説明

ガスタービンエンジン用の機械式継手

【課題】ガスタービンエンジンにおいて機械式継手を熱管理するための装置および方法を提供すること。
【解決手段】ガスタービンエンジン用の機械式継手が、(a)径方向に延びる環状の第1のフランジ(68)を有する第1の環状構成部品(66)と、(b)第1のフランジ(68)に当接する径方向に延びる環状の第2のフランジ(64)を有する第2の環状構成部品(14)と、(c)第1のフランジおよび第2のフランジのうちの少なくとも1つを通り抜ける、概ね径方向に延びる複数の径方向チャネル(80)と、(d)第1のフランジ(68)を貫いて延び、径方向チャネル(80)それぞれと連通する、概ね軸方向に延びる複数のチャネル(92)と、(e)第1のフランジおよび第2のフランジを共に固定する複数の締結具(74)と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、ガスタービンエンジンに関し、より詳細には、そのようなエンジンにおいて機械式継手を熱管理するための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンエンジンは、高圧圧縮機、燃焼器、および高圧タービンを逐次通過する1次ガス流路を有するターボ機械コアを含む。コアは、公知の方法で1次ガス流を生成するように動作可能である。ターボジェットエンジンまたはターボファンエンジンでは、コア排気ガスは、排気ノズル内を導かれて、推力を生み出す。ターボシャフトエンジンは、コアの下流の低圧タービンまたは「仕事(work)」タービンを使用して、1次流からシャフトまたは他の機械的負荷を駆動するためのエネルギーを取り出す。
【0003】
一般に、高圧高温ガスの漏れを防ぐように1次流路を封止し、それにより1次流路の外側の温度に敏感な構成部品、例えば、固定構造部材への損傷を回避し、また、直接的な漏れによる、かつ熱負荷によって引き起こされる望ましくないクリアランス変化による効率損失を回避することが望ましい。ガスタービンエンジン内の重要なシールの1つが、圧縮機吐出圧力(CDP:compressor discharge pressure)シールである。通常、このシールは、ロータ上に取り付けられ固定アブレイダブル部材によって取り囲まれたシールティース(seal teeth)を含む非接触型のシールとなる。
【0004】
CDPシールの熱膨張応答は、エンジン性能および燃料効率に直接関係している。ロータの比較的遅い応答と一致させるために、固定CDPシール部材の自然な熱応答を遅くする必要がある。応答の遅いCDPシールは、あまり擦れず、より耐密なシールを維持することになり、性能が改善される。
【0005】
シールの応答は、これまで、低熱膨張合金および熱シールドを用いて対処されてきた。しかし、低熱膨張合金は、通常、高温で強度に限界がある。熱シールドは、通常、板金製であり、CDPシールの外径一帯を覆う。
【0006】
さらに、CDPシールの周りの金属部品は、多くの場合、いくつかのフランジを有する継手を含み、これらのフランジが共にボルトで固定される。そのような継手は、フランジの中心部と径方向縁部との間の大きな径方向熱勾配に起因する、短い低サイクル疲労(LCF:low cycle fatigue)寿命を有することがある。LCF寿命は、一体化された単一のフランジを用いることによって改善できるが、そのような設計は、空間制限のため、常に実現可能なわけではない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来技術の前述およびその他の欠点は本発明によって対処され、本発明は、制御された熱応答および一様な熱応力を有するマルチフランジボルト固定継手を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一態様によれば、ガスタービンエンジン用の機械式継手は、(a)径方向に延びる環状の第1のフランジを有する第1の環状構成部品と、(b)第1のフランジに当接する径方向に延びる環状の第2のフランジを有する第2の環状構成部品と、(c)第1のフランジおよび第2のフランジのうちの少なくとも1つを通り抜ける、概ね径方向に延びる複数の径方向チャネルと、(d)第1のフランジを貫いて延び、径方向チャネルそれぞれと連通する、概ね軸方向に延びる複数のチャネルと、(e)第1のフランジおよび第2のフランジを共に固定する複数の締結具と、を含む。
【0009】
本発明の他の態様によれば、ガスタービンエンジン用の継手構造は、(a)固定タービンノズルに結合された環状のノズル支持体であって、径方向に延びるノズル支持フランジを含み、ノズル支持フランジには、概ね径方向に延びる複数の第1の溝が形成されている、環状のノズル支持体と、(b)複数の流線形ストラットと、ノズル支持フランジに当接する径方向に延びるディフューザフランジを備えたディフューザアームとを含む、環状のディフューザであって、ディフューザフランジには、概ね径方向に延びる複数の第2の溝が形成されており、第1の溝および第2の溝が、協働して径方向チャネルを画定するように周方向に位置合わせされた、環状のディフューザと、(c)エーロフォイル形の複数のベーンと、ディフューザフランジに当接する径方向に延びる出口ガイドベーンフランジを備えた出口ガイドベーンアームとを含む環状の出口ガイドベーン構造であって、ディフューザアームおよび出口ガイドベーンアームが協働してそれらの間に開放容積を画定する、環状の出口ガイドベーン構造と、(d)ディフューザフランジおよび出口ガイドフランジを貫いて延び、径方向チャネルおよび開放容積のそれぞれと連通する、概ね軸方向に延びる複数のチャネルと、(e)ノズル支持フランジ、ディフューザフランジ、および出口ガイドベーンフランジを共に固定する複数の締結具と、を含む。
【0010】
本発明の他の態様によれば、複数の締結具によって共に固定された径方向に延びるフランジをそれぞれが有する2つ以上の環状構成部品を含むタイプのガスタービンエンジン用の機械式継手における熱勾配を低減する方法であって、環状構成部品の外表面が動作時に高温ガスにさらされる方法が提供される。その方法は、固定されたフランジの中心部分に外部から高温ガスを通過させることを含む。
【0011】
本発明は、以下の説明を添付図面と併せて参照することによって、最もよく理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の一態様にしたがって構築されたガスタービンエンジンの一部分の断面図である。
【図2】本発明にしたがって構築されたボルト固定ディフューザ/ステータ継手の断面斜視図である。
【図3】図2に示した継手とともに使用するためのボルトシールドの一部分の斜視図である。
【図4】図2に示した継手の一部分の分解組立斜視図である。
【図5】図4に示した継手の正面図である。
【図6】代替的なOGVフランジの斜視図である。
【図7】図6に示した代替的なOGVフランジを組み込んだボルト固定ディフューザ/ステータ継手の断面斜視図である。
【図8】代替的な流れ誘導機構を組み込んだ継手の正面斜視図である。
【図9】図8の継手の後方斜視図である。
【図10】代替的なOGV構造の断面図である。
【図11】熱シールドを組み込んだ他の代替的なOGV構造の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
様々な図を通じて同一の参照番号が同一の要素を表す諸図面を参照すると、図1は、一般に、高圧圧縮機10と、出口ガイドベーン(OGV)構造12と、ディフューザ14と、燃焼器16と、タービンノズル18と、高圧タービンロータ20とを含む、ガスタービンエンジンの一部分を示す。ここに示した例では、エンジンは、高バイパスターボファンエンジンである。ただし、本明細書に記載の原理は、ターボプロップ、ターボジェット、およびターボファンエンジンにも、またさらに、他の乗り物または固定用途に使用されるタービンエンジンにも、等しく適用可能である。
【0014】
圧縮機10は、回転ブレード22と固定ノズル24とが交互に並ぶ複数の段を含む。圧縮機10の最終段だけが示されている。ブレード22は、軸方向後方かつ径方向内側に延びるシャフトアーム28を含むスプール26上で支持される。このシャフトアーム28は、タービンロータディスク32の一部であるタービンシャフト30に結合される。シールディスク34が、シャフトアーム28とタービンシャフトとの間の継手内で固定されており、このシールディスク34は、複数の環状シールティース36を備える。
【0015】
OGV構造12は、圧縮機10のすぐ下流に配置された1連のエーロフォイル形ベーン38を含む。ベーン38は、環状の内側プラットフォーム40と環状の外側プラットフォーム42との間に配置される。環状アーム44は、内側プラットフォーム40から概ね軸方向後方かつ径方向内側に延びる前方部分46と、全体的に円筒状の中心部分48と、中心部分48から軸方向後方に延びる後方部分50とを含む。
【0016】
CDPシール52と呼ぶ固定環状シール部材が、中心部分48のインボード表面上で支持される。CDPシール52は、公知のタイプのコンプライアント材料、例えば、アブレイダブル化合物、ハニカムもしくは他のセル状構造、または金属ブラシシールから作製される。CDPシール52は、径方向の小さな隙間を残してシールティース36を取り囲む。環状のOGVフランジ54が、後方部分50の後端部のところで径方向外側に延びる。
【0017】
ディフューザ14は、OGVベーン38のすぐ下流に配置された1連の流線形ストラット56を含む。ストラット56は、環状の内側プラットフォーム58と環状の外側プラットフォーム60との間に配置される。環状アーム62は、内側プラットフォーム58から概ね軸方向後方かつ径方向内側に延びる。環状のディフューザフランジ64が、アーム62の後端部のところで軸方向内側に延びる。
【0018】
環状の内側ノズル支持体66が、タービンノズル18から軸方向前方に延びる。環状のノズル支持フランジ68が、内側ノズル支持体66の前端部のところで軸方向内側に延びる。任意選択で、ノズル支持フランジ68には、1連のスカロップ70または他の負のフィーチャ或いは凹状部分を形成することもできる(図2から最もよくわかる)。これらは、質量を低減し、したがってノズル支持フランジ68の熱慣性を低減する。これによって、内側ノズル支持体66の熱応答が増大され、動作時の内側ノズル支持体66内の熱勾配が低減される。
【0019】
OGVフランジ54、ディフューザフランジ64、およびノズル支持フランジ68は、継手72のところで共に固定され、接合された構成部品内の位置合わせされたボルト穴を通り抜ける、ここに示したボルト74などの複数の締結具によってしっかり固定される。この継手72は、図2に詳細に示されている。継手72は、結合したフランジ内の温度勾配を最小限に抑えながら、CDPシール52とディフューザ14との間の容積へと圧縮機吐出空気を流す手段を備える。ここに示した例では、これは、継手72の中心を通り抜けるブリード流路を設けることによって行われる。ノズル支持フランジ68は、その前面に形成された1連の概ね径方向を向いた溝76を有する。これらの溝76は、ディフューザフランジ64の後面に形成された対応する溝78と位置合わせされて、協働して径方向チャネル80を画定する。用途によっては、フランジのうちの1つを通り抜ける単一の径方向チャネルを形成することが可能な場合もある。
【0020】
ボルト74の露出端部は、図3により詳細に示された、環状のウィンデージシールド(windage shield)82で取り囲まれる。ウィンデージシールド82は、軸方向に延びる脚部84と径方向に延びる脚部86とを備えた、全体的に「L」字形の断面を有する、アーチ形部材(連続的な部材でも、セグメント化された部材でもよい)である。ボルト穴83を備えたいくつかのポケット81が、ウィンデージシールド82の周囲に位置決めされる。軸方向に延びる脚部84は、各ポケット81に隣接してその前縁部に形成された、2つのポケット81間の距離の一部分を延びるスロット85を有する。径方向に延びる脚部86は、各ポケット81間のその径方向外縁部に形成された、隣接するポケット81間の距離のほぼ全体を延びるスロット87を有する。取り付けられたときには、図2からわかるように、径方向に延びる脚部86の外端部と内側ノズル支持体66の径方向内側表面との間に小さな径方向の隙間が存在し、軸方向に延びる脚部84の前端部とノズル支持フランジ68との間に小さな軸方向の隙間が存在する。
【0021】
図2に戻って参照すると、概ね軸方向に延びる複数の穴88が、ディフューザフランジ64を貫いて形成され、径方向チャネル80と交わる。また、複数の開口90が、OGVフランジ54を貫いて形成され、穴88と位置合わせされる。穴88と開口90は共に、軸方向チャネル92を画定する。軸方向チャネル92および径方向チャネル80は、継手72内を通る完全な流路を画定する。
【0022】
任意選択で、継手72は、流れを偏向させるための何らかの手段、すなわち、開口90からの流れが直接前方に通過してCDPシール52に衝突するのを阻止する何らかの手段を含むこともできる。ここに示した例では、これは、ボルト74に遮蔽構造を組み込むことによって達成される。各ボルト74は、シャンクと、拡大したヘッド96とを有する。ヘッド96とは反対側のシャンクの端部は、公知の方式でねじ切りされている。ヘッド96は、一般に、ナット98がボルト74上に取り付けられたときの回転を防ぐようにOGVアーム44と相互作用する、少なくとも1つの回転防止機構を含む。ここに示した例では、ヘッド96は、この目的で、対向する1対の平坦な側面100を含む。遮蔽構造は、開口90を通る流れを阻止する、横方向に延びる1つまたは複数の機構を含む。この例では、ヘッド96は、全体的に長方形の中実体(solid)であり、平坦な側面100の中間にあるヘッド96の部分は、横方向に延びるタブ104を組み込んでいる。
【0023】
ボルト74は、隣接したボルト74のタブ104同士が間に小さな隙間を画定するようにサイズ設定することができる。あるいは、用途によっては、隣接したボルト74の遮蔽構造を互いに重なり合うように構成することもできる。例えば、図4および図5では、ボルト74Aおよび74Bは、前述のタブ付き構成を用いる。1つおきのボルト74Aのヘッド96Aは、隣接したボルト74Bのヘッド96Bよりもわずかに厚い。その結果、取り付けられたときには、ボルト74Aのタブ104Aは、ボルト74Bのタブ104Bの軸方向前方に位置決めされる。これによって、図5から最もはっきりわかるように、タブ104Aおよびタブ104Bが横方向に重なり合うことができるようになり、開口90からの流れが軸方向前方に通過するのを阻止する。
【0024】
動作時には、継手72のインボード表面およびアウトボード表面の両方が、高温、例えば約700℃(1300°F)のCDP空気にさらされる。CDP空気は、また、径方向チャネル80に流入し、その径方向チャネル80を通り抜けて軸方向チャネル92に到達し、OGV構造12とディフューザ14との間の空間に出る。空気がチャネル80およびチャネル92を通り抜けるとき、その空気は、OGVフランジ54、ディフューザフランジ64、およびノズル支持フランジ68の内側部分を加熱して、それらの構成部品の径方向の厚さを通じた温度勾配を最小限に抑える。空気は、CDPシール52のかなり後方の場所で開口90から出て、CDPシール52への直接衝突を回避し、したがってCDPシール52の熱応答を低減する。開口90から出てくる空気が、図1で「A」とラベルされた矢印によって示されるように、ボルトヘッド96によって径方向のアウトボード方向に偏向されるので、CDPシール52への衝突は、さらに回避される。
【0025】
継手72内の熱勾配の低減は、また、ウィンデージシールド82の選択的な構成によって改善される。通常、従来技術の使い方では、締結具ウィンデージシールドは、空気の流れの摩擦加熱を最小限に抑えるために、その下に存在するボルト74を可能な限り完全に覆うことになる。しかし、スロット85およびスロット87を組み込むと、いくらか加熱された空気の流れが、ウィンデージシールド82の内部を軸方向および接線方向に循環できるようになり、図2に矢印「B」および「C」によって示したようにウィンデージシールド82から出る前にノズル支持フランジ68に接触できるようになる。前述のように、ノズル支持フランジ68には、1連のスカロップ70または他の負のフィーチャを形成することができ、それらがその熱慣性を低減し、径方向の隙間を通る流れに対するその応答を改善する。
【0026】
用途によっては、OGVフランジ54からの出口流れ面積を増大させることが必要または望ましい場合がある。これをどのように達成できるかの一例として、図6は、前述のOGVフランジ54に構造が類似したOGVフランジ154を有する、OGV構造112の一部分を示す。OGVフランジ154は、OGVフランジ154のアウトボード縁部まで延びる、概ね径方向に位置合わせされたスロット190を組み込んでいる。図7は、ボルト74によってディフューザフランジ64およびノズル支持フランジ68に固定されたOGVフランジ154を示す。スロット190のインボード端部は、ディフューザフランジ68内の穴88と連通する。スロット190は、図2に示した構成と比較して、ボルト74のヘッド96を過ぎたところに追加の流れ領域を提供する。
【0027】
図8および図9は、継手内の流れを偏向させるための代替的な構成を示す。この構成は、前述のOGV構造112に概ね類似したOGV構造412を用いる。そのOGV構造412は、概ね径方向に位置合わせされた複数のスロット490を有するOGVフランジ454を含む。ボルト74に類似したボルト474が、OGVフランジ454内のボルト穴で受けられる。各ボルト474は、ねじ切りされたシャンクと、拡大したヘッド496とを有しており、この例では、ヘッド496は、全体的に長方形の中実体である。ヘッド496の外側面には、周辺溝498が形成されている。継手が組み立てられたときには、クリップ500が、各ボルトヘッド496間に配置され、溝498内で受けられる。図8および図9では、1つのクリップだけが示されている。
【0028】
クリップ500は、扁平なストックから、例えば板金から形成され、1対のフィンガ部502がその外端部に配置された、全体的に「J」字形をしている。フィンガ部502は、スロット490の縁部のところでOGVフランジ454内に形成された陥凹部504に係合する。取り付けられたときには、クリップ500は、空気が軸方向前方に流れるのを妨げるが、空気がフィンガ部502間の空間を通って径方向外側に流れられるようにするための、バリアを形成する。
【0029】
前述の流れ偏向機構に加えて、または流れ偏向機構の代わりに、CDPシール52の応答を、その熱慣性を増大させるように質量を追加することによって、制御することができる。例えば、図10は、アーム244の中心部分248の材料厚さが大きく増大された、代替的なOGV構造212を示す。例えば、材料厚さは、図1に示されたOGV構造12の厚さの少なくとも約2倍とすることができる。
【0030】
図11は、アーム344の中心部分348を取り囲む環状の熱シールド314を組み込んだ他の代替的なOGV構造312を示す。熱シールド314は、板金または類似材料で構築することができ、アーム344内の様々な湾曲に密接に共形となる。熱シールド314は、ここに示したボルト316のような複数の締結具によってしっかり固定することができる。質量の大きなアーム244の場合のように、熱シールド314は、前述の流れ偏向機構に加えて、または流れ偏向機構の代わりに使用することができる。
【0031】
前述の継手構成には、従来技術の設計を上回るいくつかの利益がある。この構成によって、内側ノズル支持体66に、鍛造材料ではなく鋳造材料を使用できるようになる。さらに、当該設計は、CDPシールクリアランスの縮小により、燃料消費率(SFC:specific fuel consumption)を改善することになる。OGV構造12とディフューザ14との間の空間が、従来技術の設計で使用される少数の穴の代わりに多数の穴(例えば、68個の穴)によって供給されるとき、周囲の流れがより一様になるので、さらなる利益を得ることができる。他の利点は、ボルト74がCDPシール52への衝突をそらすという2重の目的をもつことであり、熱シールドなど、シール応答を遅くするための追加の金属部品が必要なくなる可能性がある。
【0032】
以上、ガスタービンエンジン用のボルト固定継手構成について記載した。本発明の特定の諸実施形態について記載したが、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなくそれらの特定の諸実施形態に様々な修正を加えることができることが、当業者には明らかである。したがって、本発明の好ましい実施形態および本発明を実施する最良の方式についての以上の説明は、制限を目的としたものではなく、単に説明の目的で提供するものであり、本発明は、特許請求の範囲によって定義される。
【符号の説明】
【0033】
10 高圧圧縮機
12 出口ガイドベーン構造、OGV構造
14 ディフューザ、第2の環状構成部品
16 燃焼器
18 タービンノズル
20 高圧タービンロータ
22 回転ブレード
24 固定ノズル
26 スプール
28 シャフトアーム
30 タービンシャフト
32 タービンロータディスク
34 シールディスク
36 シールティース
38 エーロフォイル形ベーン
40 内側プラットフォーム
42 外側プラットフォーム
44 アーム、OGVアーム、出口ガイドベーンアーム
46 前方部分
48 中心部分
50 後方部分
52 CDPシール
54 OGVフランジ、出口ガイドベーンフランジ
56 流線形ストラット
58 内側プラットフォーム
60 外側プラットフォーム
62 アーム、ディフューザアーム
64 ディフューザフランジ、環状の第2のフランジ
66 内側ノズル支持体、第1の環状構成部品
68 ノズル支持フランジ、環状の第1のフランジ
70 スカロップ
72 継手
74 ボルト、締結具
76 溝、第1の溝
78 溝、第2の溝
80 径方向チャネル
81 ポケット
82 ウィンデージシールド
83 ボルト穴
84 軸方向に延びる脚部
85 スロット
86 径方向に延びる脚部
87 スロット
88 穴
90 開口
92 軸方向チャネル
96 ヘッド
98 ナット
100 平坦な側面
104 タブ
112 OGV構造
154 OGVフランジ、出口ガイドベーンフランジ
190 スロット
212 OGV構造
244 アーム
248 中心部分
312 OGV構造
314 熱シールド
316 ボルト
344 アーム
348 中心部分
412 OGV構造
454 OGVフランジ
474 ボルト
490 スロット
496 ヘッド、ボルトヘッド
498 周辺溝
500 クリップ
502 フィンガ部
504 陥凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスタービンエンジン用の機械式継手であって、
(a)径方向に延びる環状の第1のフランジ(68)を有する第1の環状構成部品(66)と、
(b)前記第1のフランジ(68)に当接する径方向に延びる環状の第2のフランジ(64)を有する第2の環状構成部品(14)と、
(c)前記第1のフランジおよび前記第2のフランジのうちの少なくとも1つを通り抜ける、概ね径方向に延びる複数の径方向チャネル(80)と、
(d)前記第1のフランジ(68)を貫いて延び、前記径方向チャネル(80)それぞれと連通する、概ね軸方向に延びる複数のチャネル(92)と、
(e)前記第1のフランジおよび前記第2のフランジを共に固定する複数の締結具(74)と、を備える、機械式継手。
【請求項2】
(a)前記第1のフランジ(68)に、概ね径方向に延びる複数の第1の溝(76)が形成されており、
(b)前記第2のフランジ(64)に、概ね径方向に延びる複数の第2の溝(78)が形成されており、前記第1の溝および前記第2の溝が、協働して前記径方向チャネル(80)を画定するように周方向に位置合わせされる、請求項1記載の機械式継手。
【請求項3】
前記締結具(74)それぞれのヘッドが、前記軸方向チャネル(92)を通過する流れを偏向させるように横方向に延びる1つまたは複数のタブ(104)を含む、請求項1又は2記載の機械式継手。
【請求項4】
隣接した締結具(74)によって支持された前記タブ(104)が、軸方向にオフセットし、横方向で互いに重なり合う、請求項3記載の機械式継手。
【請求項5】
ガスタービンエンジン用の継手構造において、
(a)固定タービンノズルに結合された環状のノズル支持体(66)であって、径方向に延びるノズル支持フランジ(68)を含み、前記ノズル支持フランジ(68)には、概ね径方向に延びる複数の第1の溝(76)が形成されている、環状のノズル支持体(66)と、
(b)複数の流線形ストラットと、前記ノズル支持フランジ(68)に当接する径方向に延びるディフューザフランジ(64)を備えたディフューザアーム(62)とを含む、環状のディフューザ(14)であって、前記ディフューザフランジ(64)には、概ね径方向に延びる複数の第2の溝(78)が形成されており、前記第1の溝および前記第2の溝が、協働して径方向チャネル(80)を画定するように周方向に位置合わせされた、環状のディフューザ(14)と、
(c)エーロフォイル形の複数のベーン(38)と、前記ディフューザフランジ(64)に当接する径方向に延びる出口ガイドベーンフランジ(54)を備えた出口ガイドベーンアーム(44)とを含む環状の出口ガイドベーン構造(12)であって、前記ディフューザアーム(62)および前記出口ガイドベーンアーム(44)が協働してそれらの間に開放容積を画定する、環状の出口ガイドベーン構造(12)と、
(d)前記ディフューザフランジおよび前記出口ガイドフランジを貫いて延び、前記径方向チャネル(80)および前記開放容積のそれぞれと連通する、概ね軸方向に延びる複数のチャネル(92)と、
(e)前記ノズル支持フランジ(68)、前記ディフューザフランジ(64)、および前記出口ガイドベーンフランジ(54)を共に固定する複数の締結具(74)と、を備える、継手構造。
【請求項6】
前記締結具(74)のそれぞれが、前記出口ガイドベーンフランジ(54)に隣接して配置されたヘッドを有しており、各ヘッドが、前記軸方向チャネル(92)を通過する流れを偏向させるように横方向に延びる1つまたは複数のタブ(104)を含む、請求項5記載の継手構造。
【請求項7】
前記ノズル支持フランジ(68)に、複数のスカロップ(70)が形成されている、請求項5又は6記載の継手構造。
【請求項8】
前記出口ガイドベーンフランジ(154)が、前記軸方向チャネル(92)、および前記出口ガイドベーンフランジ(54)の径方向外縁部と連通する、概ね径方向に延びる複数のスロット(190)を含む、請求項5乃至7のいずれか1項記載の継手構造。
【請求項9】
前記出口ガイドベーンアーム(44)の中心部分が、その内表面上に固定シール部材(52)を備える、請求項5乃至8のいずれか1項記載の継手構造。
【請求項10】
前記ノズル支持体(69)に隣接して配置され前記締結具(74)を取り囲む、L字形断面を有する環状のウィンデージシールド(82)をさらに含む、請求項9記載の継手構造。
【請求項11】
前記締結具(74)を過ぎたところで流れの循環を可能にするように、前記ウィンデージシールド(82)の軸方向脚部の遠位端および径方向脚部の遠位端と、隣接構造との間に、予め選択された隙間が存在する、請求項10記載の継手構造。
【請求項12】
複数の締結具(74)によって共に固定された径方向に延びるフランジ(64、68)をそれぞれが有する2つ以上の環状構成部品を含むタイプのガスタービンエンジン用の機械式継手における熱勾配を低減する方法であって、前記環状構成部品の外表面が動作時に高温ガスにさらされる、方法において、固定された前記フランジ(64、68)の中心部分に外部から高温ガスを通過させることを含む、方法。
【請求項13】
固定された前記フランジを通過したガスを軸方向から離れる方向に偏向させることをさらに含む、請求項12記載の方法。
【請求項14】
前記軸方向チャネルを通過する流れを偏向させるように前記締結具間に配置された複数のクリップ(500)をさらに含んでおり、前記クリップ(500)が、前記締結具(74)のヘッド内に形成された溝内で保持される、請求項1記載の機械式継手。
【請求項15】
前記軸方向チャネルを通過する流れを偏向させるように前記締結具(74)間に配置された複数のクリップ(500)をさらに含んでおり、前記クリップが、前記締結具(74)のヘッド内に形成された溝内で保持される、請求項5記載の継手構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−285991(P2010−285991A)
【公開日】平成22年12月24日(2010.12.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−134633(P2010−134633)
【出願日】平成22年6月14日(2010.6.14)
【出願人】(390041542)ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ (6,332)
【氏名又は名称原語表記】GENERAL ELECTRIC COMPANY