説明

ガス回収装置

【課題】特に配電用変電所における小型の開閉設備からの絶縁性ガスの回収に好適なガス回収装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ガス回収装置1の装置本体10は、真空ポンプと、吸気側流路21、排気側流路22およびバイパス流路23とを備える主配管部20とが一体となっており、かつ、持ち運びのための取手部13Cを含むフレーム13が取り付けられている。このような構成によれば、作業者はこの取手部13Cを持って装置本体10を持ち上げることにより、真空ポンプと必要な配管とを一度に持ち運びすることができる。このようにガス回収装置1は、可搬性、作業性に優れ、作業者がLDS50の設置現場で容易にガス回収を行うことを可能にするものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス回収装置に関する。
【背景技術】
【0002】
配電用変電所の屋外開閉設備で多く使用されている負荷断路器(LDS)の遮断部内部には、絶縁性ガスとしてSFガスが充填されている。しかし、SFガスは、温室効果がきわめて高いことが最近になって指摘されており、また、分解までの寿命も長いことから、排出規制対象として指定されるに至っている。このため、LDSの劣化取替工事の際には、このSFガスを大気中に漏らすことなく確実に回収する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−143580号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、SFガスの温暖化効果が問題視されるようになったのは最近のことであり、現存するLDSが設置された当時には対応が想定されていなかったこと、小型のLDSに封入されるガス量はごく少量であり、劣化取替の際まで内部のガスを交換する必要がないこと、等の理由から、LDSからのガス回収への対応は遅れているのが実情である。大型の絶縁開閉装置(GIS)やガス遮断器(GCB)に関しては、修理・点検の際に内部のガスを抜くことが必要であるため、真空回収装置の開発や改良が進んでいる(例えば、特許文献1参照)が、ガス封入がごく少量であるLDSからのガス回収に適したガス回収装置は今まで開発されていなかった。これらの理由から、LDSに関しては、製造メーカの工場に遮断部を持ち込んで回収を依頼する他はなく、多大な労力と費用を要していた。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、特に配電用変電所における小型の開閉設備からの絶縁性ガスの回収に好適なガス回収装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するための手段として、本発明のガス回収装置は、配電用変電所の開閉設備に封入される絶縁性ガスを回収するためのガス回収装置であって、真空ポンプと、前記真空ポンプの吸気口に接続される吸気側流路、前記真空ポンプの排気口に接続される排気側流路、および前記吸気側流路と排気側流路との間を前記真空ポンプを迂回して接続するバイパス流路を備える主配管部と、前記真空ポンプを持ち運ぶための取手部とが一体に設けられた装置本体と、前記絶縁性ガスを貯留するための回収容器と、前記開閉装置と前記吸気側流路との間および前記排気側流路と前記回収容器との間を連結する連結配管部と、を備えるものである。
【発明の効果】
【0006】
本発明のガス回収装置は可搬性および作業性に優れており、配電用変電所における小型の開閉設備からの絶縁性ガスの回収に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態におけるガス回収装置の全体図
【図2】装置本体の正面図
【図3】装置本体の右側面図
【図4】装置本体の左側面図
【図5】装置本体の上面図
【図6】装置本体の背面図
【図7】装置本体の下面図
【図8】LDSと機器側ホースとの接続部分を示す部分拡大図
【図9】第1カプラの断面図
【図10】機器側ホースと装置本体との接続部分を示す部分拡大図
【図11】第2カプラの断面図
【図12】装置本体と回収側ホースとの接続部分を示す部分拡大図
【図13】第3カプラの断面図
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明のガス回収装置を具体化した実施形態について、図1〜図13を参照しつつ詳細に説明する。
【0009】
本発明のガス回収装置1は、特にLDS50の遮断部に封入される少量のSFガスの回収に適したものであって、SFガスを回収するための装置本体10と、回収したガスを貯留するための回収容器38と、装置本体10とLDS50のガス補給口51とを繋ぐ機器側ホース31と、装置本体10と回収容器38とを繋ぐ回収側ホース35とを備えている。
【0010】
装置本体10は、ガスを吸引するための小型の真空ポンプ11を備えている。真空ポンプ11としては一般的な構成のものを使用できるが、可搬性を考慮すると、作業者が一人で持ち運びできる程度に小型で軽量のものであることが好ましい。この真空ポンプ11には、ベース板12および左右一対のフレーム13が取り付けられている。ベース板12は、例えばステンレスにより矩形板状に形成され、真空ポンプ11の下面側にビスにより固定されている。
【0011】
一対のフレーム13は、それぞれステンレス等の金属により形成された丸棒を折り曲げ加工したものであって、ベース板12の下面側に配される脚部13Aと、この脚部13Aから延設されて真空ポンプ11の前面に沿って延びる配管取付部13Bと、配管取付部13Bの上端部から延設される取手部13Cとから構成されている。一対の脚部13Aは、ベース板12の下面側において左右の側縁部の全長にわたって配され、ベース板12に対して溶接により固着されている。一対の配管取付部13Bは、脚部13Aの前端から、それぞれ上方へ行くほど中心側(互いに近づく方向)に傾斜するように延設され、真空ポンプ11の上端位置よりもやや低い位置で互いに合わさり、さらに真空ポンプ11の上端位置を越える位置まで上方に延ばされている。取手部13Cは、配管取付部13Bの上端から後方へ向かって水平に延ばされており、作業者がこの取手部13Cをつかんで引き上げることにより、装置本体10を持ち運びできるようにされている。
【0012】
真空ポンプ11の前面には、パイプにより主配管部20が形成されている。パイプの材質としては、回収の対象であるガスにより腐食されにくいものが好ましく、例えばステンレス等が好ましい。
【0013】
主配管部20は、L字、T字等の必要な形状のパイプを互いに溶接により接続して、全体として略U字状をなすとともにそのU字の底部付近から直線状のパイプが側方に分岐した形状のものの一対が、分岐パイプが設けられている側が互いに向かい合うようにして、真空ポンプ11の前面において左右に1個ずつ配置されたものである。この主配管部20は、取付用金具14を介してフレーム13の配管取付部13Bに対して溶接およびビス止めにより固着されている。
【0014】
主配管部20における2つのU字部分において、それぞれ、一対の先端部のうち一方(内側に位置する端部)には、U字部分に使用されているパイプよりも径小の細管が接続され、この細管は上方および後方に向かって延設されている。一方(図2において右側)の主配管部20に備えられる細管の先端は真空ポンプ11の吸気口11Aに、他方(図2において左側)の主配管部20に備えられる細管の先端は真空ポンプ11の排気口11Bにそれぞれ接続されている。一方(図2において右側)のU字部分とそれに続く細管よりなる経路は、真空ポンプ11の吸気口11Aに接続され、ポンプ内に吸引されるガスの流路である吸気側流路21とされている。また、他方(図2において左側)のU字部分とそれに続く細管よりなる経路は、真空ポンプ11の排気口11Bに接続され、ポンプから排出されるガスの流路である排気側流路22とされる。
【0015】
これらの吸気側流路21および排気側流路22において、真空ポンプ11の吸気口11Aおよび排気口11Bと接続されている側とは逆側の端部には、それぞれ吸気側開閉弁24、および排気側開閉弁25がねじ込みにより取り付けられている。
【0016】
また、2つの分岐パイプの先端部は、バイパス側開閉弁26により互いに連結されている。一対の分岐パイプとこれらを繋ぐバイパス側開閉弁26により構成される経路は、吸気側流路21および排気側流路22との間をバイパスするバイパス流路23とされている。バイパス流路23は吸気側流路21における真空ポンプ11の吸気口11Aとの接続部よりやや上流位置から分岐し、排気側流路22における真空ポンプ11の排気口11Bとの接続部よりやや下流位置に接続される構成となっている。このバイパス流路23の存在により、真空ポンプ11を迂回してSFガスを回収容器38に送ることが可能なようにされている。
【0017】
回収容器38は、軽く、未使用時には折りたたむなどしてコンパクトに持ち運び可能であること、回収されたガスが漏れないように密閉性を確保できるものであること、回収の対象であるガスにより腐食されにくい材質であること、等の要件を満たすものであることが好ましく、例えばテドラーバック等のガス採集袋を用いることができる。この回収容器38の回収口には、回収側ホース35の一端部が気密状態に固着されている。
【0018】
また、機器側ホース31および回収側ホース35としては、軽くて持ち運びの容易な樹脂製のチューブを使用することが好ましい。ホース31、35の材質としては、回収の対象であるガスにより腐食されにくいものであることが求められる。
【0019】
LDS50のガス補給口51と機器側ホース31の一端部、機器側ホース31と装置本体10における吸気側流路21の接続口(吸気側開閉弁24)、装置本体10における排気側流路22の接続口(排気側開閉弁25)と回収側ホース35との間は、それぞれ、継手により接続−分離が可能とされている。継手としては、例えばカプラ(登録商標)を使用することができる。
【0020】
LDS50のガス補給口51と機器側ホース31とを接続する第1カプラ41は、雄側継手である第1プラグ41Aと雌側継手である第1ソケット41Bとで構成される。ここで、本実施形態のガス回収装置1によるガス回収の対象となるLDS50のガス補給口51は、詳細には図示しないが、ニードルストップバルブ構造になっている。すなわち、キャップを外し、止め弁を緩める方向に回転させることにより弁と弁座に隙間ができ、碍管蓋からのガス道ができる構造となっている。このため、第1ソケット41Bは、止め弁のキャップを外し、止め弁に対してねじ込むことにより接続される。一方、第1プラグ41Aは、機器ホース側開閉弁32およびホース継手33を介して機器側ホース31の一端部に接続されている。
【0021】
なお、上記のようにLDS50のガス補給口51が止め弁を回転させることにより開閉を行う構造となっている場合には、機器側ホース31を取り付けた後に止め弁を回転させると機器側ホース31にねじれが生じてしまい、止め弁の開閉動作やガス回収に支障が出てしまうおそれがある。このようなホースのねじれの問題を回避するために、例えば、接続後にホースの管軸周りの回転を許容する機構を有しているねじれ防止機構付き継手を用いることができる。このようなねじれ防止機構付き継手としては、例えば、ホースを接続するためのアダプタが継手本体に対して回転自在に取り付けられているもの等が存在する。
【0022】
装置本体10の吸気側流路21において吸気側開閉弁24が設けられている側の端部と機器側ホース31とを接続する第2カプラ42は、雄側継手である第2プラグ42Aと雌側継手である第2ソケット42Bとで構成される。第2プラグ42Aは、吸気側開閉弁24に対してねじ込みにより接続されている。一方、第2ソケット42Bは、機器側ホース31の他端部(第1プラグ41Aが接続されている側とは逆側)に、ホース継手34を介して接続されている。
【0023】
装置本体10の排気側流路22において排気側開閉弁25が設けられている側の端部と回収側ホース35とを接続する第3カプラ43は、雄側継手である第3プラグ43Aと雌側継手である第3ソケット43Bとで構成される。第3ソケット43Bは、排気側開閉弁25に対してねじ込みにより接続されている。一方、第3プラグ43Aは、回収側ホース35の一端部(回収容器38に固着されている側とは逆側)に、回収ホース側開閉弁36およびホース継手37を介して接続されている。
【0024】
なお、現場での作業の簡易性を考慮して、3箇所のカプラ41、42、43としては、連結の際にプラグ41A、42A、43Aのソケット41B、42B、43Bに対する挿入動作に伴って両者を抜け止め不能に保持する施錠部材の施錠動作がなされる、いわゆるワンタッチ連結式のもの(迅速継手)を採用することが好ましい。
【0025】
また、本実施形態では、ソケット41B、42B、43Bとしては、プラグ41A、42A、43Aが未接続のときには閉塞状態とされ、プラグ41A、42A、43Aが接続されると開放状態となる弁体41C、42C、43Cが内部に設けられた構造のものを使用している。これにより、ソケット41B、42B、43Bが開閉弁を兼ねる構造となっている。
【0026】
次に、上記のように構成されたガス回収装置1を使用してLDS50からガスを回収する方法について説明する。
【0027】
ガス回収を行う際には、作業者は、LDS50が設置された現場へガス回収装置1を運び、組み立てを行う。ここで、装置本体10は真空ポンプ11と主配管部20が一体化されたものであり、かつ、取手部13Cが取り付けられている。また、これらの真空ポンプ11、主配管部20、取手部13Cを合わせた装置本体10の重量は、成人1人で持ち運び可能な重量とされている。このため、作業者はこの取手部13Cを持って装置本体10を持ち上げることにより、容易に装置本体10の持ち運びを行うことができる。さらに、回収容器38としても、軽量で折り畳み可能であり、持ち運びが容易なガス採集袋を採用している。このように、ガス回収装置1は可搬性に優れているから、作業者はガス回収装置1の現場への運搬および組立作業を楽に行うことができる。
【0028】
組み立て作業の際には、まず、全ての開閉弁24、25、26、32、36およびLDS50のガス補給口51における止め弁が閉じられていることを確認した上で、ガス補給口51の止め弁からキャップを外し、第1ソケット41Bを止め弁に対してねじ込みにより固定する。次に、第1ソケット41Bと第1プラグ41A、第2ソケット42Bと第2プラグ42A、第3ソケット43Bと第3プラグ43Aをそれぞれ接続することによって、LDS50と装置本体10、装置本体10と回収容器38をそれぞれ機器側ホース31、回収側ホース35を介して接続する。プラグ41A、42A、43Aが接続されたことにより、ソケット41B、42B、43Bの内部に設けられている弁は開放状態となる。
【0029】
次に、ガス補給口51の止め弁を緩める方向に回転させて開く。次いで、真空ポンプ11の運転を停止させたままの状態で、5箇所の開閉弁24、25、26、32、36を、LDS50のガス補給口51に近い側から順次開いていく。LDS50のガス封入部の内部は、0.1〜0.2MPa程度の加圧状態となっているので、弁を開くことにより、内部のガスが自然に流れ出し、機器側ホース31、装置本体10の主配管部20、回収側ホース35を通って回収容器38に流れ込む。このとき、真空ポンプ11が停止状態となっていることにより、ガスは真空ポンプ11の内部を通過することができない。すなわち、停止状態の真空ポンプ11が吸引側流路21から真空ポンプ11の内部を通って排出側流路22へ至る流路を閉鎖する役割を果たしており、ガスはバイパス流路23を通って回収容器38へ至る。これにより、ガス封入部の内部が大気圧近傍まで減圧されるまでは、真空ポンプ11を運転することなくガスを回収することができる。
【0030】
ガス封入部の内部が大気圧近傍まで減圧されたら、バイパス側開閉弁26を閉じ、真空ポンプ11を作動させる。これにより、ガス封入部内に残留したガスは真空ポンプ11により吸引され、吸気側流路24から真空ポンプ11の内部および排気側流路25を通過して回収容器38に回収される。
【0031】
LDS50のガス封入部から全てのガスを回収したら、開閉弁24、25、32、36を、LDS50のガス補給口51に近い側から順次閉じた後、真空ポンプ11を停止させる。回収終了の判断はLDS50に付設のゲージを確認することにより行うことができ、ゲージ圧がほぼ0になってから1分程度運転を続けてから停止作業に入ればよい。最後に、3箇所のカプラ41、42、43におけるソケット41B、42B、43Bとプラグ41A、42A、43Aとを分離し、回収作業を終了する。
【0032】
なお、LDS50からのガス回収の場合、1回の回収作業により回収されるガスは少量である。よって、複数回の回収作業を行って回収容器38がいっぱいになってから、回収容器38およびこれに固着された回収側ホース35のみを装置本体10から取り外してガス処理設備に持ち込み、無害化処理を行えばよい。
【0033】
以上のように本実施形態のガス回収装置1によれば、装置本体10は、真空ポンプと、吸気側流路21、排気側流路22およびバイパス流路23とを備える主配管部20とが一体となっており、かつ、持ち運びのための取手部13Cを含むフレーム13が取り付けられている。このような構成によれば、作業者はこの取手部13Cを持って装置本体10を持ち上げることにより、真空ポンプと必要な配管とを一度に持ち運びすることができる。このように本実施形態のガス回収装置1は、可搬性、作業性に優れ、LDS50等の小型の開閉設備からのガス回収にきわめて好適である。
【0034】
加えて、吸気側流路21、排気側流路22において機器側ホース31、回収側ホース35と接続される側の端部には、それぞれ吸気側開閉弁24、排気側開閉弁25が取り付けられている。さらに、機器側ホース31の一端部には機器ホース側開閉弁32が、他端側には、内部に弁体を備える第1カプラ41の第1ソケット41Bが取り付けられている。加えて、回収側ホース35において回収容器38に固着されている側とは逆側の端部には回収ホース側開閉弁36が取り付けられている。このように、ガスの流路を構成する配管において、相手側の配管との接続口となる端部には全て開閉弁が設けられ、配管同士の接続を分離させる際には、この開閉弁を閉じてから行うようにされている。このような構成によれば、配管内部に残留するガスをも大気中に流出させることを回避し、ガスを確実に回収することができる。このようなガス回収装置1は、LDS50等の小型の開閉設備から温暖化効果を有する絶縁性ガスを大気中に放出させることなく簡易に回収するために、きわめて好適である。
【実施例】
【0035】
ガス回収装置によるガスの回収率を測定した。
ガス回収装置の装置本体として上記実施形態と同様の構成のものを製作した。また樹脂製の耐圧袋を2袋用意し、一方を回収袋、他方を封入袋とし、それぞれホースの一端部を気密に固着した。
【0036】
回収袋の重量をあらかじめ測定した。また、封入袋の重量をあらかじめ測定後、内部にSFガスを封入し、封入後の重量を測定した。この後、回収袋側のホースを装置本体の排気側流路へ、封入袋側のホースを装置本体の吸気側流路へ、それぞれ接続した。ホースと装置本体との接続部分には上記実施形態と同様、カプラおよび開閉弁を介在させた。
【0037】
装置本体の真空ポンプを作動させて、封入袋に封入されたSFガスを回収袋に回収した。回収作業終了後、開閉弁を閉じてホースを装置本体から分離し、封入袋、回収袋の重量をそれぞれ測定した。回収作業前および作業後の封入袋、回収袋の重量の測定値をそれぞれ表1に示す。なお、封入袋、回収袋の重量の測定はホースを固着した状態で行ったので、測定値にはホースの重量を含む。
【0038】
【表1】

【0039】
表1より、封入袋、回収袋の回収作業前と作業後の重量の差をそれぞれ求めることにより、封入袋から回収袋に移動したSFガスの重量を算出することができる。封入袋に封入されたSFガスの重量が36.05gであったのに対し、回収袋に回収されたSFガスの重量は35.92gであった。この結果より、回収作業による外部へのガス漏れはほとんどなく、99%以上の回収率を達成できることがわかった。なお、回収作業前の封入袋の重量と回収作業後の回収袋の重量との差分である0.13gのガスは、装置本体の配管内への残留分であると考えられる。
【0040】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、カプラとして、プラグ側には弁体が内蔵されていないものを使用しているため、プラグは開閉弁を介して主配管部、ホースに接続されているが、プラグとしても弁体が内蔵されているものを用い、プラグが弁体を兼ねる構造としても構わない。
(2)また逆に、ソケットとして弁体が内蔵されていないものを用い、開閉弁を介して主配管部やホースに接続しても構わない。
【符号の説明】
【0041】
1...ガス回収装置
10...装置本体
11...真空ポンプ
11A...吸気口
11B...排気口
13C...取手部
20...主配管部
21...吸気側流路
22...排気側流路
23...バイパス流路
24...吸気側開閉弁(開閉弁)
25...排気側開閉弁(開閉弁)
31...機器側ホース(連結配管部)
32...機器ホース側開閉弁(開閉弁)
35...回収側ホース(連結配管部)
36...回収ホース側開閉弁(開閉弁)
38...回収容器
42B...第2ソケット(開閉弁)
43B...第3ソケット(開閉弁)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
配電用変電所の開閉設備に封入される絶縁性ガスを回収するためのガス回収装置であって、
真空ポンプと、前記真空ポンプの吸気口に接続される吸気側流路、前記真空ポンプの排気口に接続される排気側流路、および前記吸気側流路と排気側流路との間を前記真空ポンプを迂回して接続するバイパス流路を備える主配管部と、前記真空ポンプを持ち運ぶための取手部とが一体に設けられた装置本体と、
前記絶縁性ガスを貯留するための回収容器と、
前記開閉装置と前記吸気側流路との間および前記排気側流路と前記回収容器との間を連結する連結配管部と、を備えるガス回収装置。
【請求項2】
前記主配管部および前記連結配管部において、互いに相手側の配管部との接続口には開閉弁が設けられている、請求項1に記載のガス回収装置。
【請求項3】
前記主配管部と前記連結配管部とが継手により連結されており、
前記継手が、内部に流体通路が設けられたソケットと、内部に流体通路が設けられて前記ソケットに連結されるプラグと、前記ソケットと前記プラグとを互いに抜け止め不能に保持する施錠部材とを備え、前記プラグと前記ソケットとの連結動作に伴って前記施錠部材の施錠動作がなされる迅速継手である、請求項1または請求項2に記載のガス回収装置。
【請求項4】
前記連結配管部と前記開閉設備とが継手により接続されており、前記継手が、この継手に前記連結配管部が接続された状態で前記連結配管部の管軸周りの回転を許容するねじれ防止機構を備えるねじれ防止機構付き継手である、請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載のガス回収装置。
【請求項5】
前記開閉設備が負荷断路器である、請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載のガス回収装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−60709(P2011−60709A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−211922(P2009−211922)
【出願日】平成21年9月14日(2009.9.14)
【出願人】(509257905)中部システム工業株式会社 (3)
【出願人】(000213297)中部電力株式会社 (811)
【Fターム(参考)】