説明

ガス・蒸気分離用液体膜及びその製造方法、ガス・蒸気膜分離装置

【課題】 複雑な操作を必要とせずに容易に作成でき、ガスや蒸気を確実に分離できる、ガス・蒸気分離用液体膜及びその製造方法、および、このガス・蒸気分離用液体膜を用いたガス・蒸気膜分離装置を提供する。
【解決手段】 1枚の多孔質膜1の一方の面に親水性の親水層2、他方の面に疎水性の疎水層3を有し、前記親水層2に親水性の液体を含浸させた。多孔質膜1は、フッ化ポリビニリデンが好ましく、親水性の液体は、グリコール類又はアミン類が好ましい。疎水性の多孔質膜1の一方の面に親水化処理を行って親水性の親水層2を形成し、親水層2に親水性の液体を含浸させることにより製造する。親水化処理は、コロナ放電処理が好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス・蒸気分離用液体膜及びその製造方法、ガス・蒸気膜分離装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の空気中の水蒸気を除去する方法として、吸湿性の液体を含浸・保持した多孔質膜と、これに隣接して配置された疎水性多孔質膜とからなる積層構造の膜を用いた方法が知られている(特許文献1)。この方法は、水蒸気を含む空気を、吸湿性の液体を保持した多孔質膜側に接触させ、疎水性多孔質膜側を減圧することで、選択的に水蒸気を膜の減圧側に透過させて空気中の水蒸気を除去するものである。
【0003】
また、空気中の炭酸ガスを除去する方法として、ポリオール類とアミン類とを組み合わせた炭酸ガスキャリアー液を含浸・保持した多孔質膜と、これに隣接して配置された炭酸ガスキャリアー液に対して撥液性の疎水性多孔質膜とからなる積層構造の膜を用いた方法が知られている(特許文献2)。この方法は、炭酸ガスを含む空気を、炭酸ガスキャリアー液を保持した多孔質膜側に接触させ、疎水性多孔質膜側を減圧することで、選択的に炭酸ガスを膜の減圧側に透過させて空気中の炭酸ガスを除去するものである。
【0004】
そして、上記の水蒸気や炭酸ガスの膜分離法においては、膜の片側を減圧することから、吸湿性の液体や炭酸ガスキャリアー液を含浸した多孔質膜を疎水性多孔質膜で保持することで、吸湿性の液体や炭酸ガスキャリアー液が保持され、減圧側へ移動しないように構成されている。
【特許文献1】特開2000−350918号公報
【特許文献2】特開2001−120940号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記の膜分離法においては、液体を含浸した多孔質膜を、疎水性多孔質膜に重ねた2枚構成の膜を使用するものであり、このような2枚の膜を重ねることは、実際の膜モジュールの製作において複雑な操作を必要とするといった問題があった。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、複雑な操作を必要とせずに容易に作成でき、ガスや蒸気を確実に分離できる、ガス・蒸気分離用液体膜及びその製造方法を提供することをその目的とする。さらに、このガス・蒸気分離用液体膜を用いたガス・蒸気膜分離装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1記載のガス・蒸気分離用液体膜は、1枚の多孔質膜の一方の面に親水性の親水層、他方の面に疎水性の疎水層を有し、前記親水層に親水性の液体を含浸させたことを特徴とする。
【0008】
本発明の請求項2記載のガス・蒸気分離用液体膜は、請求項1において、前記多孔質膜は、フッ化ポリビニリデンからなることを特徴とする。
【0009】
本発明の請求項3記載のガス・蒸気分離用液体膜は、請求項1又は2において、前記親水性の液体は、グリコール類又はアミン類であることを特徴とする。
【0010】
本発明の請求項4記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法は、疎水性の多孔質膜の一方の面に親水化処理を行って親水性の親水層を形成し、前記親水層に親水性の液体を含浸させることを特徴とする。
【0011】
本発明の請求項5記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法は、請求項4において、前記親水化処理は、コロナ放電処理であることを特徴とする。
【0012】
本発明の請求項6記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法は、請求項4又は5において、前記多孔質膜は、フッ化ポリビニリデンからなることを特徴とする。
【0013】
本発明の請求項7記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法は、請求項4〜6のいずれか1項において、前記親水性の液体は、グリコール類又はアミン類であることを特徴とする。
【0014】
本発明の請求項8記載のガス・蒸気膜分離装置は、請求項1〜3のいずれか1項記載のガス・蒸気分離用液体膜と、このガス・蒸気分離用液体膜を保持する膜保持手段と、前記ガス・蒸気分離用液体膜の疎水層側を減圧する減圧手段とを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜によれば、1枚の多孔質膜で構成されていることから、従来のような液体を含浸した多孔質膜を疎水性多孔質膜に重ねるといった煩雑な操作を行うことが不要となり、膜モジュールの製作を簡略化することができる。
【0016】
そして、親水層に含浸させた親水性の液体が、疎水層で弾かれることによって疎水層側にしみ出すことがなく、安定した状態で親水性の液体を親水層に保持することができ、ガス・蒸気膜分離装置用の分離膜として用いた際に、ガスや蒸気を確実に分離できる。
【0017】
さらに、親水性の液体を適宜選択することによって、種々のガスや蒸気を分離することができる。
【0018】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法によれば、疎水性の多孔質膜の一方の面に親水化処理を行って親水性の親水層を形成し、親水層に親水性の液体を含浸させるので、ガス・蒸気分離用液体膜を複雑な操作を必要とせずに容易に作成することができる。そして、ガス・蒸気分離用液体膜を簡便に作成できるので、ガス・蒸気膜分離装置を低コストで提供することができる。
【0019】
また、親水化処理をコロナ放電処理とすることで、確実に多孔質膜の一方の面に親水層を形成することができる。また、親水化処理の程度により、親水層の厚みを制御できるので、薄膜化によりガスや蒸気の分離性能の向上を図ることができる。
【0020】
本発明のガス・蒸気膜分離装置によれば、減圧手段によりガス・蒸気分離用液体膜の疎水層側を減圧することで、ガス・蒸気分離用液体膜の親水層に含浸された親水性の液体に目的とするガスや蒸気が吸着され、この吸着されたガスや蒸気が多孔質の疎水層を透過することで、目的とするガスや蒸気を確実に分離することができる。
【0021】
また、膜保持手段でガス・蒸気分離用液体膜を保持することで、ガス・蒸気分離用液体膜が破れたりすることがなくガスや蒸気を確実に分離することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明について詳細に説明する。
【0023】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜は、図1に示すように、1枚の多孔質膜1の一方の面に親水性の親水層2、他方の面に疎水性の疎水層3を有する。
【0024】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜で用いられる多孔質膜1としては、スポンジ状の多孔質の膜であって、例えば、フッ化ポリビニリデン(PVDF),ポリテトラフルオロエチレンなどのフッ化ポリマー、ポリエチレン,ポリプロピレン,ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン、ポリアミド、ポリスチレン、ポリサルフォン,ポリエーテルサルフォン、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリアクリレート、ポリ炭酸エステル、セルロース系ポリマー、ポリ塩化ビニル,ポリアクリロニトリルなどのビニルポリマー、などからなるものを用いることができる。これらの中では、特に、フッ化ポリビニリデンが好適に用いられる。また、多孔質膜1は、ガス・蒸気を効率よく分離するために可能な限り薄い方が好ましく、150μm以下のものが好適に用いられ、また、多孔質膜1の空隙率は30〜85%であって、平均孔径は0.001〜10μmであることが好ましい。
【0025】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜の親水層2に含浸させる親水性の液体としては、ポリエチレングリコール,トリエチレングリコール,テトラエチレングリコールなどのグリコール類、ジエタノールアミン,モノエタノールアミン,トリエタノールアミン,ジグリコールアミン,ジイソパノールアミン,メチルジエタノールアミンなどのアミン類などを用いることができ、これらの2種以上の混合物を用いてもよい。この親水性の液体は、分離するガス・蒸気の種類に応じて、選択すればよい。例えば、水蒸気を分離する場合には、トリエチレングリコール,ポリエチレングリコールなどのグリコール類が好適に用いられ、炭酸ガスを分離する場合には、グリコール類とアミン類の混合物が好適に用いられる。このほか、適切な親水性の液体を用いることにより、シックハウス症候群の原因物質として知られるホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)、或いはガソリンなども分離することができる。
【0026】
多孔質膜1の親水層2、疎水層3は、それぞれ、多孔質膜1を親水化処理、疎水化処理することによって形成することができる。なお、親水層2は親水性の液体を均一に含浸することができる程度の親水性を有していればよい。一方、疎水層3は、疎水層側を真空にした場合であっても親水層2に含浸された液体が疎水層3側に浸透しない程度の高い疎水性を有することが望ましく、水の浸入圧力が400kPa以上、トリエチレングリコールの進入圧力が200kPa以上であることが好ましい。あるいは、親水層2側の表面のぬれ張力(JIS K6768)は50mN/m以上であって、疎水層3側のぬれ張力(JIS K6768)は25mN/m以下であるのが望ましい。親水化処理の例としては、コロナ放電処理、疎水化処理の例としては、フッ素モノマー表面処理を挙げることができる。
【0027】
以上のように、本発明のガス・蒸気分離用液体膜は、1枚の多孔質膜1の一方の面に親水性の親水層2、他方の面に疎水性の疎水層3を有し、前記親水層2に親水性の液体を含浸させたものである。1枚の多孔質膜1で構成されていることから、従来のような液体を含浸した多孔質膜を疎水性多孔質膜に重ねるといった煩雑な操作を行うことが不要となり、膜モジュールの製作を簡略化することができる。そして、親水層2に含浸させた親水性の液体が、疎水層3で弾かれることによって疎水層3側にしみ出すことがなく、安定した状態で親水性の液体を親水層2に保持することができ、ガス・蒸気膜分離装置用の分離膜として用いた際に、ガスや蒸気を確実に分離できる。さらに、親水性の液体を適宜選択することによって、種々のガスや蒸気を分離することができる。
【0028】
本発明のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法について説明すると、まず、多孔質膜1にフッ素モノマー表面処理などの疎水性処理を施す。この疎水性処理により、多孔質膜1の全体が疎水性となる。なお、フッ素モノマー表面処理を施した多孔質膜は市販されている(例えば、フッ素モノマー表面処理多孔質PVDF膜、商品名:Durapel,ミリポア社製)ので、疎水性処理を施す代わりに市販品を用いてもよい。
【0029】
つぎに、疎水性処理が施された多孔質膜1の一方の面の全体に、親水化処理を施す。親水化処理としては、親水層2の厚みが容易に制御できるコロナ放電処理が好適である。この親水化処理によって、多孔質膜1の一方の面に親水層2が形成され、他方の面の親水化処理が施されなかった層は、疎水層3となる。なお、親水層2を薄く形成することにより、ガスや蒸気の分離性能が向上する。親水層2の厚みとしては、50μm以下とするのが好ましい。
【0030】
そして、親水層2に親水性の液体を含浸させる。このとき、多孔質膜1の一方の面の全体に施された親水層2に、均一にまんべんなく含浸させることによって、気密性を有する多孔質膜1を得る。この気密性よって、空気は透過せず、親水性の液体に吸着されるガス・蒸気のみが透過する。以上のようにして、本発明のガス・蒸気分離用液体膜が製造される。
【0031】
以上のように、本発明のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法は、疎水性の多孔質膜1の一方の面に親水化処理を行って親水性の親水層2を形成し、前記親水層2に親水性の液体を含浸させるものであるので、ガス・蒸気分離用液体膜を複雑な操作を必要とせずに容易に作成することができる。そして、ガス・蒸気分離用液体膜を簡便に作成できるので、ガス・蒸気膜分離装置を低コストで提供することができる。
【0032】
また、前記親水化処理をコロナ放電処理とすることで、確実に多孔質膜1の一方の面に親水層2を形成することができる。また、親水化処理の程度により、親水層2の厚みを制御できるので、薄膜化によりガスや蒸気の分離性能の向上を図ることができる。
【0033】
つぎに、本発明のガス・蒸気分離用液体膜を用いたガス・蒸気膜分離装置について説明する。本発明のガス・蒸気膜分離装置は、図2に示すように、ガス・蒸気分離用液体膜としての多孔質膜1と、この多孔質膜1を保持する保持手段としてのステンレス焼結板4と、多孔質膜1の疎水層3側を減圧する減圧手段としての真空ポンプ5を備えている。そして、多孔質膜1は、その疎水層3側をステンレス焼結板4に接して保持され、多孔質膜1とステンレス焼結板4は平膜セル6内に設置されている。そして、平膜セル6の内部において、疎水層3側は、真空ポンプへ接続して真空に保たれるように構成され、親水層2側は大気に開放されている。
【0034】
このガス・蒸気膜分離装置を用いてガス・蒸気を分離する方法について、除湿を例にとって説明する。真空ポンプ5で多孔質膜1の疎水層3側を水蒸気圧以下に減圧するとともに、親水層2側に供給気体Aを供給する。なお、親水層2にはトリエチレングリコールが含浸されている。供給気体Aに含まれた水蒸気は、親水層2に含浸されたトリエチレングリコールに吸着される。一方、疎水層3側では親水層2に吸着された水分が蒸発し、この蒸発した水分が真空ポンプ5側Dへ移動し、真空ポンプ5へ至る経路の途中で冷却による凝縮、吸着などの定法により回収される。ここで、疎水層3側に乾燥した空気Cを少しずつ流すことで、親水層2に吸着された水分の蒸発が促される。そして、供給気体Aに含まれた水蒸気がさらに親水層2に吸着されやすくなる。
【0035】
このようにして供給気体Aは除湿されて、排出気体Bとして平膜セル6外へ排出される。なお、ここでは除湿を例にとって説明したが、親水性の液体を適宜選択することによって、炭酸ガス、ホルムアルデヒドなどの揮発性有機化合物(VOC)、或いはガソリンなども分離することができる。また、ここで説明した平膜セル6の構成は一例であって、種々の変形が可能である。すなわち、疎水層3側を真空に保つことができる構成であればよい。また、乾燥した空気Cを流す構成を省略してもよく、さらには、親水層2側を加圧するように構成してもよい。また、保持手段として、ステンレス焼結板を例にとって説明したが、通気性を有するとともに多孔質膜を確実に保持できるものであれば、これに限らない。
【0036】
以上のように、本発明のガス・蒸気膜分離装置は、ガス・蒸気分離用液体膜としての多孔質膜1と、この多孔質膜1を保持する膜保持手段としてのステンレス焼結板4と、前記多孔質膜1の疎水層3側を減圧する減圧手段としての真空ポンプ5を備えたものである。真空ポンプ5により多孔質膜1の疎水層3側を減圧することで、多孔質膜1の親水層2に含浸された親水性の液体に目的とするガスや蒸気が吸着され、この吸着されたガスや蒸気が多孔質1の疎水層3を透過することで、目的とするガスや蒸気を確実に分離することができる。また、ステンレス焼結板4で多孔質膜1を保持することで、多孔質膜1が破れたりすることがなくガスや蒸気を確実に分離することができる。
【0037】
以下、具体的な実施例を例にとって説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではなく、種々の変形実施が可能である。
【実施例1】
【0038】
膜材料として、市販のフッ素モノマー表面処理多孔質PVDF(フッ化ポリビニリデン)膜(商品名:Durapel,ミリポア社製,膜厚み125μm)を用いた。これは細孔径0.1μm,多孔度70%のスポンジ状の多孔質膜である。この膜材料はフッ素処理されているため、膜内部を含む膜全体が超疎水性となっている。このため、表面張力が21mN/mより大きい液体は濡れず、多孔質膜内に侵入できない。
【0039】
本実施例では、この膜の片側面を表面処理した。コロナ放電表面処理装置(春日電機製 AFI-020S,ワイヤ電極方式)を用い、電力200W,速度10m/分の条件下で、この超疎水性多孔質膜の片面にコロナ放電による表面処理を行った。この表面処理を2回行った結果、膜の処理面側のぬれ張力が50mN/mとなり、表面処理を4回行うことでさらに親水性が増加し、ぬれ張力が54mN/mとなった。なお、ぬれ張力の測定はJIS K6768に従った。
【0040】
これにより、多孔質膜の表面処理を施した一方の面としての表面側は表面張力54mN/mまでの液体に濡れ、表面処理を施さない他方の面としての裏面側は21mN/mまでの液体にしか濡れないという、表面側が親水性、裏面側が超疎水性の多孔質膜が作成できた。
【実施例2】
【0041】
表面張力が43mN/mであるトリエチレングリコール液を着色して、実施例1で作成した多孔質膜の親水性の表面側からしみ込ませ、膜の断面を観察した。表面処理を4回行った膜では表面から膜厚みの約40%まで、表面処理を2回行った膜では約20%までトリエチレングリコールがしみ込んだ。
【0042】
このように、1枚の多孔質膜で、その親水性の表面側にトリエチレングリコールをしみ込ませた層とし、その層以外の部分は液体がしみこんでいない空気層である形式の液体膜を作成することができた。
【実施例3】
【0043】
実施例1で作成した多孔質膜にトリエチレングリコール液を含浸させた液体膜を平膜セルにセットし、膜の表面側を加圧し、裏面側を大気解放した。その結果、2気圧程度の加圧まで液体は膜中に保持された(それ以上の圧力では空気が漏れ出た)。これは、従来の液体膜を超疎水性多孔質膜の表面で支持する方法(特許文献1)と同程度の耐圧であった。したがって、本発明の液体膜は、膜の片側を真空にしても液体を保持できることが確認された。
【実施例4】
【0044】
膜面積281cmの平膜セルに、トリエチレングリコール液を20μm程度の厚さに含浸させた液体膜を設置した。液体膜表面を湿度54%RH、温度27℃の室内空気中に置いた。ダイヤフラム真空ポンプで裏面側を40mmHgに減圧し、裏面側の水蒸気除去目的で空気を60cm/分程度の流速で流した。以上の操作により、真空ポンプ出口で1.5g/時の凝縮水が得られた。本発明の表面含浸液体膜により空気の除湿操作ができることが確認された。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明のガス・蒸気分離用液体膜の構成を示す模式図である。
【図2】本発明のガス・蒸気膜分離装置の構成を示す模式図である。
【符号の説明】
【0046】
1 多孔質膜(ガス・蒸気分離用液体膜)
2 親水層
3 疎水層
4 ステンレス焼結板(膜保持手段)
5 真空ポンプ(減圧手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1枚の多孔質膜の一方の面に親水性の親水層、他方の面に疎水性の疎水層を有し、前記親水層に親水性の液体を含浸させたことを特徴とするガス・蒸気分離用液体膜。
【請求項2】
前記多孔質膜は、フッ化ポリビニリデンからなることを特徴とする請求項1記載のガス・蒸気分離用液体膜。
【請求項3】
前記親水性の液体は、グリコール類又はアミン類であることを特徴とする請求項1又は2記載のガス・蒸気分離用液体膜。
【請求項4】
疎水性の多孔質膜の一方の面に親水化処理を行って親水性の親水層を形成し、前記親水層に親水性の液体を含浸させることを特徴とするガス・蒸気分離用液体膜の製造方法。
【請求項5】
前記親水化処理は、コロナ放電処理であることを特徴とする請求項4記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法。
【請求項6】
前記多孔質膜は、フッ化ポリビニリデンからなることを特徴とする請求項4又は5記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法。
【請求項7】
前記親水性の液体は、グリコール類又はアミン類であることを特徴とする請求項4〜6のいずれか1項記載のガス・蒸気分離用液体膜の製造方法。
【請求項8】
請求項1〜3のいずれか1項記載のガス・蒸気分離用液体膜と、このガス・蒸気分離用液体膜を保持する膜保持手段と、前記ガス・蒸気分離用液体膜の疎水層側を減圧する減圧手段とを備えたことを特徴とするガス・蒸気膜分離装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−130453(P2006−130453A)
【公開日】平成18年5月25日(2006.5.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−324279(P2004−324279)
【出願日】平成16年11月8日(2004.11.8)
【出願人】(304027279)国立大学法人 新潟大学 (310)
【Fターム(参考)】