破損し又は汚れる虞れが在る、という意味において問題である。更に、ユーザは、既に服用された錠剤の個数をチェック又は認識することができない。
【0003】
好適な回分供与及び高信頼性の投薬を許容すると共に、薬剤片の慎重な取扱いを確実とするためには、この様に包装された固形薬剤片が、ユーザによる投与のために、薬剤供与器において利用可能とされれば好適である。この場合、各薬剤片は供与器内に収容されると共に、必要とされる限りにおいて該供与器から供与され得る。斯かるシステムの利点は、とりわけ、供与器内の薬剤片が外部影響から保護されると共に、適切な手段により、各片が事前決定回分供与量で供与されることを確実とする可能性が在る、ということである。
【0004】
ブリスタ帯片で包装される医薬品を使用するために、例えば特許文献1は、ブリスタ帯片を受容するスリットを一端に有する供与器を記述している。個別的な錠剤を供与するために、上記ブリスタ帯片は、個別的な一個の錠剤のみ、又は、所定の少数の錠剤のみが露出される如く、部分的にのみ上記供与器から引き出される。このことは、上記供与器からの上記ブリスタ帯片の引抜き時における所定の前進移動量を設定するために把持器が係合する複数の突出部を有する上記ブリスタ帯片により可能とされる。
【0005】
特許文献2は、円形に配置された複数のブリスタ・セルを備えたブリスタ帯片を収容する更なる供与器を開示している。休止状態においては上記供与器の上面の窓部の全体に亙り延在することにより各錠剤を覆い且つ各錠剤を不正なアクセスから保護する帯片の各タブであって、上記供与器の側方に取付けられる各タブの少なくとも一方に対してユーザが圧力を及ぼしたときにのみ、各ブリスタ・セル内の錠剤は基本的に上記窓部を介して利用可能である。対照的に、ユーザが上記タブに対して圧力を及ぼしたとき、上記帯片は上方に屈曲されて錠剤を解放する。
【0006】
特許文献3は、錠剤リザーバを受容する錠剤供与器であって、搬送要素と、上記リザーバから錠剤を取出すためのスライド部材とを備えて成る錠剤供与器を開示している。
【0007】
更に、特許文献4は、錠剤形状の製品のための回分供与器を引用しており、その場合にこれらの製品は、リザーバ内に積層体形態で収容される。上記リザーバは、一端にて、当該スタンドの頂面上に取付けられた摺動レールと、この上方に配置されたアダプタ部材とを備えたスタンドを有しており、且つ、他端にてそれは閉塞用蓋体を有している。
【0008】
特許文献5は、支持体内に受容された複数の被覆錠剤を格納して個別的に供与する容器を開示している。上記支持体は、複数の被覆錠剤が内部に配置される長寸管体の形態である。上記支持体の一端は、被覆錠剤に対する供与開口を備えると共に、他端はストッパにより閉じられる。
【0009】
特許文献6は、口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤のための供与器を開示している。この供与器内に収容された複数のトローチ剤は、積層される。各トローチ剤は、案内部材内でスプリング力により上方に付勢されると共に、この様にして、供与器の側部から各トローチ剤を個別的に供与する放出用鉤爪を有する放出器ヘッドに到達する。
【0010】
特許文献7は、医療目的のための錠剤供与器を開示している。それは、管体の形態の容器であって、その中に各錠剤が積層され且つスプリング張力下で載置される容器を備えている。各錠剤は、上記供与器のヘッドから起動される放出機構により、該供与器から横方向に供与される。
【0011】
特許文献8は、例えば口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤などの積層された複数の錠剤を受容するマガジンを開示しており、該マガジンは錠剤供与器において使用されるべく提供される。各錠剤は上記マガジン内でスプリング張力下に在り、且つ、各錠剤は上記供与器のヘッドにおいて、放出機構により該供与器の軸線に関して横方向に供与される。
【0012】
更に、特許文献9は、例えば、避妊薬、ライタ用の着火石、又は、キャンディの如き御菓子などの錠剤のための供与器を開示している。各錠剤又は類似物は、供与器内に挿入され得るスリーブ内に積層体として収容される。各錠剤又は類似物は、上記供与器から横方向に供与される。
【0013】
特許文献10は、ハウジングと、該ハウジング内において繋止され得るマガジンとを有する、キャンディ又は錠剤用の供与器を記述している。上記ハウジング内には、上記マガジンにより2つのチャンバが形成される。上記チャンバの一方において、キャンディ又は錠剤は上記マガジン内に収容される。上記キャンディ又は錠剤は上記供与器の起動時に、親指により起動され得るスライド部材であって、上記マガジン上に配置され且つ起動されつつあるスライド部材と、故に、起動されつつある個別的なキャンディ又は錠剤を横方向に放出するための放出器とにより、横方向に放出される。
【0014】
特許文献11及び特許文献12は、錠剤容器に対する弾性的なスペーサを備えた蓋体ストッパを開示している。
【0015】
特許文献13もまた、医薬錠剤のための供与器であって、各錠剤に対するマガジンと、該マガジンを受容する外側容器と、蓋体片とを備えて成る供与器を記述している。上記蓋体片は、上記外側容器の下端部に対して螺着される。各錠剤は、上記マガジン内で積層されると共に、スプリングにより負荷を掛けられる。
【0016】
特許文献14は、複数のピルを受容するリザーバであって、その内部で各ピルは積層され且つスプリングにより負荷を掛けられるリザーバを有するピル用供与器を引用している。
【0017】
特許文献15は、各錠剤を個別的に供与するための供与器であって、各錠剤に対するリザーバと一端における供与開口とを備えた筒状ハウジングと、各錠剤を搬送する機構とを備えて成る供与器を開示している。上記リザーバの側部に対しては歯付きロッドが延在し、該歯付きロッドによれば、ラチェット前進移動の間において、最後の錠剤に対して当接する圧力プレートは、上記ハウジングの開孔縁部から1個の錠剤の厚み分だけ揚動される蓋体の方向に移動される。
【0018】
特許文献16は、ラチェットの如く作用する突き棒を備えたピル供与器を引用している。該供与器内に配置された各ピルは、該供与器の内部内に延在する動作要素により、圧力片を介して供与開口まで運ばれる。上記圧力片は、上記内部の内側壁上のラチェット歯に係合する弾性フィンガを介して、上記供与器の内側壁上に繋止される。
【0019】
特許文献17は、各トローチ剤が積層される、口中清涼トローチ剤及び咳止めトローチ剤のための供与器を記述している。各トローチ剤は、スプリング力により上方に押圧されると共に、放出器鉤爪を備えた放出器ヘッドにより個別的に供与される。各トローチ剤は、マガジン内に配置される。各トローチ剤に対してスプリング力を付与するために、スプリング張設されたアームが上記マガジンに貫通係合し、該マガジン内における各トローチ剤を放出器ヘッドに向けて上方に押圧する。特許文献6に関して示された如く、各錠剤は供与器の側部から供与される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0020】
【特許文献1】国際公開第2005/028316号パンフレット
【特許文献2】米国特許第6,409,020号
【特許文献3】独国実用新案公開第88 07 774号
【特許文献4】独国特許出願公開第31 43 953号
【特許文献5】独国特許出願公開第42 30 452号
【特許文献6】米国特許第5,080,258号
【特許文献7】欧州特許第1 189 822号
【特許文献8】米国特許公開第2003/0132239号
【特許文献9】米国特許第5,230,440号
【特許文献10】米国特許第5,048,720号
【特許文献11】独国実用新案公開第1 855 071号
【特許文献12】独国実用新案公開第1 863 564号
【特許文献13】米国特許第3,270,915号
【特許文献14】米国特許第3,854,626号
【特許文献15】独国特許出願公開第34 45 121号
【特許文献16】米国特許第3,612,349号
【特許文献17】米国特許第5,366,112号
【0021】
上記に列挙された公知の薬剤供与器の殆どにおいて、錠剤、トローチ剤、キャンディなどが供与器内に如何にして導入されるかが詳述されていない。特許文献9が、錠剤などを収容するスリーブが交換可能であり且つ供与器内のキャビティ内へと挿入されると述べていることは確かである。更に、特許文献10は、キャンディ又は錠剤を収容するマガジンはハウジング内へと挿入されると述べている。しかし、特に、視覚障害のある対象者により使用されるとき又は不十分な照明状態において使用されるとき、斯かる供与器の使用には問題が在ることが見出された、と言うのも、放出された錠剤などが全ての場合にユーザにより捕捉されることはできず、代わりに、錠剤などは地面上に落下して見失われる。特に供与器が小寸の錠剤を供与すべく使用されたとき、それを使用している対象者は、錠剤が既に供与されたか否かが定かでない、ということが起こり得る。
【0022】
先行技術の文献が、錠剤などのためのマガジンが交換可能であると開示する場合(特許文献9)、その中に収容される錠剤は安全には格納されないことも見出された、と言うのも、各錠剤は、マガジン内で自由に移動可能であることから摩耗に委ねられ且つ/又は供与器からの供与の間に詰まりが生じ、各錠剤の供与における問題に帰着するからである。
【0023】
従って、本発明により対処される問題は、公知の薬剤供与器は十分に簡素で安全な取扱いを許容せず、且つ、それらに収容される薬剤片は十分な保護を以ては取り入られないということである。故に目的は、薬剤供与器、及び、薬剤片に対するこの種のカートリッジが内部に配置される薬剤供与器のためのカートリッジであって、該薬剤供与器及びカートリッジは、それらの使用法に関して簡素で高信頼性であり、特に、搬送及び格納の間において且つ供与器内における使用の間において各薬剤片が破損されず且つ保護されて格納されることを確実にする薬剤供与器及びカートリッジを提供するに在る。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0024】
この問題及び目的は、特許請求項1に係る交換可能カートリッジ、特許請求項14に係る固形薬剤片のための斯かる交換可能カートリッジを収容する薬剤供与器、特許請求項15に係る上記カートリッジの使用法、及び、特許請求項17に係る上記交換可能カートリッジを収容する上記薬剤供与器の使用法により解決かつ達成される。本発明の好適実施形態は、従属請求項中に示される。
【0025】
以下における本発明の説明及び特許請求項において“固形薬剤片”及び“薬剤片”という語句が使用されたとき、これらの語句は、ピル、被覆ピル、カプセル、錠剤、及び、他の固形状形態を意味すると理解されるものとする。本発明の記述を簡素化するために、以下において“錠剤”という語句は、他の(固形)薬剤片を代表して使用される。故に、この語句を使用することは、夫々の場合において、任意の所望の形式の(固形)薬剤片を意味することが意図される。
【0026】
以下における本発明の説明及び特許請求項において、特に本発明に係る主題の構造要素を表すために、“受容手段”などの如き用語が使用される場合、それらが単数形で使用されるか複数形で使用されるかに関わらず、これらの用語は単数かつ複数として解釈されるものとする。
【0027】
本発明に係る上記カートリッジ及び固形薬剤供与器は、該供与器の使用のために、各錠剤のためのリザーバを備えて成る上記カートリッジを上記供与器内に挿入して、錠剤を供与するために組み合わせて使用される。上記カートリッジ及び上記供与器は、好適には薬剤を投与し、特に好適にはホルモン製剤を投与すべく、最も好適には、避妊薬、又は、ホルモン補充療法のための薬剤を錠剤の形態で投与する役割を果たす。
【0028】
上記カートリッジ内に収容される薬剤が、例えば、例えば避妊のためのホルモン製剤であるなら、該ホルモン製剤は、例えば二段階固定式の投与方式で24時間サイクルにおいて通常様式で服用され得る。これは、投与無し期間により追随される。例えば、該投与無し期間は、7日間、又は、4日間、又は、別の固定日数ともされ得る。例えば、21日間の投与及び7日間の投与無し、又は、24日間の投与及び4日間の投与無しという上記の固定期間の代わりに、あるいはまた、別の固定された投与計画の代わりに、例えば避妊のための一定の薬剤は、投与段階は例えば少なくとも24日間かつ多くとも120日間に亙り、且つ、投与無し段階は例えば4日間に亙る弾力的投与方式によっても服用され得る。
【0029】
本発明に係る上記カートリッジは、上記薬剤供与器に挿入可能であると共に、交換可能である。それは、空となったときに交換される。空のカートリッジは、満杯のカートリッジにより置き換えられる。満杯のカートリッジは、上記供与器に錠剤を補充すべく使用される。上記カートリッジの安全な保存及び搬送のために、該カートリッジは、例えばアルミニウム箔で作成されて閉じられた袋又はブリスタ・パックであって、カートリッジが未だ供与器内に挿入されない限りにおいて該カートリッジ用の受容凹所が常温成形されている袋又はブリスタ・パック内などの、好適には密閉された容器内に収容され得る。但し基本的に上記カートリッジは、該カートリッジが空となったときに供与器が廃棄される如く、上記供与器に対して固定的にも接続され得る。
【0030】
上記カートリッジは、各錠剤を好適には縦列状配置で受容するためのリザーバを備えている。故に上記カートリッジは、好適には円筒状であり、且つ、好適には円筒状リザーバを有する。
【0031】
本発明に従い上記薬剤供与器における錠剤に対する上記カートリッジの交換可能性を達成するために、上記供与器は、例えば上記供与器内で軸線方向に延在する受容シャフトであって、該受容シャフト内へとカートリッジが押し込まれ得る受容シャフトなどの、カートリッジのための受容手段を有する。上記薬剤供与器を使用するために、上記カートリッジは例えば、例えば上記受容シャフト内などへと、上記受容手段内へと押し込まれるなどして挿入される。故に上記カートリッジ及び供与器は、相互に対して空間的及び物理的な関係とされ得ると共に、協働して、本発明に係る薬剤供与器とカートリッジの組合せ物であって、組立てられて1つのユニットを形成し得る組合せ物を形成し得る。
【0032】
本発明に依れば、上記カートリッジは、好適には摩擦嵌合にて上記カートリッジ・ハウジング内に着座する安全搬送機構であって、上記カートリッジの保存及び搬送の間における各錠剤の移動を阻止する安全搬送機構を備えて成る。上記安全搬送機構は特に、好適には摩擦嵌合にて上記リザーバ内に着座する許容差補償プラグであって、軸線方向に移動可能である許容差補償プラグとされ得る。この許容差補償プラグは、カートリッジが錠剤により充填される前に上記リザーバ内に挿入されると共に、該プラグは、上記カートリッジが錠剤により充填された後で、錠剤の積層体上に強固に押圧される。
【0033】
上記許容差補償プラグは摩擦嵌合により上記リザーバ内に着座するという事実に依り、該プラグは、例えば、保存又は搬送の間などにおいて上記カートリッジが別体的に取扱われつつあるときなどの様に、上記カートリッジが供与器内に配置されないときでさえも、錠剤の積層体を緊密に詰め込んで維持し得る。各錠剤が傾斜して、無理矢理に押し込まれることから該錠剤の供与が阻害される、ということを確実に無くすために、各錠剤が上記リザーバ内で自由に移動することを阻止すべく、錠剤の積層体は一体的に強固に保持されることが必要である。更に、相互に対する継続的な移動時に、各錠剤は不都合な摩耗にも委ねられ得る。各錠剤は、錠剤の積層体の高さ変動に繋がる厚み許容差を有することも銘記されねばならない。例えば、3mm厚さの錠剤の厚み許容差が±150μmであるなら、30個の錠剤の積層体の高さの変動は約±4.5mmである。上記許容差補償プラグに依り、上記積層体は、その実際の高さに関わり無く、すなわち、カートリッジが供与器内に挿入されないときでさえも、上記リザーバ内に常に堅固に保持される。例えば特許文献9からの弾性手段などの、上記リザーバ内の各錠剤を相互に対して押圧することによりそれらを固定する圧縮スプリングと比較して、上記許容差補償プラグは、搬送及び保存の間において、各錠剤は何らの力なしで、且つ、圧縮スプリングの場合におけるのとは異なり、積層された各錠剤の高さに依存して変化するスプリング張力下で、相互上に位置して詰め込まれる、という利点を有している。故に、各錠剤は、公知のマガジンの場合よりも相当に穏やかに格納される。
【0034】
上記カートリッジのリザーバ内への上記許容差補償プラグの摩擦嵌合を許容するために、該プラグは、上記カートリッジの上記リザーバの内側壁上で好適には軸線方向に延在する形状部上へと繋止するための少なくとも1つの繋止手段を有している。この形状部は、例えば、相互に対して平行に延在する複数の横方向溝から構成された横方向溝形状部により形成され得る。例えば該横方向溝形状部は、上記カートリッジの内側壁上における少なくとも一本の軸線方向に延在するラチェット軌道を形成し得るか、又は、上記カートリッジの内側壁の内周部全体上に配備され得る。上記形状部をラチェット形状部の形態で構成することにより、(上記供与開口に向かう)一方向においては上記プラグの圧力嵌め係合が、及び、他方向においては摩擦嵌合係合が達成される。
【0035】
上記許容差補償プラグ上の上記少なくとも1つの繋止手段は特に、上記形状部上へと繋止される繋止突起部を備えた少なくとも1つの外方作用スプリング要素により形成され得る。例えば、繋止突起部を備えた2つのスプリング要素が上記プラグの基礎部分の各側部上に配備され得、各スプリング要素は好適には、略々軸線方向に突出する外方に弾性的なスプリング・アームであって、例えば2つの対置されたラチェット軌道内などの、上記形状部内に係合する繋止突起部を有するスプリング・アームである。上記許容差補償プラグは、上記少なくとも1つの繋止手段が垂直に起立することで滑落に対抗する如く、先ず上記スプリング要素により上記カートリッジの上記リザーバ内に挿入され得る。
【0036】
本発明の好適実施形態において、上記カートリッジは、好適には一端にて、単体化デバイスを有する。この単体化デバイスは好適には、複数の錠剤が各々、個別的に、又は、例えば同時に2個の錠剤などの様に別の所定個数で供与される如く設計される。この目的のために、上記単体化デバイスは、該単体化デバイスが、該単体化デバイスと、上記薬剤供与器上に配備された単一の起動デバイス又は幾つかの起動デバイスとの間の作用的接続を介して起動され得る如く設計される。上記起動デバイスは、1個の錠剤(又は一度に数個の錠剤)を供与するために上記薬剤供与器上に配備された手動起動手段と、該起動手段の手動起動により生成された運動を該起動手段から上記単体化デバイスへと伝達する上記供与器内の機構とを備えて成り得る。本発明のこの実施形態において、錠剤用の上記単体化デバイスはカートリッジ上に配備されることから、斯かるデバイスは薬剤供与器上には配備されない。対照的に、上記単体化デバイスに対する上記単一の起動デバイス又は複数の起動デバイスは、この実施形態において上記薬剤供与器上に取付けられる。これらの起動デバイスは上記単体化デバイスに対し、好適には機械的な作用的接続とされる。電気機械的な、又は、純粋に電子的な作用的接続も想起可能である。機械的な作用的接続を提供するために、上記カートリッジ上の上記単体化デバイスは、例えば、駆動ピンとも称され得るピンを備え得る。この場合、上記供与器上の上記起動手段の起動により、運動は、例えば、凹所を備えた鉤爪であってこの担体ピンに適合された鉤爪へと伝達されると共に、この鉤爪から、上記担体ピンへと、故に、上記単体化デバイスへと伝達される。上記供与器上の上記起動手段の手動起動により生成された運動は好適には、例えば、上記起動手段からの運動を上記単体化デバイスまで伝達する機構を代表する伝達レバーなどの、更に介設された機械的要素を介して、上記鉤爪へと伝達される。
【0037】
上記カートリッジ上に上記単体化デバイスを配備すると、幾つかの好適な機能が得られる。
【0038】
上記単体化デバイスは、上記カートリッジ内に収容された錠剤を、個別的に、又は、所定個数でユーザが供与することを許容すべく使用される。故にユーザは、1個より多い錠剤が偶発的に一度に供与されることなしに、カートリッジから錠剤を安全に取出すことが許容される。
【0039】
更に、上記単体化デバイスは、上記リザーバ内に収容された錠剤が破損され得ず又は別様に阻害され得ない様に、上記リザーバを閉じ、故に、該リザーバ内に収容された錠剤を外部影響から保護する。特に、上記単体化デバイスは、錠剤が外部影響から保護される如く、例えば、搬送及び保存の間、並びに、ユーザによる使用の間にも、蓋体要素として使用される。
【0040】
上記単体化デバイスを上記カートリッジ上に配備すると、錠剤が偶発的には抜け落ち得ないことが更に確実とされる、と言うのも、上記蓋体要素は偶発的には取り外され得ないからである。上記カートリッジが薬剤供与器に挿入されたときにのみ、上記単体化デバイスは好適に起動され得ると共に、各錠剤は個別的に(又は所定個数にて)解放され得る。上記カートリッジ上の上記単体化デバイスの起動のために、上記薬剤供与器上には手動起動手段が配備される、と言うのも、簡素な取扱いのためには、個別的な錠剤(又は所定個数の錠剤)を供与するために上記供与器上の手動起動手段を起動することが必要だからである。上記単体化デバイスに依れば、如何なる場合でも、1個より多い錠剤(又は所定個数の錠剤より多い錠剤)が上記カートリッジから供与されることはあり得ず、且つ、カートリッジが上記供与器内に配置されていないときに、上記単体化デバイス上における該カートリッジの蓋体要素が既に手動的に起動されていることも殆どあり得ない。
【0041】
上記カートリッジを供与器内に挿入するときの組立て作業も最小限である。例えば、カートリッジは、取り外されるべきカバー、又は、使用されるべき他の組立て手段なしで、供与器内のカートリッジ用受容手段内へと軸線方向に押し込まれれば十分であり得る。故に、カートリッジを受容シャフト内に載置するために、例えば特許文献9に係る供与器の場合における如く蓋体を取り外す必要はない。これにより、カートリッジを備えた供与器の使用が相当に促進される。この利点は特に、上記単体化デバイスは同時に蓋体要素であると共に、供与器上では無くカートリッジ上に配備されるという事実により達成される。
【0042】
更に、上記供与器の動作の間において上記単体化デバイスは、各錠剤を取出すために反復的に頻繁に起動される。上記単体化デバイスは薬剤供与器上ではなくカートリッジ上に配備されることから、単体化デバイスの摩滅及び裂断は、単体化デバイスが薬剤供与器上に配備された場合にユーザが受けるであろう不都合と同一の不都合は有さない、と言うのも、カートリッジがもはや錠剤を含まないときに単体化デバイスはカートリッジと共に交換されるからである。もし単体化デバイスがカートリッジ上ではなく供与器上に配備されるものとするなら、それは、適切な材料の選択及び適切な構成により、相当に長期の耐用寿命に対して設計されねばならない。更に、特に単体化デバイス内に蓄積し得る錠剤からの摩耗物質は、カートリッジと共に廃棄され、供与器の寿命全体の間において該供与器内には蓄積しない。いずれにせよ、この摩耗物質は、(空気)湿気と組み合わされて、細菌に対する良好な繁殖地となる。
【0043】
本発明の別の好適実施形態において、上記単体化デバイスは、上記カートリッジの軸線に対して実質的に直交して運動され得るスライド部材を有する。該スライド部材は、各錠剤の単体化のための構造要素の役割を果たす。該スライド部材は、個別的な錠剤の各々を別体的に受容すると共に、それを、積層体に対する摺動移動にて別体的に移動させ得る。カートリッジ内の各錠剤は好適には、該カートリッジ内の上記リザーバ内に配置された縦列状積層体として配置される。その場合に上記スライド部材は、この積層体の一端に配置されると共に、該積層体から錠剤を次々と分離し得る。
【0044】
この目的のために、上記スライド部材は好適には、軸線方向における両端部にて開放された受容区画室であって、例えば、個々の錠剤、又は、同時に2個の錠剤、又は、更に多い、すなわち同時に2個より多い錠剤などの所定の薬剤片を受容する受容区画室を有し得る。上記積層体から錠剤を受容するとき、この受容区画室は、上記積層体から離間した方を向く側にて閉じられる。上記受容区画室は好適には、1個(のみの)個別的な錠剤(又は、所定個数の錠剤)が、該区画室内に空間を見出す如く寸法設定される。単体化が有効であると共に再現可能であることを確実とするために、この区画室の高さは、個別的な錠剤の高さ(又は、所定個数の錠剤の積層体の高さ)と厳密に同一、又は、それよりも僅かに高くされ得る。故にこの場合、上記受容区画室内には単一個のみの錠剤(又は、所定個数の錠剤)が受容されると共に、該錠剤は摺動移動により上記錠剤の積層体から分離される。
【0045】
上記単体化デバイスは更に、底部シェルを備えて成り得る。更に、上記スライド部材は、上記カートリッジの軸線に関して直交して又は実質的に直交して、2つの摺動位置間で、上記カートリッジ内のリザーバに対して移動可能である。上記底部シェルは特に、上記受容区画室が各摺動位置の内の一方の位置(第2位置)において上記リザーバと面一とされたときに、上記カートリッジ内のリザーバから離間して位置する側で上記受容区画室を閉じるために使用され得る。この場合、1個の錠剤が上記受容区画室内へと通過すると共に、其処で上記底部シェルにより保持される。上記スライド部材は次に、2つの摺動位置の内の他方(第1摺動位置)へと移動され、其処で上記錠剤は取出され得る。
【0046】
好適実施形態において、上記底部シェルはこの場合、カートリッジ軸線に関してオフセットされた供与開口であって、上記スライド部材が該スライド部材の上記2つの摺動位置の内の一方、好適には上記第1摺動位置に配置されたときに上記開いている受容区画室と面一になる供与開口を有し得る。次に錠剤は、上記供与開口を通り落下することから、取出され得る。故に上記錠剤は、上記リザーバから離間する方に向けられた上記単体化デバイスの側から取出される。錠剤を供与する代替実施形態において、上記第1摺動位置はまた、上記単体化デバイスの側であって上記リザーバと同一である側にて錠剤が供与される様にも選択され得る。この目的のために、上記スライド部材は上記供与器から側方に突出すべきであろうし、且つ、上記受容区画室の上記第1摺動位置は上記スライド部材の側方突出部分内に配置されるべきであろう。各錠剤はまた、側方においても、すなわち、摺動プロセスの間において各錠剤が上記スライド部材により移動される平面内においても、供与され得る。これらの全ての場合において、各錠剤は、それらの主要表面を相互に重ねて配置されるという姿勢で、又は、それらが起立して配置され、すなわち、それらの側部表面を相互に重ねて位置されるという姿勢で、格納して分離され得る。
【0047】
上記単体化デバイスは好適には、上記2つの摺動位置の間で切換えられる。上記2つの摺動位置の内の一方は休止位置であり、且つ、他方の摺動位置は第2位置とされ得、例えば、単体化デバイスを上記休止位置へと戻し搬送するスプリングによりこの第2位置において張設されることにより、上記単体化デバイスは該第2位置から自動的に上記休止位置へと復帰する。上記スライド部材における上記受容区画室が上記カートリッジのリザーバと面一になる上記第2摺動位置が休止位置であること、又は、上記スライド部材における上記受容区画室が上記底部シェルにおける供与開口と面一になる上記第1摺動位置が休止位置であることが可能である。
【0048】
上記カートリッジの上記底部シェルは特に、上記供与器の外側殻体に対して面一に装着され得る。これにより、例えばカートリッジが完全に空になる前にユーザが手動により上記供与器から上記カートリッジを取り外すことが阻止される。更に、上記カートリッジは、各錠剤が、故に錠剤中の医学的作用物質が、単体化されて供与器から供与又は放出されるときに供与器又はその一部と接触しない如き様式で、上記供与器に嵌合される。この実施形態は特に、法医学的な理由で好適である。
【0049】
本発明の好適実施形態において、上記カートリッジ及び上記薬剤供与器は、各錠剤を収容する上記リザーバを画成する2つのカートリッジ半体の一方は前方に配向され且つ他方は後方に配向される様に、上記カートリッジが1つの(軸線的)回転配向においてのみ上記供与器内に押し込まれ得る如く設計される。これにより、上記2つのカートリッジ半体は異なる様式で使用され得る。例えば、一方の半体には、例えば上記カートリッジ内に収容された錠剤に関する情報が印刷され得ると共に、他方の半体は、各錠剤が外部からも視認され得る如く透明とされ得る。
【0050】
本発明の別の好適実施形態において、上記カートリッジは、各錠剤が軸線方向に供与され得る如く設計される。このことは、各錠剤は供与器から側方に供与されるのでは無く、代わりに、特に軸線方向に延在する方向において、すなわち、カートリッジの軸線に沿い、又は、この軸線に平行に、供与器の端面にて供与されることを意味すると理解されるものとする。この目的のために、各錠剤が軸線方向に供与される如く薬剤供与器も設計されるならば、それもまた好適である。
【0051】
故にユーザは、片手で上記供与器を保持すると共に、同じ手を使用して、錠剤が他方の手に落下する如く、錠剤を供与するために上記供与器上に配備された上記起動手段を起動することにより、供与されるべき錠剤を容易に取出し得る。この目的のために、ユーザは、カートリッジが供与器内に挿入された側部が上記他方の手の上方に保持される如く供与器を保持してから、錠剤を供与するために上記供与器を起動すれば十分である。錠剤が安全にユーザの手に落下することから該ユーザは安全にその錠剤を捕捉し得る如き、供与器を保持していない方の手に対する供与器の更に限定された配向は、必要とされない。故に実際問題として、錠剤が偶発的にユーザの手の外方に落下し、その手中に収まらないという不正確な使用は排除される。故に、上記供与器の取扱いは、公知の供与器よりも安全かつ高信頼性である。
【0052】
本発明の別の好適実施形態において、上記カートリッジは、上記リザーバ内で軸線方向に移動可能であり且つ該カートリッジにおける少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材であって、例えば、同様に好適に上記軸線方向に移動可能なスラスト・ブラケットなどの、上記薬剤供与器内に配置されたスラスト手段を帯同する役割を果たし、且つ、好適には外部から作用する好適には軸線方向に向けられた弾性力を、好適には縦列状配置で上記カートリッジ内に収容された錠剤に対して伝達することで、好適には縦列状配置の各錠剤を上記スラスト手段により束縛する役割を果たす、という錠剤後押し部材を含む。
【0053】
本発明の別の実施形態においては、上記薬剤供与器内へのカートリッジの挿入時に、該カートリッジ(900)が上記薬剤供与器(1)内へ挿入される方向(挿入方向)とは逆の軸線方向において上記カートリッジに対して弾性力を及ぼす少なくとも1つの弾性手段が配備され得る。このことは、上記供与器内のカートリッジが張力下に在り、好適にはスプリング張力下に在るという結果を有する。上記カートリッジ上に作用する上記スプリング力は、上記供与器の移動の間において上記カートリッジのリザーバ内で各錠剤があちこちに落下しない様に、カートリッジ内で各錠剤は相互に当接して押圧されるという効果を有する。各錠剤は常にスプリング張力下であることから、錠剤の積層体において最初に設定された順序は、喪失されない。
【0054】
上記スプリング力は好適には、少なくとも1つの定荷重スプリング、特に2つの定荷重スプリングの形態で構成された弾性手段により及ぼされる。この様にして、錠剤の積層体が例えば2〜3個などの非常に少ない個数の錠剤を含むときでさえも、該錠剤の積層体に対して張力を付与する利点を失わずに各錠剤が慎重に取り扱われる如く、カートリッジのリザーバ内に配置された錠剤の積層体は、実際の高さに関わらず、すなわち、カートリッジの充填レベルに関わらず、常に同一の力に委ねられ得る。上記少なくとも1つの弾性手段は、例えば、バネ鋼帯片により形成され得る。
【0055】
好適には上記受容シャフトに沿い移動可能である例えば上述のスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段はまた、特に、カートリッジ内に縦列状配置で収容された各錠剤に対して弾性力を伝達するためにも使用され得る。このスラスト手段は、一方では、外部の弾性力を錠剤の積層体に対して伝達する機能を有し得る。このことは、例えば、上記スラスト手段と、上記薬剤供与器における対応軸受とに対し、1個のスプリング又は2個のスプリングを固着することにより行われる。上記スラスト手段に対して対称的な力が伝達される如く、当該2つの定荷重スプリングの一方は、例えば上記スラスト・ブラケットの一端上など、上記スラスト手段の一端上に固着され、且つ、他方は、例えば上記スラスト・ブラケットの他端上など、上記スラスト手段の他端上に固着される、という2つの定荷重スプリングを配備することが好適である。代替的に、上記スラスト手段に係合する単一のスプリングを配備することも可能である。この場合、生成される非対称的な力が補償されることが意図される。既に上記にて説明された如く、上記スラスト手段はまた、特に、上記繋止作用を解除して上記カートリッジを放出するためにも使用可能であり、すなわち、上記スラスト手段は、上記繋止作用を解除する手段の少なくとも一部分とされ得る。
【0056】
例えば上記スラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段によれば、上記カートリッジが上記薬剤供与器内に配置されているとき、錠剤の積層体は常に軸線方向の力の影響下である如く、例えば、上記スラスト手段に係合する例えば定荷重スプリングなどのスプリングに由来する力が、上記リザーバ内の錠剤の積層体に対して付与される。この結果、各錠剤は上記リザーバ内で自由には移動し得ない。この力により、スライド部材が第1摺動位置に配置されているとき、常に1個の錠剤が上記単体化デバイス内の上記受容区画室内へと通過する如く、錠剤の積層体は、上記受容区画室に対して押圧される。これを達成するために、カートリッジの外側部に沿い摺動する例えばスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段は、上記錠剤後押し部材と形状適合接触し得る。この目的のために、上記スラスト手段が、当該アーム又は他の突出部を介し、上記錠剤後押し部材に対し、故に、錠剤の積層体に対して力を及ぼし得る如く、上記カートリッジのリザーバ内で軸線方向に自由に移動可能である上記錠剤後押し部材は、例えば、一本のアーム又は二本のアーム(この場合には、夫々が一個の軸線方向スリットを貫通する)により、上記カートリッジ上の少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合し得る。この様にして、上記カートリッジが上記薬剤供与器内に配置されているとき、好適には上記カートリッジ上に配備された単体化デバイスの方向に作用する軸線方向力が錠剤の積層体に対して付与される。この様にして、上記単体化デバイス内の上記受容区画室が上記リザーバと面一であるときに一個の錠剤が上記受容区画室内へと通過し得る如く、上記積層体は常に押し下げられる。
【0057】
当該錠剤後押し部材を介して外部からの力が錠剤の積層体に対して付与され乍ら、上記カートリッジ・ハウジングにおける1個のスリットに貫通係合する一本のアーム、又は、数個のスリットに貫通係合する数本のアームを有する錠剤後押し部材の代わりに、カートリッジ・ハウジングには何らのスリットも配備されない別実施形態を選択することも可能である。後者の場合、例えば、カートリッジ・ハウジングの一端のみにおいて又はカートリッジ・ハウジングの両端において外部力に委ねられて、錠剤の積層体に付与される軸線方向力に繋がる軸線方向伝達手段を介するなどの一定の他の手法にて、力は外部から錠剤の積層体に対して付与されねばならない。この種の実施形態は、例えば、好適にはカートリッジ・ハウジングの下端部にて該カートリッジ・ハウジング内に挿入される帯片であって、錠剤の積層体の回りに案内される帯片により実現され得る。その場合、この帯片が引張られたとき、錠剤の積層体に対しては下方に作用する軸線方向力が付与される。例えば、錠剤の積層体の回りに延在する上記帯片は、錠剤の積層体の基部にて両側にて、カートリッジ・ハウジングから側方外方に案内され得るまたは、上記帯片は、一側のみにおいて外方へと案内される共に、他側にてはカートリッジ・ハウジングの基部に対して固着される。代替的に、錠剤の積層体上に着座して該積層体に対し軸線方向力を付与する軸線方向移動可能なロッドも使用され得る。
【0058】
非常に概略的に、上記供与器内へと満杯のカートリッジが挿入方向に押し込まれたとき、例えばスラスト・ブラケットなどの上記スラスト手段は、例えば、該スラスト手段が上記錠剤後押し部材を介して上方に帯同されることにより、この移動に帯同され得る。このスラスト手段はまた、例えば、カートリッジを供与器内に繋止する目的で供与器の上側領域に配置された繋止レバーの乗り上げ表面上へと乗り上げるべく帯同された該スラスト手段により、少なくとも1つの適切な繋止手段を介して上記供与器内のカートリッジを繋止し得る。上記カートリッジの順次的な負荷解除時に、このスラスト手段は、カートリッジにおける充填レベルが供与器内における該カートリッジの位置によりコード化される如く、順次的に下方に移動され得る。このスラスト手段が最終的に、空のカートリッジにより事前定義される(下側)端部位置に来たとき、カートリッジの繋止は、カートリッジが供与器から取出され得る如く、解消され得る。このことは、最下位置に在る上記スラスト手段であって、上記繋止レバーを繋止解除位置へともたらすと共に、該当するなら、カートリッジに対する適切な放出手段を付加的に繋止解除する上記スラスト手段により行われ得る。
【0059】
上記受容シャフト内への挿入後に、又は、非常に概略的には上記受容手段内へのカートリッジの挿入後に、該カートリッジが上記供与器内に固定されたままとなることを確実とするために、上記カートリッジを上記薬剤供与器内に繋止する少なくとも1つの繋止手段が配備される。該繋止手段によるこの繋止作用は好適には、上記カートリッジが上記供与器内に押し込まれた後で、該カートリッジ内に錠剤が依然として在る限り、該カートリッジは繋止され、すなわち、繋止作用が解除されなければ再び取出され得ない如きである。この場合に上記カートリッジが空とされた後でのみ、錠剤が充填された新たなカートリッジが挿入され得る如く上記カートリッジを供与器から取出し得るために、上記繋止作用は解除され得る。
【0060】
上記繋止作用のために、例えば上記カートリッジ上の一個以上の繋止突起部と、例えば該繋止突起部に係合する上記供与器上の例えば鳩目などの一個以上の繋止用形状部とにより、又は逆に、上記供与器上の一個以上の繋止突起部と、上記カートリッジ上の例えば鳩目などの一個以上の繋止用形状部とにより、この種の繋止手段が形成され得る。当然乍ら、基本的に、例えば突出部の背後に係合する繋止突起部、又は、相互噛合する2つの繋止用形状部などの、他の繋止手段も可能である。例えば、上記少なくとも1つの繋止手段は回転移動可能とされ得る。それは好適には、特に2本のアームを有し得る回転運動可能な繋止レバーであって、繋止突起部を備え得る回転運動可能な繋止レバーにより形成され得る。特に、上記繋止突起部は各々、上記繋止レバーの下側部分に配備され得る。上記繋止手段は、上記供与器内に配置される。各繋止突起部は好適には、上記カートリッジ上に配備された繋止用鳩目などを備える上記繋止レバーに対して繋止する。繋止用鳩目の代わりに、例えば、上記繋止突起部が当接する突出部、又は、上記繋止突起部が係合する凹所を配備することも可能である。上記繋止作用を付加的に確実とするために、繋止突起部もしく突出部が配備される位置以外の位置にて、例えば上記供与器ハウジングにおける対応繋止突起部又は突出部の背後に繋止する繋止レバー上には、圧力点も配備され得る。
【0061】
特に適切な実施形態において、上記繋止突起部を備えた上記繋止レバーは、上記供与器における上記カートリッジに対する例えば上記受容シャフトなどの受容手段に隣接する該供与器の例えば前側領域などの、上記供与器内で上記カートリッジが受容される領域に隣接する領域内へと突出し得る。その場合、上記隣接領域において、上記カートリッジ上には受容鳩目が配備されねばならず、該鳩目には、上記繋止レバーの上記繋止突起部が係合する。この隣接領域は、例えば、上記カートリッジの底部シェル上に配置され得る。
【0062】
これに加え、例えば、解除レバーを備えて成り得る放出阻止器も配備され得る。カートリッジを放出する外部的に手動で起動される例えば放出ボタンなどの放出手段は、カートリッジが一切の錠剤をもはや含まないときにのみ該カートリッジの取出しが可能である如く、上記放出阻止器により阻止される。この阻止器は、この外部放出手段の起動を阻止すると共に、カートリッジが空となったときにのみ該外部放出手段を再び自由とする。この阻止器は特に、繋止作用を解除する上述の手段により解放され得る。この目的のために、上記カートリッジが少なくとも一個の薬剤片を依然として含むなら、上記放出手段により起動され得る放出用スライド部材が配備され得る。
【0063】
上述の少なくとも1つの繋止手段が上記供与器におけるカートリッジの繋止に至るなら、すなわち、この繋止作用の別体的な解除が無ければ上記少なくとも1つの繋止手段はもはや解放され得ないならば、上記繋止作用を解除するための少なくとも1つの手段も配備されねばならない。上記繋止作用を解除するこの手段は好適には、上記カートリッジ内に何らの薬剤片が残置されていないときにのみ上記繋止作用が解除され得る如く設計される。繋止作用が無ければ、上記捕捉部は、上記少なくとも1つの繋止手段の繋止力を手動的に克服するだけで、解放され得る。このことは、繋止接続を形成する適切な設計態様の各部材による上記少なくとも1つの繋止手段が、繋止作用が解除される如く力が付与されて該繋止手段が解放されるときにこれらの各部材が相互に沿って摺動する如く設計されるならば、可能であろう。
【0064】
但し、例えば、上記繋止突起部及び繋止用形状部が、繋止作用が同時に解放されるのでなければ、上記少なくとも1つの繋止手段を破壊しなければ繋止作用が解除され得ない様に設計されることから、上記少なくとも1つの繋止手段の係合時に繋止作用が生ずるならば、上記繋止作用を解除する上記少なくとも1つの手段は、手動的に、又は、好適には上記供与器内に存在する機構により、又は、これらの手段の組み合わせにより、解放されねばならない。この目的のために上記供与器は、錠剤による上記カートリッジの充填状態に依存し、好適にはカートリッジが空であるときにのみ上記繋止レバーの上記繋止突起部を解放する少なくとも1つの繋止解除手段を取り入れ得る。この場合、上記少なくとも1つの繋止手段が外部的な手動的起動なしで繋止位置から繋止解除位置へともたらされることで、繋止された該少なくとも1つの繋止手段は、上記少なくとも1つの繋止解除手段により解放される。この繋止解除手段は特に、上記カートリッジの繋止を、挿入時には繋止位置へと、且つ、カートリッジが空とされた後には繋止解除位置へともたらす上述のスラスト手段とされ得る。上記繋止手段は、上記繋止レバーの1つ以上の上側部分に当接して押圧される上記スラスト手段により繋止される。更に、上記スラスト手段は上記放出阻止器にも作用し、好適には、何らの錠剤が上記カートリッジ内に残置されていないときに、上記放出阻止器を解放し得る。この目的のために、上記放出用スライド部材が、及び、それと共に上記放出手段が繋止解除される如く、上記放出手段の阻止を解除する上記スラスト手段は上記解除レバーを起動し得る。上記放出用スライド部材は好適には、上記放出手段の起動により、上記繋止手段の、好適には上記繋止レバーの1つ以上の下側部分に当接して押圧され、この様にして、上記繋止手段により繋止された上記カートリッジを繋止解除する。
【0065】
上記繋止解除は、例えば、上記薬剤供与器内の適切な手段であって、該手段の位置はカートリッジの充填レベルに依存する手段により達成され得る。この目的のために、例えば、夫々の場合においてカートリッジ内の最上位置に配置された錠剤の高さに配置されるという、例えば、カートリッジ上に軸線方向移動可能に取付けられた上記スラスト・ブラケット、又は、別の移動可能なスラスト手段が配備され得る。上記スラスト・ブラケット、又は、他のスラスト手段が下限位置に配置され、この場合に上記繋止作用を解放するのは、上記カートリッジ内にもはや一切の錠剤が無いときだけである。
【0066】
上記カートリッジを放出する外部の手動放出手段を繋止解除し得るために、すなわち、上記放出阻止器の阻止を解除し得るために、自身の位置がカートリッジの充填レベルに依存する例えば上述のスラスト・ブラケット又は他のスラスト手段などの、上記繋止作用を解除するのと同一の手段が再び配備され得る。
【0067】
本発明の別の好適実施形態において、上記薬剤供与器の少なくとも1つの狭幅側部上には、薬剤片を供与する起動手段が配備される。更に、上記薬剤供与器の他方の狭幅側部上、好適には、上記第1狭幅側部から離間した方を向く第2狭幅側部上には、更なる起動手段が配備され得る。これらの起動手段は各々、手動起動により上記カートリッジから1個の錠剤を供与する役割を果たす。この目的のために上記起動手段は、各々の場合にカートリッジから1個の錠剤を解放するために、機械的、電気機械的、又は、電子的な作用的接続にて適切な伝達手段を介し、単体化デバイスに対して作用的に接続され得る。上記起動手段は薬剤供与器の各狭幅側部上に配備されることから、例えば、ユーザは供与器を一方の手で保持すると共に、供与器の各狭幅側部に対して圧力を付与することで該起動手段を起動することにより、該起動手段はユーザが供与器をまさに片手で操作するときでさえも容易に起動され得る。上記供与器の一方又は両方の狭幅側部上に位置される上記起動手段の代わりに、該起動手段はまた、例えば、供与器の前面又は背面、又は、一方又は両方の端面上などの、供与器上の別の箇所にも配置され得る。
【0068】
本発明の好適実施形態において、上記起動手段を上記単体化デバイスに対して機械的に作用的に接続する上記伝達手段は、上記起動手段の起動により生成された運動を、カートリッジ上に配備された単体化デバイスに対して伝達する機構により形成される。この目的のために、例えば、該当するなら、例えば各々の場合に歯付きロッドと、それに噛合する歯付きホィールとを介して同期され得る伝達レバーが使用され得る。例えばこの伝達レバーは、例えば、上記単体化デバイス上における担体ピン、及び、該担体ピンに対して作用的接続された凹所であって各伝達レバーの少なくとも一方上における凹所、あるいはその逆、という配備による例えば形状適合接続などの、単体化デバイスに対する直接的で機械的な作用的接続とされ得る。
【0069】
更に、本発明の好適実施形態においては、上記カートリッジ内に配置された錠剤が外部から視認可能である如く、上記薬剤供与器のハウジングの外側面には窓部が配備され得る。更に、上記錠剤後押し部材はまた、該部材を各錠剤と対比させるために、且つ、例えば、その様にしなければ上記窓部を通して視認可能である上記カートリッジの裏面及び/又は上記供与器の構成要素とも対比させるために、着色もされ得る。これにより、上記窓部を通しての上記カートリッジの充填レベルの視覚的監視が更に容易とされる。この目的のために、上記カートリッジは好適には少なくとも部分的に、透明材料で作成され得る。但し基本的に、それはまた半透明材料でも作成され得る。特に、上記供与器のハウジングにおける上記窓部を介して視認可能であるカートリッジの部分は、カートリッジ内に収容された各錠剤が視認可能である如く、透明又は半透明の材料で作成され得る。
【0070】
これに加え、上記薬剤供与器は、服用された錠剤の個数、及び/又は、更に服用されるべき錠剤の個数、及び/又は、カートリッジ内に依然として配置されている錠剤の個数を示す電子ディスプレイを有し得る。これらの情報項目の各々は、例えば手動選択により交互的に表示され得る。上記電子ディスプレイは、例えば、錠剤が服用されるべき期間が過ぎたか又は対処されなかったことを示すと共に、供与器において使用されるバッテリの充電状態を示す如く、付加的に設計され得る。上記ディスプレイはまた、ユーザが、例えば、第1段階は定常的に24日間に亙り、第2段階は例えば0〜96日間に亙る如く弾力的であり、且つ、第3段階は例えば再び定常的に4日間に亙るという第1、第2、第3又は第nの段階に在るということを示す表示内容などの、異なる投与段階の状態を視認するためにも使用され得る。
【0071】
上記情報を上記電子ディスプレイ上に表示し得るために、好適には自身上に取入れられた半導体集積回路を備える回路盤の形態の電子回路が配備される。例えば、表示モード(服用された錠剤の個数、カートリッジ内に依然として配置されている錠剤の個数)を選択するために、必要な入力を実施すべく、上記回路盤上には、好適には電子操作ボタンであるスイッチも取付けられて該回路盤に対して接続され得る。更に、例えば、上記供与器内へのカートリッジの最初の挿入又は押し込みによる上記供与器の最初の使用であって、その結果として、例えば、上記電気回路及び電子ディスプレイに対して電力を供給する役割を果たすバッテリが起動され、すなわち、上記回路及び上記ディスプレイに対して接続される上記供与器の最初の使用、及び、同様に、上記カートリッジ内に何個の錠剤が依然として配置されているかを正しく表示するために、錠剤の供与、カートリッジの放出、及び/又は、カートリッジ内に残存する所定の少数の錠剤の検出などの、上記カートリッジを備えた上記供与器の一定の動作状態を自動的に決定し得るべく、上記供与器には電気スイッチが配備され得る。最後に言及された機能に対し、完全に満杯のカートリッジにおける錠剤の個数から開始し、1個の錠剤毎の供与が検出されるならば、カートリッジ内に何個の錠剤が依然として配置されているかを計算すれば、通常は十分である。但し、この表示は、完全に満杯のカートリッジにおける各錠剤の不可避の厚み許容差の故に錠剤の個数が変動するならば、誤差に遭遇することがある。この誤差は、例えば、カートリッジ内に依然として4個の錠剤が配置されていることを検出することにより、除外され得る。
【0072】
本発明は以下において、各図中に概略的に示される代表的実施形態に基づき更に詳細に説明される。但し、本発明は、各実施形態に限定されるのでは無く、代わりに、好適実施形態を示すのみである。本発明の個別的な特徴の変更例を備えた他の実施形態は、等しく想起可能であると共に、本発明の保護の範囲内に収まる。個々の図における同一の参照番号は、同一の要素を表し、又は、機能が同一であるか又はそれらの機能に関して対応する要素を表している。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1A】挿入されたカートリッジを備えた本発明に係る供与器の正面斜視図である。
【図1B】背面図とされた図1Aと同様の図である。
【図2】挿入されたカートリッジを備えると共に此処では背面から示された上記供与器の内部の斜視図である。
【図3】錠剤を供与するために必要な単体化デバイスの各部分を備えたハウジング内部フレーム構造であって、此処では供与器の前部から示されるハウジング内部フレーム構造の下側部分の詳細な斜視図である。
【図4】錠剤が充填されると共に上記単体化デバイスを備えたカートリッジを正面から見た断面図である。
【図4A】正面から見た上記カートリッジのヘッドの断面図である。
【図5】錠剤が充填されて挿入された(内部視認可能とされた)カートリッジを備えた供与器を外側殻体無しで背面から見た斜視図である。
【図5A】図1と同様に左側の繋止レバー上の圧力点の詳細を示す図である。
【図6】上記供与器のハウジング内部フレーム構造をスラスト・ブラケット及び定荷重スプリングと共に背面から見た斜視図である。
【図7】外側殻体無しで背面から見た上記供与器の詳細を上記カートリッジに対する繋止部と共に示す図である。
【図7A】カートリッジが繋止された上記供与器の左側部分の図7と同様の詳細な斜視図である。
【図7B】カートリッジが繋止解除された図7Aと同様の図である。
【図8A】カートリッジが満杯であるときの上記供与器の下側部分を側方ハウジング部分なしで放出ボタン及び解除ボタンと共に右側から見た部分的斜視図である。
【図8B】カートリッジが空とされた図8Aと同様の図である。
【図8C】脚部スプリング及び放出用スライドを備えた上記解除ボタンを背面から見た斜視図である。
【図8D】カートリッジの放出時における図8Cと同様の図である。
【図8E】上記ハウジングの前側部分及び後側部分無しで背面から見た上記供与器の断面図である。
【図9】背面から見た上記供与器の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0074】
図1A、図1Bに示された供与器1は、例えば避妊のために服用される錠剤Tを供与すべく使用される。上記供与器は特に、弾力的投薬計画と称される毎日的様式で服用される避妊薬、すなわち、24日間継続する第1投与段階において、且つ、その後において0〜96日間継続する第2投与段階において、第1及び第2投与段階が併せて120日まで継続し得る如く服用される避妊薬を供与するに適している。この場合にユーザは、第1投与段階の満了の後で、投与が中断されて投与無し段階が開始されるべき時点を判断する。上記第2投与段階に続く4日間の投与無し段階は、再び第1投与段階により追随される。
【0075】
当然乍ら、上記供与器は、例えば、ホルモン補充療法のための薬剤、利尿剤、又は、血圧降下剤などの他の錠剤Tを供与するためにも使用され得る。
【0076】
供与器1は、ハウジング前側シェル11.1(図1A)及びハウジング後側シェル11.2(図1B)と、該2つのハウジング・シェルを接続するハウジング部分12であって、当該供与器を3つの狭幅側部にて囲繞し、数個の部材で構成され、且つ、下側領域においては各側部にて起動ボタン14、15として設計されるハウジング部分12とを有する供与器ハウジング10を備えて成る。上記ハウジング部分は、領域13における一端面に配置される部材は堅固である一方、供与器本体に向かうボタン移動(矢印を参照)を実施し得るために上記供与器の狭幅面上で側方に配置される2つの上記起動ボタンが移動可能であることを確実とするために、複合材料から作成される。代替的に上記ハウジング部分は、起動ボタンが形成される如く下側領域において内方に押圧され得る変形可能な硬質シェルとしても設計され得る。
【0077】
ハウジング前側シェル11.1には、電子ディスプレイ16及び操作ボタン17、18が配備される。上記電子ディスプレイは、錠剤Tの投与をチェックするために使用される。操作ボタン14、15は、例えば、バッテリ、投与日、投与無し日、及び、カートリッジ内に依然として配置された錠剤の個数をチェックし、且つ、錠剤の投与が中断されるべきか否かを選択するために、上記ディスプレイ上に示されたメニュー項目を選択するために使用される。
【0078】
図1Bは、供与器1の後面を示している。該後面は、軸線方向に延在する窓部20であって、カートリッジ内に収容された錠剤Tを露呈する窓部20を含んでいる。この目的のために、上記窓部の領域における上記カートリッジのハウジング後側シェル11.2及び上記カートリッジ・ハウジングは、少なくとも上記窓部を通して視認可能な部分においては透明とされねばならない。
【0079】
供与器1の下側領域において、上記カートリッジの一部、すなわち、上記供与器のハウジングと面一に位置するカートリッジ底部シェル920が視認され得る。該カートリッジ底部シェルにおいては、錠剤Tのための供与開口922が視認され得る(図1A)。ハウジング前側シェル11.1内にはカートリッジ放出ボタン19が嵌合されると共に、該ボタンは、空となったときにカートリッジを上記供与器から放出するために矢印の方向に押圧される。
【0080】
図2は、背面から見た、(外側殻体なしでの)供与器1の一部分、及び、該供与器内に押し込まれたカートリッジ900を示している。上記カートリッジは下方から上記供与器内に押し込まれると共に(矢印を参照)、該カートリッジは単体化デバイス910を有し、該デバイスの一部はカートリッジ底部シェル920であり、且つ、該デバイスを介して、上記カートリッジは上記供与器の下側領域において供与器ハウジング上に担持される(図1A)。上記カートリッジは、内部に錠剤Tが配置されるカートリッジ・ハウジング930を付加的に備えて成る。このハウジングはカートリッジ前側シェル933及び(不図示の)カートリッジ後側シェルにより形成され、該カートリッジ後側シェルは、上記供与器において使用されるために、上記供与器の後面における窓部20を通して錠剤が視認され得る如く(図1B)、好適には透明材料で作成される。
【0081】
その内側に、供与器1は、該供与器の実質的に全ての静的機能を実施するハウジング内部フレーム構造100を含んでいる。該ハウジング内部フレーム構造は、例えば、カートリッジ・ハウジング930(該カートリッジ・ハウジングの前側半体が部分的にのみ視認され得る)を受容するために、一側から内方に円筒状に湾曲された(覆い隠されている)中央ウェブ110を有している。このウェブの内向き湾曲は、上記供与器の(此処では不図示の)更なる構造要素と協働して(参照番号150により示される)受容シャフトを形成し、上記カートリッジは下方から該シャフト内に向けて上記供与器内に押し込まれ得る。上記受容シャフトは此処では破線によってのみ示されると共に、長寸の中空空間により特徴付けられる。
【0082】
図3は、外側殻体無しで正面から見た、供与器1のハウジング内部フレーム構造100の下側部分を示している。上記カートリッジの単体化デバイス910は、上記供与器の底部狭幅側部において、但しこの場合には底部シェル920なしで、示される。この理由の故に、上記単体化デバイスに属する錠剤スライド部材940が此処では視認され得、該錠剤スライド部材940は、スライド部材ホルダ950内へと摺動すると共に該ホルダにより受容され、且つ、供与されるべき錠剤Tに対する受容区画室の役割も果たす貫通開口942を有する。第1位置において、この受容区画室は、該受容区画室内に配置された錠剤が外方に供与され得る如く、上記底部シェルの上記供与開口と面一である。上記錠剤スライド部材が(矢印により示された如く左方に向けて)第2位置へと移動されたとき、上記受容区画室は、この位置における該受容区画室内へと錠剤が落下し得る如く、(不図示の)カートリッジ・ハウジング930により形成される錠剤用のリザーバと面一となる。この位置において上記受容区画室は底部にて、(不図示の)カートリッジ底部シェル920により閉じられる。この移動を行うために、以下の構造要素が配備される。
【0083】
供与器ハウジング10上の起動ボタン14、15は、供与器1を起動すべく内方に押圧される(図1A;各矢印を参照)。これを行う際にそれらは、2つの伝達レバー、すなわち右側伝達レバー210及び左側伝達レバー220に作用する。これらの2つの伝達レバーは、歯付きロッド212及び222を夫々有すると共に、これらの歯付きロッドを介して歯付きホィール230に対して作用的に接続される。該歯付きホィールは、ハウジング内部フレーム構造100上に取付けられる。上記右側伝達レバーは、この伝達レバーが、故に、上記左側伝達レバーも、開始位置(第1位置)へと、すなわち上記各起動ボタンの起動後に両方のレバーが外方へと駆動される位置へと復帰する如く、圧縮スプリング240を介して当接部102上に支持される。上記伝達レバー上には、凹所226を有する張出しアーム224も一体的に形成される。錠剤スライド部材940上には担体突起部944が一体的に形成され、この凹所内に係合する。伝達レバー210、220は圧縮スプリング240のスプリング力により外方に付勢されることから、各レバーは、上記錠剤スライド部材が(図3に示された)右側位置に配置される如く、外側の負荷解除(第1)位置に配置される。この位置において、上記錠剤スライド部材における受容区画室942は、カートリッジ底部シェル920における供与開口922と面一である。起動ボタン14、15の起動により、各伝達レバーは内方に付勢されることから、上記錠剤スライド部材を左方(第2位置)へと押圧する。この様にして、上記受容区画室は、1個の錠剤が上記カートリッジのリザーバから該受容区画室内へと落下する如く、上記リザーバと面一な位置へと移動される。上記各起動ボタンから手が放されたとき、各伝達レバーは、故に、上記スライド部材内に配置された上記受容区画室もまた、該受容区画室が上記供与開口と面一となる上記位置に該受容区画室が再び到達する如く、スプリング力により右方へと戻し移動される。この様にして、1個の錠剤が上記供与器から供与される。
【0084】
図4は、正面から見た、錠剤Tが充填されたカートリッジ900の断面図を示している。該カートリッジは、此処で認識可能なカートリッジ底部シェル920を備えた単体化デバイス910と、(此処では不図示の)カートリッジ前側シェル及びカートリッジ後側シェル932により構成されるカートリッジ・ハウジング930とを有する。該カートリッジ前側シェル及びカートリッジ後側シェルに依り、各錠剤が内部に積層される円筒状リザーバが形成される。上記2つのカートリッジ・シェルの間において、一側(右側)には、軸線方向に延在するスリットが配置される。
【0085】
此処に示された形態においてカートリッジ900は別体的に取扱い可能であり、すなわち、該カートリッジは、供与器における実質的に円筒状の受容シャフト150内へと該カートリッジを端面から押し込まれて該シャフト内に繋止されることにより、供与器1を補充すべく使用され得る。別体的なカートリッジの搬送及び保存のために、該カートリッジは好適には、例えば袋又はブリスタ・パック内などの、水密で気密な補助パッケージ内に密閉される。
【0086】
錠剤Tの積層体の上方にて、カートリッジ・ハウジング930内には、上記カートリッジのリザーバ(図4A)内で基本的に軸線方向に自由に移動し得る錠剤後押し部材960が載置される。この目的のために、上記錠剤後押し部材の後押し部材アーム961は、(不図示の)カートリッジ前側シェル933とカートリッジ後側シェル932との間で軸線方向に延在するスリットに貫通係合する。上記錠剤後押し部材は、錠剤の積層体上に着座する。しかし、頂部に向かう該錠剤後押し部材の軸線方向移動は、許容差補償プラグ970により制限される。このプラグは、各錠剤Tによりカートリッジ900が充填される前に上記リザーバ内に嵌合されると共に、該カートリッジが充填された後で、該プラグは錠剤の積層体及び上記錠剤後押し部材上へと押圧される。上記許容差補償プラグは摩擦係合を以て上記リザーバ内で摺動することから、個々の錠剤が所定位置から外れて又は相互に対して滑動し得ない様に、該プラグは、上記供与器の外部にてカートリッジを取扱う間は錠剤の積層体上へと押圧され且つ積層体を一体的に保持する。これにより、一方においては各錠剤の摩耗が回避され、他方においては、自由な移動の間において各錠剤が縁部に沿い又は所定角度とされて配置されることが回避される。これにより、上記リザーバ内における各錠剤の傾斜が、故に詰まりが、阻止される。許容差補償プラグ970の摩擦摺動を達成するために、該プラグは、本体971と、上記カートリッジ・ハウジングの内側壁上に当接して担持される繋止突起部972、972’を備えた2つのスプリング要素とを有している。上記摩擦係合を行うために、各繋止突起部が上記内側壁と接触する領域(図4Aにおける詳細を参照)において、該内側壁は相互に対置されたラチェット軌道975を有する。これらのラチェット軌道は約2cmの長さに沿ってのみ形成される、と言うのも、個々の錠剤の厚みの許容差から帰着する積層体高さの変動を補償することが必要な領域においてのみ、上記許容差補償プラグがカートリッジ・ハウジングの内側壁に対して摩擦接続されるべきである様に、該プラグは、上記カートリッジが完全に満杯であるときにのみ取扱いの間において緊密に詰め込まれた各錠剤を維持することが意図されるからである。
【0087】
図5は外側殻体なしで背面から見た供与器1を示しており、該供与器1は、錠剤Tが充填されたカートリッジ900を収容している。該カートリッジは、錠剤の積層体上に着座する錠剤後押し部材960であって、カートリッジ・ハウジング930から突出する後押し部材アーム961を有する錠剤後押し部材960を含んでいる。繋止突起部972を備える各スプリング要素(此処ではスプリング要素の一方が示される)を囲繞する許容差補償プラグ970は、上記錠剤後押し部材上に着座する。上記各スプリング要素の繋止突起部は、ラチェット軌道975に係合する。
【0088】
供与器1は、ハウジング内部フレーム構造100の中央ウェブ110の回りに係合するスラスト・ブラケット300であって、例えば、上記ウェブの各側面と当該ブラケットのU状脚部311、312とにより形成された蟻継ぎ案内部により、又は、上記ウェブの各側面上へのこれらのU状脚部の繋止(図6)により、軸線方向において該ウェブに沿い移動可能とされて該ウェブ上で案内されるスラスト・ブラケット300を付加的に備えて成る。
【0089】
図6においては、供与器1の背面から見た、スラスト・ブラケット300を備えたハウジング内部フレーム構造100が示される。上記スラスト・ブラケットは、U状脚部311、312に対して略直角にて該U状脚部上に形成された2つの張出し部315、316を有する。これらの張出し部の端部には、定荷重スプリング320、330の一端に対する留め具が在る。それらの夫々の他端にて、上記定荷重スプリングは、ハウジング内部フレーム構造100の下側部分に締着されて其処に巻回される。この様にして、軸線方向における上記スラスト・ブラケットの上方移動は、上記定荷重スプリングのスプリング力に抗してのみ達成され得る。但し代替的に、各定荷重スプリングはまた、例えば上記スラスト・ブラケットの張出し部上などの、該スラスト・ブラケット上の適切なホルダに巻回して保持されると共に、それらの他端は底部にて、上記ハウジング内部フレーム構造上に締着され得る。
【0090】
上記カートリッジが供与器1内の(此処では不図示の)受容シャフト150内へと下方から押し込まれるとき(矢印)、該カートリッジの(不図示の)カートリッジ後側シェルとカートリッジ前側シェル933との間の軸線方向スリットに貫通係合している後押し部材アーム961(図5)は、スラスト・ブラケット300のU状脚部311の下側部に係合すると共に、上記カートリッジが押し込まれるにつれて上記スラスト・ブラケットを上方に押圧する。錠剤後押し部材960は錠剤の積層体上に着座すると共に、押し込まれつつあるときに上記カートリッジは満杯であることから、上記スラスト・ブラケットもまた、上記中央ウェブの上端部まで上方に押圧される。この様にして、2つの定荷重スプリング320、330は、上記スラスト・ブラケットが下向きのスプリング張力に委ねられる如く、張設される。この張力は、上記錠剤後押し部材を介して錠剤の積層体へと伝達される。
【0091】
カートリッジ900が供与器1の受容シャフト150内へと押し込まれたとき、該カートリッジは該供与器内に繋止される。この目的のために、上記カートリッジに対しては左側繋止レバー420及び右側繋止レバー410が配備される。各繋止レバーは、枢動点415、425にてハウジング内部フレーム構造100上に取付けられる。各繋止レバーの夫々の下端部には繋止突起部412、422が配備される(図7、図7A、図7B)。これらの繋止突起部412、422は、上記各繋止レバーの下側脚部が、故に該繋止レバーの繋止突起部が内方に傾斜されたとき(図5;内方に向けられた矢印を参照)、上記カートリッジのハウジング前側シェル932上の対応鳩目981、982に係合する(図7A、図7B)。この傾斜運動は、供与器内へのカートリッジの挿入時にスラスト・ブラケット300は、上記ハウジング内部フレーム構造の中央ウェブ110上で上方へと押圧されてから、上側領域にては、上記各繋止レバーの乗り上げ表面416、426に沿い摺動することから、各繋止レバーを頂部にて相互から離間させる、という事実によりもたらされる。この様にして、各繋止レバーの上側脚部は外方へと枢動されることから、各下側脚部は内方へと枢動される。夫々の枢動点の上方にて各繋止レバーに対して一体的に形成されたスプリング・アーム417、427は、各繋止レバーがこの位置に固定的に保持される(図5A)如く、協働する突出部419、429の背後において、対応する圧力点418、428を介して上記ハウジング内部フレーム構造に対して弾性嵌合される。故に、満杯のカートリッジが押し込まれた後、各繋止レバーは、カートリッジがもはや補助手段なしでは取り外され得ない様に、繋止位置に拘束される。これにより、カートリッジが挿入時に完全に満杯である限りにおいて、供与器内に挿入されて該供与器内に繋止された後で該カートリッジは再び取り外され得ないことが確実とされる、と言うのも、上記スラスト・ブラケットは各繋止レバーの乗り上げ表面まで押し上げられることからこれらの繋止レバーを繋止位置へと移行させるからである。この繋止作用は、カートリッジが完全に空になるまで維持される。
【0092】
空のカートリッジを上記供与器から放出し得るために、上記各繋止レバーにより引き起こされる阻止を解除する放出機構が配備される。この放出機構の詳細は、図8A、図8B、図8C、図8D及び図8Eに示される。
【0093】
カートリッジを放出し得るために、(覆い隠されている)放出ボタン19を構成する放出用スライド部材600の直ぐ背後に配置された解除レバー500が配備される。該解除レバーは、脚部スプリング510(図8C、図8D)により、実質的に垂直な位置に固定される。この目的のために上記解除レバーはピン520、520’により、ハウジング前側シェル11.1上に一体的に形成された鉤爪121、122において、ハウジング前側シェル11.1上に取付けられる。上記解除レバーは、上記脚部スプリングのスプリング力に対抗してのみ、各鉤爪内で枢動可能(図8A、図8B、図8C、図8Dにおける矢印)である。
【0094】
解除レバー500の休止位置において捕捉突起部531、532(又は代替的に、まさに単一の捕捉突起部)は放出用スライド部材600の対応突出部611、612の正面に(又は代替的に、まさに単一の突出部の正面に)位置して上記スライド部材の下向きの平行移動を阻止するという事実により、解除レバー500は、放出用スライド部材600を束縛することから、放出ボタン19を束縛する(放出阻止)。図8Cは、上記解除レバーにより束縛された上記放出用スライド部材を示す一方、図8Dの概観において上記放出用スライド部材は繋止解除されて既に押し下げられている。
【0095】
各錠剤Tが供与される結果としてカートリッジ900が空とされるにつれ、供与器1におけるスラスト・ブラケット300は下方に摺動する(図8B)。上記カートリッジ内の最後の錠剤に対する行程の間において上記スラスト・ブラケットが最下位置に到達したとき、それは解除レバー500のレバー540に係合し、脚部スプリング510のスプリング力に抗して、該解除レバーの下端部を以て該解除レバーを前方に傾斜させる(図8B;矢印)。この様にして、上記解除レバーは放出用スライド部材600を解放し、捕捉突起部531、532は該放出用スライド部材の対応突出部611、612から離間して移動される。
【0096】
図8Eには、カートリッジ900の解放時における繋止レバー410、420の機能が示される。カートリッジの繋止は、約2mm(矢印)だけ押し下げられている放出用スライド部材600により解除される。それを行う上で、該放出用スライド部材の乗り上げ表面551、552は、繋止レバー410、420の下側脚部が外方(矢印)に押圧される如く、該下側脚部と接触する。この様にして、上記各繋止レバーの繋止突起部412、422は外方に押圧されると共に、上記カートリッジの鳩目981、982から解放される。上記カートリッジは、この様にして解放される。上記放出用スライド部材の更なる下方移動により、カートリッジは今や、下方向に放出され得る。この目的のために、上記放出用スライド部材の各捕捉突起部は同時に放出突起部として作用する、と言うのも、それらはカートリッジ底部シェル920の頂面の縁部に係合し、該縁部を、下向きの移動の結果として押し下げるからである。そのときに上記カートリッジは手により把持され得ると共に、供与器1の受容シャフト150から引抜かれ得る。起動の後、上記放出用スライド部材はスプリング力下で元の位置へと再び復帰する。脚部スプリング510は、この目的に資する。
【0097】
供与器1は、電子ディスプレイ16と、2つの電子操作ボタン17、18を有している(図1A)。上記電子ディスプレイは、カートリッジ900内に配置された錠剤Tの個数、及び、錠剤投与の状況、すなわち、24日間の第1投与段階が経過したのか未だ経過していないのかということ、及び、前者の場合が実状ならば、第2の弾力的な投与段階において既に経過した日数を表示すべく使用される。上記投与段階の間において、所定の時的間隔内に錠剤が服用されたか否かを表示することも可能である。これに加え、上記ディスプレイは、導入されることもある投与無し段階において既に何日が経過したかも示し得る。更に、上記ディスプレイは、バッテリ状況を示し得る。上記各操作ボタンは、投与無し段階への移行を選択すべく、且つ、種々のメニュー選択肢を選択すべく使用され得る。
【0098】
供与器1は、可及的に長期に亙り当該バッテリを交換する必要なしで該供与器1の機能性を維持すべく設計されたバッテリ1010、1020(代替的には、まさに単一のバッテリ)を含む(図2、図5)。故に、上記供与器は、カートリッジ900が最初に該供与器に押し込まれたときに該供与器を始動する初期化スイッチ710であって、上記ハウジング内部フレーム構造上に配置される(図9)初期化スイッチ710を含んでいる。このスイッチは、左側繋止レバー420の上側アーム上における該左側繋止レバーのスイッチ分岐部430により形成される。上記カートリッジが押し込まれるとき、それは上記左側繋止レバーの上記上側アームを外方に押圧する、と言うのも、スラスト・ブラケット300はこの繋止レバーの上側アーム上の乗り上げ表面426に沿い摺動し、それを行う上で上記アームを外方に押圧するからである(図5)。上記左側繋止レバー上に一体的に形成された上記スイッチ分岐部は、上記初期化スイッチに当接して押圧されてそれを起動する。このスイッチの起動により、それまでは電力消費なしに休止位置に置かれた電子機器は初期化され、且つ、上記初期化スイッチの特殊な構成により、上記カートリッジの引抜きの後でさえも、上記電子機器は投入されたままである。
【0099】
カートリッジ900が初めて供与器1に押し込まれるときに上記電子機器が初期化されるのと同時に、初期化スイッチ710に隣接して配置された(不図示の)第2スイッチが起動されると共に、該第2スイッチは、上記右側繋止レバーの上側アームが外方に押圧されている限り、すなわち、上記カートリッジが上記供与器内に留まる限りにおいてのみ、投入されたままである。上記カートリッジが取り外された後、この第2スイッチは、繋止レバー420の上側アームの内方枢動により再び切断される。この第2スイッチは、上記供与器内にカートリッジが配置されていることを上記電子機器に対して信号通知する。この様にして、特に、満杯のカートリッジ内には例えば30個の錠剤などの所定個数の錠剤Tが常に在るということに基づき、且つ、上記電子機器に対して送信される更なる信号であって、該信号により上記供与器からの1個の錠剤の取出しが夫々記録されるという更なる信号にも基づき、上記供与器内に配置されている錠剤Tの個数が算出され得る。更に、空のカートリッジが上記供与器から取出されて満杯のカートリッジが挿入されたとき、上記第2スイッチからの更なる信号は、今や完全に満杯のカートリッジが再び上記供与器内に配置されたことを上記電子機器に対して通知する。
【0100】
当該更なる信号により、供与器1からの1個の錠剤Tの取出しが記録される上記更なる信号は、伝達レバー210、220の一方の領域に配置された(不図示の)第3スイッチであって、各伝達レバーが起動される毎に投入されてこの更なる信号を生成する第3スイッチにより生成される。
【0101】
供与器1は更に、受容シャフト150の下側領域に配置された(不図示の)第4スイッチであって、該スイッチにより、スラスト・ブラケット300の摺動通過が記録され且つ付加的信号として上記電子機器へと伝達される第4スイッチを含んでいる。例えば5個のみの錠剤Tがカートリッジ内に残されているときなどの様に、カートリッジ900が最終的に空になる少し前に、この第4スイッチは、カートリッジ内に残存する錠剤の個数に関する信号を上記電子機器に対して送信すべく使用される。このことは、上記受容シャフト上におけるこの第4スイッチの厳密な空間的位置決めにより定義され、その結果として、該第4スイッチは、カートリッジ内に所定個数の錠剤が依然として在るときにのみ、1個の錠剤の取出しにより起動される。この確認計数は、まさに数個の錠剤が在るときに、カートリッジ内には依然として何個の錠剤が配置されているかをユーザに対して正しく表示するために必要とされ得る。これにより、残存する錠剤の個数に関して不正確な想定が行われないことが確実とされる、と言うのも、空となったカートリッジが適時にユーザに対して警告されなければ、重大なことになり得るからである。この予防的な対策は、カートリッジが錠剤により充填される程度が、充填シーケンスの間において所定位置における全ての制御手段により安全には確認され得ないときに好適である。この理由は、個々の錠剤の高さは許容差を有する結果、錠剤の積層体の高さも変動し得るからである。しかしいずれの場合においても、ユーザはハウジング後側シェル11.2における窓部20により、カートリッジ内に錠剤が依然として残されているか否かを判断し得る。
【0102】
此処に記述された各実施例及び各実施形態は例示の役割を果たすのみであること、並びに、各実施例及び各実施形態に対する種々の改変及び変更、並びに、本出願中に記述された他の特徴の組み合わせもまた、当業者に対して直ちに明らかであると共に、此処に記述された発明の開示範囲内及び各請求項の保護の有効範囲内に収まることは理解されよう。これにより、此処で言及された全ての特許及び特許出願は、本出願の開示内容に援用される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)内へと挿入され、前記固形薬剤片(T)を受容するリザーバを備えるように構成されるカートリッジ(900)において、
該カートリッジ(900)の保存及び搬送の間における前記固形薬剤片(T)の移動を阻止する安全搬送機構と、
前記リザーバ内で軸線方向に移動可能であると共に当該カートリッジ(900)における少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材(960)であって、前記軸線方向に作用する力を当該カートリッジ内の前記固形薬剤片(T)に対して伝達することで前記固形薬剤片(T)の縦列状配置を束縛する錠剤後押し部材(960)と、
を具備するカートリッジ(900)。
【請求項2】
前記安全搬送機構が、摩擦嵌合にて前記リザーバ内に着座し且つ前記軸線方向に移動可能な許容差補償プラグ(970)であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ(900)。
【請求項3】
前記許容差補償プラグ(970)が、当該カートリッジ(900)の前記リザーバの内側壁上に配置された形状部(975)に対して繋止される少なくとも1つの繋止手段(972)を有することを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ(900)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの繋止手段(972)が、前記形状部(975)上へと繋止される繋止突起部を備えた少なくとも1つの外方作用スプリング要素により形成されることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ(900)。
【請求項5】
当該カートリッジ(900)が、前記固形薬剤片(T)を軸線方向に供与するように構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)。
【請求項6】
前記錠剤後押し部材(960)が、前記薬剤供与器(1)内に配置されたスラスト手段(300)を帯同する役割を果たすことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)。
【請求項7】
交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)において、
当該薬剤供与器(1)が、前記カートリッジ(900)に対する受容手段を有し、且つ、
前記カートリッジ(900)が、前記固形薬剤片(T)を受容するリザーバを含むと共に、
該カートリッジ(900)の保存及び搬送の間における前記固形薬剤片(T)の移動を阻止する安全搬送機構と、
前記リザーバ内で軸線方向に移動可能であると共に当該カートリッジ(900)における少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材(960)であって、前記軸線方向に作用する力を当該カートリッジ内の前記固形薬剤片(T)に対して伝達することで前記固形薬剤片(T)の縦列状配置を束縛する錠剤後押し部材(960)と、
を具備する薬剤供与器(1)。
【請求項8】
前記安全搬送機構が、摩擦嵌合にて前記リザーバ内に着座し且つ前記軸線方向に移動可能である許容差補償プラグ(970)であることを特徴とする、請求項7に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項9】
前記カートリッジ(900)のための前記受容手段が、軸線方向に延在し且つ前記カートリッジ(900)の挿入のために構成される受容シャフト(150)の形状であり、且つ、前記リザーバが前記薬剤片(T)を縦列状配置で受容するように構成されることを特徴とする、請求項7及び8のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項10】
当該薬剤供与器(1)内には、当該薬剤供与器(1)内への前記カートリッジ(900)の挿入時に、当該薬剤供与器(1)内へと前記カートリッジ(900)が挿入される方向とは逆の軸線方向において該カートリッジ(900)に対して弾性力を及ぼす少なくとも1つの弾性手段(320、330)が設けられることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの弾性手段(320、330)が少なくとも1つの定荷重スプリングにより形成されることを特徴とする、請求項10記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項12】
当該薬剤供与器(1)が、前記受容シャフト(150)に沿って移動し且つ前記カートリッジ(900)内に収容された固形薬剤片(T)に対して弾性力を伝達するスラスト手段(300)を有することを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項13】
前記錠剤後押し部材(960)が、当該薬剤供与器(1)内に配置された前記スラスト手段(300)を帯同する役割を果たすことを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項14】
当該薬剤供与器(1)及び前記カートリッジ(900)が、薬剤片(T)を軸線方向に供与するように構成されることを特徴とする、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項15】
薬剤片(T)を格納する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)の使用法。
【請求項16】
前記薬剤片(T)はホルモン製剤であることを特徴とする、請求項15に記載の使用法。
【請求項17】
薬剤片(T)を格納して供与する、請求項7乃至14のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)が自身内に収容された、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)の使用法。
【請求項1】
固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)内へと挿入され、前記固形薬剤片(T)を受容するリザーバを備えるように構成されるカートリッジ(900)において、
該カートリッジ(900)の保存及び搬送の間における前記固形薬剤片(T)の移動を阻止する安全搬送機構と、
前記リザーバ内で軸線方向に移動可能であると共に当該カートリッジ(900)における少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材(960)であって、前記軸線方向に作用する力を当該カートリッジ内の前記固形薬剤片(T)に対して伝達することで前記固形薬剤片(T)の縦列状配置を束縛する錠剤後押し部材(960)と、
を具備するカートリッジ(900)。
【請求項2】
前記安全搬送機構が、摩擦嵌合にて前記リザーバ内に着座し且つ前記軸線方向に移動可能な許容差補償プラグ(970)であることを特徴とする請求項1に記載のカートリッジ(900)。
【請求項3】
前記許容差補償プラグ(970)が、当該カートリッジ(900)の前記リザーバの内側壁上に配置された形状部(975)に対して繋止される少なくとも1つの繋止手段(972)を有することを特徴とする請求項2に記載のカートリッジ(900)。
【請求項4】
前記少なくとも1つの繋止手段(972)が、前記形状部(975)上へと繋止される繋止突起部を備えた少なくとも1つの外方作用スプリング要素により形成されることを特徴とする請求項3に記載のカートリッジ(900)。
【請求項5】
当該カートリッジ(900)が、前記固形薬剤片(T)を軸線方向に供与するように構成されることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)。
【請求項6】
前記錠剤後押し部材(960)が、前記薬剤供与器(1)内に配置されたスラスト手段(300)を帯同する役割を果たすことを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)。
【請求項7】
交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)において、
当該薬剤供与器(1)が、前記カートリッジ(900)に対する受容手段を有し、且つ、
前記カートリッジ(900)が、前記固形薬剤片(T)を受容するリザーバを含むと共に、
該カートリッジ(900)の保存及び搬送の間における前記固形薬剤片(T)の移動を阻止する安全搬送機構と、
前記リザーバ内で軸線方向に移動可能であると共に当該カートリッジ(900)における少なくとも1つの軸線方向スリットに貫通係合する錠剤後押し部材(960)であって、前記軸線方向に作用する力を当該カートリッジ内の前記固形薬剤片(T)に対して伝達することで前記固形薬剤片(T)の縦列状配置を束縛する錠剤後押し部材(960)と、
を具備する薬剤供与器(1)。
【請求項8】
前記安全搬送機構が、摩擦嵌合にて前記リザーバ内に着座し且つ前記軸線方向に移動可能である許容差補償プラグ(970)であることを特徴とする、請求項7に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項9】
前記カートリッジ(900)のための前記受容手段が、軸線方向に延在し且つ前記カートリッジ(900)の挿入のために構成される受容シャフト(150)の形状であり、且つ、前記リザーバが前記薬剤片(T)を縦列状配置で受容するように構成されることを特徴とする、請求項7及び8のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項10】
当該薬剤供与器(1)内には、当該薬剤供与器(1)内への前記カートリッジ(900)の挿入時に、当該薬剤供与器(1)内へと前記カートリッジ(900)が挿入される方向とは逆の軸線方向において該カートリッジ(900)に対して弾性力を及ぼす少なくとも1つの弾性手段(320、330)が設けられることを特徴とする、請求項7乃至9のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの弾性手段(320、330)が少なくとも1つの定荷重スプリングにより形成されることを特徴とする、請求項10記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項12】
当該薬剤供与器(1)が、前記受容シャフト(150)に沿って移動し且つ前記カートリッジ(900)内に収容された固形薬剤片(T)に対して弾性力を伝達するスラスト手段(300)を有することを特徴とする、請求項7乃至11のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項13】
前記錠剤後押し部材(960)が、当該薬剤供与器(1)内に配置された前記スラスト手段(300)を帯同する役割を果たすことを特徴とする、請求項7乃至12のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項14】
当該薬剤供与器(1)及び前記カートリッジ(900)が、薬剤片(T)を軸線方向に供与するように構成されることを特徴とする、請求項7乃至13のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)を内部に収容する、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)。
【請求項15】
薬剤片(T)を格納する、請求項1乃至7のいずれか一項に記載のカートリッジ(900)の使用法。
【請求項16】
前記薬剤片(T)はホルモン製剤であることを特徴とする、請求項15に記載の使用法。
【請求項17】
薬剤片(T)を格納して供与する、請求項7乃至14のいずれか一項に記載の、交換可能カートリッジ(900)が自身内に収容された、固形薬剤片(T)に対する薬剤供与器(1)の使用法。
【図1A】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【図1B】
【図2】
【図3】
【図4】
【図4A】
【図5】
【図5A】
【図6】
【図7】
【図7A】
【図7B】
【図8A】
【図8B】
【図8C】
【図8D】
【図8E】
【図9】
【公表番号】特表2012−509821(P2012−509821A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537871(P2011−537871)
【出願日】平成21年11月14日(2009.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008125
【国際公開番号】WO2010/060548
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月14日(2009.11.14)
【国際出願番号】PCT/EP2009/008125
【国際公開番号】WO2010/060548
【国際公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【出願人】(300049958)バイエル ファーマ アクチエンゲゼルシャフト (357)
【Fターム(参考)】
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