説明

カードキー回収発行装置

【課題】人手の介在無しでホテルのカードキーを回収して再度発行するカードキー回収発行装置を提供する。
【解決手段】カードキー20の回収時において、両面スキャナ13、14がカードキー20の両面を読み取り、判定部(5)がカードキー20が良品か不良品かを判定する。カードキー20が不良品と判定された場合、リジェクト手段9が下降して、カードキー20を第2のカードキー収納手段15に収納する。カードキー20が良品と判定された場合、リジェクト手段9が上昇して、カードキー20を第1のカードキー収納手段11に収納する。カードキー20の発行時において、発行駆動部12が、第1のカードキー収納手段11に回収の順に積み重ねて収納されたカードキー20を、下方から順に1枚毎に取り出して発行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードキー回収発行装置に関し、特に、人手の介在無しでホテルのカードキーを回収して再度発行するカードキー回収発行装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ホテルのフロント業務(の一部)を自動化するために、料金の支払い又は有効期限内の会員カードを確認すると、カードキーを発行する自動フロントシステムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、会員カードを所持した顧客には、新たなカードキーは発行せず、会員カードに必要な情報を書き込んでカードキーとし、チェックアウト時に無効な情報に書き換えて返却するホテルフロント業務支援システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開昭60−055489号公報
【特許文献2】特開平11−232313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ホテルのルームキーとなるカード(カードキー)は、図7に示すように、宿泊客が、チェックアウトのためにホテル決済端末に挿入することにより回収され、回収ボックスに収納される。ホテルの従業員は、毎日、ホテル決済端末から回収ボックス及び発行スタッカーを取り出し、回収ボックスの中のカードキーを1枚毎に検査し、良品をリサイクル使用のために発行スタッカーにセットし(移し変え)、回収ボックス及び発行スタッカーをホテル決済端末にセットしなければならない。
【0005】
従って、従業員が、回収ボックス及び発行スタッカーの取り出しやセットを、毎日繰り返さなければならず、煩わしい。また、従業員が、大量のカードキーの発行スタッカーへのセットを、毎日繰り返さなければならず、煩わしい。また、良品の検査は、寿命(曲りや破損等)や汚れを目視で検査しなければならず、従業員の負担が大きい。
【0006】
また、ホテル決済端末は、図7に示すように、カードキーの回収時にその情報を読み取るためのリーダライタと、カードキーの発行時にその情報を書き込むためのライタ(リーダライタ)とを、各々、別個に備える。このため、1個のホテル決済端末がカードキーのリーダライタを2個備え無ければならず、装置のコスト上昇の原因となっていた。
【0007】
本発明は、人手の介在無しでホテルのカードキーを回収して再度発行するカードキー回収発行装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のカードキー回収発行装置は、カードキーを搬送する搬送路と、前記搬送路に設けられ、前記カードキーの両面を読み取る両面スキャナと、前記両面スキャナでの読み取りの結果に基づいて、前記カードキーが良品か不良品かを判定する判定部と、前記搬送路の端部に設けられ、前記判定部での判定において良品とされたカードキーを回収し、前記回収したカードキーを当該回収の順に積み重ねて収納する第1のカードキー収納手段と、前記第1のカードキー収納手段と一体に設けられ、前記第1のカードキー収納手段の内部に積み重ねられたカードキーを下方から順に1枚毎に取り出して、前記搬送路に送出する発行駆動部と、前記搬送路の外に設けられ、前記判定部での判定において不良品とされたカードキーを収納する第2のカードキー収納手段と、前記搬送路の端部の上方に設けられ、前記カードキーが前記搬送路から外れて前記第2のカードキー収納手段に搬送されるように前記搬送路を遮るリジェクト手段とを備える。前記カードキーの回収時において、前記両面スキャナが前記カードキーの両面を読み取り、前記判定部が前記読み取りの結果に基づいて前記カードキーが良品か不良品かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記カードキーが不良品と判定された場合、前記リジェクト手段が下降して前記搬送路を遮ることにより、前記不良品とされたカードキーを前記第2のカードキー収納手段に収納し、前記カードキーが良品と判定された場合、前記リジェクト手段が上昇して前記搬送路を遮らないことにより、前記良品とされたカードキーを前記第1のカードキー収納手段に収納する。前記カードキーの発行時において、前記発行駆動部が前記第1のカードキー収納手段に収納された前記カードキーを発行する。
【0009】
また、好ましくは、本発明のカードキー回収発行装置においては、前記カードキーの回収時において、前記第1のカードキー収納手段が、その上部に設けられた収納口が前記搬送路と同一の高さとなるように位置する。前記カードキーの発行時において、前記第1のカードキー収納手段が、その下部に設けられた発行口が前記搬送路と同一の高さとなるように位置する。
【0010】
また、好ましくは、本発明のカードキー回収発行装置においては、当該カードキー回収発行装置が、更に、前記カードキーの回収発行口を備え、前記カードキーへの情報の書き込み及び読み出しを行うリーダライタを備える。前記カードキーの回収時において、前記リーダライタが、前記回収発行口に挿入されたカードキーから所定の情報を読み取って、前記搬送路に送出する。前記カードキーの発行時において、前記発行駆動部が前記カードキーを発行し、前記リーダライタが、当該発行されたカードキーに所定の情報を書き込んで、前記回収発行口から当該カードキーを発行する。
【発明の効果】
【0011】
本発明のカードキー回収発行装置によれば、カードキーの回収時において、カードキーの読み取りの結果に基づいて、カードキーが良品か不良品かが判定され、リジェクト手段が下降して搬送路を遮ることにより、不良品とされたカードキーを第2のカードキー収納手段に収納し、また、リジェクト手段が上昇して搬送路を遮らないことにより、良品とされたカードキーを第1のカードキー収納手段に収納する。一方、カードキーの発行時において、第1のカードキー収納手段に回収の順に積み重ねて収納された良品とされたカードキーが、下方から順に1枚毎に取り出して発行される。
【0012】
これにより、カードキーが良品として第1のカードキー収納手段に収納されると、再度、宿泊客に対してカードキーとして発行される。従って、ホテルの従業員が、ホテル決済端末から第1のカードキー収納手段を取り出したりセットすることを毎日繰り返す必要を無くすことができる。また、従業員が、大量のカードキーを第1のカードキー収納手段へセットすることを毎日繰り返す必要を無くすことができる。更に、従業員が、回収ボックスの中の大量のカードキーの寿命(曲りや破損等)や汚れを目視で1枚毎に検査することを毎日繰り返す必要を無くすことができる。従業員は、少量の良品のカードキーを、適宜第1のカードキー収納手段へセットするだけで良い。従って、従業員の負担を殆ど無くし、人手の介在無しでホテルのカードキーを回収して再度発行することができる。
【0013】
また、本発明のカードキー回収発行装置によれば、第1のカードキー収納手段が、カードキーの回収時には、収納口が搬送路と同一の高さとなるように位置し、カードキーの発行時には、発行口が搬送路と同一の高さとなるように位置する。これにより、第1のカードキー収納手段が上下方向に移動するので、カードキーが第1のカードキー収納手段に対して先入れ先出しとなるように収納され、この結果、大量のカードキーが満遍なく使用されるようにすることができる。
【0014】
また、本発明のカードキー回収発行装置によれば、1個のリーダライタが、カードキーの回収時には、挿入されたカードキーから所定の情報を読み取り、カードキーの発行時には、カードキーに所定の情報を書き込んで発行する。これにより、1個のホテル決済端末はカードキーのリーダライタを1個だけ備えればよいので、この分装置のコストを抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
図1は、本発明のカードキー回収発行装置の構成の一例を示す。カードキー回収発行装置は、図1に示すように、フロントサーバ1と、カードキー回収発行装置であるホテル決済端末3と、これらの間を接続するネットワーク2とからなる。フロントサーバ1は、ホテルの種々の業務を処理する。ネットワーク2は、例えばLAN(Local Area Network)又はインターネット等からなる。
【0016】
ホテル決済端末3は、カードキー回収発行装置であり、回収発行部4を備え、これにより、カードキー20の回収及び発行と決済とを行い、また、このために、ネットワーク2を介してフロントサーバ1と必要な通信を行う。回収発行部4は、コンピュータとしてのホテル決済端末3が備えるCPU(図示せず)上で、その主メモリ(図示せず)に存在する当該プログラムを実行することにより実現される(判定部5も同様である)。
【0017】
回収発行部4は、回収処理部41と、発行処理部42とからなる。回収処理部41は、リーダライタ6、ローダアンローダ7、押出棒駆動部8、カートリッジ駆動部10、スキャナ13及び14を制御して、宿泊客からカードキー20を回収する回収処理を実行する。ホテルの従業員がカードキー20を挿入するようにしても良い。
【0018】
カードキー20は、それが良品である(再度発行できる)場合、第1のカードキー収納手段11(図2等参照)であるカードキー用カートリッジ(以下、カートリッジ)11に回収される。カートリッジ11は、上下動可能に設けられ、カートリッジ駆動部10により駆動される。カードキー20が不良品である(再度発行できない)場合、第2のカードキー収納手段15(図2等参照)であるリジェクトボックス15に回収される。リジェクトボックス15は固定的に設けられる。
【0019】
カードキー20が良品か不良品かの判定は、判定部5により実行される。この判定のために、スキャナ13及び14が設けられる。カードキー20は、押出棒9により、カートリッジ11又はリジェクトボックス15のいずれかに振り分けられる。押出棒9は押出棒駆動部8により駆動される。
【0020】
発行処理部42は、リーダライタ6、ローダアンローダ7、押出棒駆動部8、カートリッジ駆動部10、発行駆動部12を制御して、宿泊客にカードキー20を発行する発行処理を実行する。カードキー20は、後述するように、カートリッジ11から発行駆動部12により発行される。従って、良品としてカートリッジ11に回収されたカードキー20が、再度、客室への入室に使用可能なカードキー20として、発行される。
【0021】
このように、本発明に従って、ホテル決済端末3は、ホテルの従業員の介在無しで、先に回収したカードキー20を用いてこれを発行する。即ち、回収したカードキー20を自動的に還流させて再度発行する。
【0022】
カードキー20の還流のために、ホテル決済端末3は、ホテルの従業員の介在無しで、回収したカードキー20から不良品を除去し、良品のカードキー20のみを発行に用いる。このために、回収処理部41は、カードキー20が良品であるか不良品であるかの判定を判定部5に依頼する。判定部5は、スキャナ13及び14によりカードキー20の両面を読み取った結果に基づいて、汚れ判定テーブル51及び曲り判定テーブル52を用いて、カードキー20の汚れ及び曲りについて判定する。
【0023】
以下、主として図2〜図4を参照しつつ、本発明のカードキー回収発行装置の動作について詳細に説明する。図2〜図4は、カードキー回収発行装置の構造の概略を示す。特に、図2及び図3は、カードキー回収処理において、各々、カードキー20が不良品及び良品である場合について示す。図4は、カードキー発行処理について示す。
【0024】
カードキー20の回収及び発行の時間は、基本的には、予め定めることができる。即ち、回収はチェックインの時間である夕方から夜にかけてであり、発行はチェックアウトの時間である朝から昼にかけてである。従って、例えば、真夜中の0時に回収処理の指示が入力され、正午に発行処理の指示が入力される。これらの指示入力は、ホテル決済端末3の外部から(又はフロントサーバ1から)、入力装置(図示せず)を用いて従業員により入力される。
【0025】
ホテル決済端末(カードキー回収発行装置)3は、カードキー20を回収して、これを人手の介入無しで再度発行するものであるので、説明の便宜上、最初に回収処理について説明する。
【0026】
回収処理の指示入力に応じて、回収処理部41が回収処理を実行する。これに先立って、図2(及び図3)に示すように、カードキー20の回収時において、カートリッジ11が、その上部に設けられた収納口111がローダアンローダ7(の上面)即ち搬送路と同一の高さとなる位置(以下、回収位置)に置かれる。この例では、回収処理部41が、回収処理の指示入力に応じて、カートリッジ駆動部10を駆動することにより、矢印Dで示すように、カートリッジ11を(それまでの発行位置から)回収位置に移動させ、この位置を保持する。
【0027】
なお、カートリッジ11は、従業員が手動により、回収位置又は発行位置(後述する)に移動させるようにしても良い。この場合、カートリッジ駆動部10を省略することができる。
【0028】
カートリッジ11が回収位置にある状態で、ホテルの宿泊客が使用したカードキー20を、矢印Aで示すように、ホテル決済端末3のカードキー20の回収発行口61に挿入する。この回収発行口61は、リーダライタ6の回収発行口61である。従って、リーダライタ6は、ホテル決済端末3の正面に設けられる。
【0029】
なお、この例では、カードキー20が、表面を上にして、かつ、長手方向に回収発行口61に挿入される。カードキー20は、周知のように、例えば紙等からなり、裏面に磁気情報を書き込むための磁気記録部を備える(図示せず)。表面とは、磁気記録部の形成されていない面である。長手方向とは、長方形の板状のカードキー20の長辺の延びる方向である。カードキー20が裏面を上にして挿入された場合、リーダライタ6がカードキー20から所定の情報(予約情報)を読み出すことができないので、リジェクトされる。即ち、回収発行口61から挿入された方向に排出される。また、カードキー20は、長手方向でない方向には挿入できないようにされる。
【0030】
回収処理部41が、回収処理の指示入力に応じて、カードキーが挿入されると情報の読み出し(読み取り)を行うようにリーダライタ6を制御する。従って、リーダライタ6は、カードキー20の挿入に応じて、その磁気記録部から予約情報の読み出しを行う。予約情報は、例えばルーム番号、宿泊日等からなる。リーダライタ6は、周知の構成を備え、カードキー20の磁気記録部について、予約情報の書き込み及び読み出しを行う。
【0031】
なお、リーダライタ6は、前記予約情報の読み出しの後、カードキー20の磁気記録部の当該予約情報を消去する。更に、リーダライタ6が、カードキー20の表面に印字されたルーム番号を消去するようにしても良い。この場合、カードキー20はペットカード又はプラスチックカードからなる。以上により、カードキー20の不正使用を防止することができる。
【0032】
リーダライタ6は、読み出した予約情報を回収処理部41に送信する。回収処理部41は、読み出した予約情報を、ネットワーク2を介して、フロントサーバ1に送信する。これにより、例えばフロントサーバ1において、当該カードキー20を挿入した宿泊客が正当にチェックアウトしたかを確認することができる。
【0033】
リーダライタ6は、カードキー20の回収時において、読み出しが終了したカードキー20を搬送路(ローダアンローダ7(の上面))に送出する。従って、リーダライタ6は、周知の機能に加えて、カードキー20の搬送のために、ローダアンローダ7と同様の機能を備える。
【0034】
ローダアンローダ7は、矢印Bで示すように、カードキー20をカートリッジ11の方向に搬送する。カードキー20は、それを水平にした状態で、その長手方向に搬送される。ローダアンローダ7は、周知の構成を備え、カードキー20を所定の方向(カートリッジ11又はリーダライタ6の方向)に搬送する。
【0035】
図2(〜図4)において、搬送路は水平方向に延びる部分のみを言い、ローダアンローダ7(の上面)と、当該上面と収納口111とを結ぶ平面P(図4参照)とからなる。平面Pは当該上面と収納口111とを含む平面であり、仮想的な搬送路である。平面Pは、図4にのみ示すが、図2及び図3においても同様である。ローダアンローダ7に続く斜めの部分7’は、固定的な部分であり、カードキー20を搬送する機能を持たず、リジェクトボックス15への通路(ガイド)7’となる。
【0036】
搬送路であるローダアンローダ7(の上面)の途中に、スキャナ13、14が設けられる。回収処理部41は、回収処理の指示入力に応じて、スキャナ13、14に画像の読み取りを指示する。スキャナ13、14は、カードキー20の回収時において、カードキー20の両面を読み取る。即ち、スキャナ13及び14は、各々、例えばカードキー20の表面及び裏面を読み取り、その画像(表面画像及び裏面画像)を得る。スキャナ13及び14が読み取る画像は、この逆であっても良い。カードキー20の両面の画像を得るので、両面スキャナ13、14と呼ぶこととする。
【0037】
両面スキャナ13、14は、読み取った表面及び裏面画像を、判定部5に送信する。これに先立って、回収処理部41は、回収処理の指示入力に応じて、判定部5に画像の判定を指示する。これに応じて、判定部5は、両面スキャナ13、14での読み取りの結果に基づいて、カードキー20が良品か不良品かを判定する。このために、判定部5は、汚れ判定テーブル51及び曲り判定テーブル52を用いて、受信した表面及び裏面画像について、その汚れ及び曲りを判定する。
【0038】
例えば、カードキー20の表面は、通常白色(又は、クリーム色等の淡い色)であり、それに描かれた模様の大きさ、面積及び濃度は、予め知ることができる。そこで、汚れの無いカードキー20の表面を読み取った画像(汚れ基準画像)を用意し、これと読み取った表面画像を比較する。比較を簡単にするために、両者は、各々の読み取ったカラー画像に基づいて形成した多値(例えば256階調)のモノクロ画像とされる。例えば、対応する画素の値を比較して、汚れ基準画像の画素値を所定の値(第1の閾値、例えば、16又は32階調)だけ上回っている画素の数が、所定の数(第2の閾値、例えば、面積比で5%)より多い場合、当該表面は汚れていると判定される。
【0039】
カードキー20の裏面についての汚れの判定も、同様である。表面又は裏面のいずれか一方が汚れていると判定された場合、当該カードキー20は、汚れており、不良品であると判定される。汚れ基準画像、第1及び第2の閾値が、汚れ判定テーブル51に予め格納される。
【0040】
一方、曲りの無いカードキー20の表面を読み取った画像(曲り基準画像)を用意し、これと読み取った表面画像を比較する。両者はモノクロ画像である。例えば、両者の画像の面積を比較して、読み取った画像が曲り基準画像よりも所定の値(第3の閾値、例えば、面積比で5%)だけ小さい場合、当該カードキー20は曲がっていると判定される。
【0041】
カードキー20の曲りの判定においては、一方の面例えば表面(又は裏面)について判定すれば、他方の面例えば裏面(又は表面)については判定する必要が無い。表面(又は裏面)が曲がっていると判定された場合、当該カードキー20は、曲がっており、不良品であると判定される。曲り基準画像、第3の閾値が、曲り判定テーブル52に予め格納される。
【0042】
なお、このような判定処理(及びその後のリジェクト処理)にはある程度の処理時間を要する。しかし、この判定処理はカードキー20の回収処理において行われる。従って、ある程度の処理時間を確保しても、例えば宿泊客を待たせる必要は全く無いので、何ら支障は無い。
【0043】
判定部5は、判定の結果を回収処理部41に通知する。回収処理部41は、判定の結果に基づいて、押出棒駆動部8を制御して、カードキー20のリジェクト手段9である押出棒9を上下方向に移動させる。押出棒9は、図2及び図3に示すように、搬送路であるローダアンローダ7の端部の上方に設けられ、それが下降した場合に、カードキー20が搬送路である平面Pから外れてリジェクトボックス15に搬送されるように、搬送路である平面Pを遮る。
【0044】
カードキー20が不良品と判定された場合、図2に矢印Cで示すように、押出棒9が下降して、搬送路である平面Pを遮るようにされる。押出棒9は金属等の剛体であるので、搬送されたカードキー20は押出棒9に当って折れ曲り、下方に設けられたリジェクトボックス15の方向へ押しやられる。これにより、不良品とされたカードキー20をリジェクトボックス15に収納し、不良品であるカードキー20がカートリッジ11に収納されることを阻止する。リジェクトボックス15は、判定部5での判定において不良品とされたカードキー20を収納するために、搬送路である平面Pの外に設けられる。具体的には、図2等に示すように、搬送路であるローダアンローダ7とカートリッジ11との間の下方に設けられる。なお、図2においては、説明の便宜のため、2個のカードキー20を示しているが、実際には、2個のカードキー20が同時に処理されることは無い(図3においても同じ)。
【0045】
カードキー20が良品と判定された場合、図3に矢印Eで示すように、押出棒9が上昇して搬送路である平面Pを遮らないようにされる。これにより、良品とされたカードキー20をカートリッジ11に収納する。この時、カードキー20の最後尾が、カートリッジ11の内部に落ちる際に、図3に示すように、押出棒9に当るので、カードキー20が反転することが無く、常に同一の状態でカートリッジ11の内部に収納されるようにすることができる。
【0046】
カートリッジ11は、搬送路であるローダアンローダ7の端部に設けられ、判定部5での判定において良品とされたカードキー20を回収し、回収したカードキー20を当該回収の順に積み重ねて収納する。
【0047】
カートリッジ11は、その端部と搬送路であるローダアンローダ7の端部との間の距離が、図3に示すように、カードキー20の長手方向の長さよりも十分小さくされる。これにより、ローダアンローダ7を搬送されてきたカードキー20が、良品であるにも拘わらず、カートリッジ11の端部とローダアンローダ7の端部との間(即ち、リジェクトボックス15)に落下することを防止することができる。
【0048】
また、カートリッジ11は、図2等に示すように、その水平断面(紙面に垂直方向の断面)が長方形とされ、かつ、上方から下方に徐々に面積が小さくなるようにされる。これにより、ローダアンローダ7の端部からカートリッジ11の内部に落下したカードキー20が、同一方向に綺麗に積み重ねられる。カートリッジ11の最下部(発行駆動部12に接する位置)の内壁は、カードキー20とほぼ同一の形状(及び大きさ)とされる。これにより、再度発行されるカードキー20を正確な位置に収納することができる。
【0049】
次に、カードキー20の発行処理について説明する。前述のように、発行処理の指示が入力されると、この発行処理の指示入力に応じて、発行処理部41が発行処理を実行する。これに先立って、図4に矢印Iで示すように、カードキー20の発行時において、カートリッジ11が、その下部に設けられた発行口112がローダアンローダ7(の上面)即ち搬送路と同一の高さとなる位置(以下、発行位置)に置かれる。この例では、発行処理部42が、発行処理の指示入力に応じて、カートリッジ駆動部10を駆動することにより、カートリッジ11を(それまでの回収位置から)発行位置に移動させ、この位置を保持する。
【0050】
この時、押出棒9は、図4に矢印Hで示すように、搬送路である平面Pを遮らない位置まで上昇させられる。この例では、発行処理部42が、発行処理の指示入力に応じて、押出棒駆動部8を駆動することにより、押出棒9を搬送路である平面Pの上方の位置に移動させ、この位置を保持する。この時の押出棒9の位置は、図2の位置よりも高くなければならず、例えば図3の位置と同じであっても良い。
【0051】
宿泊客が、例えばホテル決済端末3の正面に設けられたカードキー20の発行を要求するボタン(図示せず)を押すと、これに応じて、発行要求が発行処理部42に入力される。発行処理部42は、発行要求の受信に応じて、発行駆動部12にカードキー20の発行を指示する。
【0052】
発行駆動部12は、図4に示すように、カートリッジ11と一体に設けられ、周知のカードキー20のピックアップ機能を備える。なお、カートリッジ11が、その内部に積み重ねられたカードキー20の上方から、これらを軽く抑えるように、適宜加重を付加するようにしても良い。発行駆動部12は、カートリッジ11の内部に積み重ねられたカードキー20を下方から順に1枚毎に取り出して、矢印Gで示すように、ローダアンローダ7(の上面)に送出する。これにより、カートリッジ11に収納された先に回収されたカードキー20が、再度発行される。
【0053】
カードキー20は、ローダアンローダ7により、リーダライタ6に搬送される。リーダライタ6は、当該発行されたカードキー20に所定の情報(予約情報)を書き込んで、矢印Fで示すように、回収発行口61から当該カードキー20を発行する。なお、リーダライタ6が、予約情報に基づいて、カードキー20の表面にルーム番号を印字するようにしても良い。
【0054】
予約情報の書き込みに先立って、発行処理部42は、発行要求の受信に応じて、フロントサーバ1から予約情報を取得する。この予約情報により、当該カードキー20がどの部屋について何時から何時までの間ルームキーとして使用できるかが定まる。なお、実際は、ホテル決済端末3の入力装置(図示せず)から、宿泊客に氏名その他の情報を入力させ、これらを発行要求と共にフロントサーバ1に送信することにより、当該宿泊客の予約情報を取得する。
【0055】
リーダライタ6は、カードキー20の磁気記録部に予約情報を書き込んだ後、これを読み出して、読み出した予約情報と書き込んだ予約情報とを比較する。リーダライタ6は、この比較の結果に基づいて、両者が一致する場合、当該カードキー20を発行する。
【0056】
一方、両者が一致しない場合、リーダライタ6はこれを発行処理部42に通知する。これに応じて、発行処理部42は、当該カードキー20の磁気記録部が不良品であるとして、カードキー20をリジェクトボックス15に回収する。このために、発行処理部42は、点線の矢印Jで示すように、カードキー20をリジェクトボックス15側へ搬送するように、ローダアンローダ7を駆動し、かつ、点線の矢印Kで示すように、押出棒駆動部8により押出棒9を図2の位置に下降させる。以上により、目視では確認できないカードキー20の磁気記録部についても、別途試験を行うことなく、それが良品であるか不良品であるかを確認することができる。
【0057】
図5は、本発明のカードキー回収処理フローであり、カードキー回収発行装置が実行するカードキー20の回収処理について示す。
【0058】
回収発行部4(の回収処理部41)が、カードキー20の回収の指示入力が有るか否かを調べ(ステップS11)、指示入力が無い場合、ステップS11を繰り返す。指示入力が有る場合、回収処理部41が、カートリッジ駆動部10を介して、カートリッジ11を回収処理時における所定の位置まで駆動する(ステップS12)。
【0059】
この後、回収処理部41が、カードキー20の挿入が有るか否かを調べ(ステップS13)、挿入が無い場合、ステップS13を繰り返す。挿入がある場合、リーダライタ6が、この挿入に応じて、当該カードキー20の磁気記録部から予約情報を読み取り(ステップS14)、回収処理部41が、読み取った予約情報をフロントサーバ1へ送信する(ステップS15)。
【0060】
次に、両面スキャナ13及び14が、各々、カードキー20の表面及び裏面(又は、この逆)を読み取って(ステップS16)、判定部5が、汚れ判定テーブル51及び曲り判定テーブル52を用いて、当該カードキー20の汚れ及び曲りについて判定する(ステップS17)。
【0061】
次に、回収処理部41が、判定結果が良品(OK)であったか又は不良品(NG)であったかを調べる(ステップS18)。OKであった場合、回収処理部41が、押出棒駆動部8を介して、押出棒9を回収処理時における所定の位置まで上昇させることにより(ステップS19)、ローダアンローダ7により搬送されてきたカードキー20を、カートリッジ11へ回収する(ステップS110)。これにより、ステップS13において挿入されたカードキー20についての回収処理を終了し、ステップS13以下を繰り返す。
【0062】
ステップS18において、判定結果がNGであった場合、回収処理部41が、押出棒駆動部8を介して、押出棒9を回収処理時における所定の位置まで下降させることにより(ステップS111)、ローダアンローダ7により搬送されてきたカードキー20を、リジェクトボックス15へ収納する(ステップS112)。以上により、ステップS13において挿入されたカードキー20についての回収処理を終了し、ステップS13以下を繰り返す。
【0063】
図6は、本発明のカードキー発行処理フローであり、カードキー回収発行装置が実行するカードキー20の発行処理について示す。
【0064】
回収発行部4(の発行処理部42)が、カードキー20の発行の指示入力が有るか否かを調べ(ステップS21)、指示入力が無い場合、ステップS21を繰り返す。指示入力が有る場合、発行処理部42が、カートリッジ駆動部10を介して、カートリッジ11を発行処理時における所定の位置まで駆動し(ステップS22)、押出棒駆動部8を介して、押出棒9を発行処理時における所定の位置まで上昇させる(ステップS23)。
【0065】
この後、発行処理部42が、カードキー20の発行要求が有るか否かを調べ(ステップS24)、発行要求が無い場合、ステップS24を繰り返す。発行要求が有る場合、発行処理部42が、フロントサーバ1から予約情報を取得して(ステップS25)、発行駆動部12を駆動してカートリッジ11からカードキー20を送り出し(ステップS26)、ローダアンローダ7によりカードキー20をリーダライタ6まで搬送し、リーダライタ6により前記予約情報をカードキー20の磁気記憶部に書き込んで(ステップS27)、カードキー20を発行する(ステップS28)。この時、前述のように、カードキー20の磁気記憶部が不良品であるカードキー20が回収される。以上により、ステップS24において発行要求されたカードキー20についての発行処理を終了し、ステップS24以下を繰り返す。
【産業上の利用可能性】
【0066】
以上説明したように、本発明によれば、カードキー回収発行装置において、ホテルの従業員が、ホテル決済端末から第1のカードキー収納手段を取り出したりセットする必要を無くし、大量のカードキーを第1のカードキー収納手段へセットする必要を無くし、カードキーの寿命等を目視で検査する必要を無くすことができ、従業員の負担を殆ど無くし、人手の介在無しで、カードキーを回収して再度発行することができる。これにより、ホテルのフロント業務において、業務量として大きな部分を占めるカードキー発行及び回収の業務を殆ど無人化することができ、チェックイン及びチェックアウトの業務を大きく合理化することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明のカードキー回収発行装置の構成図である。
【図2】本発明のカードキー回収処理の説明図である。
【図3】本発明のカードキー回収処理の説明図である。
【図4】本発明のカードキー発行処理の説明図である。
【図5】本発明のカードキー回収処理フローである。
【図6】本発明のカードキー発行処理フローである。
【図7】従来のカードキー発行のための処理の説明図である。
【符号の説明】
【0068】
1 フロントサーバ
2 ネットワーク
3 ホテル決済端末
4 回収発行部
5 判定部
6 リーダライタ
7 ローダアンローダ
8 押出棒駆動部
9 押出棒
10 カートリッジ駆動部
11 カートリッジ
12 発行駆動部
13、14 スキャナ
41 回収処理部
42 発行処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードキーを搬送する搬送路と、
前記搬送路に設けられ、前記カードキーの両面を読み取る両面スキャナと、
前記両面スキャナでの読み取りの結果に基づいて、前記カードキーが良品か不良品かを判定する判定部と、
前記搬送路の端部に設けられ、前記判定部での判定において良品とされたカードキーを回収し、前記回収したカードキーを当該回収の順に積み重ねて収納する第1のカードキー収納手段と、
前記第1のカードキー収納手段と一体に設けられ、前記第1のカードキー収納手段の内部に積み重ねられたカードキーを下方から順に1枚毎に取り出して、前記搬送路に送出する発行駆動部と、
前記搬送路の外に設けられ、前記判定部での判定において不良品とされたカードキーを収納する第2のカードキー収納手段と、
前記搬送路の端部の上方に設けられ、前記カードキーが前記搬送路から外れて前記第2のカードキー収納手段に搬送されるように前記搬送路を遮るリジェクト手段とを備え、
前記カードキーの回収時において、前記両面スキャナが前記カードキーの両面を読み取り、前記判定部が前記読み取りの結果に基づいて前記カードキーが良品か不良品かを判定し、前記判定の結果に基づいて、前記カードキーが不良品と判定された場合、前記リジェクト手段が下降して前記搬送路を遮ることにより、前記不良品とされたカードキーを前記第2のカードキー収納手段に収納し、前記カードキーが良品と判定された場合、前記リジェクト手段が上昇して前記搬送路を遮らないことにより、前記良品とされたカードキーを前記第1のカードキー収納手段に収納し、
前記カードキーの発行時において、前記発行駆動部が前記第1のカードキー収納手段に収納された前記カードキーを発行する
ことを特徴とするカードキー回収発行装置。
【請求項2】
前記カードキーの回収時において、前記第1のカードキー収納手段が、その上部に設けられた収納口が前記搬送路と同一の高さとなるように位置し、
前記カードキーの発行時において、前記第1のカードキー収納手段が、その下部に設けられた発行口が前記搬送路と同一の高さとなるように位置する
ことを特徴とする請求項1に記載のカードキー回収発行装置。
【請求項3】
当該カードキー回収発行装置が、更に、
前記カードキーの回収発行口を備え、前記カードキーへの情報の書き込み及び読み出しを行うリーダライタを備え、
前記カードキーの回収時において、前記リーダライタが、前記回収発行口に挿入されたカードキーから所定の情報を読み取って、前記搬送路に送出し、
前記カードキーの発行時において、前記発行駆動部が前記カードキーを発行し、前記リーダライタが、当該発行されたカードキーに所定の情報を書き込んで、前記回収発行口から当該カードキーを発行する
ことを特徴とする請求項1に記載のカードキー回収発行装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−134870(P2008−134870A)
【公開日】平成20年6月12日(2008.6.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−321227(P2006−321227)
【出願日】平成18年11月29日(2006.11.29)
【出願人】(000136136)株式会社PFU (354)
【Fターム(参考)】