説明

カード搬送装置

【課題】一の作業工程において不具合が発生しても、不具合が発生しない他の工程でその作業を行うことができて、作業性の向上を図ることができるカード搬送装置を提供する。
【解決手段】矩形平板状のカード1に対して各種の作業を行いつつカード供給位置2からカード排出位置3まで水平状態を維持しつつ搬送するカード搬送装置である。カード供給位置側の前工程用の第1ベルトコンベア搬送構造体5と、カード排出位置側の後工程用の第2ベルトコンベア搬送構造体6とを少なくとも備える。第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6とはそれぞれ独立した駆動機構にて駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード搬送装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
ICチップ等を有するクレジットカード、キャッシュカード、ICカード等のカードの製作過程においては、カードを種々の工程に順次搬送していくことになる。この場合、複数枚のカードはカードマガジンに積層され、このカードマガジンから一枚ずつ搬送手段に供給される。搬送手段に供給されたカードは、この搬送手段にて各作業工程に搬送され、各作業工程で種々の作業がカードになされる。そして、この種の搬送手段には、一般的にベルトコンベア等にて構成される(特許文献1及び特許文献2)。
【特許文献1】特開平7−73579号公報
【特許文献2】特開2003−95529号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、ICチップ等を有するカードを製造する場合、搬送手段にて搬送されるカードが正規の向きに向いているか等の検査工程、カードの凹部にペースト等を塗布する工程、カードの凹部にICチップを供給する工程、圧着する工程等の複数の工程を必要とする。
【0004】
このため、搬送距離が大きくなって、一つの搬送コンベアにて搬送しようとすれば、搬送コンベアが大型化する。このため、ベルトが長くなり、ベルトに振動が発生し易く、ベルトががたついた走行となってカードを安定して搬送させにくくなる。また、この搬送コンベアの搬送途中で各種の作業工程が行われるが、例えば、一つの工程で不具合が発生した場合、この搬送コンベアを停止して、この工程において不具合が発生しないように修復させる必要があった。
【0005】
すなわち、不具合が発生しない他の工程の作業も停止することになり、不具合が発生していない製品も、このワーク搬送装置内に止まることになる。このため、不具合が発生していない製品を他の装置(工程)に供給することができず、生産性に劣ることになる。
【0006】
本発明は、上記課題に鑑みて、一の作業工程において不具合が発生しても、不具合が発生しない他の工程でその作業を行うことができて、作業性の向上を図ることができるカード搬送装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のカード搬送装置は、矩形平板状のカードに対して各種の作業を行いつつカード供給位置からカード排出位置まで水平状態を維持しつつ搬送するカード搬送装置であって、カード供給位置側の前工程用の第1ベルトコンベア搬送構造体と、カード排出位置側の後工程用の第2ベルトコンベア搬送構造体とを少なくとも備え、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体とはそれぞれ独立した駆動機構にて駆動するものである。
【0008】
本発明のカード搬送装置によれば、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体とがそれぞれ独立した駆動機構にて駆動するものであるので、第1ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程と第2ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程のいずれかに不具合が発生した場合、不具合が発生したコンベア搬送構造体側を停止することになるが、不具合が発生していない側のコンベア搬送構造体側を停止させないで済む。
【0009】
第1ベルトコンベア搬送構造体と、第2ベルトコンベア搬送構造体との間に、第1ベルトコンベア搬送構造体から第2ベルトコンベア搬送構造体へのカードの受け渡しを可能とする受渡用コンベア構造体を配置するのが好ましい。この受渡用コンベア構造体によって、第1ベルトコンベア搬送構造体から第2ベルトコンベア搬送構造体へカードの受け渡しを滑らかに行うことができる。
【0010】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体は、それぞれ、走行方向と直交する方向に所定間隔だけ離間した一対のベルトを備えたものが好ましい。また、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体には、各ベルトにそれぞれテンションを付与するシリンダ機構にて構成されるテンション付与手段が付設されるのが好ましい。
【0011】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体は、各ベルトのカード搬送面にカード搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数のカード支持体を備え、一方のベルトのカード支持体は、カードのカード上流端位置を規制する規制片部及びカード上流側を受ける台部とを有する上流側ストッパと、カードのカード下流端位置を規制する規制片部及びカード下流側を受ける台部を有する下流側ストッパとで構成し、他方のベルトのカード支持体は、カードの上流側と下流側とをそれぞれ受ける一対の台部にて構成したものである。このため、一方のベルトによって、カードはカード上流端位置とカード下流端位置とが規制された状態で搬送される。また、他方のベルトに規制片部を有さないので、この他方のベルトによっては、カードは、カード上流端位置とカード下流端位置とが規制されない。しかも、両ベルトには台部が設けられているので、カードは、下面において4つのコーナ部で受けられる。
【0012】
受渡用コンベア構造体は、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体との間において、各搬送構造体の一対のベルトの間隔方向中間部に配設される中間ベルトを備えたものが好ましい。すなわち、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体とは、ともに走行方向と直交する方向に所定間隔だけ離間した一対のベルトを備えたものであるので、無駄なスペースをとることなく、中間ベルトを配置することができる。
【0013】
前記受渡用コンベア構造体の中間ベルトのカード搬送面にカード搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数のカード支持体を備え、このカード支持体は、カードのカード上流端位置を規制する規制片部及びカード上流側を受ける台部とを有する上流側ストッパと、カードのカード下流端位置を規制する規制片部及びカード下流側を受ける台部を有する下流側ストッパとで構成するのが好ましい。これにより、カードはカード上流端位置とカード下流端位置とが規制された状態で搬送される。
【0014】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体の所定間隔だけ離間したベルト間には、各搬送構造体にて搬送されるカードに対する所定の作業を行う作業工程部位を配置するのが好ましい。すなわち、ベルト間の隙間の有効利用が可能である。
【0015】
位置決め手段は、カードの一つの相対向する辺の一方を受ける一辺基準部と、カードの他の3辺をそれぞれ受ける3つの基準片部と、各基準片部をカードの各辺にそれぞれ対向するよう下方から上昇させるとともに、その上昇させた各基準片部を対向する各辺に対して接近するように平行移動させて当接させる駆動機構とを備える。
【0016】
一辺基準部に一つの相対向する辺の一方を受けている状態で、3個の基準片部が各辺に対して接近するように平行移動するものである。このため、基準片部はカードの各辺に対して平行状態を維持しつつ接近して当接することになる。また、基準片部は駆動機構にて、下方から上昇するものであるので、カード搬送時にはこの基準片部にてカード搬送が妨げられない。
【0017】
第1ベルトコンベア搬送構造体及び第2ベルトコンベア搬送構造体に、走行方向に沿ったカード側辺をガイドするカードガイドを設けると共に、このカードガイドに、カードの上部外側方からカードに向かって上昇するように傾斜する傾斜片部を有するカード飛出し防止板を付設するのも好ましい。
【0018】
カードガイドにて側辺をガイドしながらカードを走行させることができる。カード飛出し防止板にて、走行中にカードの走行路からの飛出しを防止することができる。しかも、上部外側方からカードに向かって上昇するように傾斜する傾斜片部を有するものであるので、カードが飛び出ようとして浮き上がった場合、カード飛出し防止板とカードとが接触することになるが、カード飛出し防止板とのカードの接触部位は側辺上端縁である。
【発明の効果】
【0019】
本発明のカード搬送装置では、第1ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程と第2ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程のいずれかにその作業を停止すべき不具合が発生した場合、不具合が発生したコンベア搬送構造体側を停止することになるが、不具合が発生していない側のコンベア搬送構造体側を停止させないで済む。すなわち、第1ベルトコンベア搬送構造体側において不具合が発生したとしても、第2ベルトコンベア搬送構造体側の作業を継続することができる。このため、第2ベルトコンベア搬送構造体に搬送されたカードのその後の処理を行って、他の装置(例えば、ICチップにデータを書き込む処置を行う装置)に供給することができ、作業能率の向上を図ることができる。
【0020】
また、第1ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程に不具合が発生した場合、第2ベルトコンベア搬送構造体側の作業工程を継続することができるので、第1ベルトコンベア搬送体側の不具合を修正する間も、第2ベルトコンベア搬送構造体側の作業を行って、第1ベルトコンベア搬送構造体側の作業が終了したカードを製造することができる。
【0021】
しかも、ベルトコンベア搬送構造を前工程側と後工程側とで分離したので、各ベルトコンベア搬送構造でのベルト長さを短くすることができ、走行時の振動を抑え易い利点もある。
【0022】
受渡用コンベア構造体によって、第1ベルトコンベア搬送構造体から第2ベルトコンベア搬送構造体へカードの受け渡しを滑らかに行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0023】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体は、それぞれ、一対のベルトを備えたものにて構成することができ、1本の幅広ベルトを用いるのと比べて、コストの低減を図ることができる。特に、一対のベルト間に空間部が形成され、この空間部を作業工程の空間として利用でき、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0024】
また、各ベルトコンベア搬送構造体の各ベルトはテンション付与手段が付設されるので、各ベルトにテンションを付与することができ、各ベルト走行が安定する。すなわち、ベルトにテンションを付与することによって、走行時のベルトの振動を吸収して(抑えて)、ベルトのガタツキや外れを防止してカードを精度よく搬送することができる。しかも、テンション付与手段はシリンダ機構にて構成されるので、両ベルトに適度のテンションをそれぞれ付与することができ、カード搬送精度向上を一層図ることができる。また、各ベルト長さが短いので、付与するテンションも小さくて済み、より安定したテンション付与が可能となる。
【0025】
一方のベルトによって、カードはカード上流端位置とカード下流端位置とが規制された状態で搬送され、他方のベルトによっては、カードは、カード上流端位置とカード下流端位置とが規制されない。このため、両ベルトに多少の走行方向のずれが生じても、カードの上流端及び下流端の位置規制を支障なく行うことができる。また、カードは、下面において4つのコーナ部で受けられ、安定した搬送が可能となる。
【0026】
受渡用コンベア構造体が、各搬送構造体の一対のベルトの間隔方向中間部に配設される中間ベルトを備えたものであれば、無駄なスペースをとることなく、中間ベルトを配置することができ、しかも、第1ベルトコンベア搬送構造体から第2ベルトコンベア搬送構造体に滑らかに受け渡しすることができる。
【0027】
位置決め手段にて作業工程部位にカードを位置決めすることができ、各作業工程部位における各種の作業が安定する。また、この位置決め手段は、一辺基準部に一つの相対向する辺の一方を受けている状態で、3個の基準片部が各辺に対して接近するように平行移動するものである。このため、基準片部はカードの各辺に対して平行状態を維持しつつ接近して当接することになる。すなわち、基準片部は各辺に対して平行に当接して、カード接触時の圧力が分散され、カードを損傷させたり、他の部位へ飛散させたりすることを防止できる。また、基準片部はカード搬送時にカード搬送を妨げないので、安定した作業を継続することができる。しかも、各基準片部はそれぞれ上下動および水平方向の平行往復動を行うものであるので、各基準片部の動きのためのスペースを小さくでき、装置全体のコンパクト化が可能である。なお、基準片部が旋回してカードに接触するものであれば、各辺の上端縁または下端縁にあたることになる。また、カードは、平面状が理想であるが、多少、上方又は下方に反った形状である。このため、旋回するものでは、基準片部が相対面する辺の上端縁または下端縁に当接することになって、凸側がさらに凸となるようにカードを挟持して、飛び出す力が作用することになる。
【0028】
カードガイドにてカード側辺をガイドしながらカードを走行させることができる。このため、安定したカードの搬送が可能となる。カード飛出し防止板にて、走行中にカードの走行路からの飛出しを防止することができる。しかも、カードが飛び出ようとして浮き上がった場合、カード飛出し防止板とカードとが接触することになるが、カード飛出し防止板とのカードの接触部位は側辺上端縁であり、この接触によるカード表面の傷つきを防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下本発明の実施の形態を図1〜図8に基づいて説明する。
【0030】
図1と図2とは本発明に係るカード搬送装置を示し、この装置は、矩形平板状のカード1(図3等参照)に対して各種の作業を行いつつカード供給位置2からカード排出位置3まで水平状態を維持しつつ搬送するものである。カード1としては、ICチップ等を有するクレジットカード、キャッシュカード、ICカード等である。
【0031】
カード搬送装置は、カード供給位置2側の前工程用の第1ベルトコンベア搬送構造体5と、カード排出位置3側の後工程用の第2ベルトコンベア搬送構造体6とを備える。各ベルトコンベア搬送構造体5,6は、それぞれ、上流側上方プーリ体7,8と上流側下方プーリ体9,10と下流側上方プーリ体11,12と下流側下方プーリ体13,14とを備える。第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6とは同一直線上に配設される。
【0032】
各プーリ体7・・・は、それぞれ、一対の歯付プーリ7a、7b、8a、8b、9a、9b、10a、10b、11a、11b、12a、12b、13a、13b、14a、14bを有する。各プーリ体7・・・は矩形のコーナ部に位置するように配設される。
【0033】
第1ベルトコンベア搬送構造体5において、プーリ7a、9a、13a、11aにベルト(歯付きベルト)15が掛回され、プーリ7b、9b、13b、11bにベルト(歯付きベルト)16が掛回される。すなわち、一対のベルト15,16が走行方向に直交する方向に所定間隔だけ離間して配設される。このため、ベルト15,16に所定幅のスペースS1が設けられる。
【0034】
第2ベルトコンベア搬送構造体6において、プーリ8a、10a、14a、12aにベルト(歯付きベルト)17が掛回され、プーリ8b、10b、14b、12bにベルト(歯付きベルト)18が掛回される。すなわち、一対のベルト17,18が走行方向に直交する方向に所定間隔だけ離間して配設される。このため、ベルト17,18に所定幅のスペースS2が設けられる。
【0035】
第1ベルトコンベア搬送構造体5の下流側上方プーリ体11に図示省略の駆動手段が付設され、この駆動手段の駆動によって、ベルト(歯付きベルト)15、16が矢印A1方向に走行する。また、第2ベルトコンベア搬送構造体6の下流側上方プーリ体12に図示省略の駆動手段が付設され、この駆動手段の駆動によって、ベルト(歯付きベルト)17、18が矢印A2方向に走行する。なお、各ベルトコンベア搬送構造体5、6の駆動手段には、制御性に優れたサーボモータを使用するのが好ましい。
【0036】
各ベルトコンベア搬送構造体5、6には、図4に示すように、各ベルト15,16、17,18にテンションを付与するシリンダ機構20a、20bにて構成されるテンション付与手段21a、21bが付設されている。すなわち、テンション付与手段21aは、プーリ13a(14a)を軸部22aを介して回転自在に支持する枠体23aに、シリンダ機構20aのピストンロッド25aが連結されている。また、テンション付与手段21bは、プーリ13b(14b)を軸部22bを介して回転自在に支持する枠体23bに、シリンダ機構20bのピストンロッド25bが連結されている。なお、各シリンダ機構20a、20bの本体部26a、26bは固定側に固定されている。
【0037】
このため、各シリンダ機構20a、20bのピストンロッド25a、25bを縮める方向に引っ張ることによって、枠体23a、23bを引き下げる方向に引っ張り、各ベルト15、16、17,18にテンションを付与する。なお、プーリ体13、14は、プーリ13a、13b、14a、14bがそれぞれ独立して回転するが、他のプーリ体7・・・は、各プーリ7a、7b・・・が一体的に回転する。
【0038】
各ベルトコンベア搬送構造体5、6の一方のベルト15、17のカード搬送面(表面)15a、17aには、図5に示すように、一対のストッパ34,35からなるカード支持体28が設けられている。カード支持体28は、ベルト15、17のカード搬送面15a、17aにその長手方向に沿って所定ピッチで複数配置される。一方のストッパ34は、カード上流端位置を規制する規制片部30及びカード1の上流側を受ける台部32を有する。他方のストッパ35は、カード下流端位置を規制する規制片部31及びカード1の下流側を受ける台部33を有する。この場合、カード支持体28のストッパ34,35は、他方のベルト16,18側に沿って設けられている。また、各ストッパ34,35の規制片部30,31はカード1の長辺長さよりも僅かに長い間隔で配置される。
【0039】
各ベルトコンベア搬送構造体5、6の他方のベルト16,18のカード搬送面(表面)16a,18aには、図5に示すように、一対の台部36,37からなるカード支持体29が設けられている。各36,37は所定間隔(カード1の長辺長さよりも短い間隔)で配置される。カード支持体29は、ベルト16,18のカード搬送面16a,18bにその長手方向に沿って所定ピッチで複数配置される。この場合、カード支持体29の台部36,37は一方のベルト15,17側に沿って設けられている。なお、この台部36,37の上面の高さ位置と、前記ストッパ34,35の台部32、33の上面の高さ位置とを略同一高さとしている。
【0040】
このため、カード1は図3に示すように位置決めされて搬送される。すなわち、一方のベルト15(17)の一方(上流側)のストッパ34の規制片部30がカード1の上流端面1a(相対面する一対の短辺の一方)に当接して、カード上流端位置を規制する。また、一方のベルト15(17)の他方(下流側)のストッパ35の規制片部31がカード1の下流端面1b(相対面する一対の短辺の他方)に当接して、カード下流端位置を規制する。
【0041】
この際、上流側のストッパ34の台部32にて、カード1の上流側の一方のコーナ部40側が受けられ、他方のベルト16(18)の上流側の台部36にて、カード1の上流側の他方のコーナ部41側が受けられ、下流側のストッパ35の台部33にて、カード1の下流側の一方のコーナ部42側が受けられ、他方のベルト16(18)の下流側の台部37にて、カード1の下流側の他方のコーナ部43側が受けられる。
【0042】
ところで、各ベルトコンベア搬送構造体5、6においては、一対のベルト15,16、17,18間にスペースS1、S2が形成される。このため、カード搬送装置では、このスペースS1、S2に、各種の作業を行う作業工程部位が設けられる。
【0043】
作業としては、カード1がその上面(表面)にICチップが埋められるものであれば、第1ベルトコンベア搬送構造体5においては、カード1が所定の向きを向いているか否かの検査工程、その上面の凹部45(図3参照)にペースト(銀ペースト)を塗布する工程、ペーストが塗布された凹部45にICチップを供給する工程等がある。また、第2ベルトコンベア搬送構造体6においては、加熱・加圧してICチップを圧着する工程、冷却する工程等がある。
【0044】
このため、各工程においては、カード1の搬送を停止して、作業可能な位置(作業工程部位)に位置決めする必要がある。そこで、この装置では、図3に示すような、位置決め手段50が各作業工程部位に配置されている。
【0045】
位置決め手段50は、カード1の一つの相対向する一方の辺(長辺1c)を受ける一辺基準部51と、カード1の他の3辺1a、1d、1bを受ける基準片部52、53、54とを備える。一辺基準部51は、図例ではブロック片にて構成しているが、カード搬送路(正面から見て、ベルト15、16、17、18が形成する矩形の上辺)に沿って配設されて、カード1の一方の長辺1cが摺接してガイドするカードガイド111(図12参照)にて構成できる。
【0046】
また、基準片部52は作業工程部位において、カード1の一方の短辺1aよりも上流側のスペースS1(S2)内に配置され、基準片部53は作業工程部位において、カード1の長辺1dよりも反スペース側に配置され、基準片部54は作業工程部位において、カード1の他方の短辺1bよりも下流側のスペースS1(S2)内に配置される。
【0047】
各基準片部52、53、54は、図9と図10に示す駆動機構72によって、上下動と水平方向の平行往復動が可能である。駆動機構72は、カード受け台73を有するユニット本体74と、前記3つの基準片部52、53、54を支持する支持ロッド75,76、77とを備える。
【0048】
各ロッド75,76,77は、ガイド部材78、79、80を介してユニット本体74に接近・離間可能として付設されている。ガイド部材78は、ロッド75から側方に延びてユニット本体74内を摺動するガイド体81,81と、このガイド体81,81をユニット本体74側へ引っ張るバネ部材82、82とを備える。ガイド部材80は、ロッド77から側方に延びてユニット本体74内を摺動するガイド体85、85とを備える。ガイド部材79は、図10に示すように、ロッド76から側方に延びてユニット本体74内を摺動するガイド体83、83と、このガイド体83,83をユニット本体74側へ引っ張るバネ部材84、84を備える。
【0049】
また、ロッド75にはローラ87が設けられ、ユニット本体74側には、このローラ87が転動するカム面88aを有するカム部材88が付設される。ロッド77にはローラ(カムフォロア)91が設けられ、ユニット本体74側にはローラ89が嵌合する長孔(カム孔)92を有するカム部材93が付設されている。図10に示すように、ロッド76にはローラ89が設けられ、ユニット本体74側には、このローラ91が転動するカム面90aを有するカム部材90が付設されている。
【0050】
このため、各基準片部52、53、54は、通常は下降した状態であって、カード1がこの作業工程部位に位置してその搬送が停止した際に、下方から上昇して、図3に示す状態となる。すなわち、図7(a)、図9(a)、及び図10に示すように、まず、基準片部52がカード1の上流端(短辺1a)に所定間隔をもって対向した状態となり、基準片部53がカード1の側端(長辺1d)に所定間隔をもって対向した状態となり、基準片部54がカード1の下流端(短辺1b)に所定間隔をもって対向した状態となる。
【0051】
その後は、図9(b)の矢印Cに示すように、ユニット本体74を上昇させて、受け台73によってカード1をベルト15,16(17,18)から上昇させる。次に、カム部材88,90、93を上昇させることによって、各ロッド75、76,77をユニット本体74側にその垂直状態を維持しながら平行に移動させる。
【0052】
この場合、ロッド75は、カム部材88の上昇によってこのカム部材88のカム面88aにローラ87が転動して図9(c)の矢印D1のようにユニット本体74側に移動する。ロッド77は、カム部材93の上昇によってこのカム部材90のカム孔92内をローラ91が転動して図9(c)の矢印D3のようにユニット本体74側に移動する。ロッド76は、カム部材90の上昇によってこのカム部材90のカム面90aにローラ89が転動して図10の矢印D2のようにユニット本体74側に移動する。
【0053】
すなわち、図7(b)に示すように、各基準片部52、53、54は、それぞれ、各辺1a,1d、1bに平行に同期して接近していきそれぞれに当接する。この場合、基準片部52、53には弾発部材55、56(つまり、ばね部材82、84)が付設され、カード1の多少の誤差を吸収するとともに、カード1に対してクッション性を付与している。
【0054】
第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6との間には、カード1の受け渡しを行う受渡用コンベア構造体60が配置されている。この受渡用コンベア構造体60は、第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6との間において、各搬送構造体5、6の一対のベルト15、16、17、18の間隔方向中間部に配設される中間ベルト61を備えたものである。
【0055】
すなわち、図1と図2に示すように、第1ベルトコンベア搬送構造体5のプーリ体11にプーリ62が付設され、第2ベルトコンベア搬送構造体6のプーリ体8にプーリ63が付設され、プーリ62,63の間に中間プーリ64が配置され、これらのプーリ62、63,64に中間ベルト61が掛け回されている。この場合、プーリ62はプーリ体11の軸部(プーリ11aとプーリ11bとを連結する軸部)に回転自在に支持され、プーリ63はプーリ体8の軸部(プーリ8aとプーリ8bとを連結する軸部)に一体的に支持されている。このため、第2ベルトコンベア構造体の駆動手段を駆動することによって、プーリ体8の回転とともにプーリ63が回転し、フリー回転のプーリ62及び中間プーリ64が回転し、中間ベルト61が矢印Bのように走行する。
【0056】
また、中間ベルト61の表面には、図8に示すような一対のストッパ65、66からなるカード支持体59が設けられている。カード支持体59は、ベルト走行方向に沿って所定ピッチで複数配設される。一方のストッパ65は、カード1の上流端位置を規制する規制片部67及びカード1の上流端側下面を受ける台部68を備える。また、他方のストッパ66は、カード1の下流端位置を規制する規制片部69及びカード1の上流端側下面を受ける台部70を備える。カード支持体59のストッパ65、66の規制片部69,70はカード1の長辺長さよりも僅かに長い間隔で配置される。
【0057】
次に、このカード搬送装置によるカード搬送方法を説明する。この場合、図示省略のカード供給手段にて、カード1が第1ベルトコンベア搬送構造体5の上流端に供給される。上流端に供給されたカード1は、一対のベルト15、16が走行することによって、順次作業工程部位に搬送される。この場合、カード1は、一方のベルト15の相対向するストッパ34、35の規制片部30、31にて位置決めされるとともに、相対向するストッパ34、35の台部32、33、及び他方のベルト16の台部36,37に受けられて搬送される。
【0058】
カード1が各作業工程部位に搬送されれば、第1ベルトコンベア搬送構造体5の駆動が一端停止する。この際、位置決め手段50にて、前記したように作動して、この作業工程部位でのカード1の位置決めがなされる。この位置決めされた状態で、この作業工程部位での作業が行われる。
【0059】
そして、第1ベルトコンベア搬送構造体5での作業が終了したカード1は、受け渡しコンベア搬送構造体60を介して第2ベルトコンベア搬送構造体6へ移行される。すなわち、第1ベルトコンベア搬送構造体5の下流端まで搬送されたカード1は、受渡用コンベア構造体60の中間ベルト61に受け渡され、この中間ベルト61から第2ベルトコンベア搬送構造体6のベルト17、18に受け渡される。
【0060】
この場合、第1ベルトコンベア搬送構造体5のベルト15、16の走行と、受渡用コンベア構造体60の中間ベルト61の走行とを同期させている。このため、ベルト15、16にて保持されているカード1が中間ベルト61の一つのカード支持体59のストッパ65、66間に供給され、これによって、このカード支持体59に支持されてこの中間ベルト61にて第2ベルトコンベア搬送構造体6の下流端に搬送される。
【0061】
また、受渡用コンベア構造体60の中間ベルト61の走行と、第2ベルトコンベア搬送構造体6のベルト17、18の走行とは同期している。このため、中間ベルト61にて保持されているカード1が第2ベルトコンベア搬送構造体6のカード支持体28のストッパ34,35間に供給され、これによって、このカード支持体28,29に支持されてこの第2ベルトコンベア搬送構造体6の一対のベルト17、18にてカード1が第2ベルトコンベア搬送構造体6の下流端側へ搬送される。
【0062】
第2ベルトコンベア搬送構造体6に供給されたカード1は順次作業工程部位に搬送される。この場合も、カード1が各作業工程部位の搬送されれば、第2ベルトコンベア搬送構造体5の駆動が一端停止する。これによって、位置決め手段50にて、この作業工程部位でのカード1の位置決めがなされる。この位置決めされた状態で、この作業工程部位での作業が行われる。そして、最終的に、第2ベルトコンベア搬送構造体6の下流端に搬送されたカード1は、このカード搬送装置での作業が終了し、他の装置(工程)(例えば、ICチップへのデータの書き込み工程)へ移送される。
【0063】
本発明では、第1ベルトコンベア搬送構造体5側の作業工程と第2ベルトコンベア搬送構造体6側の作業工程のいずれかにその作業を停止すべき不具合が発生した場合、不具合が発生したコンベア搬送構造体側を停止することになるが、不具合が発生していない側のコンベア搬送構造体側を停止させないで済む。すなわち、第1ベルトコンベア搬送構造体5側において不具合が発生したとしても、第2ベルトコンベア搬送構造体6側の作業を継続することができる。このため、第2ベルトコンベア搬送構造体6に搬送されたカード1のその後の処理を行って、他の装置(例えば、ICチップにデータを書き込む処置を行う装置)に供給することができ、作業能率の向上を図ることができる。
【0064】
また、第2ベルトコンベア搬送構造体6側の作業工程に不具合が発生した場合、第1ベルトコンベア搬送構造体5側の作業工程を継続することができる。このため、第2ベルトコンベア搬送体6側の不具合を修正する間も、第1ベルトコンベア搬送構造体5側の作業を行って、第1ベルトコンベア搬送構造体5側の作業が終了したカード1を製造することができる。
【0065】
しかも、ベルトコンベア搬送構造を前工程側と後工程側とで分離したので、各ベルトコンベア搬送構造5、6でのベルト長さを短くすることができ、走行時の振動を抑え易い利点もある。
【0066】
受渡用コンベア構造体60によって、第1ベルトコンベア搬送構造体5から第2ベルトコンベア搬送構造体6へカード1の受け渡しを滑らかに行うことができ、作業性の向上を図ることができる。
【0067】
第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6は、それぞれ、一対のベルト15、16、17、18を備えたものにて構成することによって、1本の幅広ベルトを用いるのと比べて、コストの低減を図ることができる。特に、一対のベルト15、16、17、18間に空間部が形成され、この空間部を作業工程の空間として利用でき、装置全体のコンパクト化を図ることができる。
【0068】
また、各ベルトコンベア搬送構造体5、6の各ベルトはテンション付与手段21a、21bが付設されるので、各ベルト15、16、17、18にテンションを付与することができ、各ベルト走行が安定する。すなわち、ベルト15、16、17、18にテンションを付与することによって、走行時のベルト15、16、17、18の振動を吸収して(抑えて)、ベルト15、16、17、18のガタツキや外れを防止してカードを精度よく搬送することができる。しかも、テンション付与手段21a、21bはシリンダ機構20a、20bにて構成されるので、各ベルト15、16、17、18に適度のテンションをそれぞれ付与することができ、カード搬送精度向上を一層図ることができる。また、各ベルト長さが短いので、付与するテンションも小さくて済み、より安定したテンション付与が可能となる。
【0069】
一方のベルト15、17によって、カード1はカード上流端位置とカード下流端位置とが規制された状態で搬送され、他方のベルト16,18によっては、カード1は、カード上流端位置とカード下流端位置とが規制されない。このため、両ベルト15、16(17、18)に多少の走行方向のずれが生じても、カード1の上流端及び下流端の位置規制を支障なく行うことができる。また、カード1は、下面において4つのコーナ部で受けられ、安定した搬送が可能となる。
【0070】
受渡用コンベア構造体60が、各搬送構造体5、6の一対のベルト15、16(17、18)の間隔方向中間部に配設される中間ベルト61を備えたものであれば、無駄なスペースをとることなく、中間ベルト61を配置することができ、しかも、第1ベルトコンベア搬送構造体5から第2ベルトコンベア搬送構造体6に滑らかに受け渡しすることができる。第1ベルトコンベア構造体5側が停止した場合に、第2ベルトコンベア構造体6側が駆動しているので、受渡用コンベア構造体60にまで搬送されていたカード1はこの受渡用コンベア構造体60にて第2ベルトコンベア構造体6へ受け渡されることになる。すなわち、第1ベルトコンベア構造体5側が停止した場合にも、第1ベルトコンベア構造体5での作用が終了したカード1は、第2ベルトコンベア構造体6へ搬送され、この第2ベルトコンベア構造体6での作業が行われる。
【0071】
位置決め手段50にて作業工程部位にカード1を位置決めすることができ、各作業工程部位における各種の作業が安定する。また、この位置決め手段50は、一辺基準部51に一つの相対向する辺の一方を受けている状態で、3個の基準片部52、53、54が各辺に対して接近するように平行移動するものである。このため、基準片部52、53、54はカード1の各辺に対して平行状態を維持しつつ接近して当接することになる。すなわち、基準片部52、53、54は各辺に対して平行に当接して、カード接触時の圧力が分散され、カード1を損傷させたり、他の部位へ飛散させたりすることを防止できる。また、基準片部はカード搬送時にカード搬送を妨げないので、安定した作業を継続することができる。
【0072】
なお、基準片部が旋回してカード1に接触するようにすることも提案できる。すなわち、図13の比較例に示すような旋回機構を介して位置決めすることができる。この旋回機構は、上下動可能なロッド101と、このロッド101の先端部102に転動するローラ103が付設される基準片部としての揺動片部100を備える。この場合、揺動片部100は図14に示すように、一辺基準部51に対応する辺以外の3辺に対応するように3つ備える。揺動片部100は、長片100aと、この長片100aの基部から直交するように突出する短片100bとからなり、この長片100aと短片100bとのコーナ部を枢支軸104を介して枢支している。
【0073】
ロッド101の先端部102は、先端細径部102aと、この先端細径部102aと大径本体部105との間のテーパ部102bとからなる。また、ローラ103は揺動片部100の短片100bの先端に付設されている。
【0074】
さらに、図13の仮想線で示すように、カード1の各辺に当接する際のストッパをなす規制部材107が設けられている。規制部材107は、固定片108と、この固定片108に螺着されるねじ部材109とを備える。ねじ部材109を固定片108に対して螺進・退させることによって、ねじ部材109の突出長さを変更して、揺動片部100の揺動範囲を規制している。また、固定片108と揺動片部100の長片100aとを弾性部材110にて連結されている。なお、この弾性部材110は揺動片部100を固定片108側へ引っ張っている。
【0075】
この場合、ロッド101を矢印E方向に上昇させることによって、ローラ103がロッド101のテーパ部102bを転動し、揺動片部100が矢印Fのように揺動して、仮想線のようにカード1の位置決めを行うことができる。
【0076】
しかしながら、揺動片部100が旋回するものでは、揺動片部100はまずカード1の各辺(3辺)の上端縁または下端縁にあたることになる。また、カード1は、平面状が理想であるが、多少、上方又は下方に反った形状である。このため、このように旋回するものでは、揺動片部100がカード1の相対面する辺の上端縁または下端縁に当接することによって、凸側がさらに凸となるようにカード1を挟持して、飛び出す力が作用する場合がある。さらには、3つの揺動片部100がそれぞれその枢支軸104を介して揺動する必要がある。このため大きなスペースを必要とし、装置全体の大型化を招くことになる。
【0077】
これに対して、図9と図10に示すような駆動機構72を使用すれば、各基準片部52、53、54はそれぞれ上下動および水平方向の平行往復動を行うものであるので、各基準片部52、53、54の動きのためのスペースを小さくでき、装置全体のコンパクト化が可能である。しかも、前記したように、位置決めした際(各基準片部52、53、54でカード1を挟持した際)にカード1を飛ばすことを防止できる。
【0078】
ところで、各搬送構造体5、6には、図11に示すように、一辺基準部51を構成するカードガイド111が設けられる。この場合、カードガイド113は、ベルト15(17)をガイドするガイドレール112に固着されている。ガイドレール112は、その上面にガイド溝113を有し、上面にカードガイド111が固着される。また、カードガイド111はガイドレール112のガイド溝113の一部を覆っている。
【0079】
カードガイド111の上面にはカード飛出し防止板114が付設されている。このカード飛出し防止板114は、カード1の上部外側方からカード1に向かって上昇するように傾斜する傾斜片部114bを有する。
【0080】
すなわち、カード飛出し防止板114は、ねじ部材115を介して、カードガイド111の上面に取付られる水平片部114aと、この水平片部114aに連設される前記傾斜片部114bとからなる。
【0081】
このため、カードガイド111にて側辺(1d)をガイドしながらカード1を走行させることができ、安定したカードの搬送が可能となる。また、カード飛出し防止板114にて、走行中にカード1の走行路(ガイド溝113)からの飛出しを防止することができる。しかも、上部外側方からカード1に向かって上昇するように傾斜する傾斜片部114bを有するものであるので、カード1が飛び出ようとして浮き上がった場合、カード飛出し防止板114とカード1とが接触することになるが、カード飛出し防止板114とのカード1の接触部位は側辺上端縁117である。このため、この接触によるカード表面の傷つきを防止することができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく種々の変形が可能である。前記実施形態では、前工程用としてのベルトコンベア搬送構造体5を一つとし、後工程用としてのベルトコンベア搬送構造体6を一つとしていたが、前工程用として2つ以上のベルトコンベア搬送構造体を有し、後工程用として2つ以上のベルトコンベア搬送構造体を有するものであってもよい。この場合も、各ベルトコンベア搬送構造体を独立駆動するようにする。これによって、不具合が生じていない複数の各ベルトコンベア搬送構造体の駆動を継続することができ、より生産性の向上を図ることができる。
【0083】
また、第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6との搬送長さとしては、同一であっても、第1ベルトコンベア搬送構造体5が第2ベルトコンベア搬送構造体6よりも長くても、第2ベルトコンベア搬送構造体6が第1ベルトコンベア搬送構造体5よりも長くてもよい。ベルトコンベア搬送構造体5、6に設けられるカード支持体28、29の数や配設ピッチ等も任意に設定できる。
【0084】
受渡用コンベア構造体60は、第1ベルトコンベア搬送構造体5と第2ベルトコンベア搬送構造体6と同様に一対のベルトを備えたものであってもよい。
【0085】
テンション付与手段21a、21bにおいて、前記実施形態では、シリンダ機構20a、20bのピストンロッド25a、25bの引き込み力を用いたが、逆にピストンロッド25a、25bの押出力を用いるようにしてもよい。また、テンション付与手段21a、21bとして、シリンダ機構20a、20bを用いることによって、安定したテンションをベルトに付与できるが、シリンダ機構以外のバネ機構を用いてもよい。
【0086】
一方のベルト15、17に設けられるストッパ34,35は、前記実施形態では、他方のべルト16、18側に設けられているが、ベルト全幅に設けられるものであってもよく、他方のべルト16、18の台部36、37もベルト全幅に設けられるものであってもよい。また、位置決め手段50の一辺基準部51を構成するガイドレールは、前記実施形態では、他方のベルト16,18側に設けていたが、逆に一方のベルト15,17側に設けてもよい。位置決め手段50の下流側の基準片部54には弾発部材が付設されていないが、逆に、下流側の基準片部54には弾発部材を付設して、上流側の基準片部52に弾発部材を付設しないようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0087】
【図1】本発明の実施形態を示すカード搬送装置の簡略正面図である。
【図2】前記カード搬送装置の簡略平面図である。
【図3】前記カード搬送装置の要部斜視図である。
【図4】前記カード搬送装置のテンション付与手段を示す簡略図である。
【図5】前記カード搬送装置のベルトコンベア搬送構造体を示し、(a)は一方のベルトの簡略正面図であり、(b)は一方のベルトの簡略平面図である。
【図6】前記カード搬送装置のベルトコンベア搬送構造体を示し、(a)は他方のベルトの簡略正面図であり、(b)は他方のベルトの簡略平面図である。
【図7】前記カード搬送装置の位置決め手段を示し、(a)はカードが作業工程部位に搬送された状態の簡略平面図であり、(b)は位置決めされた状態の簡略平面図である。
【図8】前記カード搬送装置の受渡コンベア構造体を示し、(a)は簡略正面図であり、(b)は簡略平面図である。
【図9】前記カード搬送装置の位置決め手段の駆動機構を示し、(a)は位置決め前の簡略図であり、(b)は位置決め途中の簡略図であり、(c)は位置決め状態の簡略図である。
【図10】前記カード搬送装置の位置決め手段の駆動機構の簡略図である。
【図11】飛出し防止板の取付状態を示す簡略図である。
【図12】飛出し防止板の拡大図である。
【図13】位置決め手段の比較例を示す簡略図である。
【図14】前記図13に示す位置決め手段にて位置決めしている状態の簡略平面図である。
【図15】飛出し防止板の比較例の取付状態を示す簡略図である。
【符号の説明】
【0088】
1 カード
2 カード供給位置
3 カード排出位置
5,6 ベルトコンベア搬送構造体
15、16、17、18 ベルト
15a、16a,17a、18a カード搬送面
20a シリンダ機構
20b シリンダ機構
21a テンション付与手段
21b テンション付与手段
28,29 台部
30,31 規制片部
32,33 台部
34,35 ストッパ
36,37 台部
50 位置決め手段
51 一辺基準部
52,53,54 基準片部
59 カード支持体
60 受渡用コンベア構造体
61 中間ベルト
65,66 ストッパ
67,69 規制片部
68,70 台部
111 カードガイド
114 カード飛出し防止板
114a 傾斜片部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形平板状のカードに対して各種の作業を行いつつカード供給位置からカード排出位置まで水平状態を維持しつつ搬送するカード搬送装置であって、
カード供給位置側の前工程用の第1ベルトコンベア搬送構造体と、カード排出位置側の後工程用の第2ベルトコンベア搬送構造体とを少なくとも備え、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体とはそれぞれ独立した駆動機構にて駆動することを特徴とするカード搬送装置。
【請求項2】
第1ベルトコンベア搬送構造体と、第2ベルトコンベア搬送構造体との間に、第1ベルトコンベア搬送構造体から第2ベルトコンベア搬送構造体へのカードの受け渡しを可能とする受渡用コンベア構造体を配置したことを特徴とする請求項1に記載のカード搬送装置。
【請求項3】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体は、それぞれ、走行方向と直交する方向に所定間隔だけ離間した一対のベルトを備えたことを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のカード搬送装置。
【請求項4】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体には、各ベルトにそれぞれテンションを付与するシリンダ機構にて構成されるテンション付与手段が付設されることを特徴とする請求項3に記載のカード搬送装置。
【請求項5】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体は、各ベルトのカード搬送面にカード搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数のカード支持体を備え、一方のベルトのカード支持体は、カードのカード上流端位置を規制する規制片部及びカード上流側を受ける台部とを有する上流側ストッパと、カードのカード下流端位置を規制する規制片部及びカード下流側を受ける台部を有する下流側ストッパとで構成し、他方のベルトのカード支持体は、カードの上流側と下流側とをそれぞれ受ける一対の台部にて構成したことを特徴とする請求項3又は請求項4に記載のカード搬送装置。
【請求項6】
受渡用コンベア構造体は、第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体との間において、各搬送構造体の一対のベルトの間隔方向中間部に配設される中間ベルトを備えたことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載のカード搬送装置。
【請求項7】
前記受渡用コンベア構造体の中間ベルトのカード搬送面にカード搬送方向に沿って所定ピッチで配設される複数のカード支持体を備え、このカード支持体は、カードのカード上流端位置を規制する規制片部及びカード上流側を受ける台部とを有する上流側ストッパと、カードのカード下流端位置を規制する規制片部及びカード下流側を受ける台部を有する下流側ストッパとで構成したことを特徴とする請求項6に記載のカード搬送装置。
【請求項8】
第1ベルトコンベア搬送構造体と第2ベルトコンベア搬送構造体の所定間隔だけ離間したベルト間には、各搬送構造体にて搬送されるカードに対する所定の作業を行う作業工程部位を配置したことを特徴とする請求項3〜請求項7のいずれかに記載のカード搬送装置。
【請求項9】
作業工程部位にカードの位置決めを行う位置決め手段を設けたことを特徴とする請求項8に記載のカード搬送装置。
【請求項10】
位置決め手段は、カードの一つの相対向する辺の一方を受ける一辺基準部と、カードの他の3辺をそれぞれ受ける3つの基準片部と、各基準片部をカードの各辺にそれぞれ対向するよう下方から上昇させるとともに、その上昇させた各基準片部を対向する各辺に対して接近するように平行移動させて当接させる駆動機構とを備えたことを特徴とする請求項9に記載のカード搬送装置。
【請求項11】
第1ベルトコンベア搬送構造体及び第2ベルトコンベア搬送構造体に、走行方向に沿ったカード側辺をガイドするカードガイドを設けると共に、このカードガイドに、カードの上部外側方からカードに向かって上昇するように傾斜する傾斜片部を有するカード飛出し防止板を付設したことを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれかに記載のカード搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−26224(P2009−26224A)
【公開日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−191198(P2007−191198)
【出願日】平成19年7月23日(2007.7.23)
【出願人】(000110859)キヤノンマシナリー株式会社 (179)
【Fターム(参考)】