説明

ガス処理装置

【課題】除去対象物を除去する性能の劣化を防止し、メンテナンスの頻度を低減すること。
【解決手段】送り込まれる空気に対して放電を行うことで、オゾンや活性酸素等を発生させる放電部と、汚染空気に含まれる除去対象物質を触媒に吸着させ、放電部から送り込まれたオゾンや活性酸素等により触媒を活性化させて除去対象物質を分解する触媒充填部を備え、放電部は、除去対象物質が含まれる汚染空気の流路とは異なる経路上に配置した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、触媒活性化因子により活性化された触媒を用いて、非処理ガスに含まれる有害物質や不快感を与える汚臭物質を処理するガス処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、タバコなどにより汚染された空気あるいは工場や自動車から排出される排気ガスなどの非処理ガスに含まれる有害物質や汚臭物質等に対して触媒を用いて除去する装置の存在が知られている。
【0003】
この触媒を用いて非処理ガスに含まれる有害物質や汚臭物質等を除去する装置として、触媒を活性化させて除去性能を向上させる装置が多く提案されている。例えば放電により活性酸素やオゾン等を発生させ、これらを触媒に接触させることで触媒作用を促進するもの(例えば特許文献1)、あるいは発生させた紫外線を触媒に照射して触媒作用を促進するもの(例えば特許文献2)等がある。
【0004】
【特許文献1】特開2000−126544号公報
【特許文献2】特開平9−19624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、これらの装置は、いずれも放電装置や紫外線照射装置などの触媒を活性化させる機能を有する部分が非処理ガスの流路上に配置されているため、非処理ガスに含まれている物質の影響を受けて劣化が生じることになる。
【0006】
例えば、タバコの煙や排気ガス等の非処理ガスに含まれている物質により、放電装置においては放電に用いるチャージワイヤの腐食、紫外線照射装置においては紫外線ランプ表面上の腐食が起こる。
【0007】
このように、上述した装置では触媒の活性化機能を有する部分が非処理ガスに含まれている物質の影響を受けて劣化することで、非処理ガスに含まれている有害物質や汚臭物質等の除去性能の劣化やメンテナンスの頻度が高くなるという問題がある。
【0008】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、活性化機能を有する部分の劣化を防止することで、非処理ガスに含まれている除去対象物を除去する性能の劣化を防止し、活性化機能を有する部分のメンテナンスの頻度を低減させるガス処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1にかかる発明は、触媒活性化因子を発生させる触媒活性部と、前記触媒活性部で発生された前記触媒活性化因子が送り込まれて、活性化された触媒を用いて非処理ガスに含まれる除去対象物質を除去する物質除去手段と、を備え、前記触媒活性部は、前記非処理ガスの流路とは異なる経路上に配置されたことを特徴とする。
【0010】
また、請求項2にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記触媒活性部は、放電により前記触媒活性化因子としてオゾン及び活性酸素のいずれか1つ以上を発生させる放電部を備えたことを特徴とする。
【0011】
また、請求項3にかかる発明は、請求項1にかかる発明において、前記触媒活性部は、前記触媒活性化因子として紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の別の形態としては、上記発明において、非処理ガスと異なる他のガスを取り込んで、前記触媒活性部が配置された経路に送り込むガス取込手段を、さらに備えたことを特徴とする。この構成を備えたことにより、前記物質除去手段から前記触媒活性部に非処理ガスが浸入するのを防止することで、非処理ガスに含まれる除去対象物による触媒活性部の劣化を防止して、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止するという効果を奏する。
【0013】
また、本発明の別の態様としては、上記発明において、前記ガス取込手段は、前記物質除去手段により前記除去対象物質が除去されたガスを取り込んで、前記触媒活性部が配置された経路に送り込むこと、を特徴とする。この構成を備えたことにより、触媒活性部が配置された経路上に非処理ガスが送り込まれるのを防止することで、非処理ガスに含まれる除去対象物による触媒活性部の劣化を防止して、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止するという効果を奏する。
【発明の効果】
【0014】
請求項1にかかる発明によれば、触媒活性部が非処理ガスの流路と異なる経路上に配置されているため、非処理ガスに含まれる除去対象物による触媒活性部の劣化を防止して、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止するという効果を奏する。
【0015】
また、請求項2にかかる発明によれば、放電を行う放電部が非処理ガスの流路と異なる経路上に配置されているため、非処理ガスに含まれる除去対象物による触媒活性部の劣化を防止して、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止するという効果を奏する。また、触媒活性部により生成された触媒活性化因子の汚染空気に含まれる除去対象物に接触による触媒活性化因子の消失を防止して、触媒による除去対象物の吸着・分解効果を向上させるという効果を奏する。
【0016】
また、請求項3にかかる発明によれば、紫外線の照射を行う紫外線照射部が非処理ガスの流路と異なる経路上に配置されているため、非処理ガスに含まれる除去対象物による触媒活性部の劣化を防止して、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止するという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下に添付図面を参照して、この発明にかかるガス処理装置の最良な実施の形態を詳細に説明する。
【0018】
(第1の実施の形態)
図1は、第1の実施の形態にかかるガス処理装置の機能を備えた空気清浄装置100の構成を示すブロック図である。本図に示すように空気清浄装置100の内部は、汚染空気取込部101と、触媒充填部102と、清浄空気排出部103と、送風部104と、放電部105と、を備え、取り込まれた汚染空気が流路を介して触媒充填部102に入り、触媒充填部102で除去対象物が除去されて清浄となった空気を排出する。
【0019】
汚染空気取込部101は、喫煙等による汚染空気を取り込む。本実施の形態においては、汚染空気を取り込むために、穴等が開けられた形状からなる部材とする。なお、汚染空気を取り込むことが可能であればどんな機構でもよく、取り込むためにファン等の動力を備えても良い。
【0020】
触媒充填部102は、本発明の物質除去手段に相当し、触媒が充填されており、汚染空気から除去対象物を除去する。詳細な例としては、流路を通ってきた汚染空気中の除去対象物が触媒充填部102の触媒に吸着する。吸着した除去対象物は、後述する放電部105から流入したオゾン又は活性酸素で活性化された触媒により分解される。また、本実施の形態において、触媒充填部102が充填する触媒を活性炭とするが、触媒を活性炭に制限するものではない。
【0021】
また除去対象物は、例えばタバコの煙に含まれるアンモニア、アセトアルデヒドあるいは酢酸等があるが、本実施の形態では空気中の有害物質や汚臭物質等の空気を清浄にするために除去する必要がある物質であればよい。
【0022】
清浄空気排出部103は、清浄になった空気の排出を行う。本実施の形態では清浄となった空気を排出するために送風ファンが備えられている。清浄空気排出部103の送風ファンで強制的に清浄空気を排出することで、汚染空気取込部101が取り込む汚染空気の流量が向上し、汚染空気中の有害物質や汚臭物質等の除去量が向上する。
【0023】
送風部104は、後述する放電部105に空気を送り込む。送風部104が放電部105に強制的に空気を送り込むため、放電部105で発生したオゾン等を運ぶキャリアガスとして空気を用いることとなり、触媒充填部102に効率よくオゾン等を排出することが可能となる。
【0024】
また送風部104が放電部105に送り込む空気は、汚染空気取込部101から取り込まれる汚染空気より汚染されていない必要がある。このために空気清浄装置100について、例えば汚染空気取込部101をタバコの灰皿付近に設置し、送風部104を灰皿付近から離れた場所に設置する等が考えられる。
【0025】
放電部105は、送り込まれた空気に対して放電を行い、触媒活性化因子として用いられるオゾンや活性酸素等を生成し、送風部104から送られてくる空気により生成したオゾンや活性酸素等を触媒充填部102に送り込む。放電部105が行う放電は、触媒活性因子を生成する放電であればどの様な種類の放電でも良く、例えば直流コロナ放電、プラズマ放電、沿面放電等が考えられる。放電部105は汚染空気の流路上に設けられておらず、別途設けられた送風部104から触媒充填部102までの経路上に備えられている。これにより汚染空気が放電部105を通過しないため、放電に用いられるチャージワイヤの汚染空気による腐食を防止し、劣化を低減することが可能となる。
【0026】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置100において汚染空気を取り込んでから清浄にするまでの処理について説明する。図2は、本実施の形態にかかる空気清浄装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0027】
まずは汚染空気取込部101が大気中の汚染空気を取り込む(ステップS201)。そして取り込まれた汚染空気は、触媒充填部102までの流路を通過する(ステップS202)。そして触媒充填部102で、汚染空気中の除去対象物が触媒に吸着する(ステップS203)。
【0028】
そして触媒充填部102に放電部105からオゾン及び活性酸素等が流入する。オゾン等が流入するまでの処理は後述する。
【0029】
次に、触媒充填部102において、放電部105から流入したオゾン及び活性酸素等により活性化された触媒により、汚染大気中の除去対象物が分解される(ステップS204)。そして除去対象物が取り除かれたため清浄となった空気は、清浄空気排出部103までの流路を通過する(ステップS205)。そして清浄空気排出部103が、清浄空気を排出する(ステップS206)。
【0030】
上述した手順により、汚染空気中の除去対象物を分解して清浄空気を排出することが可能となる。また放電部105からオゾン及び活性酸素等の触媒活性化因子が流入することで、活性化された触媒により優れた除去機能を発揮することが可能となる。
【0031】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置100において空気を取り込んで放電によりオゾン等を発生させて触媒充填部102に送り込むまでの処理について説明する。図3は、本実施の形態にかかる空気清浄装置100における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0032】
まず、送風部104が、空気を取り込む(ステップS301)。次に取り込まれた空気に対して、放電部105が放電することで、オゾン及び活性酸素等を生成する(ステップS302)。そして送風部104で継続的に空気が取り込まれるため、放電部105で生成されたオゾン及び活性酸素等は触媒充填部102に排出される(ステップS303)。
【0033】
上述した処理手順により、オゾン及び活性酸素等が汚染空気の流路とは異なる経路上で生成されて、触媒充填部102に送り込まれることになり、汚染空気により放電部105が劣化しないにもかかわらず、オゾン及び活性酸素等の触媒活性化因子により触媒を活性化させることが可能となる。
【0034】
本実施の形態の空気清浄装置100において、送風部104及び放電部105は汚染空気の流路以外の経路上であれば、どのように配置しても良い。また複数個備えることで複数の経路から触媒充填部102にオゾン等の触媒活性化因子を送り込むことにしても良い。
【0035】
本実施の形態の空気清浄装置100は、汚染空気の流路と異なる経路を設け、この経路上でオゾン等の活性化因子を生成し、生成されたオゾン等の活性化因子により活性化された触媒で汚染空気中の除去対象物を分解する。これにより汚染空気がオゾン等の活性化因子を生成する放電部105を通過しないため、汚染空気中の物質による放電部105の劣化の防止が図られる。
【0036】
したがって放電部105の劣化が防止されることで、汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止する。また、放電部105の劣化が防止されるのでメンテナンスの頻度が低減される。また、処理性能の劣化の防止や、メンテナンスの頻度が低減されるので、汚染空気の処理に必要な費用を低減させることが可能となる。
【0037】
本実施の形態は、本発明のガス処理装置を空気清浄装置に用いた場合に制限するものではなく、非処理ガス中に含まれる有害物質や悪臭物質等の除去対象物を除去する装置であればよい。例えば車や工場等の排気ガスに対して本発明のガス処理装置を用いることも可能である。詳細な例として、本発明を車の排気ガス処理装置に用いた場合、除去対象物となるのは排気ガスに含まれるNOx等となり、また工場等の排気ガス処理装置に用いた場合、除去対象物となるのは排気ガスに含まれるトリクロロエチレンやテトラクロロエチレン等となる。その際、排ガスの流路とは異なる経路を設けて、大気中の空気を放電部に送り込むこととなるため、排ガス中に含まれる物質による放電部の劣化を防止することが可能となる。
【0038】
また、本実施の形態では、汚染空気の流路と異なる経路上の放電部105で放電を行うことでオゾン等を発生させた後、触媒充填部102にオゾン等を排出する。これにより触媒活性因子となるオゾンや活性酸素等が、触媒充填部102の触媒に接触する前に、非処理ガスやその他の粒子状成分と接触して消失することを防止することになる。これにより触媒に接触するオゾンや活性化酸素等が多くなるため、触媒による除去対象物の吸着・分解効果を向上させることが可能となる。
【0039】
また本実施の形態で用いられた活性炭以外の触媒として、例えばPt、Pdのような金属類、アルミナ、ゼオライト、酸化チタン、酸化亜鉛のような金属酸化物、シリカゲル等が考えられる。これらの触媒を、ガス処理装置が用いられる用途に応じて適切な量を担持すればよい。またこれらの触媒を用途に応じて混合した上で、触媒充填部で担持してもよい。
【0040】
(第2の実施の形態)
第1の実施の形態では、放電部105に送り込む空気を送風部104により大気中から取り込んだ。しかしながら、大気中から空気を取り込む場合、送風部104が汚染空気を取り込む可能性もある。これに対し第2の実施の形態では、触媒充填部102を通過して清浄となった空気をリサイクルして放電部105に送り込むリサイクル機構を設けた場合の実施の形態である。
【0041】
図4は、第2の実施の形態にかかる空気清浄装置400の構成を示すブロック図である。上述した第1の実施の形態にかかる空気清浄装置100とは、送風部104と配置場所が異なる清浄空気取込部401に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0042】
清浄空気取込部401は、清浄空気の流路上に設けられており、触媒充填部102で除去対象物が除去された清浄空気を取り込んで、清浄空気を放電部105から触媒充填部102へ繋がる経路に送り込み、清浄空気を空気清浄装置400内で再循環させる。また清浄空気取込部401は、本実施の形態の特徴的部分である、清浄空気の再循環を行うために用いられるガス取込手段に相当する。清浄空気取込部401が、放電部105に清浄空気を送り込むことで、汚染空気が放電部105に送り込まれることを防止する。
【0043】
また、本実施の形態の清浄空気取込部401は、送風ファンを備えており、流路を通過している清浄空気を効率的に放電部105に送り込むことを可能とする。なお、本実施の形態においては送風ファンにより清浄空気を取り込むこととするが、送風ファンを備えることに制限するものではなく、例えば弁を備えて流路上の清浄空気を取り込むこととしても良い。
【0044】
次に、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置400における汚染空気を取り込んでから清浄にするまでの処理について説明する。図5は、本実施の形態にかかる空気清浄装置400における上述した処理の手順を示すフローチャートである。
【0045】
まずは、第1の実施の形態の図2のステップS201〜S203と同様にして、大気中の汚染空気を取り込んで、触媒充填部102に汚染空気中の除去対象物を触媒に吸着させる(ステップS501〜S503)。
【0046】
第1の実施の形態と同様に触媒充填部102に放電部105からオゾン及び活性酸素等が流入する。そして触媒充填部102において、放電部105から流入したオゾン及び活性酸素等により活性化された触媒により、汚染大気中の除去対象物が分解される(ステップS504)。そして除去対象物が取り除かれたため清浄となった空気が流路を通過する(ステップS505)。
【0047】
次に流路を通過中の清浄空気の一部は、清浄空気取込部401により取り込まれる(ステップS507)。そして清浄空気取込部401に取り込まれた以外の清浄空気を、清浄空気排出部103が、大気中に排出する(ステップS506)。
【0048】
そして清浄空気取込部401が清浄空気を取り込んだ後(ステップS507)、取り込まれた清浄空気に対して、放電部105が放電を行い、オゾン及び活性酸素等を生成する(ステップS508)。そして清浄空気取込部401で継続的に清浄空気を取り込むため、放電部105で生成されたオゾン及び活性酸素等は触媒充填部102に流入する。
【0049】
上述した手順により、汚染空気中の除去対象物を分解して清浄空気を排出することが可能となる。また清浄空気から生成されたオゾン及び活性酸素等の触媒活性化因子が流入することで、活性化された触媒により優れた除去機能を発揮することが可能となる。清浄空気取込部401を汚染空気の流路上に設けず、清浄空気の流路上に設けたため、汚染空気に含まれる物質による放電部105の劣化を防止し、且つオゾン及び活性酸素等の触媒活性化因子により触媒を活性化させることを可能とした。
【0050】
本実施の形態では、第1の実施の形態と同様の効果を得られる他に、清浄空気を放電部105に送り込むことが可能となるため、大気中の汚染空気を送り込まれることを防止し、放電部105のさらなる劣化を防止することが可能となる。これにより、さらに汚染空気に含まれる除去対象物を除去する性能の劣化を防止する。また、放電部105の劣化が防止されるのでメンテナンスの頻度が低減される。また、処理性能の劣化の防止や、メンテナンスの頻度が低減されるので、汚染空気の処理に必要な費用を低減させることが可能となる。
【0051】
また触媒充填部102を通過した清浄空気が放電部105に送り込まれるので、第1の実施の形態の空気清浄装置100送風部104で汚染空気を取り込まないように設置場所に注意する必要がなく、空気清浄装置400を任意の場所に設置することが可能となる。
【0052】
(第3の実施の形態)
第1及び第2の実施の形態では、触媒活性部として放電部105を備えることで、触媒活性化因子であるオゾンや活性酸素を用いて触媒を活性化させた。しかしながら、本発明は放電により触媒活性化因子を発生させる方法に制限するものではない。そこで第3の実施の形態では、触媒活性部として紫外線照射部601を備え、触媒活性化因子として紫外線を用いた場合の実施の形態である。
【0053】
図6は、第3の実施の形態にかかる空気清浄装置600の構成を示すブロック図である。上述した第1の実施の形態にかかる空気清浄装置100とは、送風部104が削除され、放電部105が紫外線照射部601に変更され、触媒充填部102とは充填されている触媒が異なる触媒充填部602に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した実施の形態1と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0054】
紫外線照射部601は、備え付けられた紫外線ランプから触媒活性化因子となる紫外線を触媒充填部602に向けて照射する。また照射される紫外線の波長については特に制限を設けるものではなく、後述する触媒充填部602に充填された光触媒を活性化させるものであれば良い。
【0055】
また、紫外線照射部601から照射するだけで触媒充填部602に紫外線が届くため、第1及び第2の実施の形態のように空気でオゾン等を触媒充填部102に運ぶ必要がなくなる。そこで本実施の形態の空気清浄装置600では、送風部104あるいは清浄空気取込部401に相当する構成を備えないこととした。これにより空気清浄装置600の構成を簡素化することが可能となる。
【0056】
触媒充填部602は、本発明の物質除去手段に相当し、紫外線照射部601により照射された紫外線により活性化する光触媒が充填されており、汚染空気から除去対象物を除去する。そして詳細な例としては、流路を通ってきた汚染空気中の除去対象物は触媒充填部602の触媒に吸着する。吸着した除去対象物は、紫外線照射部601から照射された紫外線により活性化された触媒で分解される。触媒充填部602に充填される触媒は、照射された紫外線により活性化する触媒であればどのような触媒を用いても良いが、本実施の形態においては、光触媒として酸化チタンを用いることとし、酸化チタンを触媒充填部602に充填することにした。
【0057】
また、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置600で行われる処理手順は、放電部105からオゾン等が流入する代わりに紫外線照射部601から紫外線が照査される点を除けば第1の実施の形態の図2で示した処理手順と同様であるため説明を省略する。この処理手順により、紫外線照射部601が汚染空気の流路とは異なる経路上に設置されたことで、紫外線照射部601の紫外線ランプの表面の腐食を防止するとともに、照射された紫外線により触媒を活性化させることが可能となる。
【0058】
本実施の形態の空気清浄装置600は、汚染空気の流路と異なる経路を設けて、この経路上から触媒活性化因子となる紫外線を照射することで、活性化された触媒で汚染空気中の除去対象物を分解する。これにより汚染空気が紫外線照射部601を通過しないため、汚染空気中の物質による紫外線ランプの腐食が起こらず、紫外線照射部601の劣化の防止が図られる。
【0059】
したがって紫外線照射部601の劣化が防止されることで、非処理ガスである汚染空気に対する処理性能の劣化を防止する。また、紫外線照射部601の劣化が防止されるのでメンテナンスの頻度が低減される。また、処理性能の劣化の防止や、メンテナンスの頻度が低減されるので、汚染空気の処理に必要な費用を低減させることが可能となる。
【0060】
なお、本実施の形態においては触媒活性化因子として紫外線を用いたが、触媒を活性化させる光であれば紫外線に限らず、どの様な波長の光を用いても良い。また触媒活性化因子として紫外線のみならず、第1の実施の形態等で示したオゾン等の、他の触媒活性化因子と組み合わせて用いても良い。例えば空気清浄装置に放電部と紫外線照射部を組み合わせて用いる場合、放電部と紫外線照射部を同じ経路上に配置しても良いし、放電部と紫外線照射部を異なる経路上に配置しても良い。
【0061】
また、本実施の形態では、第1及び第2の実施の形態で用いられたオゾン等以外の触媒活性化因子として紫外線の場合を示した。しかし触媒活性化因子は上述したもの以外を用いてもよい。上述したもの以外の触媒活性化因子としては、例えば熱が考えられる。ヒーター等を非処理ガスの流路とは異なる経路上に備え、触媒充填部に熱触媒を充填することで、熱により触媒を活性化させて非処理ガスに含まれる除去対象物を除去することが可能となる。このように本発明で用いられる触媒の種類は酸化触媒、光触媒、熱触媒等のどのような性質のものでも良い。
【0062】
(第4の実施の形態)
第3の実施の形態では、空気清浄装置600に触媒活性部として紫外線照射部601が備られている。この紫外線照射部601で照射された紫外線は、キャリアガスを用いずとも触媒充填部602に届くため、第1の実施の形態の送風部に相当する構成を省いた。しかしながら、空気の流れがない場合、汚染空気が紫外線照射部601に浸入して紫外線ランプの表面を腐食させる可能性がある。第4の実施の形態においては、紫外線照射部601に空気を送り込む送風部を設けた場合の実施の形態である。
【0063】
図7は、第4の実施の形態にかかる空気清浄装置700の構成を示すブロック図である。上述した第3の実施の形態にかかる空気清浄装置600とは、送風部701が追加された点で異なる。以下の説明では、上述した第3の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0064】
送風部701は、大気中の空気を取り込んで、紫外線照射部601に空気を送り込む。送風部701が紫外線照射部601に強制的に空気を送り込むことで、汚染空気の紫外線照射部601への浸入を防止する。また、送風部701は、本実施の形態の特徴的部分である、紫外線照射部601が配置された経路に送り込むために用いられるガス取込手段に相当する。
【0065】
また、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置700で行われる処理手順は、送風部701で紫外線照射部601に空気を送り込む点を除けば第3の実施の形態の処理手順と同様であるため説明を省略する。この処理手順により、汚染空気の流路とは異なる経路上に設置された紫外線照射部601の紫外線ランプの表面の腐食を防止するとともに、照射された紫外線により触媒を活性化させることが可能となる。
【0066】
本実施の形態の空気清浄装置700は、送風部701により紫外線照射部601に空気を送り込むことで汚染空気の紫外線照射部601への浸入を防止し、紫外線ランプの表面の腐食を防止することとなり、非処理ガスである汚染空気に対する処理性能の劣化を防止する。また、紫外線照射部601の劣化が防止されるのでメンテナンスの頻度が低減される。
【0067】
(第5の実施の形態)
第4の実施の形態の空気清浄装置700では、汚染空気が紫外線照射部601に浸入を防止するために送風部701を設けた。しかしながら、送風部701が汚染空気を取り込む可能性もある。これに対し第5の実施の形態では、触媒充填部602を通過して清浄となった空気をリサイクルして紫外線照射部601に送り込むリサイクル機構を設けた場合の実施の形態である。
【0068】
図8は、第5の実施の形態にかかる空気清浄装置800の構成を示すブロック図である。上述した第4の実施の形態にかかる空気清浄装置700とは、送風部701と配置場所が異なる清浄空気取込部801に変更された構成を有している点で異なる。以下の説明では、上述した第4の実施の形態と同一の構成要素には同一の符号を付してその説明を省略している。
【0069】
清浄空気取込部801は、清浄空気の流路上に設けられており、触媒充填部602で除去対象物が除去された清浄空気を取り込んで、清浄空気を放電部105から触媒充填部102へ繋がる経路に送り込み、清浄空気を空気清浄装置400内で再循環させる。また、清浄空気取込部801は、本実施の形態の特徴的部分である、清浄空気の再循環を行うために用いられるガス取込手段に相当する。清浄空気取込部801が、紫外線照射部601に清浄空気を送り込むことで、汚染空気が紫外線照射部601に送り込まれることを防止する。
【0070】
また、本実施の形態の清浄空気取込部801は、備えられた送風ファンで、清浄空気を効率的に紫外線照射部601に送り込んでいるが、本実施の形態は送風ファンを備えることに制限するものではなく、例えば弁を備えて流路上の清浄空気を取り込むこととしても良い。
【0071】
また、以上のように構成された本実施の形態にかかる空気清浄装置800で行われる処理手順は、送風部701の代わりに清浄空気取込部801で紫外線照射部601に空気を送り込む点を除けば第4の実施の形態の処理手順と同様であるため説明を省略する。この処理手順により、汚染空気の流路とは異なる経路上に設置された紫外線照射部601の紫外線ランプの表面の腐食を防止するとともに、照射された紫外線により触媒を活性化させることが可能となる。
【0072】
本実施の形態の空気清浄装置800は、清浄空気取込部801により紫外線照射部601に空気を送り込むことで、大気中の汚染空気及び流路を通過する汚染空気の紫外線照射部601への浸入を防止して、紫外線ランプの表面の腐食を防止することとなり、非処理ガスである汚染空気を処理する性能の劣化を防止する。また、紫外線照射部601の劣化が防止されるのでメンテナンスの頻度が低減される。
【0073】
(変形例)
また、上述した各実施の形態に限定されるものではなく、以下に例示するような種々の変形が可能である。
【0074】
(変形例1)
上述した実施の形態の空気清浄装置では、非処理ガスに含まれる除去対象物を吸着させて分解する装置とした。しかし、非処理ガス中には吸着させることが出来ない粒子等も含まれている場合も多い。そこで本変形例のガス処理装置では、上述した処理を行う前に予め非処理ガスに含まれている粒子等を取り除く機構を備えることにした。粒子等が取り除かれた非処理ガスに対して本変形例のガス処理装置で除去対象物を除去する処理を行うことで、粒子等により除去触媒部が劣化することを防止することが可能となる。
【0075】
(変形例2)
上述した第1及び第2の実施の形態では、放電部105と触媒充填部102の間に特徴的な機構は設けられていないが、触媒充填部102から放電部105に汚染空気が流入しないようにフィルターや弁などの逆流防止機構を備えても良い。逆流防止機構を備えることで汚染空気の流入による放電部105の劣化を防止することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0076】
以上のように、本発明にかかるガス処理装置は、健康に影響を与える有害物質や不快感を与える汚臭物質について触媒を用いて除去する技術に有用であり、特に、汚染された空気等の非処理ガスを清浄にする技術に適している。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1の実施の形態にかかるガス処理装置の機能を備えた空気清浄装置の構成を示すブロック図である。
【図2】第1の実施の形態にかかる空気清浄装置における汚染空気を取り込んでから清浄にするまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図3】第1の実施の形態にかかる空気清浄装置における空気を取り込んで放電によりオゾン等を発生させて触媒充填部102に送り込むまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】第2の実施の形態にかかる空気清浄装置の構成を示すブロック図である。
【図5】第2の実施の形態にかかる空気清浄装置における汚染空気を取り込んでから清浄にするまでの処理の手順を示すフローチャートである。
【図6】第3の実施の形態にかかる空気清浄装置の構成を示すブロック図である。
【図7】第4の実施の形態にかかる空気清浄装置の構成を示すブロック図である。
【図8】第5の実施の形態にかかる空気清浄装置の構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0078】
100、400、600、700、800 空気清浄装置
101 汚染空気取込部
102、602 触媒充填部
103 清浄空気排出部
104、701 送風部
105 放電部
401、801 清浄空気取込部
601 紫外線照射部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
触媒活性化因子を発生させる触媒活性部と、
前記触媒活性部で発生された前記触媒活性化因子により、活性化された触媒を用いて非処理ガスに含まれる除去対象物質を除去する物質除去手段と、を備え、
前記触媒活性部は、前記非処理ガスの流路とは異なる経路上に配置されたこと
を特徴とするガス処理装置。
【請求項2】
前記触媒活性部は、放電により前記触媒活性化因子としてオゾン及び活性酸素のいずれか1つ以上を発生させる放電部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。
【請求項3】
前記触媒活性部は、前記触媒活性化因子として紫外線を照射する紫外線照射部を備えたことを特徴とする請求項1に記載のガス処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−116387(P2006−116387A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−304753(P2004−304753)
【出願日】平成16年10月19日(2004.10.19)
【出願人】(000006932)リコーエレメックス株式会社 (708)
【Fターム(参考)】