ガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービン
【課題】ガス燃料の供給圧力を固定した場合よりも運転可能範囲の拡大が可能なガスタービン燃料の供給圧力制御を提供する。
【解決手段】圧力調節弁3の下流側に流量調節弁4を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁3の開度調整をして燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、燃焼器Fに圧縮空気を供給する圧縮機特性マップ11と、圧力調節弁3の開度指令演算部12とを備えた制御部10を設け、制御部10は、圧縮機特性マップ11がインレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に基づいて車室圧力推定値を与え、開度指令演算部12が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力して、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行う。
【解決手段】圧力調節弁3の下流側に流量調節弁4を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、圧力調節弁3の開度調整をして燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、燃焼器Fに圧縮空気を供給する圧縮機特性マップ11と、圧力調節弁3の開度指令演算部12とを備えた制御部10を設け、制御部10は、圧縮機特性マップ11がインレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に基づいて車室圧力推定値を与え、開度指令演算部12が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力して、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのガス燃料供給系に係り、特に、ガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを主な構成要素とする装置である。
一般に、ガスタービンの燃焼器にガス燃料を供給するガス燃料供給系では、圧縮機により供給されるガス燃料を一定の圧力に維持しつつ、ガスタービンの燃焼器に所望の燃料流量を与えるための制御機構が必要である。
このようなガスタービンは、燃焼器へガス燃料を供給するため、バルブ、配管、燃料ノズル等による圧力損失を考慮して、ガス燃料を一定値以上に加圧する必要がある。
【0003】
ガスタービン燃料の制御機構としては、ガス燃料流量を制御する流量調節弁と、流量調節弁の上流でガス燃料の圧力制御を行う圧力調節弁とを用いた構成が知られている。
このようなガスタービン燃料の制御機構においては、ガスタービンの燃焼器内にガス燃料を供給するため、燃料ノズルの吐出圧力として車室圧力(燃焼器内の圧力)より高い圧力を確保する必要があり、従って、圧力調節弁の出口圧力は、少なくとも燃料ノズルの吐出圧力に圧力調節弁下流側流路の圧力損失を加えた圧力以上に設定される。
【0004】
従来のガスタービンは、上述したガス燃料の供給圧力設定値として、無負荷状態からベース負荷状態まで固定値を採用している。しかし、ガスタービン周辺の外気条件(温度や圧力等)が変化すると、ガスタービンにおいては圧縮機から燃焼器内に供給される圧縮空気の物性値(密度等)も変動する。
このため、たとえば図11に示すように、外気条件が変化することにより、すなわち、外気条件に応じて実際に必要な供給圧力のベースとなる車室圧力が変動することにより、実際に必要な供給圧力(図中に実線で示す実際の要件)と、供給圧力の設定値(図中に破線で示す現行の要件)との間の乖離が大きくなった場合には、運転可能範囲が必要以上に狭められることになる。
【0005】
そこで、下記の特許文献1においては、図12に示すように、ガス燃料供給圧力の設定値を外気条件及び圧縮機圧力比の関数とし、固定値の場合と比較して運転可能範囲を広げることができる手法を提案している。なお、図12において、破線表示が既存の圧力スケジュール、実線表示が関数を用いた手法を示しており、ハッチングを施した領域において運転可能幅が増大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−218254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した特許文献1に記載された手法においては、ガス燃料供給圧力の設定値を定める圧縮機圧力比(ガス燃料供給圧力の設定値を算出する関数に用いる圧縮機圧力比)について、検出遅れの問題が予想される。
すなわち、圧力の計測値を直接フィードバックする手法では、ガス燃料供給圧力の設定値をオンラインで正確に算出できない可能性がある。このような場合、ガス燃料は必要な圧力まで加圧されない虞があり、最悪の場合には燃焼器に燃料が十分に供給されず、ガスタービンの正常な運転を維持できなくなる。
【0008】
このような背景から、ガス燃料を使用するガスタービンにおいては、ガス燃料の供給圧力設定値に固定値を採用する場合と比較して、外気温度等の条件変化が運転可能範囲に及ぼす影響を低減し、運転可能範囲を拡大できるガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンの開発が望まれる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガス燃料の供給圧力を固定した場合よりも運転可能範囲の拡大が可能なガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーン開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とする。
【0010】
このようなガスタービン燃料の供給圧力制御によれば、燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、この制御部では、特性マップがインレットガイドベーン開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、開度指令演算部が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁の開度指令を出力して、圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【0011】
上記の発明において、前記車室圧力推定値を推定する入力値は、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達するまで前記インレットガイドベーン開度指令値、前記ガスタービン回転数及び前記外気条件を用い、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後前記インレットガイドベーン開度指令値及び前記外気条件を用いることが好ましく、これにより、ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後には、検出遅れが大きな影響を及ぼさない外気条件を除き、センサによるフィードバックなしで燃料供給圧力の設定値を算出することができる。すなわち、センサによる検出遅れによる悪影響を除去し、より正確なガスタービン燃料の供給圧力制御が可能になる。
【0012】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力を推定する上で外乱となりうる燃料温度による補正を加え、燃料供給圧力の設定値をより正確に算出することができる。
【0013】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量指令値を加えることが好ましく、これにより、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0014】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量計測値を加えることが好ましく、これにより、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量計測値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0015】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量指令値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0016】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量計測値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量計測値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0017】
上記の発明において、前記制御部は、前記特性マップが、前記車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、前記燃料流量指令値及び前記燃料流量計測値の入力値群から選択した1以上の入力値と、前記外気条件との入力値とに基づいて前記車室内圧力を推定して前記圧力調節弁の開度指令演算部に与えることが好ましく、これにより、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
【0018】
上記の発明において、前記制御部は、前記圧力調節弁の開度調整により、前記流量調節弁の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行ってもよく、これにより、圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御と同様に、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
【0019】
本発明に係るガスタービンは、空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンと、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部とを備えていることを特徴とするものである。
【0020】
このようなガスタービンによれば、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部を備えているので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明によれば、ガス燃料を使用するガスタービンにおいて、ガス燃料の供給圧力設定値に固定値を採用する場合と比較して、外気温度等の条件変化が運転可能範囲に及ぼす影響を低減して運転可能範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の一実施形態を示す系統図である。
【図2】本発明に係るガスタービンの一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第1変形例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第2変形例を示す系統図である。
【図5】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第3変形例を示す系統図である。
【図6】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第4変形例を示す系統図である。
【図7】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第5変形例を示す系統図である。
【図8】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第6変形例を示す系統図である。
【図9】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第7変形例を示す系統図である。
【図10】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第8変形例を示す系統図である。
【図11】ベース負荷ガス燃料供給圧力要件について、実際に必要な供給圧力(図中に実線で示す実際の要件)と、供給圧力の設定値(図中に破線で示す現行の要件)との間の乖離が大きくなった状況を示す説明図である。
【図12】従来技術による運転可能幅の拡大を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、ガスタービンGTの概略構成を示すブロック図であり、ガス燃料を燃焼する燃焼器Fと、燃焼器Fから供給された燃焼ガスを膨張させて回転するタービンTと、空気を圧縮する圧縮機Cとを主な構成要素として備え、制御部10により各種の運転制御が行われるようになっている。
【0024】
ガスタービンプラントGTは、ガス燃料供給源の燃料供給元1から燃焼器F内のパイロットノズル及びメインノズル(以下、総称して「燃料ノズル」と呼ぶ)にガス燃料を供給するため、配管2の途中に圧力調節弁3及び流量調節弁4を設けたガス燃料供給系5を備えている。このガス燃料供給系5は、図示しない燃料用圧縮機により圧送されてくるガス燃料を所望の圧力に維持しつつ、ガスタービンGTの燃焼器Fに所望の燃料流量を与えるための制御機構であり、直列に配置した圧力調節弁3及び流量調節弁4を備えている。
【0025】
上流側に配置した圧力調節弁3は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定し、下流側の流量調節弁4は、ガス燃料の流量を制御して燃焼器Fの燃料ノズルに供給する。この燃料ノズルには、パイロットノズル(不図示)と、パイロットノズルの外周に間隔をおいて配置される複数のメインノズル(不図示)とがある。
そして、本実施形態では、圧力調節弁3の開度調整をして燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御が、ガスタービンGTの各種運転制御を行う制御部10で行われる。
【0026】
図1は、ガスタービン燃料の供給圧力制御例を示す系統図である。燃料供給元1等の燃料供給源からガス燃料を導入する燃料配管2は、燃焼器F内に設置されている燃料ノズルNの数(図示の例ではNaからNnまでn個)に応じて分岐され、すなわち、パイロットノズルや複数のメインノズル毎に分岐した燃料枝配管2a〜2nを並列に配置したものとなる。なお、燃焼器Fが複数設けられている場合には、燃焼器F毎に同様の燃料配管2及び燃料枝配管2a〜2nが配設されている。
なお、図中の符号6は、圧力調節弁3の出口圧力を検出して制御部10に入力する圧力計である。
【0027】
制御部10は、燃焼器Fに圧縮空気を供給する圧縮機Cの特性マップ(圧縮機特性マップ)11と、圧力調節弁3の開度制御を行う開度指令の信号Sを出力する開度指令演算部12とを備えている。
圧縮機特性マップ11は、ガスタービンGTを構成する圧縮機Cの特性に関するマップである。この圧縮機特性マップ11は、制御部10に入力される入力値に基づいて、燃焼器F内の圧力(車室内圧力)を推定した車室圧力推定値を与えるものである。この場合の入力値は、圧縮機Cに設けられるインレットガイドベーン開度指令値21と、ガスタービンGTの回転数を検出したガスタービン回転数22と、ガスタービンGTが設置されている周辺環境の外気温度や圧力、すなわち、圧縮機Cで圧縮する空気の温度や圧力を検出した外気条件23が用いられる。
【0028】
開度指令演算部12は、圧縮機特性マップ11から与えられた車室圧力推定値に基づいて燃料供給圧力の設定値を算出し、この設定値に対応する開度指令の信号Sを生成して圧力調節弁3に出力する。
従って、制御部10は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に基づいて圧縮機特性マップ11により得られた車室圧力推定値を開度指令演算部12に与え、開度指令演算部12では、車室圧力推定値に基づいて燃料供給圧力の設定値を算出し、この設定値に対応する圧力調節弁3の開度から開度指令の信号Sを生成して出力するので、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行うことができる。すなわち、圧力計6で検出される圧力調節弁3の出口圧力は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に応じて変化する。
【0029】
このように、ガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部10は、圧縮機特性マップ11が入力値に基づいて燃焼器F内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、開度指令演算部が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に応じて圧力調節弁3の開度指令を出力し、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行うので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施される。すなわち、車室圧力に応じて最適な出口圧力となるように圧力調節弁3の開度制御を行うので、燃料供給圧力に固定値を使用している従来技術と比較すれば、実際に必要な供給圧力と供給圧力の設定値との間に生じる乖離が解消または抑制され、この結果、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22を用いているので、時定数の大きい圧力センサで懸念されていた検出遅れの心配がなく、従って、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【0030】
図3は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第1変形例を示すフローチャートである。
この供給圧力制御では、車室圧力推定値を推定する入力値として、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達するまでの間、上述した実施形態と同様に、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23を用いる。しかし、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達した後には、インレットガイドベーン開度指令値21及び外気条件23のみを用い、ガスタービン回転数22は使用しない。なお、このような供給圧力制御は、後述する他の変形例にも適用可能である。
【0031】
すなわち、最初のステップS1でスタートすると、次のステップS2でガスタービン回転数22の検出をする。
ガスタービン回転数22の検出値は、次のステップS3において所定値以下か否かを判断する。この場合の所定値は定格回転数であり、ガスタービン回転数22の検出値が定格回転数に到達していない「YES」の場合はステップS4に進んで圧縮機特性マップ11に基づく車室圧力の推定を行う。この場合に使用する入力値は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の3種類である。
【0032】
一方、ステップS3の判断において、ガスタービン回転数22の検出値が定格回転数に到達している「NO」の場合は、ステップS5に進んで圧縮機特性マップ11に基づく車室圧力の推定を行う。この場合に使用する入力値は、インレットガイドベーン開度指令値21及び外気条件23の2種類である。
このような制御を行えば、ガスタービン回転数22によって異なるプロセスで車室圧力を推定するので、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、検出遅れが大きな影響を及ぼさない外気条件23を除いて、回転数を検出するセンサ等によるフィードバックを用いることなく、燃料供給圧力の設定値を算出することができる。すなわち、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、センサの検出遅れによる悪影響を除去することでより正確なガスタービン燃料の供給圧力制御を実施できる。
【0033】
図4は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第2変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Aは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の温度計測値である燃料温度24を加えている。この燃料温度24は、供給するガス燃料の温度を圧力調節弁3の上流側で計測したものである。
【0034】
すなわち、燃料温度24は、ガス燃料に与える必要圧力を推定する際に外乱となりうる値であるから、実際の燃料温度24を計測して補正を加えると、外乱を排除して燃料供給圧力の設定値をより正確に算出することができる。
【0035】
図5は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第3変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Bは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の燃料流量指令値25を加えている。この燃料流量指令値25は、ガスタービンGTの運転状況等に応じて変動する値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合には、燃料流量指令値25を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
【0036】
図6は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第4変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Cは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第3変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を加えている。この燃料流量計測値26は、ガスタービンGTが実際に消費する燃料流量を計測した値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量計測値26が変動する場合には、燃料流量計測値26を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
【0037】
図7は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第5変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Dは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第3変形例の燃料流量指令値25を加えている。従って、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0038】
図8は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第6変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Eは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第4変形例の燃料流量測定値26を加えている。すなわち、第5変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を採用したものである。このような供給圧力制御を行っても、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量測定値26が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0039】
図9は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第7変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Fは、圧力調節弁3の開度調整により、流量調節弁4の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行っている。
【0040】
すなわち、流量調節弁4の上流側及び下流側の差圧ΔPを計測する差圧計7を設け、この計測値を制御部10Eに入力する。そして、上述した圧力調節弁3の出口圧力制御と同様に、開度指令演算部12が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力して、圧力調節弁3の開度調整により差圧ΔPが所望の値となるように差圧制御を行う。
この結果、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御と同様に、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施されるようになり、固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
【0041】
図10は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第8変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Gの場合、開度指令演算部12は、車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、燃料流量指令値及び燃料流量計測値からなる入力値選択群27を備え、入力値選択群27から少なくとも一つを選択した入力値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力する。
【0042】
すなわち、図示の制御例では、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22に代えて、入力値選択群27から少なくとも1つを選択し、あるいは、複数を選択して組合せ、これを外気条件23とともに圧力調節弁3の開度指令算出に使用している。
このような供給圧力制御を行うことにより、上述した実施形態と同様に、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
なお、図示の制御例では第7変形例と同様の差圧制御を行っているが、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御としてもよい。
【0043】
上述したように、本実施形態に係るガスタービンGTは、空気を導入して圧縮する圧縮機Cと、圧縮機Cから供給される空気でガス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器Fと、燃焼器Fから燃焼ガスの供給を受けるタービンTと、上述した実施形態及び各変形例の制御部10,10A〜10Gとを備えているので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
【0044】
また、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 配管
3 圧力調節弁
4 流量調節弁
5 ガス燃料供給系
10,10A〜10G 制御部
11 圧縮機特性マップ
12 開度指令演算部
21 インレットガイドベーン開度指令値
22 ガスタービン回転数
23 外気条件
24 燃料温度
25 燃料流量指令値
26 燃料流量計測値
27 入力値選択群
GT ガスタービン
F 燃焼器
T タービン
C 圧縮機
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスタービンのガス燃料供給系に係り、特に、ガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンに関する。
【背景技術】
【0002】
ガスタービンは、圧縮機と、燃焼器と、タービンとを主な構成要素とする装置である。
一般に、ガスタービンの燃焼器にガス燃料を供給するガス燃料供給系では、圧縮機により供給されるガス燃料を一定の圧力に維持しつつ、ガスタービンの燃焼器に所望の燃料流量を与えるための制御機構が必要である。
このようなガスタービンは、燃焼器へガス燃料を供給するため、バルブ、配管、燃料ノズル等による圧力損失を考慮して、ガス燃料を一定値以上に加圧する必要がある。
【0003】
ガスタービン燃料の制御機構としては、ガス燃料流量を制御する流量調節弁と、流量調節弁の上流でガス燃料の圧力制御を行う圧力調節弁とを用いた構成が知られている。
このようなガスタービン燃料の制御機構においては、ガスタービンの燃焼器内にガス燃料を供給するため、燃料ノズルの吐出圧力として車室圧力(燃焼器内の圧力)より高い圧力を確保する必要があり、従って、圧力調節弁の出口圧力は、少なくとも燃料ノズルの吐出圧力に圧力調節弁下流側流路の圧力損失を加えた圧力以上に設定される。
【0004】
従来のガスタービンは、上述したガス燃料の供給圧力設定値として、無負荷状態からベース負荷状態まで固定値を採用している。しかし、ガスタービン周辺の外気条件(温度や圧力等)が変化すると、ガスタービンにおいては圧縮機から燃焼器内に供給される圧縮空気の物性値(密度等)も変動する。
このため、たとえば図11に示すように、外気条件が変化することにより、すなわち、外気条件に応じて実際に必要な供給圧力のベースとなる車室圧力が変動することにより、実際に必要な供給圧力(図中に実線で示す実際の要件)と、供給圧力の設定値(図中に破線で示す現行の要件)との間の乖離が大きくなった場合には、運転可能範囲が必要以上に狭められることになる。
【0005】
そこで、下記の特許文献1においては、図12に示すように、ガス燃料供給圧力の設定値を外気条件及び圧縮機圧力比の関数とし、固定値の場合と比較して運転可能範囲を広げることができる手法を提案している。なお、図12において、破線表示が既存の圧力スケジュール、実線表示が関数を用いた手法を示しており、ハッチングを施した領域において運転可能幅が増大している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−218254号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところが、上述した特許文献1に記載された手法においては、ガス燃料供給圧力の設定値を定める圧縮機圧力比(ガス燃料供給圧力の設定値を算出する関数に用いる圧縮機圧力比)について、検出遅れの問題が予想される。
すなわち、圧力の計測値を直接フィードバックする手法では、ガス燃料供給圧力の設定値をオンラインで正確に算出できない可能性がある。このような場合、ガス燃料は必要な圧力まで加圧されない虞があり、最悪の場合には燃焼器に燃料が十分に供給されず、ガスタービンの正常な運転を維持できなくなる。
【0008】
このような背景から、ガス燃料を使用するガスタービンにおいては、ガス燃料の供給圧力設定値に固定値を採用する場合と比較して、外気温度等の条件変化が運転可能範囲に及ぼす影響を低減し、運転可能範囲を拡大できるガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンの開発が望まれる。
本発明は、上記の課題を解決するためになされたもので、その目的とするところは、ガス燃料の供給圧力を固定した場合よりも運転可能範囲の拡大が可能なガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するため、下記の手段を採用した。
本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーン開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とする。
【0010】
このようなガスタービン燃料の供給圧力制御によれば、燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、この制御部では、特性マップがインレットガイドベーン開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、開度指令演算部が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁の開度指令を出力して、圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【0011】
上記の発明において、前記車室圧力推定値を推定する入力値は、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達するまで前記インレットガイドベーン開度指令値、前記ガスタービン回転数及び前記外気条件を用い、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後前記インレットガイドベーン開度指令値及び前記外気条件を用いることが好ましく、これにより、ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後には、検出遅れが大きな影響を及ぼさない外気条件を除き、センサによるフィードバックなしで燃料供給圧力の設定値を算出することができる。すなわち、センサによる検出遅れによる悪影響を除去し、より正確なガスタービン燃料の供給圧力制御が可能になる。
【0012】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力を推定する上で外乱となりうる燃料温度による補正を加え、燃料供給圧力の設定値をより正確に算出することができる。
【0013】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量指令値を加えることが好ましく、これにより、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0014】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量計測値を加えることが好ましく、これにより、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量計測値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0015】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量指令値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0016】
上記の発明においては、前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量計測値を加えることが好ましく、これにより、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンの負荷変動等により燃料流量指令値が変動する場合、燃料流量計測値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0017】
上記の発明において、前記制御部は、前記特性マップが、前記車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、前記燃料流量指令値及び前記燃料流量計測値の入力値群から選択した1以上の入力値と、前記外気条件との入力値とに基づいて前記車室内圧力を推定して前記圧力調節弁の開度指令演算部に与えることが好ましく、これにより、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
【0018】
上記の発明において、前記制御部は、前記圧力調節弁の開度調整により、前記流量調節弁の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行ってもよく、これにより、圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御と同様に、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
【0019】
本発明に係るガスタービンは、空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンと、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部とを備えていることを特徴とするものである。
【0020】
このようなガスタービンによれば、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部を備えているので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値及びガスタービン回転数を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【発明の効果】
【0021】
上述した本発明によれば、ガス燃料を使用するガスタービンにおいて、ガス燃料の供給圧力設定値に固定値を採用する場合と比較して、外気温度等の条件変化が運転可能範囲に及ぼす影響を低減して運転可能範囲を拡大することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の一実施形態を示す系統図である。
【図2】本発明に係るガスタービンの一実施形態を示す概略構成図である。
【図3】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第1変形例を示すフローチャートである。
【図4】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第2変形例を示す系統図である。
【図5】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第3変形例を示す系統図である。
【図6】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第4変形例を示す系統図である。
【図7】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第5変形例を示す系統図である。
【図8】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第6変形例を示す系統図である。
【図9】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第7変形例を示す系統図である。
【図10】本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御の第8変形例を示す系統図である。
【図11】ベース負荷ガス燃料供給圧力要件について、実際に必要な供給圧力(図中に実線で示す実際の要件)と、供給圧力の設定値(図中に破線で示す現行の要件)との間の乖離が大きくなった状況を示す説明図である。
【図12】従来技術による運転可能幅の拡大を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明に係るガスタービン燃料の供給圧力制御及びガスタービンの一実施形態を図面に基づいて説明する。
図2は、ガスタービンGTの概略構成を示すブロック図であり、ガス燃料を燃焼する燃焼器Fと、燃焼器Fから供給された燃焼ガスを膨張させて回転するタービンTと、空気を圧縮する圧縮機Cとを主な構成要素として備え、制御部10により各種の運転制御が行われるようになっている。
【0024】
ガスタービンプラントGTは、ガス燃料供給源の燃料供給元1から燃焼器F内のパイロットノズル及びメインノズル(以下、総称して「燃料ノズル」と呼ぶ)にガス燃料を供給するため、配管2の途中に圧力調節弁3及び流量調節弁4を設けたガス燃料供給系5を備えている。このガス燃料供給系5は、図示しない燃料用圧縮機により圧送されてくるガス燃料を所望の圧力に維持しつつ、ガスタービンGTの燃焼器Fに所望の燃料流量を与えるための制御機構であり、直列に配置した圧力調節弁3及び流量調節弁4を備えている。
【0025】
上流側に配置した圧力調節弁3は、ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定し、下流側の流量調節弁4は、ガス燃料の流量を制御して燃焼器Fの燃料ノズルに供給する。この燃料ノズルには、パイロットノズル(不図示)と、パイロットノズルの外周に間隔をおいて配置される複数のメインノズル(不図示)とがある。
そして、本実施形態では、圧力調節弁3の開度調整をして燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御が、ガスタービンGTの各種運転制御を行う制御部10で行われる。
【0026】
図1は、ガスタービン燃料の供給圧力制御例を示す系統図である。燃料供給元1等の燃料供給源からガス燃料を導入する燃料配管2は、燃焼器F内に設置されている燃料ノズルNの数(図示の例ではNaからNnまでn個)に応じて分岐され、すなわち、パイロットノズルや複数のメインノズル毎に分岐した燃料枝配管2a〜2nを並列に配置したものとなる。なお、燃焼器Fが複数設けられている場合には、燃焼器F毎に同様の燃料配管2及び燃料枝配管2a〜2nが配設されている。
なお、図中の符号6は、圧力調節弁3の出口圧力を検出して制御部10に入力する圧力計である。
【0027】
制御部10は、燃焼器Fに圧縮空気を供給する圧縮機Cの特性マップ(圧縮機特性マップ)11と、圧力調節弁3の開度制御を行う開度指令の信号Sを出力する開度指令演算部12とを備えている。
圧縮機特性マップ11は、ガスタービンGTを構成する圧縮機Cの特性に関するマップである。この圧縮機特性マップ11は、制御部10に入力される入力値に基づいて、燃焼器F内の圧力(車室内圧力)を推定した車室圧力推定値を与えるものである。この場合の入力値は、圧縮機Cに設けられるインレットガイドベーン開度指令値21と、ガスタービンGTの回転数を検出したガスタービン回転数22と、ガスタービンGTが設置されている周辺環境の外気温度や圧力、すなわち、圧縮機Cで圧縮する空気の温度や圧力を検出した外気条件23が用いられる。
【0028】
開度指令演算部12は、圧縮機特性マップ11から与えられた車室圧力推定値に基づいて燃料供給圧力の設定値を算出し、この設定値に対応する開度指令の信号Sを生成して圧力調節弁3に出力する。
従って、制御部10は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に基づいて圧縮機特性マップ11により得られた車室圧力推定値を開度指令演算部12に与え、開度指令演算部12では、車室圧力推定値に基づいて燃料供給圧力の設定値を算出し、この設定値に対応する圧力調節弁3の開度から開度指令の信号Sを生成して出力するので、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行うことができる。すなわち、圧力計6で検出される圧力調節弁3の出口圧力は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の入力値に応じて変化する。
【0029】
このように、ガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部10は、圧縮機特性マップ11が入力値に基づいて燃焼器F内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、開度指令演算部が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に応じて圧力調節弁3の開度指令を出力し、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御を行うので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施される。すなわち、車室圧力に応じて最適な出口圧力となるように圧力調節弁3の開度制御を行うので、燃料供給圧力に固定値を使用している従来技術と比較すれば、実際に必要な供給圧力と供給圧力の設定値との間に生じる乖離が解消または抑制され、この結果、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
また、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22を用いているので、時定数の大きい圧力センサで懸念されていた検出遅れの心配がなく、従って、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
【0030】
図3は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第1変形例を示すフローチャートである。
この供給圧力制御では、車室圧力推定値を推定する入力値として、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達するまでの間、上述した実施形態と同様に、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23を用いる。しかし、ガスタービン回転数22が定格回転数に到達した後には、インレットガイドベーン開度指令値21及び外気条件23のみを用い、ガスタービン回転数22は使用しない。なお、このような供給圧力制御は、後述する他の変形例にも適用可能である。
【0031】
すなわち、最初のステップS1でスタートすると、次のステップS2でガスタービン回転数22の検出をする。
ガスタービン回転数22の検出値は、次のステップS3において所定値以下か否かを判断する。この場合の所定値は定格回転数であり、ガスタービン回転数22の検出値が定格回転数に到達していない「YES」の場合はステップS4に進んで圧縮機特性マップ11に基づく車室圧力の推定を行う。この場合に使用する入力値は、インレットガイドベーン開度指令値21、ガスタービン回転数22及び外気条件23の3種類である。
【0032】
一方、ステップS3の判断において、ガスタービン回転数22の検出値が定格回転数に到達している「NO」の場合は、ステップS5に進んで圧縮機特性マップ11に基づく車室圧力の推定を行う。この場合に使用する入力値は、インレットガイドベーン開度指令値21及び外気条件23の2種類である。
このような制御を行えば、ガスタービン回転数22によって異なるプロセスで車室圧力を推定するので、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、検出遅れが大きな影響を及ぼさない外気条件23を除いて、回転数を検出するセンサ等によるフィードバックを用いることなく、燃料供給圧力の設定値を算出することができる。すなわち、ガスタービンGTが定格回転数に達した後には、センサの検出遅れによる悪影響を除去することでより正確なガスタービン燃料の供給圧力制御を実施できる。
【0033】
図4は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第2変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Aは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の温度計測値である燃料温度24を加えている。この燃料温度24は、供給するガス燃料の温度を圧力調節弁3の上流側で計測したものである。
【0034】
すなわち、燃料温度24は、ガス燃料に与える必要圧力を推定する際に外乱となりうる値であるから、実際の燃料温度24を計測して補正を加えると、外乱を排除して燃料供給圧力の設定値をより正確に算出することができる。
【0035】
図5は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第3変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Bは、車室圧力推定値を推定する入力値にガス燃料の燃料流量指令値25を加えている。この燃料流量指令値25は、ガスタービンGTの運転状況等に応じて変動する値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合には、燃料流量指令値25を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
【0036】
図6は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第4変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Cは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第3変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を加えている。この燃料流量計測値26は、ガスタービンGTが実際に消費する燃料流量を計測した値である。従って、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量計測値26が変動する場合には、燃料流量計測値26を入力値に加えて圧力調節弁3の開度調整に補正を施すことにより、圧力制御の応答性が向上する。
【0037】
図7は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第5変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Dは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第3変形例の燃料流量指令値25を加えている。従って、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量指令値25が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0038】
図8は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第6変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Eは、車室圧力推定値を推定する入力値に対し、第2変形例の燃料温度24及び第4変形例の燃料流量測定値26を加えている。すなわち、第5変形例の燃料流量指令値25に代えて、ガス燃料の燃料流量計測値26を採用したものである。このような供給圧力制御を行っても、ガス燃料に与える必要圧力の推定に燃料温度24の補正を加えてより正確な燃料供給圧力の設定値を算出でき、かつ、ガスタービンGTの負荷変動等により燃料流量測定値26が変動する場合、燃料流量指令値による補正を施すことで圧力制御の応答性を向上させることができる。
【0039】
図9は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第7変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Fは、圧力調節弁3の開度調整により、流量調節弁4の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行っている。
【0040】
すなわち、流量調節弁4の上流側及び下流側の差圧ΔPを計測する差圧計7を設け、この計測値を制御部10Eに入力する。そして、上述した圧力調節弁3の出口圧力制御と同様に、開度指令演算部12が車室圧力推定値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力して、圧力調節弁3の開度調整により差圧ΔPが所望の値となるように差圧制御を行う。
この結果、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御と同様に、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施されるようになり、固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
【0041】
図10は、上述したガスタービン燃料の供給圧力制御について、第8変形例を示す系統図である。なお、上述した実施形態と同様の部分には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
この変形例で採用した制御部10Gの場合、開度指令演算部12は、車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、燃料流量指令値及び燃料流量計測値からなる入力値選択群27を備え、入力値選択群27から少なくとも一つを選択した入力値に基づいて算出した燃料供給圧力の設定値に対応する圧力調節弁3の開度指令を出力する。
【0042】
すなわち、図示の制御例では、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22に代えて、入力値選択群27から少なくとも1つを選択し、あるいは、複数を選択して組合せ、これを外気条件23とともに圧力調節弁3の開度指令算出に使用している。
このような供給圧力制御を行うことにより、上述した実施形態と同様に、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
なお、図示の制御例では第7変形例と同様の差圧制御を行っているが、圧力調節弁3の開度調整による出口圧力制御としてもよい。
【0043】
上述したように、本実施形態に係るガスタービンGTは、空気を導入して圧縮する圧縮機Cと、圧縮機Cから供給される空気でガス燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器Fと、燃焼器Fから燃焼ガスの供給を受けるタービンTと、上述した実施形態及び各変形例の制御部10,10A〜10Gとを備えているので、車室圧力の変動に対応した圧力調節弁3の出口圧力制御が実施されるようになり、燃料供給圧力に固定値を使用する場合と比較して、ガスタービンGTの運転可能範囲を拡大することができる。
【0044】
また、インレットガイドベーン開度指令値21及びガスタービン回転数22を用いることにより、時定数の大きい圧力センサで懸念される検出遅れの心配がなく、オンラインで燃料供給圧力の設定値を正確に算出することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0045】
2 配管
3 圧力調節弁
4 流量調節弁
5 ガス燃料供給系
10,10A〜10G 制御部
11 圧縮機特性マップ
12 開度指令演算部
21 インレットガイドベーン開度指令値
22 ガスタービン回転数
23 外気条件
24 燃料温度
25 燃料流量指令値
26 燃料流量計測値
27 入力値選択群
GT ガスタービン
F 燃焼器
T タービン
C 圧縮機
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、
前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーンの開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とするガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項2】
前記車室圧力推定値を推定する入力値は、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達するまで前記インレットガイドベーンの開度指令値、前記ガスタービン回転数及び前記外気条件を用い、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後前記インレットガイドベーンの開度指令値及び前記外気条件を用いることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項3】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項4】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項5】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項6】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項7】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項8】
前記制御部は、前記特性マップが、前記車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、前記燃料流量指令値及び前記燃料流量計測値の入力値群から選択した1以上の入力値と、前記外気条件との入力値とに基づいて前記車室内圧力を推定して前記圧力調節弁の開度指令演算部に与えることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項9】
前記制御部は、前記圧力調節弁の開度調整により、前記流量調節弁の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項10】
空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンと、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部とを備えていることを特徴とするガスタービン。
【請求項1】
ガス燃料を所望の燃料供給圧力に設定する圧力調節弁の下流側に燃料流量を制御して燃焼器の燃料ノズルに供給する流量調節弁を備えているガスタービンのガス燃料供給系に用いられ、前記圧力調節弁の開度調整をして前記燃料供給圧力を可変とするガスタービン燃料の供給圧力制御であって、
前記燃焼器に圧縮空気を供給する圧縮機の特性マップと、前記圧力調節弁の開度指令演算部とを備えた制御部を設け、
前記制御部は、前記特性マップがインレットガイドベーンの開度指令値、ガスタービン回転数及び外気条件の入力値に基づいて前記燃焼器内の圧力を推定した車室圧力推定値を与え、前記開度指令演算部が前記車室圧力推定値に基づいて算出した前記燃料供給圧力の設定値に対応する前記圧力調節弁の開度指令を出力して、前記圧力調節弁の開度調整による出口圧力制御を行うことを特徴とするガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項2】
前記車室圧力推定値を推定する入力値は、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達するまで前記インレットガイドベーンの開度指令値、前記ガスタービン回転数及び前記外気条件を用い、前記ガスタービン回転数が定格回転数に到達した後前記インレットガイドベーンの開度指令値及び前記外気条件を用いることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項3】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項4】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項5】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項6】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量指令値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項7】
前記車室圧力推定値を推定する入力値に前記ガス燃料の温度計測値及び燃料流量計測値を加えたことを特徴とする請求項1または2に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項8】
前記制御部は、前記特性マップが、前記車室圧力推定値、ガスタービン出力要求値、前記燃料流量指令値及び前記燃料流量計測値の入力値群から選択した1以上の入力値と、前記外気条件との入力値とに基づいて前記車室内圧力を推定して前記圧力調節弁の開度指令演算部に与えることを特徴とする請求項1に記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項9】
前記制御部は、前記圧力調節弁の開度調整により、前記流量調節弁の入口圧力と出口圧力との差圧制御を行うことを特徴とする請求項1から8のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御。
【請求項10】
空気を導入して圧縮する圧縮機と、前記圧縮機から供給される空気で燃料を燃焼させて燃焼ガスを生成する燃焼器と、前記燃焼器から燃焼ガスの供給を受けるタービンと、請求項1から9のいずれかに記載のガスタービン燃料の供給圧力制御を行う制御部とを備えていることを特徴とするガスタービン。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−252397(P2011−252397A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−124739(P2010−124739)
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年5月31日(2010.5.31)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
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