説明

ガスこんろ及びこれを備えたガスこんろ付きキャビネット

【課題】見栄えを良好にすると共にデザイン上の自由度を大きくし、またコスト高となるのを極力防ぎながらカウンタートップへの熱の影響を防ぐことを可能としたガスこんろ及びこれを備えたガスこんろ付きキャビネットを提供する。
【解決手段】本発明のガスこんろは、トッププレート22に横方向略一直線状に隔設された複数のガスバーナ23と、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間で且つ、前記2つのガスバーナ23に最大火力で点火したときの炎のうち最も後方に位置する部分よりも後方の領域内に配置され、トッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値を推測するための温度検出装置55と、前記温度検出装置55により検出された温度値が所定の値を超えた場合に、前記2つのガスバーナ23に対するガス供給量を減少させ又はガスの供給を停止させる制御装置とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キッチン台等のカウンタートップの開口内に設置されるガスこんろ及びこれを備えたガスこんろ付きキャビネットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、キッチン台等のカウンタートップの開口内に組み込まれて使用されるビルトイン型のガスこんろが、例えば特許文献1により知られている。この特許文献1記載のガスこんろは、天板(トッププレート)の後部に、こんろ本体内に連通する吸気口が設けられている。このガスこんろは、この吸気口を介してこんろ本体内に空気を流通させることで、ガスバーナに対して燃焼用の一次空気を供給する。
【0003】
ところでこのガスこんろは、ガスバーナの長時間の使用によりトッププレートが高温になる場合がある。この場合、トッププレートの熱がカウンタートップに伝導し、カウンタートップの劣化を招いてしまうことが懸念される。ところが特許文献1記載のガスこんろは、トッププレート後部の吸気口(一次空気導入部)を介して空気が流通するため、その流通する空気が高温となったトッププレートから熱を奪う。このため特許文献1のようにトッププレートに一次空気導入部が設けられたガスこんろは、カウンタートップへの伝熱の影響をそれほど考慮する必要はない。
【0004】
しかしトッププレートに一次空気導入部が設けられていると、見栄えが悪く、デザイン上の自由度も小さい。見栄えやデザイン上の自由度を優先する場合、一次空気導入部は、トッププレート以外の箇所に設けられていることが望まれる。
【0005】
一方、トッププレートから一次空気導入部をなくすと、当該一次空気導入部を流通する空気による熱交換作用が得られないという問題が生ずる。ガスバーナの加熱によりトッププレートが高温状態となってしまうと、その熱がカウンタートップに伝導して悪影響を与えてしまう。そのため、見栄えやデザイン上の自由度を優先する場合には、トッププレートのカウンタートップに対する熱の影響を防ぐための対策が必要となる。
【0006】
この点本発明者らは、ガスバーナのすぐ後方に温度検出装置を配置し、その温度検出装置が所定の値を検出したときに、ガスバーナの火力を制御することを考えた。すなわちトッププレートが所定の温度以上となってしまうのを防ぐことで、カウンタートップに対する熱の影響を防ごうとするものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−292372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが上記構成のガスこんろでは、ガスバーナの数量が増えた場合、ガスバーナの数量と同じ数の温度検出装置が必要であるため、コスト高となってしまうという問題がある。つまり、コストダウンを図るためには、温度検出装置の数量をできるだけ減らす必要があった。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、見栄えを良好にすると共にデザイン上の自由度を大きくし、またコスト高となるのを極力防ぎながらカウンタートップへの熱の影響を防ぐことを可能としたガスこんろ及びこれを備えたガスこんろ付きキャビネットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のガスこんろは、カウンタートップ42の開口内に設置されるものであり、こんろ本体2内に一次空気を導入するための一次空気導入部54が、トッププレート22以外の箇所に設けられるガスこんろ1であって、前記トッププレート22に横方向略一直線状に隔設された複数のガスバーナ23と、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間で且つ、前記2つのガスバーナ23に最大火力で炎を点火したときにおいて、発光した炎と当該炎のすぐ外側にある発光していない部分との境界のうち最も後方に位置する部分よりも後方の領域内に配置され、トッププレート22及びカウンタートップ42における前記2つのガスバーナ23の加熱による最高温度値を推測するための温度検出装置55と、前記温度検出装置55により検出された温度値が所定の値を超えた場合に、前記2つのガスバーナ23に対するガス供給量を減少させ又はガスの供給を停止させる制御装置とを備えていることを特徴とする。
【0011】
このような構成によれば、2つのガスバーナ23の間に配置された温度検出装置55によりこの2つのガスバーナ23の加熱による最高温度値が推測されるので、ガスバーナ23よりも少ない数量の温度検出装置55で、トッププレート22上の最高温度値を把握することが可能である。そして、そのトッププレート22上の最高温度に対応する測定値が所定の値を超えたときに、ガス供給量を減少させ又はガスの供給を停止させるため、トッププレート22が所定の温度以上に加熱されるのを防ぐ。すなわち、トッププレート22に一次空気導入部54が設けられていなくとも、トッププレート22が加熱されることによるカウンタートップ42への熱の影響を防ぐことができ、そのうえコストダウンを図ることができる。
【0012】
また本発明のガスこんろ付きキャビネットは、上記ガスこんろ1を備えたガスこんろ付きキャビネットであって、このガスこんろ1が、前記こんろ本体2に対し配線を介して電気的に接続された操作器6をさらに備え、キャビネット本体4が、当該キャビネット本体4前面に設けられると共に前記操作器6を引き出し自在に収納する操作器用開口部51を備え、前記操作器用開口部51が、その開口周縁と前記操作器6との間に前記一次空気導入部54となる隙間53を有していることを特徴とする。
【0013】
このような構成によれば、操作器用開口部51の開口周縁と操作器6との間にある隙間53によって、当該操作器6の引き出し収納動作をスムーズに行なうことができるうえに、この隙間53を一次空気導入部54と兼用することで、一次空気導入部54を目立たないようにすることができ、商品価値を高めることができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガスこんろ及びこれを備えたガスこんろ付きキャビネットによれば、見栄えを良好にすると共にデザイン上の自由度を大きくし、またコスト高となるのを極力防ぎながらカウンタートップへの熱の影響を防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態のガスこんろを、その内部に組み込んだガスこんろ付きキャビネットを示す斜視図である。
【図2】同上のガスこんろ付きキャビネットを示す斜視図である。
【図3】同上のガスこんろ付きキャビネットを示す側断面図である。
【図4】同上のガスこんろ付きキャビネットの機器載置具を示す平面図である。
【図5】同上のガスこんろ付きキャビネットのトッププレートを省略した平面図である。
【図6】同上の温度検出装置の配置領域を示す概略図である。
【図7】温度検出装置取付具を示す図であり(a)は斜視図であり(b)は断面を示す斜視図である。
【図8】温度検出装置による実測値と、トッププレート及びカウンタートップにおける最高温度値との関係を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について添付図面に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態のガスこんろ1は、キャビネット等のカウンタートップ42に組み込まれて使用される、いわゆるビルトイン型のガスこんろ1である。以下、キャビネットに組み込まれた使用態様に基づいて、本実施形態のガスこんろ1を説明する。
【0018】
本実施形態のガスこんろ1は、図1,3に示されるように、上部にトッププレート22を有するこんろ本体2と、こんろ本体2に対し配線を介して電気的に接続された操作器6とを備えている。この操作器6は、図1に示されるように、キャビネット本体4の前面に設けられ且つ前後方向にスライド自在とされた収納部41に収容配置される。
【0019】
こんろ本体2は、図3に示されるように、上方が開口した有底箱状のケーシング21と、そのケーシング21の開口を閉塞するようにして設けられたトッププレート22とを備えている。こんろ本体2は、図5に示されるように、ケーシング21の内部に、横方向略一直線状に隔設された複数のガスバーナ23を有している。本実施形態のガスこんろ1は、ガスバーナ23が3つ並設されている。
【0020】
トッププレート22は、平面視略矩形状をしており、ガスバーナ23を下方から挿通して上面より露出させるためのバーナ用開口24が複数設けられている。バーナ用開口24は、前後方向の略中央で且つ左右方向に略一定の間隔で一直線状に穿設されている。トッププレート22は、その外縁全周に縁材25が取り付けられる。この縁材25は、断面略T字状をしており、トッププレート22と、後述のキャビネットにおけるカウンタートップ42の開口周縁との間に配設される。またトッププレート22のバーナ用開口24の開口周縁には、それぞれ五徳26が取り付けられている。
【0021】
ガスバーナ23は、図5に示されるように、略円環状のこんろバーナ27と、このこんろバーナ27に点火する点火プラグ28と、こんろバーナ27における着火を検出する着火検出装置(図示せず)とを備えている。またガスバーナ23は、こんろバーナ27の中央に、鍋等の被加熱物の底面に弾接して当該被加熱物の温度を検知する温度検知部29を有している。これら点火プラグ28と着火検出装置と温度検知部29は、制御装置(図示せず)に接続されている。この制御装置は、例えばマイクロプロセッサにより構成される。
【0022】
制御装置は、操作器6に設けられた点火・消火操作部をユーザーが点火操作すると、点火プラグ28に点火動作をする旨の信号を送り、点火プラグ28に点火処理を行なわせる。着火検出装置は、点火されたと判断すると、制御装置にその旨の信号を送る。その信号を受信した制御装置は、点火プラグ28に点火処理を終了する旨の信号を送り、点火処理を終了させる。
【0023】
ガスバーナ23は、図5に示されるように、ガス供給路(図示せず)から分岐された分岐路30が、混合管31を介してそれぞれのこんろバーナ27に連通接続されている。混合管31は、こんろバーナ27が取り付けられた側とは反対側の端部が拡開するように開口している。各分岐路30は、その吐出方向が混合管31の開口に臨むように且つ、その開口周縁に対し一定の隙間を介して配置されている。各分岐路30からガスを供給すると、混合管31へのガスの流入によって混合管31の開口から一次空気が同時に流入する。そして混合管31内の混合室でガスと一次空気とが混合される。この混合室は、混合管31の前記開口とは反対側で当該混合室の上方に位置するこんろバーナ27に連通している。
【0024】
ガス供給路は、その内部に都市ガス等の燃料ガスが流通するようになっており、その途中に電磁弁(図示せず)が設けられている。各分岐路30は、燃料ガスの供給量の調節を行うため流路閉塞弁の開度位置の微調整が可能な流量制御弁(図示せず)と、前記流路閉塞弁の開度位置を検出する位置センサ(図示せず)を有している。流量制御弁は、その流路閉塞弁がステッピングモータ等の駆動手段により駆動される。電磁弁・流量制御弁・位置センサは制御装置に接続されており、この制御装置は、位置センサの認識・処理を行なうと共に電磁弁・流量制御弁の動作を制御する。また制御装置は、こんろバーナ27が使用されない時には、当該こんろバーナ27の流量をゼロにして遮断状態となるように対応する流量制御弁を制御する。
【0025】
ケーシング21は、上方が開口した有底箱形状をしており、その側面に一次空気をこんろバーナ27に供給するための一次空気導入孔(図示せず)が複数箇所に穿設されている。ケーシング21は、上方開口の開口周縁の略全周に、外方に向けて連接されるフランジ片32を有している。本実施形態のガスこんろ1は、このフランジ片32を所定の位置に載置することで、カウンタートップ42の取付開口48内に吊設される。
【0026】
操作器6は、こんろ本体2とは別体に設けられたものであり、こんろ本体2における着火及び消火並びに各種設定を行なう。操作器6は、図1に示されるように、左右に長い箱型形状をしており、その上面が操作部61となっている。操作部61は、点火・消火を行なう点火・消火操作部や各種設定を行なう調理モード設定部などの操作・設定ボタンを備えている。
【0027】
本実施形態のガスこんろ1は、操作器6とは別に電源部7を有している。この電源部7は、こんろ本体2に配線を介して接続されており、こんろ本体2の制御装置に電気的に接続される。電源部7は主電源となる電源ボタン71を有している。ガスバーナ23が着火している状態でこの電源ボタン71が押されると、制御部はガス供給路の電磁弁を閉じ、ガスバーナを23消火させる。この電源ボタン71は、常時露出した状態でキャビネット本体4に取り付けられる。
【0028】
このような構成のガスこんろ1は、キャビネット本体4に取り付けられる。このキャビネット本体4は、図1,2に示されるように、ガスこんろ1を組み込むための取付開口48が穿設されたカウンタートップ42と、カウンタートップ42の下方に設けられた基台部43とを備えている。基台部43は、前板部44と一対の側板部45と後板部46とを備えており、前板部44には複数の引き出し部47が設けられている。また前板部44は、複数の引き出し部47の上部に前後方向にスライド自在とされた収納部41を有している。
【0029】
カウンタートップ42は、合板(木質材)や人造大理石(樹脂)が好適に用いられる。カウンタートップ42は、その取付開口48が前後方向においてやや後方に位置しており、取付開口48の前方に位置する前縁部の前後方向の幅が、後方に位置する後縁部よりも広くなっている。これによりユーザーは、前縁部を利用して作業を行なうことができる。カウンタートップ42は、その後端縁の幅方向全長に、側面視逆L字形状の立設片49が連接されている。
【0030】
取付開口48は、その開口内周縁に、カウンタートップ42の上面よりも下方に位置する載置用縁部50を有している。この載置用縁部50には、図5に示されるように、機器載置具8が取り付けられ、この機器載置具8を介してこんろ本体2が取り付けられる。
【0031】
機器載置具8は、図4,5に示されるように、一対の横用機器載置具80と前用機器載置具83とを有している。横用機器載置具80は、こんろ本体2のケーシング21に設けられたフランジ片32が載置される横用載置具本体81と、この横用載置具本体81の長手方向の両端に設けられた載置片82とを有している。横用機器載置具80は、横用載置具本体81が、載置片82よりも当該載置片82の上下方向の厚み寸法だけ下方に位置しており、したがって横用載置具本体81の上面と載置片82の下面とが同レベルとなっている。横用載置具本体81は、一対の長辺に沿って且つ下方に向けてリブ(図示せず)が突設されており、断面略コ字形状に形成されている。
【0032】
また前用機器載置具83も、横用機器載置具80と同様に、こんろ本体2のフランジ片32が載置される前用載置具本体84と、この前用載置具本体84の長手方向の両端に設けられた載置片85とを有している。前用機器載置具83は、前用載置具本体84が、載置片85よりも当該載置片85の上下方向の厚み寸法だけ下方に位置しており、したがって前用載置具本体84の上面と載置片85の下面とが同レベルとなっている。前用載置具本体84は、一対の長辺に沿って且つ下方に向けてリブ(図示せず)が突設されており、断面略コ字形状に形成されている。
【0033】
このような構成の機器載置具8は次のようにして取り付けられる。まずカウンタートップ42の取付開口48内に、一対の横用機器載置具80を装着する。このとき、横用載置具本体81を取付開口48の短辺に沿わせ、載置片を取付開口48の前後に対向する載置用縁部50上に載置するようにして設置する。次いで、設置した一対の横用機器載置具80上に前方側の開口縁に沿って、前用機器載置具83を架設する。このように設置された機器載置具8は、横用及び前用の載置具本体81,84の上面が、取付開口48の載置用縁部50の上面と同じレベルとなっている。このため、各載置具本体81,84上及び取付開口48における後方の載置用縁部50上に載置されるこんろ本体2のフランジ片32は、同一平面上に載設される。
【0034】
収納部41は、図3等に示されるように、基台部43の前板部44に設けられた操作器用開口部51内に引き出し自在に取り付けられている。本実施形態の操作器用開口部51は、カウンタートップ42の下面と、前板部44に設けられた切欠部52とで構成された矩形状の開口である。収納部41は、その内部に操作器6が収納配置される。収納部41は、前方にスライド移動自在に構成されている。収納部41は、操作器用開口部51の開口周縁と操作器6との間に一定の隙間53(クリアランス)が形成される。この隙間53により、収納部41はスムーズなスライド移動が可能となる。しかもこの操作器用開口部51の開口周縁と操作器6との間の隙間53は、一次空気導入用の開口を兼用しており、ガスバーナ23へ一次空気を供給するための一次空気導入部54となっている。
【0035】
このような構成のキャビネット本体4に本実施形態のガスこんろ1が組み込まれ、ガスこんろ付きキャビネットが構成される。
【0036】
本実施形態のガスこんろ1は、図5に示されるように、こんろ本体2が、キャビネット本体4の取付開口48内に装着された一対の横用機器載置具80と、前用機器載置具83と、取付開口48における後方の載置用縁部50とで囲まれた部分に挿入されて装着される。この状態で、こんろ本体2上にトッププレート22が載設され固定される。このときトッププレート22の上面と、キャビネット本体4のカウンタートップ42の上面とは略同じ高さとなる。
【0037】
また、本使用例のガスこんろ付きキャビネットは、図2に示されるように、収納部41に隣接するよう電源部7が設置されている。電源部7は、電源ボタン71が常時露出されるようにして取り付けられており、操作器6が収納されて操作できない状態でも、ユーザーが電源ボタン71を操作できるようになっている。
【0038】
また、このガスこんろ付きキャビネットは、後板部46が壁面に沿うようにして設置される。またこのガスこんろ付きキャビネットの上方には、排気用のレンジフード(図示せず)が設置される。
【0039】
本実施形態のガスこんろ1を使用するには、ユーザーが操作器6の操作・設定ボタン61を操作し、ガスバーナ23を点火させる。このとき、ガスバーナ23の混合管31にガス及び一次空気が供給されると共に、二次空気がトッププレート22上面から供給され、これにより良好な燃焼が行なわれる。一次空気は、キャビネット本体4の一次空気導入部54・ケーシング21の一次空気導入孔を順に経て、混合管31内の混合室に供給される。
【0040】
ところで調理を行なう場合、通常、ユーザーはレンジフードを稼働させる。レンジフードを稼働させた状態では、ガスこんろ付きキャビネットの下方から上方に向けて気流が生じる。これにより気流は、ガスこんろ付きキャビネットの表面に沿って上昇する。気流は、ガスこんろ付きキャビネットの上面においては、前方から後方に向けて流通し、その後壁面に沿って上昇する。したがって、鍋などの被加熱物が五徳26に載置された状態で、ガスバーナ23に点火された場合、その炎は、レンジフードによる気流によって、被加熱物に沿いながら後方に伸びる。
【0041】
この状態で長時間調理を行なうと、トッププレート22の後部(奥部)が加熱され続け、当該トッププレート22の後部が高温になるおそれがある。とりわけ本実施形態のガスこんろ1のように複数のガスバーナ23が隣接するよう設置されたものにおいて、隣り合う2つのガスバーナ23を同時に使用した場合には、トッププレート22の後部が高温になる可能性が高まる。トッププレート22が高温になると、キャビネット本体4のカウンタートップ42に伝熱する。このカウンタートップ42は、樹脂性の場合には熱に弱いため、高温になると劣化し、経年により亀裂が生ずるおそれがある。また、カウンタートップ42が木質材等のように可燃性を有する場合、防火上の問題も生ずる。
【0042】
この点、ガスバーナ23のすぐ後方に温度検出装置55を配置し、その温度検出装置55が所定の値を検出したときに、ガスバーナ23の火力を制御することが考えられる。しかし本実施形態のガスこんろ1のように複数のガスバーナ23を設けた場合、ガスバーナ23の数量と同じ数の温度検出装置55が必要であるため、コスト高となってしまう。
【0043】
そこでその問題を解消すべく、本実施形態のガスこんろ1は次のように構成されている。以下、詳述する。
【0044】
本実施形態のガスこんろ1は、図5に示されるように、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間の所定の位置に温度検出装置55が配置されている。この温度検出装置55は、隣り合う2つのガスバーナ23を同時に使用した場合の、トッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値を推測するために設けられるものである。
【0045】
温度検出装置55は、サーミスタにより構成されている。温度検出装置55は、リード線56を介して制御装置に電気的に接続されている。温度検出装置55は、主に、高温になったトッププレート22からの輻射熱による温度を計測する。温度検出装置55は、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間で、且つこの隣り合う2つのガスバーナ23に最大火力で点火した場合の炎の最後部90よりも後方の領域(図6中の斜線部の領域)内に配置される。より詳しく説明すると、温度検出装置55は、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間の略中間部分で且つこんろ本体2の内側面に沿って配置されている。なお、図6中のAで示す円は、最大火力時の炎の境界を示しており、符号91は中心を通る線を示している。
【0046】
なおここでいう炎とは発光している部分をいうものとし、炎の境界とは発光した領域と当該領域のすぐ外側の発光していない領域との境界をいうものとする。因みに、発光している部分では、燃料ガスが空気中の酸素との反応による燃焼を行なっており、燃料ガスの激しい酸化反応による発光と発熱とを伴っている。
【0047】
温度検出装置55は、温度検出装置取付具57によりケーシング21に固定され、トッププレート22とは離間した状態で取り付けられる。温度検出装置取付具57は、図7に示されるように、下方が開口した箱形状をしており、その後面に、ケーシング21の上方への移動を規制するためにカウンタートップ42の下面に当接する取付片59が突設されている。温度検出装置取付具57は、その前面にサーミスタよりなる温度検出装置55を固設するセンサ取付部58を有している。サーミスタは、この温度検出装置取付具57の内部の空間に臨むように取り付けられる。
【0048】
温度検出装置55は制御装置に接続されている。制御装置は、温度検出装置55により検出された温度値が所定の値を超えた場合に、対応する2つのガスバーナ23に対するガスの供給を停止させる。制御装置は、温度検出装置55により検出された温度値からトッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値を推測し、トッププレート22のそれ以上の温度上昇を防ぐために、ガスの供給を停止させる。
【0049】
ここで、トッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値と、本実施形態における所定位置に設置した温度検出装置55による測定値との測定結果を図8に示す。図8は、加熱量が異なる複数のガスこんろを用いて測定した結果であり、各ガスこんろにおいて2つのガスバーナ23に着火し、トッププレート22及びカウンタートップ42上の温度を複数箇所測定し、そのとき測定された最高温度値と、所定位置に設置した温度検出装置55による測定値との関係を示している。
【0050】
図8に示すように、トッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値が90℃以下の条件では、上記所定の位置に設置された温度検出装置55による計測値と最高温度値との関係が、加熱量によらず略同じようになることが判明した。つまり図8によれば、温度検出装置55により温度を測定することで、トッププレート22及びカウンタートップ42における最高温度値を推測することができる。
【0051】
例えばトッププレート22及びカウンタートップ42における制限温度を80℃に設定する場合には、温度検出装置55の測定値が85℃を超えたときに、ガスの供給を停止させればよい。温度検出装置55の測定値が85℃を超えた場合に、対応する2つのガスバーナ23に対するガスの供給を停止させることで、トッププレート22の温度が80℃を超えることが回避される。
【0052】
なお特に説明しないが、隣り合う2つのガスバーナ23の中心間で、且つこの隣り合う2つのガスバーナ23に最大火力で点火した場合の炎の最後部90よりも後方の領域内であれば、温度検出装置55の設置位置を本実施形態の位置から移動させても、最高温度値と温度検出装置55による測定値との関係は、複数の加熱量で同じとなる。
【0053】
本実施形態のガスこんろ1は、2つのガスバーナ23の間に配置された温度検出装置55によりこの2つのガスバーナ23の加熱による最高温度値が推測されるので、ガスバーナ23よりも少ない数量の温度検出装置55で、トッププレート22上の最高温度値を把握することが可能である。つまり、ガスバーナ23の数をN個とした場合、温度検出装置55はN−1個設置するだけでよいため、コストダウンを図ることができる。
【0054】
また本実施形態のガスこんろ1は、そのトッププレート22上の最高温度に対応する測定値が所定の値を超えたときに、ガスの供給を停止させるため、トッププレート22が制限温度以上に加熱されるのを防ぐ。これによりカウンタートップ42に高熱が伝導することを回避し、当該カウンタートップ42の劣化を防止することができる。
【0055】
本実施形態のガスこんろ1を組み込んだガスこんろ付きキャビネットは、操作器用開口部51の開口周縁と操作器6との間にある隙間53によって、当該操作器6の引き出し収納動作をスムーズに行なうことができる。そのうえ、この隙間53を一次空気導入部54と兼用することで、一次空気導入部54が目立たないようにすることができ、外観をシンプル且つ良好にすることができる。しかもこの一次空気導入部54が、トッププレート22以外の箇所に設けられていることから、見栄えがよく、デザイン上の自由度が増大する。
【0056】
なお、本実施形態の制御装置は、温度検出装置55の測定値が所定の値を超えた場合に、ガスの供給を停止させるものであったが、本発明の制御装置は、上記の場合に流量制御弁を駆動させて、ガスの供給量を減少させるものであってもよい。
【0057】
また、本使用例のガスこんろ付きキャビネットは、機器載置具8上にガスこんろ1のフランジ片32が載置された構成となっていたが、本発明のガスこんろ付きキャビネットは、カウンタートップに直接ガスこんろを設置するように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0058】
1 ガスこんろ
2 こんろ本体
21 ケーシング
22 トッププレート
23 ガスバーナ
4 キャビネット本体
41 収納部
42 カウンタートップ
48 取付開口
51 操作器用開口部
53 隙間
54 一次空気導入部
55 温度検出装置
6 操作器
7 電源部
71 電源ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カウンタートップの開口内に設置されるものであり、
こんろ本体内に一次空気を導入するための一次空気導入部が、トッププレート以外の箇所に設けられるガスこんろであって、
前記トッププレートに横方向略一直線状に隔設された複数のガスバーナと、
隣り合う2つのガスバーナの中心間で且つ、前記2つのガスバーナに最大火力で炎を点火したときにおいて、発光した炎と当該炎のすぐ外側にある発光していない部分との境界のうち最も後方に位置する部分よりも後方の領域内に配置され、トッププレート及びカウンタートップにおける前記2つのガスバーナの加熱による最高温度値を推測するための温度検出装置と、
前記温度検出装置により検出された温度値が所定の値を超えた場合に、前記2つのガスバーナに対するガス供給量を減少させ又はガスの供給を停止させる制御装置と
を備えていることを特徴とするガスこんろ。
【請求項2】
請求項1記載のガスこんろを備えたガスこんろ付きキャビネットであって、
前記ガスこんろが、前記こんろ本体に対し配線を介して電気的に接続された操作器をさらに備え、
キャビネット本体が、当該キャビネット本体前面に設けられると共に前記操作器を引き出し自在に収納する操作器用開口部を備え、
前記操作器用開口部が、その開口周縁と前記操作器との間に前記一次空気導入部となる隙間を有している
ことを特徴とするガスこんろ付きキャビネット。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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