ガイド装置付き流体圧シリンダー
【課題】ピストンロッドの直進性を向上させることが可能なガイド装置付き流体圧シリンダーを提供する。
【解決手段】ガイド装置付き流体圧シリンダー100は、チューブ30内で軸方向に往復動自在に装着されたピストン20に取り付けられ、チューブ30から外部に軸方向に突出する外周面10aを有するピストンロッド10と、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにチューブ30に取り付けられた筒体ガイド70とを備える。筒体ガイド70は、ピストンロッド10を挿通可能な貫通孔70bを有するガイド本体70aと、貫通孔70bに設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向に転動可能な外輪81とを含む。外輪81がピストンロッド10の外周面10aに密着して接触するように貫通孔70bに設けられている。
【解決手段】ガイド装置付き流体圧シリンダー100は、チューブ30内で軸方向に往復動自在に装着されたピストン20に取り付けられ、チューブ30から外部に軸方向に突出する外周面10aを有するピストンロッド10と、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにチューブ30に取り付けられた筒体ガイド70とを備える。筒体ガイド70は、ピストンロッド10を挿通可能な貫通孔70bを有するガイド本体70aと、貫通孔70bに設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向に転動可能な外輪81とを含む。外輪81がピストンロッド10の外周面10aに密着して接触するように貫通孔70bに設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には流体圧シリンダーに関し、特定的には流体圧力によりシリンダー本体から外部に軸方向に突出するピストンロッドの移動を案内する装置が取り付けられたガイド装置付き流体圧シリンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気圧または油圧により作動する往復動アクチュエータとして流体圧シリンダーがあり、直動駆動源として、生産ラインを構成する自動加工機械等の各種産業機械に広く使用されている。たとえば、特開2004−232663号公報(特許文献1)に開示されているように、流体圧シリンダーは、流体圧により直線方向に往復動するピストンを収容するシリンダーチューブと、ピストンに取り付けられ、シリンダーチューブの端面から外部に突出するピストンロッドと、シリンダーチューブの端面に装着されるロッドカバーとを備える。
【0003】
このように構成された流体圧シリンダーにおいて、ピストンはウェアリングによってシリンダー室内に保持されているが、ピストンとピストンロッドとの間には、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在する。また、ピストンロッドがシリンダー本体から出入りする側では、ロッドカバーとピストンロッドとの間にメタルブッシュが介在するように配置されている。このメタルブッシュとピストンロッドとの間には、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在する。
【特許文献1】特開2004−232663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来の流体圧シリンダーでは、ピストンロッドは、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在するようにシリンダー本体に対して組み込まれている。このため、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に突出した前進限の位置にあるとき、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられた場合、上記のクリアランスの存在により、ピストンロッドがぐらぐらとがたつく。その結果、ピストンロッドの軸方向に沿った移動は直進性に劣るという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、ピストンロッドの直進性を向上させることが可能なガイド装置付き流体圧シリンダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったガイド装置付き流体圧シリンダーは、内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体と、シリンダー室内で軸方向に往復動自在に装着されたピストンと、ピストンに取り付けられ、シリンダー本体から外部に上記の軸方向に突出する外周面を有するピストンロッドと、シリンダー本体から外部に突出したピストンロッドの上記の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッドが出入りする側のシリンダー本体の一方端部に取り付けられたガイド装置とを備える。ガイド装置は、ピストンロッドを挿通可能な貫通孔を有するガイド本体と、ガイド本体の貫通孔に設けられ、ピストンロッドの外周面の上を上記の軸方向に転動可能な転動体とを含む。転動体がピストンロッドの外周面に密着して接触するようにガイド本体の貫通孔に設けられている。
【0007】
このように転動体がピストンロッドの外周面に対して隙間なく密着して接触するようにガイド本体の貫通孔に設けられているので、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッドがぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッドを軸方向に移動させることができる。これにより、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。
【0008】
また、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンとシリンダー室の内壁面とは直接接触することがなく、ピストンとシリンダー室の内壁面との間に介在するように配置されたOリングやパッキンの偏摩耗も少なく、オイルの内部漏れも発生し難い。
【0009】
なお、流体圧シリンダーが油圧シリンダーの場合には、ピストンロッドがシリンダー室の外部に突出して移動する度にシリンダー室内のオイルがピストンロッドの外周面に付着する。このため、ピストンロッドの外周面に密着して接触する転動体に潤滑油が自動的に供給されることになる。これにより、転動体の軸方向への転動を円滑にすることができる。
【0010】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ガイド本体の貫通孔の内側面には、上記の軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴が上記の軸方向に複数列形成されており、転動体がガイド本体の複数のポケット穴の各々に設けられ、ピストンロッドの外周面の上を上記の軸方向に転動可能であり、ガイド装置は、転動体を回転自在に支持する支持軸部材をさらに含むことが好ましい。
【0011】
このようにガイド装置を構成することにより、転動体とピストンロッドの外周面との接触面において実質的に差動すべりを発生させることがないように、ピストンロッドの軸方向に沿った移動を案内することができる。
【0012】
また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面を有し、転動体が、ピストンロッドの外周面に接触可能な凹状に湾曲する外周面を有することが好ましい。
【0013】
このようにガイド装置を構成することにより、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面であるピストンロッドの外周面と転動体の外周面との接触面積を増加させることができ、転動面の面圧を低減することができる。これにより、転動体の円滑な回転を確保することができる。
【0014】
あるいは、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、上記の軸方向に延びる複数の平面を含む外周面を有し、転動体が、ピストンロッドの平面に接触可能な円筒状の外周面を有するように構成されてもよい。
【0015】
このようにガイド装置を構成することにより、ピストンロッドの外周面の一部を構成する軸方向に延びる複数の平面の各々と転動体の円筒状の外周面とを接触させることができるので、シリンダー本体から外部に突出したピストンロッドが軸の周りに回るのを防止することができる。
【0016】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、転動体は、リテーナに挿入されたローラ等の転動体であってもよい。
【0017】
また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、転動体は、ガイド本体の内部で循環するボール、ローラ等の転動体であってもよい。
【0018】
上記のいずれかで転動体を構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。
【0019】
さらに、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、通しボルトを挿入可能な貫通孔が上記の軸方向に延びるようにガイド本体に形成され、通しボルトがシリンダー本体の一方端部に締め付け固定されることによって、ガイド装置がシリンダー本体に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、ガイド本体をシリンダー本体に一体化するように容易に取り付けることができ、またガイド本体をシリンダー本体から容易に取外しすることができる。
【0021】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、シリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部と、シリンダー室外に配置される第2のピストンロッド部とを含み、第1のピストンロッド部と第2のピストンロッド部は着脱可能に結合されていることが好ましい。
【0022】
このようにすることにより、自動機械の直動機構におけるガイドポストを第2のピストンロッド部で構成することができる。これにより、直動機構のガイドポストと流体圧シリンダのシリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部とを分離して構成することができる。また、第1と第2のピストンロッド部は、ネジ等により結合することによって、容易に一体化することができ、また容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、この発明によれば、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッドがぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッドを軸方向に移動させることができるので、流体圧シリンダーとは別に設けられた付加的なガイド装置を必要とすることがなく、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。このため、たとえば、流体圧シリンダーのピストンロッド自体の移動を用いて圧入やかしめ作業を行う自動機械の直動機構に、本発明のガイド装置付き流体圧シリンダーを採用すると、コンパクトな直動ガイド装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の一つの実施の形態としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図2は図1のII−II線に沿った方向から見た横断面図、図3は図2の矢印IIIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【0026】
図1に示すように、ガイド装置付き流体圧シリンダー100は、内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体としてのチューブ30と、チューブ30内で軸方向に往復動自在に装着されたピストン20と、ピストン20に取り付けられ、チューブ30から外部に突出する外周面を有するピストンロッド10と、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッド10が出入りする側のチューブ30の一方端部に取り付けられたガイド装置としての筒体ガイド70とを備える。
【0027】
チューブ30の他方端部には、内周壁面に雌ネジ部31が形成されている。ヘッドカバー50は、チューブ30の他方端部の開口を塞ぐように配置され、雌ねじ部31に螺合する雄ネジ部51が形成されている。ヘッドカバー50の中央部にはポート穴53が形成され、流体を供給または放出するための器具が取り付けられるように雌ねじ部52が形成されている。チューブ30の内周面とヘッドカバー50の外周面との間にはOリング54が介在するように嵌め入れられている。
【0028】
ピストンロッド10の他方端部には雄ねじ部11が形成されている。ピストン20の中央部にはピストンロッド10を挿入し、締め付け固定するための雌ねじ部23が形成されている。ピストンロッド10の他方端部の外周面とピストン20の内周面との間には、Oリング12が介在するように配置されている。ピストン20の外周面とチューブ30の内周面との間にはウェアリング21が介在するように嵌め入れられ、ウェアリング21の両側にはUパッキン22が嵌め入れられている。
【0029】
チューブ30の一方端部にはロッドカバー40が挿入され、その挿入箇所にてチューブ30の内周面とロッドカバー40の外周面との間にはOリング41が介在するように嵌め入れられている。ロッドカバー40の外周面ににはポート穴43が形成され、流体を供給または放出するための器具が取り付けられるようになっている。ロッドカバー40の内周面とピストンロッド10の外周面との間にはメタルブッシュ60が介在するように嵌め入れられている。メタルブッシュ60の他方端部側面とロッドカバー40の内周中央側面との間にはUパッキン62が介在するように嵌め入れられ、メタルブッシュ60の一方端部の内周面とピストンロッド10の外周面との間にはダストシール61が嵌め入れられている。
【0030】
以上のように構成された流体圧シリンダーにおいて、ピストン20はウェアリング21によってチューブ30内に保持されているが、ピストン20の内周面とピストンロッド10の外周面との間には、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在する。また、ピストンロッド10がチューブ30から出入りする側では、ロッドカバー40とピストンロッド10との間にメタルブッシュ60が介在するように配置されているが、このメタルブッシュ60とピストンロッド10との間には、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在する。このように流体圧シリンダーでは、ピストンロッド10は、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在するようにチューブ30に対して組み込まれている。
【0031】
このため、ピストンロッド10がチューブ30から外部に突出した前進限の位置にあるとき(図1では後退限の位置を示している)、ピストンロッド10に、矢印Pで示すように軸方向と直交する方向から荷重が加えられた場合、上記のクリアランスの存在により、ピストンロッド10がぐらぐらとがたつく。その結果、ピストンロッド10の軸方向に沿った移動は直進性に劣るという問題がある。
【0032】
そこで、この発明の一つの実施の形態では、ピストンロッドの直進性を向上させるために、ガイド装置としての筒体ガイド70が、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッド10が出入りする側のチューブ30の一方端部に取り付けられている。ピストンロッド10の一方端部には、流体圧シリンダーを用いて直進移動させるための対象部材が取り付けられるように雄ねじ部13が形成されている。
【0033】
図1〜図3に示すように、筒体ガイド70は、ピストンロッド10を挿通可能な貫通孔70bを有するガイド本体70aと、ガイド本体70aの貫通孔70bに設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を転動可能な円筒状の転動体としてニードルベアリング80の外輪81とを備えている。ニードルベアリング80の外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aに密着して接触するようにガイド本体70aの貫通孔70bに設けられている。たとえば、ニードルベアリング80とピストンロッド10とが与圧状態で組み込まれることによって、ピストンロッド10の外周面10aとニードルベアリング80の外輪81との間には隙間が存在しない。
【0034】
具体的には、ガイド本体70aの貫通孔70bの内側面には、軸方向と直交する平面内で周方向に複数のポケット穴73が軸方向に複数列形成され、ニードルベアリング80の外輪81がガイド本体70aの複数のポケット穴73の各々に設けられている。外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向に転動可能であり、支持軸部材83によって回転自在に支持されている。
【0035】
図1〜図3に示す例では、ポケット穴73が周方向に60度間隔で6個形成されているが、たとえば、120度間隔で3個のポケット穴を設けるようにしてもよく、ポケット穴の個数は、ピストンロッド10の直径や筒体ガイド70の負荷荷重等に応じて適宜設定される。また、図1〜図3に示す例では、周方向に6個のポケット穴73が配置され、その6個のポケット穴73が軸方向に2列形成されているが、ピストンロッド10がチューブ30から外部に突出する前進限までの長さ等に応じて適宜設定される。
【0036】
図3に示すように、ニードルベアリング80は、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向(図3の紙面に垂直な方向)に転動する円筒状の外輪81と、外輪81の内周側に配置され、各々が回転自在に支持された複数のニードルローラ82とから構成される。ニードルベアリング80は、支持軸部材83により支持されている。このように構成されているので、外輪81は支持軸部材83の周りを回転自在に転動できるようになっている。支持軸部材83は、ガイド本体70aの内部においてポケット穴73に形成された支持穴内に挿入されている。
【0037】
図3に示す実施の形態では、ピストンロッド10は、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面10aを有する。外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aに接触可能な凹状に湾曲する外周面81aを有する。外周面81aを形成する曲面は、ピストンロッド10の外周面を形成する曲面よりも大きな曲率半径を有する。
【0038】
図1〜図2に示すように、ニードルベアリング80が配置されるガイド本体70aの箇所の周方向の間には、複数個の貫通孔71が、この例では6個の貫通孔71が軸方向に延びるように形成されている。貫通孔71の各々には、通しボルト72が挿入される。通しボルト72の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部42がロッドカバー40の一方側面に形成されている。通しボルト72がロッドカバー40の一方側面に締め付け固定されることによって、ガイド本体70aがロッドカバー40に固着され、これにより、ガイド装置としての筒体ガイド70がシリンダー本体としてのチューブ30に取り付けられている。
【0039】
なお、図1に示していないが、ニードルベアリング80が配置されるガイド本体70のポケット穴73において、ガイド本体70は、軸方向と直交する断面で分割されるように構成されるのが好ましい。このように構成することにより、ガイド本体70を構成する分割された複数の部材を軸方向に積み重ねることによって、チューブ30の外部に突出するピストンロッド10の長さに応じて長尺のガイド本体70を容易に製作することができるようになる。また、貫通孔70bに対しては軸方向に高精度の加工が要求されるが、その高精度の加工が可能な程度にガイド本体70を分割して構成することによって、貫通孔70bの加工を高精度で行うことができる。
【0040】
以上のように構成された本発明の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100では、次のような作用効果を得ることができる。
【0041】
(1)外輪81がピストンロッド10の外周面10aに対して隙間なく密着して接触するようにガイド本体70aの貫通孔70bに設けられているので、ピストンロッド10がチューブ30から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッド10に軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッド10がぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッド10を軸方向に移動させることができる。これにより、ピストンロッド10の直進性を向上させることができる。したがって、流体圧シリンダーとは別に付加的なガイド装置を設ける必要がなく、ピストンロッド10の直進性を向上させることができるので、たとえば、流体圧シリンダーのピストンロッド10自体の移動を用いて圧入やかしめ作業を行う自動機械の直動機構に、本発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100を採用すると、コンパクトな直動ガイド装置を構成することができる。
【0042】
(2)また、ピストンロッド10がチューブ30から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッド10に軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストン20とチューブ30の内壁面とが直接接触することがなく、ピストン20とチューブ30の内壁面との間に介在するように配置されたUパッキン22の偏摩耗も少なく、オイルの内部漏れも発生し難い。
【0043】
(3)なお、流体圧シリンダーが油圧シリンダーの場合には、ピストンロッド10がチューブ30の外部に突出して移動する度にチューブ30内のオイルがピストンロッド10の外周面に付着する。このため、ピストンロッド10の外周面に密着して接触する外輪81に潤滑油が自動的に供給されることになる。これにより、外輪81の軸方向への転動を円滑にすることができる。
【0044】
(4)この発明の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、ガイド本体70aの貫通孔70bの内側面には、上記の軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴73が上記の軸方向に複数列形成されており、ニードルベアリング80の外輪81がガイド本体70aの複数のポケット穴73の各々に設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を上記の軸方向に転動可能であり、筒体ガイド70は、外輪81を回転自在に支持する支持軸部材83をさらに含む。このようにガイド装置を構成することにより、外輪81とピストンロッド10の外周面10aとの接触面において実質的に差動すべりを発生させることがないように、ピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内することができる。
【0045】
(5)また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、ピストンロッド10は、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面10aを有し、外輪81がピストンロッド10の外周面10aに接触可能な凹状に湾曲する外周面81aを有する。このようにガイド装置を構成することにより、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面であるピストンロッド10の外周面10aと外輪81の外周面81aとの接触面積を増加させることができ、転動面の面圧を低減することができる。これにより、外輪81の円滑な回転を確保することができる。
【0046】
(6)さらに、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、通しボルト72を挿入可能な貫通孔71が上記の軸方向に延びるようにガイド本体70aに形成され、通しボルト72がチューブ30の一方端部に締め付け固定されることによって、筒体ガイド70がチューブ30に取り付けられている。このようにすることにより、ガイド本体70aをチューブ30に一体化するように容易に取り付けることができ、またガイド本体70aをチューブ30から容易に取外しすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図4は本発明のもう一つの実施の形態としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図5は図4のV−V線に沿った方向から見た横断面図、図6は図5の矢印VIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【0048】
図4〜図6に示すように、この発明の実施の形態2のガイド装置付き流体圧シリンダー200において、ピストンロッド90は、軸方向に延びる複数の平面90aを含む外周面を有し、転動体としてのニードルベアリング80の外輪84がピストンロッド90の平面90aに接触可能な円筒状の外周面84aを有するように構成されている。ピストンロッド90の外周面を構成する複数の平面90aの間には、円筒面状の曲面90bが配置されている。ピストンロッド90の他方端部には雄ねじ部91が形成されている。ピストンロッド90の他方端部の外周面とピストン20の内周面との間には、Oリング92が介在するように配置されている。ピストンロッド90の一方端部には、流体圧シリンダーを用いて直進移動させるための対象部材が取り付けられるように雄ねじ部93が形成されている。
【0049】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー200における他の構成は、図1〜図3に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0050】
このようにガイド装置を構成することにより、上記の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100によって得られる作用効果(1)〜(4)および(6)に加えて、次の作用効果を得ることができる。
【0051】
(7)ピストンロッド90の外周面の一部を構成する軸方向に延びる複数の平面90aの各々と転動体としての外輪84の円筒状の外周面84aとを接触させることができるので、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10が軸の周りに回るのを防止することができる。
【0052】
(実施の形態3)
図7は本発明のさらにもう一つの実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図8は本発明のさらにもう一つの実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。なお、図7のII−II線に沿った方向から見た横断面図は図2に相当する。
【0053】
図7〜図8に示すように、この発明の実施の形態3のガイド装置付き流体圧シリンダー300において、ピストンロッド10は、シリンダー室としてのチューブ30の内部に配置される第1のピストンロッド部101と、チューブ30の外部に配置される第2のピストンロッド部102とを含み、第1のピストンロッド部101と第2のピストンロッド部102は着脱可能に結合されている。第1のピストンロッド部101の一方端部には雄ねじ部101aが形成され、第2のピストンロッド部102の他方端部には雄ねじ部101aに螺合する雌ねじ部102aが形成されている。
【0054】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー300における他の構成は、図1〜図3に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0055】
このようにピストンロッドを構成することにより、上記の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100によって得られる作用効果(1)〜(6)に加えて、次の作用効果を得ることができる。
【0056】
(8)自動機械の直動機構におけるガイドポストを第2のピストンロッド部102で構成することができる。これにより、直動機構のガイドポストと流体圧シリンダ300のチューブ30の内部に配置される第1のピストンロッド部101とを分離して構成することができる。また、第1と第2のピストンロッド部101、102は、ネジにより結合することによって、容易に一体化することができ、また容易に分離することができる。
【0057】
(実施の形態4)
図9は本発明のさらに別の実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図10は本発明のさらに別の実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【0058】
図9〜図10に示すように、この発明の実施の形態4のガイド装置付き流体圧シリンダー400においては、実施の形態2におけるニードルベアリング80の代わりに、ガイド本体710の貫通孔にリテーナ720が挿入されて設けられている。リテーナ720は、ローラ保持筒722と、ローラ保持筒722の外周面に複数のローラ保持穴が軸方向に配列されるように形成され、その複数のローラ保持穴に保持された複数個のニードルローラ721とから構成される。ニードルローラ721は、ピストンロッド90の外周面の一部を構成する平面90aに密着して接触し、平面90aの上を軸方向に転動可能であり、ローラ保持筒722によって回転自在に支持されている。なお、このようなリテーナ720は、いわゆる「リテーナ式ローラガイド」と呼ばれ、この詳細な構造は、たとえば、特許第3258896号公報、特許第3601856号公報に記載されている。
【0059】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー400における他の構成は、図4に示される実施の形態2のガイド装置付き流体圧シリンダー200と同様である。
【0060】
このように、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー400において、ガイド装置を構成する転動体を、リテーナ720に挿入されたローラ等の転動体で構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができ、上記の作用効果(1)〜(3)、(6)および(7)を達成することができる。
【0061】
(実施の形態5)
図11は本発明のさらにまた別の実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図12は本発明のさらにまた別の実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【0062】
図11〜図12に示すように、この発明の実施の形態5のガイド装置付き流体圧シリンダー500においては、実施の形態1におけるニードルベアリング80の代わりに、ガイド本体730の内部で循環する複数個のボール740が挿入されて設けられている。ボール740は、ピストンロッド10の外周面10aに密着して接触し、外周面10aの上を軸方向に転動可能であり、ガイド本体730によって回転自在に支持されている。なお、このようなガイド装置は、いわゆる「循環式ボールガイド」と呼ばれる。
【0063】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー500における他の構成は、図1に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0064】
このように、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ガイド本体730の内部で循環するボール等の転動体で構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができ、上記の作用効果(1)〜(3)および(6)を達成することができる。
【0065】
また、上記の実施の形態5では、転動体としてボール740を用いているが、ボールの代わりにローラを用いてガイド装置を構成してもよい。この場合、ピストンロッド10の代わりに、実施の形態2のように外周面の一部が平面90aで構成されるピストンロッド90が用いられる。このとき、上記の作用効果(7)を達成することができる。このようなガイド装置は、いわゆる「循環式ローラガイド」と呼ばれ、この詳細な構造は、たとえば、特開2002−174236号公報に記載されている。
【0066】
なお、以上の実施の形態1〜5に示された構成要素を種々組み合わせることにより、ガイド装置付き流体圧シリンダーを構成してもよい。本発明のガイド装置付き流体圧シリンダーは、空気圧シリンダーまたは油圧シリンダーのいずれにも適用することができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った方向から見た横断面図である。
【図3】図2の矢印IIIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った方向から見た横断面図である。
【図6】図5の矢印VIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図8】本発明の実施の形態3として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図9】本発明の実施の形態4として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図10】本発明の実施の形態4として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図11】本発明の実施の形態5として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図12】本発明の実施の形態5として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
【0069】
100,200,300,400,500:ガイド装置付き流体圧シリンダー、10,90:ピストンロッド、10a:外周面、90a:平面、20:ピストン、30:チューブ、70:筒体ガイド、70a,710,730:ガイド本体、70b:貫通孔、71:貫通孔、72:通しボルト、73:ポケット穴、80:ニードルベアリング、81,84:外輪、81a,84a:外周面、83:支持軸部材、101:第1のピストンロッド部、102:第2のピストンロッド部、720:リテーナ、721:ニードルローラ、740:ボール。
【技術分野】
【0001】
この発明は、一般的には流体圧シリンダーに関し、特定的には流体圧力によりシリンダー本体から外部に軸方向に突出するピストンロッドの移動を案内する装置が取り付けられたガイド装置付き流体圧シリンダーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気圧または油圧により作動する往復動アクチュエータとして流体圧シリンダーがあり、直動駆動源として、生産ラインを構成する自動加工機械等の各種産業機械に広く使用されている。たとえば、特開2004−232663号公報(特許文献1)に開示されているように、流体圧シリンダーは、流体圧により直線方向に往復動するピストンを収容するシリンダーチューブと、ピストンに取り付けられ、シリンダーチューブの端面から外部に突出するピストンロッドと、シリンダーチューブの端面に装着されるロッドカバーとを備える。
【0003】
このように構成された流体圧シリンダーにおいて、ピストンはウェアリングによってシリンダー室内に保持されているが、ピストンとピストンロッドとの間には、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在する。また、ピストンロッドがシリンダー本体から出入りする側では、ロッドカバーとピストンロッドとの間にメタルブッシュが介在するように配置されている。このメタルブッシュとピストンロッドとの間には、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在する。
【特許文献1】特開2004−232663号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記のように従来の流体圧シリンダーでは、ピストンロッドは、たとえば、0.1mm程度のクリアランスが存在するようにシリンダー本体に対して組み込まれている。このため、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に突出した前進限の位置にあるとき、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられた場合、上記のクリアランスの存在により、ピストンロッドがぐらぐらとがたつく。その結果、ピストンロッドの軸方向に沿った移動は直進性に劣るという問題がある。
【0005】
そこで、この発明の目的は、ピストンロッドの直進性を向上させることが可能なガイド装置付き流体圧シリンダーを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に従ったガイド装置付き流体圧シリンダーは、内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体と、シリンダー室内で軸方向に往復動自在に装着されたピストンと、ピストンに取り付けられ、シリンダー本体から外部に上記の軸方向に突出する外周面を有するピストンロッドと、シリンダー本体から外部に突出したピストンロッドの上記の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッドが出入りする側のシリンダー本体の一方端部に取り付けられたガイド装置とを備える。ガイド装置は、ピストンロッドを挿通可能な貫通孔を有するガイド本体と、ガイド本体の貫通孔に設けられ、ピストンロッドの外周面の上を上記の軸方向に転動可能な転動体とを含む。転動体がピストンロッドの外周面に密着して接触するようにガイド本体の貫通孔に設けられている。
【0007】
このように転動体がピストンロッドの外周面に対して隙間なく密着して接触するようにガイド本体の貫通孔に設けられているので、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッドがぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッドを軸方向に移動させることができる。これにより、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。
【0008】
また、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンとシリンダー室の内壁面とは直接接触することがなく、ピストンとシリンダー室の内壁面との間に介在するように配置されたOリングやパッキンの偏摩耗も少なく、オイルの内部漏れも発生し難い。
【0009】
なお、流体圧シリンダーが油圧シリンダーの場合には、ピストンロッドがシリンダー室の外部に突出して移動する度にシリンダー室内のオイルがピストンロッドの外周面に付着する。このため、ピストンロッドの外周面に密着して接触する転動体に潤滑油が自動的に供給されることになる。これにより、転動体の軸方向への転動を円滑にすることができる。
【0010】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ガイド本体の貫通孔の内側面には、上記の軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴が上記の軸方向に複数列形成されており、転動体がガイド本体の複数のポケット穴の各々に設けられ、ピストンロッドの外周面の上を上記の軸方向に転動可能であり、ガイド装置は、転動体を回転自在に支持する支持軸部材をさらに含むことが好ましい。
【0011】
このようにガイド装置を構成することにより、転動体とピストンロッドの外周面との接触面において実質的に差動すべりを発生させることがないように、ピストンロッドの軸方向に沿った移動を案内することができる。
【0012】
また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面を有し、転動体が、ピストンロッドの外周面に接触可能な凹状に湾曲する外周面を有することが好ましい。
【0013】
このようにガイド装置を構成することにより、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面であるピストンロッドの外周面と転動体の外周面との接触面積を増加させることができ、転動面の面圧を低減することができる。これにより、転動体の円滑な回転を確保することができる。
【0014】
あるいは、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、上記の軸方向に延びる複数の平面を含む外周面を有し、転動体が、ピストンロッドの平面に接触可能な円筒状の外周面を有するように構成されてもよい。
【0015】
このようにガイド装置を構成することにより、ピストンロッドの外周面の一部を構成する軸方向に延びる複数の平面の各々と転動体の円筒状の外周面とを接触させることができるので、シリンダー本体から外部に突出したピストンロッドが軸の周りに回るのを防止することができる。
【0016】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、転動体は、リテーナに挿入されたローラ等の転動体であってもよい。
【0017】
また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、転動体は、ガイド本体の内部で循環するボール、ローラ等の転動体であってもよい。
【0018】
上記のいずれかで転動体を構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。
【0019】
さらに、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、通しボルトを挿入可能な貫通孔が上記の軸方向に延びるようにガイド本体に形成され、通しボルトがシリンダー本体の一方端部に締め付け固定されることによって、ガイド装置がシリンダー本体に取り付けられていることが好ましい。
【0020】
このようにすることにより、ガイド本体をシリンダー本体に一体化するように容易に取り付けることができ、またガイド本体をシリンダー本体から容易に取外しすることができる。
【0021】
この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ピストンロッドは、シリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部と、シリンダー室外に配置される第2のピストンロッド部とを含み、第1のピストンロッド部と第2のピストンロッド部は着脱可能に結合されていることが好ましい。
【0022】
このようにすることにより、自動機械の直動機構におけるガイドポストを第2のピストンロッド部で構成することができる。これにより、直動機構のガイドポストと流体圧シリンダのシリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部とを分離して構成することができる。また、第1と第2のピストンロッド部は、ネジ等により結合することによって、容易に一体化することができ、また容易に分離することができる。
【発明の効果】
【0023】
以上のように、この発明によれば、ピストンロッドがシリンダー本体から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッドに軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッドがぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッドを軸方向に移動させることができるので、流体圧シリンダーとは別に設けられた付加的なガイド装置を必要とすることがなく、ピストンロッドの直進性を向上させることができる。このため、たとえば、流体圧シリンダーのピストンロッド自体の移動を用いて圧入やかしめ作業を行う自動機械の直動機構に、本発明のガイド装置付き流体圧シリンダーを採用すると、コンパクトな直動ガイド装置を構成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
(実施の形態1)
図1は本発明の一つの実施の形態としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図2は図1のII−II線に沿った方向から見た横断面図、図3は図2の矢印IIIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【0026】
図1に示すように、ガイド装置付き流体圧シリンダー100は、内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体としてのチューブ30と、チューブ30内で軸方向に往復動自在に装着されたピストン20と、ピストン20に取り付けられ、チューブ30から外部に突出する外周面を有するピストンロッド10と、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッド10が出入りする側のチューブ30の一方端部に取り付けられたガイド装置としての筒体ガイド70とを備える。
【0027】
チューブ30の他方端部には、内周壁面に雌ネジ部31が形成されている。ヘッドカバー50は、チューブ30の他方端部の開口を塞ぐように配置され、雌ねじ部31に螺合する雄ネジ部51が形成されている。ヘッドカバー50の中央部にはポート穴53が形成され、流体を供給または放出するための器具が取り付けられるように雌ねじ部52が形成されている。チューブ30の内周面とヘッドカバー50の外周面との間にはOリング54が介在するように嵌め入れられている。
【0028】
ピストンロッド10の他方端部には雄ねじ部11が形成されている。ピストン20の中央部にはピストンロッド10を挿入し、締め付け固定するための雌ねじ部23が形成されている。ピストンロッド10の他方端部の外周面とピストン20の内周面との間には、Oリング12が介在するように配置されている。ピストン20の外周面とチューブ30の内周面との間にはウェアリング21が介在するように嵌め入れられ、ウェアリング21の両側にはUパッキン22が嵌め入れられている。
【0029】
チューブ30の一方端部にはロッドカバー40が挿入され、その挿入箇所にてチューブ30の内周面とロッドカバー40の外周面との間にはOリング41が介在するように嵌め入れられている。ロッドカバー40の外周面ににはポート穴43が形成され、流体を供給または放出するための器具が取り付けられるようになっている。ロッドカバー40の内周面とピストンロッド10の外周面との間にはメタルブッシュ60が介在するように嵌め入れられている。メタルブッシュ60の他方端部側面とロッドカバー40の内周中央側面との間にはUパッキン62が介在するように嵌め入れられ、メタルブッシュ60の一方端部の内周面とピストンロッド10の外周面との間にはダストシール61が嵌め入れられている。
【0030】
以上のように構成された流体圧シリンダーにおいて、ピストン20はウェアリング21によってチューブ30内に保持されているが、ピストン20の内周面とピストンロッド10の外周面との間には、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在する。また、ピストンロッド10がチューブ30から出入りする側では、ロッドカバー40とピストンロッド10との間にメタルブッシュ60が介在するように配置されているが、このメタルブッシュ60とピストンロッド10との間には、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在する。このように流体圧シリンダーでは、ピストンロッド10は、一例として、0.1mm程度のクリアランスが存在するようにチューブ30に対して組み込まれている。
【0031】
このため、ピストンロッド10がチューブ30から外部に突出した前進限の位置にあるとき(図1では後退限の位置を示している)、ピストンロッド10に、矢印Pで示すように軸方向と直交する方向から荷重が加えられた場合、上記のクリアランスの存在により、ピストンロッド10がぐらぐらとがたつく。その結果、ピストンロッド10の軸方向に沿った移動は直進性に劣るという問題がある。
【0032】
そこで、この発明の一つの実施の形態では、ピストンロッドの直進性を向上させるために、ガイド装置としての筒体ガイド70が、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内するためにピストンロッド10が出入りする側のチューブ30の一方端部に取り付けられている。ピストンロッド10の一方端部には、流体圧シリンダーを用いて直進移動させるための対象部材が取り付けられるように雄ねじ部13が形成されている。
【0033】
図1〜図3に示すように、筒体ガイド70は、ピストンロッド10を挿通可能な貫通孔70bを有するガイド本体70aと、ガイド本体70aの貫通孔70bに設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を転動可能な円筒状の転動体としてニードルベアリング80の外輪81とを備えている。ニードルベアリング80の外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aに密着して接触するようにガイド本体70aの貫通孔70bに設けられている。たとえば、ニードルベアリング80とピストンロッド10とが与圧状態で組み込まれることによって、ピストンロッド10の外周面10aとニードルベアリング80の外輪81との間には隙間が存在しない。
【0034】
具体的には、ガイド本体70aの貫通孔70bの内側面には、軸方向と直交する平面内で周方向に複数のポケット穴73が軸方向に複数列形成され、ニードルベアリング80の外輪81がガイド本体70aの複数のポケット穴73の各々に設けられている。外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向に転動可能であり、支持軸部材83によって回転自在に支持されている。
【0035】
図1〜図3に示す例では、ポケット穴73が周方向に60度間隔で6個形成されているが、たとえば、120度間隔で3個のポケット穴を設けるようにしてもよく、ポケット穴の個数は、ピストンロッド10の直径や筒体ガイド70の負荷荷重等に応じて適宜設定される。また、図1〜図3に示す例では、周方向に6個のポケット穴73が配置され、その6個のポケット穴73が軸方向に2列形成されているが、ピストンロッド10がチューブ30から外部に突出する前進限までの長さ等に応じて適宜設定される。
【0036】
図3に示すように、ニードルベアリング80は、ピストンロッド10の外周面10aの上を軸方向(図3の紙面に垂直な方向)に転動する円筒状の外輪81と、外輪81の内周側に配置され、各々が回転自在に支持された複数のニードルローラ82とから構成される。ニードルベアリング80は、支持軸部材83により支持されている。このように構成されているので、外輪81は支持軸部材83の周りを回転自在に転動できるようになっている。支持軸部材83は、ガイド本体70aの内部においてポケット穴73に形成された支持穴内に挿入されている。
【0037】
図3に示す実施の形態では、ピストンロッド10は、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面10aを有する。外輪81は、ピストンロッド10の外周面10aに接触可能な凹状に湾曲する外周面81aを有する。外周面81aを形成する曲面は、ピストンロッド10の外周面を形成する曲面よりも大きな曲率半径を有する。
【0038】
図1〜図2に示すように、ニードルベアリング80が配置されるガイド本体70aの箇所の周方向の間には、複数個の貫通孔71が、この例では6個の貫通孔71が軸方向に延びるように形成されている。貫通孔71の各々には、通しボルト72が挿入される。通しボルト72の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部42がロッドカバー40の一方側面に形成されている。通しボルト72がロッドカバー40の一方側面に締め付け固定されることによって、ガイド本体70aがロッドカバー40に固着され、これにより、ガイド装置としての筒体ガイド70がシリンダー本体としてのチューブ30に取り付けられている。
【0039】
なお、図1に示していないが、ニードルベアリング80が配置されるガイド本体70のポケット穴73において、ガイド本体70は、軸方向と直交する断面で分割されるように構成されるのが好ましい。このように構成することにより、ガイド本体70を構成する分割された複数の部材を軸方向に積み重ねることによって、チューブ30の外部に突出するピストンロッド10の長さに応じて長尺のガイド本体70を容易に製作することができるようになる。また、貫通孔70bに対しては軸方向に高精度の加工が要求されるが、その高精度の加工が可能な程度にガイド本体70を分割して構成することによって、貫通孔70bの加工を高精度で行うことができる。
【0040】
以上のように構成された本発明の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100では、次のような作用効果を得ることができる。
【0041】
(1)外輪81がピストンロッド10の外周面10aに対して隙間なく密着して接触するようにガイド本体70aの貫通孔70bに設けられているので、ピストンロッド10がチューブ30から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッド10に軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストンロッド10がぐらぐらがたつくことがなく、ピストンロッド10を軸方向に移動させることができる。これにより、ピストンロッド10の直進性を向上させることができる。したがって、流体圧シリンダーとは別に付加的なガイド装置を設ける必要がなく、ピストンロッド10の直進性を向上させることができるので、たとえば、流体圧シリンダーのピストンロッド10自体の移動を用いて圧入やかしめ作業を行う自動機械の直動機構に、本発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100を採用すると、コンパクトな直動ガイド装置を構成することができる。
【0042】
(2)また、ピストンロッド10がチューブ30から外部に軸方向に前進限まで突出したときに、ピストンロッド10に軸方向と直交する方向から荷重が加えられても、ピストン20とチューブ30の内壁面とが直接接触することがなく、ピストン20とチューブ30の内壁面との間に介在するように配置されたUパッキン22の偏摩耗も少なく、オイルの内部漏れも発生し難い。
【0043】
(3)なお、流体圧シリンダーが油圧シリンダーの場合には、ピストンロッド10がチューブ30の外部に突出して移動する度にチューブ30内のオイルがピストンロッド10の外周面に付着する。このため、ピストンロッド10の外周面に密着して接触する外輪81に潤滑油が自動的に供給されることになる。これにより、外輪81の軸方向への転動を円滑にすることができる。
【0044】
(4)この発明の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、ガイド本体70aの貫通孔70bの内側面には、上記の軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴73が上記の軸方向に複数列形成されており、ニードルベアリング80の外輪81がガイド本体70aの複数のポケット穴73の各々に設けられ、ピストンロッド10の外周面10aの上を上記の軸方向に転動可能であり、筒体ガイド70は、外輪81を回転自在に支持する支持軸部材83をさらに含む。このようにガイド装置を構成することにより、外輪81とピストンロッド10の外周面10aとの接触面において実質的に差動すべりを発生させることがないように、ピストンロッド10の軸方向に沿った移動を案内することができる。
【0045】
(5)また、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、ピストンロッド10は、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面10aを有し、外輪81がピストンロッド10の外周面10aに接触可能な凹状に湾曲する外周面81aを有する。このようにガイド装置を構成することにより、軸方向と直交する断面がほぼ円形断面であるピストンロッド10の外周面10aと外輪81の外周面81aとの接触面積を増加させることができ、転動面の面圧を低減することができる。これにより、外輪81の円滑な回転を確保することができる。
【0046】
(6)さらに、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー100において、通しボルト72を挿入可能な貫通孔71が上記の軸方向に延びるようにガイド本体70aに形成され、通しボルト72がチューブ30の一方端部に締め付け固定されることによって、筒体ガイド70がチューブ30に取り付けられている。このようにすることにより、ガイド本体70aをチューブ30に一体化するように容易に取り付けることができ、またガイド本体70aをチューブ30から容易に取外しすることができる。
【0047】
(実施の形態2)
図4は本発明のもう一つの実施の形態としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図5は図4のV−V線に沿った方向から見た横断面図、図6は図5の矢印VIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【0048】
図4〜図6に示すように、この発明の実施の形態2のガイド装置付き流体圧シリンダー200において、ピストンロッド90は、軸方向に延びる複数の平面90aを含む外周面を有し、転動体としてのニードルベアリング80の外輪84がピストンロッド90の平面90aに接触可能な円筒状の外周面84aを有するように構成されている。ピストンロッド90の外周面を構成する複数の平面90aの間には、円筒面状の曲面90bが配置されている。ピストンロッド90の他方端部には雄ねじ部91が形成されている。ピストンロッド90の他方端部の外周面とピストン20の内周面との間には、Oリング92が介在するように配置されている。ピストンロッド90の一方端部には、流体圧シリンダーを用いて直進移動させるための対象部材が取り付けられるように雄ねじ部93が形成されている。
【0049】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー200における他の構成は、図1〜図3に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0050】
このようにガイド装置を構成することにより、上記の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100によって得られる作用効果(1)〜(4)および(6)に加えて、次の作用効果を得ることができる。
【0051】
(7)ピストンロッド90の外周面の一部を構成する軸方向に延びる複数の平面90aの各々と転動体としての外輪84の円筒状の外周面84aとを接触させることができるので、チューブ30から外部に突出したピストンロッド10が軸の周りに回るのを防止することができる。
【0052】
(実施の形態3)
図7は本発明のさらにもう一つの実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図8は本発明のさらにもう一つの実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。なお、図7のII−II線に沿った方向から見た横断面図は図2に相当する。
【0053】
図7〜図8に示すように、この発明の実施の形態3のガイド装置付き流体圧シリンダー300において、ピストンロッド10は、シリンダー室としてのチューブ30の内部に配置される第1のピストンロッド部101と、チューブ30の外部に配置される第2のピストンロッド部102とを含み、第1のピストンロッド部101と第2のピストンロッド部102は着脱可能に結合されている。第1のピストンロッド部101の一方端部には雄ねじ部101aが形成され、第2のピストンロッド部102の他方端部には雄ねじ部101aに螺合する雌ねじ部102aが形成されている。
【0054】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー300における他の構成は、図1〜図3に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0055】
このようにピストンロッドを構成することにより、上記の実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100によって得られる作用効果(1)〜(6)に加えて、次の作用効果を得ることができる。
【0056】
(8)自動機械の直動機構におけるガイドポストを第2のピストンロッド部102で構成することができる。これにより、直動機構のガイドポストと流体圧シリンダ300のチューブ30の内部に配置される第1のピストンロッド部101とを分離して構成することができる。また、第1と第2のピストンロッド部101、102は、ネジにより結合することによって、容易に一体化することができ、また容易に分離することができる。
【0057】
(実施の形態4)
図9は本発明のさらに別の実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図10は本発明のさらに別の実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【0058】
図9〜図10に示すように、この発明の実施の形態4のガイド装置付き流体圧シリンダー400においては、実施の形態2におけるニードルベアリング80の代わりに、ガイド本体710の貫通孔にリテーナ720が挿入されて設けられている。リテーナ720は、ローラ保持筒722と、ローラ保持筒722の外周面に複数のローラ保持穴が軸方向に配列されるように形成され、その複数のローラ保持穴に保持された複数個のニードルローラ721とから構成される。ニードルローラ721は、ピストンロッド90の外周面の一部を構成する平面90aに密着して接触し、平面90aの上を軸方向に転動可能であり、ローラ保持筒722によって回転自在に支持されている。なお、このようなリテーナ720は、いわゆる「リテーナ式ローラガイド」と呼ばれ、この詳細な構造は、たとえば、特許第3258896号公報、特許第3601856号公報に記載されている。
【0059】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー400における他の構成は、図4に示される実施の形態2のガイド装置付き流体圧シリンダー200と同様である。
【0060】
このように、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダー400において、ガイド装置を構成する転動体を、リテーナ720に挿入されたローラ等の転動体で構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができ、上記の作用効果(1)〜(3)、(6)および(7)を達成することができる。
【0061】
(実施の形態5)
図11は本発明のさらにまた別の実施の形態として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図、図12は本発明のさらにまた別の実施の形態として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【0062】
図11〜図12に示すように、この発明の実施の形態5のガイド装置付き流体圧シリンダー500においては、実施の形態1におけるニードルベアリング80の代わりに、ガイド本体730の内部で循環する複数個のボール740が挿入されて設けられている。ボール740は、ピストンロッド10の外周面10aに密着して接触し、外周面10aの上を軸方向に転動可能であり、ガイド本体730によって回転自在に支持されている。なお、このようなガイド装置は、いわゆる「循環式ボールガイド」と呼ばれる。
【0063】
なお、ガイド装置付き流体圧シリンダー500における他の構成は、図1に示される実施の形態1のガイド装置付き流体圧シリンダー100と同様である。
【0064】
このように、この発明のガイド装置付き流体圧シリンダーにおいて、ガイド本体730の内部で循環するボール等の転動体で構成しても、ピストンロッドの直進性を向上させることができ、上記の作用効果(1)〜(3)および(6)を達成することができる。
【0065】
また、上記の実施の形態5では、転動体としてボール740を用いているが、ボールの代わりにローラを用いてガイド装置を構成してもよい。この場合、ピストンロッド10の代わりに、実施の形態2のように外周面の一部が平面90aで構成されるピストンロッド90が用いられる。このとき、上記の作用効果(7)を達成することができる。このようなガイド装置は、いわゆる「循環式ローラガイド」と呼ばれ、この詳細な構造は、たとえば、特開2002−174236号公報に記載されている。
【0066】
なお、以上の実施の形態1〜5に示された構成要素を種々組み合わせることにより、ガイド装置付き流体圧シリンダーを構成してもよい。本発明のガイド装置付き流体圧シリンダーは、空気圧シリンダーまたは油圧シリンダーのいずれにも適用することができる。
【0067】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正と変形を含むものであることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明の実施の形態1としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図2】図1のII−II線に沿った方向から見た横断面図である。
【図3】図2の矢印IIIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【図4】本発明の実施の形態2としてのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図5】図4のV−V線に沿った方向から見た横断面図である。
【図6】図5の矢印VIで示す箇所を拡大して示す部分拡大横断面図である。
【図7】本発明の実施の形態3として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図8】本発明の実施の形態3として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図9】本発明の実施の形態4として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図10】本発明の実施の形態4として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図11】本発明の実施の形態5として、ピストンロッドがほぼ後退限の位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【図12】本発明の実施の形態5として、ピストンロッドが前進した位置にあるときのガイド装置付き流体圧シリンダーを部分的に縦断面で示す部分断面側面図である。
【符号の説明】
【0069】
100,200,300,400,500:ガイド装置付き流体圧シリンダー、10,90:ピストンロッド、10a:外周面、90a:平面、20:ピストン、30:チューブ、70:筒体ガイド、70a,710,730:ガイド本体、70b:貫通孔、71:貫通孔、72:通しボルト、73:ポケット穴、80:ニードルベアリング、81,84:外輪、81a,84a:外周面、83:支持軸部材、101:第1のピストンロッド部、102:第2のピストンロッド部、720:リテーナ、721:ニードルローラ、740:ボール。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体と、
前記シリンダー室内で軸方向に往復動自在に装着されたピストンと、
前記ピストンに取り付けられ、前記シリンダー本体から外部に軸方向に突出する外周面を有するピストンロッドと、
前記シリンダー本体から外部に突出した前記ピストンロッドの前記軸方向に沿った移動を案内するために前記ピストンロッドが出入りする側の前記シリンダー本体の一方端部に取り付けられたガイド装置とを備え、
前記ガイド装置は、前記ピストンロッドを挿通可能な貫通孔を有するガイド本体と、
前記ガイド本体の貫通孔に設けられ、前記ピストンロッドの外周面の上を軸方向に転動可能な転動体とを含み、
前記転動体が、前記ピストンロッドの外周面に密着して接触するように前記ガイド本体の貫通孔に設けられている、ガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項2】
前記ガイド本体の前記貫通孔の内側面には、前記軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴が前記軸方向に複数列形成されており、前記転動体が前記ガイド本体の複数のポケット穴の各々に設けられ、前記ピストンロッドの外周面の上を軸方向に転動可能であり、前記ガイド装置は、前記転動体を回転自在に支持する支持軸部材をさらに含む、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項3】
前記ピストンロッドは、前記軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面を有し、前記転動体が、前記ピストンロッドの外周面に接触可能な凹状に湾曲する外周面を有する、請求項2に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項4】
前記ピストンロッドは、前記軸方向に延びる複数の平面を含む外周面を有し、前記転動体が、前記ピストンロッドの平面に接触可能な円筒状の外周面を有する、請求項2に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項5】
前記転動体は、リテーナに挿入された転動体である、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項6】
前記転動体は、前記ガイド本体の内部で循環する転動体である、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項7】
通しボルトを挿入可能な貫通孔が前記軸方向に延びるように前記ガイド本体に形成され、前記通しボルトが前記シリンダー本体の一方端部に締め付け固定されることによって、前記ガイド装置が前記シリンダー本体に取り付けられている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項8】
前記ピストンロッドは、前記シリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部と、前記シリンダー室外に配置される第2のピストンロッド部とを含み、前記第1のピストンロッド部と前記第2のピストンロッド部は着脱可能に結合されている、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項1】
内部にシリンダー室が形成されたシリンダー本体と、
前記シリンダー室内で軸方向に往復動自在に装着されたピストンと、
前記ピストンに取り付けられ、前記シリンダー本体から外部に軸方向に突出する外周面を有するピストンロッドと、
前記シリンダー本体から外部に突出した前記ピストンロッドの前記軸方向に沿った移動を案内するために前記ピストンロッドが出入りする側の前記シリンダー本体の一方端部に取り付けられたガイド装置とを備え、
前記ガイド装置は、前記ピストンロッドを挿通可能な貫通孔を有するガイド本体と、
前記ガイド本体の貫通孔に設けられ、前記ピストンロッドの外周面の上を軸方向に転動可能な転動体とを含み、
前記転動体が、前記ピストンロッドの外周面に密着して接触するように前記ガイド本体の貫通孔に設けられている、ガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項2】
前記ガイド本体の前記貫通孔の内側面には、前記軸方向と直交する平面内で周方向に配置された複数のポケット穴が前記軸方向に複数列形成されており、前記転動体が前記ガイド本体の複数のポケット穴の各々に設けられ、前記ピストンロッドの外周面の上を軸方向に転動可能であり、前記ガイド装置は、前記転動体を回転自在に支持する支持軸部材をさらに含む、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項3】
前記ピストンロッドは、前記軸方向と直交する断面がほぼ円形断面である外周面を有し、前記転動体が、前記ピストンロッドの外周面に接触可能な凹状に湾曲する外周面を有する、請求項2に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項4】
前記ピストンロッドは、前記軸方向に延びる複数の平面を含む外周面を有し、前記転動体が、前記ピストンロッドの平面に接触可能な円筒状の外周面を有する、請求項2に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項5】
前記転動体は、リテーナに挿入された転動体である、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項6】
前記転動体は、前記ガイド本体の内部で循環する転動体である、請求項1に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項7】
通しボルトを挿入可能な貫通孔が前記軸方向に延びるように前記ガイド本体に形成され、前記通しボルトが前記シリンダー本体の一方端部に締め付け固定されることによって、前記ガイド装置が前記シリンダー本体に取り付けられている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【請求項8】
前記ピストンロッドは、前記シリンダー室内に配置される第1のピストンロッド部と、前記シリンダー室外に配置される第2のピストンロッド部とを含み、前記第1のピストンロッド部と前記第2のピストンロッド部は着脱可能に結合されている、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のガイド装置付き流体圧シリンダー。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2009−92152(P2009−92152A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−264084(P2007−264084)
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年10月10日(2007.10.10)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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