説明

カードリーダのカード搬送機構およびカードリーダ

【課題】カードの表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、カードリーダの内部からのカードの排出を行うこと、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能なカードリーダのカード搬送機構を提供すること。
【解決手段】カードリーダ1のカード搬送機構5は、挿入されるカード2の取込みおよびカード2の排出を行うためのカード取込み排出手段11と、カード取込み排出手段11に対向配置される第1パッドローラ14および第2パッドローラ15とを備えている。第1パッドローラ14および第2パッドローラ15は、カード取込み排出手段11に向かって付勢されるとともに、第1パッドローラ14は、第2パッドローラ15よりもカード挿入口9側に配置されている。カード取込み排出手段11への第1パッドローラ14の付勢力は、カード取込み排出手段11への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードリーダのカード搬送機構およびこのカード搬送機構を備えるカードリーダに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カード用のカードリーダが広く利用されている。この種のカードリーダとして、カードに記録された磁気情報の再生やカードへの磁気情報の記録を行う磁気ヘッドと、カードリーダ内部へのカードの取込みやカードリーダ内部からのカードの排出を行うための2個の搬送ローラと、2個の搬送ローラのそれぞれに対向配置されるパッドローラとを備えるカードリーダが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のカードリーダでは、2個の搬送ローラは、カードの搬送方向で隣接するように配置されている。すなわち、2個のパッドローラは、カードの搬送方向で隣接するように配置されている。また、2個の搬送ローラのうちの一方および2個のパッドローラのうちの一方は、カードの搬送方向において磁気ヘッドと同じ位置に配置され、2個の搬送ローラのうちの他方および2個のパッドローラのうちの他方は、カードの搬送方向で一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラよりもカード挿入口側に配置されている。
【0004】
【特許文献1】特開2005−196375号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、特許文献1に記載のカードリーダは、カードの搬送方向において磁気ヘッドと同じ位置に配置される一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラに加え、一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラよりもカード挿入口側に配置される他方の搬送ローラおよび他方のパッドローラを備えている。そのため、このカードリーダでは、カードの取込み動作および排出動作に支障を来すことなく、一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラをカードリーダの比較的奥側に配置することが可能になる。したがって、たとえば、カードリーダの内部でカード挿入口に向かってカードを搬送しながら、カードの搬送方向で一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラと同じ位置に配置される磁気ヘッドによって磁気情報の再生や記録を行う場合であっても、カードリーダの外部にカードを露出させることなく、磁気情報の再生や記録を行うことが可能になる。
【0006】
また、このカードリーダでは、一方の搬送ローラおよび一方のパッドローラを用いて、挿入されたカードをカードリーダの奥側まで搬送することが可能になるため、他方の搬送ローラおよび他方のパッドローラをカード挿入口側から比較的近い位置に配置することが可能になる。したがって、ユーザが、カード挿入口からカードリーダの内部に向かってカードをそれほど挿入しなくても、他方の搬送ローラおよび他方のパッドローラでカードリーダの内部へカードを取り込むことが可能になる。その結果、このカードリーダでは、ユーザによるカードの挿入動作を円滑に行うことが可能になる。また、カードが排出されるときには、他方の搬送ローラおよび他方のパッドローラでカード挿入口に向かってカードを搬送して、カード挿入口からカードのより多くの部分を露出させることが可能になる。したがって、このカードリーダでは、ユーザは排出されるカードを掴みやすくなり、ユーザによるカードの抜取動作を円滑に行うことが可能になる。
【0007】
しかしながら、本願発明者の検討によると、特許文献1に記載のカードリーダでは、たとえば油等がカードの表面に付着して、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下すると、以下の問題が生じることが明らかになった。すなわち、カードリーダの内部に取り込まれたカードを排出できないといった問題が生じること、および、搬送されるカードの搬送速度の変動が大きくなり磁気情報の再生エラーや記録エラーが発生するといった問題が生じることが本願発明者の検討によって明らかになった。
【0008】
そこで、本発明の課題は、カードの取込みおよび排出を行うための2個のパッドローラがカードの搬送方向において並列に配置されるカードリーダのカード搬送機構において、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、カードリーダの内部からのカードの排出を行うこと、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能なカードリーダのカード搬送機構を提供することにある。また、本発明の課題は、かかるカード搬送機構を備えるカードリーダを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明のカードリーダのカード搬送機構は、カード挿入口から挿入されるカードのカードリーダ内部への取込みおよびカードリーダ内部からのカードの排出を行うためのカード取込み排出手段と、カード取込み排出手段を駆動するモータと、カード取込み排出手段に対向配置される第1パッドローラおよび第2パッドローラとを備え、第1パッドローラおよび第2パッドローラは、カード取込み排出手段とともにカードの取込みおよび排出を行うために、カード取込み排出手段に向かって付勢され、第1パッドローラと第2パッドローラとは、カードの搬送方向で並列に配置されるとともに、第1パッドローラは、第2パッドローラよりもカード挿入口側に配置され、カード取込み排出手段への第1パッドローラの付勢力は、カード取込み排出手段への第2パッドローラの付勢力よりも小さく設定されていることを特徴とする。
【0010】
本発明のカードリーダのカード搬送機構では、第2パッドローラよりもカード挿入口側に配置される第1パッドローラのカード取込み排出手段への付勢力は、第2パッドローラのカード取込み排出手段への付勢力よりも小さく設定されている。そのため、カード取込み排出手段と第2パッドローラとによってカードリーダの内部からカード挿入口に向かって搬送されるカードがカード取込み排出手段と第1パッドローラとの間に突入する際の負荷を小さくすることが可能になる。したがって、本発明では、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下して、カード取込み排出手段と第2パッドローラとによるカードの搬送力が低下する場合であっても、カード取込み排出手段と第1パッドローラとの当接部で排出時のカードが止まってカードを排出できないといった現象の発生を防止することが可能になり、カードリーダの内部からのカードの排出を行うことが可能になる。
【0011】
また、本発明では、カード取込み排出手段と第2パッドローラとによってカードリーダの内部からカード挿入口に向かって搬送されるカードがカード取込み排出手段と第1パッドローラとの当接部に突入する際の負荷を小さくすることが可能になるため、たとえば、カードリーダの内部からカード挿入口に向かってカードを搬送させながら磁気情報の再生や記録を行う場合には、カード取込み排出手段と第1パッドローラとの当接部へカードが突入するときのカードの搬送速度の変動を抑制することが可能になる。したがって、本発明では、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下して、カード取込み排出手段と第2パッドローラとの間でカードが滑りやすくなる場合であっても、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能になる。
【0012】
なお、本発明では、カード取込み排出手段への第1パッドローラの付勢力が小さく設定されているため、カードの表面の摩擦係数が極端に低下すると、カード取込み排出手段と第1パッドローラとの間でカードが滑って、カードリーダの内部へカードを取り込むことができなくなる。したがって、カードリーダの内部に取り込まれたカードを排出できないといった現象の発生を防止することが可能になる。
【0013】
本発明において、たとえば、カード取込み排出手段は、第1パッドローラに対向配置される第1プーリと、第2パッドローラに対向配置される第2プーリと、第1プーリと第2プーリとに架け渡されるベルトとを備え、第1パッドローラは、第1プーリに向かって付勢され、第2パッドローラは、第2プーリに向かって付勢されている。
【0014】
本発明において、カードリーダのカード搬送機構は、第1パッドローラおよび第2パッドローラとカード取込み排出手段とが当接する方向へ第1パッドローラの支軸および第2パッドローラの支軸を押圧するレバー部材と、第1パッドローラおよび第2パッドローラとカード取込み排出手段とが当接する方向へレバー部材を付勢する付勢部材とを備えていることが好ましい。このように構成すると、第1パッドローラおよび第2パッドローラを共通のレバー部材と付勢部材とによってカード取込み排出手段に向けて付勢することができるため、カード搬送機構の構成を簡素化することができる。
【0015】
本発明において、カードリーダのカード搬送機構は、付勢部材としての引張りコイルバネと、カードリーダのフレームに保持または形成され引張りコイルバネの一端を保持するフレーム側保持部材と、レバー部材に保持または形成され引張りコイルバネの他端を保持するレバー部材側保持部材と、レバー部材を回動可能に支持する回動支点軸とを備え、フレーム側保持部材および回動支点軸は、搬送方向における第1パッドローラと第2パッドローラとの略中間位置に配置され、レバー部材側保持部材は、搬送方向における第1パッドローラと第2パッドローラとの中間位置よりも第2パッドローラ側に配置されていることが好ましい。このように構成すると、比較的簡易な構造で、カード取込み排出機構への第1パッドローラの付勢力とカード取込み排出機構への第2パッドローラの付勢力との間に差を付けることができる。
【0016】
本発明のカードリーダのカード搬送機構は、カードに記録された磁気情報の再生および/またはカードへの磁気情報の記録を行う磁気ヘッドを備えるカードリーダに用いることができる。このカードリーダでは、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、内部からのカードの排出を行うこと、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能になる。
【0017】
本発明において、たとえば、カードリーダの内部には、カードが搬送されるカード搬送路が形成され、磁気ヘッドは、搬送方向において第2パッドローラと略同位置に配置され、カード搬送路の、カード挿入口が形成される側と反対側の端部から磁気ヘッドまでの距離は、カードの長手方向の幅と略等しくなっている。この場合には、カード取込み排出手段と第2パッドローラとによって、カード搬送路の、カード挿入口が形成される側と反対側の端部の近傍までカードを搬送することが可能になる。また、カード搬送路の、カード挿入口が形成される側と反対側の端部から磁気ヘッドまでの距離がカードの長手方向の幅よりも長くなっている場合と比較して、カードの搬送方向においてカードリーダを小型化することが可能になる。
【0018】
本発明において、磁気ヘッドは、搬送方向において第2パッドローラと略同位置に配置され、磁気ヘッドからカード挿入口までの距離は、カードの表面に形成される磁気ストライプの磁気情報の記録領域の長さと略等しいことが好ましい。このように構成すると、カード取込み排出手段と第2パッドローラとによって、カード挿入口に向かってカードを搬送させながら、搬送方向において第2パッドローラと同位置に配置される磁気ヘッドで磁気情報の再生や記録を行う場合であっても、カードリーダの外部にカードを露出させることなく、磁気情報の再生や記録を行うことが可能になる。また、磁気ヘッドからカード挿入口までの距離が磁気情報の記録領域の長さよりも長くなっている場合と比較して、カードの排出時には、カード挿入口からのカード露出量を大きくすることが可能になる。
【0019】
本発明において、カードリーダは、カードリーダ内でカードを搬送するための搬送手段として、カード取込み排出手段のみを備えることが好ましい。このように構成すると、カードリーダの構成を簡素化することができる。なお、このように構成すると、カードリーダの内部に取り込まれたカードを排出できないといった現象、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーが発生しやすくなるが、本発明では、カードリーダの内部からのカードの排出を行うこと、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能になる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明のカードリーダのカード搬送機構およびカードリーダでは、カードの表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、カードリーダの内部からのカードの排出を行うこと、および、磁気情報の再生エラーや記録エラーの発生を抑制することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0022】
(カードリーダの概略構成)
図1は、本発明の実施の形態にかかるカードリーダ1の内部の主要部の構成を示す側面図である。図2は、図1のE−E方向からカードリーダ1の内部の主要部の構成を示す平面図である。
【0023】
本形態のカードリーダ1は、図1、図2に示すように、カードリーダ1内でカード2を搬送するカード搬送機構5と、カード2の表面に形成される磁気ストライプ2aに記録された磁気情報の再生および磁気ストライプ2aへの磁気情報の記録を行う磁気ヘッド6と、カード2の表面に形成される磁気バーコード(図示省略)に記録された磁気情報の再生を行う磁気バーコードヘッド7とを備えている。このカードリーダ1の内部には、カード2が搬送されるカード搬送路8が形成されている。また、カードリーダ1の前端(図1、図2の右端)には、カードリーダ1内へカード2を挿入するためのカード挿入口9が形成されている。
【0024】
本形態では、図1、図2のX方向(左右方向)にカード2が搬送される。すなわち、X方向は、カード2の搬送方向である。なお、以下の説明では、X方向に直交する図1の上下方向(Z方向)を上下方向とし、X方向とZ方向とに直交する図1の紙面垂直方向(Y方向)を左右方向とする。また、図1のX1方向側を「前」側、X2方向側を「奥」側、Z1方向側を「上」側、Z2方向側を「下」側とする。
【0025】
カード2は、たとえば、厚さが0.18〜0.36mm程度のPET(ポリエチレンテレフタレート)カードである。このカード2の表面には、上述のように、磁気情報が記録される磁気ストライプ2aと磁気バーコード(図示省略)とが形成されている。なお、カード2は、厚さが0.7〜0.8mm程度の矩形状の塩化ビニール製のカードであっても良い。この場合にも、カード2の表面には磁気ストライプが形成される。また、この場合には、カード2の表面にICチップが固定されても良い。また、カード2は、所定の厚さの紙カード等であっても良い。
【0026】
カード搬送機構5は、カード挿入口9から挿入されるカード2をカードリーダ1の内部へ取り込むとともにカードリーダ1の内部からカード2を排出するためのカード取込み排出手段11と、カード取込み排出手段11を駆動する1台のモータ12と、カード取込み排出手段11とモータ12とを連結する動力伝達機構13とを備えている。また、カード搬送機構5は、カード取込み排出手段11に対向配置される第1パッドローラ14および第2パッドローラ15と、カード取込み排出手段11に向かって第1パッドローラ14および第2パッドローラ15を付勢する付勢機構16とを備えている。
【0027】
カード取込み排出手段11は、第1プーリ18および第2プーリ19の一対のプーリと、第1プーリ18と第2プーリ19とに架け渡されるベルト20とを備えており、カード搬送路8の下側に配置されている。第1プーリ18と第2プーリ19とは、左右方向を軸方向として配置されている。また、第1プーリ18と第2プーリ19とは、カード2の搬送方向で並列に配置されている。具体的には、第1プーリ18が、第2プーリ19よりもカードリーダ1の前端側に配置されている。本形態では、カード取込み排出手段11がカードリーダ1内でカード2を搬送するための搬送手段となっている。すなわち、本形態のカードリーダ1は、カード取込み排出手段11以外にカードリーダ1の内部でカード2を搬送するための手段を備えていない。
【0028】
動力伝達機構13は、複数の歯車で形成された歯車列であり、第1プーリ18が固定される回転軸21にモータ12の動力を伝達している。
【0029】
第1パッドローラ14および第2パッドローラ15は、カード搬送路8の上側に配置されている。この第1パッドローラ14および第2パッドローラ15は、カード取込み排出手段11とともにカード2の取込みおよび排出を行うため、付勢機構16によって、カード取込み排出手段11に向かって付勢されている。また、第1パッドローラ14と第2パッドローラ15とは、カード2の搬送方向で並列に配置されるとともに、第1パッドローラ14が、第2パッドローラ15よりもカードリーダ1の前端側に配置されている。具体的には、第1パッドローラ14は、第1プーリ18に対向配置され、第1プーリ18に向かって上側から付勢されている。また、第2パッドローラ15は、第2プーリ19に対向配置され、第2プーリ19に向かって上側から付勢されている。
【0030】
本形態では、第1パッドローラ14のカード取込み排出手段11への付勢力(具体的には、ベルト20への付勢力)が、第2パッドローラ15のベルト20への付勢力よりも小さくなるように、付勢機構16によって、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15が付勢されている。付勢機構16の詳細な構成については、後述する。
【0031】
磁気ヘッド6および磁気バーコードヘッド7は、カード搬送路8の下側に配置されるとともに、左右方向(図1の紙面垂直方向)で隣接するように配置されている。また、磁気ヘッド6および磁気バーコードヘッド7は、カード2の搬送方向において、第2パッドローラ15および第2プーリ19と略同位置に配置されている。
【0032】
本形態では、カード搬送路8の奥端から磁気ヘッド6までの距離L1は、カード2の長手方向(X方向)の幅(長さ)H1と略等しくなっている。具体的には、距離L1は、カード2の幅H1よりもわずかに長くなっている。また、カード挿入口9から磁気ヘッド6までの距離L2は、磁気ストライプ2aの磁気情報の記録領域2bの長さH2と略等しくなっている。具体的には、距離L2は、記録領域2bの長さH2よりもわずかに長くなっている。
【0033】
(付勢機構およびその周辺部分の構成)
図3は、図1に示す付勢機構16およびカード取込み排出手段11の側面図である。図4は、図1に示す付勢機構16の平面図である。
【0034】
付勢機構16は、第1パッドローラ14の支軸24および第2パッドローラ15の支軸25を下方向へ押圧するレバー部材26と、レバー部材26を下方向へ付勢する付勢部材としての2個の引張りコイルバネ27と、引張りコイルバネ27の両端のそれぞれを保持する保持軸28、29とを備えている。
【0035】
第1パッドローラ14は、支軸24に回転可能に支持されている。同様に、第2パッドローラ15は、支軸25に回転可能に支持されている。支軸24は、図3に示すように、カードリーダ1のフレーム(図示省略)に形成されるガイド溝30内に、左右方向(図3の紙面垂直方向)を軸方向として配置されており、ガイド溝30に沿って上下方向に移動可能となっている。また、支軸25も、カードリーダ1のフレームに形成されるガイド溝31内に、左右方向を軸方向として配置されており、ガイド溝31に沿って上下方向に移動可能となっている。
【0036】
レバー部材26は、下端側が開口する略角溝形状(略コの字形状)に形成されている。このレバー部材26の下端側は、カードリーダ1のフレームに固定される回動支点軸32に回動可能に支持されている。回動支点軸32は、左右方向を軸方向として、カードリーダ1のフレームに固定されており、レバー部材26は、回動支点軸32を中心に回動可能となっている。
【0037】
図3、図4に示すように、レバー部材26の前端側の下端は、支軸24の両端側に上側から当接し、レバー部材26の後端側の下端は、支軸25の両端側に上側から当接しており、レバー部材26は、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15とベルト20とが当接する下方向へ支軸24、25の両端側を押圧している。また、レバー部材26の上端には、保持軸29を保持するための保持凹部26aが形成されている。本形態では、レバー部材26の上端の1箇所に保持凹部26aが形成されている。
【0038】
保持軸28は、左右方向を軸方向としてカードリーダ1のフレームに保持、固定されており、レバー部材26の下方に配置されている。この保持軸28の両端側は、レバー部材26の左右の両側面よりも左右方向の外側に突出している。保持軸28の両端側には、図4に示すように、引張りコイルバネ27の下端が係合する係合凹部28aが径方向内側に向かって窪むように形成されている。本形態の保持軸28は、カードリーダ1のフレームに保持され引張りコイルバネ27の一端を保持するフレーム側保持部材である。
【0039】
保持軸29は、左右方向を軸方向として、レバー部材26の保持凹部26aに保持されている。保持軸28と同様に、保持軸29の両端側は、レバー部材26の左右の両側面よりも左右方向の外側に突出している。また、保持軸29の両端側には、図4に示すように、引張りコイルバネ27の上端が係合する係合凹部29aが径方向内側に向かって窪むように形成されている。本形態の保持軸29は、レバー部材26に保持され引張りコイルバネ27の他端を保持するレバー部材側保持部材である。
【0040】
引張りコイルバネ27は、レバー部材26の左右方向の両外側に1個ずつ配置されており、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15とベルト20とが当接する下方向へレバー部材26を付勢している。
【0041】
本形態では、図3に示すように、保持軸28は、カード2の搬送方向(X方向)における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との略中間位置(カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との間の略中心位置)に配置されている。また、回動支点軸32も、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との略中間位置に配置されている。
【0042】
一方、保持軸29は、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との中間位置よりも第2パッドローラ15側に配置されている。具体的には、保持軸29は、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との中間位置よりもわずかに第2パッドローラ15側に配置されている。すなわち、保持凹部26aは、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との中間位置よりもわずかに第2パッドローラ15側に形成されている。そのため、本形態では、上述のように、第1パッドローラ14のベルト20への付勢力が、第2パッドローラ15のベルト20への付勢力よりも小さくなっている。
【0043】
(カードの取込み動作および排出動作)
以上のように構成されたカードリーダ1では、ユーザによって、カード挿入口9から第1パッドローラ14が配置されている位置までカード2が挿入されると、カード取込み排出手段11によって、カード搬送路8の奥端側にカード2が取り込まれる。このカード2の取込み動作時には、たとえば、磁気ヘッド6および磁気バーコードヘッド7によって、カード2に記録された磁気情報が再生される。
【0044】
また、カードリーダ1内からカード2が排出される前には、まず、カード搬送路8の奥端側に配置されたカード2がカード取込み排出手段11によって、カード搬送路8の前端側に向かって搬送され、この搬送時に磁気ヘッド6によって、カード2に磁気情報が記録される。磁気情報が記録されたカード2は再び、カード取込み排出手段11によって、カード搬送路8の奥端側に向かって搬送され、この搬送時に磁気ヘッド6によって、カード2に記録された磁気情報の確認用の再生(ベリファイ)が行われる。
【0045】
ベリファイが行われたカード2は、カードリーダ1内から排出される。すなわち、ベリファイが行われたカード2は再び、カード取込み排出手段11によって、カード搬送路8の前端側に向かって搬送されて、カード挿入口9から排出される。具体的には、カード挿入口9からカード2の一部が露出し、ユーザがこの露出部分を掴んで引抜くことでカード挿入口9からカード2が完全に排出される。
【0046】
ここで、カード2の取込み時には、カード2は、まず、第1パッドローラ14とベルト20との間に挟まれて搬送され、その後、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15とベルト20との間に挟まれて搬送される。また、カード搬送路8の奥端側までカード2が搬送されると、カード2の前端側は、第1パッドローラ14とベルト20との間から外れる。
【0047】
また、カードリーダ1内にカード2が取り込まれている状態では、カード2の前端側は第2パッドローラ15とベルト20との間に挟まれている。そのため、カード搬送路8の前端側に向かって搬送されるカード2は、まず、第2パッドローラ15とベルト20との間に挟まれて搬送され、その後、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15とベルト20との間に挟まれて搬送される。また、カード搬送路8の前端側までカード2が搬送されると、カード2の奥端側は、第2パッドローラ15とベルト20との間から外れる。
【0048】
(本形態の主な効果)
以上説明したように、本形態では、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力がベルト20への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく設定されている。そのため、第2パッドローラ15とベルト20とによってカード搬送路8の前端側に向かって搬送されるカード2の前端が第1パッドローラ14とベルト20との間に突入する際の負荷を小さくすることができる。したがって、本形態では、カード2の表面に付着する油等の影響で、カード2の表面の摩擦係数が大幅に低下して、第2パッドローラ15とベルト20とによるカード2の搬送力が低下する場合であっても、第1パッドローラ14とベルト20との当接部で排出時のカード2が止まってしまいカード2を排出できないといった現象の発生を防止することが可能になる。すなわち、本形態では、カード2の表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、カードリーダ1の内部からのカード2の排出を行うことが可能になる。
【0049】
なお、本形態では、カードリーダ1の内部に取り込むことができたカード2はカードリーダ1の内部から確実に排出することができる。以下、その理由を説明する。ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力を「P1」、ベルト20への第2パッドローラ15の付勢力を「P2」、カード2の摩擦係数を「μ」、第1パッドローラ14または第2パッドローラ15とベルト20との間へのカード2の突入負荷係数を「a」、磁気ヘッド6および磁気バーコードヘッド7へのカード2の突入負荷を「H」とすると、まず、本形態では、
P1<P2
となっている。
【0050】
また、ベルト20と第1パッドローラ14とによるカード2の搬送力は、
μ×P1
ベルト20と第2パッドローラ15とによるカード2の搬送力は、
μ×P2
ベルト20と第1パッドローラ14との間へのカード2の突入負荷は、
a×P1
ベルト20と第2パッドローラ15との間へのカード2の突入負荷は、
a×P2
であるから、カードリーダ1の内部へカード2を取り込むためには、
μ×P1>a×P2+H・・・(式1)
が成り立っている必要がある。
【0051】
また、P1<P2であるから、
μ×P2>μ×P1・・・(式2)
であり、かつ、
a×P2+H>a×P1・・・(式3)
である。したがって、式1から式3より
μ×P2>a×P1・・・(式4)
が成立する。
すなわち、P1<P2であり(すなわち、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力がベルト20への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく)、かつ、式1が成立する(すなわち、カードリーダ1の内部へカード2を取り込める)のであれば、必ず、ベルト20と第2パッドローラ15とによるカード2の搬送力は、ベルト20と第1パッドローラ14との間へのカード2の突入負荷よりも大きくなる。そのため、排出時のカード2が第1パッドローラ14とベルト20との当接部で止まってしまうことはない。このように、本形態では、カードリーダ1の内部に取り込むことができたカード2はカードリーダ1の内部から確実に排出することができる。
【0052】
本形態では、第2パッドローラ15とベルト20とによってカード搬送路8の前端側に向かって搬送されるカード2の前端が第1パッドローラ14とベルト20との間に突入する際の負荷を小さくすることができる。そのため、カード搬送路8の前端側に向かってカード2を搬送させながらカード2への磁気情報の記録を行う際には、第1パッドローラ14とベルト20との間にカード2が突入するときのカード2の搬送速度の変動を抑制することができる。したがって、本形態では、カード2の表面の摩擦係数が大幅に低下して、第2パッドローラ15とベルト20との間でカード2が滑りやすくなる場合であっても、磁気情報の記録エラーの発生を抑制することができる。
【0053】
本形態では、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力が比較的小さく設定されているため、カード2の表面の摩擦係数が極端に低下すると、第1パッドローラ14とベルト20との間でカード2が滑って、カードリーダ1の内部へカード2を取り込むことができなくなる。したがって、本形態では、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2を排出できないといった現象の発生を防止することが可能になる。
【0054】
特に本形態では、カードリーダ1は、カード取込み排出手段11以外にカード2を搬送するための手段を備えていないため、カードリーダ1の構成を簡素化することができる一方で、カードリーダ1の内部に取り込まれたカード2を排出できないといった現象や磁気情報の記録エラーが発生しやすくなるが、本形態では、カード2の表面の摩擦係数が大幅に低下する場合であっても、カードリーダ1の内部からのカード2の排出を行うこと、および、磁気情報の記録エラーの発生を抑制することが可能になる。
【0055】
本形態では、レバー部材26と引張りコイルバネ27とによって、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15を下方向へ付勢している。そのため、第1パッドローラ14および第2パッドローラ15を共通の部材で付勢することができ、カードリーダ1の構成を簡素化することができる。
【0056】
本形態では、カードリーダ1のフレームに固定されレバー部材26の下方に配置される保持軸28と、レバー部材26の回動中心となる回動支持軸32とが、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との略中間位置に配置され、レバー部材26の上端で保持される保持軸29が、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との中間位置よりも第2パッドローラ15側に配置されている。そのため、比較的簡易な構成で、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力とベルト20への第2パッドローラ15の付勢力との間に差を付けることができる。
【0057】
本形態では、カード搬送路8の奥端から磁気ヘッド6までの距離L1は、カード2の長手方向の幅H1と略等しくなっている。そのため、第2パッドローラ15とベルト20とによって、カード搬送路8の奥端側までカード2を搬送することができる。また、距離L1がカード2の幅H1よりも長くなっている場合と比較して、カード2の搬送方向においてカードリーダ1を小型化することができる。
【0058】
本形態では、カード挿入口9から磁気ヘッド6までの距離L2は、磁気ストライプ2aの磁気情報の記録領域2bの長さH2と略等しくなっている。そのため、第2パッドローラ15とベルト20とによって、カード挿入口9に向かってカード2を搬送させながら、磁気ヘッド6で磁気情報の記録を行う場合であっても、カードリーダ1の外部にカード2を露出させることなく、磁気情報の記録を行うことができる。また、距離L2が記録領域2bの長さH2よりも長くなっている場合と比較して、カード2の排出時には、カード挿入口9からのカード2の露出量を大きくすることができる。
【0059】
(他の実施の形態)
上述した形態は、本発明の好適な形態の一例ではあるが、これに限定されるものではなく本発明の要旨を変更しない範囲において種々変形実施が可能である。
【0060】
上述した形態では、カード取込み排出手段11は、第1プーリ18と第2プーリ19とベルト20とによって構成されている。この他にもたとえば、カード取込み排出手段11は、第1パッドローラ14が対向配置される搬送ローラと、第2パッドローラ15が対向配置される搬送ローラとの2個の搬送ローラによって構成されても良い。なお、2個の搬送ローラによってカード取込み排出手段11が構成される場合には、2個の搬送ローラ間で動力の伝達を行うベルト、チェーンあるいは歯車等が別途必要になり、その配置スペースが必要となるが、上述した形態では、カード2の搬送を行うベルト20によって、第1プーリ18と第2プーリ19との間の動力伝達を行っているため、カードリーダ1の構成を簡素化することが可能になる。
【0061】
上述した形態では、レバー部材26によって、第1パッドローラ14の支軸24および第2パッドローラ15の支軸25が下方向へ押圧されている。この他にもたとえば、付勢機構16が2個のレバー部材を備えるとともに、一方のレバー部材によって支軸24が下方向に押圧され、他方のレバー部材によって支軸25が下方向に押圧されても良い。この場合には、付勢機構16は、たとえば、一方のレバー部材を付勢する引張りコイルバネと、他方のレバー部材を付勢する引張りコイルバネとを個別に備えている。
【0062】
上述した形態では、引張りコイルバネ27によって、レバー部材26が下方向に付勢されている。この他にもたとえば、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力がベルト20への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく設定されるように、板バネ、ネジリコイルバネあるいは圧縮コイルバネ等の他のバネ部材やゴム等の弾性部材によって、レバー部材26が下方向に付勢されても良い。
【0063】
上述した形態では、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との略中間位置に保持軸28および回動支持軸32が配置され、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との中間位置よりも第2パッドローラ15側に保持軸29が配置されることで、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力がベルト20への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく設定されている。この他にもたとえば、保持軸28、29および回動支持軸32が、カード2の搬送方向における第1パッドローラ14と第2パッドローラ15との略中間位置に配置されるとともに、レバー部材26の奥端側が所定の付勢部材によって下方向に付勢されることで、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力がベルト20への第2パッドローラ15の付勢力よりも小さく設定されても良い。この場合には、たとえば、板バネ、ネジリコイルバネ、圧縮コイルバネあるいは引張りコイルバネ等のバネ部材やゴム等の弾性部材によって、レバー部材26の奥端側が下方向に付勢される。
【0064】
上述した形態では、レバー部材26の上端の1箇所に、保持軸29を保持するための保持凹部26aが形成されている。この他にもたとえば、カード2の搬送方向に沿って、レバー部材26の上端の複数箇所に保持凹部26aが形成されても良い。この場合には、保持軸29に保持される引張りコイルバネ27の上端の位置をカード2の搬送方向で変えることができるため、ベルト20への第1パッドローラ14の付勢力とベルト20への第2パッドローラ15の付勢力との差を変えることが可能になる。したがって、カードリーダ1の使用環境等に応じて、第1パッドローラ14の付勢力および第2パッドローラ15の付勢力を最適な付勢力に設定することが可能になる。
【0065】
上述した形態では、保持軸28は、カードリーダ1のフレームに保持されているが、引張りコイルバネ27の下端を保持する保持部材がカードリーダ1のフレームに一体で形成されても良い。同様に、保持軸29は、レバー部材26に保持されているが、引張りコイルバネ27の上端を保持する保持部材がレバー部材26に一体で形成されても良い。
【0066】
上述した形態では、第1パッドローラ14は支軸24に回転可能に支持され、第2パッドローラ15は支軸25に回転可能に支持されている。この他にもたとえば、第1パッドローラ14および/または第2パッドローラ15は、第1パッドローラ14または第2パッドローラ15とともに回転する支軸(回転軸)に固定されても良い。この場合には、たとえば、この支軸を支持する軸受が、レバー部材26によって下方向へ押圧される。すなわち、この場合には、支軸は、軸受を介してレバー部材26によって下方向へ押圧される。
【0067】
上述した形態では、カードリーダ1は、カード取込み排出手段11以外にカード2を搬送するための手段を備えていない。この他にもたとえば、カード搬送路8の奥方へ向かってカード2を排出するとともに奥方からカード2を取り込めるように、カード搬送路8の奥端側に、カード2を搬送するための搬送ローラ等が配置されても良い。
【0068】
上述した形態では、磁気ヘッド6によって、カード2に記録された磁気情報の再生およびカード2への磁気情報の記録が行われている。この他にもたとえば、磁気ヘッド6によって、磁気情報の再生のみが行われても良いし、磁気情報の記録のみが行われても良い。また、上述した形態では、カード搬送路8の奥端側にカード2が搬送される際に、磁気ヘッド6による磁気情報の再生が行われ、カード搬送路8の前端側にカード2が搬送される際に、磁気ヘッド6による磁気情報の記録が行われている。この他にもたとえば、カード搬送路8の奥端側にカード2が搬送される際に磁気情報の記録が行われ、カード搬送路8の前端側にカード2が搬送される際に磁気情報の再生が行われても良い。
【図面の簡単な説明】
【0069】
【図1】本発明の実施の形態にかかるカードリーダの内部の主要部の構成を示す側面図である。
【図2】図1のE−E方向からカードリーダの内部の主要部の構成を示す平面図である。
【図3】図1に示す付勢機構およびカード取込み排出手段の側面図である。
【図4】図1に示す付勢機構の平面図である。
【符号の説明】
【0070】
1 カードリーダ
2 カード
5 カード搬送機構(カードリーダのカード搬送機構)
6 磁気ヘッド
8 カード搬送路
9 カード挿入口
11 カード取込み排出手段(搬送手段)
12 モータ
14 第1パッドローラ
15 第2パッドローラ
18 第1プーリ
19 第2プーリ
20 ベルト
24、25 支軸
26 レバー部材
27 引張りコイルバネ(付勢部材)
28 保持軸(フレーム側保持部材)
29 保持軸(レバー部材側保持部材)
32 回動支点軸
H1 カードの長手方向の幅
H2 磁気ストライプの磁気情報の記録領域の長さ
L1 カード搬送路の奥端から磁気ヘッドまでの距離
L2 磁気ヘッドからカード挿入口までの距離
X 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード挿入口から挿入されるカードのカードリーダ内部への取込みおよび前記カードリーダ内部からの前記カードの排出を行うためのカード取込み排出手段と、前記カード取込み排出手段を駆動するモータと、前記カード取込み排出手段に対向配置される第1パッドローラおよび第2パッドローラとを備え、
前記第1パッドローラおよび前記第2パッドローラは、前記カード取込み排出手段とともに前記カードの取込みおよび排出を行うために、前記カード取込み排出手段に向かって付勢され、
前記第1パッドローラと前記第2パッドローラとは、前記カードの搬送方向で並列に配置されるとともに、前記第1パッドローラは、前記第2パッドローラよりも前記カード挿入口側に配置され、
前記カード取込み排出手段への前記第1パッドローラの付勢力は、前記カード取込み排出手段への前記第2パッドローラの付勢力よりも小さく設定されていることを特徴とするカードリーダのカード搬送機構。
【請求項2】
前記カード取込み排出手段は、前記第1パッドローラに対向配置される第1プーリと、前記第2パッドローラに対向配置される第2プーリと、前記第1プーリと前記第2プーリとに架け渡されるベルトとを備え、
前記第1パッドローラは、前記第1プーリに向かって付勢され、前記第2パッドローラは、前記第2プーリに向かって付勢されていることを特徴とする請求項1記載のカードリーダのカード搬送機構。
【請求項3】
前記第1パッドローラおよび前記第2パッドローラと前記カード取込み排出手段とが当接する方向へ前記第1パッドローラの支軸および前記第2パッドローラの支軸を押圧するレバー部材と、前記第1パッドローラおよび前記第2パッドローラと前記カード取込み排出手段とが当接する方向へ前記レバー部材を付勢する付勢部材とを備えることを特徴とする請求項1または2記載のカードリーダのカード搬送機構。
【請求項4】
前記付勢部材としての引張りコイルバネと、前記カードリーダのフレームに保持または形成され前記引張りコイルバネの一端を保持するフレーム側保持部材と、前記レバー部材に保持または形成され前記引張りコイルバネの他端を保持するレバー部材側保持部材と、前記レバー部材を回動可能に支持する回動支点軸とを備え、
前記フレーム側保持部材および前記回動支点軸は、前記搬送方向における前記第1パッドローラと前記第2パッドローラとの略中間位置に配置され、
前記レバー部材側保持部材は、前記搬送方向における前記第1パッドローラと前記第2パッドローラとの中間位置よりも前記第2パッドローラ側に配置されていることを特徴とする請求項3記載のカードリーダのカード搬送機構。
【請求項5】
請求項1から4いずれかに記載のカードリーダのカード搬送機構と、前記カードに記録された磁気情報の再生および/または前記カードへの磁気情報の記録を行う磁気ヘッドとを備えることを特徴とするカードリーダ。
【請求項6】
前記カードリーダの内部には、前記カードが搬送されるカード搬送路が形成され、
前記磁気ヘッドは、前記搬送方向において前記第2パッドローラと略同位置に配置され、
前記カード搬送路の、前記カード挿入口が形成される側と反対側の端部から前記磁気ヘッドまでの距離は、前記カードの長手方向の幅と略等しいことを特徴とする請求項5記載のカードリーダ。
【請求項7】
前記磁気ヘッドは、前記搬送方向において前記第2パッドローラと略同位置に配置され、
前記磁気ヘッドから前記カード挿入口までの距離は、前記カードの表面に形成される磁気ストライプの磁気情報の記録領域の長さと略等しいことを特徴とする請求項5または6記載のカードリーダ。
【請求項8】
前記カードリーダ内で前記カードを搬送するための搬送手段として、前記カード取込み排出手段のみを備えることを特徴とする請求項5から7いずれかに記載のカードリーダ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2010−113576(P2010−113576A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−286424(P2008−286424)
【出願日】平成20年11月7日(2008.11.7)
【出願人】(000002233)日本電産サンキョー株式会社 (1,337)
【Fターム(参考)】