説明

カード読取装置

【課題】コストを低くすることができ、カードが不正に使用された場合にカードを回収することができるようにする。
【解決手段】カードを挿入し、通過させるためのスロットと、カードに記録されたデータを読み出すためのヘッド部と、カードが不正に使用されているかどうかを判断するカード不正使用判断処理手段と、スロット上の所定の位置に配設され、不正に使用されていると判断されたカードの使用を阻止するカード使用阻止部とを有する。スロット上の所定の位置にカード使用阻止部が配設されるので、不正に使用されていると判断されたカードが使用されるのを阻止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カード読取装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、カード、例えば、磁気カードからデータを読み取るためのカード読取装置、例えば、銀行のATMのような自走式のカード読取装置においては、利用者が磁気カードをカード挿入口に挿入すると、自動で磁気カードが取り込まれ、データが読み取られた後、前記カード挿入口に磁気カードが排出されるようになっている。そして、盗難カード等の磁気カードが認識されたり、誤った暗証番号が規定の回数連続して入力されたりして磁気カードが不正に使用されると、磁気カードは排出されず、装置内に回収される。したがって、磁気カードが不正に使用されるのを阻止することができる。
【0003】
ところが、この種のカード読取装置においては、磁気カードの搬送機構が複雑な構造を有するので、装置のコストが高くなってしまう。
【0004】
そこで、スワイプ式のカード読取装置が提供されている。該カード読取装置においては、手動で磁気カードをスリットに挿入し、横方向にスライドさせると、データが読み取られるようになっている。この場合、磁気カードの搬送機構が不要になるので、コストを前記自走式のカード読取装置の1/5程度に低くすることができる(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−272947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前記従来のスワイプ式のカード読取装置においては、磁気カードが不正に使用されても磁気カードをカード読取装置内に回収することができず、磁気カードが不正に使用されるのを阻止することができない。
【0007】
本発明は、前記従来のカード読取装置の問題点を解決して、コストを低くすることができ、カードが不正に使用された場合にカードを回収することができるカード読取装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
そのために、本発明のカード読取装置においては、カードを挿入し、通過させるためのスロットと、カードに記録されたデータを読み出すためのヘッド部と、カードが不正に使用されているかどうかを判断するカード不正使用判断処理手段と、前記スロット上の所定の位置に配設され、不正に使用されていると判断されたカードの使用を阻止するカード使用阻止部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、カード読取装置においては、カードを挿入し、通過させるためのスロットと、カードに記録されたデータを読み出すためのヘッド部と、カードが不正に使用されているかどうかを判断するカード不正使用判断処理手段と、前記スロット上の所定の位置に配設され、不正に使用されていると判断されたカードの使用を阻止するカード使用阻止部とを有する。
【0010】
この場合、スロット上の所定の位置にカード使用阻止部が配設されるので、不正に使用されていると判断されたカードが使用されるのを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の制御ブロック図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す正面図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す平面図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す側面図である。
【図5】本発明の第1の実施の形態における突当部を示す図である。
【図6】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第1のフローチャートである。
【図7】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【図8】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す正面図である。
【図9】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す平面図である。
【図10】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す側面図である。
【図11】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す正面図である。
【図12】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す平面図である。
【図13】本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す側面図である。
【図14】本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の制御ブロック図である。
【図15】本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第1のフローチャートである。
【図16】本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。この場合、カード読取装置として、スワイプ式のカード読取装置について説明する。
【0013】
図2は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す正面図、図3は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す平面図、図4は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す側面図、図5は本発明の第1の実施の形態における突当部を示す図である。
【0014】
図において、21はカードとしての磁気カードであり、該磁気カード21の裏面s1における一辺の近傍に情報記録部としての磁気ストライプ21aが形成され、該磁気ストライプ21aに各種の情報であるデータ(磁気データ)が記録される。
【0015】
また、10はカード読取装置であり、該カード読取装置10には、磁気カード21を矢印方向に通過させる際のガイドとなるスロット17が形成される。該スロット17は、底部17a、及び該底部17aから平行に立ち上げて形成された二つの壁部17b、17cによって形成される。前記スロット17の幅は、磁気カード21をスロット17内を円滑に通過させることができるように、カード21の厚さより所定の量だけ広くされる。なお、前記壁部17cによって、磁気カード21を固定するための被突当部が構成される。
【0016】
そして、前記カード読取装置10には、スロット17の長手方向におけるほぼ中央に、前記データを磁気ストライプ21aから読み出すためのヘッド部としての磁気ヘッド11が配設される。該磁気ヘッド11は、一方の壁部17b側に、他方の壁部17cと対向させて、進退自在に、かつ、図示されない付勢部材としてのスプリングによって壁部17cに向けて付勢させて配設される。本実施の形態において、磁気ヘッド11は、磁気ストライプ21aからデータを読み出すための読出部として機能するが、データを磁気ストライプ21aに書き込むための書込部としても機能させることができる。
【0017】
この場合、利用者が、手動で磁気カード21をスリット17に挿入し、横方向に通過させると、データが読み出されるようになっているので、磁気カード21の搬送機構が不要になる。したがって、カード読取装置10のコストを自走式のカード読取装置の1/5程度に低くすることができる。
【0018】
そして、前記カード読取装置10には、磁気カード21の通過方向(移動方向)における磁気ヘッド11より下流側に、磁気ヘッド11に隣接させて固定装置としての突当機構Mが配設される。該突当機構Mは、一方の壁部17b側に、他方の壁部17cと対向させて進退自在に配設された突当部14、及び該突当部14を進退させる駆動部15を備える。該駆動部15は、ソレノイド、モータ等から成り、駆動軸71を備え、該駆動軸71の先端に前記突当部14が取り付けられ、突当部14は、前記駆動部15が駆動されるのに伴って、前進位置を表す突当位置及び後退位置を表す退避位置を採る。なお、前記突当機構Mによって、不正に使用されていると判断された磁気カード21の使用を阻止するカード使用阻止部が構成される。
【0019】
前記突当部14は、退避位置において、図3及び4に示されるように前端が壁部17bより手前側に置かれ、突当位置において、スロット17内を通過させられる磁気カード21を壁部17cに押し付けて固定し、カード読取装置10から磁気カード21が外れないようにする。また、前記突当部14は、磁気カード21と接触する接触部としての磁気カード接触面14a、及び該磁気カード接触面14aを支持する支持部としてのコアブロック14bを備える。前記磁気カード接触面14aは、突当位置において突当部14を効率よく磁気カード21に突き当て、磁気カード21を固定することができるように、摩擦係数の高い材料、本実施の形態においては、ゴムによって形成され、前記コアブロック14bは樹脂材によって形成される。
【0020】
次に、前記構成のカード読取装置10の制御装置について説明する。
【0021】
図1は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の制御ブロック図である。
【0022】
図に示されるように、カード読取装置10は、磁気ヘッド11、該磁気ヘッド11によって読み出されたデータを表す信号を増幅する増幅部12、該増幅部12によって増幅された信号を復調する復調部13、突当部14、駆動部15、及びカード読取装置10の全体の制御を行う制御部16を備える。
【0023】
前記復調部13が、増幅部12によって増幅された信号を制御部16において認識可能な信号に変換(波形を整形)して制御部16に送信すると、制御部16は、復調部13から受信した信号を認識し、認識した信号を内蔵された記憶部に記録したり、上位装置としてのホストコンピュータ20との間で命令、信号等を互いに伝達したり、駆動部15を駆動させたりして、カード読取装置10全体を制御する。
【0024】
次に、前記構成のカード読取装置10の動作について説明する。
【0025】
図6は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第1のフローチャート、図7は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第2のフローチャート、図8は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す正面図、図9は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す平面図、図10は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第1の状態を示す側面図、図11は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す正面図、図12は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す平面図、図13は本発明の第1の実施の形態におけるカード読取装置の第2の状態を示す側面図である。
【0026】
まず、図8〜10に示されるように、突当部14が退避位置に置かれた状態で、利用者が、手動でカード読取装置10のスロット17に磁気カード21を挿入し、通過させると、磁気ヘッド11と前記磁気ストライプ21a(図2)とが接触し、磁気ヘッド11が磁気ストライプ21aに記録されたデータを読み出す。このとき、磁気ヘッド11によって読み出されたデータを表す信号は振幅が小さいので、該信号は前記増幅部12(図1)に送信され、後述される処理に適切なレベルに増幅され、増幅された信号が復調部13に送信される。そして、該復調部13は、増幅された信号を、制御部16において認識可能な信号に変換し、制御部16に送信する。
【0027】
続いて、制御部16は、復調部13によって変換された信号を受信すると、該信号を前記記憶部に読取データとして記録し、該読取データを記憶部から読み出し、ホストコンピュータ20に送信する。
【0028】
次に、ホストコンピュータ20の図示されないカード不正使用判断処理手段は、カード不正使用判断処理を行い、カード読取装置10から読取データを受信すると、該読取データに基づいて、盗難カード等の磁気カードが認識されたり、誤った暗証番号が規定の回数連続して入力されたりしたかどうか、すなわち、磁気カード21が不正に使用されているかどうかを判断する。
【0029】
そして、ホストコンピュータ20の図示されない命令送信処理手段は、命令送信処理を行い、読取データを再び取得するように、カード読取装置10に命令を送信する。このとき、磁気カード21が不正に使用されている場合、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令を含めて送信する。
【0030】
また、ホストコンピュータ20の図示されない通知処理手段は、通知処理を行い、図示されない表示部にメッセージ等を表示し、再びスロット17に磁気カード21を通過させるように利用者に指示する。
【0031】
続いて、利用者が、スロット17に磁気カード21を挿入し、再び通過させると、磁気ヘッド11は磁気ストライプ21aに記録されたデータの読出しを開始する。
【0032】
そして、制御部16の図示されない命令判断処理手段は、命令判断処理を行い、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていたかどうかを判断する。前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていない場合、磁気ストライプ21aに記録されたデータの読出しが終了すると、制御部16は、前述されたように、記憶部に読取データを記録する。
【0033】
続いて、制御部16の図示されないデータ判断処理手段は、データ判断処理を行い、記憶部に最初に記録した読取データと再び記録した読取データとを比較し、読取データが一致するかどうかを判断する。
【0034】
そして、読取データが一致する場合、制御部16の図示されない取引処理実行処理手段は、取引処理実行処理を行い、磁気カード21が不正に使用されているかどうかの照合を終了し、利用者が要求する取引処理(ATM等の処理)を実行する。
【0035】
また、読取データが一致しない場合、前記通知処理手段は、前記表示部に取引処理を中止する旨のメッセージを表示し、利用者に通知する。
【0036】
これに対して、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていた場合、制御部16の図示されないカード使用阻止処理手段としての回収処理手段は、カード使用阻止処理としての回収処理を行い、磁気カード21を突当部14によって固定するために、スロット17における磁気カード21の位置を判断する。
【0037】
ところで、磁気カード21の磁気ストライプ21aに記録されているデータの記録フォーマットは規格で規定されているので、読み出したデータの読出情報としてのビット数Nrに基づいて、スロット17上において磁気カード21がどの位置を移動しているのかを判断することができる。
【0038】
そこで、前記回収処理手段は、データのビット数Nrを読み込むとともに、スロット17上の突当部14の位置に対応させてあらかじめ設定された閾値であるビット数Ns(例えば、40〔bit〕)を読み込み、前記データのビット数NrがNsになったかどうかによって、設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了したかどうかを判断する。
【0039】
そして、設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了すると、磁気カード21は磁気ヘッド11を通過して突当部14に到達したと判断されるので、前記回収処理手段は、駆動部15に駆動信号を送信して駆動し、図11〜13に示されるように、突当部14を前進させて突当位置に置き、磁気カード21を壁部17cに突き当て、磁気カード21を固定することによって磁気カード21の使用を阻止するとともに、磁気カード21を固定したことをホストコンピュータ20に通知する。
【0040】
この固定によって、磁気カード21は、スロット17内に留まるので、利用者が抜き取ることができなくなり、磁気カード21が使用されるのが阻止される。
【0041】
続いて、前記通知処理手段は、表示部に、「係員が参りますのでお待ち下さい」、「係員をお呼び下さい」等のメッセージを表示し、利用者に係員を呼ぶように促す。
【0042】
そして、ホストコンピュータ20からの命令によって、又は係員の操作によって、突当部14による磁気カード21の固定の解除が指示されると、制御部16の図示されない突当解除処理手段は、突当解除処理を行い、駆動部15に解除信号を送信し、駆動部15を駆動し、突当部14を後退させて磁気カード21の固定を解除し、取引処理を終了する。
【0043】
このように、磁気カード21が不正に使用されていると判断されると、突当部14が前進させられ、磁気カード21が固定されるので、利用者は、磁気カード21を抜き取ることができなくなる。したがって、磁気カード21が使用されるのを阻止することができる。
【0044】
なお、図11〜13において、突当部14は磁気カード21を固定する位置に移動した状態であり、カード読取装置10のスロット17を磁気カード21が通過している状態を示す。この状態において、磁気カード21は突当部14によって壁部17cに突き当てられているので、抜き取ることができない。したがって、係員の操作によって固定を解除し、不正に使用された磁気カード21の回収を行うことができる。
【0045】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS1 データが読み出されるのを待機する。データが読み出された場合はステップS2に進む。
ステップS2 読取データを記録する。
ステップS3 ホストコンピュータ20に読取データを送信する。
ステップS4 ホストコンピュータ20から命令を受信する。
ステップS5 磁気カード21の通過を指示する。
ステップS6 データの読出しが開始されるのを待機する。データの読出しが開始された場合はステップS7に進む。
ステップS7 磁気カード21の回収が指示されたかどうかを判断する。磁気カード21の回収が指示された場合はステップS13に、回収が指示されなかった場合はステップS8に進む。
ステップS8 読取データを記録する。
ステップS9 読取データが一致するかどうかを判断する。読取データが一致する場合はステップS10に、読取データが一致しない場合はステップS12に進む。
ステップS10 磁気カード21の照合を終了する。
ステップS11 利用者が要求する処理を実行し、処理を終了する。
ステップS12 取引処理の中止を利用者に通知し、処理を終了する。
ステップS13 あらかじめ設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了する。
ステップS14 突当部14を前進させ、磁気カード21を固定する。
ステップS15 磁気カード21を固定したことをホストコンピュータ20に通知する。
ステップS16 メッセージを表示し、係員を呼ぶように促す。
ステップS17 突当部14による固定の解除が指示されるのを待機する。突当部14による固定の解除が指示された場合はステップS18に進む。
ステップS18 磁気カード21の固定を解除し、処理を終了する。
【0046】
ところで、本実施の形態においては、磁気カード21が突当部14によって固定されたことを係員が確認することができないので、固定された磁気カード21が利用者によって強引に引き抜かれた場合、それを認識することができない。
【0047】
そこで、固定された磁気カード21が利用者によって強引に引き抜かれた場合、それを認識することができるようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0048】
図14は本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の制御ブロック図である。
【0049】
この場合、カード読取装置10には、スロット17上の所定の位置、本実施の形態においては、カードとしての磁気カード21の移動方向における突当部14より下流側の、突当部14と隣接する箇所に、磁気カード21を検出するためのカード検出部としてのセンサ部18が配設される。なお、該センサ部18には、光学式の反射型センサ、光学式の透過型センサ、接触型のセンサ等を使用することができる。
【0050】
また、制御部16は、センサ部18に接続され、前記第1の実施の形態における機能のほかに、センサ部18によって磁気カード21が検出されたことをトリガとして、駆動部15に駆動信号を送信する機能、及び前記突当部14によって磁気カード21が固定された状態をセンサ部18によって監視し、利用者によって磁気カード21が強引に引き抜かれた場合に、上位装置としてのホストコンピュータ20に通知する機能を有する。
【0051】
次に、前記構成のカード読取装置10の動作について説明する。
【0052】
図15は本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第1のフローチャート、図16は本発明の第2の実施の形態におけるカード読取装置の動作を示す第2のフローチャートである。
【0053】
まず、利用者が、手動でカード読取装置10のスロット17に磁気カード21を挿入し、通過させると、ヘッド部としての磁気ヘッド11は情報記録部としての磁気ストライプ21aに記録されたデータを読み出す。このとき、磁気ヘッド11によって読み出されたデータの信号は振幅が小さいので、該信号は増幅部12に送信され、増幅され、増幅された信号が復調部13に送信される。そして、該復調部13は、増幅された信号を、制御部16において認識可能な信号に変換し、制御部16に送信する。
【0054】
続いて、制御部16は、復調部13において変換された信号を受信すると、該信号を前記記憶部に読取データとして記録する。そして、制御部16は読取データを記憶部から読み出し、ホストコンピュータ20に送信する。
【0055】
次に、前記カード不正使用判断処理手段は、カード読取装置10から読取データを受信すると、該読取データに基づいて、磁気カード21が不正に使用されているかどうかを判断する。
【0056】
そして、ホストコンピュータ20の前記命令送信処理手段は、読取データを再び取得するように、カード読取装置10に命令を送信する。このとき、磁気カード21が不正に使用されている場合、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令を含めて送信する。
【0057】
また、ホストコンピュータ20の前記通知処理手段は、再びスロット17に磁気カード21を通過させるように利用者に指示する。
【0058】
続いて、利用者が、スロット17に磁気カード21を挿入し、再び通過させると、磁気ヘッド11は磁気ストライプ21aに記録されたデータの読出しを開始する。
【0059】
そして、制御部16の前記命令判断処理手段は、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていたかどうかを判断する。前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていない場合、データの読出しが終了すると、制御部16は、読み出したデータを記憶部に記録する。
【0060】
制御部16の前記データ判断処理手段は、読取データが一致するかどうかを判断し、読取データが一致する場合、制御部16の前記取引処理実行処理手段は、磁気カード21が不正に使用されているかどうかの照合を終了し、利用者が要求する取引処理(ATM等の処理)を実行する。
【0061】
また、読取データが一致しない場合、前記通知処理手段は、表示部に取引処理を中止する旨のメッセージを表示し、利用者に通知する。
【0062】
これに対して、前記命令に、磁気カード21を回収するように指示する命令が含まれていた場合、制御部16の前記回収処理手段は、スロット17における磁気カード21の位置を判断する。
【0063】
そこで、前記回収処理手段は、データのビット数Nrを読み込むとともに、スロット17上の突当部14が配設された位置に対応させてあらかじめ設定されたビット数Nsを読み込み、前記データのビット数NrがNsになったかどうかによって、設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了したかどうかを判断する。
【0064】
そして、設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了すると、前記回収処理手段は、センサ部18がオンになったかどうかを判断し、センサ部18がオンになると、磁気カード21が磁気ヘッド11を通過して突当部14に到達したことが分かるので、駆動部15に駆動信号を送信して駆動し、突当部14を前進させ、突当位置において磁気カード21を壁部17cに突き当て、磁気カード21を固定する。
【0065】
続いて、制御部16の図示されないカード状態判断処理手段としてのカード固定状態判断処理手段は、カード状態判断処理としてのカード固定状態判断処理を行い、磁気カード21の固定状態を判断する。すなわち、カード固定状態判断処理手段は、前記センサ部18がオンであるかどうかを判断し、センサ部18がオンでない場合、磁気カード21の固定が失敗したと判断し、磁気カード21の固定が失敗したことをホストコンピュータ20に通知する。
【0066】
そして、センサ部18がオンである場合、制御部16は磁気カード21を固定したことをホストコンピュータ20に通知し、ホストコンピュータ20において、前記通知処理手段は、「係員が参りますのでお待ち下さい」、「係員をお呼び下さい」等のメッセージを前記表示部に表示し、利用者に係員を呼ぶように促す。
【0067】
続いて、前記カード固定状態判断処理手段は、前記センサ部18がオンであるかどうかを判断し、センサ部18がオンでない場合、磁気カード21が利用者によって引き抜かれたと判断し、その旨をホストコンピュータ20に通知する。そして、ホストコンピュータ20の図示されない警告処理手段は、警告処理を行い、警告音を発生させ、前記通知処理手段は、取引処理を中止する旨を利用者に通知する。
【0068】
また、センサ部18がオンである場合、ホストコンピュータ20からの指示によって、又は係員の操作によって、突当部14による磁気カード21の固定の解除の命令が出されると、制御部16の前記突当解除処理手段は、駆動部15に解除信号を送信し、駆動部15を駆動し、突当部14を後退させて磁気カード21の固定を解除し、取引処理を終了する。
【0069】
このように、本実施の形態においては、磁気カード21が突当部14によって固定されたことを確認することができるので、何らかの理由で磁気カード21の固定が失敗したこと、又は固定された磁気カード21が利用者によって強引に引き抜かれたことを認識することができる。
【0070】
次に、フローチャートについて説明する。
ステップS21 データが読み出されるのを待機する。データが読み出された場合はステップS22に進む。
ステップS22 読取データを記録する。
ステップS23 ホストコンピュータ20に読取データを送信する。
ステップS24 ホストコンピュータ20から命令を受信する。
ステップS25 磁気カード21の通過を指示する。
ステップS26 データの読出しが開始されるのを待機する。データの読出しが開始された場合はステップS27に進む。
ステップS27 磁気カード21の回収が指示されたかどうかを判断する。磁気カード21の回収が指示された場合はステップS33に、回収が指示されなかった場合はステップS28に進む。
ステップS28 読取データを記録する。
ステップS29 読取データが一致するかどうかを判断する。読取データが一致する場合はステップS30に、読取データが一致しない場合はステップS32に進む。
ステップS30 磁気カード21の照合を終了する。
ステップS31 利用者が要求する処理を実行し、処理を終了する。
ステップS32 取引処理の中止を利用者に通知し、処理を終了する。
ステップS33 あらかじめ設定されたビット数Nsのデータの読出しが終了する。
ステップS34 センサ部18がオンになる。
ステップS35 突当部14を前進させ、磁気カード21を固定する。
ステップS36 センサ部18がオンであるかどうかを判断する。センサ部18がオンである場合はステップS38に、センサ部18がオンでない場合はステップS37に進む。
ステップS37 磁気カード21の固定が失敗したことをホストコンピュータ20に通知し、ステップS25に戻る。
ステップS38 磁気カード21を固定したことをホストコンピュータ20に通知する。
ステップS39 メッセージを表示し、係員を呼ぶように促す。
ステップS40 センサ部18がオンであるかどうかを判断する。センサ部18がオンである場合はステップS44に、センサ部18がオンでない場合はステップS41に進む。
ステップS41 磁気カード21が利用者によって引き抜かれたことをホストコンピュータ20に通知する。
ステップS42 警告音を発生させる。
ステップS43 取引処理の中止を利用者に通知し、処理を終了する。
ステップS44 突当部14による固定の解除が指示されたかどうかを判断する。突当部14による固定の解除が指示された場合はステップS45に進み、突当部14による固定の解除が指示されなかった場合はステップS40に戻る。
ステップS45 磁気カード21の固定を解除し、処理を終了する。
【0071】
前記各実施の形態において、回収処理手段は、磁気カード21が不正に使用されていると判断された場合に、磁気カード21を固定するようになっているが、突当機構Mに代えて、パンチ機構を配設し、磁気カード21が不正に使用されていると判断された場合に、磁気カード21にパンチ穴を形成するようにすることができる。この場合、前記パンチ機構によって、不正に使用されていると判断された磁気カード21の使用を阻止するカード使用阻止部が構成される。
【0072】
前記各実施の形態においては、カード読取装置10を単体で使用した場合について説明しているが、本発明を、カード決済端末、ATM(現金自動預払機)、CD(現金自動支払機)等に組み込まれたカード読取装置10に適用することができる。
【0073】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0074】
10 カード読取装置
11 磁気ヘッド
17 スロット
20 ホストコンピュータ
21 磁気カード
M 突当機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)カードを挿入し、通過させるためのスロットと、
(b)カードに記録されたデータを読み出すためのヘッド部と、
(c)カードが不正に使用されているかどうかを判断するカード不正使用判断処理手段と、
(d)前記スロット上の所定の位置に配設され、不正に使用されていると判断されたカードの使用を阻止するカード使用阻止部とを有することを特徴とするカード読取装置。
【請求項2】
前記カード使用阻止部は、カードを固定する固定装置である請求項1に記載のカード読取装置。
【請求項3】
前記カード使用阻止部は、カードに穴を開けるパンチ機構である請求項1に記載のカード読取装置。
【請求項4】
カードから読み出されたデータの読出情報に基づいて、カードがカード使用阻止部に到達したかどうかを判断し、カードがカード使用阻止部に到達した場合に、カード使用阻止部を作動させるカード使用阻止処理手段を有する請求項1に記載のカード読取装置。
【請求項5】
(a)スロット上の所定の位置に配設され、カードを検出するカード検出部と、
(b)カードが検出されているかどうかに基づいてカードの状態を判断するカード状態判断処理手段とを有する請求項1に記載のカード読取装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−39980(P2011−39980A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−189226(P2009−189226)
【出願日】平成21年8月18日(2009.8.18)
【出願人】(591044164)株式会社沖データ (2,444)
【出願人】(594202361)株式会社沖データシステムズ (259)
【Fターム(参考)】