ガスメータの支持装置
【課題】 支柱が傾斜することを防止することができるガスメータの支持装置を提供する。
【解決手段】 固定部材1の固定筒部12の上端部に上端面から下方に向かって延びる複数のスリット14を周方向へ互いに離間させて形成する。これにより、固定筒部12の上端部を弾性的に拡縮径可能にする。固定筒部12の上端部外周面にテーパ雄ねじ部13を形成する。このテーパ雄ねじ部13に雌ねじ部材3のテーパ雌ねじ部31を螺合させる。雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が縮径する。この結果、固定筒部12の上端部内周面が、スリット14の部分を除いて、支柱2の外周面に環状に、かつ上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。これにより、支柱2を固定筒部12に高い強度をもって固定することができる。
【解決手段】 固定部材1の固定筒部12の上端部に上端面から下方に向かって延びる複数のスリット14を周方向へ互いに離間させて形成する。これにより、固定筒部12の上端部を弾性的に拡縮径可能にする。固定筒部12の上端部外周面にテーパ雄ねじ部13を形成する。このテーパ雄ねじ部13に雌ねじ部材3のテーパ雌ねじ部31を螺合させる。雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が縮径する。この結果、固定筒部12の上端部内周面が、スリット14の部分を除いて、支柱2の外周面に環状に、かつ上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。これにより、支柱2を固定筒部12に高い強度をもって固定することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレキシブルガス管が接続されたガスメータを支持するためのガスメータの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルガス管は、柔軟性を有しているので、配管を容易に行うことができるというメリットがある。その反面、フレキシブルガス管をガスメータに接続した場合には、フレキシブルガス管ではガスメータを支持することができないという問題がある。そこで、ガスメータにフレキシブルガスを接続する場合には、ガスメータを支持するための支持装置が用いられている。
【0003】
従来のガスメータの支持装置としては、下記特許文献1に記載のものがある。この支持装置は、固定部材、支柱及び支持部材を備えている。固定部材は、上端が開口した断面円形の固定筒部を有しており、この固定筒部が鉛直に起立した状態で床面に固定される。固定筒部には、支柱の下端部が挿入される。また、固定筒部には、その周壁を貫通する止めねじが螺合されている。この止めねじを締め付けると、支柱の下端部が固定筒部の内周面に押し付けられる。これによって、支柱が上下に立った状態で固定筒部に固定される。支柱の上端部には、支持部材が取り付けられる。そして、支持部材によってガスメータが支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−243519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の支持装置においては、止めねじが支柱に点接触し、止めねじと180°反対側に位置する固定筒部の内周面と支柱の外周面とが上下に線接触しているだけである。つまり、固定筒部と支柱とは周方向へ180°離れた2箇所において接触しているだけである。このため、支柱の固定強度が低く、支柱が鉛直方向に対して若干ではあるが傾いてしまうという問題があった。支柱が傾くと、ガスメータの姿勢が正しい姿勢から外れてしまい、ガスの流量計測に誤差が生じるおそれがある。
【0006】
なお、固定筒部の内径と支柱の外径との寸法差を小さくすることにより、支柱の傾きをほとんど無くすことができるが、そのようにすると、固定筒部の内径及び支柱の外径の寸法管理を厳しくしなければならず、固定筒部及び支柱の製造費が嵩む。その上、支柱を固定筒部に挿入し難くなり、ガスメータの設置に手間が掛かるという別の問題を招来してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するために、長手方向を上下方向に向けた固定筒部を有する固定部材と、下端部が上記固定筒部に挿入されることによって立設された支柱と、この支柱の上端部に設けられた支持部材とを備え、上記支持部材にガスメータが取り付けられるガスメータの支持装置において、上記固定筒部の上端部に、上下方向に延びる複数のスリットが上記固定筒部の周方向へ互いに離して形成されることにより、上記固定筒部の上端部が拡縮径可能とされ、上記支柱に雌ねじ部材が上下方向へ移動可能に、かつ回動可能に外挿されるとともに、この雌ねじ部材が上記固定筒部の上端部に螺合され、上記固定筒部と上記雌ねじ部材との間には、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込み伴って上記固定筒部の上記スリットが形成された上端部を縮径させて、上記固定筒部の内周面を上記支柱の外周面に環状に押し付け、それによって上記支柱を上記固定筒部に固定する固定機構が設けられていることを特徴としている。
この場合、 上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の少なくとも一方が下方に向かって拡径するテーパねじ部とされ、このテーパねじ部と、上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の他方とによって上記固定機構が構成されていてもよい。
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合するテーパ雌ねじ部であってもよく、上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合可能なストレート雌ねじ部であってもよく、あるいは上記テーパねじ部が上記雌ねじ部材に形成されたテーパ雌ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記固定筒部に形成され、かつ上記テーパ雌ねじ部に螺合可能なストレート雄ねじ部であってもよい。
上記固定機構が、上記固定筒部と上記雌ねじ部材とのいずれか一方に形成され、他方に突き当たることにより、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込みに伴って上記固定筒部を縮径させる傾斜面を有しているものであってもよい。
上記固定部材の上記固定筒部内に位置する部位と、上記固定筒部に挿入された上記支柱の下端部との間には、テーパの求心作用によって上記支柱の下端部の軸線を上記固定筒部の軸線と一致させる求心機構が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るガスメータ用支持装置によれば、雌ねじ部材を締め付けると、固定筒部の上端部が弾性的に縮径する。その結果、固定筒部の内周面が、スリットの部分を除いて、支柱の外周面に全周にわたって環状に押圧接触する。しかも、固定筒部の上端部が弾性変形することにより、固定筒部の内周面は、支柱の外周面に対し上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。このように、固定筒部の内周面と支柱の外周面とを環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触させることができるので、固定筒部による支柱に対する固定強度を向上させることができる。よって、支柱が鉛直方向に対して傾くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の第1実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、同実施の形態の一部を省略して示す一部切欠き側面図である。
【図3】図3は、同実施の形態の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、同実施の形態において用いられている固定部材の正面図である。
【図5】図5は、図4のX−X線に沿う断面図である。
【図6】図6は、同実施の形態において用いられている雌ねじ部材の正面図である。
【図7】図7は、図6のX−X線に沿う断面図である。
【図8】図8は、雌ねじ部材により支柱を固定部材に固定する方法を説明するための一部省略断面図である。
【図9】図9は、この発明の第2実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図10】図10は、この発明の第3実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図11】図11は、この発明の第4実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図12】図12は、この発明の第5実施の形態の要部を示す断面図である。
【図13】図13は、図12のX部の拡大図である。
【図14】図14は、この発明の第6実施の形態の要部を示す断面図である。
【図15】図15は、図14のX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図8は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態に係るガスメータの支持装置Aは、固定部材1、支柱2、雌ねじ部材3及び支持部材4を主な構成要素としている。
【0011】
図4及び図5に示すように、固定部材1は、基板11を有している。基板11は、固定部材1を床F又は地面に固定するためのものであり、略正方形の平板状に形成されている。基板11は、必ずしも平板状に形成する必要がなく、例えば円形の皿の上下を逆にしたような形状、その他任意の形状を採用することができる。基板11の四隅部には、固定ボルトTが上下に挿通されている。そして、この固定ボルトTを床Fに螺合させて締め付けることにより、基板11が床Fに固定されている。
【0012】
基板11の上面の中央部には、固定筒部12が設けられている。固定筒部12は、円筒状をなしており、その軸線を鉛直方向に向けた状態で基板11に立設固定されている。固定筒部12の上端部は、開口させられている。固定筒部12の外周面の上端部には、下方へ向かって拡径するテーパ雄ねじ部(ねじ部)13が形成されている。
【0013】
固定筒部12の上端部には、複数のスリット14が形成されている。スリット14は、固定筒部12の径方向にはその周壁部を外周面から内周面まで横断しており、上下方向には固定筒部12の上端面からテーパ雄ねじ部13を越えて下方へ所定の長さをもって延びている。複数のスリット14は、固定筒部12の周方向へ等間隔をもって配置されている。このような複数のスリット14が形成されることにより、テーパ雄ねじ部13を含む固定筒部12の上端部が径方向へ弾性的に拡縮径可能になっている。
【0014】
スリット14は、必ずしも固定筒部12の上端面から形成する必要がなく、固定筒部12の上端面から若干下方へ離間した箇所から下方へ向かって形成してもよい。このようにした場合には、固定筒部12の上端部のうち、スリット14の長手方向の中央部に位置する部分が径方向へ弾性的に拡縮径可能になる。そこで、このような場合には、テーパ雄ねじ部13がスリット14の長手方向の中央に位置するように配置される。
【0015】
支柱2は、図2に示すように、断面円形のパイプからなるものであり、一定の外径を有している。そして、支柱2の下端部が固定筒部12に挿入されている。支柱2は、必ずしも全長にわたって一定の外径にする必要がなく、固定筒部12に挿入される下端部とそれより上側の部分とで異なる外径にしてもよい。支柱2の固定筒部12に挿入される下端部は、固定筒部12に容易に挿入し得る範囲においてできる限り大径にすることが望ましく、少なくとも固定筒部12の上端部が弾性的に縮径することにより、固定筒部12の内周面が支柱2の外周面に環状に押圧接触することができるような外径を有するものとされる。支柱2は、中空のパイプを用いることなく、中実であってもよい。ただし、支持装置Aを軽量化してその搬送費の軽減等を図るためには、中空のものを採用することが望ましい。
【0016】
上記雌ねじ部材3は、図6及び図7に示すように、円筒状をなしており、その内部には、支柱2の固定筒部12から上方へ突出部した部分が相対回転可能に、かつ上下方向へ相対移動可能に挿通されている。雌ねじ部材3の内周面の下端部及び上端部には、雌ねじ部材3の上下方向における中央側から外側(下側及び上側)へ向かってそれぞれ拡径するテーパ雌ねじ部31,32がそれぞれ形成されている。このテーパ雌ねじ部31,32は、同一のねじ寸法を有しており、いずれもテーパ雄ねじ部13に螺合可能である。したがって、雌ねじ部材3は、上下を図示の状態と逆の状態にしたとしても固定筒部12に螺合可能である。ただし、雌ねじ部材3は、必ずしもこのように形成する必要がなく、テーパ雌ねじ部32については省略してもよい。
【0017】
雌ねじ部材3の外周面には、上下方向へ延びる突条33が一対形成されている。一対の突条33,33は、周方向へ180°離れて配置されている。各突条33は、ねじ回し工具(図示せず)の先端部を係合させるためのものであり、突条33に係合したねじ回し工具によって雌ねじ部材3を正逆方向へ回転させることができる。雌ねじ部材3の外周面には、一対の突条33,33に代えて、六角形のスパナ掛け部、その他のねじ回し工具を係合させるための係合部を形成してもよい。
【0018】
テーパ雌ねじ部31をテーパ雄ねじ部13に螺合させて締め付けると、両ねじ部31,13のテーパ作用により、固定筒部12の上端部が径方向内側に向かって押圧される。この押圧力によって固定筒部12の上端部が縮径される。その結果、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の下端部外周面に対し、スリット14が形成された部分を除き、全周にわたって環状に押圧接触させられる。しかも、固定筒部12の内周面は、その上端縁が支柱2の外周面に接触した後、固定筒部12の上端縁から下側に続く部分が弾性変形することにより、上端縁から下側の部分も支柱2の外周面に接触する。つまり、固定筒部12の上端部は、支柱2の外周面に対し上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。この結果、固定筒部12の上端部内周面は、支柱2の外周面に対して環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。したがって、支柱2が固定筒部12に強固に固定される。これは、テーパ雌ねじ部32をテーパ雄ねじ部13に螺合させた場合も同様である。これから明らかなように、この支持装置Aにおいては、テーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31(32)とによって固定機構が構成されている。
【0019】
支持部材4は、基部41と可動部42とを有している。基部41は、支柱2の上端部にUボルト5,5によって固定されている。可動部42は、基部41の上面に前後方向へ位置調節可能に載置されている。可動部42は、ボルト43によって基部41に固定されている。可動部42は、基部41に対して移動不能にしてもよく、さらに基部41に一体に形成してもよい。
【0020】
可動部42には、上流側接続管44及び下流側接続管45が固定されている。上流側及び下流側接続管44,45は、いずれも逆「U」字状をなしており、左右方向へ互いに離間して配置されている。上流側接続管44の下流側の端部及び下流側接続管45の上流側の端部(いずれも、図2において左側の端部)は、可動部42の前端部に固定されている。しかも、上流側接続管44の下流側の端部には、ガスメータMのガス導入口(図示せず)が接続ナット46によって接続固定され、下流側接続管45の上流側の端部には、ガスメータMのガス導出口(図示せず)が接続ナット47によって接続固定されている。これにより、ガスメータMが支持装置Aによって支持されている。
【0021】
上流側接続管44の上流側端部(図2において右側の端部)には、フレキシブルガス管からなる一次側ガス管G1の下流側の端部が周知の継手6を介して接続されている。一次側ガス管G1の上流側端部は、元栓(図示せず)に接続されている。したがって、元栓を開弁すると、ガスが一次側ガス管G1及び上流側接続管44を介してガスメータMに流入する。下流側接続管45の下流側の端部には、フレキシブルガス管からなる二次側ガス管G2の上流側の端部が継手6を介して接続されている。二次側ガス管G2の下流側の端部は、ガス機器(図示せず)に接続されている。したがって、ガスメータMに流入したガスは、ガスメータMにおいて流量が計測された後、下流側接続管45及び二次側ガス管G2を介してガス機器に供給される。
【0022】
上記構成を有するガスメータの支持装置Aにおいては、雌ねじ部材3を固定筒部12に螺合させて締め付けると、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に対しスリット14が形成された部分を除き、環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触させられる。したがって、支柱2を固定筒部12に強固に固定することができ、支柱2が傾斜することを防止することができる。よって、ガスメータMの流量計測に誤差が生じることを防止することができる。
【0023】
次に、この発明の他の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態については、上記第1実施の形態と異なる構成についてのみ説明することとし、上記第1実施の形態と同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図9は、この発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、雌ねじ部材3にテーパ雌ねじ部31,32に代えて、ストレート雌ねじ部(ねじ部)34,35がそれぞれ形成されている。ストレート雌ねじ部34,35は、互いに同一のねじ寸法を有している。そこで、ストレート雌ねじ部34についてのみ説明すると、ストレート雌ねじ部34は、その全長にわたって一定のピッチ円径を有している。ストレート雌ねじ部34のピッチ円径は、テーパ雄ねじ部13の軸線方向(上下方向)の中間部におけるピッチ円径とほぼ同一に設定されている。しかも、ストレート雌ねじ部34のピッチは、テーパ雄ねじ部13のピッチと同一に設定されている。したがって、ストレート雌ねじ部34は、少なくともその下端部がテーパ雄ねじ部13に螺合可能であり、両ねじ部13,34を螺合させて雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が径方向内側へ向かって縮径させられ、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に押圧接触させられる。したがって、この第2実施の形態においては、テーパ雄ねじ部13及びストレート雌ねじ部34(35)によって固定機構が構成されており、この固定機構により支柱2が固定筒部12に強固に固定される。
【0025】
図10は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12の上端部に、テーパ雄ねじ部13に代えて一定のピッチ円径を有するストレート雄ねじ部(ねじ部)15が形成されている。ストレート雄ねじ部15のピッチ円径は、テーパ雌ねじ部31(32)の軸線方向の中間部におけるピッチ円径とほぼ同一であり、ストレート雄ねじ部15のピッチは、テーパ雌ねじ部31(32)のピッチと同一に設定されている。したがって、ストレート雄ねじ部15の少なくとも上端部は、テーパ雌ねじ部31(32)に螺合可能であり、両ねじ部15,31(32)を螺合させて雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が縮径される。これにより、支柱2が固定筒部12に固定される。この第3実施の形態においては、ストレート雄ねじ部15及びテーパ雌ねじ部31(32)によって固定機構が構成されている。
【0026】
図11は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12の上端部にストレート雄ねじ部15が形成されている。一方、雌ねじ部材3の下端部内周面には、ストレート雄ねじ部15に螺合するストレート雌ねじ部34が形成されている。さらに、ストレート雌ねじ部34から上側に続く雌ねじ部材3の内周面には、テーパ面(傾斜面)36及びストレート孔部37が順次形成されている。テーパ面36及びストレート孔部37は、その軸線をストレート雌ねじ部34の軸線と一致させて配置されている。テーパ面36は、上方へ向かって縮径している。したがって、テーパ面36の内径は、その下端において最大であり、最大内径は、ストレート雌ねじ部34の谷の径と同等に設定されている。テーパ面36の内径は、その上端において最小であり、最小内径は、固定筒部12の内径と同等以下で、かつ支柱2の外径より若干大径に設定されている。ストレート孔部37の内径は、テーパ面36の最小内径と同一に設定されている。雌ねじ部材3の外周面には、突条33に代えてスパナ掛け部等の係合部(図示せず)が形成されている。この係合部にスパナ等を係合させることにより、雌ねじ部材3を回転させることができる。
【0027】
ストレート雄ねじ部15にストレート雌ねじ部34を螺合させて雌ねじ部材3を所定の位置まで下方へ移動させると、テーパ面36が固定筒部12の上端面に接触する。その状態で雌ねじ部材3をさらに下方へねじ込むと、テーパ面36が固定筒部12の上端部をその径方向内側に押圧して縮径させる。この結果、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に環状に押圧接触させられ、支柱2が固定筒部12に強固に固定される。これから明らかなように、この実施の形態においては、ストレート雄ねじ部15、ストレート雌ねじ部34及びテーパ面36によって固定機構が構成されている。
【0028】
図12及び図13は、この発明の第5実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12が基板11と別体に形成されており、基板11の上面の中央部に固定筒部12の下端部が溶接等の固定手段によって固定されている。勿論、固定筒部12は、前述した各実施の形態と同様に、基板11と一体に形成してもよい。
【0029】
固定筒部12には、座金7が挿入されている。座金7は、基板11に溶接、接着等の固定手段によって固定されている。座金7は、円板状をなしており、その外径は、固定筒部12の内径とほぼ同一に設定されている。座金7の上面の外周部には、テーパ部71が形成されている。テーパ部71は、その軸線を固定筒部12の軸線と一致させた状態で配置されている。テーパ部71は、径方向の外側から内側へ向かうにしたがって小径になっており、テーパ部71の最小径は、支柱2の内径より小径になっている。したがって、支柱2を固定筒部12に挿入すると、図13に示すように、支柱2の下端面の内周縁がテーパ部71に対しその径方向の中間部において接触する。すると、テーパ部71の求心作用により、支柱2の下端部の軸線がテーパ部71の軸線と一致させられ、ひいては固定筒部12の軸線と一致させられる。これから明らかなように、この実施の形態においては、テーパ部71及び支柱2の内周面の下端縁とによって求心機構が構成されている。
【0030】
前述したように、支柱2の下端部から所定距離だけ上方に離間した箇所においては、テーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31とからなる固定機構により、支柱2の軸線と固定筒部12の軸線とが一致させられている。しかも、この実施の形態においては、支柱2の下端部の軸線が固定筒部12の軸線と一致させられている。したがって、支柱2の軸線を固定筒部12の軸線とより一層正確に一致させることができ、支柱2を鉛直に立設させることができる。
【0031】
なお、この実施の形態においては、支柱2の固定筒部12への固定機構としてテーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31とからなる固定機構が採用されているが、前述した他の固定機構を採用してもよい。これは、次に述べる第6実施の形態においても同様である。
【0032】
図14及び図15は、この発明の第6実施の形態を示す。この実施の形態においては、基板11にテーパ部16が直接形成されている。このテーパ部16は、上記第5実施の形態のテーパ部71に代わるものであり、その軸線を固定筒部12の軸線と一致させて配置され、テーパ部71と同一の寸法を有している。したがって、テーパ部16の中間部には、支柱2の下端面の内周縁が環状に接触する。これによって、支柱2の下端部の軸線が固定筒部12の軸線と一致させられる。
【0033】
テーパ部16は、基板11を絞り加工、あるいはバーリング加工することによって形成することができる。そのような加工を容易にするために、基板11には、テーパ部16と軸線を一致させた貫通孔17を形成しておくことが望ましい。勿論、貫通孔17の内径は、テーパ部16の最小径より若干小径に設定される。
【0034】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記第4の実施の形態では、雌ねじ部材3にテーパ面36が形成されているが、このテーパ面36に代えて、互いの間隔が下方へ向かって広がるように傾斜する複数の傾斜面を雌ねじ部材3の周方向へ等間隔に形成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、テーパ面36を雌ねじ部材3に形成しているが、固定筒部12の外周面に下方へ向かって拡径するテーパ面を形成してもよい。その場合には、テーパ面がストレート雄ねじ部15に続いてその下側に形成される。そして、テーパ面は、雌ねじ部材3の下端面に突き当たることにより、雌ねじ部材3の固定筒部12へのねじ込みに伴って固定筒部12の上端部を縮径させる。
さらに、上記の実施の形態においては、固定部材1の基板11にテーパ部71,16を形成し、このテーパ部71,16を支柱2の内周面の下端縁に接触させているが、支柱2の内周面の下端開口部に軸線を支柱2の軸線と一致させたテーパ面(テーパ孔)を形成する一方、基板11の軸線を固定筒部12の軸線と一致させた円板を固定し、この円板の上面の上端縁を支柱2のテーパ面に接触させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明に係るガスメータの支持装置は、例えば集合住宅のパイプシャフト内にガスメータを設置する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
A ガスメータの支持装置
M ガスメータ
1 固定部材
2 支柱
3 雌ねじ部材
4 支持部材
12 固定筒部
13 テーパ雄ねじ部(ねじ部)
14 スリット
15 ストレート雄ねじ部(ねじ部)
16 テーパ部(求心機構)
31 テーパ雌ねじ部(ねじ部)
32 テーパ雌ねじ部(ねじ部)
34 ストレート雌ねじ部(ねじ部)
35 ストレート雌ねじ部(ねじ部)
36 テーパ面(傾斜面)
71 テーパ部(求心機構)
【技術分野】
【0001】
この発明は、フレキシブルガス管が接続されたガスメータを支持するためのガスメータの支持装置に関する。
【背景技術】
【0002】
フレキシブルガス管は、柔軟性を有しているので、配管を容易に行うことができるというメリットがある。その反面、フレキシブルガス管をガスメータに接続した場合には、フレキシブルガス管ではガスメータを支持することができないという問題がある。そこで、ガスメータにフレキシブルガスを接続する場合には、ガスメータを支持するための支持装置が用いられている。
【0003】
従来のガスメータの支持装置としては、下記特許文献1に記載のものがある。この支持装置は、固定部材、支柱及び支持部材を備えている。固定部材は、上端が開口した断面円形の固定筒部を有しており、この固定筒部が鉛直に起立した状態で床面に固定される。固定筒部には、支柱の下端部が挿入される。また、固定筒部には、その周壁を貫通する止めねじが螺合されている。この止めねじを締め付けると、支柱の下端部が固定筒部の内周面に押し付けられる。これによって、支柱が上下に立った状態で固定筒部に固定される。支柱の上端部には、支持部材が取り付けられる。そして、支持部材によってガスメータが支持される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−243519号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記従来の支持装置においては、止めねじが支柱に点接触し、止めねじと180°反対側に位置する固定筒部の内周面と支柱の外周面とが上下に線接触しているだけである。つまり、固定筒部と支柱とは周方向へ180°離れた2箇所において接触しているだけである。このため、支柱の固定強度が低く、支柱が鉛直方向に対して若干ではあるが傾いてしまうという問題があった。支柱が傾くと、ガスメータの姿勢が正しい姿勢から外れてしまい、ガスの流量計測に誤差が生じるおそれがある。
【0006】
なお、固定筒部の内径と支柱の外径との寸法差を小さくすることにより、支柱の傾きをほとんど無くすことができるが、そのようにすると、固定筒部の内径及び支柱の外径の寸法管理を厳しくしなければならず、固定筒部及び支柱の製造費が嵩む。その上、支柱を固定筒部に挿入し難くなり、ガスメータの設置に手間が掛かるという別の問題を招来してしまう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記の問題を解決するために、長手方向を上下方向に向けた固定筒部を有する固定部材と、下端部が上記固定筒部に挿入されることによって立設された支柱と、この支柱の上端部に設けられた支持部材とを備え、上記支持部材にガスメータが取り付けられるガスメータの支持装置において、上記固定筒部の上端部に、上下方向に延びる複数のスリットが上記固定筒部の周方向へ互いに離して形成されることにより、上記固定筒部の上端部が拡縮径可能とされ、上記支柱に雌ねじ部材が上下方向へ移動可能に、かつ回動可能に外挿されるとともに、この雌ねじ部材が上記固定筒部の上端部に螺合され、上記固定筒部と上記雌ねじ部材との間には、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込み伴って上記固定筒部の上記スリットが形成された上端部を縮径させて、上記固定筒部の内周面を上記支柱の外周面に環状に押し付け、それによって上記支柱を上記固定筒部に固定する固定機構が設けられていることを特徴としている。
この場合、 上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の少なくとも一方が下方に向かって拡径するテーパねじ部とされ、このテーパねじ部と、上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の他方とによって上記固定機構が構成されていてもよい。
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合するテーパ雌ねじ部であってもよく、上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合可能なストレート雌ねじ部であってもよく、あるいは上記テーパねじ部が上記雌ねじ部材に形成されたテーパ雌ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記固定筒部に形成され、かつ上記テーパ雌ねじ部に螺合可能なストレート雄ねじ部であってもよい。
上記固定機構が、上記固定筒部と上記雌ねじ部材とのいずれか一方に形成され、他方に突き当たることにより、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込みに伴って上記固定筒部を縮径させる傾斜面を有しているものであってもよい。
上記固定部材の上記固定筒部内に位置する部位と、上記固定筒部に挿入された上記支柱の下端部との間には、テーパの求心作用によって上記支柱の下端部の軸線を上記固定筒部の軸線と一致させる求心機構が設けられていることが望ましい。
【発明の効果】
【0008】
この発明に係るガスメータ用支持装置によれば、雌ねじ部材を締め付けると、固定筒部の上端部が弾性的に縮径する。その結果、固定筒部の内周面が、スリットの部分を除いて、支柱の外周面に全周にわたって環状に押圧接触する。しかも、固定筒部の上端部が弾性変形することにより、固定筒部の内周面は、支柱の外周面に対し上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。このように、固定筒部の内周面と支柱の外周面とを環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触させることができるので、固定筒部による支柱に対する固定強度を向上させることができる。よって、支柱が鉛直方向に対して傾くことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】図1は、この発明の第1実施の形態を示す正面図である。
【図2】図2は、同実施の形態の一部を省略して示す一部切欠き側面図である。
【図3】図3は、同実施の形態の要部を拡大して示す断面図である。
【図4】図4は、同実施の形態において用いられている固定部材の正面図である。
【図5】図5は、図4のX−X線に沿う断面図である。
【図6】図6は、同実施の形態において用いられている雌ねじ部材の正面図である。
【図7】図7は、図6のX−X線に沿う断面図である。
【図8】図8は、雌ねじ部材により支柱を固定部材に固定する方法を説明するための一部省略断面図である。
【図9】図9は、この発明の第2実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図10】図10は、この発明の第3実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図11】図11は、この発明の第4実施の形態の一部を省略して示す断面図である。
【図12】図12は、この発明の第5実施の形態の要部を示す断面図である。
【図13】図13は、図12のX部の拡大図である。
【図14】図14は、この発明の第6実施の形態の要部を示す断面図である。
【図15】図15は、図14のX部の拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明を実施するための最良の形態を、図面を参照して説明する。
図1〜図8は、この発明の第1実施の形態を示す。この実施の形態に係るガスメータの支持装置Aは、固定部材1、支柱2、雌ねじ部材3及び支持部材4を主な構成要素としている。
【0011】
図4及び図5に示すように、固定部材1は、基板11を有している。基板11は、固定部材1を床F又は地面に固定するためのものであり、略正方形の平板状に形成されている。基板11は、必ずしも平板状に形成する必要がなく、例えば円形の皿の上下を逆にしたような形状、その他任意の形状を採用することができる。基板11の四隅部には、固定ボルトTが上下に挿通されている。そして、この固定ボルトTを床Fに螺合させて締め付けることにより、基板11が床Fに固定されている。
【0012】
基板11の上面の中央部には、固定筒部12が設けられている。固定筒部12は、円筒状をなしており、その軸線を鉛直方向に向けた状態で基板11に立設固定されている。固定筒部12の上端部は、開口させられている。固定筒部12の外周面の上端部には、下方へ向かって拡径するテーパ雄ねじ部(ねじ部)13が形成されている。
【0013】
固定筒部12の上端部には、複数のスリット14が形成されている。スリット14は、固定筒部12の径方向にはその周壁部を外周面から内周面まで横断しており、上下方向には固定筒部12の上端面からテーパ雄ねじ部13を越えて下方へ所定の長さをもって延びている。複数のスリット14は、固定筒部12の周方向へ等間隔をもって配置されている。このような複数のスリット14が形成されることにより、テーパ雄ねじ部13を含む固定筒部12の上端部が径方向へ弾性的に拡縮径可能になっている。
【0014】
スリット14は、必ずしも固定筒部12の上端面から形成する必要がなく、固定筒部12の上端面から若干下方へ離間した箇所から下方へ向かって形成してもよい。このようにした場合には、固定筒部12の上端部のうち、スリット14の長手方向の中央部に位置する部分が径方向へ弾性的に拡縮径可能になる。そこで、このような場合には、テーパ雄ねじ部13がスリット14の長手方向の中央に位置するように配置される。
【0015】
支柱2は、図2に示すように、断面円形のパイプからなるものであり、一定の外径を有している。そして、支柱2の下端部が固定筒部12に挿入されている。支柱2は、必ずしも全長にわたって一定の外径にする必要がなく、固定筒部12に挿入される下端部とそれより上側の部分とで異なる外径にしてもよい。支柱2の固定筒部12に挿入される下端部は、固定筒部12に容易に挿入し得る範囲においてできる限り大径にすることが望ましく、少なくとも固定筒部12の上端部が弾性的に縮径することにより、固定筒部12の内周面が支柱2の外周面に環状に押圧接触することができるような外径を有するものとされる。支柱2は、中空のパイプを用いることなく、中実であってもよい。ただし、支持装置Aを軽量化してその搬送費の軽減等を図るためには、中空のものを採用することが望ましい。
【0016】
上記雌ねじ部材3は、図6及び図7に示すように、円筒状をなしており、その内部には、支柱2の固定筒部12から上方へ突出部した部分が相対回転可能に、かつ上下方向へ相対移動可能に挿通されている。雌ねじ部材3の内周面の下端部及び上端部には、雌ねじ部材3の上下方向における中央側から外側(下側及び上側)へ向かってそれぞれ拡径するテーパ雌ねじ部31,32がそれぞれ形成されている。このテーパ雌ねじ部31,32は、同一のねじ寸法を有しており、いずれもテーパ雄ねじ部13に螺合可能である。したがって、雌ねじ部材3は、上下を図示の状態と逆の状態にしたとしても固定筒部12に螺合可能である。ただし、雌ねじ部材3は、必ずしもこのように形成する必要がなく、テーパ雌ねじ部32については省略してもよい。
【0017】
雌ねじ部材3の外周面には、上下方向へ延びる突条33が一対形成されている。一対の突条33,33は、周方向へ180°離れて配置されている。各突条33は、ねじ回し工具(図示せず)の先端部を係合させるためのものであり、突条33に係合したねじ回し工具によって雌ねじ部材3を正逆方向へ回転させることができる。雌ねじ部材3の外周面には、一対の突条33,33に代えて、六角形のスパナ掛け部、その他のねじ回し工具を係合させるための係合部を形成してもよい。
【0018】
テーパ雌ねじ部31をテーパ雄ねじ部13に螺合させて締め付けると、両ねじ部31,13のテーパ作用により、固定筒部12の上端部が径方向内側に向かって押圧される。この押圧力によって固定筒部12の上端部が縮径される。その結果、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の下端部外周面に対し、スリット14が形成された部分を除き、全周にわたって環状に押圧接触させられる。しかも、固定筒部12の内周面は、その上端縁が支柱2の外周面に接触した後、固定筒部12の上端縁から下側に続く部分が弾性変形することにより、上端縁から下側の部分も支柱2の外周面に接触する。つまり、固定筒部12の上端部は、支柱2の外周面に対し上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。この結果、固定筒部12の上端部内周面は、支柱2の外周面に対して環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触する。したがって、支柱2が固定筒部12に強固に固定される。これは、テーパ雌ねじ部32をテーパ雄ねじ部13に螺合させた場合も同様である。これから明らかなように、この支持装置Aにおいては、テーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31(32)とによって固定機構が構成されている。
【0019】
支持部材4は、基部41と可動部42とを有している。基部41は、支柱2の上端部にUボルト5,5によって固定されている。可動部42は、基部41の上面に前後方向へ位置調節可能に載置されている。可動部42は、ボルト43によって基部41に固定されている。可動部42は、基部41に対して移動不能にしてもよく、さらに基部41に一体に形成してもよい。
【0020】
可動部42には、上流側接続管44及び下流側接続管45が固定されている。上流側及び下流側接続管44,45は、いずれも逆「U」字状をなしており、左右方向へ互いに離間して配置されている。上流側接続管44の下流側の端部及び下流側接続管45の上流側の端部(いずれも、図2において左側の端部)は、可動部42の前端部に固定されている。しかも、上流側接続管44の下流側の端部には、ガスメータMのガス導入口(図示せず)が接続ナット46によって接続固定され、下流側接続管45の上流側の端部には、ガスメータMのガス導出口(図示せず)が接続ナット47によって接続固定されている。これにより、ガスメータMが支持装置Aによって支持されている。
【0021】
上流側接続管44の上流側端部(図2において右側の端部)には、フレキシブルガス管からなる一次側ガス管G1の下流側の端部が周知の継手6を介して接続されている。一次側ガス管G1の上流側端部は、元栓(図示せず)に接続されている。したがって、元栓を開弁すると、ガスが一次側ガス管G1及び上流側接続管44を介してガスメータMに流入する。下流側接続管45の下流側の端部には、フレキシブルガス管からなる二次側ガス管G2の上流側の端部が継手6を介して接続されている。二次側ガス管G2の下流側の端部は、ガス機器(図示せず)に接続されている。したがって、ガスメータMに流入したガスは、ガスメータMにおいて流量が計測された後、下流側接続管45及び二次側ガス管G2を介してガス機器に供給される。
【0022】
上記構成を有するガスメータの支持装置Aにおいては、雌ねじ部材3を固定筒部12に螺合させて締め付けると、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に対しスリット14が形成された部分を除き、環状に、しかも上下方向へ所定の長さをもって押圧接触させられる。したがって、支柱2を固定筒部12に強固に固定することができ、支柱2が傾斜することを防止することができる。よって、ガスメータMの流量計測に誤差が生じることを防止することができる。
【0023】
次に、この発明の他の実施の形態を説明する。なお、以下の実施の形態については、上記第1実施の形態と異なる構成についてのみ説明することとし、上記第1実施の形態と同様な構成部分には同一符号を付してその説明を省略する。
【0024】
図9は、この発明の第2の実施の形態を示す。この実施の形態においては、雌ねじ部材3にテーパ雌ねじ部31,32に代えて、ストレート雌ねじ部(ねじ部)34,35がそれぞれ形成されている。ストレート雌ねじ部34,35は、互いに同一のねじ寸法を有している。そこで、ストレート雌ねじ部34についてのみ説明すると、ストレート雌ねじ部34は、その全長にわたって一定のピッチ円径を有している。ストレート雌ねじ部34のピッチ円径は、テーパ雄ねじ部13の軸線方向(上下方向)の中間部におけるピッチ円径とほぼ同一に設定されている。しかも、ストレート雌ねじ部34のピッチは、テーパ雄ねじ部13のピッチと同一に設定されている。したがって、ストレート雌ねじ部34は、少なくともその下端部がテーパ雄ねじ部13に螺合可能であり、両ねじ部13,34を螺合させて雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が径方向内側へ向かって縮径させられ、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に押圧接触させられる。したがって、この第2実施の形態においては、テーパ雄ねじ部13及びストレート雌ねじ部34(35)によって固定機構が構成されており、この固定機構により支柱2が固定筒部12に強固に固定される。
【0025】
図10は、この発明の第3実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12の上端部に、テーパ雄ねじ部13に代えて一定のピッチ円径を有するストレート雄ねじ部(ねじ部)15が形成されている。ストレート雄ねじ部15のピッチ円径は、テーパ雌ねじ部31(32)の軸線方向の中間部におけるピッチ円径とほぼ同一であり、ストレート雄ねじ部15のピッチは、テーパ雌ねじ部31(32)のピッチと同一に設定されている。したがって、ストレート雄ねじ部15の少なくとも上端部は、テーパ雌ねじ部31(32)に螺合可能であり、両ねじ部15,31(32)を螺合させて雌ねじ部材3を締め付けると、固定筒部12の上端部が縮径される。これにより、支柱2が固定筒部12に固定される。この第3実施の形態においては、ストレート雄ねじ部15及びテーパ雌ねじ部31(32)によって固定機構が構成されている。
【0026】
図11は、この発明の第4実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12の上端部にストレート雄ねじ部15が形成されている。一方、雌ねじ部材3の下端部内周面には、ストレート雄ねじ部15に螺合するストレート雌ねじ部34が形成されている。さらに、ストレート雌ねじ部34から上側に続く雌ねじ部材3の内周面には、テーパ面(傾斜面)36及びストレート孔部37が順次形成されている。テーパ面36及びストレート孔部37は、その軸線をストレート雌ねじ部34の軸線と一致させて配置されている。テーパ面36は、上方へ向かって縮径している。したがって、テーパ面36の内径は、その下端において最大であり、最大内径は、ストレート雌ねじ部34の谷の径と同等に設定されている。テーパ面36の内径は、その上端において最小であり、最小内径は、固定筒部12の内径と同等以下で、かつ支柱2の外径より若干大径に設定されている。ストレート孔部37の内径は、テーパ面36の最小内径と同一に設定されている。雌ねじ部材3の外周面には、突条33に代えてスパナ掛け部等の係合部(図示せず)が形成されている。この係合部にスパナ等を係合させることにより、雌ねじ部材3を回転させることができる。
【0027】
ストレート雄ねじ部15にストレート雌ねじ部34を螺合させて雌ねじ部材3を所定の位置まで下方へ移動させると、テーパ面36が固定筒部12の上端面に接触する。その状態で雌ねじ部材3をさらに下方へねじ込むと、テーパ面36が固定筒部12の上端部をその径方向内側に押圧して縮径させる。この結果、固定筒部12の上端部内周面が支柱2の外周面に環状に押圧接触させられ、支柱2が固定筒部12に強固に固定される。これから明らかなように、この実施の形態においては、ストレート雄ねじ部15、ストレート雌ねじ部34及びテーパ面36によって固定機構が構成されている。
【0028】
図12及び図13は、この発明の第5実施の形態を示す。この実施の形態においては、固定筒部12が基板11と別体に形成されており、基板11の上面の中央部に固定筒部12の下端部が溶接等の固定手段によって固定されている。勿論、固定筒部12は、前述した各実施の形態と同様に、基板11と一体に形成してもよい。
【0029】
固定筒部12には、座金7が挿入されている。座金7は、基板11に溶接、接着等の固定手段によって固定されている。座金7は、円板状をなしており、その外径は、固定筒部12の内径とほぼ同一に設定されている。座金7の上面の外周部には、テーパ部71が形成されている。テーパ部71は、その軸線を固定筒部12の軸線と一致させた状態で配置されている。テーパ部71は、径方向の外側から内側へ向かうにしたがって小径になっており、テーパ部71の最小径は、支柱2の内径より小径になっている。したがって、支柱2を固定筒部12に挿入すると、図13に示すように、支柱2の下端面の内周縁がテーパ部71に対しその径方向の中間部において接触する。すると、テーパ部71の求心作用により、支柱2の下端部の軸線がテーパ部71の軸線と一致させられ、ひいては固定筒部12の軸線と一致させられる。これから明らかなように、この実施の形態においては、テーパ部71及び支柱2の内周面の下端縁とによって求心機構が構成されている。
【0030】
前述したように、支柱2の下端部から所定距離だけ上方に離間した箇所においては、テーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31とからなる固定機構により、支柱2の軸線と固定筒部12の軸線とが一致させられている。しかも、この実施の形態においては、支柱2の下端部の軸線が固定筒部12の軸線と一致させられている。したがって、支柱2の軸線を固定筒部12の軸線とより一層正確に一致させることができ、支柱2を鉛直に立設させることができる。
【0031】
なお、この実施の形態においては、支柱2の固定筒部12への固定機構としてテーパ雄ねじ部13とテーパ雌ねじ部31とからなる固定機構が採用されているが、前述した他の固定機構を採用してもよい。これは、次に述べる第6実施の形態においても同様である。
【0032】
図14及び図15は、この発明の第6実施の形態を示す。この実施の形態においては、基板11にテーパ部16が直接形成されている。このテーパ部16は、上記第5実施の形態のテーパ部71に代わるものであり、その軸線を固定筒部12の軸線と一致させて配置され、テーパ部71と同一の寸法を有している。したがって、テーパ部16の中間部には、支柱2の下端面の内周縁が環状に接触する。これによって、支柱2の下端部の軸線が固定筒部12の軸線と一致させられる。
【0033】
テーパ部16は、基板11を絞り加工、あるいはバーリング加工することによって形成することができる。そのような加工を容易にするために、基板11には、テーパ部16と軸線を一致させた貫通孔17を形成しておくことが望ましい。勿論、貫通孔17の内径は、テーパ部16の最小径より若干小径に設定される。
【0034】
なお、この発明は、上記の実施の形態に限定されるものでなく、その要旨を逸脱しない範囲において各種の変形例を採用することができる。
例えば、上記第4の実施の形態では、雌ねじ部材3にテーパ面36が形成されているが、このテーパ面36に代えて、互いの間隔が下方へ向かって広がるように傾斜する複数の傾斜面を雌ねじ部材3の周方向へ等間隔に形成してもよい。
また、上記の実施の形態においては、テーパ面36を雌ねじ部材3に形成しているが、固定筒部12の外周面に下方へ向かって拡径するテーパ面を形成してもよい。その場合には、テーパ面がストレート雄ねじ部15に続いてその下側に形成される。そして、テーパ面は、雌ねじ部材3の下端面に突き当たることにより、雌ねじ部材3の固定筒部12へのねじ込みに伴って固定筒部12の上端部を縮径させる。
さらに、上記の実施の形態においては、固定部材1の基板11にテーパ部71,16を形成し、このテーパ部71,16を支柱2の内周面の下端縁に接触させているが、支柱2の内周面の下端開口部に軸線を支柱2の軸線と一致させたテーパ面(テーパ孔)を形成する一方、基板11の軸線を固定筒部12の軸線と一致させた円板を固定し、この円板の上面の上端縁を支柱2のテーパ面に接触させるようにしてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0035】
この発明に係るガスメータの支持装置は、例えば集合住宅のパイプシャフト内にガスメータを設置する際に利用することができる。
【符号の説明】
【0036】
A ガスメータの支持装置
M ガスメータ
1 固定部材
2 支柱
3 雌ねじ部材
4 支持部材
12 固定筒部
13 テーパ雄ねじ部(ねじ部)
14 スリット
15 ストレート雄ねじ部(ねじ部)
16 テーパ部(求心機構)
31 テーパ雌ねじ部(ねじ部)
32 テーパ雌ねじ部(ねじ部)
34 ストレート雌ねじ部(ねじ部)
35 ストレート雌ねじ部(ねじ部)
36 テーパ面(傾斜面)
71 テーパ部(求心機構)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向を上下方向に向けた固定筒部を有する固定部材と、下端部が上記固定筒部に挿入されることによって立設された支柱と、この支柱の上端部に設けられた支持部材とを備え、上記支持部材にガスメータが取り付けられるガスメータの支持装置において、
上記固定筒部の上端部に、上下方向に延びる複数のスリットが上記固定筒部の周方向へ互いに離して形成されることにより、上記固定筒部の上端部が拡縮径可能とされ、
上記支柱に雌ねじ部材が上下方向へ移動可能に、かつ回動可能に外挿されるとともに、この雌ねじ部材が上記固定筒部の上端部に螺合され、
上記固定筒部と上記雌ねじ部材との間には、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込み伴って上記固定筒部の上記スリットが形成された上端部を縮径させて、上記固定筒部の内周面を上記支柱の外周面に環状に押し付け、それによって上記支柱を上記固定筒部に固定する固定機構が設けられていることを特徴とするガスメータの支持装置。
【請求項2】
上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の少なくとも一方が下方に向かって拡径するテーパねじ部とされ、このテーパねじ部と、上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の他方とによって上記固定機構が構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスメータの支持装置。
【請求項3】
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合するテーパ雌ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項4】
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合可能なストレート雌ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項5】
上記テーパねじ部が上記雌ねじ部材に形成されたテーパ雌ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記固定筒部に形成され、かつ上記テーパ雌ねじ部に螺合可能なストレート雄ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項6】
上記固定機構が、上記固定筒部と上記雌ねじ部材とのいずれか一方に形成され、他方に突き当たることにより、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込みに伴って上記固定筒部を縮径させる傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載のガスメータの支持装置。
【請求項7】
上記固定部材の上記固定筒部内に位置する部位と、上記固定筒部に挿入された上記支柱の下端部との間には、テーパの求心作用によって上記支柱の下端部の軸線を上記固定筒部の軸線と一致させる求心機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスメータの支持装置。
【請求項1】
長手方向を上下方向に向けた固定筒部を有する固定部材と、下端部が上記固定筒部に挿入されることによって立設された支柱と、この支柱の上端部に設けられた支持部材とを備え、上記支持部材にガスメータが取り付けられるガスメータの支持装置において、
上記固定筒部の上端部に、上下方向に延びる複数のスリットが上記固定筒部の周方向へ互いに離して形成されることにより、上記固定筒部の上端部が拡縮径可能とされ、
上記支柱に雌ねじ部材が上下方向へ移動可能に、かつ回動可能に外挿されるとともに、この雌ねじ部材が上記固定筒部の上端部に螺合され、
上記固定筒部と上記雌ねじ部材との間には、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込み伴って上記固定筒部の上記スリットが形成された上端部を縮径させて、上記固定筒部の内周面を上記支柱の外周面に環状に押し付け、それによって上記支柱を上記固定筒部に固定する固定機構が設けられていることを特徴とするガスメータの支持装置。
【請求項2】
上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の少なくとも一方が下方に向かって拡径するテーパねじ部とされ、このテーパねじ部と、上記固定筒部及び上記雌ねじ部材の互いに螺合するねじ部の他方とによって上記固定機構が構成されていることを特徴とする請求項1に記載のガスメータの支持装置。
【請求項3】
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合するテーパ雌ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項4】
上記テーパねじ部が上記固定筒部に形成されたテーパ雄ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記雌ねじ部材に形成され、かつ上記テーパ雄ねじ部に螺合可能なストレート雌ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項5】
上記テーパねじ部が上記雌ねじ部材に形成されたテーパ雌ねじ部であり、上記他方のねじ部が上記固定筒部に形成され、かつ上記テーパ雌ねじ部に螺合可能なストレート雄ねじ部であることを特徴とする請求項2に記載のガスメータの支持装置。
【請求項6】
上記固定機構が、上記固定筒部と上記雌ねじ部材とのいずれか一方に形成され、他方に突き当たることにより、上記雌ねじ部材の上記固定筒部へのねじ込みに伴って上記固定筒部を縮径させる傾斜面を有していることを特徴とする請求項1に記載のガスメータの支持装置。
【請求項7】
上記固定部材の上記固定筒部内に位置する部位と、上記固定筒部に挿入された上記支柱の下端部との間には、テーパの求心作用によって上記支柱の下端部の軸線を上記固定筒部の軸線と一致させる求心機構が設けられていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガスメータの支持装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−103066(P2012−103066A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−250834(P2010−250834)
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年11月9日(2010.11.9)
【出願人】(000167325)光陽産業株式会社 (69)
【Fターム(参考)】
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