説明

ガスメータ用無線機

【課題】ガスメータ用無線機において、不必要な電力の消耗を低減する。
【解決手段】筐体と、筐体の内部に配設されたリードスイッチと、筐体の内部に配設され、待機状態においてリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たした時に起動開始信号を出力するON−OFF検出器と、筐体の内部に配設され、筐体の外部との信号の送受信を制御するRF制御器と、筐体の内部に配設され、待機状態においてRF制御器への電力供給を行わず、ON−OFF検出器から出力される起動開始信号に基づいて、RF制御器への電力供給の開始を含む起動動作を開始する起動動作制御器と、筐体の内部に配設され、リードスイッチおよびON−OFF検出器およびRF制御器および起動動作制御器に電力を供給する電池とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスメータ用無線機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、無線電話装置を開示する。該無線電話装置は、入力手段に命令が入力されたことを検知する検知手段と、この検知手段による命令入力検知が所定時間以上行われなかったとき電源切断信号を出力する切断信号出力手段と、この切断信号出力手段から電源切断信号が出力されたとき所定の電源を切断する電源切断手段とを具備する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭62−301836号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、ガスメータ用無線機において、不必要な電力の消耗を低減することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、ガスメータ用無線機において、不必要な電力の消耗を低減すべく鋭意検討を行った。その結果、以下の知見を得た。
【0006】
ガスメータ用無線機は、ガスメータに取り付けられてガスの使用量を無線通信により送信する。ガスメータ用無線機において、工場で製造された後、最終設置場所において設置されるまでの間にすでに電池が消耗しているという現象が見られた。これは、運搬中にスイッチが入ってしまい、不必要な電力の消耗が生じたことによると考えられた。
【0007】
ガスメータ用無線機は野外に設置されることが多く、一般に防水が施される。防水の確保や利用可能な商用電源の不存在などが理由となって、使用中のガスメータ用無線機に外部から電力を供給することは、通常困難である。このため一般に、ガスメータ用無線機は防水シールされた筐体の内部に電源として電池(乾電池等)を備える。該電池は、工場での製造時に筐体内部に配設され、封止される。
【0008】
一方、防水の施されたガスメータ用無線機では、シーリングの確実性や安定性確保するために、スイッチ類は筐体外部に設けられない。工場で製造された後、設置されて使用が開始されるまでの間の電池の消耗を防止するために、磁力を利用した電源スイッチ(電池から主回路への電力供給をONまたはOFFするスイッチ)が設けられるのが一般的である。
【0009】
磁力を利用した電源スイッチの具体例は、リードスイッチである。ガスメータの使用を開始する場合には、例えば、設置者(技術者)が磁石などの磁界発生手段を筐体外部からリードスイッチの近傍へと近づける。これによりリードスイッチがONとなり、電池から主回路への通電が開始され、ガスメータ用無線機が起動を開始する。
【0010】
運搬時には、電源スイッチはOFF状態にあるので、使用開始までは電池から主回路への通電は禁止され、電池の消耗は防止されるのが原則である。しかしながら本発明者らが検討した結果、リードスイッチ内部のリードが、運搬時の振動によって接触し、ON状態が発生してしまう場合があることが判明した。かかるON状態に応じて電池から主回路への通電が開始され、ガスメータ用無線機が起動を開始すると、工場から発送されて使用が開始されるまでの間に、電池が消耗してしまうという問題が発生する。
【0011】
かかる知見を踏まえ、本発明者らは、リードスイッチのON状態の発生のみによって起動を開始するのではなく、リードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たした時に初めて起動を開始することとすれば、かかる問題の発生が抑制されることに想到した。換言すれば、例えば、ON状態への変化のみならずその後のOFF状態への変化をも用いて起動動作を開始するか否かを判定することで、運搬中の振動等によって意図せずに発生したON状態による誤起動を防止できる。
【0012】
すなわち本発明のガスメータ用無線機は、筐体と、筐体の内部に配設されたリードスイッチと、筐体の内部に配設され、待機状態においてリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たした時に起動開始信号を出力するON−OFF検出器と、筐体の内部に配設され、筐体の外部との信号の送受信を制御するRF制御器と、筐体の内部に配設され、待機状態においてRF制御器への電力供給を行わず、ON−OFF検出器から出力される起動開始信号に基づいて、RF制御器への電力供給の開始を含む起動動作を開始する起動動作制御器と、筐体の内部に配設され、リードスイッチおよびON−OFF検出器およびRF制御器および起動動作制御器に電力を供給する電池とを備える。
【0013】
かかる構成では、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能となる。
【0014】
また上記ガスメータ用無線機において、所定の条件は、リードスイッチのON状態が所定時間連続して継続することを含んでもよい。
【0015】
また上記ガスメータ用無線機において、所定の条件は、経時パターンが、リードスイッチのON状態およびOFF状態とを少なくともそれぞれ2回以上および1回以上含み、それぞれのON状態およびOFF状態の継続時間が特定されている所定のパターンとなることであってもよい。
【0016】
また上記ガスメータ用無線機において、起動動作制御器は、起動動作が開始した後、所定時間に亘ってRF制御器が初期設定を指令する信号を受信しない場合に、RF制御器への電力供給を切断して待機状態に移行するように構成されていてもよい。
【発明の効果】
【0017】
本発明のガスメータ用無線機によれば、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能であるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、第1実施形態のガスメータ用無線機の概略構成の一例を示すブロック図である。
【図2】図2は、第1実施形態のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【図3】図3は、実施例1のガスメータ用無線機におけるリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンの一例を示す図であり、図3(a)は運搬時の振動によって発生する経時パターンの一例を示す図であり、図3(b)は設置者がガスメータの起動を開始する場合の経時パターンの一例を示す図である。
【図4】図4は、実施例2のガスメータ用無線機におけるリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンの一例を示す図であり、図4(a)は運搬時の振動によって発生する経時パターンの一例を示す図であり、図4(b)は設置者がガスメータの起動を開始する場合の経時パターンの一例を示す図である。
【図5】図5は、第1実施形態の変形例のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【図6】図6は、第2実施形態のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第1実施形態)
[装置構成]
図1は、第1実施形態のガスメータ用無線機の概略構成の一例を示すブロック図である。
【0020】
本実施形態のガスメータ用無線機100は、筐体10と、筐体10の内部に配設されたリードスイッチ11と、筐体10の内部に配設され、待機状態においてリードスイッチ11のON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たした時に起動開始信号を出力するON−OFF検出器12と、筐体10の内部に配設され、筐体10の外部との信号の送受信を制御するRF制御器13と、筐体10の内部に配設され、待機状態においてRF制御器13への電力供給を行わず、ON−OFF検出器12から出力される起動開始信号に基づいて、RF制御器13への電力供給の開始を含む起動動作を開始する起動動作制御器14と、筐体10の内部に配設され、リードスイッチ11およびON−OFF検出器12およびRF制御器13および起動動作制御器14に電力を供給する電池15とを備える。
【0021】
筐体10は、例えばプラスチック製の箱としうる。筐体10の材料は、磁気発生手段がリードスイッチ11に作用可能な程度に磁界を透過するものであれば、いかなる材料であってもよい。筐体10は、野外に設置しても内部に雨水等が入らないように防水加工がされて封止されるのが好ましい。
【0022】
リードスイッチ11は、具体的には例えば、2本の強磁性体からなるリードが、所定の接点間隔を持って相対し、ガラス管の中に封入された構造を有する。リードの軸方向に磁界を外部から加えるとリードが磁化され、相対した自由端の間に磁力による引力が発生し、両者が接触してONとなる。また、磁界を消去すればリードの弾性によりOFFとなる。すなわち、磁界が弱い通常の状態では、少なくとも一方のリードは、他方のリードから離れる方向に付勢されており、磁界によりリードが磁化することで該付勢力に反する磁力の作用により接点が接触する。
【0023】
ON−OFF検出器12は、具体的には例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Computer)、論理回路等と、必要に応じ、プログラムや判定条件等が記憶されたメモリ等の記憶手段と、計時器(タイマ回路等)とを含んで構成されうる。ON−OFF検出器12は、リードスイッチ11のON状態とOFF状態とを検出できるように、リードスイッチ11に電気的に接続されているのが好ましい。
【0024】
RF制御器13は、具体的には例えば、アンテナ、増幅器および発振器等を含んで構成されうる。
【0025】
起動動作制御器14は、具体的には例えば、マイクロコントローラ、MPU、PLC(Programmable Logic Computer)、論理回路等と、プログラム等が記憶されたメモリ等の記憶手段とにより構成されうる。起動動作制御器14は、集中制御する単独の制御器によって構成されていてもよく、互いに協働して分散制御する複数の制御器によって構成されていてもよい。起動動作制御器14は、ON−OFF検出器12から起動開始信号を受信できるように、ON−OFF検出器12と通信可能に接続されているのが好ましい。起動動作制御器14は、RF制御器13を制御できるように、RF制御器13と通信可能に接続されているのが好ましい。起動動作制御器14は、通常時のガスメータ用無線機100の動作を制御する制御器の機能を備えていてもよい。あるいは、通常時のガスメータ用無線機100の動作を制御する制御器が、起動動作制御器14と別個に設けられていてもよい。
【0026】
電池15は、具体的には例えば、乾電池、蓄電池等により構成されうる。電池15と他の構成要素との接続関係は任意である。例えば、ON−OFF検出器12と起動動作制御器14とに接続され、RF制御器13には起動動作制御器14を介して電池15から電力が供給される構成としうる。あるいは、電池15がON−OFF検出器12にのみ接続され、起動動作制御器14およびRF制御器13にはON−OFF検出器12を介して電池15から電力が供給される構成としてもよい。
【0027】
電池15としては、リードスイッチ11とON−OFF検出器12とRF制御器13と起動動作制御器14とを含む各構成要素に電力を供給する共通の電池が設けられていてもよいし、各構成要素のそれぞれに電力を供給するために別個に複数の電池が設けられていてもよい。あるいは、各構成要素の任意の組合せ毎に別個に単一または複数の電池が設けられていてもよい。
【0028】
なお、ON−OFF検出器12とRF制御器13と起動動作制御器14とは、それぞれ単一の部品(チップ等)で構成されていてもよいし、複数の部品で構成されていてもよい。あるいは、ON−OFF検出器12とRF制御器13と起動動作制御器14とが任意の組合せで一体の部品として構成されていてもよい。
【0029】
「ON状態およびOFF状態の経時パターン」とは、リードスイッチのON状態とOFF状態とが、時間軸に沿ってどのように出現するかによって規定されるパターンである。該経時パターンは、OFF状態からON状態への変化(以下、ON変化)およびその後のON状態からOFF状態への変化(以下、OFF変化)を少なくとも1個ずつ含むものとすることができる。該経時パターンは、ON変化およびその後のOFF変化の1個ずつからなる場合には、例えば、1個のON状態の継続時間(以下、ON状態継続時間)により特定されうる。ON変化、その後のOFF変化、およびその後のON変化からなる場合には、例えば、1個のON状態継続時間と、1個のOFF状態の継続時間(以下、OFF状態継続時間)により特定されうる。
【0030】
「所定の条件を満たした時」とは、上記経時パターンが何らかの条件を満たした場合をいう。例えば、あるON変化からその次のOFF変化までの間の継続時間が所定時間を超えた場合や、該継続時間が所定時間以上となった場合、複数のON変化と複数のOFFが所定の時間間隔をおいて発生した場合などを含む。
【0031】
「起動開始信号に基づいて」とは、起動開始信号がON−OFF検出器12から通常動作制御器14に直接入力されて通常動作制御器14が起動を開始する場合と、起動開始信号がON−OFF検出器12から他の構成要素に入力され、該構成要素から所定の信号等が通常動作制御器14へと入力されると通常動作制御器14が起動を開始する場合の両方を含む。
【0032】
[動作]
図2は、第1実施形態のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。工場等においてガスメータ用無線機100の製造が完了すると、ガスメータ用無線機100は待機状態に設定される(スタート)。待機状態は、製造後、使用開始までの間の電力消費を極力抑えるための、いわゆるスリープモードである。待機状態において、電池15からRF制御器13への電力供給は遮断されている。待機状態においては、RF制御器13のみならず、通常動作制御器14への電力供給が遮断されていてもよい。待機状態において、リードスイッチ11とON−OFF検出器12以外の全ての構成要素への電力供給が遮断されていてもよい。
【0033】
ON−OFF検出器12は、リードスイッチ11のON状態およびOFF状態の経時パターンを取得する(ステップS101)。該取得はどのような方法で行ってもよく、例えば10秒おきに更新されるように随時に取得されてもよいし、ON状態が発生する度に、当該ON状態についてON状態継続時間を特定することとしてもよい。
【0034】
その後、ON−OFF検出器12は、該経時パターンが所定の条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS102)。判定結果がNOの場合には、再びステップS101に戻る。
【0035】
ステップS102の判定結果がYESの場合には、ON−OFF検出器12は、起動開始信号を起動動作制御器14へと出力する。起動動作制御器14は、ON−OFF検出器12から起動開始信号を受け取ると、RF制御器13への電力供給の開始を含む起動動作を開始し(ステップS103)、待機状態が終了する(エンド)。かかる動作により、ガスメータ用無線機100の使用が開始される。
【0036】
使用開始後、ガスメータ用無線機100は、図示されない読み出し手段(例えば、リードスイッチ11と同一の部品あるいは別個の部品である、ガスメータから計測結果を読み出すための、読み出し用リードスイッチ等)により、ガスメータの計測結果を読み出す。ガスメータ用無線機100は、必要に応じて記憶手段等に蓄積した上で、RF制御器13を介して該計測結果を送信する。ガスメータから計測結果を読み出す手段および方法、該計測結果を蓄積ないし送信する手段および方法については周知の構成を用いることができるので、説明を省略する。
【0037】
リードスイッチ11のON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たすように、リードスイッチ11の周囲に所望の磁界を所望のパターンで発生させる方法は様々に考えられる。
【0038】
例えば設置者が、棒磁石などの磁気発生手段を筐体外部からリードスイッチ11に近づけ、上記「所定の条件」を満たすようにリードスイッチ11のON状態およびOFF状態を発生させてもよい。
【0039】
磁気発生手段は必ずしも棒磁石である必要はなく、上記「所定の条件」を満たすようにリードスイッチ11のON状態およびOFF状態を発生させることのできるものであれば、どのような構成であってもよい。コンピュータ制御された電磁石等により、自動的に所定パターンの磁界を発生させるものであってもよい。人間が棒磁石で磁界を発生させる場合などにおいては、厳密な制御が困難となるので、適宜、許容範囲(マージン)をもって判定を行うのが好ましい。
【0040】
本実施形態の構成によれば、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能となる。
【0041】
[実施例1]
図3は、実施例1のガスメータ用無線機におけるリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンの一例を示す図であり、図3(a)は運搬時の振動によって発生する経時パターンの一例を示す図であり、図3(b)は設置者がガスメータの起動を開始する場合の経時パターンの一例を示す図である。
【0042】
本実施例において、所定の条件は、リードスイッチのON状態が所定時間連続して継続することを含む。すなわち図3の例において、経時パターンは1個のON状態継続時間(tON)により特定される。「所定の条件」は、ON状態継続時間が所定時間であるT以上となることである。
【0043】
ON状態継続時間の計測は、例えば、OFF状態からON状態へと変化時にON−OFF検出器12がタイマ回路のカウントを開始し、ON状態からOFF状態へと変化した時にタイマ回路のカウントを終了することで行われうる。
【0044】
図3(a)に例示されるように、運搬時の振動では、リードスイッチ11がON状態となる時間は短い(例えば0.5秒未満)場合がほとんどである。よって、例えば、T=1秒とし、ON状態継続時間が1秒以上であるか否かをON−OFF検出器12が判定する。図3(a)の例では、運搬時の振動により3回のON状態が発生しているが、いずれにおいてもON状態継続時間は1秒より短い。よって、ON−OFF検出器12は起動動作制御器14へと起動開始信号を送信せず、意図しない起動を防止することが可能となる。
【0045】
図3(b)に例示されるように、設置者が棒磁石をリードスイッチ11に近づけたまま維持すると、tON≧Tとなる。ON−OFF検出器12は、1個のON状態継続時間(tON)により特定された経時パターンが所定の条件を満たしたと判定し、起動動作制御器14へと起動開始信号を送信する。かかる動作により、設置者の意図に従って、起動を開始することができる。
【0046】
[実施例2]
図4は、実施例2のガスメータ用無線機におけるリードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンの一例を示す図であり、図4(a)は運搬時の振動によって発生する経時パターンの一例を示す図であり、図4(b)は設置者がガスメータの起動を開始する場合の経時パターンの一例を示す図である。
【0047】
本実施例において、所定の条件は、経時パターンが、リードスイッチのON状態およびOFF状態とを少なくともそれぞれ2回以上および1回以上含み、それぞれのON状態およびOFF状態の継続時間が特定されている所定のパターンとなることである。図4の例において、経時パターンは所定時間であるTRの間に生じるON状態とOFF状態それぞれの継続時間(tONおよびtOFF)により特定される。より具体的には、ON状態が発生した後の10秒間(TR)における、1回目のON状態の継続時間(tON1)と、その次に生じる1回目のOFF状態の継続時間(tOFF1)と、その次に生じる2回目のON状態の継続時間(tON2)と、その次に生じる2回目のOFF状態の継続時間(tOFF2)と、その次に生じる3回目のON状態の継続時間(tON3)とにより特定される。「所定の条件」は、例えば、tON1とtON3とtOFF1とtOFF2とが1秒ずつ、tON2が2秒とすることができる。設置者が磁石で操作する場合には、所定のマージンを取って例えば、0.7秒≦tON1≦1.3秒、0.7秒≦tOFF1≦1.3秒、1.5秒≦tON2≦2.5秒、0.7秒≦tOFF2≦1.3秒、0.7秒≦tON3≦1.3秒のいずれもが満たされることとしうる。
【0048】
OFF状態継続時間の計測は、例えば、ON状態からOFF状態へと変化した時にON−OFF検出器12がタイマ回路のカウントを開始し、OFF状態からON状態へと変化した時にON−OFF検出器12がタイマ回路のカウントを終了することで行われうる。
【0049】
本実施例では、最初にON状態が発生した後、タイマ回路のカウントを開始し、その後の1回目のOFF変化、2回目のON変化、2回目のOFF変化、3回目のON変化、3回目のOFF変化のそれぞれが発生した時刻をタイマ回路のカウント値として取得する。また、タイマ回路のカウント値が10秒に達したときに、タイマ回路のカウントを停止する。よって、必ずしも3回目のOFF変化までが10秒で生じない場合もあるが、その場合には、対応するtONおよびtOFFはゼロとなる。
【0050】
図4(a)の例では、運搬時の振動により、tON1=0.4秒、tOFF1=2秒、tON2=0.7秒、tOFF2=1.8秒、tON3=0.4秒となっている。tON2については上記の条件を満たすものの、tON1、tOFF1、tOFF2、tON3については上記の条件を満たさない。よって、ON−OFF検出器12は起動動作制御器14へと起動開始信号を送信せず、意図しない起動を防止することが可能となる。特に、本実施例では、2回目のON状態が0.7秒と長く続いているが、かかる異常が発生した場合でも適切な制御が可能となる。
【0051】
使用開始時には、設置者が棒磁石をリードスイッチ11に約1秒間だけ近づけ、次に約1秒間だけ離し、次に約2秒間だけ近づけ、次に約1秒間だけ離し、次に約1秒間だけ近づけて離す。図4(b)の例では、tON1=0.8秒、tOFF1=1秒、tON2=2.4秒、tOFF2=1秒、tON2=0.8秒等となる。tON1、tOFF1、tON2、tOFF2、tON3について上記の条件を満たす。ON−OFF検出器12は、3個のON状態継続時間(tON1、tON2、tON3)と2個のOFF状態継続時間(tOFF1、tOFF2)により特定された経時パターンが所定の条件を満たしたと判定し、起動動作制御器14へと起動開始信号を送信する。かかる動作により、設置者の意図に従って、起動を開始することができる。
【0052】
[変形例]
図5は、第1実施形態の変形例のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。なお、本変形例のガスメータ用無線機の装置構成は、図1のガスメータ用無線機100と同様とすることができるので説明を省略する。
【0053】
工場等においてガスメータ用無線機の製造が完了すると、ガスメータ用無線機は待機状態に設定される(スタート)。待機状態は、製造後、使用開始までの間の電力消費を極力抑えるための、いわゆるスリープモードである。待機状態において、電池からRF制御器への電力供給は遮断されている。
【0054】
ON−OFF検出器は、ON状態を検出したか否かを判定し(ステップS201)、判定結果がNOの間はステップS201を繰り返し実行する。判定結果がYESとなると、リードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンを取得する(ステップS202)。
【0055】
その後、ON−OFF検出器は、該経時パターンが所定の条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS203)。判定結果がNOの場合には、再びステップS201に戻る。
【0056】
ステップS203の判定結果がYESの場合には、ON−OFF検出器は、起動開始信号を起動動作制御器へと出力する。起動動作制御器は、ON−OFF検出器から起動開始信号を受け取ると、RF制御器への電力供給の開始を含む起動動作を開始し(ステップS204)、待機状態を終了する(エンド)。かかる動作により、ガスメータ用無線機の使用が開始される。
【0057】
上記以外の動作は、第1実施形態において上述したものと同様とすることができるので説明を省略する。
【0058】
本変形例でも、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能となる。また、ON状態が検出されるまでは経時パターンの取得も待機されるため、より電力消費を低減できる。
【0059】
(第2実施形態)
第2実施形態のガスメータ用無線機の装置構成は第1実施形態のガスメータ用無線機100と同様としうるので、説明を省略する。
【0060】
第2実施形態では、起動動作制御器が、起動動作が開始した後、所定時間に亘ってRF制御器が初期設定を指令する信号を受信しない場合に、RF制御器への電力供給を切断して待機状態に移行するように構成されている。
【0061】
図6は、第2実施形態のガスメータ用無線機の動作の概略の一例を示すフローチャートである。
【0062】
工場等においてガスメータ用無線機の製造が完了すると、ガスメータ用無線機は待機状態に設定される(スタート)。待機状態は、製造後、使用開始までの間の電力消費を極力抑えるための、いわゆるスリープモードである。待機状態において、電池からRF制御器への電力供給は遮断されている。
【0063】
ON−OFF検出器は、ON状態を検出したか否かを判定し(ステップS301)、判定結果がNOの間はステップS301を繰り返し実行する。判定結果がYESとなると、リードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンを取得する(ステップS302)。
【0064】
その後、ON−OFF検出器は、該経時パターンが所定の条件を満たすか否かの判定を行う(ステップS303)。判定結果がNOの場合には、再びステップS301に戻る。
【0065】
ステップS203の判定結果がYESの場合には、ON−OFF検出器は、起動開始信号を起動動作制御器へと出力する。起動動作制御器は、ON−OFF検出器から起動開始信号を受け取ると、RF制御器への電力供給の開始を含む起動動作を開始する(ステップS304)。
【0066】
その後、起動動作制御器は起動動作が開始した後、所定時間内にRF制御器が初期設定を指令する信号を受信する否かを判定する(ステップS305)。判定結果がNOの場合にはRF制御器への電力供給を停止して再び待機状態に移行し(ステップS306)、ステップS301に戻る。初期設定を指令する信号は、設置者により、図示されないハンディターミナル等により送信されてもよい。
【0067】
ステップS305の判定結果がYESの場合には、起動動作制御器はRF制御器への電力供給を維持し、待機状態を終了する(エンド)。かかる動作により、ガスメータ用無線機の使用が開始される。
【0068】
上記以外の動作は、第1実施形態において上述したものと同様とすることができるので説明を省略する。
【0069】
本実施形態でも、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能となる。また、ON状態が検出されるまでは経時パターンの取得も待機されるため、より電力消費を低減できる。さらに、起動動作開始後も、初期設定が行われない場合に再度待機状態へと移行することができるため、意図しないタイミングで偶然にも正しい経時パターンが発生した場合でも、再び待機状態へ移行し、RF制御器への電力供給を最小限に抑えることで、より電力消費を低減できる。
【0070】
なお、本実施形態においてステップS301は省略してもよい。この場合には、ステップS302はステップS101と同様の動作としうる。すなわち経時パターンの取得はどのような方法で行ってもよく、例えば10秒おきに更新されるように随時に取得されてもよいし、ON状態が発生する度に、当該ON状態についてON状態継続時間を特定することとしてもよい。
【0071】
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。従って、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明のガスメータ用無線機は、使用開始前の運搬時における不必要な電力の消耗を低減することが可能なガスメータ用無線機として有用である。
【符号の説明】
【0073】
10 筐体
11 リードスイッチ
12 ON−OFF検出器
13 RF制御器
14 通常動作制御器
15 電池
100 ガスメータ用無線機

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の内部に配設されたリードスイッチと、
前記筐体の内部に配設され、待機状態において前記リードスイッチのON状態およびOFF状態の経時パターンが所定の条件を満たした時に起動開始信号を出力するON−OFF検出器と、
前記筐体の内部に配設され、前記筐体の外部との信号の送受信を制御するRF制御器と、
前記筐体の内部に配設され、前記待機状態において前記RF制御器への電力供給を行わず、前記ON−OFF検出器から出力される起動開始信号に基づいて、前記RF制御器への電力供給の開始を含む起動動作を開始する起動動作制御器と、
前記筐体の内部に配設され、前記リードスイッチおよび前記ON−OFF検出器および前記RF制御器および前記起動動作制御器に電力を供給する電池とを備える、ガスメータ用無線機。
【請求項2】
前記所定の条件は、前記リードスイッチのON状態が所定時間連続して継続することを含む、請求項1に記載のガスメータ用無線機。
【請求項3】
前記所定の条件は、前記経時パターンが、前記リードスイッチのON状態およびOFF状態とを少なくともそれぞれ2回以上および1回以上含み、それぞれのON状態およびOFF状態の継続時間が特定されている所定のパターンとなることである、請求項1または2に記載のガスメータ用無線機。
【請求項4】
前記起動動作制御器は、前記起動動作が開始した後、所定時間に亘って前記RF制御器が初期設定を指令する信号を受信しない場合に、前記RF制御器への電力供給を切断して前記待機状態に移行するように構成されている、請求項1乃至3のいずれかに記載のガスメータ用無線機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−129581(P2012−129581A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−276502(P2010−276502)
【出願日】平成22年12月13日(2010.12.13)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】