説明

ガスコンロ

【課題】バーナリングの回転による点火電極などの損傷等の不都合を防止できるガスコンロを提供する。
【解決手段】コンロ本体10の上方開放部に天板3が取り付けられ、天板3に設けられたバーナ用開口30の周縁とバーナ用開口30から突出するガスバーナ2の外周面との間の隙間S1を覆うバーナリング4が配設される。バーナ用開口に対応するコンロ本体10内の位置には係止部14を有する支持部材1が配設されており、バーナリング4の爪部40を、支持部材1の係止部14に係止させることにより、バーナリング4が回り止め状態で天板3上に取り付けられる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、天板に設けられたバーナ用開口の周縁と前記バーナ用開口から突出しているガスバーナの外周面との間の隙間を覆うバーナリングを有するガスコンロに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、図5に示すように、上方開放の矩形箱体であるコンロ本体510内にガスバーナ502が収容され、コンロ本体510の上方開放部を天板503で被覆した構成を有するガスコンロが知られている。この種のガスコンロにおいて、ガスバーナ502は、コンロ本体510内の所定位置に固定されており、ガスバーナ502のバーナヘッド520に対応する天板503の各位置にはバーナ用開口530が形成されている。
【0003】
バーナヘッド520は、混合管521の下流端部から上方に延設されたバーナボディ522の上端に載置されており、バーナヘッド520の下面とバーナボディ522の上面との間には多数の炎孔群524が形成されている。そして、バーナ用開口530からはバーナボディ522に続いてバーナヘッド520が天板503の上方へ突出しており、炎孔群524が天板503の上方に露出している。
【0004】
バーナ用開口530の周縁とバーナボディ522の外周面との間には環状の隙間Saが形成されている。そして、図6に示すように、この隙間Saは、天板503の裏面に添設される平板状のリング下560と固定ネジ533で固定された環状のバーナリング504とで閉塞されている。これにより、バーナリング504とリング下560とは、天板503のバーナ用開口530の周縁を挟み込んだ状態で天板503の表裏にそれぞれ固定される。
【0005】
五徳505は、複数の五徳爪550とこれらを一定間隔で連結している環状の五徳枠551とから構成され、バーナリング504に位置決めして設置される。なお、バーナリング504の内周部には点火電極531を配置するための切欠541や炎検知器を配置するための切欠(図示せず)が形成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−249178号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、上記のような従来のガスコンロにおいて、鍋振り等で五徳とともにバーナリングに回転方向の力が加えられた場合、バーナリング504の切欠等に配設された点火電極531や炎検知器が損傷したり、ガスバーナ502の炎孔群524と点火電極531や炎検知器との位置関係がずれる虞がある。
【0008】
本発明は、上記問題を解決するためになされものであり、本発明の目的は、天板に設けられたバーナ用開口の周縁と前記バーナ用開口から突出しているガスバーナの外周面との間の隙間を覆うバーナリングを有するガスコンロにおいて、バーナリングの回転による不都合を防止できるガスコンロを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、コンロ本体の上方開放部に天板が取り付けられ、前記天板に設けられたバーナ用開口の周縁と前記バーナ用開口から突出しているガスバーナの外周面との間の隙間を覆うバーナリングが配設され、前記天板の下方から前記バーナ用開口を通って前記バーナリングよりも上方に突出するように点火電極や炎検知器が配設されているガスコンロにおいて、
前記バーナ用開口に対応するコンロ本体内の位置に前記バーナリングを係止するための係止部を有する支持部材が配設され、
前記バーナリングは、下方に垂下形成された爪部を有しており、
前記バーナリングの爪部を、前記支持部材の係止部に係止させることにより、前記バーナリングが回り止め状態で前記天板上に取り付けられていることを特徴とする。
【0010】
上記ガスコンロによれば、天板の下方からバーナ用開口を通ってバーナリングよりも上方に突出するように点火電極等が配設されているが、バーナリングの爪部が支持部材の係止部に係止されることによりバーナリングは回り止め状態で天板上に装着される。従って、鍋振り等で五徳とともにバーナリングに回転方向の力が加えられてもバーナリングの不用意な回転が阻止される。よって、バーナリングの切欠等に配置する点火電極や炎検知器の損傷を防止することができる。また、点火電極や炎検知器とガスバーナの炎孔群との位置関係のずれが防止されるため、点火や燃焼検知に不具合を生じさせることもない。
【0011】
上記ガスコンロにおいて、前記支持部材は、前記ガスバーナと位置決め状態で配設されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
以上詳述したように、本発明に係るガスコンロよれば、バーナリングが回り止め状態で天板上に装着されているから、バーナリングの回転による不都合を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係るガスコンロの内部の一例を示す要部断面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係るガスコンロの天板、バーナリング、及びバーナヘッドを取り外した状態の一例を示す上面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係るガスコンロのバーナリングを取り外した状態の一例を示す斜視図である。
【図4】本発明の実施の形態に係るガスコンロに用いられる五徳及びバーナリングの一例を示す斜視図である。
【図5】従来のガスコンロの内部を示す要部断面図である。
【図6】従来のガスコンロのバーナリングの取り付け状態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、図面を参照しながら、本発明の実施の形態を具体的に説明する。
図1に示すように、本実施の形態のガスコンロは、上方開放の矩形箱体であるコンロ本体10内に一または複数のガスバーナ2が収容され、コンロ本体10の上方開放部は薄肉の金属板からなる天板3で被覆された構成を有している。天板3は、コンロ本体10の周縁に係止され(図示せず)、天板3にはガスバーナ2に対応する各位置にバーナ用開口30が形成されている。
【0015】
ガスバーナ2は、混合管21(図2参照)の下流端部から上方に続くバーナボディ22と、バーナボディ22の上に載置されるバーナヘッド20と、バーナヘッド20上に配置されるバーナキャップ27とを具備し、バーナヘッド20とバーナボディ22との間の外周に多数の炎孔からなる炎孔群24が環状に形成されている。バーナヘッド20の中央部には鍋底温度センサ25がバーナヘッド20よりも上方に突設している。バーナボディ22の外周部には、図2及び3に示すように、点火電極31及び炎検知器32がそれぞれ配設されている。ガスバーナ2は、バーナボディ22の下端に続く外周フランジ部26がコンロ本体10内に固定されたバーナ支持台23にネジ止めで固定されることにより、コンロ本体10内に固定されている。
【0016】
天板3のバーナ用開口30の周縁とバーナボディ22の外周面との間には、環状の隙間S1が形成されている。そして、この隙間S1を閉塞するように環状のバーナリング4が天板3の表面に設置される。バーナリング4には、図4に示すように、点火電極31及び炎検知器32に対応する各位置に点火電極31及び炎検知器32を配置させる切欠41,42が形成されている。さらに、図1及び4に示すように、バーナリング4の下面には、相互に対向する位置に先端が外方に膨出した凸部40aを有する一対の爪部40が垂下形成されており、天板3には、バーナリング4が載置されたときに、これら爪部40に対応する各位置に爪部40が遊嵌状態で貫通する貫通孔34が形成されている。
【0017】
天板3上には、バーナリング4を囲むように五徳5が載置される。五徳5は、図4に示すように、バーナリング4の外周に配置される環状の五徳枠51と、これに取り付けられている複数の五徳爪50とから構成される。五徳爪50のうち、相互に対向する一対の五徳爪50は、その下辺部が内方へ延長された延長部52を有しており、これら延長部52はバーナリング4の外周に設けられた相互に対向する一対の凹部43に各々係止される。これにより、五徳5は、バーナリング4に対して回り止め状態となる。
【0018】
バーナ用開口30に対応する天板3の下方のコンロ本体10内には支持部材1が配設されている。支持部材1は、天板3のバーナ用開口30に対応する位置に開口部11が形成された板状体である。図2を参照して、開口部11の形状は、バーナボディ22と同心の円弧部の一部を点火電極31及び炎検知器32を挿通させる分だけ拡径させた変形丸孔形状である。従って、拡径させた部分を除く開口部11の同心円弧部の中心は、バーナボディ22の中心に一致している。また、支持部材1には、開口部11の周囲にバーナリング4の各爪部40を貫通させて係止する一対の係止孔14が設けられている。これら係止孔14は、天板3がコンロ本体10の周縁に載置されたとき、天板3の一対の貫通孔34に対応する各位置に設けられている。
【0019】
支持部材1の一辺(図2では上側辺)からは第1支持脚15が垂下形成され、該第1支持脚15にはその下端が内側へ直角に折曲げられることにより並列する2つの舌片16a,16bが形成されている。これら舌片16a,16bは、ガスバーナ2の外周フランジ部26とともにバーナ支持台23に位置決めネジ17によってネジ止めされる。また、支持部材1の対向する両辺(図2では左右側辺)からは、図1に示すように、第2支持脚12a、第3支持脚12bがそれぞれ垂下形成され、これら第2支持脚12a及び第3支持脚12bには、その下端が外側へ直角に折曲げられることにより固定片13a,13bがそれぞれ形成されている。これら固定片13a,13bは、バーナ支持台23等にネジ等で固定される。このようにして、支持部材1は、コンロ本体10内に固定されたバーナ支持台23に舌片16a,16b、及び固定片13a,13bをネジ止め等で固定することにより、コンロ本体10内に固定される。
【0020】
本実施の形態のガスコンロでは、コンロ本体10内にバーナ支持台23が固定され、バーナ支持台23にガスバーナ2が固定されると共に支持部材1が固定される。このとき、バーナボディ22の上端に形成される環状の炎孔群24の中心が支持部材1の開口部11の中心と一致するように、ガスバーナ2と支持部材1とがバーナ支持台23に固定される。
【0021】
そして、天板3をコンロ本体10の周縁に係止させることにより、コンロ本体10の上方開放部を閉塞する。この状態では、バーナ用開口30からガスバーナ2のバーナヘッド20、バーナボディ22、点火電極31、及び炎検知器32は天板3の上方に突出する設置態様となる。また、天板3と支持部材1との間には隙間S2が形成され、天板3の貫通孔34の下方に支持部材1の係止孔14が位置する設置態様となる。
【0022】
そして、バーナ用開口30の周縁とバーナボディ22との間の隙間S1を覆うように、天板3上からバーナリング4が設置される。このとき、バーナリング4の下面から垂下された爪部40を天板3の貫通孔34及び支持部材1の係止孔14に連続して挿通させる。ここで、貫通孔34は、爪部40が余裕を持って挿通可能な大きさに設定され、係止孔14は、貫通孔34よりも小さく、且つ爪部40が凸部40aにより弾性を持って係止孔14で係止される大きさに設定されている。従って、バーナリング4が天板3上に設置されると、爪部40は、貫通孔34では遊嵌状態に挿通され、係止孔14では係合状態となる。これにより、支持部材1の開口部11の中心がバーナリング4の中心と一致する。なお、このとき点火電極31及び炎検知器32は、バーナリング4の切欠41,42にそれぞれ挿通される。上記のようにしてバーナリング4が支持部材1に位置決め状態で設置された後、五徳5がバーナリング4の周囲に設置される。このとき、五徳5の五徳爪50の延長部52がバーナリング4の外周に形成されている凹部43に係止される。これにより、五徳爪50を一定間隔で連結している環状の五徳枠51の中心がバーナリング4の中心に一致し、且つ五徳爪50がバーナリング4の周方向に位置決めされる。以上でガスコンロの組み付けが完了する。
【0023】
この実施の形態のガスコンロでは、天板3の貫通孔34がバーナリング4の爪部40を余裕を持って挿通可能な大きさに設定されているから、天板3の設置位置が多少ずれていても、爪部40を天板3の貫通孔34に容易に貫通させることができ、さらに支持部材1の係止孔14に連続して差し込むことができる。このように、天板3の設置状態の多少のずれにかかわりなく、バーナリング4は、その中心が支持部材1の開口部11の中心と一致した状態、すなわち、バーナリング4の中心がガスバーナ2の炎孔群24の中心と一致した状態で天板3上に設置される。これにより、バーナリング4に、同心状で、且つ五徳爪50が位置決め状態で設置される五徳5は、その中心がガスバーナ2のバーナヘッド20の中心と一致し、且つ五徳爪50がガスバーナ2の炎孔群24に位置決めされた状態で天板3上に取り付けられる。そして、バーナリング4が取り付けられる支持部材1は、コンロ本体10内に設置されているので、天板3の設置状態にずれが生じてバーナ用開口30の中心がガスバーナ2の中心とずれても、五徳5とガスバーナ2との位置決め状態のずれが防止される。
【0024】
以上のように、本実施の形態のガスコンロよれば、コンロ本体10に対する天板3の設置態様にずれが生じた場合でも、ガスバーナ2に対する五徳5の位置決め精度を向上することができる。従って、五徳爪50の一部に炎が当たって燃焼効率が悪くなるといった不都合が回避でき、ガスバーナ2の燃焼性能を向上させることができる。また、貫通孔34に挿通された爪部40が係止孔14に挿通できない場合は、天板3のずれが許容できないほど位置ずれしている設置状態にあるから、施工者は天板3のずれを迅速に気付くことができる。
【0025】
また、図6に示す従来のガスコンロでは、バーナリングが天板上で固定ネジによって固定されると、天板からバーナリングを取り外すのが困難となるため、バーナリングの外周縁と天板の表面との間に煮こぼれ等が入り込んだ場合、煮こぼれ等の汚れを取り除くことが困難となる。これに対して、本実施の形態によれば、バーナリング4は、その爪部40が天板3の貫通孔34に遊嵌状態で挿通され、さらに爪部40の先端に設けられた凸部40aにより爪部40が弾性を持って係止孔14に係止されているから、バーナリング4を天板3上から容易に取り外すことができる。従って、天板3とバーナリング4との間に入った煮こぼれ等の汚れの除去を簡単に行なうことができ、ガスコンロのお手入れが容易となる。そして、上記ガスコンロにはバーナリング4が着脱自在に取り付けられているが、爪部40が係止孔14で係止されているので、使用中に五徳5などの振動により五徳枠51とバーナリング4とが接触した場合でも、バーナリング4が支持部材1から外れることもない。
【0026】
さらに、本実施の形態によれば、バーナリング4の爪部40が天板3の貫通孔34及び支持部材1の係止孔14に挿通されているから、バーナリング4は天板3及び支持部材1に対して回り止め状態に位置決めされる。従って、鍋振り等で五徳5とともにバーナリング4に回転方向の力が加えられてもバーナリング4の不用意な回転が阻止される。よって、バーナリング4に設けた切欠41,42に配置される点火電極31や炎検知器32の損傷を防止することができる。また、ガスバーナ2の炎孔群24と、点火電極31及び炎検知器32との適切な位置関係を確保でき、点火や燃焼検知に不具合を生じさせることも防止できる。
【符号の説明】
【0027】
1 支持部材
2 ガスバーナ
3 天板
4 バーナリング
5 五徳
10 コンロ本体
11 開口部
14 係止孔
22 バーナボディ
24 炎孔群
30 バーナ用開口
34 貫通孔
40 爪部
S1 隙間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンロ本体の上方開放部に天板が取り付けられ、前記天板に設けられたバーナ用開口の周縁と前記バーナ用開口から突出しているガスバーナの外周面との間の隙間を覆うバーナリングが配設され、前記天板の下方から前記バーナ用開口を通って前記バーナリングよりも上方に突出するように点火電極や炎検知器が配設されているガスコンロにおいて、
前記バーナ用開口に対応するコンロ本体内の位置に前記バーナリングを係止するための係止部を有する支持部材が配設され、
前記バーナリングは、下方に垂下形成された爪部を有しており、
前記バーナリングの爪部を、前記支持部材の係止部に係止させることにより、前記バーナリングが回り止め状態で前記天板上に取り付けられているガスコンロ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスコンロにおいて、
前記支持部材は、前記ガスバーナと位置決め状態で配設されているガスコンロ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−27411(P2011−27411A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−223454(P2010−223454)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【分割の表示】特願2009−57298(P2009−57298)の分割
【原出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)