説明

カードリーダおよびカードリーダの制御方法

【課題】特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能なカードリーダを提供すること。
【解決手段】カードリーダ1は、カード挿入口4から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路6と、カード搬送路6に出没可能でカード2の表面に接触可能なカード表面接触部材15と、カード表面接触部材15のカード搬送路6への出没状態を検出する接触部材センサと、カード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構14と、接触部材センサでの検出結果およびカード挿入検出機構14での検出結果に基づいてカード2が特殊な形状であるか否かを判別する制御部とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダおよびカードリーダの制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カードリーダ内に取り込まれるカードがISO(JIS)規格に適合する正常な形状をしたカードであるのか、あるいは、規格外の特殊な形状をしたカードであるのかを判別することが可能なカードリーダが本出願人によって提案されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のカードリーダでは、カード挿入口の近傍に配置されるプリヘッドとカード検出スイッチとを用いて、特殊な形状のカードと正常な形状のカードとの判別が行われている。具体的には、このカードリーダでは、図10(A)に示すカード2Aのように、磁気ストライプ2aが表面に形成されるとともに4隅の1箇所が曲率半径の大きな曲線状に形成された特殊形状のカードと、磁気ストライプ2aが表面に形成された正常な形状のカードとの判別が行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−165625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、規格外の特殊な形状をした様々なカードが市場で流通し始めている。たとえば、カード2Aと同様の外形を有するが磁気ストライプ2aが形成されずにICチップ2bが固定されたカード2B(図10(B)参照)、または、磁気ストライプ2aが形成されずにICチップ2bが固定されるとともにカードの長手方向の一端が半円状に形成されたカード2C(図10(C)参照)、あるいは、磁気ストライプ2aが形成されずにICチップ2bが固定されるとともにカードの長手方向の両端が曲線状に形成されたカード2D(図10(D)参照)等が市場で流通し始めている。そのため、このような特殊な形状の様々なカードが特殊な形状であることを判別し、所定形状のカードであれば内部に取り込んで所定の処理を行うことが可能なカードリーダが市場で要求されている。
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載のカードリーダでは、磁気ストライプ2aが形成されていないカード2B〜2Dが特殊な形状をしたカードであることを判別することができない。また、特許文献1に記載のカードリーダでは、カードに磁気ストライプ2aが形成されている場合であっても、磁気ストライプ2aの長さが規格に適合した長さでないと、そのカードが特殊な形状のカードであるか否かを判別することはできない。すなわち、特許文献1に記載のカードリーダでは、特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することは困難である。
【0007】
そこで、本発明の課題は、特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能なカードリーダおよびカードリーダの制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダは、カードが挿入されるカード挿入口と、カード挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路と、カード搬送路に出没可能でカードの表面に接触可能なカード表面接触部材と、カード表面接触部材のカード搬送路への出没状態を検出する接触部材センサと、カード挿入口からカードが挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構と、接触部材センサでの検出結果およびカード挿入検出機構での検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別する制御部とを備えることを特徴とする。
【0009】
本発明のカードリーダでは、制御部が、カードの表面に接触可能なカード表面接触部材のカード搬送路への出没状態を検出する接触部材センサでの検出結果と、カード挿入検出機構での検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別している。そのため、本発明では、カードの表面に磁気ストライプが形成されていない場合であっても、挿入されたカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。また、本発明では、カードの表面に形成される磁気ストライプの長さが規格外の長さであっても、挿入されたカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。すなわち、本発明では、特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能になる。
【0010】
本発明において、カード挿入検出機構は、カードの厚さ方向とカードの取込方向とに略直交するカードの幅方向におけるカードの端部に接触可能でかつカード搬送路に出没可能なカード端接触部材を有する接触式の検出機構であることが好ましい。このように構成すると、挿入されるカードが透明なカードであっても、そのカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。
【0011】
本発明において、カード表面接触部材は、カード搬送路を開閉するシャッタ部材であり、接触部材センサは、シャッタ部材の開閉状態を検出する開閉センサであることが好ましい。このように構成すると、シャッタ部材および開閉センサを利用してカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。したがって、カードが特殊な形状であるか否かを判別するために、別途、カード表面接触部材および接触部材センサを設ける必要がなくなる。したがって、カードリーダの構成を簡素化することができる。
【0012】
本発明において、カードリーダは、たとえば、カード搬送路でカードを搬送するためのカード搬送機構と、シャッタ部材を駆動するシャッタ駆動機構とを備え、制御部は、カード挿入口から挿入されたカードがカード挿入検出機構で検出されなくなった後にカードの取込方向へカードが所定の搬送距離、搬送されて停止するようにカード搬送機構を制御するとともに、カード搬送路を閉鎖する方向へシャッタ部材が移動するようにシャッタ駆動機構を制御し、その後、開閉センサでの検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別する。
【0013】
この場合には、搬送距離は、カードリーダ内で情報の記録処理および/または情報の再生処理が行われるカードの形状に応じて設定されることが好ましい。このように構成すると、カードリーダが設置される市場で流通する特殊形状のカードに応じた搬送距離を設定することが可能になるため、カードリーダに挿入されるカードが特殊な形状であるか否かを適切に判別することが可能になる。すなわち、挿入されたカードの情報の記録処理および/または情報の再生処理をカードリーダ内で行うことが可能か否かを適切に判別することが可能になる。
【0014】
本発明において、カードリーダは、カード挿入口の近傍に配置されるとともにカードの表面に形成される磁気ストライプに記録された情報を再生するためのプリヘッド、および/または、カード挿入口の近傍に配置されるとともにカードの表面に固定されるICチップを検出するための金属センサを備えることが好ましい。このように構成すると、挿入されるカードが磁気カードであるか否か、および/または、接触式のICカードであるか否かを判別することが可能になる。したがって、カードリーダ内に取り込まれた後のカードに対してどのような処理を行えば良いのかを制御部で適切に判断することが可能になる。
【0015】
本発明において、制御部は、カードが特殊な形状であると判断すると、カードリーダによるカードの処理機能に制限をかけることが好ましい。このように構成すると、カードリーダ内に取り込まれるカードが特殊な形状をしていても、そのカードに応じた適切な処理を行うことが可能になる。
【0016】
本発明において、制御部は、カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、上位制御部からの制御指令に応じてカードが特殊な形状であるか否かの判別を行うか否かを切り替えることが好ましい。また、本発明において、制御部は、カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、カードが特殊な形状であるか否かを判別する制御に関する制御プログラムを上位制御部からダウンロード可能となっていることが好ましい。このように構成すると、カードリーダが設置される市場に応じたカードリーダの制御を行うことが可能になる。
【0017】
また、上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダの制御方法は、カード挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を開閉するシャッタ部材と、シャッタ部材の開閉状態を検出する開閉センサと、カード挿入口からカードが挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構とを備えるカードリーダの制御方法であって、カード挿入口から挿入されたカードがカード挿入検出機構で検出されたときに、シャッタ部材をカード搬送路から退避させるシャッタ開放ステップと、シャッタ開放ステップ後であってカード挿入検出機構でカードが検出されなくなった後に、カードの取込方向へカードを所定の第1搬送距離、搬送して停止させる搬送停止ステップと、カード搬送路を閉鎖する方向へシャッタ部材を移動させるシャッタ閉鎖ステップと、シャッタ閉鎖ステップ後の開閉センサでの検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別する判別ステップとを備えることを特徴とする。
【0018】
本発明のカードリーダの制御方法では、搬送停止ステップで、カード挿入口から挿入されたカードがカード挿入検出機構で検出されなくなった後にカードの取込方向へカードを所定の第1搬送距離、搬送して停止させ、シャッタ閉鎖ステップで、カード搬送路を閉鎖する方向へシャッタ部材を移動させ、判別ステップで、シャッタ閉鎖ステップ後の開閉センサでの検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別している。そのため、カード挿入検出機構での検出結果および開閉センサでの検出結果に基づいて、挿入されたカードが特殊な形状のカードであることを判別することが可能になる。したがって、本発明では、カードの表面に磁気ストライプが形成されていない場合であっても、挿入されたカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。また、本発明では、カードの表面に形成される磁気ストライプの長さが規格外の長さであっても、挿入されたカードが特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。すなわち、本発明では、特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能になる。
【0019】
本発明において、カードリーダの制御方法は、判別ステップにおいて、シャッタ部材がカード搬送路を閉鎖していると開閉センサが検出したときに、シャッタ部材をカード搬送路から退避させるシャッタ再開放ステップと、シャッタ再開放ステップ後に、カードの排出方向へカードを第1搬送距離以上、搬送して停止させる逆搬送停止ステップと、逆搬送停止ステップ後に、第1搬送距離よりも短い所定の第2搬送距離、カードをカードの取込方向へ搬送して停止させる再搬送停止ステップと、再搬送停止ステップ後に、カード搬送路を閉鎖する方向へシャッタ部材を移動させるシャッタ再閉鎖ステップと、シャッタ再閉鎖ステップ後の開閉センサでの検出結果に基づいてカードが特殊な形状であるか否かを判別する再判別ステップとを備えることが好ましい。このように構成すると、挿入されたカードが特殊な形状をしたカードであるか否かを段階的に判別することが可能になる。したがって、特殊な形状をしたより多くの様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のカードリーダおよびカードリーダの制御方法では、特殊な形状をした様々なカードが特殊な形状であることを判別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの主要部の構成を上面から示す図である。
【図2】図1のE−E方向からカードリーダを示す図である。
【図3】図1に示すカード挿入部の構成を説明するための断面図である。
【図4】図2に示すシャッタ駆動機構の構成を説明するための図であり、(A)はシャッタ部材がカード搬送路を閉鎖している状態を示す図、(B)はシャッタ部材がカード搬送路を開放している状態を示す図である。
【図5】(A)は、図4(A)のF−F方向から開閉センサとレバー部との関係を示す図、(B)は、図4(B)のG−G方向から開閉センサとレバー部との関係を示す図である。
【図6】図1に示すカードリーダの制御部およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。
【図7】図1に示すカードリーダの内部へカードを取り込むカードの取込制御の制御フローの一例を示すフローチャートである。
【図8】図7に示すカードの取込制御を説明するための図である。
【図9】図7に示すカードの取込制御を説明するための図である。
【図10】特殊形状をしたカードを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の主要部の構成を上面から示す図である。図2は、図1のE−E方向からカードリーダ1を示す図である。
【0024】
本形態のカードリーダ1は、図10に示す特殊な形状をした様々なカード2を処理することが可能なカードリーダである。このカードリーダ1は、図1、図2に示すように、カード2に記録された情報の再生および/またはカード2への情報の記録を行うカード処理部3と、カード2が挿入、排出されるカード挿入口4が形成されるカード挿入部5とを備えている。カードリーダ1の内部には、カード挿入口4から挿入されたカード2が搬送されるカード搬送路6が形成されている。
【0025】
本形態では、図1のX方向(左右方向)にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。また、本形態では、図1のX1方向にカード2が取り込まれ、X2方向にカード2が排出される。すなわち、X1方向はカード2の取込方向であり、X2方向はカード2の排出方向である。また、図1のZ方向(紙面垂直方向)は、カード2の厚さ方向であり、X方向とZ方向とに直交する図1のY方向(上下方向)は、カード2の幅方向(短手幅方向)である。
【0026】
カード2は、たとえば、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードである。このカード2の表面には、用途に応じて、たとえば、磁気ストライプ2aが形成されたり、ICチップ2bが固定されている。また、カード2には、通信用のアンテナが内蔵されることもある。なお、カード2は、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードであっても良いし、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0027】
カード処理部3は、カード搬送路6でカード2を搬送するためのカード搬送機構9と、磁気ヘッド(図示省略)やIC接点(図示省略)等の情報の再生記録手段とを備えている。また、カード処理部3は、カード搬送路6内のカード2の有無を検出するためのフォトセンサ10を備えている。
【0028】
カード搬送機構9は、3個の搬送ローラ11と、搬送ローラ11を回転駆動する駆動用モータ12と、駆動用モータ12の動力を搬送ローラ11に伝達する動力伝達機構13とを備えている。また、カード搬送機構9は、搬送ローラ11に対向配置されるとともに搬送ローラ11に向かって付勢されるパッドローラ(図示省略)を備えている。
【0029】
3個の搬送ローラ11は、カード2の搬送方向で所定の間隔をあけた状態で配置されている。具体的には、ISO(JIS)の規格に適合する正常な形状のカード2の長さ(長手方向(X方向)の長さ)よりも搬送ローラ11間の間隔が小さくなるように、3個の搬送ローラ11が配置されている。
【0030】
フォトセンサ10は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサである。このフォトセンサ10は、図1に示すように、カード2の搬送方向においてカード処理部3の中央部に配置される搬送ローラ11の近傍に配置されている。具体的には、カード2の搬送方向において、この搬送ローラ11よりカード挿入口4側にフォトセンサ10が配置されている。なお、フォトセンサ10に代えて、接点スイッチ等の機械式のセンサが配置されても良い。
【0031】
(カード挿入部の構成)
図3は、図1に示すカード挿入部5の構成を説明するための断面図である。図4は、図2に示すシャッタ駆動機構16の構成を説明するための図であり、(A)はシャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖している状態を示す図、(B)はシャッタ部材15がカード搬送路6を開放している状態を示す図である。図5(A)は、図4(A)のF−F方向から開閉センサ17とレバー部25aとの関係を示す図、図5(B)は、図4(B)のG−G方向から開閉センサ17とレバー部25aとの関係を示す図である。
【0032】
カード挿入部5は、カード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構14と、カード搬送路6を開閉するシャッタ部材15と、シャッタ部材15を駆動するシャッタ駆動機構16と、シャッタ部材15の開閉状態を検出する開閉センサ17とを備えている。また、カード挿入部5は、磁気ストライプ2aに記録された磁気情報を再生するためのプリヘッド18と、ICチップ2bを検出するための金属センサ19とを備えている。
【0033】
カード挿入検出機構14は、カード2の幅方向の一方の端部に接触可能なカード端接触部材としてのセンサレバー22と、センサレバー22がカード2に接触しているか否かを検出するカード幅センサ23とを備えている。すなわち、本形態のカード挿入検出機構14は、カード2に接触するセンサレバー22を有する接触式の検出機構である。
【0034】
センサレバー22は、所定の回動軸を中心に回動可能となっており、カード搬送路6に出没可能となっている。カード幅センサ23は、レバー部材とレバー部材に押圧される接点とを備える接点スイッチであり、たとえば、マイクロスイッチである。本形態では、カード挿入口4から挿入されたカード2の幅方向の端部がセンサレバー22に接触すると、センサレバー22が回動して、カード幅センサ23のレバー部材に接触し、レバー部材によって接点が押圧される。すなわち、本形態のカード幅センサ23は、カード挿入口4から挿入されたカード2がセンサレバー22に接触することを検出することで、カード挿入口4からカード2が挿入されたことを検出する。
【0035】
なお、カード幅センサ23は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサであっても良い。また、カード挿入検出機構14は、カード2の幅方向の端部に直接、接触する接点を有する機械式の検出機構であっても良い。
【0036】
シャッタ部材15は、平板状に形成されている。図4におけるシャッタ部材15の上端には、上側に突出する突出部15aが形成されている。シャッタ駆動機構16は、駆動源となるソレノイド24と、ソレノイド24とシャッタ部材15とを連結するリンク機構25とを備えている。また、リンク機構25は、ソレノイド24に連結される作動部材27や、シャッタ部材15に連結される2個の回動部材28等を備えている。本形態では、ソレノイド24が通電されていない状態(オフの状態)では、ソレノイド24のプランジャに取り付けられる圧縮コイルバネ26(図2参照)の付勢力によって、図4(A)に示すように、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖している。一方、ソレノイド24が通電状態(オンの状態)になると、図4(B)に示すように、作動部材27が移動して、回動部材28が支点軸29を中心に回動する。また、回動部材28が支点軸29を中心に回動すると、シャッタ部材15がカード搬送路6から退避してカード搬送路6を開放する。すなわち、シャッタ部材15は、カード2の厚さ方向に移動してカード搬送路6の開閉を行う。
【0037】
開閉センサ17は、レバー部材とレバー部材に押圧される接点とを備える接点スイッチであり、たとえば、マイクロスイッチである。本形態では、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖しているときには、図5(A)に示すように、リンク機構25に形成されるレバー部25aが開閉センサ(マイクロスイッチ)17のレバー部材に接触して、レバー部材によって接点が押圧されている。また、シャッタ部材15がカード搬送路6を開放しているときには、図5(B)に示すうように、レバー部25aが開閉センサ17のレバー部材から離れている。なお、開閉センサ17は、発光素子と受光素子とを有する光学式のセンサであっても良い。
【0038】
上述のように、シャッタ部材15は、カード搬送路6を閉鎖するとともに、カード搬送路6から退避する。すなわち、シャッタ部材15は、カード搬送路6に出没可能である。また、シャッタ部材15は、カード2の厚さ方向に移動してカード搬送路6の開閉を行う。すなわち、シャッタ部材15は、カード2の表面に接触可能である。このように、本形態のシャッタ部材15は、カード搬送路6に出没可能でカード2の表面に接触可能なカード表面接触部材である。また、本形態の開閉センサ17は、カード表面接触部材であるシャッタ部材15のカード搬送路6への出没状態を検出する接触部材センサである。
【0039】
プリヘッド18は、カード2の搬送方向において、カード挿入口4の近傍に配置されている。同様に、金属センサ19も、カード2の搬送方向において、カード挿入口4の近傍に配置されている。この金属センサ19は、励磁用コイルと検出用コイルとを有する磁気式のセンサである。
【0040】
(カードリーダの制御部の概略構成およびカードの取込制御)
図6は、図1に示すカードリーダ1の制御部30およびその関連部分の概略構成を示すブロック図である。図7は、図1に示すカードリーダ1の内部へカード2を取り込むカード2の取込制御の制御フローの一例を示すフローチャートである。図8、図9は、図7に示すカード2の取込制御を説明するための図である。なお、図6では、カード2の取込制御に関連する構成のみが図示されている。また、カードの取込制御とは、挿入されたカード2の情報の記録処理および/または情報の再生処理をカードリーダ1内で行うことが可能か否かを判別する制御である。
【0041】
カードリーダ1の各種の制御を行う制御部30は、カードリーダ1が搭載されるATM等の上位装置を制御する上位制御部31に接続されている。また、制御部30は、CPU32を備えている。CPU32には、フォトセンサ10、開閉センサ(マイクロスイッチ)17、プリヘッド18、金属センサ19およびカード幅センサ23に接続されており、これらの各構成からの出力信号が入力される。また、CPU32には、駆動用モータ12のエンコーダ33が接続されており、エンコーダ33からの出力信号が入力される。さらに、CPU32には、ドライバ34を介して駆動用モータ12が接続されるとともに、ソレノイド24が接続されている。
【0042】
本形態のカードリーダ1は、たとえば、以下のように、内部へカード2を取り込む。すなわち、図7に示すフローのように、まず、カード2の挿入を待つ待機状態(ステップS1)において、制御部30は、カード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを判断する(ステップS2)。具体的には、カード幅センサ23からの出力信号に基づいてCPU32がカード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを判断する。あるいは、プリヘッド18からの出力信号に基づいてCPU32がカード挿入口4からカード2が挿入されたか否かを判断する。
【0043】
ステップS2で、カード挿入口4からカード2が挿入されたと判断されると、制御部30は、ソレノイド24をオンの状態とし、シャッタ部材15をカード搬送路6から退避させて、カード搬送路6を開放する(ステップS3)。また、制御部30は、挿入されたカード2が磁気ストライプ2aを有する磁気カードであるか否かを判別するとともに、挿入されたカード2がICチップ2bを有するICカードであるか否かを判別する(ステップS4)。具体的には、プリヘッド18および金属センサ19からの出力信号に基づいてカード2が磁気カードおよび/またはICカードであるか否かをCPU32が判別する。
【0044】
その後、制御部30は、X1方向(取込方向)へカード2を搬送する(ステップS5)。具体的には、CPU32が駆動用モータ12の駆動信号をドライバ34へ出力し、カード搬送機構9を駆動してカード2を取込方向へ搬送する。また、制御部30は、カード幅センサ23でカード2が検出されているか否かを判断する(ステップS6)。すなわち、カード2の幅方向の端部がセンサレバー22に接触しているか否かをカード幅センサ23からの出力信号に基づいてCPU32が判断する。
【0045】
カード幅センサ23でカード2が検出されている間は、そのまま、カード2の搬送が継続される。一方、ステップS6において、カード幅センサ23でカード2が検出されなくなったと判断されると、制御部30は、その直後から取込方向へ所定の搬送距離L1、カード2が搬送されて停止するようにカード搬送機構9を制御する(ステップS7)。具体的には、エンコーダ33からの出力信号に基づいてCPU32がドライバ34を介して搬送用モータ12を制御する。
【0046】
なお、搬送距離L1は、カードリーダ1で処理可能なカード2の形状に応じて設定されている。また、搬送距離L1は、任意に設定することが可能である。ただし、搬送距離L1は、図8に示すように、センサレバー22とカード2の端部との接触位置からカード挿入口4側に配置される搬送ローラ11までの距離L0よりも小さくなるように設定されている。搬送ローラ11間の間隔よりも短いカード2がカードリーダ1の内部に取り込まれてしまうのを防止するためである。また、搬送距離L1は、カード2が規格に適合する正常な形状をしている場合、搬送距離L1、搬送された後のカード2がフォトセンサ10によって検出されるように設定されている。
【0047】
その後、制御部30は、フォトセンサ10でカード2が検出されているか否かを判断する(ステップS8)。ステップS8において、フォトセンサ10でカード2が検出されていると判断される場合、そのカード2は、図8(A)に示すように、規格に適合する正常な形状をした正常カードである。すなわち、ステップS8において、フォトセンサ10でカード2が検出されていると判断されれば、カードリーダ1内でカード2の通常の処理を行うことができる。
【0048】
したがって、ステップS8において、フォトセンサ10でカード2が検出されていると判断されると、制御部30は、そのカード2が正常カードであると判断して、カードリーダ1の内部へのカード2の取込制御を終了する。また、制御部30は、その後、カードリーダ1内でカード2の所定の処理を行う。たとえば、ステップS4においてカード2が磁気カードであると判断されている場合には、磁気データの再生や記録が行われる。
【0049】
一方、ステップS8において、フォトセンサ10でカード2が検出されていないと判断される場合、そのカード2は、図8(B)に示すように、その長さLeが搬送ローラ11間の間隔よりも短い短カードであるか、あるいは、図8(C)、図9(A)に示すように、規格外の特殊な形状をした特殊形状カードである。本形態のカードリーダ1では、特殊形状カードの処理が可能となっている。そのため、ステップS8において、フォトセンサ10でカード2が検出されていないと判断されると、制御部30は、以下のように、そのカード2が短カードであるか特殊形状カードであるかを判別する。
【0050】
なお、処理可能な特殊形状カードとは、ISO(JIS)規格に適合する正常な形状をしたカードとは異なり、規格外の特殊な形状をしたカードであるが、カードリーダ1の内部に取り込んで所定の処理、たとえば、情報の記録処理および/または情報の再生処理を行うことが可能なカードである。一方、短カードはカードリーダ1内で処理することができない特殊形状カードである。
【0051】
制御部30は、まず、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15が移動するように、ソレノイド24をオフの状態とする(ステップS9)。また、その後、シャッタ部材15が実際にカード搬送路6を閉鎖しているか否かを判断する(ステップS10)。具体的には、開閉センサ17からの出力信号に基づいてシャッタ部材15が実際にカード搬送路6を閉鎖しているか否かをCPU32が判断する。
【0052】
カード2が特殊形状カードである場合、ソレノイド24をオフの状態にすると、図8(C)に示すように、カード2の後端側の表面にシャッタ部材15が当接して、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖できないことがある。すなわち、カード2が特殊形状カードである場合、ソレノイド24はオフの状態であるが、シャッタ部材15はカード搬送路6を閉鎖していないことがある。換言すると、ソレノイド24はオフの状態であるが、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していない場合のカード2は、カードリーダ1で処理可能な特殊形状カードである。
【0053】
したがって、ステップS10において、シャッタ部材15が実際にカード搬送路6を閉鎖していないと判断されると、制御部30は、そのカード2がカードリーダ1で処理可能な特殊形状カードであると判断して、カードリーダ1の内部へのカード2の取込制御を終了する。また、制御部30は、その後、カードリーダ1内でカード2の所定の処理を行う。
【0054】
一方、図8(B)に示すように、カード2が短カードである場合、ソレノイド24をオフの状態にすると、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖する。また、図9(A)に示すように、カード2が処理可能な特殊形状カードではあるが図8(C)に示す特殊形状カードよりも短い場合にも、ソレノイド24をオフの状態にすると、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖する。本形態では、図9(A)に示す特殊形状カードと短カードとを判別するため、ステップS10において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されると、制御部30は、さらに以下の制御を行う。
【0055】
すなわち、ステップS10において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されると、制御部30は、ソレノイド24をオンの状態としてカード搬送路6からシャッタ部材15を退避させ、カード搬送路6を開放する(ステップS11)。その後、制御部30は、カード搬送機構9を制御して、図9(B)に示すように、X2方向(排出方向)へ搬送距離L1よりも長い距離、カード2を搬送して停止させる(ステップS12)。すなわち、図9(B)に示すように、カード2の幅方向の端部がセンサレバー22に接触して、カード幅センサ23によってカード2が検出される状態まで、カード2を搬送して停止させる。なお、ステップS12では、X2方向へ搬送距離L1、カード2を搬送して停止させても良い。
【0056】
その後、制御部30は、カード搬送機構9を制御して、図9(C)に示すように、搬送距離L1よりも短い搬送距離L2、取込方向へカード2を搬送して停止させる(ステップS13)。その後、制御部30は、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖する方向へ移動するように、ソレノイド24をオフの状態として(ステップS14)、シャッタ部材15が実際にカード搬送路6を閉鎖しているか否かを判断する(ステップS15)。
【0057】
カード2が特殊形状カードである場合、図9(C)に示すように、ソレノイド24はオフの状態であるが、シャッタ部材15はカード搬送路6を閉鎖していないことがある。すなわち、上述のように、ソレノイド24はオフの状態であるが、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していない場合のカード2は、カードリーダ1で処理可能な特殊形状カードである。
【0058】
したがって、ステップS15において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していないと判断されると、制御部30は、そのカード2がカードリーダ1で処理可能な特殊形状カードであると判断して、カードリーダ1の内部へのカード2の取込制御を終了する。また、制御部30は、その後、カードリーダ1内でカード2の所定の処理を行う。
【0059】
一方、ステップS15において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されると、制御部30は、そのカード2がカードリーダ1での処理ができない短カードであると判断して、カード搬送機構9によって、カード排出口4からカード2を排出する(ステップS16)。
【0060】
本形態では、ステップS3は、カード挿入口4から挿入されたカード2がカード挿入検出機構14で検出されたときにシャッタ部材15をカード搬送路6から退避させるシャッタ開放ステップであり、ステップS7は、カード挿入口4から挿入されたカード2がカード挿入検出機構14で検出されなくなった後にカード2の取込方向へカード2を第1搬送距離L1、搬送して停止させる搬送停止ステップである。また、ステップS9は、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させるシャッタ閉鎖ステップであり、ステップS10は、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊な形状であるか否かを判別する判別ステップである。
【0061】
さらに、ステップS11は、判別ステップにおいて、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると開閉センサ17が検出したときにシャッタ部材15をカード搬送路6から退避させるシャッタ再開放ステップであり、ステップS12は、カード2の排出方向へカード2を第1搬送距離L1以上、搬送して停止させる逆搬送停止ステップである。また、ステップS13は、第1搬送距離L1よりも短い第2搬送距離L2、カード2をカード2の取込方向へ搬送して停止させる再搬送停止ステップであり、ステップS14は、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させるシャッタ再閉鎖ステップである。さらに、ステップS15は、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊な形状であるか否かを判別する再判別ステップである。
【0062】
なお、本形態では、制御部30は、カード2が特殊形状カードであると判断すると、カードリーダ1によるカード2の処理機能に制限をかける。たとえば、カード2が正常カードである場合には、カードリーダ1内でカード2に対する情報の再生処理および記録処理が行われるが、カード2が特殊形状カードである場合には、カードリーダ1内でカード2に対する情報の再生処理のみが行われ、記録処理が行われない。
【0063】
また、本形態では、制御部30は、上位制御部31からの制御指令に応じて、ステップS9からステップS15までの制御を行うか否かの切替えを行っている。すなわち、上位制御部31から特殊形状カードの判別指令がある場合には、ステップS9からステップS15までの制御を行うが、上位制御部31から特殊形状カードの判別指令がない場合には、ステップS9〜ステップS15までの制御を行わない。
【0064】
さらに、本形態では、ステップS9からステップS15までの制御に関する制御プログラムは、上位制御部31から制御部30へダウンロードされる。そのため、接続される上位制御部31に応じて、たとえば、搬送距離L1、L2は任意に変わる。
【0065】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、カード挿入口4から挿入されたカード2がカード幅センサ23で検出されなくなった後にX1方向へカード2を搬送距離L1、搬送して停止させ、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させた後に、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを判別している。すなわち、本形態では、制御部30は、カード挿入検出機構14での検出結果と開閉センサ17での検出結果とに基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを判別している。
【0066】
そのため、本形態では、カード2に磁気ストライプ2aが形成されていなくても、上述のように、挿入されたカード2が特殊形状カードであるか否かを判別することが可能になる。また、本形態では、磁気ストライプ2aの長さが規格外の長さであっても、挿入されたカード2が特殊形状カードであるか否かを判別することが可能になる。すなわち、本形態では、特殊な形状をした様々なカード2が特殊な形状であることを判別することが可能になる。
【0067】
本形態では、ステップS10において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されると、制御部30は、搬送距離L1よりも短い搬送距離L2、カード2を再搬送して停止させ、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させた後に、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを再度判別している。すなわち、本形態では、2つの搬送距離L1、L2を用いて、カード2が特殊形状カードであるか否かを段階的に判別している。そのため、本形態では、特殊な形状をしたより多くの様々なカード2が特殊な形状であることを判別することが可能になる。すなわち、挿入されたカード2の情報の記録処理および/または情報の再生処理をカードリーダ1内で行うことが可能か否かを適切に判別することが可能になる。
【0068】
本形態では、カード挿入検出機構14は、カード2に接触するセンサレバー22を有する接触式の検出機構である。そのため、たとえば、挿入されるカード2が透明であっても、そのカード2が特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。すなわち、カード挿入検出機構14が、反射型の光学センサや透過型の光学センサである場合には、光を通過する透明なカード2が特殊な形状であるか否かを判別することは難しいが、本形態では、挿入されるカード2が透明であっても、カード2が特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。また、たとえば、挿入されるカード2の表面の色が光を吸収するような色であったり、カード2の表面が非鏡面であっても、そのカード2が特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。すなわち、カード挿入検出機構14が、反射型の光学センサである場合には、表面で光を反射しないカード2が特殊な形状であるか否かを判別することは難しいが、本形態では、挿入されるカード2の表面で光が反射されなくても、カード2が特殊な形状であるか否かを判別することが可能になる。
【0069】
本形態では、シャッタ部材15および開閉センサ17を利用して、カード2が特殊形状カードであるか否かの判別を行っている。そのため、シャッタ部材15および開閉センサ17に加えて、カード2が特殊形状カードであるか否かを判別するための構成を設ける必要がない。したがって、本形態では、カードリーダ1の構成を簡素化することができる。
【0070】
本形態では、プリヘッド18および金属センサ19がカード挿入口4の近傍に配置されている。そのため、本形態では、挿入されるカード2が磁気カードであるか否か、および/または、接触式のICカードであるか否かを判別することができる。したがって、カードリーダ1内に取り込まれた後のカード2に対してどのような処理を行えば良いのかを制御部30で適切に判断することが可能になる。
【0071】
本形態では、制御部30は、カード2が特殊形状カードであると判断すると、カードリーダ1によるカード2の処理機能に制限をかけている。そのため、カードリーダ1内に取り込まれるカード2が特殊な形状をしていても、そのカード2に応じた適切な処理を行うことができる。
【0072】
本形態では、搬送距離L1は、カードリーダ1内で処理可能なカード2の形状に応じて設定されている。すなわち、本形態では、カードリーダ1が設置される市場で流通する特殊形状カードに応じた搬送距離L1が設定されている。そのため、本形態では、カードリーダ1に挿入されるカード2が特殊な形状であるか否かを適切に判別することが可能になる。
【0073】
本形態では、制御部30は、上位制御部31からの制御指令に応じて、ステップS9からステップS15までの制御を行うか否かの切替えを行っている。また、本形態では、ステップS9からステップS15までの制御に関する制御プログラムは、上位制御部31から制御部30へダウンロードされる。そのため、本形態では、カードリーダ1が設置される市場に応じたカードリーダ1の適切な制御を行うことができる。
【0074】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0075】
上述した形態では、ステップS10において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されると、制御部30は、搬送距離L2、カード2を再搬送して停止させ、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させた後に、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを再度判別している。この他にもたとえば、ステップS10で、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断された場合に、ステップS16へ進んでも良い。すなわち、カード2が特殊形状カードであるか否かを再度判別しなくても良い。
【0076】
また、上述した形態では、2つの搬送距離L1、L2を用いて、カード2が特殊形状カードであるか否かを段階的に判別しているが、3つ以上の搬送距離を用いて、カード2が特殊形状カードであるか否かを段階的に判別しても良い。たとえば、ステップS15において、シャッタ部材15がカード搬送路6を閉鎖していると判断されたときに、ステップS11〜S15とほぼ同様に、制御部30が、搬送距離L2よりも短い所定の搬送距離、カード2を再搬送して停止させ、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させた後に、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを再度判別しても良い。また、搬送距離を徐々に短くしながら、この制御を繰り返しても良い。
【0077】
上述した形態では、カード処理部3に3個の搬送ローラ11が配置されており、カード2の搬送方向において、搬送ローラ11よりもカード挿入口4側にシャッタ部材15が配置されている。この他にもたとえば、1個の搬送ローラ11がカード挿入部5に配置されるとともに、カード2の搬送方向において、カード処理部3に配置される搬送ローラ11とカード挿入部5に配置される搬送ローラ11との間にシャッタ部材15が配置されても良い。
【0078】
この場合には、カード挿入口4から挿入されるカード2の先端がシャッタ部材15の配置位置を通過した直後に、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15が移動するように、ソレノイド24をオフの状態にするとともに、開閉センサ17からの出力信号とエンコーダ33からの出力信号とに基づいて、カード2の長さを測定することで、カード2が特殊形状カードであるか否かを判別しても良い。すなわち、開閉センサ17から出力信号が出力されている間のエンコーダ33の出力信号によってカード2の長さを測定し、カード2が特殊形状カードであるか否かを判別しても良い。
【0079】
また、シャッタ部材15に加え、カード処理部3に配置される搬送ローラ11とカード挿入部5に配置される搬送ローラ11との間にセンサレバー22が配置されている場合には、カード幅センサ23でカード2が検出された直後(すなわち、カード2の先端が検出された直後)から取込方向へ所定の搬送距離、カード2を搬送して停止させ、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15を移動させた後に、開閉センサ17での検出結果に基づいてカード2が特殊形状カードであるか否かを判別しても良い。すなわち、この場合には、カード幅センサ23でカード2が検出された後、カード挿入部5に配置される搬送ローラ11のエンコーダの出力信号に基づいて、取込方向へ所定の搬送距離、カード2を搬送して停止させることができるため、このように、カード2が特殊形状カードであるか否かを判別しても良い。
【0080】
上述した形態では、シャッタ部材15および開閉センサ17を利用して、カード2が特殊形状カードであるか否かの判別を行っている。この他にもたとえば、カードリーダ1は、シャッタ部材15および開閉センサ17に加えて、カード2が特殊形状カードであるか否かを判別するための構成を備えていても良い。すなわち、カードリーダ1は、シャッタ部材15および開閉センサ17に加えて、カード搬送路6に出没可能でカード2の表面に接触可能なカード表面接触部材と、このカード表面接触部材のカード搬送路6への出没状態を検出する接触部材センサとを備えていても良い。この場合には、シャッタ部材15および開閉センサ17に代えて、カード表面接触部材および接触部材センサを利用して、カード2が特殊形状カードであるか否かの判別を行えば良い。
【0081】
上述した形態では、シャッタ部材15に突出部15aが形成されている。この突出部15aは、カード2の幅方向において、搬送ローラ11の配置位置に対応するように形成されることが好ましい。搬送ローラ11間の間隔よりも短いカード2(短カード)がカードリーダ1の中に取り込まれてしまうと、カードリーダ1から排出することができない。すなわち、搬送ローラ11間の間隔を基準にしてカードリーダ1で取り扱えるカード2であるか否かを判断することができる。したがって、突出部15aが搬送ローラ11の配置位置に対応するように形成されていれば、規格外の形状をしたカード2がカードリーダ1で取り扱えるカード2であるか否かをより正確に判別することが可能になる。
【0082】
また、突出部15aは、カード2の幅方向において、カード挿入検出機構14が配置されている側と逆側に形成されても良い。この場合には、カード挿入口4から挿入されるカード2の先端がシャッタ部材15の配置位置を通過した直後に、カード搬送路6を閉鎖する方向へシャッタ部材15が移動するように、ソレノイド24をオフの状態にすることで、開閉センサ17からの出力信号とカード幅センサ23からの出力信号とに基づいて、幅方向におけるカード2の端部の形状を特定することが可能になる。なお、シャッタ部材15に突出部15aが形成されなくても良い。
【0083】
上述した形態では、カード挿入検出機構14は接触式の検出機構であるが、カード挿入検出機構14は光学式の検出機構であっても良い。また、上述した形態では、シャッタ駆動機構16は、ソレノイド24とリンク機構25とから構成されているが、モータや歯車等によってシャッタ駆動機構16が構成されても良い。
【符号の説明】
【0084】
1 カードリーダ
2 カード
2a 磁気ストライプ
2b ICチップ
4 カード挿入口
6 カード搬送路
9 カード搬送機構
14 カード挿入検出機構
15 シャッタ部材(カード表面接触部材)
16 シャッタ駆動機構
17 開閉センサ(接触部材センサ)
18 プリヘッド
19 金属センサ
22 センサレバー(カード端接触部材)
30 制御部
31 上位制御部
L1 搬送距離(第1搬送距離)
L2 搬送距離(第2搬送距離)
S3 シャッタ開放ステップ
S7 搬送停止ステップ
S9 シャッタ閉鎖ステップ
S10 判別ステップ
S11 シャッタ再開放ステップ
S12 逆搬送停止ステップ
S13 再搬送停止ステップ
S14 シャッタ再閉鎖ステップ
S15 再判別ステップ
X1 カードの取込方向
X2 カードの排出方向
Y カードの幅方向
Z カードの厚さ方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードが挿入されるカード挿入口と、前記カード挿入口から挿入された前記カードが搬送されるカード搬送路と、前記カード搬送路に出没可能で前記カードの表面に接触可能なカード表面接触部材と、前記カード表面接触部材の前記カード搬送路への出没状態を検出する接触部材センサと、前記カード挿入口から前記カードが挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構と、前記接触部材センサでの検出結果および前記カード挿入検出機構での検出結果に基づいて前記カードが特殊な形状であるか否かを判別する制御部とを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項2】
前記カード挿入検出機構は、前記カードの厚さ方向と前記カードの取込方向とに略直交する前記カードの幅方向における前記カードの端部に接触可能でかつ前記カード搬送路に出没可能なカード端接触部材を有する接触式の検出機構であることを特徴とする請求項1記載のカードリーダ。
【請求項3】
前記カード表面接触部材は、前記カード搬送路を開閉するシャッタ部材であり、
前記接触部材センサは、前記シャッタ部材の開閉状態を検出する開閉センサであることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダ。
【請求項4】
前記カード搬送路で前記カードを搬送するためのカード搬送機構と、前記シャッタ部材を駆動するシャッタ駆動機構とを備え、
前記制御部は、前記カード挿入口から挿入された前記カードが前記カード挿入検出機構で検出されなくなった後に前記カードの取込方向へ前記カードが所定の搬送距離、搬送されて停止するように前記カード搬送機構を制御するとともに、前記カード搬送路を閉鎖する方向へ前記シャッタ部材が移動するように前記シャッタ駆動機構を制御し、その後、前記開閉センサでの検出結果に基づいて前記カードが特殊な形状であるか否かを判別することを特徴とする請求項3記載のカードリーダ。
【請求項5】
前記搬送距離は、前記カードリーダ内で情報の記録処理および/または情報の再生処理が行われる前記カードの形状に応じて設定されることを特徴とする請求項4記載のカードリーダ。
【請求項6】
前記カード挿入口の近傍に配置されるとともに前記カードの表面に形成される磁気ストライプに記録された情報を再生するためのプリヘッド、および/または、前記カード挿入口の近傍に配置されるとともに前記カードの表面に固定されるICチップを検出するための金属センサを備えることを特徴とする請求項1から5いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記制御部は、前記カードが特殊な形状であると判断すると、前記カードリーダによる前記カードの処理機能に制限をかけることを特徴とする請求項1から6いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記制御部は、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、前記上位制御部からの制御指令に応じて前記カードが特殊な形状であるか否かの判別を行うか否かを切り替えることを特徴とする請求項1から7いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項9】
前記制御部は、前記カードリーダが搭載される上位装置を制御する上位制御部に接続され、前記カードが特殊な形状であるか否かを判別する制御に関する制御プログラムを前記上位制御部からダウンロード可能となっていることを特徴とする請求項1から8いずれかに記載のカードリーダ。
【請求項10】
カード挿入口から挿入されたカードが搬送されるカード搬送路を開閉するシャッタ部材と、前記シャッタ部材の開閉状態を検出する開閉センサと、前記カード挿入口から前記カードが挿入されたか否かを検出するためのカード挿入検出機構とを備えるカードリーダの制御方法であって、
前記カード挿入口から挿入された前記カードが前記カード挿入検出機構で検出されたときに、前記シャッタ部材を前記カード搬送路から退避させるシャッタ開放ステップと、
前記シャッタ開放ステップ後であって前記カード挿入検出機構で前記カードが検出されなくなった後に、前記カードの取込方向へ前記カードを所定の第1搬送距離、搬送して停止させる搬送停止ステップと、
前記カード搬送路を閉鎖する方向へ前記シャッタ部材を移動させるシャッタ閉鎖ステップと、
前記シャッタ閉鎖ステップ後の前記開閉センサでの検出結果に基づいて前記カードが特殊な形状であるか否かを判別する判別ステップとを備えることを特徴とするカードリーダの制御方法。
【請求項11】
前記判別ステップにおいて、前記シャッタ部材が前記カード搬送路を閉鎖していると前記開閉センサが検出したときに、前記シャッタ部材を前記カード搬送路から退避させるシャッタ再開放ステップと、
前記シャッタ再開放ステップ後に、前記カードの排出方向へ前記カードを前記第1搬送距離以上、搬送して停止させる逆搬送停止ステップと、
前記逆搬送停止ステップ後に、前記第1搬送距離よりも短い所定の第2搬送距離、前記カードを前記カードの取込方向へ搬送して停止させる再搬送停止ステップと、
前記再搬送停止ステップ後に、前記カード搬送路を閉鎖する方向へ前記シャッタ部材を移動させるシャッタ再閉鎖ステップと、
前記シャッタ再閉鎖ステップ後の前記開閉センサでの検出結果に基づいて前記カードが特殊な形状であるか否かを判別する再判別ステップとを備えることを特徴とする請求項10記載のカードリーダの制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−160666(P2010−160666A)
【公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−2182(P2009−2182)
【出願日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】