説明

ガスメータの取付け構造

【課題】 ガスメータ(50)とフレキ管(F)との間に介在させる一対の接続継手(21)(22)を具備させた固定具(1)を、壁面(53)等に固定させるガスメータの取付け構造に関し、ガスメータ(50)やフレキ管(F)に外的衝撃が加えられても、フレキ管(F)と接続継手(21)(22)との接続部分に外力が直接作用しないようにする。
【解決手段】 ガスメータ(50)が接続するメータ接続口(23)は前方に、フレキ管(F)が接続する配管接続口(20)は後方に位置するように、一対の接続継手(21)(22)を固定具(1)に固定させる。固定具(1)は、配管接続口(20)を少なくとも三方から包囲し且つ後方に開放する形状とし、フレキ管(F)をそれぞれ挿通させるための配管挿通孔(12a)(12b)が形成されていること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータの取付け構造、特に、フレキ管を接続させるガスメータを自立スタンドや壁面等に固定するガスメータの取付け構造に関する。
【背景技術】
【0002】
ガスメータの上流側に位置してガスメータにガスを供給するガス供給用の配管と、ガスメータの下流側に位置して屋内のガス機器にガスを送り込むガス送り用の配管とが鉄管である場合では、地面に前記鉄管を直立させ、その各上端部に、逆U字状の接続継手を介して、ガスメータの上面に突設させた一対のガス流入筒部とガス流出筒部をそれぞれ接続させる。これにより、ガスメータは吊り下げ状態に取り付けられる。
近年、作業性や設置の適応性が良い上に、作業コストも安価であるという理由から、上記鉄管に代えて、柔軟な金属製フレキシブル管(以下、フレキ管という。)が採用されることがある。
フレキ管では鉄管のように直立させてガスメータを支持させることができないので、ガスメータは、地面に立設させている自立スタンドや建物等の壁面に固定されなければならず、そのために、ガスメータを固定可能な固定具が利用されている。
【0003】
図9及び図10に示すものは、ガスメータ用固定具の一例であり、水平な支持板(40)に、上述したような一対の接続継手(41)(42)をネジ止め等により固定した構成である。
接続継手(41)(42)各々の一方の接続口に、ガスメータ(50)のガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)をそれぞれ接続し、他方の接続口にはガス供給用の配管(31)及びガス送り用の配管(32)としての一対のフレキ管をそれぞれ接続し、支持板(40)を自立スタンド(5)の上端に固定することにより、フレキ管を接続したガスメータ(50)が支持板(40)を介して自立スタンド(5)に固定されることとなる。
尚、ガス流入筒部(51)側の接続継手(41)にはメータガス栓(30)が設けられ、ガス流出筒部(52)側の接続継手(42)には、ガスメータからのガスの圧力を測定する際に検圧装置のガス管を接続させるための検圧用筒部(36)が形成されている。検圧用筒部(36)は非検圧時には蓋体(37)で閉塞されている。
【0004】
上記したような支持板(40)を利用することにより、ガス供給用の配管(31)及びガス送り用の配管(32)としてフレキ管を採用した場合でも、ガスメータ(50)を自立スタンド(5)に固定させた状態に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2000−46620号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、戸建住宅においては、ガスメータ(50)は、例えば、玄関付近や外壁に沿った所定位置等、人が触れ易い箇所に設置されているため、人や物がガスメータや配管に不用意にぶつかることがある。
ガスメータや配管に外的衝撃が加えられて、それらの接続部分がずれたり損傷したりすると、ガス漏れが生じてしまうことがある。特に、フレキ管の場合、接続継手への接続は差し込み式であるため、フレキ管の差し込み部分のシール構造部分に、外的衝撃による偏った力が作用すると、シール機能が低下し、ガス漏れを生じさせてしまうおそれがある。
【0007】
本発明は、『ガスメータの上面両端近傍に突設させたガス流入筒部及びガス流出筒部と、ガス供給用のフレキ管及びガス送り用のフレキ管とを、それぞれ接続継手を介して接続させると共に、これら一対の接続継手を具備させた固定具によって、自立スタンドや壁面等の所定の固定箇所に固定されるガスメータの取付け構造』において、ガスメータやフレキ管に外的衝撃が加えられても、フレキ管と接続継手との接続部分に外力が直接作用しないようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するための本発明の技術的手段は、『前記接続継手のうち、前記ガス流入筒部及びガス流出筒部を接続するメータ接続口は前記固定具の前方に位置し、前記各フレキ管を接続する配管接続口は前記固定具の後方に位置するように、前記一対の接続継手を前記固定具に固定し、
前記固定具は、前記配管接続口を少なくとも三方から包囲し、且つ後方に開放する形状に構成されていると共に、前記配管接続口に対向する前記固定具の所定位置には、前記一対のフレキ管をそれぞれ挿通させるための一対の配管挿通孔が形成されている』ことを特徴とするものである。
【0009】
上記技術的手段は次のように作用する。
接続継手を固定具に固定させた状態においては、配管接続口と、その前方に位置する前記メータ接続口との間は前記固定具によって仕切られていると共に、前記配管接続口は、前記前方を含む少なくとも三方が固定具で包囲される。たとえば、この固定具の後端部を、建物の壁面等の所定箇所にネジ止め等により取り付けると、前記配管接続口の後方には建物の壁面等が位置することとなる。
これにより、配管接続口は、固定具と建物の壁面等によって保護されることとなる。
【0010】
一対のフレキ管は前記配管挿通孔に挿通させて配管接続口に接続されているから、前記配管挿通孔より外方に露出しているフレキ管が外的衝撃を受けても、前記衝撃は、配管挿通孔の周縁によって吸収され、配管接続口まで衝撃の影響が及ばない。
【0011】
上記ガスメータの取付け構造において、『前記接続継手の前記配管接続口は、フレキ管差込式のフレキ管用接続口である』ものでは、フレキ管を前記固定具に形成された配管挿通孔に挿通させた後、前記フレキ管用接続口に差し込んで配管接続口に接続させればフレキ管の接続が完成する。接続状態では、前記フレキ管は、配管挿通孔の外方でのみ屈曲自在である。
【0012】
また、『前記接続継手は逆U字状の流路が形成される形状とし、
前記固定具は、前記一対の接続継手のメータ接続口と配管接続口を前後に位置させて固定する区画板と、前記区画板の上下端辺略全域からそれぞれ前記配管接続口のさらに後方にまで延長して前記接続継手の後部域を上下から包囲する上下の延長片と、前記上下の延長片の延長端からそれぞれ垂直方向に延長する上下の固定板とからなり、
前記下延長片に、前記一対の配管挿通孔が形成され、
前記区画板及び上下の延長片の横幅は、ガス供給用及びガス送り用の前記フレキ管の外側よりもそれぞれ左右方に張り出すように設定されている』ことを特徴とするものでは、前記メータ接続口と前記配管接続口との間は区画板によって区画され、区画板と上下の延長片とによって、配管接続口を前方及び上下から包囲し且つ後方に開放する固定具が形成される。延長片の延長端に設けられた固定板で家屋の壁面等の所定箇所にネジ止め等によって取り付けることができる。
【0013】
配管接続口の前方は区画板によって、上下方はそれぞれ上下延長片によって包囲されると共に、さらに、左右方には、これら区画板及び上下の延長片の左右端辺が張り出していることから、配管接続口及びその近傍のフレキ管は、前記固定具によって、前方及び上下方、さらには、側方又は斜め方向からの外的衝撃から保護される態様となる。そして、固定板を、建物の壁面等に固定させれば、配管接続口及びその近傍のフレキ管は後方からも外的衝撃を受けることはない。
【0014】
尚、『前記上固定板は、下方向へ垂直に屈曲させている』ものでは、前記上固定板を、上延長板よりも上方に突出しない態様で固定具を所定位置に取り付けることができる。
また、この固定具において、『少なくとも前記下延長片に、自立スタンドを挿通させるためのスタンド挿通部を設け、
自立スタンドを前記スタンド挿通部に挿通させると共に、前記上延長片の裏面に前記自立スタンドの頂部を当接させた状態にて、前記区画板を前記自立スタンドにサドルバンドで固定する』ようにしたものでは、少なくとも下延長片には、一対の配管挿通孔とスタンド挿通部が設けられてあり、このスタンド挿通部に、自立スタンドを挿通させて区画板を自立スタンドにサドルバンドで固定すれば、ガスメータを自立スタンドに取り付けることできる。自立スタンドの頂部は上延長片に当接しており、その後方には上固定板が垂下しているから、サドルバンドで固定具を自立スタンドに取り付ける際に下方へのズレは上延長片で阻止され、前方へのズレは上固定板で阻止されるので、固定具とサドルバンドの位置決めが容易にできる。
尚、スタンド挿通部は、自立スタンドが上下のみに挿通可能な孔であっても、自立スタンドが上下及び前後に挿通可能な切欠であっても良い。
スタンド挿通部を、自立スタンドが上下のみに挿通可能な孔とする場合においては、下延長片のみに孔を形成しても良く、また下延長片と下固定板の双方に係り合う孔としてもよい。尚、下延長片と下固定板の双方に係り合う孔とする場合には、上固定板に開放した切欠を設け、下固定板に形成された切欠の弦部と同幅とすることにより、自立スタンドに対して固定具を垂直に取り付けるガイドとすることができる。
また、スタンド挿通部を、自立スタンドが上下及び前後に挿通可能な切欠とする場合には、前記切欠は、下延長片及びそれに続く下固定板に連続して形成し、自立スタンドの外径よりわずかに大きい幅のものとし、それに対応する上固定板の所定箇所にも、前記切欠と同じ幅の切欠を下方に開放するように設けておけばよい。
【0015】
また、上記各ガスメータの取付け構造において、『前記ガスメータの背面が対向する前記区画板の前面に、振動吸収部材を取り付けた』ものでは、ガスメータは自立スタンドや壁面に振動吸収材を介して一体化された構造となるので、地震の振動等によって、ガスメータ自体が振り子となって振動することにより、メータ接続口に過大な力が作用することを防止できる。
【0016】
さらに、『前記配管挿通孔は、前記フレキ管を覆う鞘管を挿通させる構成とした』ものでは、フレキ管を鞘管に挿通させ、前記鞘管を配管挿通孔に挿通させる。これにより、固定具の配管挿通孔から鞘管が突出する態様に取り付けられることとなる。
【発明の効果】
【0017】
以上のように、本発明のガスメータの取付け構造によれば、一対のフレキ管が接続している接続継手の配管接続口は、固定具によって、その前方を含む少なくとも三方において包囲される取付け態様となるから、人や物がガスメータ又は配管にぶつかっても、配管接続口は固定具によって保護され、外的衝撃を直接受けることがない。配管に外的衝撃が加えられた場合でも、その衝撃は配管挿通孔の周囲によって吸収され、配管接続口に直接作用することはない。このように、前記外的衝撃によって、配管と接続継手の接続部分が損傷し、ガス漏れを生じさせる不都合はない。
【0018】
尚、上記効果は、前記配管としてフレキ管を採用した場合に特に有効であり、固定具から突出しているフレキ管が外的衝撃を受けても、そのフレキ管への衝撃は配管挿通孔の周囲によって吸収され、配管接続部に作用することはない。よって、差し込み式のフレキ管であっても、外的衝撃によって、その差し込み部分のシール構造部分のシール機能を低下させることはなく、ガス漏れを発生させてしまうといった問題は生じない。
【0019】
また、前記固定具を、接続継手を具備させた区画板、その上下に延長させた延長片、及び、上下の固定片から構成したものでは、一枚の金属板を屈曲させて前記区画板、延長片、固定板を形成できると共に、区画板に接続継手をネジ止め等により固定すればよいから、固定具の製造が容易となる。
また、前記区画板は配管接続口の前方を覆う形状となっているので、一定の平面を有することになる。そのため、ガスメータの取り付け、取り外しにおいて、この区画板の平面部にガスメータを沿わせるようにして作業ができるので、作業が行い易い。
【0020】
そして、これら上下の固定板のうち、上固定板を、下方へ屈曲させて、延長板よりも外方に突出しない構成としたものでは、固定具全体の大きさがコンパクトとなり、取り付けスペースに余裕が生じ、ガスメータ周辺がすっきりする。
また、区画板から上下の固定板までの距離を自立スタンドの外径より短くし、挿通部を下延長片と下固定板の双方に係り合う孔とし、上固定板に下方向に開放した切欠を設け、下固定板に形成された切欠の弦部と同幅とした場合には、固定具は自立スタンドに対して上下にのみ挿通可能で、下固定板の切欠の弦部及び上固定板の切欠は固定具を垂直に取り付けるガイドとなる。よって、自立スタンドに対する固定具の取付け時の傾きや歪みを防止することができる。このものでは自立スタンドから区画板前面までの距離が短くでき、自立スタンドからガスメータの飛び出しを低くすることができる。
さらに、自立スタンドが上下及び前後に挿通可能な切欠とすると共に、これに対応する上固定板にも同様な切欠を形成しておけば、自立スタンドを固定具の後方から上下の切欠に差し込むようにセットすることができるから、固定具を自立スタンドに取り付け易くなる。
【0021】
また、前記区画板の前面に振動吸収部材を取り付けたものでは、接続継手のメータ接続口に吊り下げられた状態であるが、ガスメータは振動吸収部材を介して自立スタンドまたは壁面と一体化された構造であるから、地震の際にガスメータ自体が振り子のように振動することを防止でき、よって、ガスメータの振動による力がメータ接続口に集中するのを防止して、前記メータ接続口に作用する振動による力を軽減させることができる。
【0022】
さらに、前記フレキ管は鞘管によって被覆され、前記配管挿通孔は、前記鞘管を挿通可能としたものでは、フレキ管を鞘管に挿通させ、前記鞘管を配管挿通孔に挿通させる。これにより、固定具の配管挿通孔から鞘管が突出する態様となる。フレキ管は、鞘管によって保護されることとなるから、鞘管に外力が加わっても、フレキ管自体が引っ張られたり、直接衝撃が加えられたりすることがない。このように、フレキ管の接続部分に外的衝撃は何ら影響することはないから、確実な接続状態を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の第1番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具の正面図である。
【図2】図1のX−X断面図であり、メータ接続口にガスメータを接続させた状態を示している。
【図3】本発明の第2番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具の説明図であり、メータ接続口にガスメータを接続させた状態を示している。
【図4】図3に示した固定具の正面図である。
【図5】本発明の第3番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具の正面図である。
【図6】図5に示した固定具を、自立スタンドに取り付けた様子を示す説明図である。
【図7】本発明の第4番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具の正面図である。
【図8】図7に示した固定具を、自立スタンドに取り付けた様子を示す説明図である。
【図9】従来のガスメータの取付け構造を示す正面図である。
【図10】従来のガスメータの取付け構造を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下に、本発明を実施するための形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第1番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具(1)の正面図であり、図2は図1のX−X断面図である。
【0025】
固定具(1)は、金属板を所定位置で折り曲げることにより、垂直に位置する区画板(10)と、その上下両端辺の全域から斜め上下後方に延長させた上下の延長片(11)(12)と、延長片(11)(12)の各延長端からさらに上下方向に垂直に延長させた上下の固定板(13)(14)とを具備するように構成されている。
区画板(10)の上端近傍には、それぞれ左右側方へ開放する切欠(15a)(15b)が形成され、下延長片(12)には、後述する一対の配管が挿通可能な挿通孔(12a)(12b)が設けられ、さらに、上下の固定板(13)(14)には、建物の壁面(53)等に固定させるための複数の取付用孔(13a)(14a)が打ち抜かれている。
尚、固定具(1)の横幅は、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)としての両フレキ管の外側よりもそれぞれ外方向に張り出すように設定されている。
【0026】
ガスメータ(50)は、図9、図10に示す従来のものと同様な構成のものであり、上面の両端近傍に、ガス流入筒部(51)とガス流出筒部(52)とが突設されている。ガス流入筒部(51)には、ガスメータ(50)の上流側に位置してガスメータ(50)にガスを供給するガス供給用配管(31)が、接続継手(21)を介して接続され、ガス流出筒部(52)には、ガスメータ(50)の下流側に位置して屋内のガス機器にガスを送り込むガス送り用配管(32)が、接続継手(22)を介して接続される。
尚、これらガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)には雄ネジが形成されている。
【0027】
また、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)として、可撓性を有するフレキ管(F)を使用し、これら両フレキ管(F)は鞘管(33)で被覆され、ガスメータ(50)の後方に位置している。
【0028】
接続継手(21)(22)は、図2に示すように、両端が下方に開放する逆U字状の胴部(2)を有し、一方の下方開放端が、ガスメータ(50)のガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)を接続させるメータ接続口(23)であり、他方の下方開放端が、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)を接続する配管接続口(20)となっている。
尚、配管接続口(20)には、フレキ管(F)を差込んで接続するフレキ管(F)用接続口を具備させたフレキ管接続継手(25)が接続されている。
【0029】
ガス供給用配管(31)とガス流入筒部(51)との間に介在させる接続継手(21)には、メータガス栓(30)が配設され、ガス送り用配管(32)とガス流出筒部(52)との間に介在させる接続継手(22)には、検圧プラグ(図示せず)を螺合接続するための雌ネジ(24)が形成されている。
また、各接続継手(21)(22)の胴部(2)の表面の所定位置からは、取付けフランジ(26)が斜めに張り出している。
【0030】
メータ接続口(23)が固定具(1)の前方に位置し、配管接続口(20)がその後方に位置するように、接続継手(21)(22)の胴部(2)を、区画板(10)の切欠(15a)(15b)にそれぞれ左右の開放部から差込み、各々の取付けフランジ(26)を区画板(10)の所定箇所にネジ止めにより固定している。
【0031】
上記構成の固定具を上下の固定板(13)(14)に設けた取付用孔(13a)(14a)を利用して、直立する自立スタンドや建物の壁面(53)等の所定位置にサドルバンドやネジ等により固定する。これにより、区画板(10)と上下延長片(11)(12)と壁面(53)で囲まれた範囲に配管接続口(20)及びフレキ管接続継手(25)が位置する態様となり、下延長片(12)の配管挿通孔(12a)(12b)に、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)を挿通させ、フレキ管(F)の先端をフレキ管接続継手(25)に差し込んで接続させればよい。
尚、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)を構成しているフレキ管(F)は鞘管(33)内に挿通されていることから、配管挿通孔(12a)(12b)の大きさは、前記鞘管(33)が挿通可能な大きさに形成されている。
【0032】
その後、ガスメータ(50)を区画板(10)に沿わせながら接続継手(21)(22)の各メータ接続口(23)に、ガスメータ(50)のガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)をそれぞれ対向させ、メータ接続口(23)にそれぞれ装着されている袋ナット(27)をガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)に外嵌螺合させる。上記作業によって、ガスメータ(50)は、接続継手(21)(22)のメータ接続口(23)に取り付けられる。
【0033】
上記取付け状態においては、接続継手(21)(22)の配管接続口(20)と、メータ接続口(23)に取り付けられたガスメータ(50)との間に、区画板(10)が介在され、区画板(10)より後方に位置する接続継手(21)(22)の後部域(2a)の上方は、上延長片(11)で覆われ、下方は下延長片(12)で閉塞されるようになっている。そのため、上延長片(11)及び下延長片(12)の延長長さは、フレキ管接続継手(25)の外径よりも長く設定されている。
【0034】
これにより、配管接続口(20)に具備させたフレキ管接続継手(25)へのガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)の接続部は、前方は、固定具(1)のうち区画板(10)で、上方は上延長片(11)で、下方は下延長片(12)で、後方は自立スタンド又は壁面(53)により包囲されている上に、固定具(1)の左右両端はガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)の接続部よりも外側に張り出す態様となっている。よって、前記接続部は、前後方、上下方、さらには、両側方や斜め方向からも保護される取付け態様となり、前記接続部は、人や物がぶつかるなどの外的衝撃を直接受けることはない。
【0035】
また、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)としてのフレキ管(F)は、鞘管(33)内を挿通し、配管挿通孔(12a)(12b)には鞘管(33)を挿通させているから、配管挿通孔(12a)(12b)から下延長片(12)より下方へ突出している鞘管(33)に外力が加わっても、ガス供給用配管(31)及びガス送り用配管(32)を構成しているフレキ管(F)自体が直接引っ張られたり、衝撃を受けたりすることはない上に、鞘管(33)が受けた衝撃も、配管挿通孔(12a)(12b)の周囲によって吸収されるから、フレキ管接続継手(25)に差し込まれているフレキ管(F)の接続部分に、鞘管(33)に加えられた外力の影響が及ぶことはない。
【0036】
図3及び図4に示すものは、第2番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具(1)であり、上固定板(13)を、下方へ垂下するように折り曲げたものである。
この固定具(1)を採用すると、上固定板(13)が上延長片(11)よりも上方へ突出しないから、固定具(1)が全体的にコンパクトになり、壁面(53)等へ取り付ける際に、取り付けスペースに余裕ができ、ガスメータ(50)の取り付け域周辺をすっきりさせることができる。
【0037】
また、図3に示すように、固定具(1)の区画板(10)の表面には、低反発ゴム等からなる振動吸収部材(4)を装着させている。
ガスメータ(50)は、ガス流入筒部(51)及びガス流出筒部(52)が接続継手(21)(22)のメータ接続口(23)に袋ナット(27)でネジ止めされて吊り下げられた状態で取り付けられるから、たとえば、ガスメータ(50)に外的衝撃が加えられたり、地震の発生によりガスメータ(50)が振動したりすると、ガスメータ(50)は、メータ接続口(23)を中心に前後に揺れやすい。このとき、ガスメータ(50)の背面に対向する区画板(10)の表面に振動吸収部材(4)が設けられていると、ガスメータ(50)は振動吸収部材(4)を介して区画板(10)と一体的になり、振動による力は振動吸収部材(4)によって吸収されることとなり、メータ接続口(23)に作用する前記振動による力は軽減される。また、配管接続口(20)側にガスメータ(50)の振動による影響が及ぶこともない。
【0038】
図5は、第3番目の実施の形態のガスメータの取付け構造に採用する固定具(1)の正面図を示しており、図6は、それを自立スタンド(5)に固定させた様子を示している。
このものでは、上記第2番目の実施の形態で採用した固定具(1)と同様に、上固定板(13)は下方へ垂下するように折り曲げられていると共に、下延長片(12)には、配管挿通孔(12a)(12b)のほか、その中央に、自立スタンド(5)を挿通させるための、スタンド挿通孔(12c)が形成されている。
【0039】
この実施の形態のものでは、接続継手(21)(22)を具備させた固定具(1)の下延長片(12)の下方から、自立スタンド(5)を、スタンド挿通孔(12c)に挿通させ、図6に示すように、自立スタンド(5)の頂部(55)が上延長片(11)の下面に当接する最終挿入位置に達するまで差込む。この状態にて、自立スタンド(5)の頂部(55)は、区画板(10)と上延長片(11)と上固定板(13)で、その前方、上方及び後方から包囲された態様となる。
そして、前記最終挿入位置に達した状態にて、別途用意した2本のサドルバンド(16)(17)を介して、固定具(1)を自立スタンド(5)に固定する。
サドルバンド(16)(17)は、自立スタンド(5)を後方から包囲する円弧状帯部(16a)(17a)とその両端から外方へ張り出させた一対のフランジ体(16b)(17b)とからなり、フランジ体(16b)(17b)を、固定具(1)の区画板(10)の所定位置に設けられているネジ挿通孔(10a)に対応させると共に、ボルト(18)とナット(19)で固定する。
これにより、固定具(1)は、自立スタンド(5)に、サドルバンド(16)(17)で締め付けられて固定されると共に、上延長片(11)が自立スタンド(5)の頂部(55)に当接することから、固定具(1)は自立スタンド(5)に対して不用意に落下することなく、確実に取り付けられることとなる。また、自立スタンド(5)の頂部(55)は上延長片(11)に当接しており、その後方には上固定板(13)が垂下しているから、サドルバンド(16)(17)で固定具(1)を自立スタンド(5)に取り付ける際に下方へのズレは上延長片(11)で阻止され、前方へのズレは上固定板(13)で阻止されるので、固定具(1)とサドルバンド(16)(17)の位置決めが容易にできる。
【0040】
尚、スタンド挿通孔(12c)は、図7、図8に示すように、下延長片(12)と下固定板(14)の双方に係り合う孔としてもよい。この場合、上固定板(13)には下方向に開放した切欠(130)を設け、下固定板に形成された切欠(120)の弦部と同幅とすることにより、自立スタンドに対して固定具を垂直に取り付けるガイドとすることができる。
【0041】
また、スタンド挿通孔(12c)として、下延長片(12)及びこれに続く下固定板(14)に連続する後方開放の切欠(120)を、自立スタンド(5)の外径よりわずかに大きい幅の切欠としても良い。この場合、自立スタンド(5)は下延長片(12)の下方から切欠(120)に挿通させても良いし、切欠(120)に対応する上固定板(13)の中央にも、自立スタンド(5)が嵌まり込み可能な切欠(130)を形成しておけば、上下の切欠(120)(130)に同時に自立スタンド(5)が嵌まり込むように、自立スタンド(5)の前方から固定具(1)をセットすることができる。
【0042】
上記実施の形態では、固定具(1)を自立スタンド(5)や壁面(53)等に取り付けた後で、接続継手(21)(22)の配管接続口(20)及びメータ接続口(23)に、各フレキ管(F)及びガスメータ(50)を取り付ける手順としたが、施工条件によって、各取付け手順は変更自在である。
【0043】
また、上記した固定具(1)の変形例として、上固定板(13)を上延長片(11)の延長端から垂下するように下方へ折り曲げる構成としたが、下固定板(14)を上方へ折り曲げる構成や、上下固定板(13)(14)の両方共を固定具(1)の内方へ折り曲げる構成としても良い。
【符号の説明】
【0044】
(1) ・・・・・・・固定具
(12a)(12b)・・・・配管挿通孔
(20)・・・・・・・配管接続口
(21)(22)・・・・・接続継手
(23)・・・・・・・メータ接続口
(31)・・・・・・・ガス供給用配管
(32)・・・・・・・ガス送り用配管
(50)・・・・・・・ガスメータ
(51)・・・・・・・ガス流入筒部
(52)・・・・・・・ガス流出筒部
(53)・・・・・・・壁面
(F) ・・・・・・・フレキ管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガスメータの上面両端近傍に突設させたガス流入筒部及びガス流出筒部と、ガス供給用のフレキ管及びガス送り用のフレキ管とを、それぞれ接続継手を介して接続させると共に、これら一対の接続継手を具備させた固定具によって、自立スタンドや壁面等の所定の固定箇所に固定されるガスメータの取付け構造において、
前記接続継手のうち、前記ガス流入筒部及びガス流出筒部を接続するメータ接続口は前記固定具の前方に位置し、前記各フレキ管を接続する配管接続口は前記固定具の後方に位置するように、前記一対の接続継手を前記固定具に固定し、
前記固定具は、前記配管接続口を少なくとも三方から包囲し且つ後方に開放する形状に構成されていると共に、前記配管接続口に対向する前記固定具の所定位置には、前記一対のフレキ管をそれぞれ挿通させるための一対の配管挿通孔が形成されていることを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項2】
請求項1に記載のガスメータの取付け構造において、前記接続継手の前記配管接続口は、フレキ管差込式のフレキ管用接続口であることを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のガスメータの取付け構造において、前記接続継手は逆U字状の流路が形成される形状とし、
前記固定具は、前記一対の接続継手のメータ接続口を前後に位置させて固定する区画板と、前記区画板の上下端辺略全域からそれぞれ前記配管接続口のさらに後方にまで延長して前記接続継手の後部域を上下から包囲する上下の延長片と、前記上下の延長片の延長端からそれぞれ垂直方向に延長する上下の固定板とからなり、
前記下延長片に、前記一対の配管挿通孔が形成され、
前記区画板及び上下の延長片の横幅は、ガス供給用及びガス送り用の前記フレキ管の外側よりもそれぞれ左右方に張り出すように設定されていることを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項4】
請求項3に記載のガスメータの取付け構造において、前記上固定板は、下方向へ垂直に屈曲させていることを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項5】
請求項4に記載のガスメータの取付け構造において、少なくとも前記下延長片に、自立スタンドを挿通させるためのスタンド挿通部を設け、
自立スタンドを前記スタンド挿通部に挿通させると共に、前記上延長片の裏面に前記自立スタンドの頂部を当接させた状態にて、前記区画板を前記自立スタンドにサドルバンドで固定することを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項6】
請求項1から5のいずれかに記載のガスメータの取付け構造において、前記ガスメータの背面が対向する前記区画板の前面に、振動吸収部材を取り付けたことを特徴とするガスメータの取付け構造。
【請求項7】
請求項1から6のいずれかに記載のガスメータの取付け構造において、
前記配管挿通孔は、前記フレキ管を覆う鞘管を挿通させる構成としたことを特徴とするガスメータの取付け構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−88330(P2013−88330A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−230321(P2011−230321)
【出願日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【出願人】(000151977)株式会社藤井合金製作所 (66)
【出願人】(000161998)京葉瓦斯株式会社 (46)
【Fターム(参考)】