ガス分配ユニット
【課題】ケース内のガス流路の配索を容易にすることで、組み付け作業性を向上させる。
【解決手段】排気ガス測定装置のケース20の内部に固定される合成樹脂製のブロック体11を備えたガス分配ユニットであって、ブロック体11の内部には、吸気用パイプ54及び吸気用接続部42に接続される機器用吸気路15と、排気用パイプ28及び排気用接続部43に接続される機器用排気路16と、測定器用パイプ53及び吸入接続部61に接続される測定器用通気路14とが設けられている。
【解決手段】排気ガス測定装置のケース20の内部に固定される合成樹脂製のブロック体11を備えたガス分配ユニットであって、ブロック体11の内部には、吸気用パイプ54及び吸気用接続部42に接続される機器用吸気路15と、排気用パイプ28及び排気用接続部43に接続される機器用排気路16と、測定器用パイプ53及び吸入接続部61に接続される測定器用通気路14とが設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分配ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の排気ガスの成分を測定するために排気管側から排気ガス測定装置に排気ガスを導くための中継パイプと、給電装置からの電力を導く中継端子とを一体に組み付けたコネクタの一例として特許文献1に記載のものがある。このコネクタは、例えば図12に示すように、自動車に搭載される排気ガス測定装置のケース1に設けられる。コネクタに装着された中継端子2はケース1内の制御基板3と接続され、中継パイプ4はケース内に設置された測定器5やポンプ6などの各機器とガスチューブ7によって接続される。そして、このコネクタに相手方コネクタが嵌合されることで、排気ガス測定装置内の各機器に排気ガスが供給されると共に、制御基板3に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−62035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、排気ガス測定装置は自動車に搭載されることからケースの小型化が検討され、ケース内のスペースは非常に狭くなってきている。そのため、コネクタの中継パイプと各機器とをガスチューブによって接続する場合、ケース内に作業者の手が挿入しづらいなど組み付け作業が非常に悪い。また、ケース内のスペースに合わせてフレキシブルホースを無理に屈曲させるとホースが潰れてしまうなど、排気ガスのガス流路が塞がってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ケース内のガス流路の配索を容易にすることで、組み付け作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明は、排気ガス測定装置のケースの内部に固定される合成樹脂製のブロック体を備えたガス分配ユニットであって、前記ブロック体の内部には、一端が前記ケースに設けられた吸気用パイプに接続され他端が前記ケース内の機器に設けられた吸気用接続部に接続される機器用吸気路と、一端が前記ケースに設けられた排気用パイプに接続され他端が前記機器に設けられた排気用接続部と接続される機器用排気路と、一端が前記ケースに設けられた測定器用パイプに接続され他端が前記ケース内の測定器に設けられた吸入接続部と接続される測定器用通気路とが設けられているところに特徴を有する。
このような構成のガス分配ユニットによると、ブロック体の内部に機器用吸気路と、機器用排気路と、測定器用通気路とを、予め各接続部及び各パイプと対応する位置に形成しておくことで、ケース内において機器及び測定器と各パイプとを容易に中継することができる。また、ブロック体は合成樹脂によって形成されているため、ブロック体が折れ曲がるなどしてガス流路が塞がれてしまうといったトラブルを防止することができる。
【0007】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記ケースは前記ブロック体が固定される基台部と、前記基台部の上面を覆うように前記基台部に装着されるカバーとを備え、前記吸気用パイプ及び前記測定器用パイプは前記カバーの上方壁に前記カバーを貫通するように設けられ、前記ブロック体の上面には、前記機器用吸気路の一端に設けられた機器用接続筒部と、前記測定器用吸気路の一端に設けられた測定器用接続筒部とが設けられ、前記カバーが前記基台部に装着されるときに、前記機器用接続筒部が前記吸気用パイプに嵌合されると共に、前記測定器用接続筒部が前記測定器用パイプに嵌合される構成としてもよい。
このような構成によると、ブロック体を基台部に固定した後、カバーをすることによって吸気用パイプ及び測定器用パイプとブロック体とを容易に接続することができる。
【0008】
前記機器用接続筒部及び前記測定器用接続筒部における基端部の外周部には前記カバーの内面と前記ブロック体の上面との間をシールするシール部材が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、カバーとブロック体との隙間を気密状にシールすることができる。
前記カバーには複数の前記測定器用パイプが設けられ、前記測定器には複数の前記吸入接続部が設けられ、前記ブロック体には前記測定器用パイプ及び前記吸入接続部に対応する複数の前記測定器用通気路が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、複数の測定器用通気路を測定器及び測定器用パイプに一括して接続することができ、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケース内のガス流路の配索を容易にすることで、組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るガス分配ユニットを排気ガス測定装置のケース内に組み付けた状態を示す断面図
【図2】本実施形態に係るガス分配ユニットの正面図
【図3】同平面図
【図4】同側面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】図2のVI−VI線断面図
【図7】図2のVII−VII線断面図
【図8】本実施形態に係るガス分配ユニットを基台部に組み付けた状態を示す断面図
【図9】ガス分配ユニットと電動ポンプとを基台部に組み付けた状態を示す断面図
【図10】測定器とシール部材とを基台部に固定されたガス分配ユニットに固定した状態を示す断面図
【図11】制御基板をカバーに組み付けた状態を示す断面図
【図12】従来の排気ガス測定装置の破断した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図11によって説明する。
本実施形態に係るガス分配ユニット10は、図1に示すように、自動車に搭載されるブロック状の排気ガス測定装置のケース20内に装着される。
排ガス測定装置は、図1に示すように、箱型状をなす合成樹脂製のケース20と、ケース20内に組み付けられる制御基板30と、ケース20内に組み付けられる電動ポンプ40とを備えて構成されている。
【0012】
ケース20は合成樹脂製の基台部21と、基台部21の上面全体を覆う合成樹脂製のカバー22を備えて構成されている。
基台部21は矩形板状をなし、その底面の四隅にはタッピンねじTのネジ頭部を収容可能な深さのネジ収容部23が設けられている。それぞれのネジ収容部23の中央にはタッピンねじTの軸部が挿通可能な挿通孔24が設けられている。基台部21とカバー22とは、図1に示すように、基台部21の底面側から各挿通孔24に挿通されたタッピンねじTがカバー22の開口縁部の四隅に設けられた四つのネジ孔25に締め付けられることで互いに固定されている。
基台部21の上面には、図1に示すように、角柱状をなす電動ポンプ40が固定さている。この電動ポンプ40には左右両側に一対のポンプ固定片41が設けられている。このポンプ固定片41は図示しないネジ孔にタッピンねじTを挿通して、タッピンねじTを基台部21に締め付けることにより、電動ポンプ40を基台部21に組み付けている。
【0013】
一方、カバー22は、図1に示すように、フード状をなし、カバー22の開口縁部は、図1に示すように、全周に亘って外方向に向かって段付状に拡幅した段付部27が設けられている。この段付部27には、図1に示すように、ネジ孔25の内側に全周に亘って環状シール26が嵌合された環状溝27Aが設けられている。この環状シール26は基台部21とカバー22との隙間からケース20の内部に水が浸入することを防止している。
また、カバー22の上方壁には、図1に示すように、コネクタ50が上下方向にカバー22を貫通するように一体に設けられている。
【0014】
このコネクタ50は四本の中継パイプ51と四本の中継端子52とを備えて構成されている。中継パイプ51は円筒状をなし、コネクタ50を上端から下端まで真っ直ぐに貫通した形態で四本横並びにコネクタ50と一体に形成されている。この中継パイプ51はコネクタ50が図示しない相手方コネクタと嵌合されるときには相手方コネクタに設けられた図示しない相手方中継パイプと接続され、図示しない相手方コネクタから供給される排気ガスをケース20内に挿通させる役割を果たしている。尚、この中継パイプ51のうち、三本は測定器用パイプ53とされ、残りの一本は吸気用パイプ54とされている。
【0015】
中継端子52は、図1に示すように、中央にクランク形状を有して上下方向に延びた形状をなしている。中継端子52のクランク状の中央部分はインサート成型によってコネクタ50の上下方向中央に設けられた端子保持部55内に一体に組み付けられている。また、各中継端子52は中継パイプ51の並びに沿って四本横並びに端子保持部55に保持されている。
【0016】
中継端子52の上方に位置する上端部分は上端接続部52Aとされ、端子保持部55の上方に設けられたフード部56の奥壁から突出した状態をなしている。フード部56は上方に向かって開口しており、内部に図示しない相手方コネクタに嵌合される構成になっている。そして、相手方コネクタがフード部56内に収容されたときには、上端接続部52Aが相手方コネクタに設けられた図示しない相手方端子と電気的に接続される。中継端子52の下方に位置する下端部分は下端接続部52Bとされ、端子保持部55の後方端面から下方に真っ直ぐ突出した形態をなしている。
【0017】
この下端接続部52Bは制御基板30に設けられたスルーホール31に挿入されて制御基板30に電気的に接続されている。尚、制御基板30はその板面に設けられた図示しないネジ孔にタッピンねじTを挿通して、タッピンねじTをカバー22の上方内面29に締め付けることによりカバー22に組み付けられている。また、この制御基板30は基台部21に組み付けられた電動ポンプ40とリード線Yによって電気的に接続されている。
【0018】
さて、排気ガス測定装置の基台部21に固定されるガス分配ユニット10は合成樹脂製のブロック体11を備えている。
このブロック体11は、図2乃至図7に示すように、正面視右側面が段付状に形成された大型箱部12と、大型箱部12の前方端面に突設された正面視矩形状の小型箱部13とを備えて構成されている。
【0019】
この大型箱部12及び小型箱部13の内部には、大型箱部12と小型箱部13とに亘って形成された測定器用通気路14と、大型箱部12と小型箱部13とに亘って形成された機器用吸気路15と、大型箱部12に形成された機器用排気路16とが形成されている。また、大型箱部12と小型箱部13との境界部分における左右両側には一対の固定片17が設けられている。この固定片17の中央には、図3に示すように、ネジ挿通孔17Aが設けられている。このネジ挿通孔17Aには、図8に示すように、タッピンねじTが挿通され、タッピンねじTが基台部21に締め付けられることにより、ブロック体11が基台部21に固定されている。
【0020】
測定器用通気路14は、図3及び図7に示すように、大型箱部12の内部において上方から前方に向かってL字状に屈曲された形態をなし、大型箱部12の内部において横並びに三本形成されている。この測定器用通気路14は、図1乃至図3及び図7に示すように、一端が大型箱部12の上端面から上方に真っ直ぐ延びる円筒状の測定器用接続筒部14Aとされ、他端が大型箱部12における小型箱部13側の側面より突出して前方に開口する測定器用接続パイプ14Bとされている。
【0021】
測定器用接続筒部14Aは、カバー22に設けられたコネクタ50の中継パイプ51の内径とほぼ同一の外径に設定されている。また、測定器用接続筒部14Aは、カバー22に設けられた中継パイプ51のうちの測定器用パイプ53に対応する位置に配設されている。これにより、測定器用接続筒部14Aは、カバー22が基台部21に組み付けられた時に測定器用接続パイプ14Bの内部に収容されて嵌合される。
【0022】
測定器用接続パイプ14Bは、小型箱部13の上端面に固定された測定器60に接続されている。この測定器60は、その側面に設けられた吸入接続部61を測定器用接続パイプ14Bの内部に挿入して嵌合させることでブロック体11に接続されている。尚、測定器60はその幅方向両側に設けられた測定器固定片62にタッピンねじTを締め付けることで、小型箱部13に固定されている。また、この測定器60はリード線Yによって、制御基板30と電気的に接続されている。
吸入接続部61の外周面には吸入接続部61の外周面と測定器用接続パイプ14Bの内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは吸入接続部61の外周面と測定器用接続パイプ14Bの内周面との隙間をシールして排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0023】
機器用吸気路15は、図6に示すように、測定器用通気路14と同様、大型箱部12の内部において上方から前方に向かってL字状に屈曲された形態をなしている。機器用吸気路15は、図1乃至図3に示すように、一端が大型箱部12の上端面から上方に真っ直ぐ延びる円筒状の機器用接続筒部15Aとされ、他端が小型箱部13の前方端面に開口した形態をなしている。また、機器用吸気路15は小型箱部13においてその側面から盛り上がった形態に形成されている。
【0024】
機器用接続筒部15Aは、測定器用接続筒部14Aと同様、図1に示すように、カバー22に設けられたコネクタ50の中継パイプ51の内径とほぼ同一の外径に設定されている。また、機器用接続筒部15Aは、カバー22に設けられた中継パイプ51のうち、吸気用パイプ54に対応する位置に配設されている。これにより、機器用接続筒部15Aは、図1に示すように、カバー22が基台部21に組み付けられた時に吸気用パイプ54の内部に収容されて嵌合されている。
また、このとき、測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aの基端部における外周部には、図1に示すように、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上端面との間に圧接された面シール18(シール部材に相当する)が設けられている。この面シール18は大型箱部12の上方端面の外形よりも一回り小さい大きさに設けられている。また、この面シール18には測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aの外周面に沿って設けられた四つの筒部挿通孔18Aが設けられている。この面シール18は、図1に示すように、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上方端面との間をシールして、ケース20内に排気ガスが流出することを防止している。
【0025】
一方、小型箱部13の前方端面に開口した機器用吸気路15の開口部には、図1及び図9に示すように、電動ポンプ40の側面に設けられた吸気用接続部42が開口部より挿入されて嵌合されている。尚、吸気用接続部42の外周面には吸気用接続部42の外周面と機器用吸気路15の内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは吸気用接続部42の外周面と機器用吸気路15の内周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0026】
機器用排気路16は、図2乃至図5に示すように、大型箱部12の内部において前方から下方に向かってL字状に屈曲された形態をなしている。機器用排気路16は、一端が大型箱部12の底面に開口し、他端が大型箱部12の前方端面より前方に向かって突設された排気用接続パイプ16Aとされている。
大型箱部12の底面に設けられた機器用排気路16の開口部には基台部21の上面から上方に向かって突設された排気用パイプ28が挿入されて嵌合されている。この排気用パイプ28の外周面には機器用排気路16の内周面と排気用パイプ28の外周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは機器用排気路16の内周面と排気用パイプ28の外周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0027】
排気用接続パイプ16Aの内部には、図5に示すように、電動ポンプ40の側面に吸気用接続部42と並んで設けられた排気用接続部43が開口部より挿入されて嵌合されている。尚、排気用接続部43の外周面には排気用接続部43の外周面と機器用排気路16の内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは排気用接続部43の外周面と機器用排気路16の内周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0028】
本実施形態のガス分配ユニット10は上記のような構造であって、排気ガス測定装置のケース20内において上記のように配置されている。続いて本実施形態に係るガス分配ユニット10を含め、排気ガス測定装置の組立方法について図1及び図8乃至図11を参照して説明し、併せてその効果について説明する。
【0029】
まず、図8に示すように、ケース20の基台部21にガス分配ユニット10のブロック体11を配置して、ブロック体11をタッピンねじTによって基台部21に固定する。尚、このとき、図5に示すように基台部21に設けられた排気用パイプ28に機器用排気路16を嵌合させるようにブロック体11を配置する。
【0030】
次に、図9に示すようにブロック体11の側方から電動ポンプ40の吸気用接続部42を機器用吸気路15の開口部に挿入するとと共に、電動ポンプ40の排気用接続部43を機器用排気路16の排気用接続パイプ16Aに挿入して嵌合させ、電動ポンプ40をブロック体11に接続する。尚、電動ポンプ40はブロック体11に接続した後、電動ポンプ40のポンプ固定片41をタッピンねじTによってケース20の基台部21に締め付けることで基台部21に固定される。
【0031】
電動ポンプ40が固定されたところで、ブロック体11の測定器用接続パイプ14Bの開口部に測定器60の吸入接続部61を挿入して嵌合させ、測定器60をブロック体11に接続する。尚、測定器60はブロック体11に接続された後、測定器60の測定器固定片62をタッピンねじTによって小型箱部13の上端面に締め付けることでブロック体11に固定される。また、ブロック体11にはカバー22を基台部21に組み付ける前に、測定器用接続筒部14Aと機器用接続筒部15Aとを面シール18の筒部挿通孔18Aに挿通させ、大型箱部12の上端面に面シール18を装着しておく(図10参照)。
【0032】
一方、図11に示すように、ケース20のカバー22にはコネクタ50における中継端子52の下端接続部52Bに制御基板30のスルーホール31を嵌合させて制御基板30を中継端子52に電気的に接続し、タッピンねじTによって制御基板30をカバー22の上方内面29に固定する。また、カバー22の開口縁部に設けられた段付部27には、カバー22を基台部21に組み付ける前に、段付部27の環状溝27Aに環状シール26を装着しておく。
【0033】
このようにして、基台部21及びカバー22に全ての機器及び部材などを組み付けたところで、カバー22を基台部21の上方から覆い被せるようにして組み付け、タッピンねじTを基台部21の底面からカバー22に締め付けることで基台部21にカバー22を固定する。尚、このとき、カバー22におけるコネクタ50の中継パイプ51の内部にブロック体11の測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aが挿入されるように嵌合させることで、コネクタ50とブロック体11とを接続することができるようになっている。また、ブロック体11の大型箱部12の上端面に予め取り付けられた面シール18はカバー22の上方内面29と大型箱部12の上方端面とに挟み付けられて圧接され、中継パイプ51と測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aとの隙間から排気ガスがケース内に流出することを防止する役割を果たしている。
【0034】
上述のように、本実施形態のガス分配ユニット10は各機器などが装着される所定の位置に機器用吸気路と、機器用排気路と、測定器用通気路との開口部を形成しておくことで、各機器の接続部をそれぞれ対応する開口部に挿入すると共に、各機器をケース20に装着することで各パイプと各機器との間を中継することができる。これにより、従来のように機器をケースに固定した後にガスチューブの配策や組付けを行う必要がなく、排気ガス測定装置の組み付け作業性を飛躍的に向上させることができる。また、ケース20内に機器が追加されてガス流路が本実施形態よりも増加する場合においても、ガスチューブを採用していないため、追加した機器にガスチューブを組み付けるための追加工数が発生しない。
また、各ガス流路は合成樹脂によって形成されているため、ガス流路が折れ曲がって塞がれてしまうことがなく、確実に排気ガスを挿通させることができる。
また、複数の測定器用通気路が横並びに設けられている場合には、測定器に設けられた複数の吸入接続部を一括して嵌合させることができるため、従来のように一つ一つ接続する必要がなく、組み付け作業性を向上させることができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、カバー22の上方壁にカバー22を貫通するように中継パイプ51を設け、カバー22を基台部21に組に付けるときにブロック体11の上面に設けた測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aが中継パイプ51の内部に嵌合される構成とした。しかしながら、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば基台部21に設けられた排気用パイプ28のように中継パイプ51を基台部21に設けてブロック体11を基台部21に固定する際に、測定器用通気路14及び機器用吸気路15と中継パイプ51とを嵌合させ、カバー22を基台部21に組み付ける際には何も嵌合されないような構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、測定器60の吸入接続部61とコネクタ50の測定器用パイプ53と測定器用通気路14とをそれぞれ三つ設けた構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば測定器60の吸入接続部61とコネクタ50の測定器用パイプ53と測定器用通気路14とを一つや四つ以上など三つ以外の組み合わせで構成してもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、大型箱部12の上方端面における機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aの基端部の外周部に面シール18を装着し、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上端面との間をシールする構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではない。例えば、機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aの外周面にOリングを装着して、機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aを内部に収容して嵌合する中継パイプ51との隙間をシールして、大型箱部12の上方端面に面シール18を装着しない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
11 :ブロック体
14 :測定器用通気路
14A:測定器用接続筒部
15 :機器用吸気路
15A:機器用接続筒部
16 :機器用排気路
18 :面シール(シール部材)
20 :ケース
21 :基台部
22 :カバー
28 :排気用パイプ
42 :吸気用接続部
43 :排気用接続部
53 :測定器用パイプ
54 :吸気用パイプ
61 :吸入用接続部
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス分配ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、自動車の排気ガスの成分を測定するために排気管側から排気ガス測定装置に排気ガスを導くための中継パイプと、給電装置からの電力を導く中継端子とを一体に組み付けたコネクタの一例として特許文献1に記載のものがある。このコネクタは、例えば図12に示すように、自動車に搭載される排気ガス測定装置のケース1に設けられる。コネクタに装着された中継端子2はケース1内の制御基板3と接続され、中継パイプ4はケース内に設置された測定器5やポンプ6などの各機器とガスチューブ7によって接続される。そして、このコネクタに相手方コネクタが嵌合されることで、排気ガス測定装置内の各機器に排気ガスが供給されると共に、制御基板3に電力が供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−62035号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、排気ガス測定装置は自動車に搭載されることからケースの小型化が検討され、ケース内のスペースは非常に狭くなってきている。そのため、コネクタの中継パイプと各機器とをガスチューブによって接続する場合、ケース内に作業者の手が挿入しづらいなど組み付け作業が非常に悪い。また、ケース内のスペースに合わせてフレキシブルホースを無理に屈曲させるとホースが潰れてしまうなど、排気ガスのガス流路が塞がってしまうといった問題がある。
【0005】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ケース内のガス流路の配索を容易にすることで、組み付け作業性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成する手段として本発明は、排気ガス測定装置のケースの内部に固定される合成樹脂製のブロック体を備えたガス分配ユニットであって、前記ブロック体の内部には、一端が前記ケースに設けられた吸気用パイプに接続され他端が前記ケース内の機器に設けられた吸気用接続部に接続される機器用吸気路と、一端が前記ケースに設けられた排気用パイプに接続され他端が前記機器に設けられた排気用接続部と接続される機器用排気路と、一端が前記ケースに設けられた測定器用パイプに接続され他端が前記ケース内の測定器に設けられた吸入接続部と接続される測定器用通気路とが設けられているところに特徴を有する。
このような構成のガス分配ユニットによると、ブロック体の内部に機器用吸気路と、機器用排気路と、測定器用通気路とを、予め各接続部及び各パイプと対応する位置に形成しておくことで、ケース内において機器及び測定器と各パイプとを容易に中継することができる。また、ブロック体は合成樹脂によって形成されているため、ブロック体が折れ曲がるなどしてガス流路が塞がれてしまうといったトラブルを防止することができる。
【0007】
本発明の実施の態様として、以下の構成が望ましい。
前記ケースは前記ブロック体が固定される基台部と、前記基台部の上面を覆うように前記基台部に装着されるカバーとを備え、前記吸気用パイプ及び前記測定器用パイプは前記カバーの上方壁に前記カバーを貫通するように設けられ、前記ブロック体の上面には、前記機器用吸気路の一端に設けられた機器用接続筒部と、前記測定器用吸気路の一端に設けられた測定器用接続筒部とが設けられ、前記カバーが前記基台部に装着されるときに、前記機器用接続筒部が前記吸気用パイプに嵌合されると共に、前記測定器用接続筒部が前記測定器用パイプに嵌合される構成としてもよい。
このような構成によると、ブロック体を基台部に固定した後、カバーをすることによって吸気用パイプ及び測定器用パイプとブロック体とを容易に接続することができる。
【0008】
前記機器用接続筒部及び前記測定器用接続筒部における基端部の外周部には前記カバーの内面と前記ブロック体の上面との間をシールするシール部材が設けられている構成としてもよい。
このような構成によると、カバーとブロック体との隙間を気密状にシールすることができる。
前記カバーには複数の前記測定器用パイプが設けられ、前記測定器には複数の前記吸入接続部が設けられ、前記ブロック体には前記測定器用パイプ及び前記吸入接続部に対応する複数の前記測定器用通気路が形成されている構成としてもよい。
このような構成によると、複数の測定器用通気路を測定器及び測定器用パイプに一括して接続することができ、作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ケース内のガス流路の配索を容易にすることで、組み付け作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本実施形態に係るガス分配ユニットを排気ガス測定装置のケース内に組み付けた状態を示す断面図
【図2】本実施形態に係るガス分配ユニットの正面図
【図3】同平面図
【図4】同側面図
【図5】図2のV−V線断面図
【図6】図2のVI−VI線断面図
【図7】図2のVII−VII線断面図
【図8】本実施形態に係るガス分配ユニットを基台部に組み付けた状態を示す断面図
【図9】ガス分配ユニットと電動ポンプとを基台部に組み付けた状態を示す断面図
【図10】測定器とシール部材とを基台部に固定されたガス分配ユニットに固定した状態を示す断面図
【図11】制御基板をカバーに組み付けた状態を示す断面図
【図12】従来の排気ガス測定装置の破断した状態を示す斜視図
【発明を実施するための形態】
【0011】
<実施形態>
本発明の一実施形態について図1乃至図11によって説明する。
本実施形態に係るガス分配ユニット10は、図1に示すように、自動車に搭載されるブロック状の排気ガス測定装置のケース20内に装着される。
排ガス測定装置は、図1に示すように、箱型状をなす合成樹脂製のケース20と、ケース20内に組み付けられる制御基板30と、ケース20内に組み付けられる電動ポンプ40とを備えて構成されている。
【0012】
ケース20は合成樹脂製の基台部21と、基台部21の上面全体を覆う合成樹脂製のカバー22を備えて構成されている。
基台部21は矩形板状をなし、その底面の四隅にはタッピンねじTのネジ頭部を収容可能な深さのネジ収容部23が設けられている。それぞれのネジ収容部23の中央にはタッピンねじTの軸部が挿通可能な挿通孔24が設けられている。基台部21とカバー22とは、図1に示すように、基台部21の底面側から各挿通孔24に挿通されたタッピンねじTがカバー22の開口縁部の四隅に設けられた四つのネジ孔25に締め付けられることで互いに固定されている。
基台部21の上面には、図1に示すように、角柱状をなす電動ポンプ40が固定さている。この電動ポンプ40には左右両側に一対のポンプ固定片41が設けられている。このポンプ固定片41は図示しないネジ孔にタッピンねじTを挿通して、タッピンねじTを基台部21に締め付けることにより、電動ポンプ40を基台部21に組み付けている。
【0013】
一方、カバー22は、図1に示すように、フード状をなし、カバー22の開口縁部は、図1に示すように、全周に亘って外方向に向かって段付状に拡幅した段付部27が設けられている。この段付部27には、図1に示すように、ネジ孔25の内側に全周に亘って環状シール26が嵌合された環状溝27Aが設けられている。この環状シール26は基台部21とカバー22との隙間からケース20の内部に水が浸入することを防止している。
また、カバー22の上方壁には、図1に示すように、コネクタ50が上下方向にカバー22を貫通するように一体に設けられている。
【0014】
このコネクタ50は四本の中継パイプ51と四本の中継端子52とを備えて構成されている。中継パイプ51は円筒状をなし、コネクタ50を上端から下端まで真っ直ぐに貫通した形態で四本横並びにコネクタ50と一体に形成されている。この中継パイプ51はコネクタ50が図示しない相手方コネクタと嵌合されるときには相手方コネクタに設けられた図示しない相手方中継パイプと接続され、図示しない相手方コネクタから供給される排気ガスをケース20内に挿通させる役割を果たしている。尚、この中継パイプ51のうち、三本は測定器用パイプ53とされ、残りの一本は吸気用パイプ54とされている。
【0015】
中継端子52は、図1に示すように、中央にクランク形状を有して上下方向に延びた形状をなしている。中継端子52のクランク状の中央部分はインサート成型によってコネクタ50の上下方向中央に設けられた端子保持部55内に一体に組み付けられている。また、各中継端子52は中継パイプ51の並びに沿って四本横並びに端子保持部55に保持されている。
【0016】
中継端子52の上方に位置する上端部分は上端接続部52Aとされ、端子保持部55の上方に設けられたフード部56の奥壁から突出した状態をなしている。フード部56は上方に向かって開口しており、内部に図示しない相手方コネクタに嵌合される構成になっている。そして、相手方コネクタがフード部56内に収容されたときには、上端接続部52Aが相手方コネクタに設けられた図示しない相手方端子と電気的に接続される。中継端子52の下方に位置する下端部分は下端接続部52Bとされ、端子保持部55の後方端面から下方に真っ直ぐ突出した形態をなしている。
【0017】
この下端接続部52Bは制御基板30に設けられたスルーホール31に挿入されて制御基板30に電気的に接続されている。尚、制御基板30はその板面に設けられた図示しないネジ孔にタッピンねじTを挿通して、タッピンねじTをカバー22の上方内面29に締め付けることによりカバー22に組み付けられている。また、この制御基板30は基台部21に組み付けられた電動ポンプ40とリード線Yによって電気的に接続されている。
【0018】
さて、排気ガス測定装置の基台部21に固定されるガス分配ユニット10は合成樹脂製のブロック体11を備えている。
このブロック体11は、図2乃至図7に示すように、正面視右側面が段付状に形成された大型箱部12と、大型箱部12の前方端面に突設された正面視矩形状の小型箱部13とを備えて構成されている。
【0019】
この大型箱部12及び小型箱部13の内部には、大型箱部12と小型箱部13とに亘って形成された測定器用通気路14と、大型箱部12と小型箱部13とに亘って形成された機器用吸気路15と、大型箱部12に形成された機器用排気路16とが形成されている。また、大型箱部12と小型箱部13との境界部分における左右両側には一対の固定片17が設けられている。この固定片17の中央には、図3に示すように、ネジ挿通孔17Aが設けられている。このネジ挿通孔17Aには、図8に示すように、タッピンねじTが挿通され、タッピンねじTが基台部21に締め付けられることにより、ブロック体11が基台部21に固定されている。
【0020】
測定器用通気路14は、図3及び図7に示すように、大型箱部12の内部において上方から前方に向かってL字状に屈曲された形態をなし、大型箱部12の内部において横並びに三本形成されている。この測定器用通気路14は、図1乃至図3及び図7に示すように、一端が大型箱部12の上端面から上方に真っ直ぐ延びる円筒状の測定器用接続筒部14Aとされ、他端が大型箱部12における小型箱部13側の側面より突出して前方に開口する測定器用接続パイプ14Bとされている。
【0021】
測定器用接続筒部14Aは、カバー22に設けられたコネクタ50の中継パイプ51の内径とほぼ同一の外径に設定されている。また、測定器用接続筒部14Aは、カバー22に設けられた中継パイプ51のうちの測定器用パイプ53に対応する位置に配設されている。これにより、測定器用接続筒部14Aは、カバー22が基台部21に組み付けられた時に測定器用接続パイプ14Bの内部に収容されて嵌合される。
【0022】
測定器用接続パイプ14Bは、小型箱部13の上端面に固定された測定器60に接続されている。この測定器60は、その側面に設けられた吸入接続部61を測定器用接続パイプ14Bの内部に挿入して嵌合させることでブロック体11に接続されている。尚、測定器60はその幅方向両側に設けられた測定器固定片62にタッピンねじTを締め付けることで、小型箱部13に固定されている。また、この測定器60はリード線Yによって、制御基板30と電気的に接続されている。
吸入接続部61の外周面には吸入接続部61の外周面と測定器用接続パイプ14Bの内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは吸入接続部61の外周面と測定器用接続パイプ14Bの内周面との隙間をシールして排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0023】
機器用吸気路15は、図6に示すように、測定器用通気路14と同様、大型箱部12の内部において上方から前方に向かってL字状に屈曲された形態をなしている。機器用吸気路15は、図1乃至図3に示すように、一端が大型箱部12の上端面から上方に真っ直ぐ延びる円筒状の機器用接続筒部15Aとされ、他端が小型箱部13の前方端面に開口した形態をなしている。また、機器用吸気路15は小型箱部13においてその側面から盛り上がった形態に形成されている。
【0024】
機器用接続筒部15Aは、測定器用接続筒部14Aと同様、図1に示すように、カバー22に設けられたコネクタ50の中継パイプ51の内径とほぼ同一の外径に設定されている。また、機器用接続筒部15Aは、カバー22に設けられた中継パイプ51のうち、吸気用パイプ54に対応する位置に配設されている。これにより、機器用接続筒部15Aは、図1に示すように、カバー22が基台部21に組み付けられた時に吸気用パイプ54の内部に収容されて嵌合されている。
また、このとき、測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aの基端部における外周部には、図1に示すように、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上端面との間に圧接された面シール18(シール部材に相当する)が設けられている。この面シール18は大型箱部12の上方端面の外形よりも一回り小さい大きさに設けられている。また、この面シール18には測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aの外周面に沿って設けられた四つの筒部挿通孔18Aが設けられている。この面シール18は、図1に示すように、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上方端面との間をシールして、ケース20内に排気ガスが流出することを防止している。
【0025】
一方、小型箱部13の前方端面に開口した機器用吸気路15の開口部には、図1及び図9に示すように、電動ポンプ40の側面に設けられた吸気用接続部42が開口部より挿入されて嵌合されている。尚、吸気用接続部42の外周面には吸気用接続部42の外周面と機器用吸気路15の内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは吸気用接続部42の外周面と機器用吸気路15の内周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0026】
機器用排気路16は、図2乃至図5に示すように、大型箱部12の内部において前方から下方に向かってL字状に屈曲された形態をなしている。機器用排気路16は、一端が大型箱部12の底面に開口し、他端が大型箱部12の前方端面より前方に向かって突設された排気用接続パイプ16Aとされている。
大型箱部12の底面に設けられた機器用排気路16の開口部には基台部21の上面から上方に向かって突設された排気用パイプ28が挿入されて嵌合されている。この排気用パイプ28の外周面には機器用排気路16の内周面と排気用パイプ28の外周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは機器用排気路16の内周面と排気用パイプ28の外周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0027】
排気用接続パイプ16Aの内部には、図5に示すように、電動ポンプ40の側面に吸気用接続部42と並んで設けられた排気用接続部43が開口部より挿入されて嵌合されている。尚、排気用接続部43の外周面には排気用接続部43の外周面と機器用排気路16の内周面とに密着したOリングRが装着されている。このOリングRは排気用接続部43の外周面と機器用排気路16の内周面との隙間をシールして、排気ガスがケース20内に流出することを防止している。
【0028】
本実施形態のガス分配ユニット10は上記のような構造であって、排気ガス測定装置のケース20内において上記のように配置されている。続いて本実施形態に係るガス分配ユニット10を含め、排気ガス測定装置の組立方法について図1及び図8乃至図11を参照して説明し、併せてその効果について説明する。
【0029】
まず、図8に示すように、ケース20の基台部21にガス分配ユニット10のブロック体11を配置して、ブロック体11をタッピンねじTによって基台部21に固定する。尚、このとき、図5に示すように基台部21に設けられた排気用パイプ28に機器用排気路16を嵌合させるようにブロック体11を配置する。
【0030】
次に、図9に示すようにブロック体11の側方から電動ポンプ40の吸気用接続部42を機器用吸気路15の開口部に挿入するとと共に、電動ポンプ40の排気用接続部43を機器用排気路16の排気用接続パイプ16Aに挿入して嵌合させ、電動ポンプ40をブロック体11に接続する。尚、電動ポンプ40はブロック体11に接続した後、電動ポンプ40のポンプ固定片41をタッピンねじTによってケース20の基台部21に締め付けることで基台部21に固定される。
【0031】
電動ポンプ40が固定されたところで、ブロック体11の測定器用接続パイプ14Bの開口部に測定器60の吸入接続部61を挿入して嵌合させ、測定器60をブロック体11に接続する。尚、測定器60はブロック体11に接続された後、測定器60の測定器固定片62をタッピンねじTによって小型箱部13の上端面に締め付けることでブロック体11に固定される。また、ブロック体11にはカバー22を基台部21に組み付ける前に、測定器用接続筒部14Aと機器用接続筒部15Aとを面シール18の筒部挿通孔18Aに挿通させ、大型箱部12の上端面に面シール18を装着しておく(図10参照)。
【0032】
一方、図11に示すように、ケース20のカバー22にはコネクタ50における中継端子52の下端接続部52Bに制御基板30のスルーホール31を嵌合させて制御基板30を中継端子52に電気的に接続し、タッピンねじTによって制御基板30をカバー22の上方内面29に固定する。また、カバー22の開口縁部に設けられた段付部27には、カバー22を基台部21に組み付ける前に、段付部27の環状溝27Aに環状シール26を装着しておく。
【0033】
このようにして、基台部21及びカバー22に全ての機器及び部材などを組み付けたところで、カバー22を基台部21の上方から覆い被せるようにして組み付け、タッピンねじTを基台部21の底面からカバー22に締め付けることで基台部21にカバー22を固定する。尚、このとき、カバー22におけるコネクタ50の中継パイプ51の内部にブロック体11の測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aが挿入されるように嵌合させることで、コネクタ50とブロック体11とを接続することができるようになっている。また、ブロック体11の大型箱部12の上端面に予め取り付けられた面シール18はカバー22の上方内面29と大型箱部12の上方端面とに挟み付けられて圧接され、中継パイプ51と測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aとの隙間から排気ガスがケース内に流出することを防止する役割を果たしている。
【0034】
上述のように、本実施形態のガス分配ユニット10は各機器などが装着される所定の位置に機器用吸気路と、機器用排気路と、測定器用通気路との開口部を形成しておくことで、各機器の接続部をそれぞれ対応する開口部に挿入すると共に、各機器をケース20に装着することで各パイプと各機器との間を中継することができる。これにより、従来のように機器をケースに固定した後にガスチューブの配策や組付けを行う必要がなく、排気ガス測定装置の組み付け作業性を飛躍的に向上させることができる。また、ケース20内に機器が追加されてガス流路が本実施形態よりも増加する場合においても、ガスチューブを採用していないため、追加した機器にガスチューブを組み付けるための追加工数が発生しない。
また、各ガス流路は合成樹脂によって形成されているため、ガス流路が折れ曲がって塞がれてしまうことがなく、確実に排気ガスを挿通させることができる。
また、複数の測定器用通気路が横並びに設けられている場合には、測定器に設けられた複数の吸入接続部を一括して嵌合させることができるため、従来のように一つ一つ接続する必要がなく、組み付け作業性を向上させることができる。
【0035】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、カバー22の上方壁にカバー22を貫通するように中継パイプ51を設け、カバー22を基台部21に組に付けるときにブロック体11の上面に設けた測定器用接続筒部14A及び機器用接続筒部15Aが中継パイプ51の内部に嵌合される構成とした。しかしながら、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば基台部21に設けられた排気用パイプ28のように中継パイプ51を基台部21に設けてブロック体11を基台部21に固定する際に、測定器用通気路14及び機器用吸気路15と中継パイプ51とを嵌合させ、カバー22を基台部21に組み付ける際には何も嵌合されないような構成としてもよい。
(2)上記実施形態では、測定器60の吸入接続部61とコネクタ50の測定器用パイプ53と測定器用通気路14とをそれぞれ三つ設けた構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではなく、例えば測定器60の吸入接続部61とコネクタ50の測定器用パイプ53と測定器用通気路14とを一つや四つ以上など三つ以外の組み合わせで構成してもよい。
【0036】
(3)上記実施形態では、大型箱部12の上方端面における機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aの基端部の外周部に面シール18を装着し、カバー22の上方内面29と大型箱部12の上端面との間をシールする構成としたが、本発明はこのような態様に制限されるものではない。例えば、機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aの外周面にOリングを装着して、機器用接続筒部15A及び測定器用接続筒部14Aを内部に収容して嵌合する中継パイプ51との隙間をシールして、大型箱部12の上方端面に面シール18を装着しない構成としてもよい。
【符号の説明】
【0037】
11 :ブロック体
14 :測定器用通気路
14A:測定器用接続筒部
15 :機器用吸気路
15A:機器用接続筒部
16 :機器用排気路
18 :面シール(シール部材)
20 :ケース
21 :基台部
22 :カバー
28 :排気用パイプ
42 :吸気用接続部
43 :排気用接続部
53 :測定器用パイプ
54 :吸気用パイプ
61 :吸入用接続部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス測定装置のケースの内部に固定される合成樹脂製のブロック体を備えたガス分配ユニットであって、
前記ブロック体の内部には、一端が前記ケースに設けられた吸気用パイプに接続され他端が前記ケース内の機器に設けられた吸気用接続部に接続される機器用吸気路と、
一端が前記ケースに設けられた排気用パイプに接続され他端が前記機器に設けられた排気用接続部と接続される機器用排気路と、
一端が前記ケースに設けられた測定器用パイプに接続され他端が前記ケース内の測定器に設けられた吸入接続部と接続される測定器用通気路とが設けられていることを特徴とするガス分配ユニット。
【請求項2】
前記ケースは前記ブロック体が固定される基台部と、前記基台部の上面を覆うように前記基台部に装着されるカバーとを備え、
前記吸気用パイプ及び前記測定器用パイプは前記カバーの上方壁に前記カバーを貫通するように設けられ、
前記ブロック体の上面には、前記機器用吸気路の一端に設けられた機器用接続筒部と、前記測定器用吸気路の一端に設けられた測定器用接続筒部とが設けられ、
前記カバーが前記基台部に装着されるときに、前記機器用接続筒部が前記吸気用パイプに嵌合されると共に、前記測定器用接続筒部が前記測定器用パイプに嵌合されることを特徴とする請求項1記載のガス分配ユニット。
【請求項3】
前記機器用接続筒部及び前記測定器用接続筒部における基端部の外周部には前記カバーの内面と前記ブロック体の上面との間をシールするシール部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載のガス分配ユニット。
【請求項4】
前記カバーには複数の前記測定器用パイプが設けられ、前記測定器には複数の前記吸入接続部が設けられ、前記ブロック体には前記測定器用パイプ及び前記吸入接続部に対応する複数の前記測定器用通気路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のガス分配ユニット。
【請求項1】
排気ガス測定装置のケースの内部に固定される合成樹脂製のブロック体を備えたガス分配ユニットであって、
前記ブロック体の内部には、一端が前記ケースに設けられた吸気用パイプに接続され他端が前記ケース内の機器に設けられた吸気用接続部に接続される機器用吸気路と、
一端が前記ケースに設けられた排気用パイプに接続され他端が前記機器に設けられた排気用接続部と接続される機器用排気路と、
一端が前記ケースに設けられた測定器用パイプに接続され他端が前記ケース内の測定器に設けられた吸入接続部と接続される測定器用通気路とが設けられていることを特徴とするガス分配ユニット。
【請求項2】
前記ケースは前記ブロック体が固定される基台部と、前記基台部の上面を覆うように前記基台部に装着されるカバーとを備え、
前記吸気用パイプ及び前記測定器用パイプは前記カバーの上方壁に前記カバーを貫通するように設けられ、
前記ブロック体の上面には、前記機器用吸気路の一端に設けられた機器用接続筒部と、前記測定器用吸気路の一端に設けられた測定器用接続筒部とが設けられ、
前記カバーが前記基台部に装着されるときに、前記機器用接続筒部が前記吸気用パイプに嵌合されると共に、前記測定器用接続筒部が前記測定器用パイプに嵌合されることを特徴とする請求項1記載のガス分配ユニット。
【請求項3】
前記機器用接続筒部及び前記測定器用接続筒部における基端部の外周部には前記カバーの内面と前記ブロック体の上面との間をシールするシール部材が設けられていることを特徴とする請求項2記載のガス分配ユニット。
【請求項4】
前記カバーには複数の前記測定器用パイプが設けられ、前記測定器には複数の前記吸入接続部が設けられ、前記ブロック体には前記測定器用パイプ及び前記吸入接続部に対応する複数の前記測定器用通気路が形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載のガス分配ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2012−13100(P2012−13100A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−147422(P2010−147422)
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年6月29日(2010.6.29)
【出願人】(000183406)住友電装株式会社 (6,135)
【Fターム(参考)】
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