説明

ガス化炉の起動時の燃料供給を切り換えるシステム及び方法

【課題】ガス化炉の起動時の燃料供給を切り換えるシステムを提供する。
【解決手段】プロセッサ112は、第1供給ラインがフィードインジェクタ108に燃料ガスを供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタ108に酸素を供給するのを可能にし、ガス化炉102にスラリーを加える命令を受信し、第1供給ラインがフィードインジェクタ108に燃料ガスを供給するのを防止し、第1供給ラインがフィードインジェクタ108にスラリーを供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタ108に酸素及び不活性ガスを同時に供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタ108に不活性ガスを供給するのを防止するようにプログラムされる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概してガス化炉に関し、より詳細には、ガス化炉の起動時の燃料供給を切り換えるシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
少なくとも1つの公知のガス化システム、例えば統合ガス化複合サイクル(IGCC)プラントは、ガス化炉の上流に連結されて、ガス化炉に燃料を運ぶように構成された燃料供給システムを含む。少なくとも1つの公知の燃料は、微粉炭と水のスラリーである。そのようなシステムでは、スラリーは、燃料供給システム内で測定されて、所定圧力でガス化炉に送給される粘性液体である。
【0003】
スラリーが供給されるガス化炉を備えた一部の公知のIGCCシステムでは、ガス化炉に接続されていないバイパス導管及び/又は起動導管内で全ての供給物質の定常流を形成する段階と、所定のシーケンスに従ってガス化炉のフィードインジェクタに接続された供給導管内へと流れを切り換える段階とを含む、二段階法がガス化炉の起動に使用されることがある。スラリー供給システム内の起動スラリー流は循環ループで形成されて元のスラリー貯蔵タンクに戻り、起動酸素流は消音器を通して大気に排出されることになる。従来のシステムでは、起動時、スラリー流及び酸素流は、酸素がスラリーのすぐ後でフィードインジェクタに到達するように、ガス化炉内へと方向転換される。予熱したガス化炉の耐火煉瓦に貯蔵された熱エネルギーが反応混合物を発火させ、ガス化反応が始まる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第7229483号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ガス化炉の起動時の燃料供給を切り換えるシステムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
一態様では、ガス化システムが提供される。ガス化システムは、ガス化炉と、ガス化炉と流体連通して連結されたフィードインジェクタと、フィードインジェクタと流体連通して連結された燃料供給システムとを含む。燃料供給システムは、スラリー又は燃料ガスを供給するための第1供給ラインと、不活性ガス及び/又は酸素を供給するための第2供給ラインと、プロセッサを含む燃料供給システムコントローラとを含む。プロセッサは、第1供給ラインがフィードインジェクタに燃料ガスを供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタに酸素を供給するのを可能にし、ガス化炉にスラリーを加える命令を受信し、第1供給ラインがフィードインジェクタに燃料ガスを供給するのを防止し、第1供給ラインがフィードインジェクタにスラリーを供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタに酸素及び不活性ガスを同時に供給するのを可能にし、第2供給ラインがフィードインジェクタに不活性ガスを供給するのを防止するようにプログラムされる。
【0007】
別の態様では、ガス化システムが提供される。ガス化システムは、ガス化炉と、ガス化炉と流体連通して連結されたフィードインジェクタと、フィードインジェクタと流体連通して連結された燃料供給システムとを含む。燃料供給システムは、不活性ガス及び/又は燃料ガスを供給するための第1供給ラインと、スラリーを供給するための第2供給ラインと、酸素を供給するための第3供給ラインと、プロセッサを含む燃料供給システムコントローラとを含む。プロセッサは、第1供給ラインがフィードインジェクタに燃料ガスを供給するのを可能にし、第3供給ラインがフィードインジェクタに酸素を供給するのを可能にし、ガス化炉にスラリーを供給する命令を受信し、第2供給ラインがフィードインジェクタにスラリーを供給するのを可能にし、第1供給ラインがフィードインジェクタに燃料ガスを供給するのを防止し、第1供給ラインが所定の期間フィードインジェクタに不活性ガスを供給するのを可能にするようにプログラムされる。
【0008】
更に別の態様では、ガス化炉への燃料供給を切り換える方法が提供される。本方法は、ガス化炉と流体連通して連結されたフィードインジェクタに燃料ガス及び酸素を供給するステップと、ガス化炉にスラリーを供給する命令を受信するステップと、燃料ガスがフィードインジェクタに供給されるのを防止するステップと、フィードインジェクタにスラリーを供給するステップとを含む。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本発明は、添付図面を参照して以下に詳述される。
【図1】ガス化システムの一部分のブロック図である。
【図2】図3及び5に示すフィードインジェクタの断面図である。
【図3】図1に示すガス化システムの説明例である。
【図4】図3に示す燃料供給システム、フィードインジェクタ、及びガス化炉のプロセスフロー図である。
【図5】図1に示すガス化システムの説明例である。
【図6】図5に示す燃料供給システム、フィードインジェクタ、及びガス化炉のプロセスフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態は、単一のフィードインジェクタを含むドライフィードガス化炉に関して本明細書に例示及び記載されているが、本発明の態様は、本明細書に例示及び記載された機能、又はその同等の機能を実行するあらゆるシステムで実施可能である。
【0011】
スラリー、例えば、石炭のスラリー、石油コークスのスラリー、又はそれらの任意の組み合わせを燃料とするドライフィードガス化炉は、ガス化炉に連結されたフィードインジェクタに天然ガス(例えば、燃料ガス)及びオキシダント(例えば、酸素)を供給することによって起動することができる。燃料ガスを始動燃料とすると、ガス化炉に燃料ガスを供給する供給ラインを使用して、ガス化炉にスラリーを供給することもできる。例えば、燃料ガスを供給する供給ラインは、ガス化炉にスラリーを供給するように切り換えることができる。しかしながら、一旦切り換えが発生すると、スラリーは、フィードインジェクタの先端に到達する前に数フィート移動しなくてはならないことになる。従って、スラリーがフィードインジェクタ先端に到達する前に数秒が経過することになる。この間に、酸素は、ごくわずかなその他の燃料と共にガス化炉に供給されている(例えば、携帯燃料ガスが流入スラリーによってゆっくりと押し込まれている)。その結果、ガス化炉は酸素を豊富に含むようになり、スラリーが最終的にフィードインジェクタのインジェクタ先端に到達する時にデトネーションの原因となる可能性がある。そのため、ガス化炉の温度は、ガス化炉の耐火材又はその他の構成材に損傷を与えるほど上昇する可能性がある。これらの悪影響を避けるために、不活性ガス(例えば、窒素)を酸素に導入して、ガス化炉への有効酸素流量を減少させることができ、スラリーが最終的にフィードインジェクタのインジェクタ先端に到達した時は、不活性ガスの流れを止めて、正常動作状態を開始することができる。
【0012】
上記に加えて、複数の流路を含むスリーストリームフィードインジェクタを用いることで、スラリーがフィードインジェクタに導入された時に、酸素が継続的にフィードインジェクタに導入されている間の数秒間、燃料ガス又は不活性ガスの流れを停止しないようにする。スラリーがガス化炉に導入される前にガス化炉に燃料ガス又は不活性ガスを供給することは、燃料ガス及び不活性ガスの各々がガス化炉に供給されている酸素のレベル/純度を低下させることになるので、燃料超過状態や起こり得る燃焼停止を回避するのに役立つ。燃焼停止状態では、ガス化炉を再点火しなければならず、圧力スパイクのおそれがもたらされる。
【0013】
本明細書に記載した方法及びシステムの例示的な技術的効果には、(a)ガス化炉と流体連通して連結されたフィードインジェクタに燃料ガス及び酸素を供給すること、(b)ガス化炉にスラリーを供給する命令を受信すること、(c)燃料ガスがフィードインジェクタに供給されるのを防止すること、及び(d)フィードインジェクタにスラリーを供給することの少なくとも1つがある。
【0014】
図1を参照すると、ガス化システム100の一部分のブロック図が示されている。ガス化システム100は、ガス化炉102と、ガス化炉102(より詳細には、フィードインジェクタ108)と流体連通して連結された燃料供給システム104と、燃料供給システムコントローラ(例えば、コントローラ106)とを含む。燃料供給システム104は、ガス化炉102と流体連通して連結されたフィードインジェクタ108にスラリー、燃料ガス、不活性ガス、及び酸素を供給する複数の供給ライン110を含むことができる。一実施形態において、フィードインジェクタ108は複数の流路を含む。例えば、フィードインジェクタ108は、フィードインジェクタ108の水平方向断面図である図2に示すように、3つの流路を含むスリーストリームフィードインジェクタであってよい。図3及び5を参照して後で詳しく述べるように、フィードインジェクタ108は、第1流路202と、第2流路204と、ガス化炉102に燃料ガス、不活性ガス、スラリー、及び酸素を供給するための第3流路206とを含む。
【0015】
また図1を参照すると、コントローラ106は少なくとも1つのプロセッサ112を含む。一実施形態において、プロセッサ112は、コンピュータ実行可能命令を実行することによって、又は別の方法でプログラムされることによって、専用マイクロプロセッサに変化する。例えば、プロセッサ112は、図4及び6を参照して下記に詳述されるようなプロセスを実施する命令によってプログラムされる。
【0016】
図3は、ガス化システム100の実施形態、より詳細には、フィードインジェクタ108(例えば、図2に示すフィードインジェクタ108の第1流路202、第2流路204、及び第3流路206)と流体連通する第1供給ライン302、第2供給ライン304、スラリー供給ライン316、ガス供給ライン318、及び不活性ガス供給ライン320を含む燃料供給システム104の実施形態を示す。一実施形態において、第2供給ライン304はフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206と流体連通し、第1供給ライン302はフィードインジェクタ108の第2流路204と流体連通する。従って、燃料ガスは、ガス供給源308からガス供給ライン318及び第1供給ライン302を通してフィードインジェクタ108の第2流路204に供給される。酸素は、酸素供給源310から酸素供給ライン(例えば、第2供給ライン304)を通してフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206に供給される。一実施形態において、スラリー供給ライン316、ガス供給ライン318、及び第1供給ライン302は、三方弁314を介して流体連通して連結される。三方弁314は、例えば、コントローラ106、より詳細には、プロセッサ112から受信した、スラリーをスラリー供給源306からスラリー供給ライン316及び第1供給ライン302を通してフィードインジェクタ108の第2流路204に供給する命令に基づいて、スラリー又は燃料ガスの経路を開閉するように構成される。一実施形態では、スラリーがガス化炉102に到達するまで、第2供給ライン304を通してフィードインジェクタ108の第1流路202に酸素と同時に不活性ガスを供給することによって、ガス化炉102に供給されている酸素の純度レベルが低下する。例えば、不活性ガスは、不活性ガス供給源312から第2供給ライン304と流体連通して連結された不活性ガス供給ライン320を通して供給される。一実施形態では、圧力制御装置322が酸素供給源310とフィードインジェクタ108との間で第2供給ライン304に通信可能に連結される。圧力制御装置322は、第2供給ライン304の閾値圧力を超える圧力が検出されると、酸素排気口324を開いて、フィードインジェクタ108に供給されている酸素の量を減少させるように構成される。従って、不活性ガスが第2供給ライン304を通して酸素と同時に供給されると、第2供給ライン304の圧力が上昇し、一旦圧力が閾値圧力を超えると、酸素排気口324が開いて供給されている酸素の量が減少し、それによって第2供給ライン304の圧力が低下する。その後、スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、正常動作状態が始まって、酸素がフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206を通してガス化炉102に供給され、スラリーがフィードインジェクタ108の第2流路204を通してガス化炉102に供給される。
【0017】
図4は、図3に示す、ガス化炉102にスラリー、燃料ガス、不活性ガス、及び酸素を供給する燃料供給システム104のプロセスフロー図である。402において、第1供給ライン302がフィードインジェクタ108の第2流路204に燃料ガスを供給するのを可能にする。404において、第2供給ライン304がフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206に酸素を供給するのを可能にする。406において、例えば、コントローラ106、より詳細には、プロセッサ112から、ガス化炉102にスラリーを加える命令を受信する。408において、例えば、三方弁314を用いてガス供給ライン318と第1供給ライン302との間の経路を閉じることによって、第1供給ライン302が第2流路204に燃料ガスを供給するのを防止する。410において、例えば、三方弁314を用いてスラリー供給ライン316と第1供給ライン302との間の経路を開くことによって、スラリーをフィードインジェクタ108に供給する。一実施形態では、スラリーの圧力が作動圧力を下回ると判断された場合、第2供給ライン304がフィードインジェクタ108にスラリーを供給するのを防止する。その後、一旦スラリーが作動圧力になると、第2供給ライン304がフィードインジェクタにスラリーを供給するのを可能にすることができる。412において、第2供給ライン304がフィードインジェクタ108の第1流路202に酸素及び不活性ガスを同時に供給するのを可能にする。414において、例えば、不活性ガス供給ライン320が第2供給ライン304に不活性ガスを供給するのを防止することによって、第2供給ライン304がフィードインジェクタ108に不活性ガスを供給するのを防止する。一実施形態では、不活性ガスを所定の期間第1流路202に供給する。別の実施形態では、スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達するまで、不活性ガスを第1流路202に供給する。416において、一旦スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、正常動作状態が起こる。例えば、一旦スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、フィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206を通してガス化炉102に酸素を供給し、フィードインジェクタ108の第2流路204を通してガス化炉102にスラリーを供給する。
【0018】
図5は、ガス化システム100の実施形態、より詳細には、図2に示す、フィードインジェクタ108と流体連通する第1供給ライン502、第2供給ライン504、第3供給ライン506、第4供給ライン508、及び第5供給ライン518を含む燃料供給システム104の実施形態を示す。起動時、燃料ガスは、ガス供給源510からガス供給ライン(例えば、第1供給ライン502)を通してフィードインジェクタ108の第1流路202に供給され、酸素は、酸素供給源514から酸素供給ライン(例えば、第3供給ライン506)を通してフィードインジェクタ108の第3流路206に供給される。しかしながら、コントローラ106、より詳細には、プロセッサ112から、スラリーをスラリー供給源512から第2供給ライン504を通してフィードインジェクタ108の第2流路204に供給する命令を受信すると、燃料ガスがガス化炉102に供給されるのを防止する。その後、第1供給ライン502をパージして、ガス化炉102に供給されている酸素の純度レベルを低下させるために、不活性ガスが不活性ガス供給源516から第1供給ライン502と流体連通する第5供給ライン518を通して供給される。一旦スラリーがフィードインジェクタ108の先端に到達すると、不活性ガスがガス化炉102に供給されるのを防止し、酸素が酸素供給源514から第3供給ライン506及び第4供給ライン508を通してフィードインジェクタ108の第1流路202に供給される。従って、スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、正常動作状態が始まって、酸素がフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206を通してガス化炉102に供給され、スラリーがフィードインジェクタ108の第2流路204を通してガス化炉102に供給される。
【0019】
図6は、図5に示すようにガス化炉102にスラリー、燃料ガス、不活性ガス、及び酸素を供給する燃料供給システム104のプロセスフロー図である。602において、第1供給ライン502がフィードインジェクタ108の第1流路202に燃料ガスを供給するのを可能にする。604において、第3供給ライン506がフィードインジェクタ108の第3流路206に酸素を供給するのを可能にする。従って、燃料ガス及び酸素は、フィードインジェクタ108の別々の流路を通してガス化炉102に同時に供給される。606において、例えば、コントローラ106、より詳細には、プロセッサ112から、ガス化炉102にスラリーを供給する命令を受信する。608において、第2供給ライン504がフィードインジェクタ108の第2流路204にスラリーを供給するのを可能にする。一実施形態では、スラリーの圧力が作動圧力を下回ると判断された場合、第2供給ライン504がフィードインジェクタ108にスラリーを供給するのを防止する。その後、一旦スラリーが作動圧力になると、第2供給ライン504がフィードインジェクタにスラリーを供給するのを可能にすることができる。610において、第1供給ライン502が第1流路202に燃料ガスを供給するのを防止する。612において、第1供給ライン502及び第1流路202をパージするために、所定の期間、例えば、スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達するのにかかる所定の数秒間、第1供給ライン502がフィードインジェクタ108の第1流路202に不活性ガスを供給するのを可能にする。614において、不活性ガスが第1流路202に供給されるのを防止し、616において、酸素が第4供給ライン508を介して第1流路202に供給されるのを可能にする。618において、一旦スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、正常動作状態が起こる。例えば、一旦スラリーがフィードインジェクタ108のインジェクタ先端に到達すると、酸素がフィードインジェクタ108の第1流路202及び第3流路206を通してガス化炉102に供給され、スラリーがフィードインジェクタ108の第2流路204を通してガス化炉102に供給される。
【0020】
説明した例示的な燃料供給システムの構成要素は本明細書に記載された特定の実施形態には限定されず、むしろ、各々のシステムの構成要素は本明細書に記載されるその他の構成要素とは独立して別個に利用することができる。例えば、上記の燃料システム構成要素は様々な燃料システム構成要素と組み合わせて用いることもできる。
例示的な動作環境
本明細書に記載されるようなコントローラ又はコンピューティングデバイスは、1つ以上のプロセッサ又は処理装置、システムメモリ、及び何らかの形のコンピュータ可読媒体を有する。例えば、この例に限らないが、コンピュータ可読媒体は、コンピュータ記憶媒体及び通信媒体を含む。コンピュータ記憶媒体は、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、又はその他のデータ等の情報を保存するためのあらゆる方法又は技術で実装される揮発性及び不揮発性のリムーバブル及びノンリムーバブルメディアを含む。通信媒体は、一般的に、コンピュータ可読命令、データ構造、プログラムモジュール、或いは搬送波又はその他の搬送機構のような変調されたデータ信号におけるその他のデータを実施し、あらゆる情報配信媒体を含む。上記のいずれかの組み合わせもまた、コンピュータ可読媒体の範囲に含まれる。
【0021】
コントローラ/コンピュータは、1つ以上のリモートコンピュータ、例えば1つのリモートコンピュータとの論理的接続を用いてネットワーク化された環境において動作することができる。例示的なコンピューティングシステムに関して説明したが、本発明の実施形態は他の多数の汎用又は専用コンピューティングシステム環境又は構成で使用可能である。コンピューティングシステム環境は、本発明のあらゆる態様の使用又は機能の範囲に関していかなる限定を示唆することを意図するものではない。更に、コンピューティングシステム環境は、例示的な動作環境において示した構成要素のいずれか1つ又は組み合わせに関連する依存性又は必要性を有するものと解釈すべきではない。本発明の態様での使用に適用できる周知のコンピューティングシステム、環境、及び/又は構成の例としてはこれらに限定されないが、パーソナルコンピュータ、サーバーコンピュータ、ハンドヘルド又はラップトップデバイス、マイクロプロセッサシステム、マイクロプロセッサベースシステム、セットトップボックス、プログラマブルコンシューマエレクトロニクス、携帯電話、ネットワークPC、ミニコンピュータ、メインフレームコンピュータ、上記のシステム又はデバイスのいずれかを含む分散コンピューティング環境などが挙げられる。
【0022】
本発明の実施形態は、1つ以上のコンピュータ又はその他のデバイスによって実行される、プログラムモジュールなどのコンピュータ実行可能命令という一般的状況において説明することができる。コンピュータ実行可能命令は、1つ以上のコンピュータ実行可能コンポーネント又はモジュールで構成することができる。一般に、プログラムモジュールは、特定のタスクを実行する、又は特定の抽象データ型を実装するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、及びデータ構造を含むが、これに限定されるものではない。本発明の態様は、いかなる数又は構成のそのようなコンポーネント又はモジュールによって実装してもよい。例えば、本発明の態様は、図に例示し、本明細書に記載した特定のコンピュータ実行可能命令或いは特定のコンポーネント又はモジュールに限定されるものではない。本発明のその他の実施形態は、本明細書に例示及び記載した以上又は以下の機能を有する様々なコンピュータ実行可能命令又はコンポーネントを含んでもよい。本発明の態様はまた、通信ネットワークを介してリンクされたリモート処理装置によってタスクが実行される分散コンピューティング環境において実施してもよい。分散コンピューティング環境において、プログラムモジュールは、メモリ記憶装置を含むローカル及びリモートコンピュータ記憶媒体の両方に配置してもよい。
【0023】
本発明の態様は、本明細書に記載した命令を実行するように構成された場合、汎用コンピュータを専用コンピューティングデバイスに変換する。
【0024】
本明細書に例示及び記載した本発明の実施形態における動作の実行の順序は、特に明記しない限り、重要ではない。即ち、動作は、特に明記しない限り、いかなる順序で実行してもよく、本発明の実施形態は、本明細書に開示したものよりも多くの又は少ない動作を含んでもよい。例えば、別の動作の前、それと同時、又はその後に特定の動作を実行することは、本発明の態様の範囲に含まれると考えられる。
【0025】
本発明又はその実施形態の態様の要素を紹介する時、冠詞がないことや「前記」等の冠詞は、その要素が1つ以上存在することを意味するものとする。「備える」、「含む」及び「有する」といった用語は包括的であり、その用語には列挙した要素以外の追加要素が存在し得ることを意味するものとする。
【0026】
本発明の態様を詳細に説明してきたが、添付の特許請求の範囲に規定する本発明の態様の範囲から逸脱することなく、修正及び変更が可能であることが明らかであろう。本発明の態様の範囲から逸脱することなく、上記の構成、製品、及び方法に様々な変更を行なうことができるので、上記の説明に含まれ、添付の図面に示された全ての事柄は、例示的であって限定的な意味で解釈されるべきではないものとする。
【0027】
本明細書は、実施例を使用して、最良の形態を含む本発明を開示し、更にあらゆる装置又はシステムを製作且つ使用すること及びあらゆる組み込まれた方法を実行することを含む本発明の実施を当業者が行なうのを可能にする。本発明の特許性がある技術的範囲は、特許請求の範囲によって規定され、当業者が想到するその他の実施例を含むことができる。そのようなその他の実施例は、それらが特許請求の範囲の文言と相違しない構造的要素を有する場合、又はそれらが特許請求の範囲の文言と本質的でない相違を有する同等な構造的要素を含む場合には、特許請求の範囲の技術的範囲内に属することになるものとする。
【符号の説明】
【0028】
100 ガス化システム
102 ガス化炉
104 燃料供給システム
106 コントローラ
108 フィードインジェクタ
110 複数の供給ライン
112 プロセッサ
202 第1流路
204 第2流路
206 第3流路
302 第1供給ライン
304 第2供給ライン
306 スラリー供給源
308 ガス供給源
310 酸素供給源
312 不活性ガス供給源
314 三方弁
316 スラリー供給ライン
318 ガス供給ライン
320 不活性ガス供給ライン
322 圧力制御装置
324 酸素排気口
402 第1供給ラインが燃料ガスを供給するのを可能にする
404 第2供給ラインが酸素を供給するのを可能にする
406 ガス化炉にスラリーを加える命令を受信する
408 第1供給ラインが燃料ガスを供給するのを防止する
410 第1供給ラインがスラリーを供給するのを可能にする
412 第2供給ラインが酸素を同時に供給するのを可能にする
414 第2供給ラインが不活性ガスを供給するのを防止する
416 正常動作状態を開始する
502 第1供給ライン
504 第2供給ライン
506 第3供給ライン
508 第4供給ライン
510 ガス供給源
512 スラリー供給源
514 酸素供給源
516 不活性ガス供給源
518 第5供給ライン
602 第1供給ラインが燃料ガスを供給するのを可能にする
604 第3供給ラインが酸素を供給するのを可能にする
606 スラリーを加える命令を受信する
608 第2供給ラインがスラリーを供給するのを可能にする
610 第1供給ラインが燃料ガスを供給するのを防止する
612 第1供給ラインが不活性ガスを供給するのを可能にする
614 不活性ガスが供給されるのを防止する
616 供給されている酸素の量を増加させる
618 正常動作状態を開始する

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ガス化システム(100)であって、
ガス化炉(102)と、
前記ガス化炉(102)と流体連通して連結されたフィードインジェクタ(108)と、
前記フィードインジェクタ(108)と流体連通して連結された燃料供給システム(104)とを備えており、前記燃料供給システム(104)は、
スラリー又は燃料ガスを供給するための第1供給ライン(302)と、
不活性ガス及び/又は酸素を供給するための第2供給ライン(304)と、
プロセッサ(112)を含む燃料供給システムコントローラ(106)とを備え、前記プロセッサ(112)は、
前記第1供給ライン(302)が前記フィードインジェクタ(108)に燃料ガスを供給するのを可能にし、
前記第2供給ライン(304)が前記フィードインジェクタ(108)に酸素を供給するのを可能にし、
前記ガス化炉(102)にスラリーを加える命令を受信し、
前記第1供給ライン(302)が前記フィードインジェクタ(108)に燃料ガスを供給するのを防止し、
前記第1供給ライン(302)が前記フィードインジェクタ(108)にスラリーを供給するのを可能にし、
前記第2供給ライン(304)が前記フィードインジェクタ(108)に酸素及び不活性ガスを同時に供給するのを可能にし、
前記第2供給ライン(304)が前記フィードインジェクタ(108)に不活性ガスを供給するのを防止するようにプログラムされる、ガス化システム(100)。
【請求項2】
前記燃料供給システムコントローラ(106)の前記プロセッサ(112)は、更に、スラリーの圧力が作動圧力を下回る場合、前記第1供給ライン(302)が前記フィードインジェクタ(108)にスラリーを供給するのを防止するようにプログラムされる、請求項1に記載のガス化システム(100)。
【請求項3】
不活性ガスは、スラリーが単一のフィードインジェクタ(108)の先端に到達するまで、酸素と同時に供給されて酸素の純度レベルを低下させる、請求項1に記載のガス化システム(100)。
【請求項4】
前記フィードインジェクタ(108)はスリーストリームフィードインジェクタであり、前記スリーストリームフィードインジェクタは、
前記第2供給ライン(304)と流体連通する第1流路(202)と、
前記第1供給ライン(302)と流体連通する第2流路(204)と、
前記第2供給ライン(304)と流体連通する第3流路(206)とを備える、請求項1に記載のガス化システム(100)。
【請求項5】
前記燃料供給システム(104)は、
三方弁(314)を介して前記第1供給ライン(302)と流体連通して連結された第3供給ライン(316)であって、スラリー供給源(306)から前記第1供給ライン(302)にスラリーを供給する前記第3供給ライン(316)と、
前記三方弁(314)を介して前記第1供給ライン(302)と流体連通して連結された第4供給ライン(318)であって、燃料ガス供給源(308)から前記第1供給ライン(302)に燃料ガスを供給する前記第4供給ライン(318)とを更に備える、請求項1に記載のガス化システム(100)。
【請求項6】
前記燃料供給システム(104)は、前記第2供給ライン(304)と通信可能に連結された圧力制御装置(322)であって、前記第2供給ライン(304)の圧力上昇が検出されると、酸素排気口(324)を開いて、単一のフィードインジェクタ(108)に供給されている酸素の量を減少させるように構成された前記圧力制御装置(322)を更に備える、請求項1に記載のガス化システム(100)。
【請求項7】
ガス化システム(100)であって、
ガス化炉(102)と、
前記ガス化炉(102)と流体連通して連結されたフィードインジェクタ(108)と、
前記フィードインジェクタ(108)と流体連通して連結された燃料供給システム(104)とを備えており、前記燃料供給システム(104)は、
不活性ガス及び/又は燃料ガスを供給するための第1供給ライン(502)と、
スラリーを供給するための第2供給ライン(504)と、
酸素を供給するための第3供給ライン(506)と、
プロセッサ(112)を含む燃料供給システムコントローラ(106)とを備え、前記プロセッサ(112)は、
前記第1供給ライン(502)が前記フィードインジェクタ(108)に燃料ガスを供給するのを可能にし、
前記第3供給ライン(506)が前記フィードインジェクタ(108)に酸素を供給するのを可能にし、
前記ガス化炉(102)にスラリーを供給する命令を受信し、
前記第2供給ライン(504)が前記フィードインジェクタ(108)にスラリーを供給するのを可能にし、
前記第1供給ライン(502)が前記フィードインジェクタ(108)に燃料ガスを供給するのを防止し、
前記第1供給ライン(502)が所定の期間前記フィードインジェクタ(108)に不活性ガスを供給するのを可能にするようにプログラムされる、ガス化システム(100)。
【請求項8】
前記燃料供給システム(104)は、前記第3供給ライン(506)と流体連通する第4供給ライン(508)であって、前記第3供給ライン(506)から前記フィードインジェクタ(108)に酸素を供給するように構成された前記第4供給ライン(508)を更に備える、請求項7に記載のガス化システム(100)。
【請求項9】
前記フィードインジェクタ(108)はスリーストリームフィードインジェクタであり、前記スリーストリームフィードインジェクタは、
前記第1供給ライン(502)及び前記第4供給ライン(508)と流体連通する第1流路(202)と、
前記第2供給ライン(504)と流体連通する第2流路(204)と、
前記第3供給ライン(506)と流体連通する第3流路(206)とを備える、請求項8に記載のガス化システム(100)。
【請求項10】
前記燃料供給システム(104)は、前記第1供給ライン(502)と流体連通して連結された第5供給ライン(518)であって、不活性ガス供給源(516)から前記第1供給ライン(502)に不活性ガスを供給する前記第5供給ライン(518)を更に備える、請求項8に記載のガス化システム(100)。
【請求項11】
不活性ガスは、前記第1供給ライン(502)及び前記第1流路(202)をパージするために供給される、請求項10に記載のガス化システム(100)。
【請求項12】
前記燃料供給システムコントローラ(106)の前記プロセッサ(112)は、更に、スラリーの圧力が作動圧力を下回る場合、前記第2供給ライン(504)が前記フィードインジェクタ(108)にスラリーを供給するのを防止するようにプログラムされる、請求項7に記載のガス化システム(100)。
【請求項13】
ガス化炉(102)への燃料供給を切り換える方法であって、
前記ガス化炉(102)と流体連通して連結されたフィードインジェクタ(108)に燃料ガス及び酸素を供給するステップと、
前記ガス化炉(102)にスラリーを供給する命令を受信するステップと、
燃料ガスが前記フィードインジェクタ(108)に供給されるのを防止するステップと、
前記フィードインジェクタ(108)にスラリーを供給するステップとを含む、方法。
【請求項14】
前記ガス化炉(102)にスラリーを供給する命令の受信を受けて、フィードインジェクタ(108)に不活性ガスを供給するステップと、
一旦スラリーが前記フィードインジェクタ(108)の先端に到達すると、不活性ガスが前記フィードインジェクタ(108)に供給されるのを防止するステップとを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記ガス化炉(102)にスラリーを供給する命令の受信を受けて、所定の期間前記フィードインジェクタ(108)に不活性ガスを供給するステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
燃料ガス及びスラリーは、第1供給ライン(302)を通して前記フィードインジェクタ(108)に供給され、
酸素及び不活性ガスは、第2供給ライン(304)を通して前記フィードインジェクタ(108)に供給される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
燃料ガス及び不活性ガスは、第1供給ライン(502)を通して前記フィードインジェクタ(108)に供給され、
スラリーは、第2供給ライン(504)を通して前記フィードインジェクタ(108)に供給され、
酸素は、第3供給ライン(506)を通して前記フィードインジェクタ(108)に供給される、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
不活性ガスは、前記第1供給ライン(502)をパージするために供給される、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
スラリーが前記ガス化炉(102)に到達するまで、前記フィードインジェクタ(108)に供給されている酸素の純度レベルを低下させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。
【請求項20】
スラリーが前記フィードインジェクタ(108)の先端に到達すると、前記フィードインジェクタ(108)に供給されている酸素の量を増加させるステップを更に含む、請求項13に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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