説明

カード搬送装置

【課題】カードに付着した異物を除去するとともに、ユーザが円滑にカードを挿入することが可能なカード搬送装置を提供すること。
【解決手段】このカード搬送装置100は、挿入されたカードCAと接することによりカードCAを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段2a1,2a2を備える。カード搬送装置100は、搬送手段2a1,2a2がカードCAと接する位置である接触位置と搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段9a1,9a2を備える。これによれば、挿入されたカードが搬送手段と接する前に異物除去手段と接することがない。従って、異物除去手段によって、カードの挿入が阻害されることを回避することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カードを搬送するカード搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザによって挿入されたカードを搬送するカード搬送装置が知られている。この種のカード搬送装置の一つとして、特許文献1に記載のカード搬送装置は、搬送用ベルトと、異物除去用ローラと、を備える。
【0003】
搬送用ベルトは、挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する。異物除去用ローラは、搬送用ベルトがカードと接する位置である接触位置よりも上記搬入方向における上流側の位置にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する。
【0004】
これによれば、異物除去用ローラの周面とカードの表面に付着した異物(例えば、レシート等の紙切れ、及び、塵埃等)との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。また、カードの表面に付着した異物をカードの表面から除去することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実開昭63−200291号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記カード搬送装置においては、挿入されたカードが搬送用ベルトと接する前に、異物除去用ローラと接する。従って、異物除去用ローラの周面とカードの表面との間に発生する摩擦力によってカードの挿入が阻害される。即ち、ユーザが、異物除去用ローラとカードとの間に発生する摩擦力よりも大きな力にてカードを挿入しなければ、カードを搬送用ベルトに到達させることができない。
【0007】
また、仮に、カードが搬送用ベルトに到達する前にユーザがカードを挿入する力を弱めた場合、異物除去用ローラとカードとの間に発生する摩擦力によってカードが押し戻されてしまう。即ち、ユーザが円滑にカードを挿入することができないという問題があった。
【0008】
このため、本発明の目的は、上述した課題である「カードに付着した異物を除去しながら、ユーザが円滑にカードを挿入することができない場合が生じること」を解決することが可能なカード搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる目的を達成するため本発明の一形態であるカード搬送装置は、
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
上記搬送手段が上記カードと接する位置である接触位置と上記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
を備える。
【0010】
また、本発明の他の形態であるカード搬送方法は、
搬送手段が挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送工程と、
上記搬送工程の開始と同時に、又は、当該搬送工程が開始した後に、異物除去手段が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動する異物除去工程と、
を含む。
【0011】
また、本発明の他の形態であるカード情報処理装置は、
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
上記搬送手段が上記カードと接する位置である接触位置と上記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
上記異物除去手段よりも上記搬入方向における下流側の位置にて、上記カードに記録されている情報を取得する処理、及び/又は、当該カードに情報を記録する処理を行うカード情報処理手段と、
を備える。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、以上のように構成されることにより、カードに付着した異物を除去するとともに、ユーザが円滑にカードを挿入することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の第1実施形態に係るカード搬送装置の上面図である。
【図2】図1に示したカード搬送装置をII−II線に沿った平面により切断した断面図である。
【図3】カードを搬入方向へ搬送する際の各部材の回転方向を概念的に示した説明図である。
【図4】カードを搬出方向へ搬送する際の各部材の回転方向を概念的に示した説明図である。
【図5】本発明の第2実施形態に係るカード搬送装置の上面図である。
【図6】図5に示したカード搬送装置をVI−VI線に沿った平面により切断した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の一形態であるカード搬送装置は、
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
上記搬送手段が上記カードと接する位置である接触位置と上記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
を備える。
【0015】
これによれば、異物除去手段とカードの表面に付着した異物との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。これにより、異物をカード搬送装置から排出することができる。また、カードの表面に付着した異物をカードの表面から除去することができる。この結果、異物がカードとともにカード搬送装置の内部へ搬送されることを防止することができる。
【0016】
更に、上記構成によれば、挿入されたカードが搬送手段と接する前に異物除去手段と接することがない。従って、異物除去手段によって、カードの挿入が阻害されることを回避することができる。
【0017】
このように、上記構成によれば、カードに付着した異物を除去するとともに、ユーザが円滑にカードを挿入することができる。
【0018】
この場合、上記搬送手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含むとともに、当該搬送用ローラの周面が当該カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを当該搬入方向へ搬送するように構成されることが好適である。
【0019】
この場合、上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含むとともに、当該異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0020】
これによれば、異物除去用ローラの周面とカードの表面に付着した異物との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。また、カードの表面に付着した異物をカードの表面から除去することができる。これにより、異物がカードとともにカード搬送装置の内部へ搬送されることを防止することができる。
【0021】
この場合、上記異物除去手段は、上記異物除去用ローラの周面に付着した異物を当該周面から除去するスクレーパを含むことが好適である。
これによれば、異物除去用ローラの周面に異物が堆積することを防止することができる。
【0022】
また、上記カード搬送装置の他の態様において、
上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含むとともに、当該基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、当該掻出部が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0023】
これによれば、掻出部とカードの表面に付着した異物との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。また、カードの表面に付着した異物をカードの表面から除去することができる。これにより、異物がカードとともにカード搬送装置の内部へ搬送されることを防止することができる。
【0024】
この場合、上記異物除去用部材は、上記掻出部を複数備えるとともに、当該複数の掻出部が上記基部の周方向にて等間隔に配置されることが好適である。
【0025】
この場合、上記カード搬送装置は、上記異物除去手段により除去された異物を貯留する異物貯留手段を備えることが好適である。
これによれば、異物がカード搬送装置の内部にて拡散することを防止することができる。
【0026】
この場合、上記カード搬送装置は、
上記搬送用ローラの周面と上記カードとの間に生じる摩擦力が、上記異物除去用ローラの周面又は上記掻出部と当該カードとの間に生じる摩擦力よりも大きくなるように構成されることが好適である。
これによれば、カード搬送装置は、カードを搬入方向へ確実に搬送することができる。
【0027】
この場合、上記カード搬送装置は、
上記搬送用ローラの回転の中心軸と、上記異物除去用ローラの回転の中心軸又は上記基部の回転の中心軸と、が同軸に配置されることが好適である。
【0028】
これによれば、搬送用ローラと、異物除去用ローラ又は異物除去用部材と、を配置するために要する空間を小さくすることができる。
【0029】
この場合、上記搬送手段は、上記搬入方向、及び、当該搬入方向と逆の方向である搬出方向の両方向へ、上記カードを搬送可能に構成されることが好適である。
【0030】
この場合、上記搬送手段は、上記搬送用ローラの周面が上記カードと接した状態において当該搬送用ローラが上記搬入用回転方向と逆の方向である搬出用回転方向に回転することによって当該カードを上記搬出方向へ搬送するように構成されることが好適である。
【0031】
この場合、上記カード搬送装置は、
上記搬送用ローラを上記搬入用回転方向に回転駆動するとともに、当該搬送用ローラを上記搬出用回転方向に回転駆動する駆動手段と、
上記搬送用ローラが上記搬入用回転方向に回転している場合に、上記駆動手段が当該搬送用ローラを回転駆動する駆動力を伝達することによって上記異物除去用ローラ又は上記基部を上記除去用回転方向に回転駆動する第1の駆動力伝達機構と、
上記搬送用ローラが上記搬出用回転方向に回転している場合に、上記駆動手段が当該搬送用ローラを回転駆動する駆動力を伝達することによって上記異物除去用ローラ又は上記基部を上記除去用回転方向に回転駆動する第2の駆動力伝達機構と、
を備えることが好適である。
【0032】
これによれば、1つの駆動手段によって、搬送用ローラと、異物除去用ローラ又は異物除去用部材と、の両方を駆動することができる。
【0033】
この場合、上記搬送手段は、上記カードの、上記搬入方向と直交し且つ当該カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向における両端部と接することにより当該カードを搬送するように構成され、
上記異物除去手段は、上記カードの表面のうちの、上記搬送直交方向における中央部と接するように構成されることが好適である。
【0034】
これによれば、例えば、カードの搬送直交方向における中央部に情報が記録されている場合、カードの搬送直交方向における中央部に付着した異物を確実に除去することができるので、カードに記録されている情報を確実に読み取ることができる。
【0035】
この場合、上記カード搬送装置は、
上記搬送手段及び上記異物除去手段からなる組が、上記カードの厚さ方向における両側に1組ずつ配置されることが好適である。
【0036】
これによれば、カードの両面に異物が付着している場合であっても、異物を除去することができる。
【0037】
また、本発明の他の形態であるカード搬送方法は、
搬送手段が挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送工程と、
上記搬送工程の開始と同時に、又は、当該搬送工程が開始した後に、異物除去手段が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動する異物除去工程と、
を含む。
【0038】
この場合、
上記搬送手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含み、
上記搬送工程は、上記搬送用ローラの周面が上記カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを上記搬入方向へ搬送するように構成されることが好適である。
【0039】
この場合、
上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含み、
上記異物除去工程は、上記異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0040】
また、上記カード搬送方法の他の態様において、
上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含み、
上記異物除去工程は、上記基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、上記掻出部が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0041】
また、本発明の他の形態であるカード情報処理装置は、
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
上記搬送手段が上記カードと接する位置である接触位置と上記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
上記異物除去手段よりも上記搬入方向における下流側の位置にて、上記カードに記録されている情報を取得する処理、及び/又は、当該カードに情報を記録する処理を行うカード情報処理手段と、
を備える。
【0042】
この場合、上記搬送手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含むとともに、当該搬送用ローラの周面が当該カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを当該搬入方向へ搬送するように構成されることが好適である。
【0043】
この場合、上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含むとともに、当該異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0044】
また、上記カード情報処理装置の他の態様において、
上記異物除去手段は、上記搬入方向と直交し且つ上記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含むとともに、当該基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、当該掻出部が上記カードの表面に対して上記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されることが好適である。
【0045】
上述した構成を有する、カード搬送方法、又は、カード情報処理装置、の発明であっても、上記カード搬送装置と同様の作用を有するために、上述した本発明の目的を達成することができる。
【0046】
以下、本発明に係る、カード搬送装置、カード搬送方法、及び、カード情報処理装置、の各実施形態について図1〜図6を参照しながら説明する。
【0047】
<第1実施形態>
図1及び図2を参照しながら本発明の第1実施形態に係るカード搬送装置(カード情報処理装置)について説明する。以下、X軸、Y軸及びZ軸からなる右手系の直交座標系を用いて説明を続ける。Z軸方向は、カードCAの厚さ方向に沿った方向である。また、X軸方向は、カードCAが搬送される方向(搬送方向)である。また、Y軸方向は、搬送方向と直交し且つカードCAの厚さ方向と直交する方向(搬送直交方向)である。
【0048】
図1は、カード搬送装置100を上面から見た(Z軸負方向へ向かって見た)図(上面図)である。また、図2は、図1に示したカード搬送装置100を、Y軸に直交し且つII−II線に沿った平面により切断した断面をY軸負方向へ向かって見た図である。
【0049】
図2に示したように、カード搬送装置100は、Z軸に直交する平面を構成する2つのガイド部材11a,11bを備える。ガイド部材11aとガイド部材11bとは、Z軸方向において所定の距離だけ離れるように配置されている。ガイド部材11aとガイド部材11bとの間に形成された空間は、搬送されるカードCAが通過するための空間を構成している。従って、ガイド部材11a,11bは、カードCAのZ軸方向における移動を規制する。なお、本例では、カードCAは、樹脂(例えば、プラスチック)からなる。
【0050】
また、カード搬送装置100は、搬送されるカードCAのZ軸正方向側に配置された搬送モジュール101aと、搬送されるカードCAのZ軸正負向側に配置された搬送モジュール101bと、を備える。即ち、搬送モジュール101a,101bは、カードCAの厚さ方向における両側に1つずつ配置されている。
【0051】
搬送モジュール101aは、図1に示したように、フィードシャフト1aと、2つのフィードローラ(搬送用ローラ、搬送手段)2a1,2a2と、フィードギア3aと、ワンウェイギア4aと、第1のアイドラシャフト5aと、第1のアイドラギア6aと、第2のアイドラシャフト7a1と、第2のアイドラギア7a2と、異物除去用ギア8aと、複数(本例では、2つ)の異物除去用部材(異物除去手段)9a1,9a2と、ワンウェイクラッチ10aと、を備える。
【0052】
なお、フィードギア3a、ワンウェイギア4a、第1のアイドラシャフト5a、第1のアイドラギア6a、第2のアイドラシャフト7a1、第2のアイドラギア7a2、及び、異物除去用ギア8aは、第1の駆動力伝達機構を構成している。また、異物除去用ギア8a及びワンウェイクラッチ10aは、第2の駆動力伝達機構を構成している。
【0053】
フィードシャフト1aは、カード搬送装置100に回転可能に支持されている。フィードシャフト1aは、回転の中心軸がY軸に沿って延びるように配置されている。フィードシャフト1aには、プーリ13が回転不能に固定されている。フィードシャフト1aは、プーリ13に巻きかけられたベルト12を介して、図示しないモータによってプーリ13が回転駆動されることにより、回転駆動される。
【0054】
なお、モータ、ベルト12及びプーリ13は、フィードシャフト1a(即ち、フィードローラ2a1,2a2)を搬入用回転方向に回転駆動するとともに、フィードシャフト1aを搬出用回転方向に回転駆動する駆動手段を構成している。
また、フィードシャフト1aには、駆動ギア14aが回転不能に固定されている。
【0055】
各フィードローラ2a1,2a2は、円筒状の部材である。各フィードローラ2a1,2a2は、ゴム(例えば、ニトリルゴム、又は、エチレンプロピレンゴム等)からなる。各フィードローラ2a1,2a2は、フィードシャフト1aに回転不能に固定されている。各フィードローラ2a1,2a2の外径は、フィードシャフト1aの回転の中心軸と搬送されるカードCAとの間の距離と等しい長さである。即ち、各フィードローラ2a1,2a2は、X軸に直交し且つフィードシャフト1aの回転の中心軸を通る平面にて、周面(径方向における外方側の面)がカードCAと接するように形成されている。
【0056】
このような構成により、カード搬送装置100は、フィードローラ2a1,2a2の周面が、カード搬送装置100に挿入されたカードCAと接した状態において、フィードローラ2a1,2a2がY軸負方向に向かって見た場合における反時計方向(搬入用回転方向)に回転することによってカードCAをX軸正方向(搬入方向)へ搬送する。
【0057】
一方、カード搬送装置100は、フィードローラ2a1,2a2の周面が、カード搬送装置100に挿入されたカードCAと接した状態において、フィードローラ2a1,2a2がY軸負方向に向かって見た場合における時計方向(搬出用回転方向)に回転することによってカードCAをX軸負方向(搬出方向、搬入方向と逆の方向)へ搬送する。
【0058】
2つのフィードローラ2a1,2a2は、カードCAのY軸方向(搬送直交方向)における長さよりも僅かに短い距離だけ離れて配置されている。即ち、2つのフィードローラ2a1,2a2は、カードCAの搬送直交方向における両端部と接するように配置されている。
【0059】
フィードギア3aは、フィードシャフト1aに回転不能に固定されている。
また、第1のアイドラシャフト5aは、カード搬送装置100に回転可能に支持されている。第1のアイドラシャフト5aは、フィードシャフト1aと平行に(即ち、回転の中心軸がY軸に沿って延びるように)配置されている。
【0060】
ワンウェイギア4aは、フィードギア3aと噛み合うように構成されている。
ワンウェイギア4aは、Y軸負方向に向かってワンウェイギア4aを見た状態において、フィードギア3aによって時計方向に回転駆動された場合、第1のアイドラシャフト5aと一体に回転する(即ち、第1のアイドラシャフト5aに対して回転不能となる)ように構成されている。
【0061】
一方、ワンウェイギア4aは、Y軸負方向に向かってワンウェイギア4aを見た状態において、フィードギア3aによって反時計方向に回転駆動された場合、第1のアイドラシャフト5aに対して回転可能となる(自由に回転する)ように構成されている。
また、第1のアイドラギア6aは、第1のアイドラシャフト5aに回転不能に固定されている。
【0062】
第2のアイドラシャフト7a1は、カード搬送装置100に回転可能に支持されている。第2のアイドラシャフト7a1は、フィードシャフト1a及び第1のアイドラシャフト5aと平行に(即ち、回転の中心軸がY軸に沿って延びるように)配置されている。
【0063】
第2のアイドラギア7a2は、第2のアイドラシャフト7a1に回転不能に固定されている。第2のアイドラギア7a2は、第1のアイドラギア6aと噛み合うように構成されている。
【0064】
異物除去用ギア8aは、中空円筒状の部材である。異物除去用ギア8aの周面には、第2のアイドラギア7a2と噛み合う外歯が形成されている。異物除去用ギア8aは、フィードシャフト1aが挿通されることによりフィードシャフト1aに回転可能に支持されている。異物除去用ギア8aは、フィードシャフト1aのうちのフィードローラ2a1とフィードローラ2a2との間の部分の中央部に配置されている。
【0065】
異物除去用部材9a1,9a2のそれぞれは、円筒状の基部9a11,9a21と、複数(本例では、8つ)の掻出部9a12,9a22と、を備える。基部9a11,9a21は、異物除去用ギア8aの搬送直交方向における両端部にて、異物除去用ギア8aに回転不能に固定されている。更に、基部9a11,9a21は、フィードシャフト1aに回転可能に支持されている。基部9a11,9a21は、回転の中心軸がフィードシャフト1aの回転の中心軸と一致するように配置されている。
【0066】
即ち、フィードローラ2a1,2a2の回転の中心軸と、基部9a11,9a21の回転の中心軸と、は、同軸に配置されている。これによれば、フィードローラ2a1,2a2と、異物除去用部材9a1,9a2と、を配置するために要する空間を小さくすることができる。
【0067】
各掻出部9a12,9a22は、基部9a11,9a21から基部9a11,9a21の径方向に延びる平板状の部材である。本例では、各掻出部9a12,9a22は、ゴム(例えば、ニトリルゴム、又は、エチレンプロピレンゴム等)からなる。
【0068】
複数の掻出部9a12(又は、掻出部9a22)は、基部9a11(又は、基部9a21)の周方向にて等間隔に配置されている。各掻出部9a12,9a22は、掻出部9a12,9a22がZ軸と平行となるように位置している状態において、先端部がカードCAと接するように形成されている。
【0069】
このような構成により、基部9a11,9a21が、Y軸負方向に向かって基部9a11,9a21を見た場合における時計方向(除去用回転方向)に回転することによって、フィードローラ2a1,2a2がカードCAと接する位置(接触位置)と搬入方向における同じ位置にて、掻出部9a12,9a22がカードCAの表面に対して搬入方向と逆方向に摺動する。
【0070】
また、掻出部9a12,9a22及びフィードローラ2a1,2a2が回転している場合に、フィードローラ2a1,2a2の周面とカードCAとの間に生じる摩擦力は、掻出部9a12,9a22とカードCAとの間に生じる摩擦力よりも大きくなる。
これによれば、カード搬送装置100は、カードCAを搬入方向へ確実に搬送することができる。
【0071】
また、上記の構成により、掻出部9a12,9a22は、カードCAの表面のうちの、搬送直交方向における中央部と接する。これによれば、カードCAの搬送直交方向における中央部に情報が記録されている場合、カードCAの搬送直交方向における中央部に付着した異物を確実に除去することができるので、カードCAに記録されている情報を確実に読み取ることができる。
【0072】
ワンウェイクラッチ10aは、フィードシャフト1aに回転不能に固定されている。
ワンウェイクラッチ10aは、Y軸負方向に向かってワンウェイクラッチ10aを見た状態において、フィードシャフト1aとともに時計方向に回転駆動された場合、異物除去用ギア8aと一体に回転する(即ち、異物除去用ギア8aに対して回転不能となる)ように構成されている。
【0073】
一方、ワンウェイクラッチ10aは、Y軸負方向に向かってワンウェイクラッチ10aを見た状態において、フィードシャフト1aとともに反時計方向に回転駆動された場合、異物除去用ギア8aに対して回転可能となる(自由に回転する)ように構成されている。
【0074】
搬送モジュール101bは、搬送されるカードCAが構成する平面に対して搬送モジュール101aと面対称となるように構成されている。搬送モジュール101bは、プーリを備えない点を除いて搬送モジュール101aと同様の構成を有する。
【0075】
即ち、搬送モジュール101bは、搬送モジュール101aと同様に、フィードシャフト1bと、2つのフィードローラ2b1,2b2と、フィードギア3bと、ワンウェイギア4bと、第1のアイドラシャフト5bと、第1のアイドラギア6bと、第2のアイドラシャフト7b1と、第2のアイドラギア7b2と、異物除去用ギア8bと、複数(本例では、2つ)の異物除去用部材9b1,9b2と、ワンウェイクラッチ10bと、を備える。
【0076】
フィードシャフト1bには、駆動ギア14bが回転不能に固定されている。駆動ギア14bは、駆動ギア14aと噛み合うように構成されている。従って、搬送モジュール101bは、駆動ギア14bが駆動ギア14aによって回転駆動されることにより駆動される。
【0077】
更に、カード搬送装置100は、図示しないカード情報処理部(カード情報処理手段)を備える。カード情報処理部は、搬送モジュール101a及び搬送モジュール101bよりも搬入方向における下流(X軸正方向)側の位置に配置されている。カード情報処理部は、カードCAに記録されている情報を取得する処理、及び、カードCAに情報を記録する処理を行う。
【0078】
(作動)
次に、上記のように構成されたカード搬送装置100の作動について説明する。
先ず、カード搬送装置100が搬入方向へカードCAを搬送する場合から説明する。ここでは、搬送モジュール101aの作動に着目して説明する。なお、搬送モジュール101bの作動も同様に説明される。
【0079】
図3は、カード搬送装置100をY軸負方向へ向かって見た場合における各部材の回転方向を概念的に示した説明図である。
図3に示したように、カード搬送装置100は、モータを駆動することによりフィードシャフト1aを反時計方向へ回転駆動する。これにより、フィードシャフト1aと一体となってフィードローラ2a1,2a2、フィードギア3a及びワンウェイクラッチ10aも、反時計方向へ回転する。
【0080】
その結果、フィードギア3aと噛み合うワンウェイギア4aは、時計方向に回転駆動される。この場合、第1のアイドラシャフト5aは、ワンウェイギア4aと一体となって時計方向へ回転する。これにより、第1のアイドラシャフト5aと一体となって第1のアイドラギア6aも、時計方向へ回転する。
【0081】
その結果、第1のアイドラギア6aと噛み合う第2のアイドラギア7a2は、反時計方向に回転駆動される。この場合、第2のアイドラシャフト7a1は、第2のアイドラギア7a2と一体となって反時計方向に回転する。
【0082】
更に、第2のアイドラギア7a2と噛み合う異物除去用ギア8aは、時計方向に回転駆動される。これにより、基部9a11,9a21は、異物除去用ギア8aと一体となって時計方向に回転する。
【0083】
一方、異物除去用ギア8aは、ワンウェイクラッチ10a(即ち、フィードシャフト1a)に対して相対回転する。
【0084】
即ち、この状態においては、フィードローラ2a1,2a2は、反時計方向(搬入用回転方向)に回転し、一方、基部9a11,9a21は、時計方向(除去用回転方向)に回転する。
【0085】
このように、上記第1の駆動力伝達機構は、フィードローラ2a1,2a2が搬入用回転方向に回転している場合に、モータがフィードローラ2a1,2a2を回転駆動する駆動力を伝達することによって基部9a11,9a21を除去用回転方向に回転駆動している、と言うことができる。
【0086】
従って、カードCAがフィードローラ2a1,2a2と接する位置まで挿入されると、フィードローラ2a1,2a2は、周面がカードCAと接した状態において反時計方向に回転することによってカードCAを搬入方向(X軸正方向)へ搬送する(搬送工程)。
【0087】
更に、基部9a11,9a21が時計方向に回転することによって、搬送工程の開始と同時に、掻出部9a12,9a22がカードCAの表面に対して搬入方向と逆方向に摺動する(異物除去工程)。
【0088】
これによれば、掻出部9a12,9a22とカードCAの表面に付着した異物との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。これにより、異物をカード搬送装置100から排出することができる。また、カードCAの表面に付着した異物をカードCAの表面から除去することができる。この結果、異物がカードCAとともにカード搬送装置100の内部へ搬送されることを防止することができる。
【0089】
更に、上記構成によれば、挿入されたカードCAがフィードローラ2a1,2a2と接する前に掻出部9a12,9a22と接することがない。従って、掻出部9a12,9a22によって、カードCAの挿入が阻害されることを回避することができる。
【0090】
このように、上記構成によれば、カードCAに付着した異物を除去するとともに、ユーザが円滑にカードCAを挿入することができる。
【0091】
その後、カード搬送装置100は、図示しないカード情報処理部によって、カードCAに記録されている情報を取得する処理、及び、カードCAに情報を記録する処理を行う。
【0092】
次に、カード搬送装置100が搬出方向へカードCAを搬送する場合について説明する。
図4は、カード搬送装置100をY軸負方向へ向かって見た場合における各部材の回転方向を概念的に示した説明図である。
【0093】
図4に示したように、カード搬送装置100は、モータを駆動することによりフィードシャフト1aを時計方向へ回転駆動する。これにより、フィードシャフト1aと一体となってフィードローラ2a1,2a2、フィードギア3a及びワンウェイクラッチ10aも、時計方向へ回転する。
【0094】
その結果、フィードギア3aと噛み合うワンウェイギア4aは、時計方向に回転駆動される。この場合、ワンウェイギア4aは、第1のアイドラシャフト5aに対して相対回転する。従って、第1のアイドラシャフト5aは、回転駆動されない。
【0095】
一方、異物除去用ギア8aは、ワンウェイクラッチ10a(即ち、フィードシャフト1a)とともに時計方向へ回転する。
【0096】
即ち、この状態においては、フィードローラ2a1,2a2は、時計方向(搬出用回転方向)に回転する。同様に、基部9a11,9a21は、時計方向(除去用回転方向)に回転する。
【0097】
このように、上記第2の駆動力伝達機構は、フィードローラ2a1,2a2が搬出用回転方向に回転している場合に、モータがフィードローラ2a1,2a2を回転駆動する駆動力を伝達することによって基部9a11,9a21を除去用回転方向に回転駆動している、と言うことができる。
【0098】
従って、フィードローラ2a1,2a2は、周面がカードCAと接した状態において時計方向に回転することによってカードCAを搬出方向(X軸負方向)へ搬送する(搬送工程)。
【0099】
更に、基部9a11,9a21が時計方向に回転することによって、掻出部9a12,9a22がカードCAの表面に対して搬出方向(搬入方向と逆方向)に摺動する(異物除去工程)。
【0100】
これによれば、掻出部9a12,9a22とカードCAの表面に付着した異物との間に発生する摩擦力によって、異物を搬入方向と逆方向へ搬送することができる。これにより、異物をカード搬送装置100から排出することができる。また、カードCAの表面に付着した異物をカードCAの表面から除去することができる。
【0101】
以上、説明したように、本発明によるカード搬送装置の第1実施形態によれば、カードCAに付着した異物を除去するとともに、ユーザが円滑にカードCAを挿入することができる。
【0102】
また、上記第1実施形態において、カード搬送装置100は、第1の駆動力伝達機構及び第2の駆動力伝達機構を備える。これにより、1つのモータ(駆動手段)によって、フィードローラ2a1,2a2と、異物除去用部材9a1,9a2と、の両方を駆動することができる。
【0103】
更に、上記第1実施形態において、カード搬送装置100は、フィードローラ及び異物除去用部材からなる組が、カードCAの厚さ方向(Z軸方向)における両側に1組ずつ配置されるように構成されている。これによれば、カードCAの両面に異物が付着している場合であっても、異物を除去することができる。
【0104】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態に係るカード搬送装置について説明する。第2実施形態に係るカード搬送装置は、上記第1実施形態に係るカード搬送装置に対して、異物除去用部材に代えて異物除去用ローラを備える点において相違している。従って、以下、かかる相違点を中心として説明する。
【0105】
図5及び図6を参照しながら本発明の第2実施形態に係るカード搬送装置100Aについて説明する。
図5は、カード搬送装置100Aを上面から見た図である。また、図6は、図5に示したカード搬送装置100Aを、Y軸に直交し且つVI−VI線に沿った平面により切断した断面をY軸負方向へ向かって見た図である。
【0106】
カード搬送装置100Aが備える搬送モジュール101aは、異物除去用部材9a1,9a2に代えて、円筒状の異物除去用ローラ15aを備える。異物除去用ローラ15aは、異物除去用ギア8aのY軸負方向側にて異物除去用ギア8aと隣接するように、異物除去用ギア8aに回転不能に固定されている。更に、異物除去用ローラ15aは、フィードシャフト1aに回転可能に支持されている。
【0107】
異物除去用ローラ15aは、搬送直交方向における長さが、カードCAに形成されたIC(Integrated Circuit)チップCAaの搬送直交方向における長さよりも長くなるように形成されている。異物除去用ローラ15aは、カードCAの表面のうちの、搬送直交方向における中央部と接するように配置されている。
【0108】
また、異物除去用ローラ15aは、回転の中心軸がフィードシャフト1aの回転の中心軸と一致するように配置されている。即ち、フィードローラ2a1,2a2の回転の中心軸と、異物除去用ローラ15aの回転の中心軸と、は、同軸に配置されている。これによれば、フィードローラ2a1,2a2と、異物除去用ローラ15aと、を配置するために要する空間を小さくすることができる。
【0109】
また、異物除去用ローラ15aは、異物除去用ローラ15aの周面のカードCAに対する摩擦係数が、フィードローラ2a1,2a2の周面のカードCAに対する摩擦係数よりも小さくなる材料からなる。
【0110】
本例では、異物除去用ローラ15aの周面は、発泡ウレタン又はスポンジからなる。また、上述したように、カードCAは、樹脂からなり、フィードローラ2a1,2a2の周面は、ゴム(例えば、ニトリルゴム、又は、エチレンプロピレンゴム等)からなる。
【0111】
このような構成により、異物除去用ローラ15a及びフィードローラ2a1,2a2が回転している場合に、フィードローラ2a1,2a2の周面とカードCAとの間に生じる摩擦力は、異物除去用ローラ15aの周面とカードCAとの間に生じる摩擦力よりも大きくなる。
これによれば、カード搬送装置100Aは、カードCAを搬入方向へ確実に搬送することができる。
【0112】
異物除去用ローラ15aの外径は、フィードシャフト1aの回転の中心軸と搬送されるカードCAとの間の距離と等しい長さである。即ち、異物除去用ローラ15aは、X軸に直交し且つフィードシャフト1aの回転の中心軸を通る平面にて、周面(径方向における外方側の面)がカードCAと接するように形成されている。
【0113】
このような構成により、異物除去用ローラ15aが、Y軸負方向に向かって異物除去用ローラ15aを見た場合における時計方向(除去用回転方向)に回転することによって、フィードローラ2a1,2a2がカードCAと接する位置(接触位置)と搬入方向における同じ位置にて、異物除去用ローラ15aの周面がカードCAの表面に対して搬入方向と逆方向に摺動する。
【0114】
また、上記の構成により、異物除去用ローラ15aの周面は、カードCAの表面のうちの、搬送直交方向における中央部と接する。これによれば、カードCAの搬送直交方向における中央部(本例では、ICチップCAa)に情報が記録されている場合、カードCAの搬送直交方向における中央部に付着した異物を確実に除去することができるので、カードCAに記録されている情報を確実に読み取ることができる。
【0115】
更に、搬送モジュール101aは、スクレーパ(異物除去手段)16と、プール部(異物貯留手段)17と、を備える。
【0116】
スクレーパ16は、搬送直交方向における全長にわたって異物除去用ローラ15aの周面と接する部材である。スクレーパ16は、異物除去用ローラ15aが回転することによって、異物除去用ローラ15aの周面に付着した異物をその周面から除去する。これによれば、異物除去用ローラ15aの周面に異物が堆積することを防止することができる。
【0117】
プール部17は、スクレーパ16により除去された異物を貯留する容器である。これによれば、除去された異物がカード搬送装置100Aの内部にて拡散することを防止することができる。
【0118】
以上、説明したように、第2実施形態に係るカード搬送装置100Aによっても、第1実施形態に係るカード搬送装置100と同様の効果を奏することができる。
【0119】
なお、本発明は上記各実施形態に限定されることはなく、本発明の範囲内において種々の変形例を採用することができる。例えば、上記各実施形態において、カード搬送装置は、カードCAを搬送するためにフィードローラ2a1,2a2を用いていたが、ベルトを用いるように構成されていてもよい。
【0120】
また、上記各実施形態において、カード搬送装置は、搬送モジュールを、カードCAの厚さ方向における両側に1つずつ備えていたが、一方のみに備えていてもよい。また、上記各実施形態の変形例に係るカード搬送装置は、カードCAの厚さ方向における一方の側に搬送手段(フィードローラ2a1,2a2)を備えるとともに、他方の側に異物除去手段(異物除去用部材9a1,9a2又は異物除去用ローラ15a)を備えていてもよい。
【0121】
また、上記各実施形態において、異物除去手段(異物除去用部材9a1,9a2又は異物除去用ローラ15a)は、搬送手段(フィードローラ2a1,2a2)がカードCAと接する位置(接触位置)と搬入方向における同じ位置にてカードCAの表面に対して搬入方向と逆方向に摺動するように構成されていた。ところで、異物除去手段は、上記接触位置よりも搬入方向における下流側の位置にて、カードCAの表面に対して搬入方向と逆方向に摺動するように構成されていてもよい。
【0122】
この場合、例えば、カード搬送装置は、上記接触位置よりも搬入方向における下流側の位置に配置されたシャフトを備えるとともに、そのシャフトが異物除去用ギア8a及び異物除去手段(異物除去用部材9a1,9a2又は異物除去用ローラ15a)を回転可能に支持するように構成されることが好適である。
【0123】
また、上記各実施形態は、1つの駆動手段(モータ)が、異物除去手段(異物除去用部材9a1,9a2又は異物除去用ローラ15a)及び搬送手段(フィードローラ2a1,2a2)の両方を駆動するように構成されていたが、異物除去手段を駆動する第1の駆動手段と搬送手段を駆動する第2の駆動手段とを備えていてもよい。
【0124】
また、上記実施形態の他の変形例として、上述した実施形態及び変形例の任意の組み合わせが採用されてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0125】
本発明は、磁気カード又はICカードに記録されている情報を読み出すカード情報処理装置等に適用可能である。
【符号の説明】
【0126】
1a,1b フィードシャフト
2a1,2a2,2b1,2b2 フィードローラ
3a,3b フィードギア
4a,4b ワンウェイギア
5a,5b 第1のアイドラシャフト
6a,6b 第1のアイドラギア
7a1,7b1 第2のアイドラシャフト
7a2,7b2 第2のアイドラギア
8a,8b 異物除去用ギア
9a1,9a2,9b1,9b2 異物除去用部材
9a11,9a21 基部
9a12,9a22 掻出部
10a,10b ワンウェイクラッチ
11a,11b ガイド部材
12 ベルト
13 プーリ
14a,14b 駆動ギア
15a,15b 異物除去用ローラ
16 スクレーパ
17 プール部
100 カード搬送装置
100A カード搬送装置
101a,101b 搬送モジュール
CA カード
CAa ICチップ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段が前記カードと接する位置である接触位置と前記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
を備えるカード搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含むとともに、当該搬送用ローラの周面が当該カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを当該搬入方向へ搬送するように構成されたカード搬送装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のカード搬送装置であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含むとともに、当該異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード搬送装置。
【請求項4】
請求項3に記載のカード搬送装置であって、
前記異物除去手段は、前記異物除去用ローラの周面に付着した異物を当該周面から除去するスクレーパを含むカード搬送装置。
【請求項5】
請求項1又は請求項2に記載のカード搬送装置であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含むとともに、当該基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、当該掻出部が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード搬送装置。
【請求項6】
請求項5に記載のカード搬送装置であって、
前記異物除去用部材は、前記掻出部を複数備えるとともに、当該複数の掻出部が前記基部の周方向にて等間隔に配置されたカード搬送装置。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記異物除去手段により除去された異物を貯留する異物貯留手段を備えるカード搬送装置。
【請求項8】
請求項3乃至請求項7のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送用ローラの周面と前記カードとの間に生じる摩擦力が、前記異物除去用ローラの周面又は前記掻出部と当該カードとの間に生じる摩擦力よりも大きくなるように構成されたカード搬送装置。
【請求項9】
請求項3乃至請求項8のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送用ローラの回転の中心軸と、前記異物除去用ローラの回転の中心軸又は前記基部の回転の中心軸と、が同軸に配置されたカード搬送装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記搬入方向、及び、当該搬入方向と逆の方向である搬出方向の両方向へ、前記カードを搬送可能に構成されたカード搬送装置。
【請求項11】
請求項10に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記搬送用ローラの周面が前記カードと接した状態において当該搬送用ローラが前記搬入用回転方向と逆の方向である搬出用回転方向に回転することによって当該カードを前記搬出方向へ搬送するように構成されたカード搬送装置。
【請求項12】
請求項11に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送用ローラを前記搬入用回転方向に回転駆動するとともに、当該搬送用ローラを前記搬出用回転方向に回転駆動する駆動手段と、
前記搬送用ローラが前記搬入用回転方向に回転している場合に、前記駆動手段が当該搬送用ローラを回転駆動する駆動力を伝達することによって前記異物除去用ローラ又は前記基部を前記除去用回転方向に回転駆動する第1の駆動力伝達機構と、
前記搬送用ローラが前記搬出用回転方向に回転している場合に、前記駆動手段が当該搬送用ローラを回転駆動する駆動力を伝達することによって前記異物除去用ローラ又は前記基部を前記除去用回転方向に回転駆動する第2の駆動力伝達機構と、
を備えるカード搬送装置。
【請求項13】
請求項1乃至請求項12のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送手段は、前記カードの、前記搬入方向と直交し且つ当該カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向における両端部と接することにより当該カードを搬送するように構成され、
前記異物除去手段は、前記カードの表面のうちの、前記搬送直交方向における中央部と接するように構成されたカード搬送装置。
【請求項14】
請求項1乃至請求項13のいずれか一項に記載のカード搬送装置であって、
前記搬送手段及び前記異物除去手段からなる組が、前記カードの厚さ方向における両側に1組ずつ配置されたカード搬送装置。
【請求項15】
搬送手段が挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送工程と、
前記搬送工程の開始と同時に、又は、当該搬送工程が開始した後に、異物除去手段が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動する異物除去工程と、
を含むカード搬送方法。
【請求項16】
請求項15に記載のカード搬送方法であって、
前記搬送手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含み、
前記搬送工程は、前記搬送用ローラの周面が前記カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを前記搬入方向へ搬送するように構成されたカード搬送方法。
【請求項17】
請求項15又は請求項16に記載のカード搬送方法であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含み、
前記異物除去工程は、前記異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード搬送方法。
【請求項18】
請求項15又は請求項16に記載のカード搬送方法であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含み、
前記異物除去工程は、前記基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、前記掻出部が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード搬送方法。
【請求項19】
挿入されたカードと接することにより当該カードを所定の搬入方向へ搬送する搬送手段と、
前記搬送手段が前記カードと接する位置である接触位置と前記搬入方向における同じ位置、又は、当該接触位置よりも当該搬入方向における下流側の位置、にて当該カードの表面に対して当該搬入方向と逆方向に摺動する異物除去手段と、
前記異物除去手段よりも前記搬入方向における下流側の位置にて、前記カードに記録されている情報を取得する処理、及び/又は、当該カードに情報を記録する処理を行うカード情報処理手段と、
を備えるカード情報処理装置。
【請求項20】
請求項19に記載のカード情報処理装置であって、
前記搬送手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の搬送用ローラを含むとともに、当該搬送用ローラの周面が当該カードと接した状態において当該搬送用ローラが所定の搬入用回転方向に回転することによって当該カードを当該搬入方向へ搬送するように構成されたカード情報処理装置。
【請求項21】
請求項19又は請求項20に記載のカード情報処理装置であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の異物除去用ローラを含むとともに、当該異物除去用ローラが所定の除去用回転方向に回転することによって、当該異物除去用ローラの周面が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード情報処理装置。
【請求項22】
請求項19又は請求項20に記載のカード情報処理装置であって、
前記異物除去手段は、前記搬入方向と直交し且つ前記カードの厚さ方向と直交する方向である搬送直交方向を回転の中心軸とする円筒状の基部と、当該基部から当該基部の径方向に延びる平板状の掻出部と、を備える異物除去用部材を含むとともに、当該基部が所定の除去用回転方向に回転することによって、当該掻出部が前記カードの表面に対して前記搬入方向と逆方向に摺動するように構成されたカード情報処理装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−186208(P2010−186208A)
【公開日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−27995(P2009−27995)
【出願日】平成21年2月10日(2009.2.10)
【出願人】(000168285)エヌイーシーコンピュータテクノ株式会社 (572)
【Fターム(参考)】