説明

カード収納装置

【課題】 カード収納装置において、操作が容易で使い勝手を向上させる。
【解決手段】 収納箱収容部材7には、カード収納箱6を収容するための開口79が設けられ、背面側には電磁ソレノイド85と圧縮コイルばね89の弾発力によって付勢された押し出し棒88とが備えられている。カード収納箱6の背面板64には、係合部材83の係合爪83aが係合する係合孔66が設けられている。電磁ソレノイド85の駆動により、係合爪83aと係合孔66との係合が解除されると、押し出し棒88によってカード収納箱6が開口79から押し出される。このとき、係合部材83の下面が係合孔66の摺接面66aをわずかな時間だけ摺接するように、電磁ソレノイド85が所定の時間だけ駆動し続けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばカード処理装置において、使用済みのカードを回収するためのカード収納箱を備えたカード収納装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種のカード収納装置では、カード収納箱を挿抜自在に収容する収納箱収容部が備えられており、所定の枚数のカードがカード収納箱に収納されたときや、決められた時間間隔でカード収納箱を収納箱収容部から取り出して、カードを回収するようにしている。従来のカード収納装置としては、収納箱収容部の前面に解錠することにより開閉自在な前面パネルを備え、この前面パネルを開くことにより、収納箱収容部内からカード収納箱を外部に引き出し、カードを回収するものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−134812号公報(段落〔0026〕、図9)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来のカード収納装置においては、カードを回収するのに、前面パネルの施錠を解錠してから開き、収納箱収容部内に手を差し入れて内部からカード収納箱を取り出して行うというように、操作が煩雑で使い勝手が悪いという問題があった。
【0005】
本発明は上記した従来の問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、操作が容易で使い勝手を向上させたカード収納装置を提供するところにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために、本発明は、カードを収納するカード収納箱と、このカード収納箱を挿抜自在に収容し当該カード収納箱を外部に取り出すための開口を有する収納箱収容部とを備えたカード収納装置において、前記カード収納箱の背面部に係合孔を設け、前記収納箱収容部に、前記カード収納箱を前記開口から突出させる付勢部材と、前記係合孔に係合し、前記付勢部材の付勢力に抗して前記カード収納箱の前記開口からの突出を規制する係合部材と、この係合部材の前記係合孔との係合を解除する電磁ソレノイドとを設けたものである。
【0007】
本発明は、前記発明において、前記係合孔に、前記電磁ソレノイドの駆動により前記係合部材と前記係合孔との係合を解除したときに、当該係合部材の一部と互いに摺接する摺接面を設けたものである。
【0008】
本発明は、前記発明のいずれか一つの発明において、前記係合部材の前記摺接面に摺接する部位に前記係合孔に係合する突起を設けたものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、電磁ソレノイドを駆動することにより、カード収納箱が付勢部材の付勢力によって収納箱収容部の開口から突出するため、前面パネルの施錠を解錠する操作や、収納箱収容部内に手を差し入れたりする操作が不要になるから、操作が容易となり使い勝手が向上する。
【0010】
前記発明のうちの一つの発明によれば、カード収納箱が収納箱収容部材内から突出する際に、係合部材の一部が係合孔に接触することにより、係合部材と係合孔との間に発生する摩擦力によってカード収納箱の移動速度が減速されるから、カード収納箱が収納箱収容部材内から必要以上に突出したり、脱落することを規制することができる。
【0011】
前記発明のうちの一つの発明によれば、カード収納箱が収納箱収容部材内から突出する際に、係合部材の突起が係合孔に係合することにより、カード収納箱が収納箱収容部材内から必要以上に突出したり、脱落することを規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明に係るカード処理装置とカード収納装置とを正面側から視た斜視図である。
【図2】本発明に係るカード処理装置を背面側から視た斜視図である。
【図3】同図(A)は本発明に係るカード処理装置のカバーを取り外した状態を示す正面図、同図(B)は同図(A)におけるIII(B)-III(B) 線断面図、同図(C)は同図(A)におけるIII (C)矢視図である。
【図4】本発明に係るカード処理装置のカード取込部形成板を取り外した状態を示す背面図である。
【図5】同図(A)は図4においてカード支承部材を回動させる構造を説明するための背面図、同図(B)は同図(A)におけるV(B)-V(B) 線断面図である。
【図6】同(A)は本発明に係るカード処理装置において、カードを装置内に押し込んでいる状態を示す正面図、同図(B)は同図(A)におけるVI(B)-VI(B) 線断面図である。
【図7】同図(A)は本発明に係るカード処理装置において、カードを装置内に取り込んだ状態を示す正面図、同図(B)は同図(A)におけるVII(B)-VII(B) 線断面図である。
【図8】図7(A)におけるVIII-VIII 線断面図である。
【図9】本発明に係るカバーを取り外した状態のカード処理装置と一部破断して示すカード処理装置との正面図である。
【図10】同図(A)は図9におけるX(A)-X(A) 線断面図、同図(B)は図9におけるX(B)-X(B) 線断面図である。
【図11】図10(A)における要部の断面図である。
【図12】カード収納装置におけるカード収納箱を示し、同図(A)は平面図、同図(B)は正面図、同図(C)は背面図である。
【図13】同図(A)はカード収納装置の正断面図、同図(B)は同図(A)におけるXIII(B)-XIII(B) 線断面図である。
【図14】カード収納箱と規制部材との係合を解除した状態を示すカード収納装置の正断面図である。
【図15】収納箱収容部材内からカード収納箱が飛び出した状態を示すカード収納装置の正断面図である。
【図16】本発明の第2の実施の形態を示し、カード収納箱と規制部材との係合を解除した状態を示すカード収納装置の正断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし15に基づいて説明する。
【実施例1】
【0014】
図1に全体を符号1で示すカード処理装置は、後述するカード挿入口42から挿入されたカード17を装置内に取込み、カード17に記録されたデータを処理した後、カード挿入口42から返却したり、カード収納装置2に収納する。
【0015】
カード処理装置1は、後述するレバー類等の各種機構を搭載するとともに背面側に設けられる取込部形成板5(図2参照)と協働してカード取込部44を形成する機構搭載用部材3と、この機構搭載用部材3の表面側を覆うカバー4とを備えている。
【0016】
機構搭載用部材3は、略平板状に形成された機構搭載部11と、後述する第1ないし第3の電磁ソレノイド28,39,50を搭載する凹嵌状に形成されたソレノイド搭載部12とによって構成されている。
【0017】
図3において、13は機構搭載部11に形成した一対のガイド溝14,14に沿って、カード挿入方向および返却方向(矢印A−B方向)に移動自在に支持されたスライダーであって、機構搭載部11に設けたばね掛け部15との間に懸架された第1の付勢手段としてのカード返却用の引張りコイルばね16の引張力によって常時矢印B方向に付勢されている。
【0018】
このスライダー13の矢印A方向の端部には、ガイド溝14から機構搭載部11の背面側に突出しカード挿入口42から挿入されたカード17の前端(矢印A方向端)に係合する一対の係合突起18,18が突設されている。
【0019】
また、スライダー13の上部には係合片19が一体に設けられており、この係合片19の矢印B方向および矢印A方向の端面には、後述する移動子30の被係合部30a,30bのそれぞれに係合する係合部19a,19bが形成されている。20はスライダー13の略中央部に矢印E方向に一体に突設された小突起である。
【0020】
21は上部側が機構搭載部11の表面に突設された軸22に回動自在に支持された第1のレバーであって、下端部にスライダー13の小突起20に係入される長孔21aが設けられているとともに、上端部に後述する第2のレバー23の背面側に突設された突起23aが係入される長孔21bが設けられている。第2のレバー23は正面視が略階段状に形成され、機構搭載部11の表面に突設されたガイド部24,25によって矢印A−B方向に移動自在に支持されている。
【0021】
この第2のレバー23の矢印A方向の端部は、ピン27を介してソレノイド搭載部12に搭載された第1の電磁ソレノイド28のロッド(図示を省略)に枢着されている。この第1の電磁ソレノイド28は、後述する第1のセンサ55によってカード17の前端が検出されることにより、ロッドが矢印Bに後退し、これに追従して第2のレバー23が矢印B方向に移動する。
【0022】
したがって、この第2のレバー23の矢印B方向への移動に追従して第1のレバー21が軸22を回動中心として図中時計方向に回動するため、スライダー13が矢印A方向に移動する。
【0023】
30は機構搭載部11の表面に突設されたガイド31,31によって矢印A−B方向に移動自在に支持された移動子であって、中央部に上述したスライダー13の係合片19の係合部19a,19bのそれぞれに係合する被係合部30a,30bが設けられている。
【0024】
これら被係合部30a,30bは、被係合部31aが係合片19の係合部19aに係合した図3の状態から、スライダー19が矢印A方向に距離L1だけ移動することにより、図6(A)に示すように係合部19bが被係合部31bに係合するように、矢印A−B方向に間隔をおいて設けられている。
【0025】
また、移動子30の被係合部30a,30b間には、後述する規制部材37がスライダー13の係合片19の係合部19aに係合するときに、移動子30と干渉しないように切欠き30cが設けられている。
【0026】
33は移動子30の矢印B方向の端部にピン34を介して枢支された取込部材であって、矢印B方向の端部に、同図(B)に示すように折曲形成されてカード17の後端(矢印B方向端)に係合する爪33aが設けられている。
【0027】
この取込部材33には、カバー4のカム部4aに係合する係合軸部33bが設けられ、取込部材33と移動子30との間に懸架された引張りコイルばね35によって係合軸部33bがカム部4aに係合する方向に付勢されている。
【0028】
このような構成において、スライダー13が矢印A方向に移動し、係合片19の係合部19bが移動子30の被係合部30bに係合することにより、移動子30が矢印A方向に移動するとき、係合軸部33bがカム部4aに係合する。
【0029】
この係合によって、取込部材33がピン34を回動中心として、同図(B)中反時計方向に回動し、爪33aが機構搭載部に設けた窓4b(図2参照)から後述するカード挿入口42側に進出する。
【0030】
この進出によって爪33aがカード17の後端に係合し、さらにスライダー13が矢印A方向に移動することにより、これに追従して矢印A方向に移動する取込部材33によってカード17が矢印A方向に移動し、後述するカード取込部44にカード17が取り込まれる。
【0031】
37は機構搭載部11に突設した軸38に基端部が回動自在に支持された規制部材であって、基端部側がソレノイド搭載部12に搭載された第2の電磁ソレノイド39のロッド39aに枢着されており、揺動端部側に係合部37aが突設されている。
【0032】
この規制部材37は、第2の電磁ソレノイド39のロッド39aを前進させる圧縮コイルばね(図示せず)の弾発力によって、軸38を回動中心として図中時計方向に付勢されている。
【0033】
したがって、カード17が取込部材33の爪33aによって矢印A方向に移動し、図7(B)に示すように装置内のカード取込部44に取り込まれたときに、同図(A)に示すように規制部材37が時計方向に回動し、係合部37bがスライダー13の係合片19の係合部19aに係合する。
【0034】
この係合によって、スライダー13の矢印B方向への移動を規制するため、後述するように引張りコイルばね16の引張力に抗してカードの返却を規制して、カード17が移動しないように保持する。
【0035】
一方、第2の電磁ソレノイド39を駆動し、ロッド39aを後退させることにより、規制部材37を軸38を回動中心として反時計方向に回動させて爪37aと係合片19の係合部19aとの係合を解除すると、引張りコイルばね16の引張力によってスライダー13が矢印B方向に移動するから、カード17がカード挿入口42から返却される。
【0036】
次に、主に、図2および図4を用いて、カード取込部について説明する。図2において、機構搭載部材3の機構搭載部11の矢印B方向の端部には、機構搭載部11と、この機構搭載部11と互いに対向するように設けられる取込部形成板5とによって、カード17を装置内に挿入するためのカード挿入口42が設けられている。
【0037】
機構搭載部11と取込部形成板5との間には、このカード挿入口42と連設されたカード搬送部43と、このカード搬送部43よりも矢印A方向に位置するカード取込部44とが形成されており、カード取込部44の矢印A方向の端部には段部11aが設けられている。図3(B)において、45はカード取込部44に取り込まれたカード17に記録されているデータを非接触状態で処理するアンテナ基板である。
【0038】
カード搬送部43とカード取込部44との下方には、図2および図8に示すように矢印A−B方向に延在するカード落下口44aが設けられている。このカード落下口44aには、矢印A−B方向に延在するように軸47を介して機構搭載部11に回動自在に支持されたカード支承部材46が設けられており、このカード支承部材46の上部には、図8に示すようにカード17の下端を支承する支承部46aが折曲形成されている。
【0039】
図5(B)において、46bはカード支承部材46の矢印A方向の端部に一体に突設された操作用の突起であって、図3(A)に示すように、機構搭載部11に設けた孔11bから装置の外部に露呈しており、この操作用の突起46bを手動によって操作することにより、カード支承部材46を回動操作することが可能となる。
【0040】
このカード支承部材46はピン48を介して、図3および図5(A)に示すように、ソレノイド搭載部12に搭載された第3の電磁ソレノイド50のロッド50aに枢着されている。
【0041】
このカード支承部材46は、ロッド50aを前進させる方向に付勢する圧縮コイルばね51によって、軸47を回動中心として図5(B)中時計方向に回動し支承部46aがカード搬送部43とカード取込部44とに進出してカード17の下端を支承する。
【0042】
一方、第3の電磁ソレノイド50を駆動し、ロッド50aを後退させることにより、同図(B)に示すようにカード支承部材46が軸47を回動中心として反時計方向に回動し、図8に示すように支承部46aが図中二点鎖線で示すようにカード搬送部43とカード取込部44から退避する。
【0043】
ピン48が軸47よりも図5(B)に示すように間隔L2だけ、矢印F方向に位置していることにより、進出位置において水平状態に姿勢が保たれていた支承部46aが軸47を回動中心として反時計方向に回動すると、支承部46aは上方に持ち上がるように回動する。したがって、このカード支承部材46の回動によって、支承部46aに下端が支承されているカード17は上方(矢印C方向)に持ち上げられる。
【0044】
カード取込部44の上端には、図4に示すように機構搭載部11に設けられた一対のガイド溝50,50によって上下方向(矢印C−D方向)に移動自在に支持された当接部材51が設けられている。
【0045】
この当接部材51と機構搭載部11に設けられたばね止め部52との間には第2の付勢手段として圧縮コイルばね53が弾装されており、後述するようにカード取込部44に取り込まれたカード17の上端は、当接部材51を介して圧縮コイルばね53の弾発力によって下方に付勢され、カード17の下端は支承部材46の支承部46aに圧接される。
【0046】
このような構成において、カード挿入口42から装置内に挿入されたカード17は、幅方向が鉛直方向を指向するようにして、カード搬送部43を搬送されカード取込部44に取り込まれる。なお、ここでの「幅」とは、本実施例ではカード17の短辺のことを指すが、長辺方向が鉛直方向を指向するようにしてもよい。
【0047】
図3において、55はカード挿入口42から手によって挿入されたカード17の前端を検出する第1のセンサであって、カード17の前端を検出することにより、上述した第1の電磁ソレノイド28を駆動し、第2のレバー23および第1のレバー21を介して、スライダー13を矢印A方向に移動させて、カード17をカード取込部44に取り込む。
【0048】
56は、第1の電磁ソレノイド28の駆動によってカード取込部44に取り込んだカード17の後端を検出し、第1の電磁ソレノイドの駆動を停止させる第2のセンサである。57は第3の電磁ソレノイド50の駆動により、カード支承部材46を回動させて、後述するようにカード収納装置2に収納するカード17の上端部を検出して、第3の電磁ソレノイド50の駆動を停止させる第3のセンサである。
【0049】
次に、図1および図9ないし図15を用いて、カード収納装置2について説明する。先ず、図1、図11、図12を用いて、カード収納箱について説明する。カード収納装置2は、図1に示すようにカード17を収納するカード収納箱6と、カード収納箱6を挿抜自在に収容する収納箱収容部材7とによって構成されている。
【0050】
カード収納箱6は、図1および図12に示すように底板61、互いに対向する両側板62,63、背面板64および前面部材65によって上方が開口した箱状に形成されている。
【0051】
背面板64には、図12(C)に示すように後述する係合部材83の爪83aが係合する矩形状の係合孔66が形成されている。両側板62,63の上部であって矢印A方向側には、同図(B)に示すようにカードの取り出しを容易にするための矩形状の切欠き62a,63aが設けられている。
【0052】
一方の側板62の内壁には、底板63に跨るようにして下方から上方に向かって漸次幅が狭くなる傾斜角αに形成された傾斜部67aを有する三個の傾斜リブ67Aないし67Cが他方の側板63に向かって突設されている。
【0053】
これら三個の傾斜リブ67Aないし67Cのうち、二個の傾斜リブ67A,67Bの上部は、切欠き62aを設けたことにより一部が除去されており、図11に示すように台形状に形成されている。
【0054】
他方の側板63の内壁の下端には、傾斜リブ67の傾斜部67aの傾斜方向と反対方向に傾斜する傾斜部を有し、カード収納箱61内に収納される一番目のカード17の下端を支承する小リブ68が複数個突設されている。傾斜リブ67の下端と他方の側板63との間には、一枚のカード17の厚みtよりも大きく二枚のカード17の厚み2tよりも小さい隙間δが設けられている。他方の側板63の上部には、一方の側板62側に迫り出した迫り出し部63bが形成されている。
【0055】
次に、図1、図10および図13ないし15を用いて、収納箱収容部材7について説明する。収納箱収容部材7は、図1に示すように底板71、背面板72および上板73からなる逆コの字状に形成されたフレーム74と、このフレーム74に取り付けられ、両側板75,76、天井部材77および背面側に設けられたソレノイド収納部78からなりカード収納箱6を収容するための開口79を有する収容ケース80とによって構成されている。開口79から収納箱収容部材7内に収容されたカード収納箱6の両側板62,63は、収容ケース80の両側板75,76のそれぞれと対向する。
【0056】
フレーム74の上板73には、カード17を受け入れるための収納口73aが設けられており、この収納口73aがカード処理装置1のカード落下口44aの直下に位置するように、収納箱収容部材7が配設されている。なお、図示を省略しているが、収納口73aに対応して収容ケース79の天井部材77に収納口が設けられている。
【0057】
収容ケース79の一方の側板75には、図10(B)に示すようにカード収納箱6の傾斜リブ67A,67Bの上方に対応した部位に、切欠き62aを設けたことにより傾斜リブ67A,67Bの上部の一部を除去した部分を補完するための補完リブ75aが設けられている。また、他方の側板76の側板63の切欠き63aに対応した部位には、カード収納箱6の迫り出し部63bと協働してカード17を傾斜リブ67に倒れ込ませる迫り出しリブ76aが設けられている。
【0058】
ソレノイド収納部78の前面板82には、図13(A)に示すように角穴82aと丸孔82bとが設けられている。83は軸84を中心としてソレノイド収納部78内に回動自在に支持された係合部材であって、揺動端部に形成された係合爪83aが角穴82aから前面板82の外側に突出している。
【0059】
85はソレノイド収納部78内に収納された第4の電磁ソレノイドであって、進退自在なロッド85aにはピン86を介して係合部材83の基端部が枢着されている。この第4の電磁ソレノイド85は非駆動状態のときに、図示を省略した付勢手段によってロッド85aが前進し、係合部材83は軸84を回動中心として図中反時計方向に付勢されている。一方、第4の電磁ソレノイド85を駆動すると、ロッド85aが後退し、係合部材83は軸84を回動中心として図中時計方向に回動する。
【0060】
88はソレノイド収納部78内に矢印A−B方向に移動自在に支持された押し出し棒であって、鍔88aとソレノイド収納部78との間に弾装された圧縮コイルばね89の弾発力によって、矢印B方向に付勢され、丸孔82bから前面板82の外側に突出している。
【0061】
このような構成において、カード収納箱6を、図1に示すように収容ケース80の開口79から、両側板75,76および底板71をガイドとして収納箱収容部材7に挿入すると、カード収納箱6の背面板64が、図14に示すように係合部材83の係合爪83aに当接するとともに、押し出し棒88の先端がカード収納箱6の背面板64に当接する。
【0062】
さらに、押し出し棒88を介する圧縮コイルばね89の弾発力に抗して、カード収納箱6を矢印A方向に挿入することにより、係合部材83が軸84を回動中心として図中時計方向に回動し、係合爪83aが係合孔66からカード収納箱6内に進出する。
【0063】
さらに、カード収納箱6を矢印A方向に挿入することにより、図13に示すように係合爪83aが係合孔66の上端縁に係合し、カード収納箱6が収納箱収容部7内に収容される。
【0064】
カード収納箱6が収納箱収容部7内に収容されると、図10(B)に示すように傾斜リブ67A,67Bの上部の一部を除去した部分に収容ケース80の一方の側板75に設けた補完リブ75a,75aが位置するとともに、カード収納箱6の他方の側板63の切欠き63aに収容ケース80の他方の側板76に設けた迫り出しリブ76aが位置する。
【0065】
カード収納箱6を収納箱収納部7から取り外すには、第4の電磁ソレノイド85を駆動し、ロッド85を後退させることにより、図14に示すように係合部材83が軸84を回動中心として図中時計方向に回動するので、係合爪83aと係合孔66との係合が解除される。
【0066】
この第4の電磁ソレノイド85を駆動し、係合部材83が軸84を回動中心として図中時計方向に回動したときに、係合部材83の下面(係合爪83aと反対側の面)83bが係合孔66の下面である摺接面66aに当接する。
【0067】
係合爪83aと係合孔66との係合が解除されると、圧縮コイルばね89の弾発力によって、押し出し棒88がカード収納箱6の背面板64を矢印B方向に押圧するため、カード収納箱6は、図15に示すように収納箱収容部材7の開口79から突出する。
【0068】
次に、このように構成されたカード処理装置におけるカードの処理動作について説明する。予め、第1の電磁ソレノイド28は非駆動状態となっており、第2のレバー23が、図3(A)に示すように矢印A方向に移動した状態に位置し、第2のレバー21が軸22を回動中心として反時計方向に回動した状態に位置している。
【0069】
したがって、スライダー13が矢印B方向側に位置し、係合片19の係合部19aと被係合部30aが係合している移動子30が矢印B方向側に移動しているので、取込部材33の爪33aが同図(B)に示すようにカード挿入口42から退避した位置に移動している。
【0070】
また、第2の電磁ソレノイド39が非駆動状態となっており、規制部材37は第2の電磁ソレノイド39のロッド39aを前進させる圧縮コイルばね(図示せず)の弾発力によって、軸38を回動中心として図中時計方向に付勢されて、係合部37aが移動子30の上面に載置された状態となっている。
【0071】
また、第3の電磁ソレノイド50が非駆動状態となっており、支承部材46が、図8に実線で示すように軸47を回動中心として時計方向に回動され、支承部46aがカード搬送部43とカード取込部44内に進出している。
【0072】
さらに、第4の電磁ソレノイド85が、図13に示すように非駆動状態となっており、カード処理装置1の直下に配設された収納箱収容部材7内に収容されているカード収納箱6の係合孔66に係合部材83の爪83aが係合している。
【0073】
この状態で、カード17を手によって、図4に示すようにカード挿入口42から装置内のカード搬送部43に、カード17の幅方向を鉛直方向(矢印C−D方向)に指向させた状態で矢印A方向に挿入する。
【0074】
カード17の前端(矢印A方向端)がスライダー13の係合突起18,18に係合することにより、カード17の矢印A方向への移動に追従して、スライダー13が引張りコイルばね16の引張力に抗して矢印A方向に移動を開始する。
【0075】
スライダー13が矢印A方向に移動を開始してからしばらくして、スライダー13と一体に移動する係合片19の他方の係合部19bが移動子30の他方の被係合部30bに係合するので、移動子30がスライダー13の移動に追従して矢印A方向に移動する。
【0076】
この移動子30の矢印A方向への移動により、取込部材33の係合軸部33bがカバー4のカム部4aに係合することにより、引張りコイルばね35の引張力に抗して爪33aが、図6(B)に示すようにカード挿入口42に進出するため、爪33aがカード17の後端に係合する。
【0077】
このように、爪33aがカード挿入口42内に進出することにより、この爪33aが2枚目以降のカードのカード挿入口42への挿入を阻止するシャッタの機能も兼ね備える。
【0078】
カード17の前端が、図6(A)に示すように第1のセンサ55に検出されると、第1の電磁ソレノイド28が駆動し、ロッド(図示せず)が後退することにより、第2のレバー23が矢印B方向に移動する。
【0079】
この第2のレバー23の矢印B方向への移動により、第1のレバー21が軸22を回動中心として図中時計方向に回動するため、小突起20を介してスライダー13が引張りコイルばね16の引張力に抗して矢印A方向に移動する。
【0080】
この移動は、係合片19を介して移動子30に伝達され、移動子30が矢印A方向に移動するため、これと一体に移動する取込部材33の爪33aによってカード17の後端が矢印A方向に移動し、図7(A)に示すようにカード17がカード取込部44に取り込まれる。
【0081】
カード17がカード取込部44に取り込まれると、カード17の後端が第2のセンサ56によって検出されるため、第1の電磁ソレノイド28の駆動が停止し、第2のレバー23の矢印B方向への移動が停止する。
【0082】
したがって、第1のレバー21およびスライダー13を介しての移動子30の移動も停止するため、取込部材33によるカード17の取込み動作も停止する。同時に、規制部材37が第2の電磁ソレノイド39のロッド39aを前進させる圧縮コイルばね(図示せず)の弾発力によって、軸38を回動中心として図中時計方向に回動することにより、係合部37aが移動子30の切欠き30c内を通過して係合部材19の係合部19aに係合する。
【0083】
したがって、スライダー13は引張りコイルばね16に蓄積された引張力に抗して矢印B方向への移動が規制されるため、カード17はカード取込部44に取り込まれた状態が保持される。カード取込部44に取り込まれたカード17の下端は、カード取込部44に進出している支承部材46の支承部46aに支承される。
【0084】
一方、カード17の上端には、図8に示すように当接部材51が当接し、この当接部材51を介して、図4に示すように圧縮コイルばね53の弾発力によって、カード17が下方に付勢されるため、カード17は支承部材46と当接部材51とによって挟持される。
【0085】
この状態で、アンテナ基板45を介して、カード17に記録されたデータが非接触の状態で処理される。処理した結果、カード17を返却する場合は、第2の電磁ソレノイド39を駆動する。
【0086】
この駆動によって、ロッド39aが後退することにより、規制部材37が軸38を回動中心として反時計方向に回動するため、規制部材37の係合部37aと係合部材19の係合部19aとの係合が解除される。
【0087】
したがって、スライダー13が引張りコイルばね16に蓄積された引張力によって矢印B方向に移動するため、前端がスライダー13の係合突起18に係合しているカード17も矢印B方向に移動して、図3(A)に示すようにカード挿入口42から返却される。
【0088】
このとき、圧縮コイルばね53の弾発力によって、カード17が支承部材46と当接部材51とによって挟持されているため、カード挿入口42から返却されるカード17の返却速度が減速されるから、カード17がカード挿入口42から必要以上に突出したり、脱落したりするのを防止することができる。
【0089】
このように、カード17の装置内への取込みおよび返却を従来のようにローラ類やベルトによって行わずに、スライダー13や取込部材33または引張りコイルばね16によって行うようにしたため、部品点数を削減することができる。また、駆動源として相対的に高価なモータを不要として比較的廉価な電磁ソレノイドを使用することにより製造コストを低減することができる。
【0090】
ここで、アンテナ基板45を介して、カード17に記録されたデータを処理した結果、カード17をカード収納装置2に収納する必要が生じた場合は、カード取込部44に取り込まれた図7に示す状態において、第3の電磁ソレノイド50を駆動する。
【0091】
第3の電磁ソレノイド50の駆動により、ロッド50aが、図5(A)に示すように圧縮コイルばね51の弾発力に抗して後退する(矢印C方向に移動する)ため、同図(B)に示すように支承部材46が軸47を回動中心として図中反時計方向に回動する。
【0092】
したがって、カード17の下端を支承していた支承部材46の支承部46aが図中二点鎖線で示す位置に移動するため、カード17が矢印D方向に移動して落下口44aから落下する。このとき、支承部材46の支承部46aによって、カード17が一旦上方(矢印C方向)に持ち上げられるため、当接部材51を介してカード17を下方に付勢している圧縮コイルばね53に付勢力が一時的に蓄積される。
【0093】
このため、この蓄積された付勢力によって、カード17が下方に確実に落下するから、カード詰まりを起こすことなくカード収納装置2に収納することができる。落下するカード17の上端が第3のセンサ57によって検出されると、第3の電磁ソレノイド50への駆動が停止する。
【0094】
また、収納動作中に停電が発生して第3の電磁ソレノイド50を駆動することができなくなった場合は、機構搭載部11に設けた孔11bから装置の外部に露呈している支承部材46に設けた操作用の突起46bを手動によって操作することにより、カード支承部材46を回動操作することができるため、カード17をカード収納装置2内に収納することができる。
【0095】
支承部材46が回動することにより、カード処理装置1から落下したカード17は、図10(A)に示すようにカードの幅方向が鉛直方向を指向した状態で、収納箱収容部材7の収納口73aからカード収納箱6内に収納される。カード収納箱6内に収納されたカード17は、カード収納箱6の一方の側板62に設けられた傾斜リブ67Aないし67Cによって、これら傾斜リブ67Aないし67Cの傾斜面67a上に倒れ込む。
【0096】
このとき、傾斜リブ67Aないし67Cが設けられた一方の側板62に対向する他方の側板63に一方の側板62に向かって迫り出した迫り出し部63bが設けられているため、この迫り出し部63bによって、カード収納箱6内を落下するカード17は強制的に傾斜リブ67Aないし67C側に倒れ込む。したがって、カード17は傾斜リブ67Aないし67C上に互いに隙間なく鱗状に積載されるから、カード詰まりが発生するようなことがない。
【0097】
また、この迫り出し部63bによって、側板63に沿うようにして鉛直方向にカード17が落下するようなことがないから、誤ってカード17が側板63に沿って鉛直方向を指向した状態で積載されるようなこともない。さらに、傾斜リブ67Aないし67Cの下端と側板63との間に一枚のカードの厚みtよりも大きく二枚のカードの厚み2tよりも小さい隙間δを設けたことにより、カード17の下端がこの隙間に嵌り込むようなこともない。
【0098】
また、両側板62,63の切欠き62a,63aに相当する部位に、補完リブ75aや迫り出しリブ76aを設けたことにより、カード17をより一層確実に傾斜リブ67Aないし67Cの傾斜面67a上に隙間なく積載することができる。
【0099】
カード収納箱6内に収納されたカード17を回収する場合は、第4の電磁ソレノイド85を駆動する。この駆動によってロッド85aが後退することにより、図14に示すように係合部材83が軸84を回動中心として時計方向に回動するため、係合爪83aと係合孔66との係合が解除される。
【0100】
したがって、圧縮コイルばね89の弾発力によって押し出し棒88を介してカード収納箱6が矢印B方向に移動する。このとき、係合部材83の下面が係合孔66の摺接面66aをわずかな時間だけ摺接するように、第4の電磁ソレノイド85を所定の時間だけ駆動し続ける。
【0101】
この係合部材83の下面と係合孔66の摺接面66aとの摺接によって生じる摩擦力によって、収納箱61の矢印B方向への移動速度が減速されるから、収納箱6が開口79から必要以上飛び出したり、収納箱収容部材7から脱落したりするようなことがない。
【0102】
収納箱収容部材7の開口79から外部に突出した前面部材65を把持し、カード収納箱6を収納箱収容部材7から引き出し、カード収納箱6からカード17を取り出して回収する。
【0103】
カード17の回収が終了したカード収納箱6を、図1に示すように収納箱収容部材7の開口79内に差し入れ、矢印A方向に移動させると、カード収納箱6の背面板64が、図14に示すように係合部材83の係合爪83aに当接するとともに、押し出し棒88の先端がカード収納箱6の背面板64に当接する。
【0104】
さらに、圧縮コイルばね89の弾発力に抗して、カード収納箱6を矢印A方向に挿入することにより、係合部材83が軸84を回動中心として図中時計方向に回動し、係合爪83aが係合孔66からカード収納箱6内に進出する。さらに、カード収納箱6を矢印A方向に挿入することにより、図13に示すように係合爪83aが係合孔66の上端縁に係合し、空のカード収納箱6が収納箱収容部材7内に収容される。
【実施例2】
【0105】
次に、図16を用いて、本発明の第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態においては、係合部材83の係合孔66の摺接面66aに摺接する部位に係合突起83cを設けた点に特徴を有する。このように構成されていることにより、第4の電磁ソレノイド85を駆動し、係合部材83を軸84を回動中心として図中時計方向に回動させ、係合部83aと係合孔66と係合を解除すると、係合突起83cが係合孔66と係合する。
【0106】
したがって、押し出し棒88を介して圧縮コイルばね89の弾発力によって矢印B方向に移動するカード収納箱6の移動が一旦停止する。このため、収納箱61の矢印B方向への移動が一旦規制されるから、収納箱6が開口79から必要以上飛び出したり、収納箱収容部材7から脱落したりするようなことがない。
【0107】
なお、本実施例においては、カード17を幅方向が鉛直方向に指向した状態でカード取込部44に取り込まれる構造のもので説明したが、カード17の厚み方向を鉛直方向に指向させた状態で取り込む構造のものにも適用できる。
【符号の説明】
【0108】
1…カード処理装置、2…カード収納装置、3…機構搭載用部材、4…カバー、4a…カム溝、6…カード収納箱、7…収納箱収容部、13…スライダー、16…引張りコイルばね(第1の付勢手段)、17…カード、19…係合片、21…第1のレバー、23…第2のレバー、28…第1の電磁ソレノイド、30…移動子、33…取込部材、37…規制部材、39…第2の電磁ソレノイド、42…カード挿入口、44…カード取込部、46…支承部材、50…第3の電磁ソレノイド、51…当接部材、53…圧縮コイルばね(第2の付勢手段)、55…第1のセンサ、56…第2のセンサ、57…第3のセンサ、63b…迫り出し部、66…係合孔、67Aないし67C…傾斜リブ、75a…補完リブ、76a…傾斜リブ、80…収納ケース、83…係合部材、83c…係合突起、85…第4の電磁ソレノイド、88…押し出し棒、89…圧縮コイルばね。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カードを収納するカード収納箱と、このカード収納箱を挿抜自在に収容し当該カード収納箱を外部に取り出すための開口を有する収納箱収容部材とを備えたカード収納装置において、
前記カード収納箱の背面部に係合孔を設け、
前記収納箱収容部材に、前記カード収納箱を前記開口から突出させる付勢部材と、前記係合孔に係合し、前記付勢部材の付勢力に抗して前記カード収納箱の前記開口からの突出を規制する係合部材と、この係合部材の前記係合孔との係合を解除する電磁ソレノイドとを設けたことを特徴とするカード収納装置。
【請求項2】
前記係合孔に、前記電磁ソレノイドの駆動により前記係合部材と前記係合孔との係合を解除したときに、当該係合部材の一部と互いに摺接する摺接面を設けたことを特徴とする請求項1記載のカード収納装置。
【請求項3】
前記係合部材の前記摺接面に摺接する部位に前記係合孔に係合する係合突起を設けたことを特徴とする請求項2記載のカード収納装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2010−198081(P2010−198081A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39104(P2009−39104)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(304020498)サクサ株式会社 (678)
【Fターム(参考)】