説明

ガイドロール

【課題】ウエブとガイドロールとの間の滑りを防止すると共に、装置やウエブとの相対的な歪みによるシワの発生を防止することができるガイドロールを提供する。
【解決手段】走行するウエブWを案内するガイドロール10の中央部16の表面のみを、溝によって滑り止め加工し、両側部18の表面は、平滑なメッキを施している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエブを搬送するためのガイドロールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
布帛、フィルム、金属箔、紙などのウエブに塗工液を塗工したりする塗工装置(例えば、特許文献1参照)や、ウエブを加熱して熱処理を行なう熱処理装置(例えば、特許文献2参照)においては、ウエブを安定して搬送させるためにガイドロールを用いている。
【0003】
このガイドロールの表面仕上げは、通常全幅に渡って平滑にメッキ加工を行なったり、溝加工を行なったり、梨地加工を行なったりして、ウエブを確実に搬送できるようにしている。
【特許文献1】特開2004−141810公報
【特許文献2】特開2001−4274公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のような全幅に渡って平滑なメッキ加工を行なったガイドロールであると、ウエブの走行速度が速くなるに伴いウエブとガイドロールの間に空気層が発生して、ウエブとガイドロールの間の摩擦力が小さくなる。そのため、ウエブに対しガイドロールが滑りやすく、ウエブとガイドロールが滑るとウエブに傷が付くという問題点がある。
【0005】
このように空気層を排除するためにウエブとガイドロールの摩擦力を上げることを目的として、全幅に渡って溝加工や梨地加工を行っている。するとウエブとガイドロールとの間の滑りを少なくすることができる。しかし、ウエブや装置に歪みがある場合に、この梨地加工や溝加工による摩擦力の増大により、シワが入るという問題点がある。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、ウエブとガイドロールとの間の滑りを防止すると共に、装置やウエブとの相対的な歪みによるシワの発生を防止することができるガイドロールを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、走行するウエブを案内するガイドロールにおいて、前記ガイドロールの中央部の表面のみを、前記ウエブの滑り止め加工し、前記中央部以外の両側部の表面は平滑である、ガイドロールである。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、ガイドロールの表面の中央部分にのみ滑り止め加工を行なっているため、中央部分は摩擦力が大きくなり、ウエブとガイドロールの回転方向の滑りが少なくなる。一方、ガイドロールの両側部においては平滑にしているため摩擦力が小さくなり、装置とウエブとの相対的な歪みによるシワの発生を防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施形態のガイドロール10について図1と図2に基づいて説明する。
【0010】
本実施形態のガイドロール10は、図1に示すように、紙、布帛、金属箔、フィルムなどのウエブWを搬送するためのガイドロール10であって、ガイドロール10自身は駆動せず、ウエブWの力によって回転する他動式である。
【0011】
(1)ガイドロール10の構成
図2に示すように、ガイドロール10は、円柱状のロール本体12の両端部から軸14が突出している。
【0012】
このロール本体12の中央部16には、螺旋状の溝が設けられ、滑り止め加工を行なっている。この中央部16の長さMは、ロール本体12の全幅をLとした場合、MはLに対し20〜70%、好適には40〜60%である。また、中央部16以外の両側部18,18には、平滑なメッキ加工を施している。
【0013】
このガイドロール10の材質は、樹脂含浸を行なったカーボンファイバー、または、金属製である。また、このガイドロール10の直径は、70〜200mm(好適には、100mm〜150mmである)であり、全幅は250mm〜5m(好適には1.5〜3m)である。
【0014】
(2)効果
上記のようなガイドロール10であると、中央部16における滑り止め加工により、ガイドロール10とウエブWの間に空気層がなくなり、摩擦力が上がり、ガイドロール10とウエブWとの間に滑りが生じず、ウエブWが傷付くことがない。
【0015】
また、ガイドロール10の両側部18は、平滑なメッキ加工を施しているため、その部分における摩擦力が少なくなり、ウエブWやこのウエブWを搬送する装置に歪みがあっても、両側部18の摩擦力が少ないため幅方向にずれて、歪みによるシワが発生しない。
【0016】
(3)変更例
本発明は上記各実施形態に限らず、その主旨を逸脱しない限り種々に変更することができる。
【0017】
上記実施形態では滑り止め加工として、中央部16に螺旋状の溝を設けたが、図3に示すように平行な溝や、図4に示すような中央部を対称にした螺旋状の溝や、図5に示すような格子状の溝、図6に示すような梨地状に加工を行なってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の一実施形態におけるガイドロールを用いてウエブを搬送する説明図である。
【図2】本実施形態のガイドロールの平面図である。
【図3】変更例1のガイドロールの平面図である。
【図4】変更例2のガイドロールの平面図である。
【図5】変更例3のガイドロールの平面図である。
【図6】変更例4のガイドロールの平面図である。
【符号の説明】
【0019】
10 ガイドロール
12 ロール本体
14 軸
16 中央部
18 両側部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行するウエブを案内するガイドロールにおいて、
前記ガイドロールの中央部の表面のみを、前記ウエブの滑り止め加工し、
前記中央部以外の両側部の表面は平滑である、
ガイドロール。
【請求項2】
前記中央部の長さが、前記ガイドロールの全幅の20〜70%である、
請求項1記載のガイドロール。
【請求項3】
前記滑り止め加工が、梨地状、または、溝加工である、
請求項1記載のガイドロール。
【請求項4】
前記両側部の表面は、平滑なメッキ加工を施している、
請求項1記載のガイドロール。
【請求項5】
前記ガイドロールの材質が、金属製、または、樹脂を含浸させたカーボンファイバーである、
請求項1記載のガイドロール。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2008−62238(P2008−62238A)
【公開日】平成20年3月21日(2008.3.21)
【国際特許分類】
【公開請求】
【出願番号】特願2007−323235(P2007−323235)
【出願日】平成19年12月14日(2007.12.14)
【出願人】(000240341)株式会社ヒラノテクシード (58)
【Fターム(参考)】