説明

ガス消火設備

【課題】 噴射ヘッド13から消火ガスを噴射した際の音響を低減抑制することができるガス消火設備を提供する。
【解決手段】 消火ガス供給源15から導管14を介して供給される消火ガスを噴射する噴射ヘッド13に、消音装置17bを設ける。消音装置17bは、筒状の周壁35と、周壁35とともに内部空間39を規定する端壁36と、周壁35を噴射ヘッド13に着脱可能に取付ける取付け部37と、内部空間39に収容される吸音材40とを含む。端壁35には、複数の通気孔38が形成される。吸音材40は、多孔質の材料、たとえばワイヤメッシュ、多孔質金属などから成る。噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの平坦面または湾曲面である端面に、吸音材40の端面125cが面接触する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災発生時に建物の消火対象区画内にNガスまたはハロゲン化物ガスなどの消火ガスを消火剤として放出することによって、消火対象区画内のO濃度を低下させて消火するガス消火設備に関し、さらに詳しくは消火対象区画内に設けられる噴射ヘッドから消火ガスを噴射した際に発生する大音響を低減するために好適に実施することができるガス消火設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、消火剤としてCOガス、Nガスおよびハロゲン化物などの消火ガスを消火対象区画内に放出して、その消火対象区画内のO濃度を低下させることによって消火を行うガス消火設備が各種の建物に装備されている。
【0003】
図16は、従来技術のガス消火設備で用いられる消火ガス噴射部1を示す斜視図である。消火ガス噴射部1は、消火ガス供給源2から火災発生時に供給される高圧の消火ガスを噴射する噴射ヘッド3と、噴射ヘッド3が接続される導管4とを備える。
【0004】
導管4は、消火ガス供給源2に接続される主管5と、主管5に介在される分岐管6と、分岐管6によって主管5からの消火ガスが導かれ、前記噴射ヘッド3が接続される枝管7とを有する。主管5は、建物の躯体またはその躯体に固定された基台8およびブラケット9にUボルトなどの締結具10によって締結され、噴射ヘッド3の振動および変位が抑制された状態で設置されている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平8−173565号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
前記従来の技術では、消火ガス供給源2から導管4を経て供給される高圧の消火ガスを噴射ヘッド3から大量に噴射するため、噴射ヘッド3のノズル部112に形成されるノズル孔116から高速で噴射される消火ガス流によって、いわば空気を切り裂くような大音響を発生してしまうという問題がある。
【0007】
本発明の目的は、噴射ヘッドからの消火ガスの噴射流に起因する音響を減衰させることができるガス消火設備を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを、噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射し、ノズル孔16からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17b;17c;17f;17g;17hが備えられるガス消火設備であって、
前記消音装置17b;17c;17f;17g;17hは、
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aに、吸音材40;46;125;134;152の端面125cが面接触し、
吸音材40;46;125;134;152は、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材40;46;125;134;152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げることを特徴とするガス消火設備である。
本発明は、消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを導管14から噴射ヘッド13に導き、この噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射し、ノズル孔16からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17b;17c;17f;17g;17hが備えられるガス消火設備であって、
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aは、ノズル孔16の軸線L12に垂直な仮想平面上に形成され、
前記消音装置17b;17c;17f;17g;17hは、
ノズル孔16の出口端部まわりの前記端面12aに、吸音材40;46;125;134;152の端面125cが面接触し、
吸音材40;46;125;134;152は、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材40;46;125;134;152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げることを特徴とするガス消火設備である。
本発明は、高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、
噴射ヘッドが接続され、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、
導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、
噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17bとを含み、
消音装置17bは、
筒状の周壁35と、
周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成され、周壁とともに内部空間39を規定し、複数の通気孔38が該端壁の厚み方向に貫通して形成される端壁36と、
前記内部空間に収容される吸音材40であって、噴射ヘッドのノズル部におけるノズル孔が開口するノズル孔の出口端部まわりの端面に、吸音材40の端面が面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッドに形成されたノズル部のノズル孔から高速で噴射された消火ガスを、拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げ、消火ガスの噴射流の振動を吸収する吸音材40と、
周壁の軸線方向他端部に設けられ、噴射ヘッドに取付けられる取付け部37とを含むことを特徴とするガス消火設備である。
本発明は、(a)高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射するノズル孔16が形成されるノズル部12を有する噴射ヘッド13と、
(b)噴射ヘッド13が接続される端部を有し、噴射ヘッド13に高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)導管14に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源15と、
(d)噴射ヘッド13に設けられ、ノズル部12からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17cとを含むガス消火装置であって、
(e)噴射ヘッド13は、導管14の前記端部に接続され、
(f)ノズル部12に形成されるノズル孔16は、導管14の前記端部の軸線に沿って延び、
前記消音装置17cは、
(g)導管14の前記端部の軸線に沿って延びる軸線を有する円筒状の周壁41であって、
ノズル孔16の出口から消火ガスの噴射方向下流で周壁41の軸線に垂直に拡がった内部空間45を形成し、
複数の通気孔44が該周壁41の厚み方向に貫通して形成される周壁41と、
(h)周壁41の軸線方向のノズル部12から遠ざかった一端部に、該周壁41の軸線に垂直に形成され、前記周壁41とともに内部空間45を規定する端壁42と、
(i)周壁41の軸線方向のノズル部12に近い他端部に設けられ、噴射ヘッド13に取付けられる取付け部43と、
(j)前記内部空間45に収容される吸音材46であって、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面に、吸音材46の端面125cが面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスを、前記内部空間45内で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる吸音材46とを含むことを特徴とするガス消火設備である。
【0009】
本発明は、(a)高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源15と、
(b)消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)導管14の端部にねじによって接続され、ノズル部12を有し、このノズル部12には、導管14からの高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射する導管14の端部の軸線に沿って延びるノズル孔16が形成される噴射ヘッド13と、
(d)噴射ヘッド13に設けられ、ノズル部12からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17f;17gとを含むガス消火設備であって、
前記消音装置17f;17gは、
(e)ノズル孔16の軸線L12に沿って延びる軸線L121を有する円筒状の周壁121;131であって、
ノズル孔16の出口から消火ガスの噴射方向下流に拡がった内部空間124;140を形成する周壁121;131と、
(f)周壁121;131の軸線L121方向のノズル部12から遠ざかった一端部に形成され、前記周壁121;131とともに前記内部空間124;140を規定し、透孔122bが周壁121の軸線L121方向に貫通して形成される端壁122;143と、
(g)周壁121;131の軸線L121方向のノズル部12に近い他端部に設けられ、噴射ヘッド13に取付けられる取付け部123;133と、
(h)前記内部空間124;140に収容される吸音材125;134であって、
吸音材125;134の前記ノズル部12から遠ざかった一端面125bと、前記ノズル部12に近い他端面125cとを有し、
取付け部123;133が噴射ヘッド13に取付けられることによって、前記一端面125b側と吸音材125;134の前記ノズル部12から遠ざかった前記端壁122;143とが接触するとともに、前記他端面125cと前記ノズル部12の前記端面12aとが面接触し、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスを、前記内部空間124;140に収容された吸音材125;134で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる吸音材125;134とを含むことを特徴とするガス消火設備である。
【0010】
本発明は、(a)導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、
(b)消火ガス供給源からの高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)噴射ヘッド13であって、
導管14に接続され、ノズル部12を有し、このノズル部12は、導管14からの高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射するノズル孔16が厚み方向に貫通して形成される筒部167を有する噴射ヘッド13と、
(d)噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17hであって、
噴射ヘッド13の筒部167を覆って装着される吸音材152であって、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面に、吸音材152の端面が面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる消音装置17hとを含むことを特徴とするガス消火設備である。
本発明は、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aと、吸音材40;46;125;134;152の端面125cとは、平坦面(図4,5,13,14)で、または湾曲面(図15)で、面接触することを特徴とする。
本発明は、吸音材40;46;125;134;152は、ノズル孔16から噴射される消火ガスが流れる方向に積層されることを特徴とする。
本発明は、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16は、そのノズル孔16が延びる軸線に垂直な断面が軸線方向に一様であることを特徴とする。
ガス消火設備は、高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、噴射ヘッドが接続され、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置とを含むガス消火設備であって、前記消音装置は、
筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される端壁と、噴射ヘッドに着脱可能に形成される取付け部と、周壁、端壁および噴射ヘッドによって規定される内部空間に収容される、多孔質の金属から成る吸音材とを含むガス消火設備である。
吸音材は、ワイヤメッシュ、多孔質金属などの多孔質の材料から成り、内部空間に収容される。このような吸音材をノズル孔の直後に設けることによって、枝管側から供給される消火ガスを徐々に減圧膨張し、その流速を下げることができる。これによって、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。
【0011】
前記吸音材134,135は、
周壁131の軸線方向一端部に設けられる第1吸音材134と、その周壁131の軸線方向他端部に設けられる第2吸音材135とを含んでもよい。
【0012】
本発明に従えば、吸音材は、周壁の軸線方向一端部に設けられる第1吸音材と、前記軸線方向他端部に設けられる第2吸音材とを含むので、ノズル孔の直後で枝管側から供給される消火ガスを第1吸音材によって徐々に減圧膨張し、その流速を下げることができるとともに、噴射直前に第2吸音材によって消火ガスをさらに減圧膨張し、その流速を下げることができる。これによって、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生をさらに抑制することができる。
【0013】
前記第1吸音材134と前記第2吸音材135との間に設けられる、第3吸音材136をさらに含んでもよい。
【0014】
本発明に従えば、第1吸音材と第2吸音材との間には、第3吸音材が設けられるので、第3吸音材によって、消火ガスの噴射流に起因する音響振動を吸収し、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、噴射ヘッドに消音装置が設けられるので、火災発生時に噴射ヘッドのノズル部から消火ガスが噴射されても大きな噴射音が発生することを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一参考例のガス消火設備に備えられる消火ガス噴射部11を示す斜視図である。
【図2】消音装置17の拡大断面図である。
【図3】本発明の他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17aを示す拡大断面図である。
【図4】本発明の実施の一形態のガス消火設備に備えられる消音装置17bを示す拡大断面図である。
【図5】本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17cを示す拡大断面図である。
【図6】本発明のさらに他の参考例のガス消火設備の噴射ヘッド50を示す断面図である。
【図7】図6に示す噴射ヘッド50による効果を説明するための断面図である。
【図8】本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置60を示す拡大断面図である。
【図9】本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置60aを示す拡大断面図である。
【図10】本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17dを示す拡大断面図である。
【図11】消音装置17dによる消音効果を説明するためのグラフである。
【図12】本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17eを示す拡大断面図である。
【図13】本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17fを示す拡大断面図である。
【図14】本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17gを示す拡大断面図である。
【図15】本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17hを示す拡大断面図である。
【図16】従来技術のガス消火設備で用いられる消火ガス噴射部1を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は、本発明の一参考例のガス消火設備に備えられる消火ガス噴射部11を示す斜視図である。本参考例のガス消火設備は、建物の消火対象区画内に設けられ、高圧の消火ガスを前記消火対象区画内の空間に向けて噴射するノズル部12を有する噴射ヘッド13と、噴射ヘッド13が接続され、噴射ヘッド13に高圧の消火ガスを導く導管14と、導管14に高圧の不活性ガスを供給する消火ガス供給源15と、噴射ヘッド13に設けられ、ノズル部12に形成されるノズル孔16から噴射される消火ガスの噴射による噴射音などに起因して発生する音響を減衰させる消音装置17とを含む。
【0018】
前記消火ガスは、NガスおよびCOガスなどの不活性ガスまたはハロゲン化物ガスなどの活性ガスによって実現され、このような消火ガスを消火剤として放出することによって、消火対象区画内のO濃度を低下させて消火することができる。
【0019】
前記噴射ヘッド13と消音装置17とによって、前記消火ガス噴射部11を構成する。このような消火ガス噴射部11には、消火ガス供給源15から導管14を経て噴射ヘッド13に供給される。導管14は、消火ガス供給源15に接続される主管23と、主管23に介在される分岐管18と、分岐管18に接続される枝管19とを含み、このような導管14を経て消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスが前記噴射ヘッド13に導かれる。導管14は、基台20およびブラケット21にUボルトなどの締結具22によって締結され、振動および変位が抑制された状態で建物の躯体に設置されている。
【0020】
図2は、消音装置17の拡大断面図である。前記消音装置17は、円筒状の周壁25と、周壁25の軸線方向一端部に該周壁25の軸線に垂直に形成される端壁26と、周壁25の軸線方向他端部に、噴射ヘッド13に着脱可能に接続される取付け部27と、周壁25内にその内周面に沿って装着されて収容される円筒状の吸音材33とを含む。このような吸音材33としては、たとえばワイヤメッシュを複数積層して構成されてもよい。前記端壁26には、同一軸線上にガス放出孔34が形成される。
【0021】
このように構成される消音装置17を用いることによって、噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスの噴射流に起因する音響振動は、吸音材33によって吸収され、ガス放出孔34から外部へ放出される。これによって、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。
【0022】
図3は、本発明の他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17aを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の前記消音装置17aは、円筒状の周壁25と、周壁25の軸線方向一端部に該周壁25の軸線に垂直に形成される端壁26と、周壁25の軸線方向他端部に、噴射ヘッド13が一体的に形成される取付け部27と、噴射ヘッド13のノズル部12における消火ガスの噴射方向下流側に臨む部分28に設けられる内筒体29とを含む。
【0023】
内筒体29は、複数の透孔30が形成される直円筒状の筒状部31と、筒状部31の軸線方向一端部に、該筒状部31の軸線に垂直に形成される端板32とを有する。
【0024】
このような消音装置17によって、噴射ヘッド13のノズル部から高速で噴射された消火ガスは、内筒体29内で、この内筒体29の筒状の端板32に衝突し、筒状部31に形成される複数の透孔30から放出された後、さらに筒状部31と周壁25との間の空間を経て、端壁26に形成されるガス放出孔34から外部へ放出され、消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0025】
図4は、本発明の実施の一形態のガス消火設備に備えられる消音装置17bを示す拡大断面図である。本実施の一形態の消音装置17bは、円筒状の周壁35と、周壁35の軸線方向一端部に該周壁35の軸線に垂直に形成される端壁36と、周壁35の軸線方向他端部に噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部37とを有する。端壁36には、複数の通気孔38が該端壁36の厚み方向に貫通して形成される。
【0026】
前記消音装置17bはまた、周壁35、端壁36および取付け部37によって規定される内部空間39に、吸音材40が収容される。この吸音材40としては、ワイヤメッシュを複数積層して構成されてもよい。
【0027】
このように構成される消音装置17aを備えるガス消火設備によって、噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスは、周壁35内の空間を経て端壁36に衝突し、この端壁36に形成される複数の通気孔38から外部へ放出される。このような消音装置の構成によってもまた、大音響が発生することが防がれる。
【0028】
図5は、本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17cを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の消音装置17は、円筒状の周壁41と、周壁41の軸線方向一端部に該周壁41の軸線に垂直に形成される端壁42と、周壁41の軸線方向他端部に、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部43とを有する。周壁41には、複数の通気孔44が該周壁41の厚み方向に貫通して形成される。
【0029】
このような消音装置17cには、周壁41、端壁42および取付け部43によって規定される内部空間45に吸音材46が収容される。この吸音材46としては、たとえばワイヤメッシュを複数積層して構成されてもよい。
【0030】
このように構成される消音装置17cを備えるガス消火設備によって、噴射ヘッド13のノズル部12から噴射された消火ガスは、端壁42に衝突してその流速が減衰し、周壁41に形成される複数の通気孔44から外部に放出される。これによって、消火ガスに噴射に起因して大きな音響が発生することが防がれる。
【0031】
図6は、本発明のさらに他の参考例のガス消火設備の噴射ヘッド50を示す断面図であり、図7は図6に示す噴射ヘッド50による効果を説明するための断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例のガス消火設備は、建物内に設けられ、高圧の消火ガスを前記建物内の空間に向けて噴射するノズル部12を有する噴射ヘッド50と、噴射ヘッド50が接続され、噴射ヘッド50に高圧の消火ガスを導く導管14と、導管14に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源15とを含む。
【0032】
噴射ヘッド50のノズル部12には、前記導管14の枝管19の内周面51に滑らかに連なる内周面52を有するノズル孔16が形成される。
【0033】
このように構成される噴射ヘッド50を用いることによって、消火ガス供給源15から導管14に供給された高圧の消火ガスは、噴射ヘッド50のノズル孔16を介して建物内の空間に向けて噴射される。このとき、噴射ヘッド50には導管14の枝管19の内周面51に滑らかに連なる内周面52を有するノズル孔16が形成されるので、噴射ヘッド50のノズル部12から高速で噴射される消火ガスの噴射流、たとえば図7に示す噴射ヘッド50aにおいて、導管14の枝管19の内径D1よりも小さい内径D2のノズル孔16の流入口に臨むエッジ部55などに起因する大きな噴射音の発生を防止することができる。
【0034】
図8は、本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置60を示す拡大断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の消音装置60は、円筒状の周壁61と、周壁61の軸線方向一端部に、枝管19に着脱可能に形成される取付け部62と、周壁61の軸線方向他端部に、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部63と、前記一端部に該周壁61の軸線に垂直に形成される端壁64と、前記他端部に該周壁61の軸線に垂直に形成される端壁65とを有する。
【0035】
端壁64には、少なくとも1つの透孔66が該端壁64の厚み方向に貫通して形成される。少なくとも1つの透孔66は、周壁61の軸線を中心として該端壁64の中央部68に形成され、枝管19から供給される消火ガスの流量を絞る。端壁65には、複数の透孔67が該端壁65の厚み方向に貫通して形成される。複数の透孔67は、周壁61の軸線を中心として該端壁65の中央部69を除く残余の周辺部70に形成される。端壁64,65は、たとえばパンチングメタルによって構成される。
【0036】
このような消音装置60によって、端壁64に形成される透孔66から高速で噴射された消火ガスは、消音装置60内で、端壁65の中央部69に衝突してその流速が減衰し、端壁65に形成される複数の透孔67から、端壁65と噴射ヘッド13とで規定される空間内に放出された後、ノズル部12に形成されるノズル孔16から外部へ放出される。消音装置60は、端壁64に形成される透孔66から高速で噴射された消火ガスを消音装置60内の空間で膨張させることによって、端壁65に形成される透孔67での流速を下げるので、ノズル孔16からの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0037】
図8に示した参考例では、端壁65の中央部69に透孔67を形成していないが、端壁65の中央部69に透孔67を形成してもよい。端壁65の中央部69に透孔67を形成していない場合の方が、端壁65の中央部69に透孔67を形成する場合よりも、透孔66から高速で噴射された消火ガスを跳ね返す量が多く、より流速を下げるので、消音効果は高い。
【0038】
図9は、本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置60aを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の消音装置60aは、円筒状の周壁61と、周壁61の軸線方向一端部に、枝管19に着脱可能に形成される取付け部62と、周壁61の軸線方向他端部に、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部63と、前記一端部に該周壁61の軸線に垂直に形成される端壁64aと、前記他端部に該周壁61の軸線に垂直に形成される端壁65とを有する。
【0039】
端壁64aには、枝管19から供給される高圧の消火ガスを、周壁61および端壁64a,65によって規定される内部空間に噴出する複数のノズル孔71を有する案内部72が、周壁61の軸線上に該内部空間に臨んで形成される。案内部72の複数のノズル孔71は、周壁61の軸線に直交する軸線上に、周壁61の軸線に関して周方向に等角度で間隔をあけて形成される。端壁65には、複数の透孔67が該端壁65の厚み方向に貫通して形成される。複数の透孔67は、周壁61の軸線を中心として該端壁65の中央部69を除く残余の周辺部70に形成される。端壁65は、たとえばパンチングメタルによって構成される。図9に示した参考例では、端壁65の中央部69に透孔67を形成していないが、端壁65の中央部69に透孔67を形成してもよい。
【0040】
このような消音装置60aによって、端壁64aに形成される案内部72のノズル孔71から高速で噴射された消火ガスは、消音装置60a内で、周壁61の内周面に衝突してその流速が減衰し、端壁65に形成される複数の透孔67から、端壁65と噴射ヘッド13とで規定される空間内に放出された後、ノズル部12に形成されるノズル孔16から外部へ放出される。消音装置60aは、ノズル孔71から高速で噴射された消火ガスを消音装置60内の空間で膨張させることによって、端壁65に形成される透孔67での流速を下げるので、ノズル孔16からの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0041】
図10は、本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17dを示す拡大断面図である。消音装置17dは、たとえば消火対象区画の壁面に設けられる噴射ヘッド13に取付けられて好適に使用される。
【0042】
なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の前記消音装置17dは、円筒状の周壁81と、周壁81の軸線方向一端部に該周壁81の軸線に垂直に形成される端壁82と、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部83を有し、周壁81の軸線方向他端部に該周壁81の軸線に垂直に形成される端壁84と、端壁82と端壁84との間に、周壁81の軸線に垂直に形成される障壁85と、噴射ヘッド13から噴射される消火ガスを、周壁81、端壁82および障壁85によって規定される内部空間である消音室86に導く円筒状の導通管87と、周壁81、端壁84および障壁85によって規定される内部空間である消音室88内の消火ガスを消音装置17dの外部に導く円筒状の通気管89とを含む。
【0043】
周壁81、端壁82および端壁84は、たとえば消音材によって構成される。障壁85には、複数の透孔851が該障壁85の厚み方向に貫通して形成される。障壁85は、たとえばパンチングメタルによって構成される。
【0044】
導通管87は、障壁85を貫通し、消音室86に突き出して配置される。導通管87には、導通管87の軸線方向一端部に噴射ヘッド13に着脱可能に連結される連結部871が形成され、導通管87の軸線方向他端部に端板872が形成される。導通管87の周壁のうち消音室86に突き出された部分873には、複数の透孔874が導通管87の周壁の厚み方向に貫通して形成される。導通管87のうち複数の透孔874が形成される部分873は、たとえばパンチングメタルによって構成される。通気管89は、障壁85および端壁82を貫通して配置され、消音室88側の開口部に金網891が設けられ、外部への開口部である消火ガス噴射口892から消火ガスを噴射する。通気管89の材料は、たとえば塩化ビニールである。
【0045】
このような消音装置17dによって、導通管87に形成される複数の透孔874から高速で消音室86に噴射された消火ガスは、障壁85に形成される複数の透孔851から消音室88に放出される。透孔851から消音室88に放出された消火ガスは、通気管89を介して消音装置17dの外部へ放出される。消音装置17dは、複数の透孔874から高速で噴射された消火ガスを消音室86内の空間および消音室88内の空間で膨張させることによって、通気管89での流速を下げるので、通気管89からの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0046】
【表1】

【0047】
表1は、消音装置17dを用いたガス消火設備の実施例1,2についての圧力および流速の計算例を示す。実施例1は、消音装置17dの通気管89の穴径が50mmであり、実施例2は、消音装置17dの通気管89の穴径が80mmである。圧力は、消音室86の圧力であり、流速(m/s)は、通気管89の消火ガス噴射口892での流速である。
【0048】
2気圧の消火ガスを1気圧の大気中に噴射するときの流速は、約340m/sであり、大音響が発生する。消音室86内の圧力を下げることによって、消火ガス噴射口892での流速を下げて、音量を下げることができる。実施例1では、消音室86内の圧力が約1.5気圧であり、消火ガス噴射口892での流速は、約250(m/s)である。実施例2では、消音室86内の圧力が約1.1気圧であり、消火ガス噴射口892での流速は、約100(m/s)である。
【0049】
図11は、消音装置17dによる消音効果を説明するためのグラフである。縦軸が音圧(dB)であり、横軸がノズル部12からの距離(m)である。グラフ91が消音装置を用いない場合のグラフであり、グラフ92が実施例1の場合のグラフであり、グラフ93が実施例2の場合のグラフである。
【0050】
ノズル部12からの距離が2(m)の位置では、消音装置を用いない場合、音圧は約125dBであるが、実施例1では、音圧は約105dBまで下がり、実施例2では、音圧は約100dBまで下がっている。同様に、ノズル部12からの距離が10(m)の位置では、消音装置を用いない場合、音圧は約115dBであるが、実施例1では、音圧は約96dBまで下がり、実施例2では、音圧は約92dBまで下がっている。すなわち、消音装置を用いない場合に比べて、実施例1では、音圧を約20dB下げることができ、実施例2では、音圧を約25dB下げることができる。
【0051】
図12は、本発明のさらに他の参考例のガス消火設備に備えられる消音装置17eを示す拡大断面図である。消音装置17eは、たとえば消火対象区画の天井に設けられる噴射ヘッド13に取付けられて好適に使用される。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例の前記消音装置17eは、円筒状の周壁81と、周壁81の軸線方向一端部に該周壁81の軸線に垂直に形成される端壁82と、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部83を有し、周壁81の軸線方向他端部に該周壁81の軸線に垂直に形成される端壁84と、端壁82と端壁84との間に、周壁81の軸線に垂直に形成される障壁85と、噴射ヘッド13から噴射される消火ガスを、周壁81、端壁82および障壁85によって規定される内部空間である消音室86に導く円筒状の導通管87と、周壁81、端壁84および障壁85によって規定される内部空間である消音室88内の消火ガスを消音装置17eの外部に導く円筒状の複数の通気管89aとを含む。
【0052】
周壁81、端壁82および端壁84は、たとえば消音材によって構成される。障壁85には、複数の透孔851が該障壁85の厚み方向に貫通して形成される。障壁85は、たとえばパンチングメタルによって構成される。
【0053】
導通管87は、障壁85を貫通し、消音室86に突き出して配置される。導通管87には、導通管87の軸線方向一端部に噴射ヘッド13に着脱可能に連結される連結部871が形成され、導通管87の軸線方向他端部に端板872が形成される。導通管87の周壁のうち消音室86に突き出された部分873には、複数の透孔874が導通管87の周壁の厚み方向に貫通して形成される。導通管87のうち複数の透孔874が形成される部分873は、たとえばパンチングメタルによって構成される。複数の通気管89aは、周壁81の軸線に直交する軸線上に、周壁81の軸線に関して周方向に等角度で間隔をあけて配置され、それぞれ周壁81を貫通して形成される。各通気管89aには、消音装置17eの外部への開口部である消火ガス噴射口892aが形成され、消火ガスをそれぞれの消火ガス噴射口892aから消音装置17eの外部に噴射する。通気管89aの材料は、たとえば塩化ビニールである。
【0054】
このような消音装置17eによって、導通管87に形成される複数の透孔874から高速で消音室86に噴射された消火ガスは、障壁85に形成される複数の透孔851から消音室88に放出される。透孔851から消音室88に放出された消火ガスは、通気管89aを介して消音装置17eの外部へ放出される。消音装置17eは、複数の透孔874から高速で噴射された消火ガスを消音室86内の空間および消音室88内の空間で膨張させることによって、通気管89aでの流速を下げるので、通気管89aからの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0055】
図13は、本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17fを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例に対応する部分には、同一の参照符を付す。消音装置17fは、たとえば消火対象区画の壁面に設けられる噴射ヘッド13に取付けられて好適に使用される。
【0056】
本実施形態の消音装置17fは、筒状の周壁121と、周壁121の軸線方向一端部に該周壁121の軸線に垂直に形成される環状の端壁122と、周壁121の軸線方向他端部に形成され、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部123とを有する。消音装置17fには、噴射ヘッド13、周壁121および端壁122によって規定される内部空間である消音室124が形成される。この消音室124には、柱状の吸音材125が、周壁121の内周面に沿って装着されて収容される。前記周壁121、端壁122および取付け部123を含んでケーシング129を構成する。
【0057】
前記ケーシング129の消音室124に臨む周壁121の内周面121aは、筒状に形成され、消音室124に臨む端壁122の内面122aは、周壁121の軸線L121に垂直な仮想一平面上に形成される。端壁122には、周壁121の軸線L121を中心軸線とする透孔122bが、該軸線L121方向に貫通して形成される。
【0058】
吸音材125は、柱状であって、その外周面125aは筒状に形成され、吸音材125の軸線L125方向一方側の端面125bおよび他方側の端面125cが、該軸線L125に垂直な仮想一平面上に形成される。噴射ヘッド13のノズル部12における消火ガスの噴射方向下流側の端面12aは、ノズル部12の軸線L12に垂直な仮想一平面上に形成される。
【0059】
消音装置17fは、吸音材125を、その軸線L125が周壁121の軸線L121に一致または略一致するような姿勢で、取付け部123側からケーシング129内の空間に装填される。例えば、吸音材125が直円筒状の場合、取付け部123の内周部に刻設された内ねじに対して、ノズル部12における消火ガスの噴射方向下流側の外周部に刻設された外ねじを螺合させることによって着脱可能に構成される。消音装置17fにおいて、吸音材125は、一方の端面125bと端壁122の内面122aとが面接触し、かつ他方の端面125cとノズル部12の端面12aとが面接触した状態で、消音室124に収容される。すなわち、吸音材125は、消音室124に隙間なく詰まっている。 本実施形態では、透孔122bの孔径は有効に消火剤が放出できる大きさに形成される。また、透孔122bの有効な孔径部分は、端壁面側だけでなく、周壁面側にあってもよい。周壁面側に有効な孔径部分を設けることによって、端壁面側の部分の有効面積を小さくすることができるため、消音装置17fを小型化することができる。また、吸音材125をケーシング129内の空間に隙間なく装填することによっても、消音装置17fの小型化を図ることができる。
【0060】
図13に明らかに示される消音装置17fを備えるガス消火設備の構成を、さらに述べる。
噴射ヘッド13は、導管14の端部にねじによって接続され、ノズル部12を有し、このノズル部12には、導管14からの高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射する導管14の端部の軸線に沿って延びるノズル孔16が形成される。ノズル部12のノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aは、ノズル孔16の軸線L12に垂直な仮想平面上に形成される。ノズル部12には、第1ねじが刻設される。
周壁121は、ノズル孔16の軸線L12に沿って延びる軸線L121を有する円筒状であって、ノズル孔16の出口から消火ガスの噴射方向下流に周壁121の軸線L121に垂直に拡がった内部空間124を形成する。
端壁122は、周壁121の軸線L121方向のノズル部12から遠ざかった(すなわち図13の左方の)一端部に、周壁121の軸線L121に垂直に形成され、前記周壁121とともに前記内部空間124を規定し、周壁121の軸線L121を中心軸線とする透孔122bが周壁121の軸線L121方向に貫通して形成される。
取付け部123は、周壁121の軸線L121方向のノズル部12に近い(すなわち図13の右方の)他端部に形成され、第1ねじと着脱可能に螺合する第2ねじが刻設され、第1ねじと第2ねじとの螺合によって噴射ヘッド13に取付けられる。
吸音材125は、周壁121の軸線L121に一致する軸線L125を有する柱状であり、吸音材125の前記ノズル部12から遠ざかった一端面125bと、前記ノズル部12に近い他端面125cとが、吸音材125の前記軸線L125に垂直な仮想平面上に形成され、噴射ヘッド13の第1ねじと取付け部123の第2ねじとの螺合によって、前記一端面125b側と吸音材125の前記ノズル部12から遠ざかった前記端壁122とが接触するとともに、前記他端面125cと前記ノズル部12の前記端面12aとが面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスを、前記内部空間124に収容された吸音材125で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げ、消火ガスの噴射流の振動を吸収し、前記透孔122bから前記消火対象区画内の空間へ放出する。
吸音材125は、柱状の空隙が連続した多孔質の金属から成る。このような吸音材125をノズル孔16の直後に設けることによって、消音装置17fは、枝管19側から供給される消火ガスを徐々に減圧膨張し、その流速を下げることができる。これによって、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16は、そのノズル孔16が延びる軸線に垂直な断面が軸線方向に一様である。
【0061】
吸音材125が消音室124に隙間なく詰められているので、ノズル孔16から放出される消火ガスを、吸音材125である多孔質の金属内へ直接流入させることができるとともに、多孔質の金属内へ流入した消火ガスを透孔122bから直接放出することができる。このようにノズル孔16から放出される消火ガスを吸音材125へ直接流入させることによって、消火ガスが該ノズル孔16から放出直後に過膨張して衝撃波を発生する前に吸音材125に流入し、急激に減速および拡散する。したがって衝撃波を伴う強い乱れの発生が防がれ、騒音が抑制される。また、吸音材125の微細な空隙によって消火ガスが拡散するため、吸音材125から透孔122bを経て外部へ放出される消火ガスは、流速が減衰しているため、大きな衝撃波を生じることはなく、これによってもまた騒音が抑制される。このようにして、ノズル部12の端面12aと吸音材125の端面125cとの間が離間している場合と比べて、消火ガスの急激な減圧膨張を抑制することができ、さらに、端壁111の内面122aと吸音材125の端面125bとの間が離間している場合と比べて、消火ガスの急激な減圧膨張を抑制することができる。
【0062】
このように、本実施形態の消音装置17fは、吸音材125である多孔質の金属によって、消火ガスを徐々に減圧膨張してその流速を下げることができるので、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。さらに、消音装置17fは、消火ガスの急激な減圧膨張を抑制するように構成されているので、急激な減圧膨張に起因する騒音の発生を抑制することができる。
【0063】
図14は、本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17gを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例および実施形態に対応する部分には、同一の参照符を付す。本実施形態において、消音装置17gは、たとえば消火対象区画の壁面に設けられる噴射ヘッド13に取付けられる。
【0064】
本実施形態の消音装置17gは、筒状の周壁131と、周壁131の軸線方向他端部に該周壁131の軸線に垂直に形成される端壁132と、端壁132に連なって形成され、噴射ヘッド13に着脱可能に形成される取付け部133とを有する。周壁131の軸線方向一端部の内周面には、内ねじが刻設されている。消音装置17gには、周壁131、端壁132および噴射ヘッド13によって規定される内部空間である消音室140が形成される。
【0065】
消音室140には、前記軸線方向一端部に設けられる柱状の第1吸音材134と、前記軸線方向他端部に設けられる柱状の第2吸音材135と、第1吸音材134と第2吸音材135との間に設けられる筒状の第3吸音材136と、第1吸音材134を支持する円環状の端板141と、円環状のスペーサ142と、図14に示されるように透孔を有する端壁として働くナット143とが収容される。
【0066】
第1吸音材134および第2吸音材135は、偏平な柱状の多孔質の金属からなる。第1吸音材134は、周壁131の軸線方向一端部に、内周面に沿って装着されて収容され、端壁132の消音室140に臨む一表面および噴射ヘッド13の軸線方向一端部に当接して設けられる。
【0067】
第1吸音材134の前記軸線方向一端部側には、透孔141aを有する円環状の端板141が設けられる。端板141は、第1吸音材134に当接して設けられ、第1吸音材134の前記軸線方向一端部側への移動を規制する。端板141の前記軸線方向一端部側には、第3吸音材136が設けられる。本実施形態では、第3吸音材136は、前述した消音装置17の吸音材33と同一の部材によって実現される。また第3吸音材136は、多孔質の金属によって実現されてもよい。第3吸音材136は、周壁131の内周面に沿って装着されて収容される。
【0068】
第3吸音材136の前記軸線方向一端部側には、透孔142aを有する円環状のスペーサ142が設けられる。スペーサ142は、第2吸音材135に当接して設けられ、第3吸音材136と第2吸音材135との間隔を維持する。
【0069】
スペーサ142の前記軸線方向一端部側には、第2吸音材135が設けられる。本実施形態において、第2吸音材135は、第1吸音材134と同一形状に形成されるが、第1吸音材134とは異なる形状に形成されても良い。第2吸音材135は、周壁131の内周面に沿って装着されて収容される。
【0070】
第2吸音材135の前記軸線方向一端部側には、ナット143が設けられる。ナット143は、その外周部に外ねじが刻設され、周壁131の開口端側の内周部に刻設された内ねじに螺合した状態で締付けられ、第2吸音材135を前記軸線方向他端部側に押圧しながら支持する。これによって、各吸音材134,135,136、ならびに端板141、スペーサ142が前記軸線方向一端部側へ変位することが規制される。
【0071】
本実施形態によれば、消音装置17gは、3つの消音材を収容して設けられる。このように第1吸音材134をノズル孔16の直後に設けることによって、消音装置17gは、枝管19側から供給される消火ガスを、徐々に減圧膨張し、その流速を下げることができる。また第3吸音材136が設けられるので、第3吸音材136によって、消火ガスの噴射流に起因する音響振動を吸収し、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生を抑制することができる。また第2吸音材135が設けられるので、第3吸音材136を通過した消火ガスをさらに減圧し、その流速を下げることができる。これによって、消火ガスの噴射に起因する噴射音の発生をさらに抑制することができる。
【0072】
図15は、本発明の実施の他の形態のガス消火設備に備えられる消音装置17hを示す拡大断面図である。なお、前述の参考例および実施形態に対応する部分には、同一の参照符を付す。本参考例において、消音装置17hは、たとえば消火対象区画の壁面に設けられる枝管19に噴射ヘッド13を介して装着される。
【0073】
本実施形態の消音装置17hは、噴射ヘッド13、有底筒状のケーシング150、ケーシング150の開口部に螺着されるナット151、噴射ヘッド13に装着される円筒状の第1吸音材152、ケーシング150に収容され、ケーシング150の内周面に沿って配置される円筒状の第2吸音材153、ケーシング150内で噴射ヘッド13の基端部に装着される円環状の第1挟持片154、ケーシング150内の開口部側に前記噴射ヘッド13の端面に当接した状態で設けられる円板状の第2挟持片155、およびナット151によってケーシング150の開口部に支持された状態で保持される円板状の第3吸音材156を含む。
【0074】
前記ケーシング150は、直円筒状の筒部157と、筒部157の軸線方向一端部から半径方向外方に垂直に突出するフランジ部158と、筒部157の軸線方向他端部から半径方向内方に延びる円環状の端壁部159とを有する。フランジ部158の外周部分には外ねじ160が刻設される。端壁部159には、その中心軸線上に噴射ノズル13の基端部が嵌り込む挿通孔161が形成される。このようなケーシング150は、金属から成る。また第1〜第3吸音材152,153,156は、前述と同様な多孔質の金属からなる。
【0075】
ナット151は、直円筒状の筒部162と、筒部162の軸線方向一端部から半径方向内方に突出するフランジ部163とを有する。筒部162の軸線方向他端部の内周面には内ねじ164が刻設され、前記ケーシング150の外ねじ160に螺合する。このようなナット151は、金属から成り、ケーシング150の外ねじ160に螺着させた状態で締付けることによって、前記第3吸音材156の周縁部がケーシング150のフランジ部158とナット151のフランジ部163とによって挟持されるとともに、第3吸音材156と噴射ヘッド13の端壁部165とによって第2挟持片155が挟持されるとともに、第2吸音材153のケーシング150からの抜出しが防止される。
【0076】
噴射ヘッド13は、スパナなどの締付け工具が掛合される掛合部166と、掛合部166に軸線方向に連なる筒部167と、筒部167の軸線方向一端部を塞ぐ端壁部165とを有する。筒部167には、周方向に間隔をあけて、たとえば90°毎にノズル孔16が厚み方向に貫通して形成される。筒部167の前記掛合部166寄りの基部には、外ねじ168が刻設される。この外ねじ168には第1挟持片154の内周部に刻設された内ねじ169が螺合し、第2挟持部155と掛合部166とによってケーシング150の端壁部159を挟持し、噴射ヘッド13がケーシング150に同一軸線上に固定される。第1吸音材152は、前述したように噴射ヘッド13に装着された状態、すなわちケーシング150内で筒部12に装着された状態で、第1および第2挟持片154,155によって軸線方向両側から挟持された状態で保持されている。このような消音装置17hにおいて、第1吸音材152と第2吸音材153との間には、ケーシング150の端壁部159と第3吸音材156とにわたって環状の空間170が形成される。
【0077】
枝管19から噴射ヘッド13に供給された高圧の消火ガスは、噴射ヘッド13の各ノズル孔16から第1吸音材152内へ噴射され、その衝撃波は急激に拡散して減速し、それによって衝撃波を伴なう強い乱れの発生を防ぎ、減音することができる。第1吸音材152から空間170に排出された消火ガスは、第2吸音材153に浸入して前記第1吸音材152と同様に急激に拡散されて減速され、筒部150の内周面で反射されて第3吸音材156へ向かう。第3吸音材156に浸入した消火ガスは、前述の第1および第2吸音材152,153と同様に、急激に膨張する前に拡散して失速し、これによってさらに減音され、消火ガスの噴射に起因する噴射音を格段に低減することができる。
【0078】
図15に示す実施形態では、噴射ヘッド13のノズル部12にその軸線に対して垂直に複数の噴射ノズル16を形成して半径方向外方に消火ガスを噴射するように構成されるが、本発明のさらに他の参考例では、噴射ヘッド13の筒部にケーシング150の開口部に向けて傾斜したノズル孔16を形成して第1吸音材152を透過したガスがそのまま第3吸音材156に向かって放出されるように構成されてもよく、同様な効果を達成することができる。
【0079】
本発明は、次の実施の形態が可能である。
(1)高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、噴射ヘッドが接続され、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置とを含むことを特徴とするガス消火設備。
【0080】
消火ガス供給源から導管に供給された高圧の消火ガスは、噴射ヘッドを介して建物内の空間に向けて噴射される。このような噴射ヘッドには消音装置が設けられ、噴射ヘッドのノズル部から高速で噴射される消火ガスの噴射流に起因する大きな噴射音の発生を防止することができる。
【0081】
噴射ヘッドに消音装置が設けられるので、火災発生時に噴射ヘッドのノズル部から消火ガスが噴射されても大きな噴射音が発生することを防止することができる。
【0082】
(2)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される端壁と、周壁の軸線方向他端部に、噴射ヘッドに着脱可能に形成される取付け部とを含み、周壁には、複数の通気孔が該周壁の厚み方向に貫通して形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0083】
消音装置は周壁と端壁と取付け部とを有し、取付け部によって噴射ヘッドに着脱可能に取付けられる。このように消音装置が構成されることによって、噴射ヘッドのノズル部から噴射された消火ガスは、端壁に衝突した後、周壁に形成される複数の透孔から外部に放出され、大きな噴射音の発生が抑制される。
【0084】
(3)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される端壁と、周壁の軸線方向他端部に、噴射ヘッドに着脱可能に形成される取付け部とを含み、端壁には、複数の通気孔が該端壁の厚み方向に貫通して形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0085】
消音装置は周壁と端壁と取付け部とを含み、取付け部によって噴射ヘッドに着脱可能に取付けられる。噴射ヘッドのノズル部から高速で噴射された消火ガスは、周壁内の空間を経て端壁に衝突した後、この端板に形成される複数の通気孔から外部へ放出される。このような消音装置の構成によってもまた、消火ガス噴射時に大きな噴射音が発生することが防がれる。
【0086】
(4)前記周壁、端壁および取付け部によって規定される内部空間には、吸音材が収容されることを特徴とするガス消火設備。
【0087】
前記消音装置の周壁、端壁および取付け部によって規定される内部空間に吸音材が収容されるので、この吸音材によって消火ガスの噴射流の振動が吸収され、これによってより一層噴射音の発生が防がれる。
【0088】
(5)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される端壁と、周壁の軸線方向他端部に、噴射ヘッドが一体的に形成される取付け部と、噴射ヘッドのノズル部における消火ガスの噴射方向下流側に臨む部分に設けられる内筒体29とを含み、端壁には、その厚み方向に貫通するガス放出孔34が形成され、内筒体は、複数の透孔30が形成される筒状部と、筒状部の軸線方向一端部に、該筒状部の軸線に垂直に形成される端板とを有することを特徴とするガス消火設備。
【0089】
噴射ヘッドのノズル部から高速で噴射された消火ガスは、内筒体内で、この内筒体の筒状の端板に衝突し、筒状部に形成される複数の透孔から放出された後、さらに筒状体と周壁との間の空間を経て端壁に形成されるガス放出孔から外部へ放出される。これによって消火ガス放出時における噴射音の発生が防がれる。
【0090】
(6)高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、噴射ヘッドが接続され、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源とを含み、噴射ヘッドのノズル部には、前記導管の内周面に滑らかに連なる内周面52を有するノズル孔が形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0091】
消火ガス供給源から導管に供給された高圧の消火ガスは、噴射ヘッドを介して建物内などの空間に向けて噴射される。このような噴射ヘッドには導管の内周面に滑らかに連なる内周面を有するノズル孔が形成されるので、噴射ヘッドのノズル部から高速で噴射される消火ガスの噴射流に起因して大きな噴射音を発生することが防がれる。
【0092】
噴射ヘッドには導管の内周面に滑らかに連なる内周面を有するノズル孔が形成されるので、火災発生時に噴射ノズルのノズル部から消火ガスが噴射されても大きな噴射音が発生することを防止することができる。
【0093】
(7)高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、噴射ヘッドと導管との間に設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置とを含むことを特徴とするガス消火設備。
【0094】
消火ガス供給源から導管に供給された高圧の消火ガスは、噴射ヘッドを介して建物内の空間に向けて噴射される。このような噴射ヘッドと導管との間に消音装置が設けられ、噴射ヘッドのノズル部から高速で噴射される消火ガスの噴射流に起因する大きな噴射音の発生を防止することができる。
【0095】
噴射ヘッドと導管との間に消音装置が設けられるので、火災発生時に噴射ノズルのノズル部から消火ガスが噴射されても大きな噴射音が発生することを防止することができる。
【0096】
(8)前記消音装置は、筒状の周壁61と、周壁の軸線方向一端部に、導管に着脱可能に形成される第1の取付け部62と、周壁の軸線方向他端部に、噴射ヘッドに着脱可能に形成される第2の取付け部63と、前記一端部に周壁の軸線に垂直に形成される第1の端壁64と、前記他端部に周壁の軸線に垂直に形成される第2の端壁65とを含み、第1の端壁64には、周壁の軸線を中心として該第1の端壁の中央部に、少なくとも1つの第1の透孔66が該第1の端壁の厚み方向に貫通して形成され、第2の端壁65には、複数の第2の透孔67が該第2の端壁の厚み方向に貫通して形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0097】
消音装置は周壁と第1,第2の端壁と第1,第2の取付け部とを有し、第1,第2の取付け部によって噴射ヘッドおよび導管の間に着脱可能に取付けられる。導管から供給され、第1の端壁に形成される透孔から高速で噴射された消火ガスは、消音装置内で、第2の端壁の中央部に衝突した後、第2の端壁に形成される複数の透孔から、第2の端壁と噴射ヘッドとで規定される空間内に放出された後、噴射ヘッドから外部へ放出される。消音装置は、第1の端壁に形成される透孔から高速で噴射された消火ガスを消音装置内の空間で膨張させることによって、第2の端壁に形成される透孔での流速を下げるので、噴射ヘッドからの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0098】
(9)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、導管に着脱可能に形成される第1の取付け部62と、周壁の軸線方向他端部に、噴射ヘッドに着脱可能に形成される第2の取付け部63と、前記一端部に周壁の軸線に垂直に形成される第1の端壁64aと、前記他端部に周壁の軸線に垂直に形成される第2の端壁65とを含み、第1の端壁には、導管から供給される高圧の消火ガスを、周壁、第1の端壁および第2の端壁によって規定される内部空間に噴出する複数のノズル孔を有する案内部が、周壁の軸線上に該内部空間に臨んで形成され、該複数のノズル孔は、周壁の軸線に直交する軸線上に周壁の軸線に関して周方向に等角度で間隔をあけて形成され、第2の端壁には、複数の透孔が該第2の端壁の厚み方向に貫通して形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0099】
消音装置は周壁と第1,第2の端壁と第1,第2の取付け部とを有し、第1,第2の取付け部によって噴射ヘッドおよび導管の間に着脱可能に取付けられる。導管から供給され、第1の端壁に形成される案内部のノズル孔から高速で噴射された消火ガスは、消音装置内で、周壁の内周面に衝突した後、第2の端壁に形成される複数の透孔から、第2の端壁と噴射ヘッドとで規定される空間内に放出された後、噴射ヘッドから外部へ放出される。消音装置は、第1の端壁に形成される案内部のノズル孔から高速で噴射された消火ガスを消音装置内の空間で膨張させることによって、第2の端壁に形成される透孔での流速を下げるので、噴射ヘッドからの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0100】
(10)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される第1の端壁82と、噴射ヘッドに着脱可能に形成される取付け部を有し、周壁の軸線方向他端部に該周壁の軸線に垂直に形成される第2の端壁と、第1の端壁と第2の端壁との間に、周壁の軸線に垂直に形成される障壁85と、噴射ヘッドから噴射される消火ガスを、周壁、第1の端壁および障壁によって規定される内部空間である第1の消音室86に導く円筒状の導通管87と、周壁、第2の端壁および障壁によって規定される内部空間である第2の消音室88内の消火ガスを外部に導く筒状の通気管89とを含み、障壁85には、複数の第1の透孔851が該障壁の厚み方向に貫通して形成され、導通管には、導通管の軸線方向一端部に噴射ヘッドに着脱可能に連結される連結部が形成され、導通管87の軸線方向他端部に端板が形成され、導通管の周壁のうち第1の消音室86に突き出された部分には、複数の第2の透孔874が該導通管の周壁の厚み方向に貫通して形成され、通気管は、障壁および第1の端壁を貫通して配置されることを特徴とするガス消火設備。
【0101】
消音装置は周壁と第1の障壁と取付け部を有する第2の端壁と障壁とを含み、取付け部によって噴射ヘッドに着脱可能に取付けられる。連結部によって噴射ヘッドに連結される導通管に形成される複数の透孔から第1の消音室に高速で噴射された消火ガスは、障壁に形成される複数の透孔から第2の消音室に放出される。第2の消音室に放出された消火ガスは、通気管を介して消音装置の外部へ放出される。消音装置は、導通管に形成される複数の透孔から高速で噴射された消火ガスを第1の消音室内の空間および第2の消音室内の空間で膨張させることによって、通気管での流速を下げるので、通気管からの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【0102】
(11)前記消音装置は、筒状の周壁と、周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成される第1の端壁82と、噴射ヘッドに着脱可能に形成される取付け部を有し、周壁の軸線方向他端部に該周壁の軸線に垂直に形成される第2の端壁84と、第1の端壁と第2の端壁との間に、周壁の軸線に垂直に形成される障壁85と、噴射ヘッドから噴射される消火ガスを、周壁、第1の端壁および障壁によって規定される内部空間である第1の消音室86に導く筒状の導通管87と、周壁、第2の端壁および障壁によって規定される内部空間である第2の消音室88内の消火ガスを外部に導く筒状の複数の通気管89aとを含み、障壁には、複数の透孔が該障壁の厚み方向に貫通して形成され、導通管87には、導通管の軸線方向一端部に噴射ヘッドに着脱可能に連結される連結部が形成され、導通管の軸線方向他端部に端板が形成され、導通管の周壁のうち第1の消音室に突き出された部分には、複数の透孔874が該導通管の周壁の厚み方向に貫通して形成され、複数の通気管89aは、周壁の軸線に直交する軸線上に、周壁の軸線に関して周方向に等角度で間隔をあけて配置され、それぞれ周壁を貫通して形成されることを特徴とするガス消火設備。
【0103】
消音装置は周壁と第1の障壁と取付け部を有する第2の端壁と障壁とを含み、取付け部によって噴射ヘッドに着脱可能に取付けられる。連結部によって噴射ヘッドに連結される導通管に形成される複数の透孔から第1の消音室に高速で噴射された消火ガスは、障壁に形成される複数の透孔から第2の消音室に放出される。第2の消音室に放出された消火ガスは、通気管を介して消音装置の外部へ放出される。消音装置は、導通管に形成される複数の透孔から高速で噴射された消火ガスを第1の消音室内の空間および第2の消音室内の空間で膨張させることによって、通気管での流速を下げるので、通気管からの消火ガス放出による音響の発生が抑制される。
【符号の説明】
【0104】
11 ガス噴射部
12 ノズル部
13,50,50a 噴射ヘッド
14 導管
15 消火ガス供給源
16,71 ノズル孔
17,17a〜17h,60,60a 消音装置
18 分岐管
19 枝管
20 基台
21 ブラケット
22 締結具
23 主管
25,35,41,61,81 周壁
26,36,42,64,64a,65,82,84 端壁
27,37,43,62,63,83,123 取付け部
28 噴射方向下流側に臨む部分
29 内筒体
30,66,67,851,874 透孔
31 円筒部
32,872 端板
33 吸音材
34 ガス放出孔
38,44 通気孔
39,45 内部空間
40,46 吸音材
51,52 内周面
55 エッジ部
72 案内部
85 障壁
86,88 消音室
87 導通管
89,89a 通気管
125 吸音材
134 第1吸音材
135 第2吸音材
136 第3吸音材
871 連結部
891 金網
892,892a 消火ガス噴射口
D1,D2 内径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを、噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射し、ノズル孔16からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17b;17c;17f;17g;17hが備えられるガス消火設備であって、
前記消音装置17b;17c;17f;17g;17hは、
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aに、吸音材40;46;125;134;152の端面125cが面接触し、
吸音材40;46;125;134;152は、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材40;46;125;134;152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げることを特徴とするガス消火設備。
【請求項2】
消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを導管14から噴射ヘッド13に導き、この噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射し、ノズル孔16からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17b;17c;17f;17g;17hが備えられるガス消火設備であって、
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aは、ノズル孔16の軸線L12に垂直な仮想平面上に形成され、
前記消音装置17b;17c;17f;17g;17hは、
ノズル孔16の出口端部まわりの前記端面12aに、吸音材40;46;125;134;152の端面125cが面接触し、
吸音材40;46;125;134;152は、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材40;46;125;134;152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げることを特徴とするガス消火設備。
【請求項3】
高圧の消火ガスを空間に向けて噴射するノズル部を有する噴射ヘッドと、
噴射ヘッドが接続され、噴射ヘッドに高圧の消火ガスを導く導管と、
導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、
噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17bとを含み、
消音装置17bは、
筒状の周壁35と、
周壁の軸線方向一端部に、該周壁の軸線に垂直に形成され、周壁とともに内部空間39を規定し、複数の通気孔38が該端壁の厚み方向に貫通して形成される端壁36と、
前記内部空間に収容される吸音材40であって、噴射ヘッドのノズル部におけるノズル孔が開口するノズル孔の出口端部まわりの端面に、吸音材40の端面が面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッドに形成されたノズル部のノズル孔から高速で噴射された消火ガスを、拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げ、消火ガスの噴射流の振動を吸収する吸音材40と、
周壁の軸線方向他端部に設けられ、噴射ヘッドに取付けられる取付け部37とを含むことを特徴とするガス消火設備。
【請求項4】
(a)高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射するノズル孔16が形成されるノズル部12を有する噴射ヘッド13と、
(b)噴射ヘッド13が接続される端部を有し、噴射ヘッド13に高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)導管14に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源15と、
(d)噴射ヘッド13に設けられ、ノズル部12からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17cとを含むガス消火装置であって、
(e)噴射ヘッド13は、導管14の前記端部に接続され、
(f)ノズル部12に形成されるノズル孔16は、導管14の前記端部の軸線に沿って延び、
前記消音装置17cは、
(g)導管14の前記端部の軸線に沿って延びる軸線を有する円筒状の周壁41であって、
ノズル孔16の出口から消火ガスの噴射方向下流で周壁41の軸線に垂直に拡がった内部空間45を形成し、
複数の通気孔44が該周壁41の厚み方向に貫通して形成される周壁41と、
(h)周壁41の軸線方向のノズル部12から遠ざかった一端部に、該周壁41の軸線に垂直に形成され、前記周壁41とともに内部空間45を規定する端壁42と、
(i)周壁41の軸線方向のノズル部12に近い他端部に設けられ、噴射ヘッド13に取付けられる取付け部43と、
(j)前記内部空間45に収容される吸音材46であって、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面に、吸音材46の端面125cが面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスを、前記内部空間45内で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる吸音材46とを含むことを特徴とするガス消火設備。
【請求項5】
(a)高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源15と、
(b)消火ガス供給源15からの高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)導管14の端部にねじによって接続され、ノズル部12を有し、このノズル部12には、導管14からの高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射する導管14の端部の軸線に沿って延びるノズル孔16が形成される噴射ヘッド13と、
(d)噴射ヘッド13に設けられ、ノズル部12からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17f;17gとを含むガス消火設備であって、
前記消音装置17f;17gは、
(e)ノズル孔16の軸線L12に沿って延びる軸線L121を有する円筒状の周壁121;131であって、
ノズル孔16の出口から消火ガスの噴射方向下流に拡がった内部空間124;140を形成する周壁121;131と、
(f)周壁121;131の軸線L121方向のノズル部12から遠ざかった一端部に形成され、前記周壁121;131とともに前記内部空間124;140を規定し、透孔122bが周壁121の軸線L121方向に貫通して形成される端壁122;143と、
(g)周壁121;131の軸線L121方向のノズル部12に近い他端部に設けられ、噴射ヘッド13に取付けられる取付け部123;133と、
(h)前記内部空間124;140に収容される吸音材125;134であって、
吸音材125;134の前記ノズル部12から遠ざかった一端面125bと、前記ノズル部12に近い他端面125cとを有し、
取付け部123;133が噴射ヘッド13に取付けられることによって、前記一端面125b側と吸音材125;134の前記ノズル部12から遠ざかった前記端壁122;143とが接触するとともに、前記他端面125cと前記ノズル部12の前記端面12aとが面接触し、
微細な空隙を有し、
噴射ヘッド13のノズル部12から高速で噴射された消火ガスを、前記内部空間124;140に収容された吸音材125;134で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる吸音材125;134とを含むことを特徴とするガス消火設備。
【請求項6】
(a)導管に高圧の消火ガスを供給する消火ガス供給源と、
(b)消火ガス供給源からの高圧の消火ガスを導く導管14と、
(c)噴射ヘッド13であって、
導管14に接続され、ノズル部12を有し、このノズル部12は、導管14からの高圧の消火ガスを建物内の消火対象区画内の空間に向けて噴射するノズル孔16が厚み方向に貫通して形成される筒部167を有する噴射ヘッド13と、
(d)噴射ヘッドに設けられ、ノズル部からの消火ガスの放出による音響を減衰させる消音装置17hであって、
噴射ヘッド13の筒部167を覆って装着される吸音材152であって、噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面に、吸音材152の端面が面接触し、微細な空隙を有し、噴射ヘッド13に形成されたノズル部12のノズル孔16から高速で噴射された消火ガスを、吸音材152で拡散させて徐々に減圧膨張させてその流速を下げる消音装置17hとを含むことを特徴とするガス消火設備。
【請求項7】
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16が開口するノズル孔16の出口端部まわりの端面12aと、吸音材40;46;125;134;152の端面125cとは、平坦面(図4,5,13,14)で、または湾曲面(図15)で、面接触することを特徴とする請求項1〜6のうちのいずれか1つに記載されたガス消火設備。
【請求項8】
吸音材40;46;125;134;152は、ノズル孔16から噴射される消火ガスが流れる方向に積層されることを特徴とする請求項1〜7のうちのいずれか1つに記載されたガス消火設備。
【請求項9】
噴射ヘッド13のノズル部12におけるノズル孔16は、そのノズル孔16が延びる軸線に垂直な断面が軸線方向に一様であることを特徴とする請求項1〜8のうちのいずれか1つに記載されたガス消火設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−55712(P2012−55712A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267401(P2011−267401)
【出願日】平成23年12月6日(2011.12.6)
【分割の表示】特願2010−161096(P2010−161096)の分割
【原出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(390010342)エア・ウォーター防災株式会社 (56)
【Fターム(参考)】