説明

ガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム

【課題】被検知エリアにおけるガス検知器の設置位置の決定を支援する情報を提供する。
【解決手段】漏洩想定位置(放出点)におけるガスの漏洩に関し、複数の条件のそれぞれについて拡散シミュレーションが実行され、当該ガスの濃度分布が得られる。そして、条件ごとに、入力されたガス検知位置のうち、特定の濃度以上のガスを検知する位置の数が提示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス検知位置の配置の決定の支援に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、化学プラントなどにおいて、ガス検知器を、単にガス濃度の検知に利用するだけでなく、その検知方法に工夫を加えたり、または、検出されたガス濃度に他の情報を加えることにより、ガスの漏洩位置の特定に利用するための技術が種々開示されている。
【0003】
たとえば、特許文献1(特開平06−26972号公報)には、複数のガス検知器を用いてガスの漏洩位置を検出するための技術が開示されている。当該技術では、指向性を有するガス検知器を距離を隔てた少なくとも2地点に位置させ、それぞれのガス検知器を横方向に回転走査することにより、それぞれの走査角度に対する対象区域のガス濃度分布を測定する。そして、測定したガス濃度分布中の濃度上昇個所に対応するそれぞれの走査角度から対象区域中のガス漏洩位置を検出すると共に当該対象区域をカメラにより画像としてとらえ、ガス検知器により検出したガス漏洩位置を画像中に重畳して表示する。
【0004】
また、特許文献2(特開平07−43241号公報)には、風向風速計とガス検知器とを用いて、ガス漏洩位置を求める技術が開示されている。
【0005】
また、特許文献3(特開平08−43239号公報)には、3次元ガス拡散式に基づいてガス検知器からのガス濃度データおよびガス検知器の近辺に設置された風向き風速計からの風向き風速データからガス漏洩領域を推定する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平06−26972号公報
【特許文献2】特開平07−43241号公報
【特許文献3】特開平08−43239号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の技術では、ガス漏洩領域の特定または推定のために、ガス検知器にどのような検出をさせるか、または、ガス検知器の検出出力をどのように利用するかについては検討がなされていたものの、ガス検知器をどのように配置するかについては、検討がなされていなかった。つまり、従来では、ガス検知器の配置は、たとえば、管理者の経験に基づいて決定されていた。
【0008】
一方で、適切な位置でガス濃度の検知を行なうことは、ガスの特定の領域への拡散を未然に防止するための対策に寄与したり、ガス検知器の設置数を最小限に抑えることができる等の意味で重要であると考えられる。
【0009】
本発明は、かかる実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、被検知エリアにおけるガス検知器の設置位置の決定を支援する情報を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に従ったガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラムは、被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのコンピュータに、被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、ガスについての流量であって、被検知エリア内でガスの漏洩があった場合に、被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、漏洩想定位置において限界放出流量のガスの漏洩があった場合の、被検知エリア内でのガスの濃度分布のシミュレーションを、複数の条件のそれぞれについて実行するステップと、シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、条件ごとに、入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上のガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行させる。
【0011】
好ましくは、コンピュータに、複数の条件のいずれにおいても、特定の濃度以上のガスが、特定の数以上の位置で検知されるようなガス検知位置の配置を提示するステップをさらに実行させる。
【0012】
好ましくは、ガス検知位置の配置を提示するステップは、複数の条件のそれぞれについて実行されたシミュレーションにおいて得られた濃度分布のいずれにおいても、特定の濃度以上のガスが、特定の数以上の位置で検知されるために、ガス検知位置の変更または数を増加させるステップを含む。
【0013】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、風向きが異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0014】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、風速が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0015】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、大気安定度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0016】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、大気温度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0017】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、太陽からの放射熱が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0018】
好ましくは、限界放出流量を算出するステップは、ガスの拡散についての、地表面粗度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む。
【0019】
本発明に従ったガス検知位置の配置決定を支援する方法は、被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのコンピュータが、被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、ガスについての流量であって、被検知エリア内でガスの漏洩があった場合に、被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、漏洩想定位置において限界放出流量でのガスの漏洩があった場合の、被検知エリア内でのガスの濃度分布のシミュレーションを、異なる2以上の条件のそれぞれについて実行するステップと、シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、条件ごとに、入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上のガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行する。
【0020】
本発明に従った情報処理装置は、被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのガス検知位置の配置の決定を支援するための情報処理装置であって、プログラムを記憶する記憶装置と、記憶装置に記憶されたプログラムを実行する処理装置とを備え、プログラムは、処理装置に、被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、ガスについての流量であって、被検知エリア内でガスの漏洩があった場合に、被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、漏洩想定位置において限界放出流量でのガスの漏洩があった場合の、被検知エリア内でのガスの濃度分布のシミュレーションを、異なる2以上の条件のそれぞれについて実行するステップと、シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、条件ごとに、入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上のガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行させる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、漏洩想定位置におけるガスの漏洩に関し、複数の条件のそれぞれについて拡散シミュレーションが実行され、当該ガスの濃度分布が得られる。そして、条件ごとに、入力されたガス検知位置のうち、特定の濃度以上のガスを検知する位置の数が提示される。
【0022】
これにより、ガスが漏洩した場合に、風向きなどの条件が変わっても常に所定数以上の位置で特定の濃度以上のガスを検知できるような配置を得られる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施の形態において実行される最適配置決定処理のプログラムをインストールされたコンピュータのハードウェアブロック図である。
【図2】本実施の形態における拡散シミュレーションの対象となるエリアを説明するための図である。
【図3】本実施の形態において実行される最適配置決定処理のフローチャートである。
【図4】ガス検知器の配置の対象となるエリアについての、シミュレーションにおいて変更される条件をまとめて示す図である。
【図5】拡散シミュレーション結果の一例を示す図である。
【図6】拡散シミュレーション結果の他の例を示す図である。
【図7】図5および図6を含む複数の拡散シミュレーションについての、複数の観測点での最大検知濃度を示す図である。
【図8】拡散シミュレーション結果の一例を示す図である。
【図9】拡散シミュレーション結果の他の例を示す図である。
【図10】図8および図9を含む複数の拡散シミュレーションについての、複数の観測点での最大検知濃度を示す図である。
【図11】図5において8番のガス検知器が削除された状態を示す図である。
【図12】複数の拡散シミュレーションについての各観測点での最大検知濃度を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中の同一または相当部分については、同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0025】
<ハードウェア構成>
図1は、本発明の実施の形態において実行される最適配置決定処理のプログラムをインストールされたコンピュータのハードウェアブロック図である。
【0026】
図1を参照して、コンピュータ100は、CD−ROM(Compact Disk-Read Only Memory)駆動装置113を搭載したコンピュータ本体101と、モニタ102と、キーボード103と、マウス104とを含む。
【0027】
コンピュータ本体101は、CD−ROM駆動装置113に加えて、相互にバスで接続された、演算装置であるCPU(Central Processing Unit)105と、メモリ106と、記憶装置である固定ディスク107と、通信インターフェース109とを含む。
【0028】
本実施の形態に従う拡散シミュレーション処理は、CPU105がメモリ106などのコンピュータハードウェアを用いて、プログラムを実行することで実現される。一般的に、このようなプログラムは、CD−ROM114などの記憶媒体に格納されて、またはネットワークなどを介して流通する。そして、このようなプログラムは、CD−ROM駆動装置113などにより記憶媒体から読取られて、または通信インターフェース109にて受信されて、固定ディスク107に格納される。さらに、このようなプログラムは、固定ディスク107からメモリ106に読出されて、CPU105により実行される。
【0029】
なお、記憶媒体はCD−ROMに限定されない。記憶媒体の他の例としては、DVD−ROM(Digital Versatile Disk - Read Only Memory)、USB(Universal Serial Bus)メモリ、メモリカード、FD(Flexible Disk)、ハードディスク、磁気テープ、カセットテープ、MO(Magnetic Optical Disc)、MD(Mini Disc)、IC(Integrated Circuit)カード(メモリカードを除く)、光カード、マスクROM、EPROM、EEPROM(Electronically Erasable Programmable Read-Only Memory)などの、不揮発的にプログラムを格納する媒体が挙げられる。
【0030】
CPU105は、様々な数値論理演算を行なう演算処理部であり、プログラムされた命令を順次実行することで、本実施の形態に従う制御機能を提供する。メモリ106は、CPU105のプログラム実行に応じて各種の情報を記憶する。
【0031】
モニタ102は、CPU105が出力する情報を表示するための表示部であって、一例としてLCD(Liquid Crystal Display)やCRT(Cathode Ray Tube)などから構成される。すなわち、モニタ102には、シミュレーションの結果などが表示される。
【0032】
マウス104は、クリックやスライドなどの動作に応じたユーザから指令を受付ける。キーボード103は、入力されるキーに応じたユーザから指令を受付ける。
【0033】
通信インターフェース109は、コンピュータ100と他の装置との間の通信を確立するための装置であり、各種データを外部から受付可能である。
【0034】
なお、上述したようなコンピュータに代えて、その一部または全部を専用のハードウェアによって実現してもよい。
【0035】
<最適配置決定処理の概要>
従来より、大気拡散シミュレーションの結果に基づいて、特定の場所でガスの漏洩が生じたときに、漏洩ガスが滞留する可能性のある場所を予測することは一般的に実施されている。本実施の形態では、複数の条件(風向き、風速、等)のそれぞれについて上記シミュレーションを行ない、当該結果を用いて、ガス検知器の配置に関する情報を提供する。なお、本明細書では、「ガス検知器の配置」は、複数のガス検知器の設置位置の組合せを意味する。
【0036】
本実施の形態において、ガス検知器の配置に関する情報の提供の際に実施される処理の概要を、図2および図3を参照して以下に説明する。図2は、本実施の形態における拡散シミュレーションの対象となるエリアを説明するための図である。図3は、本実施の形態において、CPU105が、ガス検知器の最適な設置位置を決定するために実行する処理(最適配置決定処理)のフローチャートである。以下、図3中の処理番号に従って、最適配置決定処理の内容を説明する。
【0037】
1) 漏洩箇所の特定およびガス検知位置の初期設定(ステップS10)
本実施の形態では、まず、濃度検出の対象となるガス(以下、「着目ガス」という)の濃度についての管理レベルが異なる2つのエリアを想定する。具体的には、図2に示すように、管理レベルが比較的高い第1エリアOA1と、第1エリアOA1よりも管理レベルが低い第2エリアOA2とが、設定される。なお、管理レベルが高いとは、着目ガスについて許容されるガスの濃度が高いことを意味する。つまり、第2エリアOA2は、第1エリアOA1よりも、着目ガスについて、許容されるガスの濃度が低い。そして、本実施の形態の最適配置決定処理は、第1エリアOA1内で着目ガスが漏洩した際、第2エリアOA2において当該ガスの濃度が当該第2エリアOA2で許容される上限濃度に達する規模の漏洩であるか否かを迅速に判断することを目的としている。
【0038】
次に、第1エリアOA1において、着目ガスの漏洩しやすい箇所(漏洩想定箇所)の入力を受け付ける。図2では、第1エリアOA1内に、漏洩想定箇所として、P,Q,Rの3点が示されている。なお、本実施の形態において想定される「漏洩想定箇所」の数は、図2に示されたものに限定されない。単数であっても良い。なお、漏洩想定箇所としては、たとえば、着目ガスを取り扱う圧縮器、ポンプ、反応設備、貯槽、移送配管の接合部が考えられる。
【0039】
次に、第1エリアOA1において、上記の着目ガスの濃度を検知する機器(ガス検知器)の設置位置についての初期設定の入力を受け付ける。たとえば、既設のガス検知器の設置位置が、初期設定の設置位置として入力される。
【0040】
2) 「限界放出流量」の決定(ステップS20)
次に、シミュレーションの対象となるシステムにおける、限界放出流量を決定する。
【0041】
ここで、限界放出流量とは、着目ガスについて想定される流量であって、第1エリアOA1内のいずれの箇所から着目ガスが漏洩しても、第2エリアOA2において着目ガスの濃度が当該エリアにおける許容濃度に到達しない最大の流量である。
【0042】
限界放出流量の算出方法について、説明する。まず、入力された漏洩想定箇所のうち、第1エリアOA1と第2エリアOA2の境界(図2のエリア境界BD)に最も近いものを選択する。次に、選択された漏洩想定箇所における着目ガスの流量を変化させながら、複数回、拡散シミュレーションを行なう。なお、複数回のシミュレーションでは、着目ガスの流量および気象条件(風速、大気温度、大気安定度、など)が変更される。また、シミュレーションに使用される風向きは、上記選択された漏洩想定箇所から、境界BD上の当該漏洩想定箇所から最短距離にある点に向かう向きである。そして、当該複数回のシミュレーションの中で、上記境界BDにおける着目ガスの濃度が許容濃度となるときの着目ガスの流量が、限界放出流量として取得される。
【0043】
図2の例では、境界BDに最も近い漏洩想定箇所は、点Rである。図2では、点Rにおいてガスが漏洩した場合、当該ガスの大気拡散によるエリア境界BDに向けての到達範囲がRAで示されている。そして、図2の例では、境界BDにおいて最も点Rに近い点が点R’として示されている。限界放出流量の算出のために、点Rにおける着目ガスの流量を変化させながら、複数回、着目ガスについての拡散シミュレーションが実行される。なお、当該複数回のシミュレーションにおいて、風向きとしては、点Rから点R’に向かう向きが採用される。たとえば、第2エリアOA2における着目ガスの許容濃度がDS1(ppm)である場合、点R’の着目ガスの濃度がDS1(ppm)になったときの、点Rにおける着目ガスの流量(kg/min)が、着目ガスの限界放出流量である。
【0044】
なお、拡散シミュレーションには、米国SAFER Systems社製の正規分布型拡散モデル内蔵ツールであるTRACE(登録商標)など、公知の技術を利用することができるため、ここでは詳細な説明は繰り返さない。
【0045】
3) 限界放出流量の妥当性の検討(ステップS30)
限界放出流量は、実際のプロセス条件(温度、圧力、等)や漏洩想定箇所の配管の口径とは無関係に求められた値である。したがって、たとえば、着目ガスの配管が全破断したときの着目ガスの流量を推定した場合、当該推定した流量が限界放出流量よりも小さい等、算出された限界放出流量が現実に発生し得ない流量である場合も生じ得る。
【0046】
このことから、本実施の形態では、限界放出流量の妥当性の検討として、当該流量が、シミュレーションの対象となるシステムにおいて想定され得る流量であるか否かが判断される。想定され得ると判断された場合(たとえば、限界放出流量が上記想定され得る流量の最大値以下である場合)には、ステップS40以降の処理が実行される。一方、想定し得ない流量である場合(たとえば、限界放出流量が上記想定され得る流量の最大値を超える場合)には、ステップS40以降の処理は実行されない。
【0047】
4) ガス検知器設置位置の適正評価(ステップS40)
気象条件を変えて行なわれる複数の拡散シミュレーションのそれぞれについて、特定の濃度以上の濃度を検出できるガス検出器の数および位置が特定される。具体的には、以下に示す手順が行なわれる。
【0048】
まず、各漏洩想定箇所から前述の限界放出流量を放出流量として、風向を変えた拡散シミュレーションを実施する。風向以外の気象条件(風速、大気温度、大気安定度など)については、限界放出流量が得られた際の条件を固定値として使用するが、値を変えた拡散シミュレーションを実施しても良い。拡散シミュレーションは、漏洩想定箇所ごとに、行なわれる。つまり、漏洩想定箇所が2箇所あり、シミュレーションについての気象条件の組が4組準備された場合には、拡散シミュレーションは、2箇所のそれぞれについて4回、つまり、8回実行される。
【0049】
そして、各拡散シミュレーションの結果(着目ガスの濃度分布)に基づいて、ステップS10で入力を受け付けたガス検知器の設置位置において検知される当該ガスの濃度を特定する。当該濃度の特定は、たとえば、各ガス検知器の設置位置に対応する位置の、拡散シミュレーションの結果におけるガス濃度を特定することによって実現される。つまり、シミュレーション結果における設置位置のガス濃度が、当該位置に設置されたガス検知器がガスを検知する濃度である。これにより、1回の拡散シミュレーションごとに、各設置位置でのガスの検知濃度の推定値が得られる。
【0050】
そして、各拡散シミュレーションの結果について、特定の濃度以上のガスを検知できると推定されたガス検知器の数が特定される。
【0051】
5) 所定数以上のガス検知器での漏洩検知の可否の確認(ステップS50)
ガス検知器設置位置が適正か否かを判断するために、すべての拡散シミュレーション結果について、十分な数のガス検知器で着目ガスの漏洩を検知できたか否かを判断する。より具体的には、たとえば、ステップS40において特定した、特定の濃度以上のガスを検知できたガス検知器の数が、すべての拡散シミュレーション結果について、特定の数以上であったか否かを判断する。
【0052】
そして、ガス検知器設置位置が適正であると判断した場合、つまり、すべての拡散シミュレーション結果について特定のガス濃度を特定の数以上のガス検知器で検出できると判断された場合には、現在の配置が適正である旨を示す処理(そのようなメッセージをモニタ102に表示する、等)を実行して、処理を終了する。
【0053】
一方、ガス検知器の設置位置が適正ではないと判断した場合、つまり、少なくとも1つの拡散シミュレーション結果について、特定のガス濃度を検知できるとされたガス検知器の数が特定の数未満であった場合には、ステップS60へ処理が進められる。
【0054】
6) ガス検知器の設置位置の変更(ステップS60)
ガス検知器の設置位置が適正ではないと判断すると、CPU105は、ガス検知器の配置を変更して、ステップS40へ処理を戻す。
【0055】
なお、ステップS60が繰り返されるたびに、CPU105は、第1エリアOA1内で考えられる複数のガス検知器の設置位置の他の組合せへと、ガス検知器の配置を変更する。また、ステップS10において設置位置を入力されたガス検知器の数が1である場合には、CPU105は、ステップS60が繰り返されるたびに、第1エリアOA1内で考えられる別の設置位置に、ガス検知器の設置位置を変更する。
【0056】
以上、主に図3を参照して説明したように、最適配置決定処理では、ガス検知器の初期の配置の入力を受け付けられる。そして、当該配置が適切か否かが判断される。そして、適切であると判断されれば、その旨が表示される。一方、適切ではないと判断された場合には、配置に変更が加えられ、変更後の配置が適切であるか否かが判断される。
【0057】
<最適配置決定処理の具体例>
次に、最適配置決定処理の具体例について説明する。
【0058】
1) 漏洩箇所の特定およびガス検知位置の初期設定
図4には、ガス検知器の配置の対象となるエリアについて、シミュレーションにおいて変更される条件(風向きや放出点)がまとめて記載されている。
【0059】
図4では、図2の境界BDに相当する境界BD1が、破線で示されている。図4において境界BD1の内部が、ガス検知器の配置の対象となるエリアであり、図2の第1エリアOA1に対応する。また、図4では、境界BD1内に、シミュレーションの対象となる実際の領域と同様の配置で、建物や機器、防液堤などが示されている。
【0060】
そして、図4では、境界BD1の内部に、拡散シミュレーションの対象となるエリアについての、実際の建物に対応した図形が示されている。また、図4では、内部にA〜Cの文字を記載された「□」印により、漏洩想定箇所が示されている。さらに、図4では、内部に1〜8の数字を記載されたそれぞれの「○」印により、8個のガス検知器の設置位置が示されている。本明細書では、各ガス検知器を、内部に付された数字を用いて、「1番のガス検知器」「2番のガス検知器」等と呼ぶ。
【0061】
本実施の形態では、上記した実際の建物の位置や形状、漏洩想定箇所、および、ガス検知器の設置位置を特定する情報は、たとえば、キーボード103やマウス104を介して、コンピュータ100へ入力される。
【0062】
図4では、境界BD1の一部のみが示されている。また、境界BD1の内部であって、ガス検知器の配置場所として想定される領域が、領域PTとして波線で示されている。
【0063】
2) 「限界放出流量」の決定
図4では、A〜Cで示された漏洩想定箇所のうち、境界BD1に最も近い漏洩想定箇所が、点Bである。なお、図4では、境界BD1上の、最も点Bに近い場所が、点B′として示されている。
【0064】
そして、図3を参照して説明したように、点Bについての限界放出流量が算出される。
3) 限界放出流量の妥当性の検討
上記のように算出された限界放出流量について、図3を参照して説明したように、当該限界放出流量が実際のプロセス条件や漏洩想定箇所の配管の口径などに基づいて、シミュレーションの対象となるシステムにおいて想定され得る流量であるか否かが判断される。
【0065】
ここで、想定され得ないと判断されると、最適配置決定処理は、この時点で終了する。なお、CPU105は、この時点で、モニタ102にメッセージ(たとえば、対象となるシステムでは、漏洩想定箇所で着目ガスが漏洩しても、境界BD1外では当該ガスの濃度が許容濃度以上にはならないと想定されるため、シミュレーションが不要である旨のメッセージ)を表示しても良い。
【0066】
一方、上記のように算出された限界放出流量が、シミュレーションの対象となるシステムにおいて想定され得る流量であると判断されると、さらに、処理は、ステップS40(図3参照)以降へと進められる。
【0067】
4) ガス検知器設置位置の適正評価
上記したように、本実施の形態の最適配置決定処理では、限界放出流量の妥当性が確認された後、気象条件を変えて、複数の拡散シミュレーションが実行される。図5および図6は、それぞれ、異なる条件で実行されたシミュレーションの結果の一例を示す図である。
【0068】
図5および図6では、風向き、放出点(漏洩箇所)、ガス検出器による検出位置が示されている。なお、図4では、複数の風向きが記載されている。本実施の形態では、このように示された風向きごとに、異なる条件として、拡散シミュレーションが実行される。図4では、これらの異なる条件がまとめて示されている。
【0069】
なお、図5は、Cで示される漏洩想定箇所において漏洩が生じた場合の、拡散シミュレーション結果の一例を示し、また、図6は、図4でAで示される漏洩想定箇所においてガスの漏洩が発生した場合の拡散シミュレーションの結果の一例を示す図である。
【0070】
図5と図6の各図では、想定される着目ガスの濃度分布が、ハッチングの種類によって示されている。
【0071】
図7は、条件を変えて実行された各拡散シミュレーションについての、各観測点(設置位置)での最大検知濃度が示されている。なお、最大検知濃度とは、ステップS40において特定される、各ガス検知器の設置位置において検知されるガスの濃度である。図7では、各条件が、「A−1」「A−2」「B−1」「B−2」「C−1」「C−2」の6種類が示されている。また、観測点とは、図4〜図6において、1〜8を付された丸印で示された、ガス検知器の設置位置として入力された位置を意味する。図5のシミュレーション結果は、図7の条件C−2に対応し、図6のシミュレーション結果は、図7の条件A−1に対応する。
【0072】
図7では、たとえば、「A−1」の条件では、1番のガス検知器の最大検知濃度は、4.1(ppm)とされている。また、2番〜8番の最大検知濃度は、順に、「2.8」「0.6」「−」「−」「0.7」「2.6」「1.5」とされている。なお、これらの単位は、「ppm」である。また、図7において、「−」は、最大検知濃度が0.1ppm未満であったことを意味している。
【0073】
最大検知濃度とは、各ガス検知器の設置位置における、拡散シミュレーションにおける着目ガスのガス濃度である。
【0074】
図7では、さらに、検知器数という項目が設けられている。
検知器数は、1ppm、2ppm、3ppmのそれぞれの濃度について、1番から8番の検知器のうち、最大検知濃度が各濃度以上である検知器の数が、シミュレーション条件毎に記載されている。
【0075】
「A−1」の条件では、1ppm以上の濃度を検知すると予測される検知器の数は、「4」とされている。これは、条件「A−1」について、1ppm以上の最大検知濃度が1ppm以上であったガス検知器は、1番、2番、7番、および、8番の4台である。これに対応して、条件「A−1」の、1ppm以上の検知器数は、「4」とされている。
【0076】
また、条件「A−1」では、最大検知濃度が2ppm以上の検知器は、1番、2番、7番の3台である。これに対応して、図7では、条件「A−1」の、2ppm以上の検知器数は、「3」とされている。
【0077】
また、図7の条件「A−1」では、最大検知濃度が3ppm以上のガス検知器は、1番のみである。これにより、図7では、3ppmの検知器数が、「1」とされている。
【0078】
5) 所定数以上のガス検知器での漏洩検知の可否の確認
図3を参照して説明した最適配置決定処理では、ステップS50における確認処理は、図7に示されたような、各条件毎の、各ガス検知器について予測される最大検知濃度を用いて、行なわれる。
【0079】
なお、上記したように、確認処理は、特定のガス濃度を特定のガス以上のガス検知器が検出できるかどうかが判断される。
【0080】
ここで、「特定の数」を「2」とした場合を例に、以下説明を行なう。
「特定のガス濃度」が「1ppm」である場合には、図7が対応するガス検知器の配置は、適切なものであると判断される。条件「A−1」〜「C−2」のすべてについて、1ppmの検知器数が2以上であるからである。
【0081】
また、「特定のガス濃度」が「2ppm」とされた場合であっても、図7が対応するガス検知器の配置は、適正であると判断される。条件「A−1」〜「C−2」の6つの条件のすべてについて、2ppmでの検知器数が2以上であるからである。
【0082】
一方、図7に示された配置について、「特定のガス濃度」が「3ppm」である場合には、ガス検知器の配置が適正ではないと判断される。条件「A−2」〜「C−2」については、最大検知濃度が3ppm以上であるガス検知器数が2以上であるが、条件「A−1」については、最大検知濃度が3ppm以上であるのは1番のガス検知器のみで、検知器数が1とされているからである。つまり、上記した「特定の数」である2未満となる条件が存在するからである。
【0083】
したがって、図7に対応するガス検知器の配置について、特定の数が2とされた場合、特定のガス濃度が、1ppmまたは2ppmとされた場合には、当該配置が適正であると判断されて、そのまま最適配置決定処理は終了するが、特定の数が2とされ、特定のガス濃度が3ppmとされた場合には、図7の結果に対応するガス検知器の配置は適正ではないと判断されて、処理がステップS60へ進められる。
【0084】
6) ガス検知器の設置位置の変更
図8および図9は、それぞれ、図5と図6に対応した、拡散シミュレーションの結果を示す図である。なお、図8および図9では、図5および図6に示されたガス検知器の配置から、2番のガス検知器の位置が上方へと変更されている。この変更は、ステップS60における、処理の結果による。図8および図9では、このような位置の変更を示すために、2番のガス検知の丸印が「′」を付されて示されている。
【0085】
図10は、図8または図9に示されたガス検知器の配置に対応した、各シミュレーション条件での、各観測点での最大検知濃度を示す図である。
【0086】
図10における最大検知濃度、および、検知器数については、図7のそれらと同様の意味であるため、重複した説明は行なわない。
【0087】
図7と比較して、図10の最大検知濃度では、1番、および、3番〜7番のガス検知器の最大検知濃度は、図7と同様である。一方、2番(2′番)のガス検知器の最大検知濃度については、図7に示されたものから変化している。図8および図9に示したように、2番のガス検知器の設置位置が、図5または図6に示された位置から変更されているからである。
【0088】
図7を参照して、3ppmの検知器数についても、すべてのシミュレーション条件について、「2」以上となっている。したがって、図7に対応したガス検知器の配置は適正ではないと判断されるが、図10に対応したガス検知器の配置(2番のガス検知器の設置位置が変更された配置)は適正であると判断される。
【0089】
以上説明したように、本実施の形態では、ガス検知器の設置位置の入力を受付け、当該入力された設置位置(の組合せ)が適正か否かを判定することができる。
【0090】
また、適正ではないと判断された場合には、入力された位置からガス検知器の設置位置を変更し、再度、変更後のガス検知器の位置が適正であるか否かを判断する。
【0091】
なお、本実施の形態において、検知器数に関し、図7および図10では、複数の「特定のガス濃度」(1ppm、2ppm、3ppm)のそれぞれについて、各シミュレーション条件での検知器数が算出され、表示された。なお、検知器数の算出・表示は、少なくとも1つの「特定のガス濃度」のみについてなされればよい。
【0092】
また、図7または図10に示されたシミュレーション結果に基づく最大検知濃度や検知器数については、モニタ102に表示されることが好ましい。
【0093】
<最適配置決定処理の変形例>
以上説明した本実施の形態の最適配置決定処理では、ガス検知器の配置は変更されるが、ガス検知器の「数」が変更されることがなかった。
【0094】
しかしながら、設置位置を入力されたガス検知器の数では、すべてのシミュレーション条件のすべてにおいて、上記した特定の濃度以上のガスを特定の数以上のガス検知器で検出することができない場合がある。そのような場合、CPU105は、ガス検知器の数を増加させることを提案しても良い。
【0095】
具体的には、たとえば、初期設定として、図11に示されるような1番〜7番の7個のガス検知器の配置が入力されたとする。なお、図11は、図5において8番のガス検知器が削除された図に相当する。
【0096】
この場合の、条件A−1〜C−2の6個の条件での拡散シミュレーションに基くガス検出器の最大検知濃度を、図12に示す。
【0097】
図12では、条件C−2では、1ppm,2ppm,3ppmのいずれについても、検知器数が「1」となっている。したがって、上記した「特定の数」が「2」以上である場合には、図12に対応する配置は適正なものではないと判断される。
【0098】
さらに、ステップS60の処理を繰り返して7個の配置を如何に変更しても、図12に対応する配置が適正なものとは判断されない場合を想定する。このような場合には、CPU105は、ステップS60において、さらに、ガス検知器の数を「1」増加させ、増加後のガス検知器の配置を決定し、ステップS40へ処理を戻す。そして、CPU105は、ガス検知器の数を増加させた後、配置が適正と判断されるまで、ステップS40〜ステップS60の処理を繰り返す。そして、たとえば図9に示すような結果が得られると、最適配置決定処理を終了させる。
【0099】
また、CPU105は、このようにガス検知器の数を「1」増加させた後、如何にガス検知器の配置を変更しても適正な配置と判断した場合には、さらにガス検知器の数を「1」増加させる。このようにして、ステップS40〜ステップS60において、CPU105は、配置が適正と判断するまで、ガス検知器の数を増加させ、そして、数を増加した後のガス検知器群についてその配置を変更する。
【0100】
<その他の変形例>
●拡散シミュレーションにおいて変更可能な条件
以上説明した本実施の形態では、着目ガスについて、各漏洩想定箇所において、前述の限界放出流量を放出流量として、拡散シミュレーションが実施される。そして、当該拡散シミュレーションで得られたガス濃度分布に基づいて、当該着目ガスの濃度を検出するガス検知器の配置が適正であるか否かが評価された。
【0101】
上記拡散シミュレーションでは、風向等の条件が変更される。なお、変更可能な条件としては、「風向」「風速」「大気温度」「大気安定度」「太陽からの放射熱」「地表面粗度」などが挙げられる。
【0102】
●ユーザによる配置の変更
本実施の形態では、最初に入力されたガス検知器の配置が適正ではないと判断された場合に、適正であると判断されるまで当該配置が変更されていた。
【0103】
ここで、本実施の形態では、少なくとも、入力されたガス検知器の配置が適正であるか否かについてまでは判断することなく、当該判断をするための情報を、少なくとも表示すればよい。このような情報としては、たとえば、図7等に示した検知器数がある。
【0104】
つまり、図3のステップS40の処理が行なわれ、図7等に示したような拡散シミュレーションの結果に基く検知器数等を表示し、当該表示を見て、ユーザがガス検知器の配置を変更するようにしても良い。
【0105】
この場合、ステップS60において、CPU105は、ガス検知器の配置を変更する代わりに、ユーザからのガス検知器の設置位置の変更の入力を受け付ける。
【0106】
●拡散シミュレーションのためのツール
本実施の形態では、シミュレーションに用いるツールとして、上記したTRACE(登録商標)を採用した。これにより、短時間で多ケースの評価が可能である。ただし、評価エリア内に存在する障害物を地表面粗度の1つのパラメータで代表して評価するため、漏洩点周辺に建屋やプラント機器などの比較的大きな障害物が存在する場合には、拡散結果が実際とは大きく異なってしまう可能性がある。
【0107】
一方、フランスFruidyn社製3D−CFD(3次元熱流体解析)ツールである“PANEPR”は、有限堆積法をベースとした3次元CFDツールであり、流体の3基礎式および各種乱流モデルを内蔵していることで、障害物周辺の機械的な乱流構造を再現可能である。したがって、正規分布型拡散モデルでは予測できない障害物の影響を考慮した拡散予測が可能である。ただし、計算時間が長いため、多ケースの検討に対して早期に評価を実施することは難しい。拡散距離が遠方に及ぶ場合、遠方での到達濃度の予測値が計算誤差の累積に伴い、経験モデルである正規分布式での予測値よりも精度を欠く可能性がある。
【0108】
このことから、たとえば、限界放出流量の決定においてはTRACE(登録商標)の計算結果を適用し、一方、ステップS40以降のガス検知器の設置位置の適正評価については、モデルプラント内の限定された領域内に多数の障害物が配置されていることを考慮して、3次元CFDツール(たとえば、“PANEPR”)を用いて検討してもよい。
【0109】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。また、実施の形態やその変形例に示された内容は、それぞれ独立して、または、可能な限り組み合わされて、実施されることが意図される。
【符号の説明】
【0110】
100 コンピュータ、101 コンピュータ本体、102 モニタ、103 キーボード、104 マウス、105 CPU、106 メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのコンピュータに、
前記被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、
前記ガスについての流量であって、前記被検知エリア内で前記ガスの漏洩があった場合に、前記被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、
ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、
前記漏洩想定位置において前記限界放出流量のガスの漏洩があった場合の、前記被検知エリア内での前記ガスの濃度分布のシミュレーションを、複数の条件のそれぞれについて実行するステップと、
前記シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、前記条件ごとに、前記入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上の前記ガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行させる、ガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項2】
前記コンピュータに、
前記複数の条件のいずれにおいても、前記特定の濃度以上の前記ガスが、特定の数以上の位置で検知されるようなガス検知位置の配置を提示するステップをさらに実行させる、請求項1に記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項3】
前記ガス検知位置の配置を提示するステップは、
前記複数の条件のそれぞれについて実行された前記シミュレーションにおいて得られた濃度分布のいずれにおいても、前記特定の濃度以上の前記ガスが、前記特定の数以上の位置で検知されるために、ガス検知位置の変更または数を増加させるステップを含む、請求項2に記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項4】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、風向きが異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項3のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項5】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、風速が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項4のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項6】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、大気安定度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項5のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項7】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、大気温度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項6のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項8】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、太陽からの放射熱が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項7のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項9】
前記限界放出流量を算出するステップは、前記ガスの拡散についての、地表面粗度が異なる2以上の条件でのシミュレーションを含む、請求項1〜請求項8のいずれかに記載のガス検知位置の配置の決定を支援するためのプログラム。
【請求項10】
被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのコンピュータが、
前記被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、
前記ガスについての流量であって、前記被検知エリア内で前記ガスの漏洩があった場合に、前記被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、
ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、
前記漏洩想定位置において前記限界放出流量でのガスの漏洩があった場合の、前記被検知エリア内での前記ガスの濃度分布のシミュレーションを、異なる2以上の条件のそれぞれについて実行するステップと、
前記シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、前記条件ごとに、前記入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上の前記ガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行する、ガス検知位置の設定を支援する方法。
【請求項11】
被検知エリアにおいてガス検知位置の配置の決定を支援するためのガス検知位置の配置の決定を支援するための情報処理装置であって、
プログラムを記憶する記憶装置と、
前記記憶装置に記憶されたプログラムを実行する処理装置とを備え、
前記プログラムは、前記処理装置に、
前記被検知エリア内においてガスの漏洩が想定される位置である漏洩想定位置の入力を受付けるステップと、
前記ガスについての流量であって、前記被検知エリア内で前記ガスの漏洩があった場合に、前記被検知エリア外に、当該被検知エリア外において許容される濃度に達しない最大の流量である限界放出流量を算出するステップと、
ガス検知位置の入力を受け付けるステップと、
前記漏洩想定位置において前記限界放出流量でのガスの漏洩があった場合の、前記被検知エリア内での前記ガスの濃度分布のシミュレーションを、異なる2以上の条件のそれぞれについて実行するステップと、
前記シミュレーションにおいて得られた濃度分布に基づいて、前記条件ごとに、前記入力を受け付けたガス検知位置のうち、特定の濃度以上の前記ガスを検知する位置の数を算出し、提示するステップとを実行させる、情報処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図7】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図5】
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【図6】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−247307(P2012−247307A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−119353(P2011−119353)
【出願日】平成23年5月27日(2011.5.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】