説明

カーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法

【課題】カーペットを床面に敷設する際に使用していた従来のグリッパーを廃止することによって、上向きピンや釘打ち等の問題点を解消すると共に、施工が容易であって、カーペットに変形が生じ難く、クッション性の良好な床環境を提供することができるカーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法を提供する。
【解決手段】床面と床面に敷設するカーペットとの間に介在させる敷設用シートにおいて、この敷設用シートは、カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って接着剤で固定する所定幅の帯状圧縮シートと、この帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面に固定するクッション性を有してなるクッションシートとから成り、床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設するカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーペットをコンクリート等の床面に敷設する際に使用するカーペットの敷設用シート、及びこの敷設用シートを用いたカーペットの敷設施工法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、カーペットをコンクリート等の床面に敷設する施工方法として、主に、直貼り工法とグリッパー工法とが用いられている。
【0003】
このうち、直貼り工法は、カーペットの裏面に接着剤を塗布して床面に直に固定する工法であるため、カーペットの敷設面全体がクッション性に乏しく、その上を歩いたり座ったりする際に、硬い感触を与えるという欠点があった。また、この直貼り工法は、カーペットの裏面全体が硬化した接着剤を介してコンクリート等の床面に固定されているため、カーペットの繊維が傷みやすく、人が歩くとき等の振動が床面に直に伝わることで、高い騒音を発生する等の問題もあった。
【0004】
また、グリッパー工法は、床面の周辺にグリッパーとして木質の板材を固定すると共にその内側にフェルトを敷き詰め、それらの上面にカーペットを敷設した工法である。このような従来のグリッパー工法においては、グリッパーを構成する板材に多数のピンを上向きに設け、夫々のピンを壁方向、即ちカーペットの外周方向へ傾けた状態にする。そして、その上方に敷設したカーペットの周辺部を多数のピンに引掛けることによって、カーペットが圧縮したり、ずれたりする際に発生する引張り力に抵抗するようにしている。
【0005】
ところが、このグリッパー工法は、グリッパーをなす板材に上向きの多数のピンが設けられているため、カーペットが磨耗して薄くなった場合、その上を歩く者がピンの先端に靴下等を引掛けて損傷したり、怪我をすることもあった。
【0006】
また、上記のグリッパー工法は、グリッパーとして用いられた板材を床面に固定する際、このグリッパーを釘でコンクリート面等に打設するため、釘打ち作業に多大な労力が必要となり、熟練した作業員の確保の問題、釘打ちの際に発生する騒音問題、作業員の職業病とも言える腱鞘炎、筋肉痛等の問題、さらには釘打ち作業の際にハンマーが壁材等に当って壁材を損傷するおそれがある等の問題があった。
【0007】
このような従来のグリッパー工法の問題を解消すべく、特許文献1に記載されているようにピンレスグリッパーが開発されている。この文献のピンレスグリッパーは、合板又は木板からなる木質板で構成され、従来のような上向きのピンが設けられていないものの、グリッパーを床面に固定するには、従来と同様の釘打ちを必要とするものであった。従って、従来のグリッパーをコンクリート床面に釘で打設する際に生じる上記の問題点は、何ら解消し得ないものであった。
【0008】
さらに、この特許文献1の工法においては、上記のグリッパーは木質板で構成され、コンクリート床面等に複数の釘で固定されているため、コンクリート床面の平坦性が確保されていない場合、カーペットの下部でグリッパーにガタツキが生じるおそれがある。また、木質板で構成されたグリッパーが変形することもあり、さらに釘打ちが甘い場合、或はコンクリートの経年劣化により釘の固定力が甘くなった場合、グリッパーにガタが生じ、その上を人が踏み込んだとき、異常音を発するというような問題もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平9−302905号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は上記の問題点を解消するためになされたもので、カーペットを床面に敷設する際に使用していた従来のグリッパーを廃止することによって、上向きピンや釘打ち等の必要のない構成とすると共に、施工が容易であって、カーペットに変形が生じ難く、クッション性の良好な床環境を提供することができるカーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1のカーペットの敷設用シートは、床面と床面に敷設するカーペットとの間に介在させる敷設用シートにおいて、この敷設用シートは、カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って接着剤で固定する所定幅の帯状圧縮シートと、この帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面に固定するクッション性を有してなるクッションシートとから成り、床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設するカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定するようにしたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項2のカーペットの敷設用シートは、請求項1において、帯状圧縮シートとしては、不織布を圧縮してなる圧縮フェルトを用いたことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項3のカーペットの敷設用シートは、請求項1又は2において、クッションシートとしては、帯状圧縮シートよりも密度が粗であって弾力性を有するクッション材料を用い、このクッションシートの周辺部を床面に接着剤で固定することによって接着剤が設けられていないクッションシートの内側面のクッション性を確保するようにしたことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の請求項4のカーペットの敷設用シートは、請求項1、2又は3において、接着剤としては、溶液状の接着剤又は両面テープを使用するようにしたことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の請求項5のカーペットの敷設施工法は、カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って所定幅の帯状圧縮シートを接着剤で固定すると共に、帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面にクッション性を有してなるクッションシートを固定し、次いで床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設したカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定するようにしたことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の請求項6のカーペットの敷設施工法は、請求項5において、床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設したカーペットの周辺部を固定する際、帯状圧縮シートの上面とクッションシートの周辺の上面に用いた接着剤で固定するようにしたことを特徴とする。
【0017】
さらに、本発明の請求項7のカーペットの敷設施工法は、カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って所定幅の帯状圧縮シートを接着剤で固定する際、この帯状圧縮シートの外周端部と壁面との間にカーペットの厚さを収容し得る隙間を設け、この帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面にクッション性を有してなるクッションシートを固定し、次いで床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に対して面積をやや大にして敷設したカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定すると共に、カーペットの外周端部を帯状圧縮シートと壁面との隙間に押し込むようにしたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によるカーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法を用いることにより、従来から普及していた、上向きピンを有すると共に、床面に対して釘打ちで固定するグリッパーを廃止することが可能となる。即ち、本発明では、従来のグリッパーの代わりに、帯状圧縮シートを使用し、これを床面に固定するには、接着剤の塗布作業が主な施工内容となるため、労力が非常に軽減される。従って、従来の金槌を使用した釘打ち作業が原因とされている腱鞘炎、筋肉痛等を防止することができる。また、金槌を使用しないため、周辺の壁材を損傷したりすることもなく、騒音を発生することもない。
【0019】
また、上記のように従来から使用していたグリッパーを用いないため、従来のグリッパーに設けられているような上向きのピンで足を傷つけたり、靴下を損傷したりすることがなく、住環境の安全面においても有益である。さらに、従来のグリッパーをコンクリート等の床面に固定するために使用していた多数の釘が不要となるため、コンクリートが劣化して釘が緩む等の不都合も生じることがない。また、多数の釘に要していたコストを削減すると共に、多数の釘を打設する釘打ち作業に要していた作業員の労力を解消することも可能となる。さらに、従来のグリッパーに上方に向けて固定していた多数のピンもまた不要であり、全体的な材料費の削減に有益となる。
【0020】
さらに、床面に対してカーペットの周辺部を固定するために用いる帯状圧縮シートとして、例えば不織布を圧縮してなる圧縮フェルトを用いる等のように、繊維等の構成材料を圧縮することによって、接着剤の吸収が少なく、かつ繊維間の結合を強固にして接着性を良くし、カーペットの周辺部に対して固定保持力を強化し、カーペットの変形を防止することが可能となる。
【0021】
さらにまた、カーペットの周辺部を帯状圧縮シートに対して接着剤で固定しているため、カーペットを面方向に引張る力や、カーペットを縮小又は拡大する等の変形に対して抵抗力を発揮するストッパーとして作用し、敷設施工時のカーペットの平面形状を良好に保つことが可能となる。
【0022】
さらに、帯状圧縮シートで囲繞された内側の床面にはクッション性を有するクッションシートが設けられ、しかもこのクッションシートはその周辺部を床面に接着剤で固定することにより、接着剤が設けられていない広範囲の内側面においてクッション性が確保される。従って、カーペットの上を歩いたり座ったりする者が、軟らかい感触を受けることができ、居住環境もまた向上するものである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例に係る壁際の敷設用シート及びカーペットの断面図であり、(a)は帯状圧縮シート及びカーペットの端部を壁面に接触した状態を示し、(b)は帯状圧縮シートと壁面とに隙間を形成し、この隙間にカーペットの外周端部を入れ込んだ状態を示す。
【図2】本発明の実施例に係るカーペットの敷設用シートに関する平面図であり、カーペットの角部を部分的に切り欠く(切欠き線をCUTで示す)ことによって、その内部の接着剤、敷設用シートである帯状硬質及びクッションシートの敷設状態を示す。
【図3】(a)〜(d)は、本発明の実施例に係るカーペットの敷設施工法の工程を示す断面図である。
【図4】本発明の実施例に係るカーペットの敷設用シートを用いた場合の作用について説明する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0025】
本発明のカーペットの敷設用シート1は、図1(a)、(b)又は図2に示すように、床面Fと床面Fに敷設するカーペット2との間に介在させる敷設用シート1であって、この敷設用シート1は、カーペット2を敷設すべき床面Fの周辺に沿って接着剤5で固定する所定幅の帯状圧縮シート3と、この帯状圧縮シート3に囲まれた内側の床面Fに固定するクッション性を有してなるクッションシート4とから構成されている。
【0026】
なお、図1(a)に示すように、帯状圧縮シート3及びカーペット2の端部を壁面Wに接触した状態にする場合、外周端部がほつれ難いタフテッドカーペットを敷設するのに好適する。また、図1(b)に示すように、帯状圧縮シート3と壁面Wとに隙間Cを形成する場合、端部がほつれ易いウィルトンカーペットを敷設するのに好適し、この場合、壁面Wとの隙間Cにカーペット2の端部を押し込んだ状態(押し込み部6)にする。
【0027】
上記の構成に用いた帯状圧縮シート3としては、不織布を圧縮してなる圧縮フェルトを用いた構成とするのが好ましい。即ち、帯状圧縮シート3の材料としては、ポリエステル、ナイロンなどの合成繊維、またはレーヨンや木綿等の繊維、その他の不織布の原料に加工できる繊維等の物質を使用することができる。また、これらの材料を平行または不定方向に配列させ、合成樹脂接着剤で結合し、フェルト状にしたものを、厚さ約2mm又は厚さ約4mm程度に圧縮して硬質にし、図1(a)、(b)に図示のB1に相当する約220mm〜250mmの幅を有する帯状に形成する。
【0028】
ただし、この帯状圧縮シート3の幅は、約220mm〜250mmに限定されることなく、床面積の大きさに対応して幅を変えて幾種類かの帯状圧縮シート3を形成することも可能である。さらに、所定幅の帯状圧縮シート3を複数並列することによって、帯状圧縮シート3の全体幅を変え、施工現場の床面積に対応するようにしてもよい。
【0029】
また、この帯状圧縮シート3を床面Fに固定する際に用いる接着剤5は、床面Fの材質又は帯状圧縮シート3の構成材料に応じて接着力をより強固に発揮し得るものを用いるのが好ましい。その接着剤5の例としては、合成ゴム、ラテックス、水性エマルジョン等を主成分とする接着剤、また天然ゴムラテックス、合成ゴムラテックス、酢酸ビニル系エマルジョン、アクリル系エマルジョン等を主成分とする接着剤等、通常のカーペットの敷設施工に使用可能な接着剤でよい。この接着剤5は、上記を成分とする溶液状の接着剤の他に、テープの両面に接着剤を設けた両面テープを使用してもよい。
【0030】
一方、この帯状圧縮シート3に囲まれた内側の床面Fに固定するクッションシート4としては、上記の帯状圧縮シート3よりも密度が粗であって弾力性を有するクッション材料を用いる。その材料としては、例えば、内部に連続気泡を有する軟質ポリウレタンフォームを用いることにより、圧縮に対して高能率の復元性を有するクッション性能を発揮することが可能となる。さらに、チップウレタンフォーム、軟質ウレタン、発泡ポリエチレン等、合成樹脂中にガスを細かく分散させ、発泡状(フォーム)または多孔質形状に成形してなる発泡プラスチック等を用いてもよい。
【0031】
また、このようなクッションシート4の厚さは、その素材がクッション性を有することから、その上方に敷設するカーペット2の重量によって厚さが容易に縮小するため、クッション性能を長期に亘って継続させる目的で、帯状圧縮シート3よりもやや厚く形成したものを用いるのが好ましい。
【0032】
その例としては、帯状圧縮シート3が厚さ2mmの場合、クッションシート4の厚さを3mmにする。また、帯状圧縮シート3が厚さ4mmの場合、クッションシート4の厚さを5mmにする等である。さらに、このクッションシート4は、例えば幅1mの帯状に形成し、床面Fの面積に応じて、端部同士を接着テープ等で連結した状態で使用するのが好ましい。
【0033】
また、このクッションシート4は帯状圧縮シート3に比べて広面積となるため、面方向の縮小変形又は拡大変形に対処する必要がある。このためクッションシート4の周辺部を床面Fに固定するようにしてもよい。そのため、クッションシート4の周辺部を床面Fに接着剤5で固定するとよいが、クッションシート4のクッション性をなるべく広範囲に確保するため、図1(a)、(b)に示す幅B2として、例えば壁面Wより500mm〜600mmの幅に限定して接着剤5を用いて固定するものとする。
【0034】
このようにクッションシート4に対して接着剤5を使用した場合、接着剤5の塗布面は硬化してクッション性が劣化する傾向にあるが、床面Fの内方に接着剤5を塗布しない範囲を広く確保することによって、床面全体、特に主な居住空間となるカーペット2の中央部において良好なクッション性を確保することが可能となる。
【0035】
なお、クッションシート4に使用する接着剤5は、帯状圧縮シート3を床面Fに固定する際に使用した接着剤5と同様のものを使用することが可能である。また、クッションシート4の内方面と床面Fとの間にラテックスを波状に塗ることによって、クッションシート4の面方向のずれを防止するようにすることも可能である。
【0036】
さらに、図1(a)、(b)に示すように、上記のように床面Fに固定したカーペット2の敷設用シート1、即ち帯状圧縮シート3とクッションシート4との上面にカーペット2を敷設する際、カーペット2の周辺の所定幅を少なくとも帯状圧縮シート3に対して接着剤5で固定する。この接着剤5は、帯状圧縮シート3を床面Fに固定する際に使用した接着剤5と同様のものを使用するとよい。このようにカーペット2の接着は、少なくとも床面Fの周辺に固定した帯状圧縮シート3の上面に対して行う。この帯状圧縮シート3は、上記のように、不織布等の繊維を圧縮することによって繊維の結合を強固にしたものであって接着性が強く、帯状圧縮シート3の上面に接着した後のカーペット2を剥がそうとする外力に対しても良好な耐久力を発揮することが可能である。
【0037】
即ち、図4に示すように、カーペット2の周辺に沿って接着剤5で固定した帯状圧縮シート3に対してカーペット2の周辺部の上面を接着剤5で固定することによって、カーペット2を面方向に縮小したり拡大したりする引張り力Pに対して、反対方向の抵抗力Rを発揮することができる。これによって、帯状圧縮シート3はカーペット2の変形又はズレに対するストッパーの役割を果すことが可能となる。
【0038】
また、図1(a)、(b)において幅B3で示すように、帯状圧縮シート3の上面だけではなく、帯状圧縮シート3の上面とクッションシート4の周辺部の上面に連続的に塗布した接着剤5でカーペット2の周辺を固定する。即ち、例えば壁面Wから500mm〜600mmの幅で帯状圧縮シート3の上面とクッションシート4の周辺部の上面に接着剤5を塗布してカーペット2の周辺部を固定することによって、カーペット2の面方向への縮小変形又はずれ等を防止することが可能となる。この場合、クッションシート4もまたその周辺部をカーペット2に固定したことによって、面方向への縮小変形又はずれ等を防止することが可能となる。
【0039】
ここで、上記のようなカーペットの敷設用シートを用いたカーペット2の敷設施工法について説明する。図3(a)〜(d)は、図1(b)に示すように、壁面Wとの間に隙間Cを設けたものであり、ウィルトンカーペットを敷設施工するのに適するが、隙間Cを設けること以外の施工法としては、タフテッドカーペットに適用することも可能である。
【0040】
まず、図3(a)に示すように、カーペット2を敷設すべき床面Fの周辺に沿って壁面Wから5mm程度の隙間Cを空け、所定幅の帯状圧縮シート3を接着剤5で固定する。この接着剤5としては、溶液状の接着剤のほかに、両面テープを使用してもよい。
【0041】
次いで、図3(b)に示すように、上記の帯状圧縮シート3に囲まれた内側の床面Fにクッション性を有してなるクッションシート4を固定する。このクッションシート4はその周辺部のみを床面Fに接着剤5で固定することによって接着剤5が設けられていないクッションシート4の内側面のクッション性を確保するようにするとよい。
【0042】
次に、図3(c)に示すように、床面Fに固定した帯状圧縮シート3とクッションシート4との上面に敷設したカーペット2の周辺を少なくとも帯状圧縮シート3に対して接着剤5で固定する。
【0043】
なお、上記の施工方法において、床面Fに固定した帯状圧縮シート3とクッションシート4との上面に敷設したカーペット2の周辺を固定する際、帯状圧縮シート3の上面とクッションシート4の周辺部の上面に塗布した接着剤5で固定するようにしてもよい。なお、この接着剤5としては、溶液状の接着剤のほかに、両面テープを使用してもよい。
【0044】
また、図3(d)に示すように、床面Fに固定した帯状圧縮シート3とクッションシート4との上面に対して面積をやや大にして敷設したカーペット2の周辺を少なくとも帯状圧縮シート3に対して接着剤5で固定すると共に、カーペット2の外周端部を帯状圧縮シート3と壁面Wとの隙間Cに押し込むようにしてもよい。これによって、外周端部がほつれ易いウィルトンカーペットのほつれを防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
本発明のカーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法は、カーペットを床面に敷設する際に使用していた従来のグリッパーを廃止することにより、上向きピンや釘打ち等の必要のない帯状圧縮シート材を用いてカーペットのストッパーとし、施工が容易であって、カーペットに変形が生じ難く、クッション性の良好な床環境を提供することができるカーペットの敷設用シート及びカーペットの敷設施工法として利用可能である。
【符号の説明】
【0046】
1 敷設用シート
2 カーペット
3 帯状圧縮シート
4 クッションシート
5 接着剤
6 押し込み部
CUT 切欠き線
C 隙間
F 床面
R カーペットを面方向に引張る力に対する抵抗力
P カーペットを面方向に引張る力
W 壁面
L 接着剤塗布の境界線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面と床面に敷設するカーペットとの間に介在させる敷設用シートにおいて、この敷設用シートは、カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って接着剤で固定する所定幅の帯状圧縮シートと、この帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面に固定するクッション性を有してなるクッションシートとから成り、床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設するカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定するようにしたことを特徴とするカーペットの敷設用シート。
【請求項2】
帯状圧縮シートとしては、不織布を圧縮してなる圧縮フェルトを用いたことを特徴とする請求項1記載のカーペットの敷設用シート。
【請求項3】
クッションシートとしては、帯状圧縮シートよりも密度が粗であって弾力性を有するクッション材料を用い、このクッションシートの周辺部を床面に接着剤で固定することによって接着剤が設けられていないクッションシートの内側面のクッション性を確保するようにしたことを特徴とする請求項1又は2記載のカーペットの敷設用シート。
【請求項4】
接着剤としては、溶液状の接着剤又は両面テープを使用するようにしたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のカーペットの敷設用シート。
【請求項5】
カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って所定幅の帯状圧縮シートを接着剤で固定すると共に、帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面にクッション性を有してなるクッションシートを固定し、次いで床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設したカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定するようにしたことを特徴とするカーペットの敷設施工法。
【請求項6】
床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に敷設したカーペットの周辺部を固定する際、帯状圧縮シートの上面とクッションシートの周辺の上面に塗布した接着剤で固定するようにしたことを特徴とする請求項5記載のカーペットの敷設施工法。
【請求項7】
カーペットを敷設すべき床面の周辺に沿って所定幅の帯状圧縮シートを接着剤で固定する際、この帯状圧縮シートの外周端部と壁面との間にカーペットの厚さを収容し得る隙間を設け、この帯状圧縮シートに囲まれた内側の床面にクッション性を有してなるクッションシートを固定し、次いで床面に固定した帯状圧縮シートとクッションシートとの上面に対して面積をやや大にして敷設したカーペットの周辺部を少なくとも帯状圧縮シートに対して接着剤で固定すると共に、カーペットの外周端部を帯状圧縮シートと壁面との隙間に押し込むようにしたことを特徴とするカーペットの敷設施工法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−241649(P2011−241649A)
【公開日】平成23年12月1日(2011.12.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−116510(P2010−116510)
【出願日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【特許番号】特許第4702575号(P4702575)
【特許公報発行日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(506267695)株式会社ユニバーサルトレジャー (3)
【Fターム(参考)】