説明

ガスサイクル式外燃機関

【課題】冷凍空調用に普及しているHFC,HCやCO2等の冷媒を作動媒体に用いて中高温に耐える高効率な熱機関を発電やコー・ジェネに用い得る簡易で実現性の高い民生用熱機関を提供する。
【解決手段】HFC等の作動媒体を過熱状態で圧縮機で圧縮し、中高温熱源により加熱した後、膨張機で断熱膨張させ動力を得る。この際得られる動力から圧縮に要した入力を差し引いたものが正味出力で、圧縮工程が等温に近づくほど駆動に必要な動力が減少し熱効率が向上するため中間冷却等を有する多段圧縮機や特別の構造改善を施した単段圧縮機を用いる。本発明は、実際的な応用例として中間冷却器を持つ2段圧縮機を用い膨張機等駆動部分全体を圧力容器内に一体収納して使用しやすくし併せて熱再生器で更なる熱効率改善を図ったガスサイクル式外燃機関で課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は従来利用が困難なため廃棄されていた200℃から300℃前後の中高温度熱源(中高温熱)を有効に再生活用して出力を得ようとする全く新規のガスサイクルによる外燃式熱機関(外燃機関)に関する。従来家庭用ないし小型業務用あるいは車両用空調機器に通常用いられるHFC(フロン)系やHC(炭化水素)系あるいは二酸化炭素(CO2)等の冷媒(作動媒体)用容積型圧縮機構を基盤に中高温で作動可能にした容積型膨張機と組み合わせ主に1ないし10kW級出力のシステムを構成した省エネルギー性の高い民生用熱機関を実現する。本熱機関は作動媒体を過熱蒸気(ガス)状態で断熱膨張させ最大駆動力を得ると同時に圧縮も過熱蒸気(ガス)状態で略等温もしくは等エンタルピー状態で行わせ必要動力を最小とし、効率の高い正味出力を発生させるガスサイクルを構成する。このため車両やガスエンジンヒートポンプ(GHP)等の内燃機関、マイクロガスタービン、SOFC等高温型燃料電池あるいは工場等から排出される排熱はもちろん、太陽熱、バイオ燃料燃焼熱等から得られる中高温熱をシステム外部からの加熱用熱源として活用し発電や軸動力等の出力を得ると同時にさらにその排熱を給湯や暖房にも併用できるコー・ジェネ等高効率なクリーン・エネルギー関連機器として広く応用できる。
【背景技術】
【0002】
多様な中高温の廃熱を高温側加熱用熱源として駆動させる熱機関にはスターリング機関やランキン機関等外燃機関が知られている。ただ、実態的には民生用市場においてはいずれもほとんど実用化されていない。前者のスターリング機関は作動媒体に高圧水素やヘリウム等を用いるため躯体内外での漏れを防いだり熱の授受を向上したりするための構造が複雑になりかつ作動媒体が往復動で高速化に不向きなため小型化が困難で躯体が大きく重くしたがって高価になりやすく普及しにくかった。また後者のランキン機関は作動媒体と膨張機構とのマッチングから中高温に不適とみなされてきたことおよび液状態の作動媒体の低圧から高圧への昇圧に特殊なポンプを要すること等から中高温廃熱への応用が進んでいない。近時、車両の排熱を回収して発電しようとする試みは報告されているが実用化には至っていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のランキン機関は作動媒体を高圧下加熱器で熱サイクルでの最高温度に加熱した過熱ガスを膨張機で断熱膨張させ低圧低温になるときの作動媒体のエンタルピー差を動力に変換し、その後冷却し液化して液ポンプで低圧から高圧に昇圧し再び加熱器に戻し一巡する熱サイクルで構成される。これを中高温熱源で用いる際従来冷凍空調に用いられるHFC(フロン)系やHC(炭化水素)系あるいは二酸化炭素(CO2)等の冷媒(作動媒体)は過熱ガスとして通常の冷凍サイクルで断熱圧縮により到達するよりもさらに高エンタルピー状態に達し、これが膨張後液化されるためには多大な冷却工程を要する。この冷却工程を効率よく行うため熱再生器を用いて液状態で昇圧後の作動媒体と熱交換しこれが低温にあるときだけ冷却される代わりに相手を加熱し熱の授受を行うことが可能であるが温度差の存在する同工程の一部にしか有効でない。加熱工程でも同様で工程の一部の改善にとどまる。また熱再生器自体到達最高温度に比例して大きな容量ものが必要となる。また該液ポンプは理論上等エンタルピー変化で作動媒体へのエネルギー入力は不要でも実機では機械摩擦損失や流体損失が大きく耐久性や効率に実用上の困難が伴った。この結果中高温を熱源として動力回生できる有効で実用的な手段は存在していない。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は前述のような従来の熱機関の有する課題を作動媒体が常に加熱ガス状態のもとで作動する全く新規の熱サイクル(ガスサイクル)で解決するもので、略等温圧縮された過熱ガスを中高温熱でサイクル外部から加熱しその後断熱膨張させ冷却後再度圧縮させる熱サイクル工程を基本とする。圧縮に要する動力を膨張で得られる出力から差し引いた出力が本熱サイクルの正味出力となり、既存の機器技術を基盤に簡易なシステムを実現する。略等温圧縮を得るために圧縮機はその内部や外部に冷却機構を配設したり、多段圧縮で各段の中間にそれぞれ中間冷却器を有したりする構成とし必要な圧縮動力量が最小となるようにし、膨張は断熱膨張で膨張動力量を最大得られるようにして熱効率向上を図る。必要に応じて熱再生器を設け膨張後の過熱ガスの有する熱で圧縮後のより低温の過熱ガスの加熱に用い、同時に前者の過熱ガス自身は後者の過熱ガスにより冷却されるようにして更に高い熱効率向上を得ることも可能である。
【発明の効果】
【0005】
本発明は前述のような手段を用いることにより従来の課題を解決できる。具体的には本案の根幹をなす作動媒体が全て過熱ガス状態であるため膨張機には中高温熱を与えても圧縮機との温度差は液化を必要とするランキン機関のようには多大にならないため熱再生容量は最小限でよく、また圧縮機へ供給される作動媒体の温度は例えば給湯などに必要な100度以上でもよいため冷却工程はコー・ジェネシステムではそのまま給湯水の加熱に使える。また本システムの主たる構成要素である圧縮機、膨張機および電動機や発電機は同軸に連結して共通の容器に収納することも可能で高圧のガス容器として一体的に取り扱えコンパクトで便利になり得る。特に圧縮機、膨張機にローリングピストン式、スイングピストン式等ロータリー式やマルチベーン式あるいはスクロール式等の回転型を用いる時は連結が容易で、各機構要素の駆動軸間に速度や位相の調整装置をそれぞれ設ければ容量のマッチングや制御の自由度が向上する。また、潤滑機構も共用したり潤滑剤を同一容器内に収納したりすることも可能となる。外燃機関であるので既述のように熱源を多様に選定できるのみならず作動媒体が閉サイクルのため開放サイクルのような排気が無く静粛な運転となり、熱源に燃焼熱を用いる場合は内燃機関のような爆発的な不連続燃焼でなく一般燃焼器のように最適状態での連続燃焼状態で排気が最大限に清浄化され環境対応に大きく寄与できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
回転型圧縮機を2段に用い第1段圧縮機の吸入作動ガスは主冷却器で、第2段圧縮機の吸入作動ガスは第1段及び第2段各圧縮機の中間に設ける中間圧縮機でそれぞれ冷却して吸入圧縮される。第2段圧縮機から吐出される高圧ガスは熱再生器及び加熱器で加熱され膨張機に入る。ここに該熱再生器は膨張行程終了後膨張機より吐出される作動ガスの熱により前記高圧ガスを加熱し、加熱器は中高温熱源によりこれを更に加熱する。膨張機は回転型で前記作動ガスを吸入し所定の膨張比で断熱膨張し軸動力を発生するとともに該作動ガスを低圧で吐出する。この作動ガス温度は断熱膨張で相当量低下しているが前述のように熱再生器に送られ圧縮直後の作動ガスの加熱に供せる程度の温度があれば活用される。この後主冷却器に入り冷却されて再び圧縮工程に戻りサイクルを一巡する。この圧縮工程に要する必要動力が最小ですむように圧縮は前述のように2段圧縮とし各段ごとに予め冷却して熱サイクル的に等温圧縮に近づくよう格段での圧縮量、圧縮比および冷却量を設定し第1段圧縮機への作動ガス吸入温度と第2段吐出作動ガスの温度差(後者の温度から前者の温度を差し引いた温度)が最小となるようにする。圧縮機、膨張機併せて電動機および発電機もしくは電動機兼発電機等の回転機構部を同軸で連結し駆動機構をまとめて一体的に圧力容器に収納すると取り扱いが容易で便利になる。また必要に応じて相互の能力が変換でき負荷変動等に対応して出力変化等が出来るように相互の軸間に装置を設け連結することも可能である。なお、圧縮と膨張各駆動機構の周辺圧力、温度、潤滑機構あるいは制作上の都合により圧縮機と電動機および膨張機と発電機をそれぞれに組み合わせて個別の容器内に収納しても良い。特に既存の容器収納型の機器を転用する場合便利である。
【実施例】
【0007】
以下、本発明の実施例を図1の作動媒体のモリエル線図(圧力−エンタルピー線図)、図2の基本構造およびシステム図および図3の基本構造およびシステム図(図2の例を基本に変化させた例)に基づき説明する。各図における▲1▼から順次▲8▼及び▲9▼等までの数字は本発明の熱サイクルにおける各工程中の作動ガス状態とシステム中の相当する位置をそれぞれ対応して示す。図1は本発明の骨子であるガスサイクルにつき例として作動媒体にHFC−134a(フロン)のモリエル線図を用いて示したもので縦軸に作動媒体の圧力(P)、横軸に同エンタルピー(h)を、また左辺に該作動媒体の飽和蒸気曲線を表す。該線図右辺に示される閉じた矩形相似の線図は本ガスサイクルの状態変化を表し▲1▼、▲2▼、▲3▼、▲4▼、▲5▼、▲6▼、▲7▼、▲8▼と変移して再び▲1▼に戻り一巡完結する。本実施例は2段圧縮による略等温圧縮を用いており、▲1▼はその第1段圧縮の出発点であり状態は最も低圧のP1,エンタルピーは最小のh1でこれを、第1段圧縮機(1)で断熱圧縮して作動媒体は▲2▼の状態の中間圧力P2,エンタルピーh4に変化させる。▲2▼の状態は▲1▼の状態の絶対温度T1より若干高い温度になっているがこれを中間冷却器(7)に通し冷却を行い▲3▼で示すように圧力はP2のままで温度のみ当初のほぼT1まで低下させる。この時エンタルピーはほぼh1に等しいが、作動媒体の特性によりそれぞれ異なる。▲3▼の状態の作動媒体を第2段圧縮機(2)で再度断熱圧縮し▲4▼の状態の最高圧力P4に昇圧する。これによりエンタルピーは増加するがほぼh4程度になるよう調整する。この結果作動媒体の温度はT4に上昇する。圧縮に要する動力は摩擦、漏れ等の各種損失を除けば、エンタルピーh4とh1の差に相当する。この作動媒体を熱再生器(12)に導き▲5▼の温度T7近傍まで加熱するが、この熱源は後述する膨張機(3)から吐出された温度T7の作動媒体との熱交換により、いわば後段の加熱の予熱に相当するものである。この後作動媒体はさらに加熱器(5)で▲5▼から▲6▼の状態に加熱されるがこの熱源にシステム外部の中高温熱を有する排熱や燃焼熱等が用いられる。状態▲6▼の作動媒体は圧力ほぼP4、温度T6でエンタルピーh6の最大エネルギーを有して膨張機(3)に入り断熱膨張され状態▲7▼の圧力P1、温度T7、エンタルピーh7に変化する。このエンタルピーh6からh7への減少分が各種損失分を除けば出力用動力相当に変換される。このあと作動媒体は熱再生器(12)で▲7▼の状態から▲8▼の状態の温度ほぼT4まで前述のように▲4▼の作動媒体と熱交換し相手に熱を与えて予熱してこちらは冷却、すなわち予冷され冷却器(7)に至る。相互の熱交換はガスとガスの顕熱交換で温度差が必要なため▲5▼はT7よりやや低め、▲8▼はT4よりやや高めの温度で工程を終えるが、この熱再生器(12)おける熱の授受により大幅に▲5▼から▲6▼の加熱熱量や▲8▼から▲1▼の冷却熱量を節約でき効率向上への寄与は大きい。なお、図2、図3において該熱再生器(12)は作図上別々に表されているが実質は一体として構成される。また、熱サイクル構成上T7とT4の温度差が小さい時は該熱再生器(12)を省略しても良い。
【0008】
参考として以上の熱サイクルをフロンHFC−134aを作動媒体に用いた設計例の主な状態点に付き下表に示す。

なお本熱サイクルではシステムの簡略化のため熱再生器(12)を用いないものとしている。この熱サイクルにおける理論熱効率は((膨張機出力)−(圧縮機入力))÷(熱入力)なので(h6−h7)−(h4−h1)/((h6−h4)=(605−550)−(550−520)/(605−550)=25/55=0.45とほぼ45%程度が期待できる。実用機においては機械摩擦や漏れ損失、熱損失、電動機あるいは発電機系の電気損失等が不可避のため前記効率への達成率は通常50%程度の20%強程度と見込まれるが、従来ランキン熱機関で報告されている例は最高温度が同程度では14%前後で本熱機関は十分高効率で大きな優位性を有している。
【参考文献】
研究論文「ランキンサイクルを用いた車載用廃熱回生システムの研究」自動車技術開会論文集Vol.38,No.4,July2007.
【0009】
図2は図1で示す熱サイクルを具体化した構成例を示す。第1段圧縮機(1)、第2段圧縮機(2)、膨張機(3)の駆動部分は共通軸(8)で相互に連結されこれに電動機兼発電機(4)も結合される。この時各駆動機構部の作動媒体駆動能力を相互にその回転速度や位相等を変化させて調整制御する必要のある場合は制御機構(11)をそれぞれの連結部分に介在させる。たとえば一般的に第1段圧縮機の圧縮比P2/P1は第2段圧縮機の圧縮比P4/P2と略等しくなるよう設定され、この際各段における吸入作動媒体の比容積に応じた圧縮容量が設定されるが、同軸において同一回転の場合第1段と第2段の吸入容積の差が過大で構成上不都合なときはその必要容積が大きくなる第1段の容積を回転速度を第2段より大きくすることにより小容積としたり、逆に第2段を減速して実効容積を第1段に適応させたりして調整制御する。一般的に吐出弁のある圧縮機と異なり膨張機は1段の一定膨張比で膨張するため排除容積は大きくなる傾向にあり小型化のためやはり回転速度を調整制御できるようにすると都合よい。なお、ここに各駆動機構は既述の回転型を基本としており圧縮機はほとんど従来の圧縮機構を流用でき、膨張機は回転型圧縮機の吐出弁を排除して圧縮の逆に作用するように吐出側から高圧(本例でP4)の作動媒体を供給することで原則的に得られるが潤滑ならびに中高温度耐熱性には配慮が必要となる。図2はこれらの駆動機構全般をひとつの耐圧力容器(9)に収納し熱交換機器とは容器壁を通じて作動媒体用配管で結合し、該容器(9)内は最小圧力P1となるようにしたものである。膨張後冷却されて▲1▼の状態になった作動媒体が容器(9)に戻りその後第1段圧縮機(1)に容器(9)内部で吸引される以外は各駆動機器の吸入、吐出口はそれぞれこの容器(9)の壁面を貫通する配管で結ばれる。潤滑油(図示せず)はこの容器(9)に封入し駆動機器に共通して供給できる。また膨張機(3)は中高温の作動媒体が流入するため周囲は昇温して比較的高温になりやすく圧縮機や電動機兼発電機(4)を加熱する不都合が生じる懸念がある場合隔壁(10)を両者のあいだに設け熱遮断すると良い。なお、電動機兼発電機(4)は本熱機関が始動時電動機として主に圧縮機の駆動力を発生し、熱システムが定格に近づくにつれ膨張機で発生する動力が大きくなって正味軸出力が発生すれば発電機として電力を生ずるもので、電動機と発電機に個別に設けてももちろん同機能を発揮する。また該隔壁(10)は膨張機(3)周辺のみ圧力環境を他の駆動機構と分離すべき時は圧力隔壁としても設けられる。
【0010】
図3は前記図2の例における容器(9)内圧力を第1段圧縮機(1)からの戻り作動媒体の圧力P2の中間圧力に変化させた例である。従来冷凍空調用途で作動媒体にCO2等を10MPa以上の高圧に圧縮する際ロータリー式あるいはスクロール式の2段圧縮機を用い本例と同様に容器(9)内部を中間圧力に保ち周囲の大気圧力との差を低減して耐圧性を向上させ内部の潤滑や電動機等の冷却性能の改善を図っている例があるが、本例における目的も同様でシステム構成が容易になり得る。
【0011】
図1における破線で示す▲1▼から▲9▼への作動媒体の状態変化はエンタルピーh1がほぼ一定で略等温圧縮である場合を示す。理想的にはこの破線に沿って圧縮することが圧縮必要動力を最小とし熱機関の出力を最大にさせるものであるが、実機においてこれを実現することは困難である。一部このための試みもあるが、圧縮途中の作動媒体を冷却するため圧縮機構に大幅な改造を加えることが必要とされ小型、簡易、安価であるべき民生用機器に適応しにくい。本発明は既述例に示すごとく基本的には従来既存の容積型圧縮機を基本に適宜改造、選択し組み合わせて実現可能である2段圧縮で等温圧縮に近づけ必要駆動動力の低減を図っている。また200℃から300℃程度の中高温での膨張機も従来の圧縮機の耐熱が200℃未満であるためそのままでは転用が困難である。スクロール式ではブレードの変形や潤滑機構に課題があるが、マルチベーン式やロータリー式は材料、構造の改善で実現可能である。また、作動媒体は既述のHFC−134a以外のフロン系やHC(炭化水素)系あるいは二酸化炭素(CO2)等でも過熱ガス状態で同様に適用できる。
【特許文献】特開2009−185681
【特許文献】特開2001−132675
【実用新案文献】
実願2009−5754
【0012】
なお、既述のごとく必要に応じて圧縮機と電動機および膨張機と発電機をそれぞれに組み合わせてそれぞれ個別の容器内に収納するか圧縮機と電動機のみを共通容器に収納しても良い(図示せず)。特に膨張機と発電機を一体的に共通容器に収納すると周囲温度が中高温となり耐熱用に特別の配慮が必要と懸念されるような場合がその例である。この際は該電動機と該発電機は電気的に制御可能なように結合し互いの機能を連携して始動から運転及び停動させる。
【産業上の利用可能性】
【0013】
以上説明したように、本発明によれば比較的簡単な構造で実用性の高い高性能なガスサイクル式外燃機関が可能となり従来エネルギー回生が困難であった中高温排熱や燃焼熱が動力として有効に活用され冒頭に述べたごとく多くのクリーンで高効率な民生用エネルギー機器やその応用技術分野への展開が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】作動媒体のモリエル線図(圧力−エンタルピー線図)
【図2】基本構造およびシステム図
【図3】図2のシステムを基本にして変化させた構造および応用システム図
【符号の説明】
【0015】
(1)第1段圧縮機 (2)第2段圧縮機
(3)膨張機 (4)電動機兼発電機
(5)加熱器 (6)主冷却器
(7)中間冷却器 (8)軸
(9)容器 (10)隔壁
(11)制御機構 (12)熱再生器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
過熱状態の作動媒体を容積型圧縮機で略等温圧縮し、加熱器で加熱後、容積型膨張機で略断熱膨張させた後冷却して再び当初の圧縮工程に復する熱サイクルを構成し、該膨張機の軸出力が該圧縮機の軸動力を上回る分を正味軸出力として取り出せるように構成してなるガスサイクル式外燃機関。
【請求項2】
過熱状態の作動媒体を2段以上の多段で各段の中間に中間冷却器を設けて冷却する容積型多段圧縮機で圧縮し、さらに加熱器で加熱後、1段の容積型膨張機で膨張させその後冷却して再び当初の圧縮工程に復する熱サイクルを構成し、該膨張機の軸出力が該圧縮機の軸動力を上回る分を正味軸出力として取り出せるように構成してなるガスサイクル式外燃機関。
【請求項3】
請求項1および(あるいは)請求項2におけるガスサイクル式外燃機関において該圧縮機、該圧縮機駆動用電動機、該膨張機、該膨張機出力取出用発電機または前記電動機と前記発電機の替わりに両者の機能を兼用する電動機兼発電機を共通軸で結合する機構を構成すること。
【請求項4】
請求項3における共通軸で結合される該圧縮機、該膨張機および該電動機および発電機または電動機兼発電機を共通の容器に収納する構成とすること。
【請求項5】
請求項3において該圧縮機、該膨張機および該電動機および発電機または電動機兼発電機の各軸間に相互の回転速度および(あるいは)位相を変換、制御できる装置を適宜設けて連結する機構を構成すること。
【請求項6】
請求項4における該容器内に該膨張機から吐出後冷却された作動媒体を導き該圧縮機の吸入に供するよう構成すること。
【請求項7】
請求項4における該容器内に、請求項2における該多段圧縮方式を供する場合、該圧縮機の第1段から吐出後中間冷却された作動媒体を導き該圧縮機の第2段目の吸入に供するよう構成すること。
【請求項8】
請求項4において該容器内で該膨張機のみ他の該構成要素と熱的におよび(あるいは)圧力的に遮断する隔壁を設けること。
【請求項9】
請求項1および(あるいは)請求項2における該圧縮機の吐出作動媒体の有する熱と該膨張機の吐出作動媒体の有する熱を熱再生器で熱交換し、後者は前者を予熱し前者は後者を予冷するように出来るよう構成すること。
【請求項10】
請求項4において該膨張機と該発電機のみ該容器から除外し、該圧縮機用電動機とは電気回路で制御可能なように結合する機構を構成すること。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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