説明

カードケース

【課題】 カードケースでは、収容したカードが他の磁気読取り手段でキャッチされないこと、またカードが略完全にガードされること等が望まれる。そのため種々のカードケースが市販されている。また交通機関等の改札口の磁気に邪魔されず通行可能な状況の確保、又は改札口の磁気によるカード等の磁気記録情報の破壞防止等を図ることも必要な状況である。しかし、十分な防磁効果が図れないのが現況である。
【構成】 本発明は、ラミネートフィルムで被覆した除電紙と、ラミネートフィルムで被覆した金属箔及び/又はラミネートフィルムで被覆した除電紙で形成された磁気シールド性シート材を製造し、磁気シールド性シート材を熱圧着で、磁気カードを隠蔽できる袋状、開閉式、又はバック式等のケースに構成したカードケースである。よって、カードを各種磁気から保護できる。また軽量で薄い構造であって、かつ廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、除電紙(紙製磁気シールド性シート)及び/又はアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔(金属製磁気シールド性シート)を製造し、この除電紙及び/又は金属箔を、例えば、熱圧着を利用して袋状、開閉式、又はバック式等のケースに構成し、磁気カード(磁気記録媒体を含む)を隠蔽可能とした構成のカードケースに関する。
【背景技術】
【0002】
昨今のカード万能時代においては、このカードの保護と、このカードが他の磁気読取り手段でキャッチされない状況の確保等が不可欠であって、一般的には、この種のカードが略完全にガードされる状況が望まれる。従って、昨今では、この種の目的のために、各種のカードケースが市販されている。そして、一方では交通機関等の改札口の磁気に邪魔されず通行可能な状況の確保、又は改札口の磁気によるカード等の磁気記録媒体の情報(磁気記録情報)の破壞防止等を図ることも必要な状況である。
【0003】
このような状況に鑑み、特許又は実用新案等の分野における先行文献において、各種の構造、形状又は機能を備えた構造のカードケースが提案されているので、この種の先行文献(1)〜(4)を以下に列挙する。
【0004】
先ず文献(1)は、実開昭61−178564の「磁気ディスク・磁気カードの保護ケース」である。この文献(1)は紙又は発泡スチロールの素材で9mm以上の厚みを形成し、この厚みの素材で袋等の保護ケースを形成した構成であり、この素材と厚さを採用することで、コンピュータ等の電子機器の使用下での磁気ディスク・磁気カードの磁気記録情報の破壊を防止することを意図する。
【0005】
次に文献(2)は実開平7−22993の「ディスク型記録媒体収納ケース」である。この文献(2)には、紙製素材のディスク型記録媒体を収納する収納部を設け、この収納部の対向する一対の紙製素材の側壁を蛇腹状とした構成のディスク型記録媒体収納ケースであり、エコロジカルな記録媒体収納ケースの提供を意図する。
【0006】
また文献(3)は実開昭63−11385の「磁気カード類保護ケース」である。この文献(3)には、鉄−ニッケル系合金又は鉄−アルミ合金、アルミ軽合金等の高透磁率材料で形成した箔板の表裏を不織布、織布、紙、ゴム等の被覆シートで覆い、この被覆シートを二つ折りにして袋を構成し、箔板で磁気をカードする構成である。この考案は、磁気カードを外乱磁場から保護することを意図する。
【0007】
尚、文献(4)は特開平10−14051の「電線保護カバー」である。この文献(4)には、電線を収容するアルミ製のキャップと、このアルミ製のキャップの下方に設けた樹脂ベース板と、この樹脂ベース板に設けたアルミ製のシールドケースとでなる構成が開示されており、この電線を、上・下方からの磁気に対し、アルミ製のキャップ・シールドケースで保護することを意図する。
【0008】
【特許文献1】実開昭61−178564
【特許文献2】実開平7−22993
【特許文献3】実開昭63−11385
【特許文献4】特開平10−14051
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この文献(1)は紙又は発泡スチロールの素材で9mm以上の厚みを形成し、この厚みの素材で袋等の保護ケースを形成した構成である。そして、この考案が環境に優しく、後処理が好都合であることは、昨今の状況から大いに評価できる。しかし、解決すべき問題が考えられる。即ち、この文献(1)の構成では、9mm以上の厚み素材で保護ケースを形成する構造である。従って、嵩張ることから問題がある。例えば、ポケット等に収容して持ち歩くことに困ること、また改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護に対して十分でないこと、又は通用箇所を通過する際に邪魔となり不都合であること等が挙げられる。
【0010】
また文献(2)は収納ケースを紙製素材で作成したので、軽く、印刷や加工が容易であること、また破損等で廃棄する際も焼却できるためエコロジー商品としても有用であること等の特徴を有する。しかし、カード類を磁気から保護するための保護ケース(磁気ガード手段)としては有効でなく、前述した改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消するには課題を残すものと考えられる。
【0011】
さらに文献(3)は高透磁率材料で形成した箔板の表裏を紙でなる被覆シートで被ったシート素材で袋を形成した構成である。しかし、この考案は、箔板と紙で構成することから、保護シートとしての機能を達成するためには、この箔板の厚みを大きくする必要性があり、袋に感触した際に違和感を生ずる虞があること、また袋の重量が嵩むことから、ポケット等への収容に抵抗感があること等の改良点が挙げられる。
【0012】
また文献(4)は参考文献としてあげたものであって、この発明はアルミ製のキャップとアルミ製のシールドケースで磁気をガードする構成で、「電線保護カバー」で磁気をガードすることのみを意図する。従って、この文献(4)は、構造上で他の物品(製品、部品)への転用は不可能である。またこの文献(4)は、本発明と同じように磁気をガードする。しかし、本発明が対象とする物品とは、全く異なり、転用は不可能であること、また本発明の構造、目的とは全く相違することは明らかである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
請求項1の発明は、カードを残留磁気、外乱磁場等の各種の磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消すること等を意図する。また請求項1の発明は、軽量で薄い構造であって、かつポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供することを意図する。さらに請求項1の発明は、軽量で薄い構造であって、かつ廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供することを意図する。
【0014】
請求項1は、ラミネートフィルムで被覆された除電紙(ラミネートフィルムが蒸着、プリント等の手段で設けられた除電紙)と、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔(ラミネートフィルムが蒸着、プリント等の手段で設けられた金属箔)及び/又はラミネートフィルムで被覆された除電紙で形成された磁気シールド性シート材を製造し、
この磁気シールド性シート材を熱圧着、接着、縫着等の一体化手段で、磁気カードを隠蔽できる袋状、開閉式、又はバック式等のケースに構成したカードケースである。
【0015】
請求項2の発明は、請求項1の目的を達成し、例えば、カードを磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消すること等を意図する。また請求項2の発明は、ポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供することを意図する。さらに請求項2の発明は、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供することを意図する。
【0016】
請求項2は、請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側と他方側はラミネートフィルムで被覆された除電紙で、このラミネートフィルムで被覆された除電紙間には、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔を配置し、この除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したことを特徴とするカードケースである。
【0017】
請求項3の発明は、請求項1の目的を達成し、例えば、カードを磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消すること等を意図する。また請求項3の発明は、ポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供することを意図する。さらに請求項3の発明は、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供することを意図する。また、金、銀、銅、鉄等の金属箔の装飾効果と、高級感覚を確保すること等を意図する。
【0018】
請求項3は、請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側より他方側に向かってラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔、ラミネートフィルムで被覆された除電紙、次にラミネートフィルムで被覆された除電紙という順序で配置し、この除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したことを特徴とするカードケースである。
【0019】
請求項4の発明は、請求項1の目的を達成すること、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供することを意図する。
【0020】
請求項4は、請求項1に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、このパルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成としたカードケースである。
【0021】
請求項5の発明は、請求項1の目的を確実かつ有効に達成すること、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供することを意図する。
【0022】
請求項5は、請求項4に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、このパルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成とした除電紙素材を複数枚積層する構成とし、この積層する除電紙素材をクロス状に配置する構成としたカードケースである。
【発明の効果】
【0023】
請求項1の発明は、ラミネートフィルムで被覆された除電紙と、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔及び/又はラミネートフィルムで被覆された除電紙で形成された磁気シールド性シート材を製造し、
磁気シールド性シート材を熱圧着、接着、縫着等の一体化手段で、磁気カードを隠蔽できる袋状、開閉式、又はバック式等のケースに構成したカードケースである。
【0024】
従って、請求項1は、カードを残留磁気、外乱磁場等の各種の磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護(磁気記録媒体の保護)と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消できる特徴がある。また請求項1は、軽量で薄い構造であって、かつポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供できる実益がある。さらに請求項1の発明は、軽量で薄い構造であって、かつ廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供できる特徴がある。
【0025】
請求項2の発明は、請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側と他方側はラミネートフィルムで被覆された除電紙で、ラミネートフィルムで被覆された除電紙間には、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔を配置し、除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したカードケースである。
【0026】
従って、請求項2は、請求項1の目的を達成し、例えば、カードを磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消できる特徴がある。また請求項2の発明は、ポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供できる実益がある。さらに請求項2の発明は、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供できる特徴がある。
【0027】
請求項3の発明は、請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側より他方側に向かってラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔、ラミネートフィルムで被覆された除電紙、次にラミネートフィルムで被覆された除電紙という順序で配置し、この除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したカードケースである。
【0028】
従って、請求項3は、請求項1の目的を達成し、例えば、カードを磁気から確実に保護し、かつ改札口等の通用箇所に設けられた磁気判別又は読取り手段からの保護と、この通用箇所を通過する際に邪魔となる不都合を解消できること等の特徴がある。また請求項3は、ポケットに簡易かつ違和感なく収容できるカードケースを提供できる実益がある。さらに請求項3の発明は、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供できる特徴がある。また、金、銀、銅、鉄等の金属箔の装飾効果と、高級感覚を確保できる実益がある。
【0029】
請求項4の発明は、請求項1に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、パルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成としたカードケースである。
【0030】
従って、請求項4は、請求項1の目的を達成できること、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供できること等の特徴がある。
【0031】
請求項5の発明は、請求項4に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、パルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成とした除電紙素材を複数枚積層する構成とし、積層する除電紙素材をクロス状に配置する構成としたカードケースである。
【0032】
従って、請求項5は、請求項1の目的を確実かつ有効に達成できること、廃棄処分の際に環境に悪影響を与えない紙主体のカードケースを提供できること等の特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0033】
本発明の一例を説明する。
【0034】
図面の説明をすると、図1は除電紙素材を製造する過程を示した模式図、図2は磁気シールド性シート材の第一の実施例を示した断面模式図、図3は第一の実施例の要部を拡大して示した一部欠截の斜視図、図4は磁気シールド性シート材の第一の実施例を示した断面模式図、図4は第一の実施例を折畳みのカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図、図5は図4に示した第一の実施例にカードを差入れた状態の使用の一例を示した斜視図、図6は図4に示した第一の実施例を遮蔽した状態での使用の一例を示した斜視図、図7は第一の実施例を袋状のカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図、図8は図7に示した第一の実施例にカードを差入れた状態の使用の一例を示した斜視図、図9は磁気シールド性シート材の第二の実施例を示した断面模式図、図10は第二の実施例の要部を拡大して示した一部欠截の斜視図、図11は第二の実施例を折畳みのカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図である。
【0035】
先ず、図1に示した磁気シールド性シート材の除電紙素材を製造する過程を示した模式図を利用し、この除電紙素材の製造する過程を説明すると、解繊機、叩解機、又は撹拌混合機械、或いは粉砕混合機械等の手段(解繊機、叩解機とする)に、パルプ繊維及び/又はカーボン繊維及び/又は熱可塑性樹脂を投入し、当該パルプ繊維、カーボン繊維を、所定の寸法に叩解及び/又は撹拌・粉砕等する。この作業で、叩解及び/又は撹拌・粉砕されたパルプ繊維、カーボン繊維を主体とした磁気シールド性の粒子(粉砕粒子とする)が生成される。この粉砕粒子に、水分を媒体として撥水又は耐水処理を行って水溶性の粉砕粒子とする(泥状化したパルプ素材であり、所謂、スラリーである)。この工程において、水分を媒体として泥状化したパルプ素材とすることで、例えば、作業の効率化、簡略化と、粉塵の発生回避等が図れること、また泥状化したパルプ素材の品質の向上と、この品質の確保が図れること等の利点がある。そして、以後、この例では二つのルート(以下の「1」と、「2」に区分して説明する)を辿る。そこで、以下、この各ルートを個別に説明する。この水分の付与は、何れの方法でも可能であり、例えば、噴霧、充填、塗布等があるが、何れにしても簡便で確実な方法、工場の設備、経済性等を総合的に判断して決定する。
【0036】
「1」に示した第一のルート(ウェット成形ルート)は、抄製工程(抄造工程)を経由して、紙抄きの感覚で除電紙1を作製する。この抄製工程は、成形工程により、除電紙素材を成形した後に、熱プレスで成形するウェット成形ルートがある。このルートは、例えば、少量成形で、かつ手作業による製造法である。尚、このウェット成形ルートは、熱プレス成形機等によるプレス成形後、エアー工程を利用して付着した塵、埃又は滓等を排除して所定の形状の磁気シールド性シートを製造することが望ましい。この例では、図示しないが、成形後にトリミング加工を行って除電紙1を製造する成形ルートもあり得る。
【0037】
「2」に示した第二のルート(ドライ成形ルート:板紙成形ルート)は、また他の抄製工程は、この除電紙素材に乾燥処理及び/又は紙粉防止処理を行った後、積層及び/又は熱圧着工程においてロールプレス機等の熱プレスで、熱による圧着を利用して成形後にトリミング加工を行った後に、エアー工程を利用して付着した塵、埃又は滓等を排除して所定の形状の除電紙1を製造する。この第二のルートは大量成形で、かつ機械加工・低コストによる製造法である。
【0038】
尚、前記紙粉防止処理は、水分を媒体として泥状化したパルプ素材に、水溶性エマルジョン等の薬剤を、何れの方法で添加する。その添加は、例えば、噴霧、充填、塗布等があり、簡便かつ確実な方法を採用する。そして、この工程において、紙粉防止処理を行なう目的は、乾燥工程により表面に噴き出た紙紛を確実に押えて、平面平滑性を確保できる。また後工程での紙紛落下と、この落下に基づくトラブルの解消と、又は作業の効率化、簡略化等を図り、かつ確実で品質の良い除電紙1の製造に有益である。また前記積層及び/又は熱圧着工程においてロールプレス機等の熱プレスで、熱による圧着を利用したルートは、略自然の状態で、前記紙紛の押え及び/又は平面平滑性が確保できるので、有益である。さらにこの他の抄製工程の積層及び/又は熱圧着工程では、図示しないが、芯材として、例えば、牛乳パックの再生品、ダンボール芯、又は他の紙製芯材(再利用が図れ有益である)が利用できる。この芯材の少なくとも一面に除電紙1を添接する。また、この磁気シールド性シート材の枚数は一枚でも可能であるが、枚数が増加すればそれなりの防磁効果(残留磁気、外乱磁場等の各種の磁気を遮断する効果:磁気シールド性)の向上が期待できる。また除電紙1を、一枚のみで利用できるので、強度、引張り等による破壊、場合により防磁効果等を問題としない場合にも有益である。
【0039】
尚、この除電紙1は、防磁を確保するために、除電紙素材を複数枚クロス状に積層することも可能である。そして、図中100はカーボン繊維を、101はパルプ繊維を示す。また必要により接着効果を意図し、熱可塑性繊維102を混入する。尚、カーポン繊維100の混入率によっては、クロス状の積層を変更することもあり得る。また、除電紙1を複数枚クロス状に積層する目的は、防磁効果の向上を図ること、及び/又はカーボン繊維100の混入率を低く押え、もって低コスト化・軽量化、環境破壊をより少なくすること、或いは紙製磁気シールド性シートAの薄肉化による低コスト化、環境破壊をより少なくし、また製造の簡便化・加工の容易化を図ること等を意図する。
【0040】
図2は磁気シールド性シート材2であって、この磁気シールド性シート材2は、一方側となる前記の除電紙1の両面に熱可塑性のラミネートフィルム1a、1bと、中間となる金、銀、銅、鉄等の金属箔3の両面に熱可塑性のラミネートフィルム3a、3bと、他方側となる前記除電紙1の両面に熱可塑性のラミネートフィルム1a、1bで構成し、このラミネートフィルム1b、ラミネートフィルム3a、3bとラミネートフィルム1aを熱圧着で一体として製造する。そして、望ましくは、装飾性、商品価値の向上、趣向性、耐久性等を意図して、一方側及び/又は他方側となる除電紙1の一面に設けた熱可塑性のラミネートフィルム1aにプリントを施す。尚、この磁気シールド性シート材2は、防磁効果(除電効果)を確保するために、除電紙1を複数枚クロス状に積層する。そして、この積層を分かり易くするために図示において線を付し区別した。
【0041】
以上の磁気シールド性シート材2で折畳み形式のカードケースCを形成する構成を、第一の実施例(第一の例とする)として図4〜6に示した。この第一の例は、磁気シールド性シート材2を一枚構造とし、図4に展開した状態で示した如く、開閉自在のカードケースCであり、収容本体部C1と、この収容本体部C1の両端に連設した側板部C2、C3とし、前記この収容本体部C1の長手方向に連設した収容上部C4と、この収容上部C4に連設した蓋部C5とで構成した。この例では、図5の如く、収容本体部C1の内面に磁気カードD(カード)を載置し、この磁気カードDを側板部C2、C3と収容上部C4で隠蔽し、蓋部C5を収容本体部C1の外側に止め具C6を利用し、図6の如く、止めることで、前記磁気カードDは完全に磁気からガードされる(磁気シールされる)。従って、磁気カードDは、前述した各種の状況でも防磁される特徴がある(破壊及び/又は損傷されることは皆無である)。次に前記磁気シールド性シート材2で袋形式のカードケースCを形成する構成であって、第一の例の別の構成を、図7、図8に示した。この一例は、長手方向の一方及びその両側面が閉塞した構成であり、例えば、除電紙1を長手方向に折畳み、その両側面を熱圧着する。即ち、両側面のラミネートフィルム1aと同1bとを熱圧着で閉塞した収容本体部C1と、この収容本体部C1の長手方向の他方に開口C7を設けた構成であり、この開口C7より磁気カードDを差入れる。この差入れにより磁気カードDが閉塞状態で収容される。尚、この一例では蓋部C5を図示しないが望ましくは設けるか、場合によりこの開口C7を折畳んで閉塞する等の方法を採用する。また前記熱圧着に代わり接着、縫着等の一体化手段でも可能であり、装飾性、趣向性、耐久性、閉塞性等を考慮して決定するが、密封、製造の容易化、又はコスト面等を考慮すると、熱圧着が望ましい。そして、この例では、装飾性、趣向性、耐久性等を考慮してカードケースCの外側にプリント等の手段で柄Eを施し、またこのカードケースCの内側(ラミネートフィルム1a、1b等)にプリント等の手段で柄Eを施した例を示した。そして、この除電特性(磁気遮断特性)を検討した場合には、この柄Eを磁気シールド塗料でプリントすることが望ましい(他の実施例も同じ)。
【0042】
また図9は磁気シールド性シート材20であって、この磁気シールド性シート材20は、一方側となる金、銀、銅、鉄等の金属箔3の両面に熱可塑性のラミネートフィルム3a、3bと、中間と他方側となる前記二枚の除電紙1の熱可塑性のラミネートフィルム1a、1bとで構成し、このラミネートフィルム3b、ラミネートフィルム1a、1bとラミネートフィルム1aを熱圧着で一体として製造する。そして、望ましくは、装飾性、商品価値の向上、趣向性、耐久性等を意図して、金属箔3及び/又は他方側となる除電紙1の一面に設けた熱可塑性のラミネートフィルム3a、1bにプリントを施す。尚、この磁気シールド性シート材20は、防磁効果を確保するために、除電紙1を複数枚クロス状に積層する。そして、この積層を分かり易くするために図示において線を付し区別した。他の構造及び/又は効果は前述の例に準ずる。
【0043】
そして、前記磁気シールド性シート材20の構成を、一方側と他方側に両面に熱可塑性のラミネートフィルム1a、1bを設けた(被覆した)除電紙1を、中間に両面に熱可塑性のラミネートフィルム1a、1bを設けた(被覆した)金属箔3でなる例と、また一方側に金属箔3を、中間と他方側に除電紙1でなる例を示したが、この除電紙1と金属箔3の組合せ構造は自由であり、使用の状態、方法、除電特性、用途、コスト面等を考慮して適宜変更できる。また同様に使用の状態、方法、除電特性、用途、コスト面、量産性等を考慮して金属箔3と除電紙1を製造過程で一体化することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】図1は除電紙素材を製造する過程を示した模式図
【図2】図2は磁気シールド性シート材の第一の実施例を示した断面模式図
【図3】図3は第一の実施例の要部を拡大して示した一部欠截の斜視図
【図4】図4は第一の実施例を折畳みのカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図
【図5】図5は図4に示した第一の実施例にカードを差入れた状態の使用の一例を示した斜視図
【図6】図6は図4に示した第一の実施例を遮蔽した状態での使用の一例を示した斜視図
【図7】図7は第一の実施例を袋状のカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図
【図8】図8は図7に示した第一の実施例にカードを差入れた状態の使用の一例を示した斜視図
【図9】図9は磁気シールド性シート材の第二の実施例を示した断面模式図
【図10】図10は第二の実施例の要部を拡大して示した一部欠截の斜視図
【図11】図11は第二の実施例を折畳みのカードケースとして使用する一例を展開し、その一部を欠截して示した斜視図
【符号の説明】
【0045】
1 除電紙
100 カーボン繊維
101 パルプ繊維
102 熱可塑性繊維
1a ラミネートフィルム
1b ラミネートフィルム
2 磁気シールド性シート材
20 磁気シールド性シート材
3 金属箔
3a ラミネートフィルム
3b ラミネートフィルム
C カードケース
C1 収容本体部
C2 側板部
C3 側板部
C4 収容上部
C5 蓋部
C6 止め具
C7 開口
D 磁気カード
E 柄

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ラミネートフィルムで被覆された除電紙と、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔及び/又はラミネートフィルムで被覆された除電紙で形成された磁気シールド性シート材を製造し、
この磁気シールド性シート材を熱圧着、接着、縫着等の一体化手段で、磁気カードを隠蔽できる袋状、開閉式、又はバック式等のケースに構成したカードケース。
【請求項2】
請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側と他方側はラミネートフィルムで被覆された除電紙で、このラミネートフィルムで被覆された除電紙間には、ラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔を配置し、この除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したことを特徴とするカードケース。
【請求項3】
請求項1に記載の磁気シールド性シート材は、一方側より他方側に向かってラミネートフィルムで被覆されたアルミ、金、銀、銅、鉄等の金属箔、ラミネートフィルムで被覆された除電紙、次にラミネートフィルムで被覆された除電紙という順序で配置し、この除電紙及び/又は金属箔を熱圧着で一体に形成したことを特徴とするカードケース。
【請求項4】
請求項1に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、このパルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成としたカードケース。
【請求項5】
請求項4に記載の除電紙は、パルプ繊維とカーボン繊維、及び熱可塑性繊維を混合し、泥状化したパルプ素材を生成し、このパルプ素材をシート状に延展、抄造等の手段により製造し、パルプ繊維中にカーボン繊維が混在する構成とした除電紙素材を複数枚積層する構成とし、この積層する除電紙素材をクロス状に配置する構成としたカードケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2006−260417(P2006−260417A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−79774(P2005−79774)
【出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(505092337)
【出願人】(502386743)
【Fターム(参考)】