説明

ガスハイドレートを含む炭化水素含有層を生産するための坑井ケーシング内のツール方向付け及び位置決め並びに粒状物保護のための方法及びシステム

【課題】ガスハイドレートを含む炭化水素鉱床を生産するための坑井ケーシング内のツール方向付け及び位置決め及び粒状物保護のための方法及びシステムを提供する。
【解決手段】ガスハイドレートからメタンガスを含む炭化水素の生産のための坑井ケーシング内のツール方向付け及び位置決め並びに粒状物保護のための方法及びシステムは、スクリーンを坑井ケーシングに入ってくる生産流体内に同伴される粒状物から保護し且つ隔離するために円筒形生産チューブスクリーンに隣接して生産坑井ケーシング内に配置されたシュラウドを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、生産坑井ケーシング内のツール方向付け及び位置決めのための方法及びシステムに関する。ここに開示される面は、地下炭化水素生産層からの粒状物の排除を含む。一つの面では、本発明は、穿孔ツールを坑井内に選択的に且つ正確に降ろし、坑井ケーシングの外側に取付けられた機器及びケーブルの破損を回避し及び又は坑井との衝突を回避する方法及びシステムに関する。一旦、正確に穿孔されると、本発明は、また、砂が生産チューブに入ることを排除し、砂排除システムを保護する方法及びシステムに関する。本発明は、炭化水素生産のいろいろな形態への応用を見出すが、一つの面ではメタンガスをガスハイドレート層から生産するのに有用である。
【背景技術】
【0002】
ガスハイドレートは、結晶固体であり、結晶固体は、水の分子と共同してガス分子の機械的混同のケージ状格子である。化合物の親クラスの名前は、“クラスレート”であり、“クラスレート”は、“バーで囲むこと”を意味するラテン語に由来する。構造は、氷に似ているが、氷の凝固点(氷点)よりかなり上の温度で存在する。ガスハイドレートは、二酸化炭素と、硫化水素と、メタンを含むいくつかの低炭素数ハイドロカーボンと、を含む。本発明の主な興味は、地下メタンハイドレートからのメタンの回収である。
【0003】
メタンハイドレートは、(1)低い温度が浅い堆積物に存在する永久凍土領域、及び(2)高圧が支配する500メートルよりも深い水深の海底の下、の二種類の地層に多量に存在することが知られている。メタンハイドレートの大きな堆積は、米国のアラスカ、カリフォルニアからワシントンまでの西海岸、800メートルの水深の東海岸、及びメキシコ湾(他のよく知られた地域は、日本、カナダ、及びロシアを含む)で発見されている。
【0004】
米国地質調査研究は、ガスハイドレート内の現場ガス資源が、米国の在来の回収可能なガス埋蔵量の先に推定された約40兆立方メートル(1,400トリリオン・キュービック・フィート)が小さく思える約5,715兆立方メートル(約200,000トリリオン・キュービック・フィート)で構成されると推定している。世界中で、ガスハイドレートの天然ガス潜在量の推定は、約1、100万立方メートル(約400ミリオン・キュービック・フィート)に達する。
【0005】
天然ガスは、米国の重要なエネルギー源である。2025年までには米国の天然ガス消費量がほぼ0.89兆立方メートル(約31トリリオン・キュービック・フィート)になると推定される。天然ガスの重要性及び必要性を考えれば、費用効率のよい新しい源の開発は、アメリカの消費者にとって重要な利益である。
【0006】
メタンハイドレートの明らかな利点及び可能性にも係わらず、ガスハイドレートからのメタンの生産は、業界にとって難題である。メタンをガスハイドレートから抽出することを試みるとき、封鎖されたガス分子を、まず、元の位置で、ハイドレートから解離させなければならない。典型的には、この解離をもたらすために用いることができる3つの方法が知られている。
【0007】
一つの方法は、メタン分子を遊離させるためにガスハイドレート層を加熱することである。この方法は、本願と共通な出願人による、2006年2月16日に公開された“ガスハイドレートの採収方法”という発明の名称の米国特許出願公開公報2006/0032637号に開示されている。この公報の開示は、本願発明に関する背景技術の情報としてここの援用される。
【0008】
メタンハイドレートを生産するために構想された他の方法は、層の相挙動を変化させるために化学物質をハイドレート層に注入することである。
【0009】
第3の技法は、減圧方法として扱われる。この方法は、ガスハイドレート層の減圧と、解離を可能にするためにハイドレート層に相対的に一定の減圧を維持し、次いで、坑井ケーシングを通して解離されたガスと水とを回収することを含む。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
不成層を穿孔するとき、砂層の砂が坑井ケーシングの中に生産される。生産される砂の速度及び量に応じて、完成ストリングへの損傷を最小にするために適切な砂管理技法を採用しなければならない。砂制御手順の目的は、円滑な流体の流れを引き起すにもかかわらず砂生産を防ぐことである。
【0011】
本発明は、坑井ケーシング内側の砂管理に適用する。本発明は、ケーシング計装及び又はケーブルを回避するために穿孔ツールを正確に位置決めするように動作可能である方向付けデバイスを利用することを意図する。
【0012】
炭化水素帯域での坑井生産ケーシングの正確な穿孔に続いて、スクリーンがケーシングの内側に配置され、グラベルパックと通称される既知のプロパントがスクリーンとケーシングとの間に配置される。グラベルをスクリーンと穿孔との間に配置するための多数の技法がある。しかしながら、汲み上げ作業が制限されるか或いは不可能であるような或る状況のために代替方法が要求される。この場合には、穿孔を隔ててスクリーンを配置したならばスクリーンが浸食される危険性がある。本発明の砂管理方法及びシステムは、この危険性を緩和する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の一実施形態では、インデクシングデバイスが生産ケーシングストリングの不可欠な構成部品として通されるのがよい。方向付けツールがケーシングストリングの内側に通され、垂直方向付けに係わりなくインデクシングデバイスに対して深さ及び角度位置を捜す。穿孔デバイス、即ち、穿孔銃が、方向付けツールの方向付け部分に対して既知の位置で方向付けツールの下に通される。
【0014】
方向付けツールは、インデクシングデバイスに降ろされて適切な位置決め及び方向付けを達成する。次いで、ケーシングは、正確な位置及び方向で穿孔される。
【0015】
スクリーン組立体が同じインデクシングデバイスを用いて同じ方向付けツールの下に配置されて、スクリーンを穿孔パターンに対して正確に位置決めし且つ方向付ける。
【0016】
スクリーンは、スクリーンの外径の坑井ケーシング穿孔に関して径方向内方で要所要所に位置決めされた保護シュラウドを担持して穿孔でケーシングの中に入ってくる砂子からスクリーンを保護する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
今、同じ参照符号が同じ部品を示す図面を参照すると、図1は、本発明の一つの作業状況の絵画図を開示する。この図では、例えば、ガスハイドレート層10がアラスカに存在するような永久凍土層12の下の浅い地質帯域にある。他の地層14及び又は帯水層16がガスハイドレートの下に存在することがある。
【0018】
封鎖されたメタンガスをガスハイドレート帯域内から回収するために、一つ又はそれ以上の坑井18,20、及び又は22が永久凍土層12を貫通してガスハイドレート帯域10の中に掘削される。普通は、ケーシングが坑井内にセメントで固められて、一つ又はそれ以上の窓がハイドレート帯域の中に直接開けられて坑井の遠位端から延びる不規則生産帯域24、26、28、30で表されたガスハイドレートの不規則領域を減圧する。18及び22に図示した単一坑井やぐらから掘削された単一坑井が示されているが、坑井やぐら20及び帯域32で図示したように傾斜掘りが掘削作業の範囲を広げるより一般的な方法であることが構想される。
【0019】
一旦一つ又はそれ以上の坑井が掘削されると、圧力が坑井の周りのガスハイドレート帯域から軽減され、メタンガスと水分子が解離して坑井に入る。次いで、ガスを水から分離することができ且つ地表に上昇させることができ、或いは水と一緒に地表にポンプで汲み上げて分離し、パイプライン32に沿って図示していないコンプレッサステーションに送ることができる。
【0020】
メキシコ湾のような水域44の海面42に浮いている掘削船40が示される本発明の変形例の作業状況を図2に図示する。この海洋環境では、約500メートル以上の水深の圧力が、海底48の下の、メタンハイドレートのような、ガスハイドレート46の地層の、再度、層に対して伝導性である。
【0021】
500メートル又はそれ以上の水深の沖合い掘削が、今、技術的に可能であるから、生産層50を形成するために沖合いガスハイドレート層46の中に掘削すること及び沖合い坑井穴の中にケーシングをセメントで固めることは、ガスハイドレート層からのメタンの他の生産源である。再び、海底テンプレートからの傾斜掘りは、50又はそれ以上の坑井を単一掘削船位置から掘削することができる。
【0022】
今、図3を参照すると、本発明の一実施形態による一つの方法及びシステムが示されている。この実施形態では、坑井穴60が地層62を通ってメタンハイドレート64の前に示した地層に掘削される。ケーシング66が、坑井内に配置され且つ生産のために外側環帯の周りにセメントで固められる。永久凍土を通して或いは沖合いならば深さを通して掘削するための比較的浅い、選択された深さで、ケーシングには、一つ又はそれ以上の窓68が開けられ、窓68は、坑井ケーシングの内部と圧力下のメタンハイドレートの帯域との間に開放連通を確立する。坑井ケーシングのこの開口は、周辺のメタンハイドレートの圧力を軽減し且つ前に封鎖されたメタンガスを水分子の格子構造から解離可能にしてガスと水の物理的混合物を形成する。次いで、ガスと水70は、坑井ケーシング66に流れ込み且つ坑井ケーシング内の所望の圧力レベルと一致する、ケーシング内のレベル72まで上昇する。換言すると、水中ポンプは、坑井から水を汲み出してハイドレート層により低い静水圧を引き起す。この減圧により、固体ハイドレートを解離させる。一旦ハイドレートが解離すると、水とガスは、坑内に流れ込み水レベルを上昇させ、水位降下圧力を下げ、更なる解離を阻止する傾向がある。これは、自己制限工程であり、かくして、水中ポンプを用いて、坑井ケーシング内の水を汲み出して水位を下げ且つ連続的な解離に必要な水位降下圧力を維持する。ポンプは、水位降下圧力を引き起す。自動帰還ループは、或る量の生産水を再循環させることによって一定の水位降下圧力を維持する。
【0023】
メタンガスを混合物から回収するために、ガスと水の混合物は、坑井ケーシング66の中へ延びている第1の導管75の遠位端に連結された電動水中ポンプ(ESP)74によって地表に汲み上げられる。
【0024】
電動水中ポンプ(ESP)のような、或る坑内ポンプは、ポンプの性能を安定させるために最小量の流量を要求する。或る炭化水素リザーバは、フル生産の電動水中ポンプ(ESP)を効率的に用いるために、例えば、メタンハイドレート生産坑井内に、十分な生産流量を有していない。メタンハイドレート生産流量は、地層浸透性ばかりでなくハイドレート解離の速度或いは量にも依存する。従って、生産速度は、時間で変化するかもしれないし、ポンプの大きさを変えることを必要とするかもしれない。本発明は、汲み出された流体を再循環させるべく坑井ケーシングに戻すために用いられる還流ループによって、ポンプのために最小の流体流量を発生させる方法及びシステムを提供するものである。これで、たった一つの大容量坑内ポンプで広範囲の生産速度を取扱うことが可能である。
【0025】
地表では、ガスと水の混合物は、在来のガス及び水分離器78を通り、ここで、メタンガスが分離され、監視されてコンプレッサ装置による収集のためにパイプ80に送出される。分離器/監視装置78の下流には、システムからの水の流出を制御するための弁82である。弁82に到達する前に、分岐或いは第2の導管84が第1の導管に接合され且つ坑井ケーシング66の中へ戻って延びている。これは、78で混合物分離された、坑井からの水を坑井ケーシングに再び導入させることができ、電動水中ポンプ74の効率的動作のために坑井ケーシング内に少なくとも最小水レベル72を維持する。
【0026】
坑井ケーシングに再導入された水の容積の制御は、図3に示すように第2の導管84に配置されたチョークバルブ86によって行われる。チョークバルブ86の位置は、電動水中ポンプ74の取入口からチョークバルブ86まで延びる制御ラインによって調整することができる。これにより、システムは、該システムに再導入される水の容積を制御することによって坑井ケーシング66内に一定圧力を維持することができる。
【0027】
坑井ケーシング内の圧力により、ガスと水の混合物が坑井ケーシング66、電動水中ポンプ74或いは第1の導管76内で固化する傾向がある。坑井ケーシングに戻る水の温度は、この問題を最小にするために戻り水或いは第2の導管84に接続された温度制御装置90によって調整することができる。
【0028】
分離器78からのメタンガスを収集することに加えて、メタンガスは、ガスをコンプレッサ収納システムにも送出するガス生産監視装置94に通る第3の導管92によって坑井ケーシングの頂部から直接引き出される。
【0029】
坑内坑井ケーシング圧力及び電動水中ポンプ74内の圧力に応じて、ガスと水の混合物70は、電動水中ポンプ74取入口内で(かくして電動水中ポンプ74の上流で)、電動水中ポンプ74自体内で、又は第1の導体76内の電動水中ポンプ74の下流で汲み上げ作業中再固化する傾向がある。この傾向を最小にするために、第4の導管96がケーシング66内に延びていて、メタノールのような化学物質を電動水中ポンプ74の上流に電動水中ポンプ74の中へ直接、或いは電動水中ポンプ74の下流に供給するように操作可能であり、システム内でのメタンハイドレートの再形成を最小にする。
【0030】
メタンをガスハイドレートから生産するに当たって、或いは、在来の天然ガス、又はオイル埋蔵のような他の炭化水素の生産では、生産物炭化水素は、加工のために地表へ汲み上げるべく地下層から生産坑井ケーシングに流れ込む。
【0031】
係る作業では、炭化水素流体流内に同伴された砂のような粒状物は、生産のための炭化水素と一緒に坑井ケーシングのアクセス窓又は穿孔に入ることができる。
【0032】
炭化水素生産作業では、機器及びケーブルが坑井ケーシングの外側に取付けられ及び又は坑井で実施される場合に、特別なケーシグカップリングが、リザーバ及び機器に対して坑井ケーシング内で離間される。このカップリングには、内径制限なしに内部方向付け及び位置決め部分が構成される。
【0033】
図4は、インデクシングケーシングカップリング100の例を開示する。方向付けプロフィール又はチャネル102がインデクシングケーシング内に形成され、図示しない生産チューブの部分と協同して生産チューブを回転又は方向付ける。
【0034】
また、インデクシングケーシングカップリング100には、図4Aで拡大して示す複数の位置決めプロフィール104が形成され、穿孔ツール及び生産チューブの外側面の対応するプロフィールと協同する。
【0035】
図5及び図6は、本願の出願人の姉妹会社に譲渡された“インデクシングシステムをケーシング坑井に位置決めし且つ多面的分枝操作を実行するための方法及び装置”という名称の特許について2005年6月15日の公報2005/24に公開された欧州特許出願EP0872626号公報の要旨である、一例の開示のインデクシングケーシングカップリングの更なる図である。このEPO特許公開公報の開示は、あたかも詳細に示したかのように参考文献としてここに援用される。
【0036】
図5は、坑井ケーシング108の中に実施されるツールの位置決め及び方位インデクシングのためのケーシングストリング108に取付けられた代表的なインデクシングカップリング106を開示する。インデクシングカップリングは、内部ランディングプロフィール110の中に降ろされ且つ方向付けされるべき坑井サービスツールの形状と一致する形状の円形ランド及び溝を有する選択された内部ランディングプロフィール110を構成する。
【0037】
インデクシングカップリング106は、方向付けスロット112を含み、方向付けスロット112は、いかなる適当な構成のものであってもよいが矩形114としてこの実施形態では示されている。このスロットは、方向付け坑井ツール118の方向付けキー116と協同するように作動する。坑井ツール118が降下すると、方向付けキー116は、インデクシングカップリングのカム面120に係合し、且つ方向付けキー116がスロット112の中に降下して地点122(図6参照)に降下するまで機械的に回転されて、深さ及び方位の両方の正確な方向付けをもたらす。
【0038】
坑井ツールは、インデクシングカップリング106の内部ランディングプロフィール110に合致するプロフィールを有するラッチングドッグ124を備え、ラッチングドッグ124が内部ランディングプロフィールと合っているときにラッチングドッグ124が着座される。次いで、坑井ツール118は、坑井ツール118をインデクシングカップリング106内にラッチ関係に固定する目的のためにラッチング活動を受ける。
【0039】
図7を参照すると、建設選択位置決めツール(CSLT)130が示されている。この建設選択位置決めツールは、多数の特徴を有するが、この説明の目的について、ばね仕掛け位置決めキー132が、上述したような対応する位置決めプロフィール面と確実に係合するように作動することに注目するだけで十分である。ばね仕掛け位置決めキー134が、図4に開示したように方向付けプロフィール102と作動可能に協同する。以下に説明するように、穿孔銃が建設選択位置決めツール(CSLT)130の下に配置され且つ坑井ケーシングを正確に穿孔するように作動する。
【0040】
図8は、例示的な方向付け穿孔銃組立体140を開示する。方向付け穿孔銃組立体140は、ワーキングストリング142に連結され且つ最初の構成部品が、方向付け及びロッキングキーを有する建設選択位置決めツール130である。位置合せクラッチングカップリングが建設選択位置決めツール130を発火ヘッド146に連結する。銃スペーサ148及び150が位置合せ調整装置152及び154にそれぞれ連結される。銃組立体156及び158が位置合せアダプタに連結され、そして最後に方向付け穿孔銃組立体は、エンドアダプタ160によって完了される。
【0041】
今、図9及び図10を参照すると、坑井生産ケーシング170がガスハイドレート生産層172内にセメントで固められて示されている。生産チューブ174が坑井ケーシング170の中へ延ばされ、円筒形粒状物又は砂スクリーン176で終っている。生産穿孔178、180、182、184の半径方向内側位置に、電気防食用ガード或いはシュラウド190及び192がスクリーン176に取付けられる。
【0042】
シュラウド190及び192は、図10に示すように、断面が円弧状であり、穿孔窓178乃至184と対置して垂直方向に延びている。シュラウドは、片持ち連結又は支持棒194及び196によって適所に保持される。一実施形態では、シュラウドは、固体であるが、しかしながら、また、シュラウドは、電気防食用材料の垂直ストリップによって形成されてもよい。更に、シュラウドは、比較的厚い電気防食用部材であるように設計されてもよい。
【0043】
ここでの開示は、坑井ケーシングの方向付け穿孔での応用を意図する。上述したように、“スマート”或いは“インテリジェント”坑井の出現で、ケーシングの後へのセンサの設置が更に一般的になってきている。従って、坑井ケーシングを正確に穿孔するための有効な方法及びシステムの要望が高まっている。ここでの開示は、方向付け穿孔を通すための信頼性がある機械的技法として建設選択位置決めツール及びインデクシングケーシングカップリングを利用することを提供する。これにより、インデクシングケーシングカップリングは、穿孔されるべき層のちょうど上に位置決めされるのがよい。従って、ケーシングの後ろのセンサ及びケーブルは、インデクシングケーシングカップリング深さのちょうど下に位置決めされ且つ直線に通される。時限スレッドを回避するために、インデクシングケーシングカップリングの方向付けスロットに関するケーブル線及び機器の位置は、一旦インデクシングケーシングカップリングが設置されると、記録される。この相対的方向付けが既知であれば、穿孔銃は、センサを穿孔することを回避するために建設選択位置決めツールの方向付けキーまで形成される。
【0044】
作業中、インデクシングデバイスがケーシングストリングと一体で通される。方向付けツールがケーシングストリングの内側に通されてインデクシングデバイスに対して深さ及び角度位置を捜し出す。穿孔デバイス、即ち、穿孔銃が、方向付けツールの方向付け部分に対して既知の位置の方向付けツールの下に通される。方向付けツールは、適切な位置及び方向を達成するためにインデクシングデバイスに降ろされる。ケーシングは、正確な位置及び方向で穿孔される。特別に設計されたスクリーン組立体が、スクリーンを穿孔パターンに対して正確に位置決めし且つ方向付けるために同じインデクシングデバイスを用いて同じ方向付けツールの下に配置される。
【0045】
これで、スクリーンは、穿孔でケーシングの中に入ってくる砂の粒子からスクリーンを保護するためにスクリーンの外径の要所要所に位置決めされた保護シュラウドで構成されるのがよい。
【0046】
ケーシングストリングは、ケーシングの内径に組み込まれた方向付け部分、例えば、インデクシングケーシングカップリングと共に通される。方向付け部分は、嵌合方向付けツール、例えば、建設選択位置決めツールをケーシングの内側に通ささせ、方向付け部分に対して建設選択位置決めツール自体を捜して方向付ける。方向付け部分と共にケーシングストリングをセメントで固めるのがよい。次いで、相手の方向付けツールは、穿孔ツールと共に通されて、既知の位置及び方向でケーシングに穴を引き起す。続いて、特別に設計されたスクリーンが同じ嵌合方向付けツールと共に通されて、ケーシングに作られた穿孔と整合するようにスクリーンを配置する。この場合のスクリーンは、スクリーンの外径の保護シュラウドで特別に設計される。
【0047】
典型的には、スクリーンが穿孔を隔てて配置されるとき、スクリーンとケーシングとの間の空間は、普通、グラベルパックと呼ばれる、既知のプロパントで満たされる。また、本発明は、グラベルパッキング選択が制限され又は不可能であるような応用を意図する。通常のスクリーンを、ケーシングを隔てて配置することによる問題は、スクリーンに衝突して最終的にスクリーンに穴を形成する砂の危険性である。この問題を回避するために、スクリーンは、穿孔の上に通されてもよいが、係る構成は、性能を犠牲にする。
【0048】
図9に示すように、特別に保護されたスクリーンを、穿孔を隔てて正確に位置決めすることによって、フローインピーダンスを最小にすると同時にスクリーンについて十分な保護を提供する。
【0049】
この場合に特別に設計されたスクリーンは、ケーシング穿孔からずれて位置決めされた流穴を有する円筒形である保護部材を有する。保護部材は、厚い部材であってよいし、或いは砂の浸食を取扱うために適切に作られてもよい。変形例として、保護部材は、穿孔と直列するエリアのスクリーンに取付けられる物質のストリップ或いは物質のパッチから構成されてもよい。穿孔は、上述した正確な方向付け方法を用いて作られ、スクリーンは、同様にして方向付けられるので、保護部材は、必要に応じて特注設計してもよい。
【0050】
本発明を説明するに当たって、本発明の或る実施形態及び開示の説明的利点を参照した。しかしながら、当業者、及び発明の主題を熟知している者は、本発明の特許請求の範囲の範囲内にある追加、削除、変更、代替、及び他の変化を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】図1は、ガスハイドレートが存在することが知られているアラスカの永久凍土の一つの状況或いは地質領域の絵図である。
【図2】図2は、水深が500メートル以上の米国の沖合い領域の下のガスハイドレートの他の状況或いは地質領域の絵図である。
【図3】図3は、地表バルブシステムから坑井の中に水を戻すことを含んでいる坑井内で所望レベルの圧力を維持することを含んでいる減圧生産システムを含むメタンハイドレートを生産するための一つの技法の略図である。
【図4】図4は、坑井ケーシングの内径に組み込まれたインデクシングケーシングカップリング(ICC)を示す図である。
【図4A】図4Aは、多重位置決めプロフィールを示すインデクシングケーシングカップリングの詳細図である。
【図5】図5は、カップリングの方向付け機構のさらに詳細を開示するインデクシングケーシングカップリングの横断面図である。
【図6】図6は、カップリングの方位回転部分を更に開示するために90度回転された図5のインデクシングケーシングカップリングの他の横断面図である。
【図7】図7は、図4乃至6に示したインデクシングケーシングカップリング(ICC)によって降ろされ且つ方向付けされるために用いる建設選択位置決めツール(CSLT)の側面図である。
【図8】図8は、坑井ケーシングを選択的に穿孔するためにインデクシングケーシングカップリング(ICC)の下に取り付けられる方向付け穿孔銃組立体の側面図である。
【図9】図9は、粒子が生産チュービングに入るのを阻止するために生産チューブの遠位端に円筒形スクリーンと、坑井ケーシングの生産穿孔に関して正確に配置された保護シュラウドと、を有する同軸生産チューブを有する生産坑井ケーシングの遠位端の概略側面図である。
【図10】図10は、図9の区分線10−10に沿って見た断面図であり生産穿孔に関して保護シュラウドの半径方向の配置を開示する。
【符号の説明】
【0052】
100 インデクシングケーシングカップリング
102 方向付けプロフィール又はチャネル
104 位置決めプロフィール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
地下帯域からの生産方法であって、カップリングを生産坑井ケーシングストリングの一部分として配置する段階と、位置決めツールを担持する生産チュービングを坑井生産ケーシングに配置する段階と、粒状物用の円筒形スクリーンを生産チュービングの遠位端に配置し、円筒形スクリーンが少なくともスクリーンの位置に沿って少なくとも一つのシュラウドを担持する段階と、坑井ケーシング生産穿孔を通って流れる流体内に同伴される粒状物を円筒形スクリーンに衝突させないように、シュラウドを坑井ケーシングの穿孔窓と半径方向に整合させるように方向付けする段階と、を含むことを特徴とする上記方法。
【請求項2】
カップリングを、坑井生産と関連した機器及びケーブルと一緒に坑内の適所にセメントで固める段階と、位置決めツールを担持するチューブを、セメントで固められた坑井生産ケーシングの中に配置する段階と、位置決めツールをカップリングの中に降ろして坑井ケーシング内に位置決めツールを方向付ける段階と、坑井生産ケーシングと一緒にセメントで固められたケーシングケーブル及び又は機器との衝突を回避する特定の位置で生産坑井ケーシングを穿孔する段階と、を更に含む、請求項1に記載の上記方法。
【請求項3】
地下帯域からの生産方法であって、穿孔を形成した坑井生産ケーシングに生産チューブを配置する段階と、スクリーンを生産チューブの遠位端に配置し、スクリーンが少なくともスクリーンの位置に沿って少なくとも一つのシュラウドを担持する段階と、坑井ケーシング生産穿孔を通って流れる流体内に同伴される粒状物をスクリーンに衝突させないように、シュラウドを坑井ケーシングの穿孔と半径方向に整合するように方向付けする段階と、を含むことを特徴とする上記方法。
【請求項4】
穿孔する段階は、生産窓を生産坑井ケーシングの両側に形成する段階を含む、請求項2に記載の上記方法。
【請求項5】
シュラウドを生産坑井ケーシングから半径方向内方に且つ生産坑井ケーシングを貫通する生産穿孔の各位置でスクリーンに関して半径方向外方に位置決めする、請求項4に記載の上記。
【請求項6】
地下炭化水素帯域からの炭化水素の生産のための坑井ケーシング生産穿孔に関して坑井生産スクリーンシュラウドを方向付けし且つ位置決めするための方法であって、炭化水素地下帯域の中に配置された坑井生産ケーシングの側面に横方向に複数の坑井生産窓を形成する段階と、坑井生産チューブを坑井ケーシング内に配置し且つ生産チューブの遠位端に配置された粒状物阻止円筒形スクリーンを有する段階と、少なくとも一つのシュラウドを坑井生産窓と粒状物阻止円筒形スクリーンとの間に位置決めする段階と、シュラウドを生産穿孔と整合させるようにシュラウドを生産坑井ケーシングから半径方向内方に且つ生産坑井ケーシングを貫通する生産穿孔の各位置でスクリーンに関して半径方向外方に位置決めする段階と、を含むことを特徴とする上記方法。
【請求項7】
少なくとも一つの坑井生産スクリーンシュラウドを坑井ケーシング生産穿孔に関して方向付けし且つ位置決めするためのシステムであって、生産坑井ケーシング内に位置決めされ且つ方向付けられた生産チューブと、生産チューブの遠位端に連結された円筒形粒状物スクリーンと、生産穿孔と半径方向に整合させるように生産窓穿孔が生産坑井ケーシングに存在する各位置で円筒形粒状物スクリーンの外周に連結された一つ又はそれ以上のシュラウド部分と、を含むことを特徴とする上記システム。
【請求項8】
一つ又はそれ以上のシュラウド部分は、円筒形スクリーンの外面と生産坑井ケーシングの内面との間に延びていて且つ断面が円弧状である固体部分からなる、ことを特徴とする請求項7に記載の上記システム。
【請求項9】
一つ又はそれ以上のシュラウド部分は、円筒形スクリーンより厚い肉厚を有し且つ生産坑井ケーシングの壁を貫通する穿孔からずらされた流通穴を有する円筒形部材からなる、
ことを特徴とする請求項7に記載の上記システム。
【請求項10】
一つ又はそれ以上のシュラウド部分は、円筒形スクリーンに連結され且つ生産坑井ケーシングの側壁を貫通する穿孔と整列して取付けられた長手方向材料ストリップからなる、
ことを特徴とする請求項7に記載の上記システム。
【請求項11】
地下帯域からの生産のためのシステムであって、カップリング部分を含む生産坑井ケーシングと、生産チューブと、を含み、生産チューブは、一つ又はそれ以上のシュラウド部分が生産穿孔と半径方向に整合させるように生産窓穿孔が生産坑井ケーシングを貫通して存在するような各位置で一つ又はそれ以上のシュラウド部分を生産チューブの遠位端に正確に方向付けするためにカップリング部分と協同する位置決め部分を含む、ことを特徴とするシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4−4A】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−520138(P2009−520138A)
【公表日】平成21年5月21日(2009.5.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−546676(P2008−546676)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【国際出願番号】PCT/IB2006/003686
【国際公開番号】WO2007/072171
【国際公開日】平成19年6月28日(2007.6.28)
【出願人】(500177204)シュルンベルジェ ホールディングス リミテッド (51)
【氏名又は名称原語表記】Schlnmberger Holdings Limited