説明

カートン材供給装置

【課題】積み重ねられた状態のカートン材を起立状態で順次重ねて供給する際に、初回供給時の手作業が不要となり、保持手段を前後及び上下に作動させるだけで良いため、構成が簡略化でき、装置も小型化できるカートン材供給装置の実現。
【解決手段】予め決められた個数の製品をまとめて梱包するためのカートン材を、積み重ねられた状態の複数のカートン材からなるカートン束1として供給するカートン材供給装置は、水平方向に倒れた状態で搬送されてくる前記カートン束を、鉛直方向に起立させた状態とする姿勢変更手段10と、前記起立させた状態の前記カートン束が倒れないように保持する保持手段20と、を有し、前記保持手段は、複数のカートン束が順次重ねて保持されていくのに伴って、前記カートン束を起立させた状態のままカートン受部30に移動し、当該複数のカートン束が当該カートン受部に近接したことを検出すると、当該カートン受部に前記カートン束を立てかけるように退避する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、缶ビールを24本ずつまとめて梱包するためのカートン材を、積み重ねられた状態の複数のカートン材からなるカートン束として梱包機(ケーサー)に供給するカートン材供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、カートンマガジンに収容されたカートン束の背後からカートンを押し出す押圧機構が記載されている。
【0003】
また、特許文献2,3には、カートンを起立又はやや傾斜した状態で供給するカートンマガジンにおいて、コーナーガイド又は仕切体を一定間隔で配置してカートンを支持する機構が記載されている。
【特許文献1】特開昭63−191725号公報
【特許文献2】特開平7−101570号公報
【特許文献3】特開平9−240621号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来、予め決められた個数(例えば、24本)の缶ビールを梱包するためのケーサーにカートン材を供給する際には、初期の供給時に、所定のカートン束が順次供給されるまで作業者がカートン束の倒れを手で抑える必要があり、作業効率及び安全性の観点から改善の余地がある。
【0005】
ここで、特許文献1では、カートン束を起立した状態で支持する機構は搭載されていないため、起立した状態で順次重ねて供給することは不可能である。
【0006】
また、特許文献2,3では、コーナーガイドや仕切体をベルトコンベアのように循環させて初期位置に復帰させる機構が必要となり構成が複雑となると共に、循環に伴うスペースが必要となるため装置が大型化する。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みてなされ、その目的は、積み重ねられた状態のカートン材を起立状態で順次重ねて供給する際に、初回供給時の手作業が不要となり、保持手段を前後及び上下に動作させるだけで良いため、構成が簡略化でき、装置も小型化できるカートン材供給装置を実現することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成するため、本発明に係るカートン材供給装置は、予め決められた個数の製品をまとめて梱包するためのカートン材を、積み重ねられた状態の複数のカートン材からなるカートン束1として供給するカートン材供給装置であって、水平方向に倒れた状態で搬送されてくる前記カートン束を、鉛直方向に起立させた状態とする姿勢変更手段10と、前記起立させた状態の前記カートン束が倒れないように保持する保持手段20と、を有し、前記保持手段は、複数のカートン束が順次重ねて保持されていくのに伴って、前記カートン束を起立させた状態のままカートン受部30に移動し、当該複数のカートン束が当該カートン受部に近接したことを検出すると、当該カートン受部に前記カートン束を立てかけるように退避する。
【0009】
また、好ましくは、前記姿勢変更手段は、前記水平方向に倒れた状態のカートン束を支持する支持部11と、前記支持部を、鉛直方向に起立させた状態に回動する駆動部13と、を有する。
【0010】
また、好ましくは、前記保持手段は、前記カートン束を起立させた状態で前後方向に移動し、所定の位置で上方に退避する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、積み重ねられた状態のカートン材を起立状態で順次重ねて供給する際に、初回供給時の手作業が不要となり、保持手段を前後及び上下に作動させるだけで良いため、構成が簡略化でき、装置も小型化できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明の実施の形態について、添付図面を参照して詳細に説明する。
尚、以下に説明する実施の形態は、本発明の実現手段としての一例であり、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲で下記実施形態を修正又は変形したものに適用可能である。
【0013】
[カートン材供給動作の説明]
図1及び図2は、本発明に係る実施形態のカートン材供給装置の構成及び動作を概略的に示す図である。図3は、従来のカートン材供給装置の構成及び動作を概念的に示す図である。
【0014】
本実施形態のカートン材供給装置は、例えば、ビール製造ラインにおいて、缶ビール製品を、予め決められた個数(例えば24本)ずつをまとめてケーサーと呼ばれる梱包機により梱包する工程に設置され、缶ビールを24本ずつまとめて梱包するためのカートン材を、積み重ねられた状態のシート状の複数のカートン材からなるカートン束として上記ケーサーに供給するものである。
【0015】
図1及び図2に示すように、カートン材供給装置は、不図示のカートン供給源から水平方向に倒れた状態で搬送されてくる、複数枚(100枚程度)の積み重ねられた状態のシート状のカートン材からなるカートン束1を、鉛直方向に起立させた状態とする姿勢変更ユニット10と、起立させた状態のカートン束1が倒れないように保持する保持ユニット20と、を有する。
【0016】
上記姿勢変更ユニット10は、水平方向に倒れた状態のカートン束1を支持する支持部11と、当該支持部11を、回転軸12を中心に鉛直方向に起立させた状態に回動するエアシリンダ等からなる駆動部13(図1(c)のみに図示)と、を有する。
【0017】
上記保持ユニット20は、サーボモータ等の駆動源21を有し、複数のカートン束1が順次重ねて保持されていくのに伴って、カートン束1を起立させた状態のままケーサーのカートン受部30に移動し、当該複数のカートン束1が当該カートン受部30に近接したことを検出すると、当該カートン受部30にカートン束1を立てかけるようにして退避する。ここでは、上記保持ユニット20が保持するカートン束1の厚み(カートン枚数)を検出するセンサを設け、検出された厚み(カートン枚数)に応じて保持ユニット20を徐々にカートン受部30に移動させる。また、上記保持ユニット20の移動量を後述するモータ23bのパルス信号等を利用して検出し、この移動量が所定量以上となったならば、複数のカートン束1がカートン受部30に近接したと判定して、上記保持ユニット20を上方に退避させる。
【0018】
これに対して、図3に示す従来の構成では、カートン束1の初回の供給時に、ある程度の個数のカートン束1が順次供給されるまで作業者がカートン束1の倒れを手で抑え、カートン束1がケーサーのカートン受部30まで到達し、カートン束1が倒れない状態になってから手を離すようにしている。
【0019】
[詳細構成]
図4は、本発明に係る実施形態のカートン供給装置に搭載される保持ユニットの詳細な構成を示す正面図(a)、左側面図(b)及び右側面図(c)である。
【0020】
図4は、本発明に係る実施形態のカートン材供給装置に搭載される保持ユニットの詳細な構成を示す図である。
【0021】
図4において、保持ユニット20は、複数のカートン束1を保持するガイドアーム22と、ガイドアーム22を前後方向に移動可能に支持する前後ユニット23と、ガイドアーム22を上下方向に駆動する上下ユニット24とを有する。前後ユニット23は、フレーム部25によって装置本体26に支持され、水平に設置される装置本体26に対して15°傾斜して配置されている。これは、起立した状態で順次重ねて保持されていくカートン束1が自重によりガイドアーム22に対して横たわるようになり、カートン束1の姿勢が安定するからである。
【0022】
前後ユニット23には、ガイドアーム22を前後方向にスライド可能に支持するレール部23aと、ガイドアーム22を前後方向に駆動するモータ23b及びボールネジ機構23cが搭載されている。また、上下ユニット24には、前後ユニット23と直交するように配置され、前後ユニット23を上下方向に移動可能に支持すると共に、前後ユニット23を上下方向に駆動するシリンダ24aが搭載されている。
【0023】
ガイドアーム22は、カートン束1が起立した状態で順次重ねられていくのに伴って、前後ユニット23により、カートン束1を起立させた状態のまま図1及び図2に示したケーサーのカートン受部30まで前後方向に移動し、当該複数のカートン束1が当該カートン受部30まで到達すると、上下ユニット24により当該カートン受部30にカートン束1を立てかけるように上方に退避する。
【0024】
上記構成によれば、積み重ねられた状態のカートン材を起立状態で順次重ねて供給する際に、初回供給時の手作業が不要となり、保持手段を前後及び上下に作動させるだけで良いため、構成が簡略化でき、装置も小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明に係る実施形態のカートン材供給装置の構成及び動作を概略的に示す図である。
【図2】本発明に係る実施形態のカートン材供給装置の構成及び動作を概略的に示す図である。
【図3】従来のカートン材供給装置の構成及び動作を概念的に示す図である。
【図4】本発明に係る実施形態のカートン供給装置に搭載される保持ユニットの詳細な構成を示す正面図(a)、左側面図(b)及び右側面図(c)である。
【符号の説明】
【0026】
1 カートン束
10 姿勢変更ユニット
11 支持部
12 回転軸
13 駆動部
20 保持ユニット
22 ガイドアーム22
23 前後ユニット
24 上下ユニット
25 支持フレーム
26 装置本体
30 カートン受部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め決められた個数の製品をまとめて梱包するためのカートン材を、積み重ねられた状態の複数のカートン材からなるカートン束として供給するカートン材供給装置であって、
水平方向に倒れた状態で搬送されてくる前記カートン束を、鉛直方向に起立させた状態とする姿勢変更手段と、
前記起立させた状態の前記カートン束が倒れないように保持する保持手段と、を有し、
前記保持手段は、複数のカートン束が順次重ねて保持されていくのに伴って、前記カートン束を起立させた状態のままカートン受部に移動し、当該複数のカートン束が当該カートン受部に近接したことを検出すると、当該カートン受部に前記カートン束を立てかけるように退避することを特徴とするカートン材供給装置。
【請求項2】
前記姿勢変更手段は、前記水平方向に倒れた状態のカートン束を支持する支持部と、前記支持部を、鉛直方向に起立させた状態に回動する駆動部と、を有することを特徴とする請求項1に記載のカートン材供給装置。
【請求項3】
前記保持手段は、前記カートン束を起立させた状態で前後方向に移動し、上方に退避することを特徴とする請求項1又は2に記載のカートン材供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−35280(P2009−35280A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−199811(P2007−199811)
【出願日】平成19年7月31日(2007.7.31)
【出願人】(000000055)アサヒビール株式会社 (535)
【Fターム(参考)】