説明

カートリッジ式給油タンク

【課題】騒音がある場所や薄暗い場所で燃油の補給作業を行う場合でも安全且つ確実に補給作業を完了できるカートリッジ式給油タンクを提供する。
【解決手段】給油タンク1に補給される燃油量を検知する油量検知部23と、給油口2の開閉を検知する開閉検知手段13と、給油タンク1内方に補給される燃油の満量近傍油面を一定範囲にわたって連続的に表示する油量表示部14とを備えたカートリッジ式給油タンクに於いて、開閉検知手段13が給油口2の開口を検知した時と、開閉検知手段13が給油口2の閉口を検知した時と、油量検知部23が給油タンク1内に補給された燃油が満量になったことを検知した時とで報知状態を変えて報知する発光報知手段18を設けたので、使用者は給油タンク1の給油口2が開口状態なのか、または閉口状態なのか、あるいは補給された燃油が満量になったのかを容易且つ明確に視認でき安全且つ確実に補給作業を完了できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、石油ファンヒ−タ−やポ−タブル石油スト−ブ等で使用される燃油を安全且つ確実に補給できるカートリッジ式給油タンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、この種のものに於いては、操作ボタンを引っ張ることで係止部の係止を解除して、給油口キャップを有した基部を自動的に起立させるといったワンタッチで給油口を開口させるカートリッジ式給油タンクがあり、給油口キャップを閉じる時には係止部の係止完了を「パチン」という音で報知するものがあった。(例えば、特許文献1参照。)
また、給油タンクへ燃油を補給する際、満量になるとブザーを鳴らして使用者に知らせ、燃油の溢れによって床を汚す等の不具合を防止するものがあった。(例えば、特許文献2参照。)
【特許文献1】特開平8−28860号公報
【特許文献2】特開2001−108228号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、この従来のものは、給油口キャップによる給油口の閉口を、「パチン」という音で閉口を確認するものであるが、騒音がある場所や高齢者等の耳がきこえにくい人が燃油の補給作業をした場合、給油口を確実に閉口できたかどうか確認できず、係止部の係止が不十分であった場合には、給油タンクを逆転して給油口を下向きにした時、係止部の係止が外れて燃油をこぼす危険性があるものであった。
また、薄暗いところで且つ騒音がある場所や、薄暗いところで高齢者等の耳がきこえにくい人が燃油の補給作業をする場合、給油タンク側面に備えられ燃油の補給量を目視できる油量表示部から油面の高さが見えにくく、満量になったことを知らせるブザー音も聞こえず、燃油を溢れさせる危険性があり、床を汚す等の不具合を有するものであった。
【課題を解決するための手段】
【0004】
この発明は上記課題を解決するために、特に請求項1ではその構成を、給油タンク本体の上面に設けた給油口と、該給油口を閉塞する給油口キャップと、前記給油タンクに補給される燃油量を検知する油量検知部と、前記給油口の開閉を検知する開閉検知手段と、前記給油タンク内方に補給される燃油の満量近傍油面を一定範囲にわたって連続的に表示する油量表示部とを備えたカートリッジ式給油タンクに於いて、前記開閉検知手段が前記給油口の開口を検知した時と、前記開閉検知手段が前記給油口の閉口を検知した時と、前記油量検知部が前記給油タンク内に補給された燃油が満量になったことを検知した時とで報知状態を変えて報知する発光報知手段を設けるものとした。
【0005】
又請求項2では、前記発光報知手段は、前記給油タンクの内部上方で前記油量表示部から目視できる油面を照らせる位置に設けられ、前記給油口開口時には点灯し、前記給油タンク内に補給される燃油が満量になった時には点滅し、前記給油口閉口時には消灯するものとした。
【発明の効果】
【0006】
この発明の請求項1によれば、発光報知手段は、開閉検知手段が給油口の開口を検知した時と、開閉検知手段が給油口の閉口を検知した時と、油量検知部が給油タンク内に補給された燃油が満量になったことを検知した時とで報知状態を変えて報知するので、どの状態であるのかを容易且つ明確に視認することができるものである。
【0007】
又、請求項2によれば、薄暗いところで燃油の補給作業をする場合においても、給油口を開口すると発光報知手段が点灯するので油量表示部から油面の高さが見やすくなり、安心して確実に燃油の補給作業を行うことができ、給油タンク内に補給された燃油が満量になった時には、発光報知手段は点灯から点滅に変化し、使用者は給油タンク内に燃油が満量となったことを容易且つ明確に知ることができる。さらに、燃油の補給作業を完了し、給油口を給油キャップにより閉口する時には、発光報知手段は消灯するので、騒音がある場所や高齢者等の耳が聞こえにくい人が燃油の補給作業をする場合でも、確実に給油口が閉口したことを使用者が容易に視認でき、給油タンクを逆転して給油口キャップを下向きにした時に、給油口キャップが外れて燃油をこぼすといった危険性がないものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
次に、この発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
1は縦長状で石油ファンヒーター等の機器に入出自在に備えられるカートリッジ式の給油タンクであり、この給油タンク1を機器から取り出して天地逆にして立たせた状態では、上面側に給油口2が突出開口しており固定板3によって固定されて備えられている。
【0009】
4は給油口2を開口及び閉口するための給油口キャップで、内方には機器へのセットで開口される弁装置5及び給油口2と密接するパッキン体6が備えられており、全体としては一端の軸支部7を支点に弾性部材8の反力起伏自在とした基部9に固着されているものである。
【0010】
10は固定板3上に備えられた係止ロットで、基部9に備えられたフック金具11を係止して給油口2を閉口すると共に、外方に突出した操作ボタン12を引っ張ることでこの係止を解除して、基部9を自動的に起立させて給油口2を開口させるものである。
【0011】
13は固定板3に備えられ給油口2の開閉を検知する開閉検知手段としてのスイッチ
で、操作ボタン12を引っ張り、係止ロット10とフック金具11との係止を解除すると、基部9が自動的に起立すると同時に基部9に押圧されていたスイッチ13の可動部13aが上方に可動することにより給油口2が開口したことを検知し、逆に基部9を給油口2を閉口させる方向に押していき係止ロット10でフック金具11を係止させると、基部9に押圧されスイッチ13の可動部13aが下方に可動することにより給油口2が閉口したことを検知するものである。
【0012】
14は給油タンク1の操作ボタン12側の側壁に設けられた油量表示部で、透明な合成樹脂板の外周をパッキン(図示せず)で覆って形成した表示窓15と、該パッキン部分をカバーしたカバー体16とから構成され、タンク内容量の75〜90%の一定範囲を連続的に表示し透明の表示窓15からそのまま外方から確認可能としたものである。
【0013】
17は油量表示部14と同一壁側に備えられた発光報知部で、発光報知手段としてのLED18と、LED18の光を透す透明な合成樹脂板で形成された透光カバー19と、この透光カバー19の外周を覆ったパッキン20と、該パッキン20部分をカバーした発光報知部カバー体21と、LED18の端部から発光報知部カバー体21までの隙間を埋める充填材22とから構成され、LED18は給油口2の開口時には点灯し、給油タンク1内に補給される燃油が満量になった時には点滅し、給油口2閉口時には消灯するというように報知状態を変えて報知するので、どの状態であるのかを容易且つ明確に視認することができるものである。
【0014】
23は油量表示部14と同一壁側に備えられた油量検知部で、給油タンク1内側に突出して油量を検知する機構部が設けられ、この油量検知部23のケーシング24内には
電子部品等が配置されているものである。
【0015】
油量を検知する前記機構部について説明すれば、25は逆L字型のアームで、一端側をケーシング24に固定されたアーム軸支部26に回動自在に取り付けられ、他端側のアーム短片25a先端にフロート27が設けられ、さらにアーム短片25aのフロート27に対向する側にはマグネット28が設けられているもので、補給する燃油の油量の増加に伴いフロート27が上昇し、満量によりマグネット28がケーシング24に接するように作動する。
【0016】
前記ケーシング24内には、満量状態でのマグネット28に対向する位置に該マグネット28の磁力によって閉成するリードスイッチ29と、マイコンを有した制御部30と、駆動電源である電池31とを備えている。
【0017】
前記制御部30は、スイッチ13とリード線32を介して接続され、LED18とはリード線33を介して接続され、リードスイッチ29とはリード線34を介して接続されており、給油口2の開閉を検知するスイッチ13と油量検知部23のリードスイッチ29とからの入力を受けてLED18の作動を制御するものである。
【0018】
次に、この発明の一実施形態の作動について図7のフローチャートに基づき説明する。
給油タンク1内の燃油が空となり燃油の補給が必要となった場合に、給油タンク1を機器から取り出して給油口2が上になるように天地逆にして立たせた状態で置く。そして図7に示すように、まずステップ1(以下、S1と略す)で、給油口2が開口したかどうかを判断し、給油口2が開口していない場合にはNOでS1に戻り、給油口2が開口した場合にはYESでS2に進み、S2で制御部30はLED18を点灯させる制御を行い、その後S3に進む。
【0019】
そして、S3で給油口2が閉口したかどうか判断し、給油口2が閉口した場合には、YESでS4に進み、S4で制御部30はLED18を消灯させる制御を行い、燃油の補給作業を終了する。一方、S3で給油口2が閉口していなかった場合には、NOでS5に進み、S5で給油タンク1内が補給された燃油で満量となったかどうか判断する。S5で給油タンク1内が補給された燃油で満量となった場合には、YESでS6に進み、S6で制御部30はLED18を点灯させる制御から点滅させる制御に変更し、その後S3へ戻り、S5で給油タンク1内が補給された燃油で満量となっていない場合には、NOでS3へ戻るものである。
【0020】
次に、実際に燃油を補給する時の動作について具体的に説明する。
給油タンク1内の燃油が空となり燃油の補給が必要となった場合には、給油タンク1を機器から取り出して給油口2が上になるように天地逆にして立たせた状態で置く。そして、まず操作ボタン12を引っ張り、係止ロット10とフック金具11との係止を解除し、基部9が自動的に起立すると同時に基部9に押圧されていたスイッチ13の可動部13aが上方に可動する。この時、スイッチ13の接点が閉成し、制御部30は給油口2が開口したことを検知し、LED18を点灯させる制御を行い、給油口2が開口していることを使用者に報知する。その後、この給油口2にホースポンプ等(図示せず)を挿入して燃油を補給するものである。
【0021】
燃油の補給を継続し、給油タンク1内の油量が内容量の75%に達すると、油量表示部14による油量表示が開始され、すなわち表示窓15に給油タンク1内の油面がそのまま見えて表示される。この時、前記S2でLED18が点灯していることにより給油タンク1内の油面は照らし出されているので、薄暗いところで燃油の補給作業をする場合においても、表示窓15から油面の高さが見やすくなり、現在の給油量を確実に知ることができ、安心して確実に燃油の補給作業を行うことができるものである。
【0022】
更に補給が進み、給油タンク1の内容量の90%に当たる表示窓15の満量の位置まで達したとき、油量検知部23のフロート27は上昇してマグネット28がリードスイッチ29と対向する。この時、リードスイッチ29がマグネット28の磁力によって閉成し、制御部30は補給された燃油が満量となったことを検知し、制御部30はLED18を点灯から点滅にする制御を行う。これにより、使用者は給油タンク1内に燃油が満量となったことを容易且つ明確に知ることができ、直ちに燃油の補給を停止し燃油を溢れさせる心配がないものである。
【0023】
補給された燃油が満量となり補給作業を終了すると、基部9を給油口2を閉口させる方向に押していき、係止ロット10でフック金具11を係止させて、給油口キャップ4にて給油口2をワンタッチで閉口させる。この時、基部9を給油口2を閉口させる方向に押していくと、スイッチ13の可動部13aは基部9に押圧され下方に可動する。それによりスイッチ13の接点が開成し、制御部30は給油口2が閉口したことを検知し、LED18を消灯させる制御を行い、給油口2が閉口したことを使用者に報知する。これにより、騒音がある場所や高齢者等の耳が聞こえにくい人が燃油の補給作業を完了した場合でも、確実に給油口2が閉口したことを使用者が容易に視認でき、係止ロット10とフック金具11との係止が不十分なことがなく、給油タンク1を逆転して給油口2を下向きにした時に、係止ロット10とフック金具11との係止が解除されて燃油をこぼすといった危険性がないものである。
【0024】
また、給油口2にホースポンプ等(図示せず)を挿入して燃油の補給を開始した後、燃油を溜めておいた燃油タンク(図示せず)が空になる等して、給油タンク1に補給される燃油が満量になる前に補給作業が完了し給油口2を閉口する場合や、給油口2を開口したが燃油を補給せず給油口2を閉口する場合には、制御部30は給油口2が閉口したことを検知すると、LED18を点灯状態から消灯状態にするものである。
【0025】
なお、本発明は上記の一実施形態に限定されるものではなく、本実施形態では給油口2の開閉を検知する手段として、スイッチ13を給油口2側の固定板3上に取り付けたが、基部9のフック金具11が備えられた側に取り付けてもよいものである。
【0026】
また、給油口2の開閉及び燃油の満量を報知する発光報知手段として、LED18を用いたが、豆電球等を用いてもよいものである。
【0027】
また、操作ボタン12を引っ張ることで係止ロット10とフック金具11との係止を解除するといったワンタッチで給油口2を開口するカートリッジ式の給油タンク1に本発明を適用したが、図8に示すように、周壁にフランジ部35を備えた給油口キャップ4を給油口2に着脱自在に螺着するようなカートリッジ式の給油タンク1に本発明を適用してもよく、この場合、図9に示すように、給油口2を閉口する時はフランジ部35によりスイッチ13の可動部13aが押圧されて給油口2が閉口したことを検知し、制御部30はLED18を消灯させる制御を行い、逆に給油口2を開口する時にはフランジ部35に押圧されていたスイッチ13の可動部13aが上方に可動することにより、給油口2が開口したことを検知し、制御部30はLED18を点灯させる制御を行うものである。なお、給油タンク1内に燃油が満量となった時に制御部30はLED18を点灯から点滅にする制御を行うことは言うまでもない。
【0028】
また、本発明は上記した一実施形態及び他の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲で様々な変形が可能であり、これを妨げるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】この発明の一実施形態の概略構成図。
【図2】同給油口開口状態を示す要部斜視図。
【図3】同発光報知部の縦断面図。
【図4】同油量検知部の縦断面図。
【図5】同給油口開閉時における開閉検知手段の状態を示す説明図。
【図6】同開閉検知手段と油量検知部のリードスイッチと発光報知部の発光報知手段との関係を示す回路図。
【図7】同要部フローチャート。
【図8】この発明の他の実施形態の概略構成図。
【図9】同他の実施形態の給油口開閉時における開閉検知手段の状態を示す説明図。
【符号の説明】
【0030】
1 給油タンク
2 給油口
4 給油口キャップ
13 開閉検知手段(スイッチ)
14 油量表示部
18 発光報知手段(LED)
23 油量検知部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
給油タンク本体の上面に設けた給油口と、該給油口を閉塞する給油口キャップと、前記給油タンクに補給される燃油量を検知する油量検知部と、前記給油口の開閉を検知する開閉検知手段と、前記給油タンク内方に補給される燃油の満量近傍油面を一定範囲にわたって連続的に表示する油量表示部とを備えたカートリッジ式給油タンクに於いて、前記開閉検知手段が前記給油口の開口を検知した時と、前記開閉検知手段が前記給油口の閉口を検知した時と、前記油量検知部が前記給油タンク内に補給された燃油が満量になったことを検知した時とで報知状態を変えて報知する発光報知手段を設けたことを特徴とするカートリッジ式給油タンク。
【請求項2】
前記発光報知手段は、前記給油タンクの内部上方で前記油量表示部から目視できる油面を照らせる位置に設けられ、前記給油口開口時には点灯し、前記給油タンク内に補給される燃油が満量になった時には点滅し、前記給油口閉口時には消灯するようにしたことを特徴とする請求項1記載のカートリッジ式給油タンク。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−309386(P2008−309386A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−157197(P2007−157197)
【出願日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【出願人】(000000538)株式会社コロナ (753)
【Fターム(参考)】