説明

ガイドレール加工装置および加工方法

【課題】 ガイドレールを一方向に移動させる場合のみにこのガイドレールの表面を切削する切削方法と比較して、ガイドレールの加工の際の工程数を半減させることができ、またガイドレールの加工に必要な消費電力を低減させることができるガイドレール加工装置および加工方法を提供する。
【解決手段】 ガイドレール加工装置は、ガイドレールGを載置するとともにこのガイドレールGの長手方向に往復移動する載置台10と、ガイドレールGの表面を切削するための第1の切削器30および第2の切削器40とを備えている。ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向に移動するときに第1の切削器30がこのガイドレールGの表面を切削する。一方ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向と逆方向である他の方向に移動するときに第2の切削器40が当該ガイドレールGの表面を切削する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガイドレール加工装置および加工方法に関し、とりわけエレベータ用のガイドレールの加工装置および加工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、エレベータのかごはガイドレールに沿って昇降しており、このことによりエレベータかごの走行中の振動等を抑制することができるようになっている。このため、エレベータかごに当接するガイドレールの表面(摺動面)は高精度の平滑性が求められ、この摺動面は切削により加工されている。
エレベータ用のガイドレールの表面を切削するガイドレール加工装置として、例えば図4および図5に示すものが知られている。ここで、図4は、従来のガイドレール加工装置の構成を示す側面図であり、図5(a)〜(e)は、図4のガイドレール加工装置によるガイドレールの加工工程を順に示す説明図である。
【0003】
図4に示す従来のガイドレール加工装置は、位置固定された平板状の基台60と、ガイドレールGを載置するために基台60上に設けられこのガイドレールGの長手方向(図4の左右方向)に沿って往復移動する載置台61と、基台60に取り付けられこの基台60から鉛直方向上方に延びる支持柱62とを備えている。また、この支持柱62の上部部分には、鉛直方向に往復運動することができるようになっており2つの切削刃64を有する切削器63が保持されている。
【0004】
ここで、支持柱62は載置台61の移動経路の途中部分の近傍に設けられており、載置台61が往復移動を行う際にこの載置台61上のガイドレールGに切削器63の切削刃64が当接可能なようになっている。なお、この切削器63は、載置台61に載置されたガイドレールGに当接可能な当接位置A(図5(a)参照)とこの載置台61に載置されたガイドレールGから上方に離間する離間位置B(図5(b)参照)との間で鉛直方向に往復移動することができるようになっている。
また、切削器63の各切削刃64は一般的にある一定の方向に前進するガイドレールGの表面しか切削することができず、この前進方向と逆方向に後退するガイドレールGの表面を切削することはできないような構造となっている。
【0005】
次に、このような構成からなる従来のガイドレール加工装置の作用について図4および図5(a)〜(e)を用いて説明する。
【0006】
まず、図4に示すように、載置台61が支持柱62から(図4の左方に)離れた位置にあるときに、この載置台61にこれから加工を行うべきガイドレールGを載置する。この際に、図4に示すように、切削器63は当接位置Aに維持されている。
【0007】
次に、図5(a)に示すように、載置台61がガイドレールGの長手方向に沿った一の方向(図5(a)の矢印方向)に移動する。この際に、当接位置Aにある切削器63の切削刃64により、このガイドレールGの側面が切削される。
【0008】
次に、図5(b)に示すように、載置台61の一の方向に係る移動が終了してこの載置台61が支持柱62から(図5(b)の右方に)離れた位置となる。この際に、切削器63は当接位置Aから離間位置Bに移動する。
【0009】
次に、図5(c)に示すように、載置台61がガイドレールGの長手方向に係る前記一の方向と逆方向の他の方向(図5(c)の矢印方向)に移動する。この際に、離間位置Bにある切削器63の切削刃とガイドレールGとは接触せず、ガイドレールGの側面が切削されることはない。
【0010】
次に、図5(d)に示すように、載置台61の他の方向に係る移動が終了してこの載置台61が再び支持柱62から(図5(d)の左方に)離れた位置となる。この際に、切削器63は再び離間位置Bから当接位置Aに移動する。
【0011】
次に、図5(e)に示すように、載置台61がガイドレールGの長手方向に沿った一の方向に再び移動する。その後、図5(a)〜(e)に示す工程が繰り返され、ガイドレールGに対する切削刃64の当接位置を少しずつずらしながら載置台61がガイドレールGの長手方向に何回も往復運動を行うことにより、この載置台61上のガイドレールGの側面全体の切削が行われる。
【0012】
また、ガイドレール加工装置の他の構成としては、例えば特許文献1に示すものが知られている。特許文献1に開示されるガイドレール加工装置は、回転式切削具によりガイドレールの両側面および頂面を同時に切削するものである。
【0013】
【特許文献1】特開2003−285216号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
図4および図5(a)〜(e)に示す従来のガイドレール加工装置においては、切削器63の各切削刃64は一般的にある一定の方向に前進するガイドレールGの表面しか切削することができず、この前進方向と逆方向に後退するガイドレールGの表面を切削することはできないよう構成されている。
このため、ガイドレールGを一方向に移動させた後の戻し動作においてはこのガイドレールGの表面を切削することができず、ガイドレールGの加工の際の工程数が増大してしまい効率が悪いという問題がある。
【0015】
本発明は、このような点を考慮してなされたものであり、ガイドレールを一方向に移動させる場合のみにこのガイドレールの表面を切削する切削方法と比較して、ガイドレールの加工の際の工程数を半減させることができ、またガイドレールの加工に必要な消費電力を低減させることができるガイドレール加工装置および加工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、ガイドレールの表面を切削するガイドレール加工装置において、ガイドレールを載置するとともに当該ガイドレールの長手方向に沿って往復移動する載置台と、ガイドレールを載置した前記載置台が一の方向に移動するときにこのガイドレールの表面を切削する第1の切削器と、ガイドレールを載置した前記載置台が前記一の方向と逆方向である他の方向に移動するときにこのガイドレールの表面を切削する第2の切削器と、を備えたことを特徴とするガイドレール加工装置である。
また、本発明は、ガイドレールの表面を切削するガイドレール加工方法において、載置台にガイドレールを載置する載置工程と、ガイドレールを載置した載置台を当該ガイドレールの長手方向に係る一の方向に移動させ、この間にガイドレールの表面を切削する第1の切削工程と、前記第1の切削工程の後に、ガイドレールを載置した載置台を前記一の方向と逆方向である他の方向に移動させ、この間にガイドレールの表面を更に切削する第2の切削工程と、前記載置工程の後に前記第1の切削工程と前記第2の切削工程とを交互に繰り返し行う繰り返し工程と、を備えたことを特徴とするガイドレール加工方法である。
【0017】
ここで、一般的には、切削器はある一定の方向に前進するガイドレールの表面しか切削することができず、この前進方向と逆方向に後退するガイドレールの表面を切削することはできないような構造となっている。
しかしながら、上述のガイドレール加工装置および加工方法によれば、ガイドレールを一方向に移動させる場合のみにこのガイドレールの表面を切削する切削方法と比較して、ガイドレールを一方向に移動させた後の戻し動作においてもこのガイドレールの表面を切削することができ、載置台の同じ回数の往復運動においてガイドレールの表面の切削回数を約2倍とすることができる。このことにより、ガイドレールの表面の所望の切削を行う際に、ガイドレールの加工の際の工程数を半減させることができる。また加工時間を半減させることができるのでガイドレールの加工に必要な消費電力を低減させることができる。
【0018】
本発明のガイドレール加工装置においては、前記載置台の移動経路の途中部分の近傍に位置固定されるとともに鉛直方向上方に延び、一方の側面で前記第1の切削器を保持し前記一方の側面に対向する他方の側面で前記第2の切削器を保持する支持柱を更に備えたことが好ましい。
このようなガイドレール加工装置によれば、一本の支持柱で2つの切削器を保持することができ、各切削器に対応して支持柱を設ける場合と比較して支持柱の本数を削減することができる。また、一本の支持柱の互いに対向する一方の側面および他方の側面にそれぞれ第1の切削器および第2の切削器が保持されているので、載置台が往復移動を行うときに第1の切削器と第2の切削器とが載置台上のガイドレールのほぼ同じ箇所を切削するようこれらの第1の切削器および第2の切削器の設置場所を定めることができる。
【0019】
本発明のガイドレール加工装置においては、前記第1の切削器および前記第2の切削器は、それぞれ前記載置台に載置されたガイドレールに当接可能な当接位置とこの載置台に載置されたガイドレールから上方に離間する離間位置との間で鉛直方向に往復移動することができるようになっており、前記載置台が前記一の方向に移動するときに前記第1の切削器を当接位置に維持するとともに前記第2の切削器を離間位置に維持し、前記載置台が前記他の方向に移動するときに前記第1の切削器を離間位置に維持するともに前記第2の切削器を当接位置に維持する制御器を更に備えたことが好ましい。
このように、制御器により第1の切削器および第2の切削器がそれぞれ所望の移動を行うよう独立して制御されるので、ガイドレールが一の方向に前進する際に、このガイドレールを確実に第1の切削器により切削させることができ、一方ガイドレールが他の方向に後退する際に、このガイドレールを確実に第1の切削器とは異なる第2の切削器により切削させることができる。その結果、ガイドレールのある一定の方向への前進移動およびこの前進方向と逆方向の後退移動の両方の工程においてガイドレールの表面の切削を確実に行うことができる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のガイドレール加工装置および加工方法によれば、ガイドレールを一方向に移動させる場合のみにこのガイドレールの表面を切削する切削方法と比較して、ガイドレールの加工の際の工程数を半減させることができ、またガイドレールの加工に必要な消費電力を低減させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1乃至図3は、本発明によるガイドレール加工装置の実施の形態を示す図である。
このうち図1は、本実施の形態によるガイドレール加工装置の構成を示す側面図であり、図2(a)〜(e)は、図1のガイドレール加工装置によるガイドレールの加工工程を順に示す説明図であり、図3は、図1のガイドレール加工装置の切削器によるガイドレールの表面の切削動作を示す斜視図である。
本実施の形態のガイドレール加工装置は、例えばエレベータ用のガイドレールの表面、
とりわけエレベータと接触する側面(摺動面)を切削するために用いられる。
【0022】
図1に示すように、ガイドレール加工装置は、位置固定された平板状の基台5と、ガイドレールGを載置するために基台5上に設けられた載置台10と、基台5に取り付けられこの基台5から鉛直方向上方に延びる支持柱20とを備えている。また、この支持柱20は、一方の側面21で第1の切削器30を保持するとともに他方の側面22で第2の切削器40を保持している。第1の切削器30は、ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向(図1の矢印P方向)に移動するときにのみこのガイドレールGの表面を切削するようになっており、一方、第2の切削器40は、ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向と逆方向である他の方向(図1の矢印Q方向)に移動するときにのみこのガイドレールGの表面を切削するようになっている。
以下、このようなガイドレール加工装置の各構成要素について詳述する。
【0023】
載置台10は、図1に示すようにガイドレールGの長手方向(図1の左右方向)に沿って往復移動するようになっている。ここで、ガイドレールGは載置台10上の所定の位置に載置されてこの載置台10上で動かないよう固定されるようになっており、当該載置台10上に載置されるガイドレールGの延びる向きは予め設定されている。
【0024】
支持柱20は、前述のように基台5から鉛直方向上方に延びるよう設けられており、この支持柱20は、第1の切削器30が取り付けられる一方の側面21と、第2の切削器40が取り付けられる他方の側面22とを有している。ここで、図1に示すように支持柱20において一方の側面21および他方の側面22は互いに対向する位置に設けられている。
支持柱20は、載置台10が往復移動を行う際にこの載置台10が傍を通過するような場所に設置されている。
【0025】
第1の切削器30は、鉛直方向に往復移動することができる基体31と、この基体31の下端に設けられた2つの切削刃32と、基体31を鉛直方向に往復移動させるよう駆動するモータ33とを有している。
基体31は、切削刃32が載置台10に載置されたガイドレールGに当接することができる当接位置A(図2(a)参照)と、切削刃32が載置台10に載置されたガイドレールGから上方に離間する離間位置B(図2(b)参照)との間で鉛直方向に往復移動することができるようになっている。
切削刃32は、基体31が当接位置Aにあるときに、図3に示すように載置台10が支持柱20の近傍を通過する際における当該載置台10上のガイドレールGの表面に当接し、このガイドレールGの表面を切削するようになっている。一方、基体31が離間位置Bにあるときには、切削刃32は、載置台10が支持柱20の近傍を通過する際における当該載置台10上のガイドレールGの表面に当接することはない。
なお、図1においては、切削刃32は載置台10の移動方向に沿って2つ設けられているが、前進するガイドレールGに最初に当接する切削刃32aは粗仕上げ用のものであり、次に当接する切削刃32bは精度合わせ用のものとなっている。
モータ33は、基体31が当接位置Aと離間位置Bとの間で鉛直方向に往復移動するようこの基体31の駆動を行う。なお、モータ33による基体31の駆動は、後述する制御器50により制御されている。
【0026】
第2の切削器40は、第1の切削器30と同様に、鉛直方向に往復移動することができる基体41と、この基体41の下端に設けられた2つの切削刃42と、基体41を鉛直方向に往復移動させるよう駆動するモータ43とを有している。
ここで、第2の切削器40の基体41、切削刃42およびモータ43の構成は、第1の切削器30の基体31、切削刃32およびモータ33の構成とそれぞれ略同一となっている。
【0027】
なお、載置台10が基台5上を往復移動するときに第1の切削器30の切削刃32と第2の切削器40の切削刃42とが載置台10上のガイドレールGのほぼ同じ箇所を切削するよう、支持柱20における第1の切削器30および第2の切削器40の保持場所が設定されている。
【0028】
図1に示すように、ガイドレール加工装置は更に、第1の切削器30および第2の切削器40の駆動の制御を行う制御器50を備えている。具体的には、載置台10が図1の矢印Pに示す一の方向に移動するときに、制御器50は、第1の切削器30の基体31を当接位置Aに維持するとともに第2の切削器40の基体41を離間位置Bに維持するよう各駆動モータ33、43の制御を行うようになっている。一方、載置台10が図1の矢印Qに示す他の方向に移動するときに、制御器50は、第1の切削器30の基体31を離間位置Bに維持するとともに第2の切削器40の基体41を当接位置Aに維持するよう各駆動モータ33、43の制御を行うようになっている。
【0029】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用について図1、図2(a)〜(e)および図3を用いて説明する。
【0030】
まず、図1に示すように、載置台10が支持柱20から(図1の左方に)離れた位置にあるときに、この載置台10上にこれから加工を行うべきガイドレールGを載置する。この際に、載置台10に載置されるガイドレールGの載置位置は予め定められており、このガイドレールGの延びる向きは所定の方向となっている。
このようなガイドレールGの載置工程において、図1に示すように、制御器50により第1の切削器30が当接位置Aに維持されるとともに第2の切削器40が離間位置Bに維持されている。
【0031】
次に、図2(a)に示すように、載置台10がガイドレールGの長手方向に沿った一の方向(図1の矢印P方向、すなわち図2(a)の矢印方向)に移動する。この際に、当接位置Aにある第1の切削器30の切削刃32により、このガイドレールGの側面が切削される。具体的には、図3に示すように、第1の切削器30の切削刃32により、ガイドレールGの側面であってエレベータと接触する摺動面が切削される。
【0032】
次に、図2(b)に示すように、載置台10の一の方向に係る移動が終了してこの載置台10が支持柱20から(図2(b)の右方に)離れた位置となる。この際に、制御器50が第1の切削器30のモータ33を制御し、モータ33は基体31を駆動してこの基体31を当接位置Aから離間位置Bに移動させる。同時に、制御器50は第2の切削器40のモータ43も制御し、モータ43は基体41を駆動してこの基体41を離間位置Bから当接位置Aに移動させる。
【0033】
次に、図2(c)に示すように、載置台10がガイドレールGの長手方向に沿った他の方向(図1の矢印Q方向、すなわち図2(c)の矢印方向)に移動する。この際に、当接位置Aにある第2の切削器40の切削刃42により、このガイドレールGの表面が切削される。
【0034】
次に、図2(d)に示すように、載置台10の他の方向に係る移動が終了してこの載置台10が再び支持柱20から(図2(d)の左方に)離れた位置となる。この際に、制御器50が第1の切削器30のモータ33を制御し、モータ33は基体31を駆動してこの基体31を離間位置Bから当接位置Aに移動させる。同時に、制御器50は第2の切削器40のモータ43も制御し、モータ43は基体41を駆動してこの基体41を当接位置Aから離間位置Bに移動させる。
【0035】
次に、図2(e)に示すように、載置台10がガイドレールGの長手方向に沿った一の方向に再び移動する。その後、図2(a)〜(e)に示す工程が繰り返され、ガイドレールGに対する切削刃32、42の鉛直方向における当接位置を少しずつずらしながら載置台10がガイドレールGの長手方向に何回も往復運動を行うことにより、この載置台10上のガイドレールGの側面全体の切削が行われる。
【0036】
以上のように本実施の形態のガイドレール加工装置および加工方法によれば、ガイドレールGを載置するとともにこのガイドレールGの長手方向に往復移動する載置台10が設けられており、ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向に移動するときに第1の切削器30がこのガイドレールGの表面を切削し、一方ガイドレールGを載置した載置台10が一の方向と逆方向である他の方向に移動するときに第2の切削器40が当該ガイドレールGの表面を切削するようになっている。このため、ガイドレールGを一方向に移動させる場合のみにこのガイドレールGの表面を切削する切削方法と比較して、ガイドレールGを一方向に移動させた後の戻し動作においてもこのガイドレールGの表面を切削することができ、載置台10の同じ回数の往復運動においてガイドレールGの表面の切削回数を約2倍とすることができる。このことにより、ガイドレールGの表面の所望の切削を行う際に、ガイドレールの加工の際の工程数を半減させることができる。また加工時間を半減させることができるのでガイドレールの加工に必要な消費電力を低減させることができる。
【0037】
また、載置台10の移動経路の途中部分の近傍に位置固定されるとともに鉛直方向に延び、一方の側面21で第1の切削器30を保持しこの一方の側面21と対向する他方の側面22で第2の切削器40を保持する支持柱20が設けられている。このことにより、一本の支持柱20で2つの切削器30、40を保持することができ、各切削器30、40に対応して支持柱を設ける場合と比較して支持柱の本数を削減することができる。また、一本の支持柱20の互いに対向する一方の側面21および他方の側面22にそれぞれ第1の切削器30および第2の切削器40が保持されているので、載置台10が往復移動を行うときに第1の切削器30と第2の切削器40とが載置台10上のガイドレールGのほぼ同じ箇所を切削するようこれらの第1の切削器30および第2の切削器40の設置場所を定めることができる。
【0038】
また、第1の切削器30および第2の切削器40を制御する制御器50が設けられており、この制御器50は、載置台10が一の方向に移動するときに第1の切削器30を当接位置Aに維持するとともに第2の切削器40を離間位置Bに維持し、載置台10が他の方向に移動するときに第1の切削器30を離間位置Bに維持するとともに第2の切削器40を当接位置Aに維持するよう、第1の切削器30および第2の切削器40を制御している。ここで、各切削器は一般的にある一定の方向に前進するガイドレールGの表面しか切削することができず、この一定の方向と逆方向に後退するガイドレールGの表面を切削することはできないような構造となっている。しかしながら、制御器50により第1の切削器30および第2の切削器40がそれぞれ所望の移動を行うよう独立して制御されるので、ガイドレールGが一の方向に前進する際に、このガイドレールGを確実に第1の切削器30により切削させることができ、一方ガイドレールGが他の方向に後退する際に、このガイドレールGを確実に第1の切削器30と異なる第2の切削器40により切削させることができる。その結果、ガイドレールGのある一定の方向への前進移動およびこの前進方向と逆方向の後退移動の両方の工程においてガイドレールGの表面の切削を確実に行うことができる。
【0039】
なお、本実施の形態においてはガイドレール加工装置がエレベータ用のガイドレールの表面を切削する場合について説明したが、本発明のガイドレール加工装置および加工方法はこのことに限定されるものではなく、他の設備に使用されるガイドレールの表面を切削するものであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施の形態によるガイドレール加工装置の構成を示す側面図である。
【図2】(a)〜(e)は、図1のガイドレール加工装置によるガイドレールの加工工程を順に示す説明図である。
【図3】図1のガイドレール加工装置の切削器によるガイドレールの表面の切削動作を示す斜視図である。
【図4】従来のガイドレール加工装置の構成を示す側面図である。
【図5】(a)〜(e)は、図4のガイドレール加工装置によるガイドレールの加工工程を順に示す説明図である。
【符号の説明】
【0041】
5 基台
10 載置台
20 支持柱
21 一方の側面
22 他方の側面
30 第1の切削器
31 基体
32 切削刃
33 モータ
40 第2の切削器
41 基体
42 切削刃
43 モータ
50 制御器
60 基台
61 載置台
62 支持柱
63 切削器
64 切削刃

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガイドレールの表面を切削するガイドレール加工装置において、
ガイドレールを載置するとともに当該ガイドレールの長手方向に沿って往復移動する載置台と、
ガイドレールを載置した前記載置台が一の方向に移動するときにこのガイドレールの表面を切削する第1の切削器と、
ガイドレールを載置した前記載置台が前記一の方向と逆方向である他の方向に移動するときにこのガイドレールの表面を切削する第2の切削器と、
を備えたことを特徴とするガイドレール加工装置。
【請求項2】
前記載置台の移動経路の途中部分の近傍に位置固定されるとともに鉛直方向上方に延び、一方の側面で前記第1の切削器を保持し前記一方の側面に対向する他方の側面で前記第2の切削器を保持する支持柱を更に備えたことを特徴とする請求項1記載のガイドレール加工装置。
【請求項3】
前記第1の切削器および前記第2の切削器は、それぞれ前記載置台に載置されたガイドレールに当接可能な当接位置とこの載置台に載置されたガイドレールから上方に離間する離間位置との間で鉛直方向に往復移動することができるようになっており、
前記載置台が前記一の方向に移動するときに前記第1の切削器を当接位置に維持するとともに前記第2の切削器を離間位置に維持し、前記載置台が前記他の方向に移動するときに前記第1の切削器を離間位置に維持するともに前記第2の切削器を当接位置に維持する制御器を更に備えたことを特徴とする請求項1または2記載のガイドレール加工装置。
【請求項4】
ガイドレールの表面を切削するガイドレール加工方法において、
載置台にガイドレールを載置する載置工程と、
ガイドレールを載置した載置台を当該ガイドレールの長手方向に係る一の方向に移動させ、この間にガイドレールの表面を切削する第1の切削工程と、
前記第1の切削工程の後に、ガイドレールを載置した載置台を前記一の方向と逆方向である他の方向に移動させ、この間にガイドレールの表面を更に切削する第2の切削工程と、
前記載置工程の後に前記第1の切削工程と前記第2の切削工程とを交互に繰り返し行う繰り返し工程と、
を備えたことを特徴とするガイドレール加工方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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