説明

ガス溶解水製造装置及び製造方法

【課題】長期間停止後、ガス供給配管に生じた凝縮水を除去してガス流量制御装置への流入等を防止し得るガス溶解水製造装置を提供する。
【解決手段】超純水が電解装置3に流入し、水の電気分解により水素ガスが生じる。この水素ガスは、除湿膜9、ガスフィルタ11及びMFC10を経て気体溶解膜モジュール2に向けて導かれる。この水素ガスは、気相室2cに流入し、ガス透過膜2aを通過して液相室2b内に入り込み、ここで超純水に溶解して水素溶解水が得られる。ガス溶解水製造装置を長期間停止すると、電解装置3と除湿膜9との間のガス供給配管8内に凝縮水が貯まるので、ガス溶解水製造装置を再度立ち上げたときに、その凝縮水が気体溶解膜モジュール2に向かってガス供給配管8内を移動するが、凝縮水はガスフィルタ11で除去されるので、MFC10ガス流量制御装置に到達することがない。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス溶解水の製造装置及び製造方法に関し、特に水の電気分解方式で製造したガスを水に溶解させることにより、ガス溶解水を製造するガス溶解水の製造装置及びこの製造装置を用いたガス溶解水の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体用シリコン基板、液晶用ガラス基板等の洗浄は、主として、過酸化水素水と硫酸との混合液、過酸化水素水と塩酸と水との混合液、過酸化水素水とアンモニア水と水との混合液等、過酸化水素をベースとする濃厚な薬液を用いて高温で洗浄した後に超純水で濯ぐ、いわゆるRCA洗浄法によって行われている。しかし、このRCA洗浄法では、過酸化水素水、高濃度の酸、アルカリ等を多量に使用するために薬液コストが高く、さらにリンス用の超純水のコスト、廃液処理コスト、薬品蒸気を排気し新たに清浄空気を調製する空調コスト等、多大なコストを要する。
【0003】
これに対し、洗浄工程におけるコストの低減や、環境への負荷の低減を目的とした様々な取り組みがなされ、成果を挙げている。その代表が、水素ガス等の特定のガスを溶解したガス溶解水を用い、超音波洗浄等によって被処理物を洗浄する技術である。
【0004】
しかしながら、半導体や液晶ディスプレイ製造分野において製品の微細化、高機能化、高性能化が進むにつれ、製造で使用されるユーティリティー関連についても極めて高度な制御が要求されるようになってきている。すなわち、揺らぎの少ない一定したスペックを要求されるようになってきている。
【0005】
例えば、酸素、水素、オゾン、窒素、炭酸等のガスを純水又は超純水等に溶解したガス溶解水に関しても、溶存ガス濃度によって製造する製品に様々な影響を与えてしまうため、水がガスに溶けている量を厳しく一定濃度に管理することが要求されるようになってきている。こういった状況の中、水の流量やガスの流量をより精密に制御するために、ガス流量制御にマスフローコントローラー(MFC)等が用いられるようになってきている。
【0006】
また、より清浄なガスを供給するために、ガス発生器として、純水又は超純水を電気分解して酸素、水素、オゾン等のガスを発生させる、電気分解方式のガス発生器を採用することが増えてきている。水の電気分解によるガス発生器を用いる場合、発生したガスは多量の水分を含んでいるので、除湿するための機構、例えば除湿膜等を組み合わせて使用することが種々提案されている。
【0007】
例えば、特許文献1には、乾燥ガスを供給するガス配管に分岐状のガス供給ラインを設け、該ガス供給ラインにガス溶解装置を連結すると共に、上記ガス配管とガス溶解装置との間に脱水剤や水分除去フィルタ等の水分除去装置を設け、かつガス供給ラインにおけるガス流路を開閉するためのバルブを設けてなるガス溶解水製造装置が開示されている。
【0008】
上記特許文献1に記載されたガス溶解水製造装置は、脱水剤や水分除去フィルタ等により、水の電気分解により生じたガスに含まれる水分を除去して乾燥ガスとして供給することが可能である。しかしながら、ガス溶解水製造装置をメンテナンスや工場停止により長期間停止した場合、水の電気分解方式によるガス発生器も停止するため、電極と除湿膜との間の配管等に凝縮水が貯まるという現象が生じ、その凝縮水が、長期停止後のガス溶解水製造装置の起動時に、除湿膜では十分に除湿されず、ガス供給配管からMFCに流入するおそれがあることがわかった。
【0009】
また、特許文献2には、ガス溶解装置のガス供給通路内において生じる凝縮水を除去することを目的として、水の電気分解により生じたガスを純水に溶解するためのガス溶解装置を有し、このガス溶解装置のガス供給通路内において生じる凝縮水を、気液分離器を備えた装置内に排出するように構成したガス溶解水製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2000−70661号公報
【特許文献2】特開2000−297392号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
しかしながら、上記特許文献2に記載されたガス溶解水製造装置は、ガス溶解装置内のガス供給通路、すなわち気相室内で生じる凝縮水を除去するものであるので、水の電気分解を行う電解装置からMFCまでの間のガス供給配管に生じる凝縮水を除去するものではい。
【0012】
この対策として、ガス溶解水製造装置停止時も除湿膜に乾燥気体を流し続けるという方法が考えられるが、乾燥気体を流し続けるコストの問題や乾燥気体を流し続けることにより除湿膜が乾燥しすぎて破断する等の新たな問題が生じ、根本的な解決には至っていない。このように、従来は、電解装置で水の電気分解により生じたガスを、ガス除湿装置とMFC等のガス流量制御装置とが付設されたガス供給配管を経てガス溶解装置に供給するガス溶解水製造装置において、運転停止時にガス供給配管に生じた凝縮水を除去してガス流量制御装置への流入等を防止し得るものはなかった。
【0013】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、運転停止時にガス供給配管に生じた凝縮水を除去してガス流量制御装置への流入等を防止し得るガス溶解水製造装置を提供することを目的とする。また、本発明は、運転停止時にガス供給配管に生じた凝縮水を除去してガス流量制御装置への流入等を防止し得るガス溶解水製造装置を用いたガス溶解水の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、第一に本発明は、水の電気分解を行う電解装置と、水の電気分解により生じたガスを純水に溶解するためのガス溶解装置と、前記電解装置と前記ガス溶解装置の気相側とを連結するガス供給配管と、前記ガス溶解装置の液相側に連通する純水供給配管とを備え、前記ガス供給配管にガス除湿装置と前記ガス溶解装置内へのガス供給量を制御するガス流量制御装置とが順次付設されたガス溶解水製造装置であって、前記電解装置と前記ガス流量制御装置との間のガス供給配管に水滴除去装置を設けたことを特徴とするガス溶解水製造装置を提供する(請求項1)。
【0015】
上記発明(請求項1)によれば、電解装置により水を電気分解し、この電気分解により生じたガスを、ガス流量制御装置で流量を正確に制御してガス溶解装置に供給して純水に溶解することによりガス溶解水を製造することができる。このとき、水の電解により生じるガスは多量の水分を含んでいるが、ガス除湿装置により電解ガス中の水分が除去されるので、該水分がガス流量制御装置に悪影響を与えないようになっている。さらに、このガス溶解水製造装置をメンテナンスや工場停止により長期間停止した場合、電解装置も停止するので電解装置の電極とガス除湿装置との間の配管等に凝縮水が貯まり、ガス溶解水製造装置を再度立ち上げるとガス供給配管からガス流量制御装置側に向けて凝縮水が移動する。この凝縮水は、ガス除湿装置では十分に除去されないが、ガス流量制御部の上流側に水滴除去装置を設けているので、凝縮水がガス流量制御装置に到達することがなく、長期停止後等でもガス溶解水製造装置を適切に稼動することが可能となっている。
【0016】
上記発明(請求項1)においては、前記水滴除去装置を前記ガス除湿装置と前記ガス流量制御装置との間のガス供給配管に設けるのが好ましい(請求項2)。
【0017】
上記発明(請求項2)によれば、水滴除去装置をガス除湿装置とガス流量制御装置との間のガス供給配管にガス流量制御部の上流側に設けているので、ガス除湿装置で除去されなかった凝縮水を確実に除去することで、凝縮水がガス流量制御装置に到達することがなく、長期停止後等でもガス溶解水製造装置を適切に稼動することが可能となっている。
【0018】
上記発明(請求項1,2)においては、前記水滴除去装置がガスフィルタであるのが好ましい(請求項3)。かかる発明(請求項3)によれば、ガスフィルタはガスのみを透過し、水分を除去することができるので、ガス供給配管の凝縮水を確実に取り除くことができる。
【0019】
上記発明(請求項1〜3)においては、前記電解装置での水の電気分解により生じたガスは、水素、酸素又はオゾンである(請求項4)。
【0020】
上記発明(請求項1〜4)においては、前記ガス流量制御装置がマスフローコントローラであるのが好ましい(請求項5)。
【0021】
上記発明(請求項5)によれば、マスフローコントローラは、ガス流量の正確な制御に優れている一方、水分の混入により支障を生じやすいが、マスフローコントローラに浸入するのを防止することが可能となっている。
【0022】
上記発明(請求項1〜5)においては、前記ガス供給配管が、SUS、ナイロン又はフッ素系樹脂であるのが好ましい(請求項6)。また、前記ガス溶解装置が、ガス透過膜によって内部が液相室と気相室に区画された気体溶解用のガス透過膜モジュールであるのが好ましい(請求項7)。
【0023】
また、第二に本発明は、請求項1〜7のいずれか1項のガス溶解水製造装置を用いてガス溶解水を製造することを特徴とするガス溶解水の製造方法を提供する(請求項8)。
【0024】
かかる発明(請求項8)によれば、電解装置により水を電気分解し、この電気分解により生じたガスを、ガス流量制御装置で流量を正確に制御してガス溶解装置に供給して純水に溶解することによりガス溶解水を製造する。このとき、水の電解により生じるガスは多量の水分を含んでいるが、ガス除湿装置により電解ガス中の水分が除去されるので、該水分がガス流量制御装置に悪影響を与えないようになっている。さらに、このガス溶解水製造装置をメンテナンスや工場停止により長期間停止した場合、電解装置も停止するので、電解装置の電極とガス除湿装置との間の配管等に凝縮水が貯まり、ガス溶解水製造装置を再度立ち上げるとガス供給配管からガス流量制御装置側に向けて凝縮水が移動する。この凝縮水は、ガス除湿装置では十分に除去されないが、ガス流量制御部の上流側に水滴除去装置を設けているので、凝縮水がガス流量制御装置に到達することがなく、長期停止後等でもガス溶解水製造装置を適切に稼動することが可能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明のガス溶解水製造装置によれば、電解装置により水を電気分解し、この電気分解により生じたガスを、ガス流量制御装置で流量を正確に制御してガス溶解装置に供給して純水に溶解することによりガス溶解水を製造することができ、そして、このガス溶解水製造装置をメンテナンスや工場停止により長期間停止した場合、電解装置も停止するので電極と除湿膜の間の配管等に凝縮水が貯まり、ガス溶解水製造装置を再度立ち上げるとガス供給配管からガス流量制御装置側に向けて凝縮水が移動する。この凝縮水は、ガス除湿装置では十分に除去されないため、ガス流量制御装置に浸入するとガス流量制御装置に支障をきたすおそれがあるが、ガス流量制御部の上流側に水滴除去装置を設けているので、凝縮水がガス流量制御装置に到達することがなく、長期停止後等でもガス溶解水製造装置を適切に稼動することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の一実施形態に係るガス溶解水製造装置及び製造方法を説明する系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。図1は本発明の一実施形態に係るガス溶解水製造装置を説明する系統図である。
【0028】
図1において、1はガス製造部であり、2はガス溶解装置たる気体溶解膜モジュールである。ガス製造部1は、電解装置3と気液分離器4とからなり、電解装置3はイオン交換膜5を介して区画された陰極室6と陽極室7とを有し、この電解装置3から気体溶解膜モジュール2を連結するようにガス供給配管8が設けられている。そして、ガス供給配管8には、ガス製造部1に続いてガス除湿装置たる除湿膜9と、ガス流量制御装置たるマスフローコントローラ(MFC)10とが順次設けられている。このMFC10の手前(上流側)には水滴除去装置たるガスフィルタ11が設けられている。一方、12は、純水供給配管であり、この純水供給配管12はガス溶解装置2に連通しているとともに、途中に設けられた分枝管12aにより電解装置3に接続している。
【0029】
上述したような装置構成において、この気体溶解膜モジュール2は、ガス透過膜2aによって液相側である液相室2bと気相側である気相室2cとに区画されており、また、この気相室2cには、凝縮水抜出配管2dが取り付けられていて、この凝縮水抜出配管2dは、図示しない凝縮水除去機構に連通している。なお、液相室2bには、水素溶解水供給配管13が接続されている。
【0030】
このガス透過膜2aとしては、水を透過させず、かつ水に溶解しているガスを透過させるものであれば特に制限はなく、例えば、ポリプロピレン、ポリジメチルシロキサン、ポリカーボネート−ポリジメチルシロキサンブロック共重合体、ポリビニルフェノール−ポリジメチルシロキサン−ポリスルホンブロック共重合体、ポリ(4−メチルペンテン−1)、ポリ(2,6−ジメチルフェニレンオキシド)、ポリテトラフルオロエチレン等の高分子膜等を挙げることができる。
【0031】
ガス供給配管8としては、特に制限はないが、ガスバリア性等を考慮するとSUS、ナイロン又はポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体(PFA)等のフッ素系樹脂性の管材を用いることができる。
【0032】
前記構成につきその作用について説明する。まず、純水供給配管12より超純水を供給する。この純水供給配管12に供給する原水としては、ユースポイントで使用する用途を満足する清浄度があり、ガス透過膜2aを極度に劣化ないし変質させる物質が含まれていない程度の純水であれば特に制限はなく、超純水に限らず、用途によっては脱気水等も純水として用いることができる。
【0033】
この超純水は、純水供給配管12から分枝管12aを経て電解装置3に流入し、ここで水の電気分解が行われ、そして、水の電気分解により陰極室6側に水素ガスが生じる。一方、陽極側には酸素ガスが発生し、この酸素ガスは陽極室7より、図示しない酸素ガス流出管を経て系外に排出される。なお、電解装置3内の残留水の余剰分もこの流出管を通して排出される。
【0034】
この結果、陰極室6より流出するのは水素ガスと水との気液混合物であり、この気液混合物はガス供給配管8を経て気液分離器4に流入する。気液分離器4において水素ガスと水とが分離し、水素ガスはガス供給配管8を通って気体溶解膜モジュール2に向けて導かれる。一方、水は気液分離器4内に滞留する。
【0035】
ここで、電解装置3から供給される水素ガスには飽和状態の水蒸気が含まれるが、この水素ガスが除湿膜9を通過することにより水蒸気が除去され、乾燥状態の水素ガスがMFC10に供給され、このMFC10により流量を精密に制御されて気体溶解膜モジュール2の気相室2cに流入することになる。一方、気体溶解膜モジュール2の液相室2bには純水供給配管12を経て超純水が供給される。気相室2c内の水素ガスはガス透過膜2aを通過して液相室2b内に入り込み、ここで超純水に溶解して水素溶解水が得られる。このとき、供給される水素ガス量がMFC10により精密に制御されているので、所定の水素ガスの溶存濃度の水素溶解水を製造することができる。
【0036】
また、気体溶解膜モジュール2の液相室2b内には常時、純水供給配管12より超純水が供給され、該液相室2b内には飽和状態の水蒸気が存在し、この水蒸気がガス透過膜2aを通過して気相室2c側に逆拡散して入り込む。そして、この逆拡散により気相室2c内に入り込んだ水蒸気が該気相室2c内で凝縮し、凝縮水が生じる。
【0037】
このように気相室2cにおいて凝縮水が生じるが、この凝縮水は、図示しない凝縮水除去機構により該気相室2cの下方に連結された凝縮水抜出配管2dから直ちに排出されることになる。したがって気相室2c内に凝縮水が滞留することはない。
【0038】
このようにして気体溶解膜モジュール2により製造された水素溶解水は、水素溶解水供給配管13を経て系外に流出し、例えば半導体製造工場における洗浄工程に送られ、シリコンウエハ等の半導体基板に対する洗浄水として用いられる。
【0039】
次に、本実施形態に係るガス溶解水製造装置の長期間の運転停止後における再起動時の動作について説明する。ガス溶解水製造装置を長期間停止すると電解装置3も停止するため、電解装置3と除湿膜9との間のガス供給配管8内に凝縮水が貯まる。そして、ガス溶解水製造装置を再度立ち上げると、再度水素ガスがガス供給配管8から気体溶解膜モジュール2の気相室2cに供給され、これに伴いガス供給配管8内に貯まっている凝縮水も気体溶解膜モジュール2に向かってガス供給配管8内を移動する。この凝縮水は水蒸気ではないので除湿膜9ではあまり除去されない。そのため、このまままでは凝縮水がMFC10に到達して悪影響を及ぼしてしまう。しかしながら、本実施形態においては、MFC10の手前(上流側)にガスフィルタ11を設けており、凝縮水がこのガスフィルタ11で除去され、MFC10に到達することがないので、長期停止後等でもガス溶解水製造装置を適切に稼動することが可能となっている。
【0040】
以上本発明を一実施形態に基づき説明してきたが、本発明は前記実施形態に限定されない。
【0041】
例えば、本実施形態においては、水滴除去装置としてのガスフィルタ11をMFC10と除湿膜9との間のガス供給配管8に設けたが、ガス製造部1内で気液分離器4の下流側(図示11aの箇所)に設けてもよいし、ガス製造部1と除湿膜9との間(図示11bの箇所)に設けてもよい。
【0042】
さらに、水滴除去装置としては、ガスフィルタ11に限らず、水滴トラップ管、シリカゲル等を用いることができる。また、ガス除湿装置としては、除湿膜9に限らず、シリカゲルを用いることができる。
【0043】
供給するガスは水素に限らず、水の電解により供給可能なものであればよく、酸素又はオゾンガス等にも適用可能である。また、ガス流量制御装置としては、MFC10が好ましいが、この場合、MFCの種類は水素、酸素又はオゾン等、供給するガスに応じたものを選択すればよい。
【0044】
さらに、ガス溶解装置としては、ガス溶解膜を用いた気体溶解膜モジュール2が好ましいが、これに限定されない。
【0045】
さらにまた、電解装置3に原料水を供給する分枝管12aは、気体溶解膜モジュール2の液相室2bに超純水を供給する純水供給配管12とは別個独立して設けてもよく、また液相室2bに供給される超純水には必要に応じて酸又はアルカリを添加して予めpH調整を行なった超純水を供給するようにしてもよい。
【実施例】
【0046】
以下、実施例及び比較例を参照して、本発明をより詳細に説明するが、本発明は下記の実施例等に何ら限定されるものではない。
【0047】
〔実施例1,比較例1〕
図1に示すガス溶解水製造装置を用いて、水素溶解水を製造した。装置及び測定条件の詳細は以下の通りである。
【0048】
気体溶解膜モジュール2のガス透過膜2a:セルガード(株)製「リキセル G284」
原水:脱気した超純水
原水送水量:20L/min
原水の水温:25℃
水素ガス供給量:270cc/min
溶存水素ガス濃度:1.2ppm(mg/L)
【0049】
上記条件で3時間連続運転した後、装置を6時間、1日、3日、7日それぞれ停止した。続いて、ガス溶解水製造装置の再立ち上げを行った場合のMFC10の故障の有無を確認した(実施例1)。結果を表1に示す。また、図1に示すガス溶解水製造装置において、ガスフィルタ11を設置しない以外は同じ装置を用いて、同様に3時間連続運転した後、装置を6時間、1日、3日、7日それぞれ停止した。続いて、ガス溶解水製造装置の再立ち上げを行った場合のMFC10の故障の有無を確認した(比較例1)。結果を表1にあわせて示す。
【0050】
〔実施例2,3〕
図1に示すガス溶解水製造装置において、ガスフィルタを11aの箇所に設置したもの(実施例2)及び11bの箇所に設置したもの(実施例3)を用いて、同様に3時間連続運転した後、装置を6時間、1日、3日、7日それぞれ停止した。続いて、ガス溶解水製造装置の再立ち上げを行った場合のMFC10の故障の有無を確認した。結果を表1にあわせて示す。
【0051】
【表1】

【0052】
表1から明らかなようにガスフィルタ11を有しない比較例1では、1日以上装置を停止した後、再立ち上げを行うとMFCに凝縮水によるトラブルが生じたが、実施例1〜3では7日間停止後でもトラブルが生じなかった。
【符号の説明】
【0053】
1…ガス製造部
2…気体溶解膜モジュール(ガス溶解装置)
3…電解装置
8…ガス供給配管
9…除湿膜(ガス除湿装置)
10…マスフローコントローラ(MFC)(ガス流量制御装置)
11…ガスフィルタ(水滴除去装置)
12…純水供給配管

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水の電気分解を行う電解装置と、水の電気分解により生じたガスを純水に溶解するためのガス溶解装置と、前記電解装置と前記ガス溶解装置の気相側とを連結するガス供給配管と、前記ガス溶解装置の液相側に連通する純水供給配管とを備え、前記ガス供給配管にガス除湿装置と前記ガス溶解装置内へのガス供給量を制御するガス流量制御装置とが順次付設されたガス溶解水製造装置であって、
前記電解装置と前記ガス流量制御装置との間のガス供給配管に水滴除去装置を設けたことを特徴とするガス溶解水製造装置。
【請求項2】
前記水滴除去装置を前記ガス除湿装置と前記ガス流量制御装置との間のガス供給配管に設けたことを特徴とする請求項1に記載のガス溶解水製造装置。
【請求項3】
前記水滴除去装置が、ガスフィルタであることを特徴とする請求項1又は2に記載のガス溶解水の製造装置。
【請求項4】
前記電解装置での水の電気分解により生じたガスが、水素、酸素又はオゾンであることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガス溶解水製造装置。
【請求項5】
前記ガス流量制御装置が、マスフローコントローラであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のガス溶解水製造装置。
【請求項6】
前記ガス供給配管が、SUS、ナイロン又はフッ素系樹脂であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のガス溶解水製造装置。
【請求項7】
前記ガス溶解装置が、ガス透過膜によって内部が液相室と気相室とに区画された気体溶解用のガス透過膜モジュールであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載のガス溶解水製造装置。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれかのガス溶解水製造装置を用いてガス溶解水を製造することを特徴とするガス溶解水の製造方法。

【図1】
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【公開番号】特開2011−83754(P2011−83754A)
【公開日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−240801(P2009−240801)
【出願日】平成21年10月19日(2009.10.19)
【出願人】(000001063)栗田工業株式会社 (1,536)
【Fターム(参考)】