説明

ガス燃焼式打ち込み工具

【課題】燃料容器と電磁弁装置との温度差を抑えることで着火不良を防ぐとともに、グリップを後方に下げることなくレイアウトでき、工具の重心バランスを向上させることができるガス燃焼式打ち込み工具を提供する。
【解決手段】燃焼部19と、前記燃焼部19に供給する燃料を充填した筒状の燃料容器25と、前記燃料容器25から供給される燃料を計量して前記燃焼部19へと噴射する電磁弁装置24と、グリップ部12aと、を備えるガス燃焼式打ち込み工具10において、前記筒状の燃料容器25は、前記燃料容器25と前記グリップ部12aとを最短距離で結んだ線上を避けて配置され、前記燃料容器25から前記燃焼部19までの距離は、前記電磁弁装置24から前記燃焼部19までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置24から前記燃焼部19までの距離を超えないようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、可燃ガスを燃焼させることによって生成される燃焼ガスの圧力によって釘やピン等をコンクリートや木材等の工作材へ打ち込むようにしたガス燃焼式打ち込み工具に関する。
【背景技術】
【0002】
この種のガス燃焼式打ち込み工具として、液化した燃料ガスを充填したガス缶等の燃料容器を工具内に装着し、この燃料容器から供給される燃料を電磁弁装置によって計量して燃焼部へと噴射するものが知られている。
【0003】
このようなガス燃焼式打ち込み工具においては、構造上、燃焼部の近傍に電磁弁装置を設けるとともに、燃料容器はグリップ近傍などに設けるようにしたものが多い。
【0004】
この他にも、特許文献1記載のガス燃焼式打ち込み工具においては、燃焼部の近傍に電磁弁装置(燃料噴射器60)を設け、その更に下方に燃料容器(圧力容器30)を配置している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許2956004号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、ガス燃焼式打ち込み工具において、電磁弁装置が燃料容器よりも燃焼部の近くに配置されている場合、電磁弁装置の方が燃焼部の熱の影響を受けやすいため、電磁弁装置の温度が燃料容器の温度よりも高くなってしまう。
【0007】
電磁弁装置の温度が燃料容器の温度よりも高くなると、燃料容器から電磁弁装置へと液化ガスを供給したときに、燃料容器と電磁弁装置との温度差によってガス管路内で液化ガスが気化してしまうため、燃焼不良となり、打ち込み工具が正常に作動しない。
【0008】
このような問題を避けるためには、燃料容器の温度を電磁弁装置の温度とほぼ等しくするか、または、燃料容器の温度を電磁弁装置の温度よりも高くする必要がある。
【0009】
例えば、特許文献1記載のガス燃焼式打ち込み工具においては、電磁弁装置と燃料容器とが燃焼部からほぼ同距離に配置されている。このような構成によれば、燃料容器及び電磁弁装置が受ける燃焼部の熱伝達が同等であれば、その影響をほぼ等しくすることができるので、燃料容器と電磁弁装置との温度差を抑えることができる。
【0010】
しかしながら、この特許文献1記載のガス燃焼式打ち込み工具においては、燃焼部とグリップ部との間に燃料容器を配置しているため、燃料容器の分だけグリップを後方にずらして配置する必要がある。このため、トリガの位置も後方にずらさざるを得ず、工具全体のバランスが悪くなってしまうという問題があった。
【0011】
そこで、本発明は、燃料容器と電磁弁装置との温度差を抑えることで着火不良を防ぐとともに、グリップを後方に下げることなくレイアウトでき、工具の重心バランスを向上させることができるガス燃焼式打ち込み工具を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記した課題を解決するためになされたものであり、以下を特徴とする。
【0013】
(請求項1)
請求項1に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0014】
すなわち、請求項1に記載のガス燃焼式打ち込み工具は、燃焼部と、前記燃焼部に供給する燃料を充填した筒状の燃料容器と、前記燃料容器から供給される燃料を計量して前記燃焼部へと噴射する電磁弁装置と、グリップ部と、を備え、前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部と前記グリップ部とを最短距離で結んだ線上を避けて配置され、前記燃料容器から前記燃焼部までの距離は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離を超えないことを特徴とする。
なお、「実質的に同等」とは、燃焼部の熱の影響において差のないことを意味し、具体的には、燃焼部との間に空気層や構造体などの断熱部のある構造において20mm〜30mm程度の差異であれば「実質的に同等」であると言える。
【0015】
(請求項2)
請求項2に記載の発明は、上記した請求項1記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0016】
すなわち、前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に配置されることを特徴とする。
【0017】
(請求項3)
請求項3に記載の発明は、上記した請求項1又は2記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0018】
すなわち、前記燃料容器は、前記燃焼部の外周部に配置したことを特徴とする。
【0019】
(請求項4)
請求項4に記載の発明は、上記した請求項1〜3のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0020】
すなわち、前記燃料容器は、前記グリップ部の前端側部に隣接して配置されていることを特徴とする。
【0021】
(請求項5)
請求項5に記載の発明は、上記した請求項1〜4のいずれかに記載の発明の特徴点に加え、以下の点を特徴とする。
【0022】
すなわち、前記燃料容器は、前記燃焼部よりも前記グリップ部寄りに配置されていることを特徴とする。
(請求項6)
請求項6に記載の発明は、以下の点を特徴とする。
【0023】
すなわち、請求項6に記載のガス燃焼式打ち込み工具は、燃焼部と、前記燃焼部に供給する燃料を充填した筒状の燃料容器と、前記燃料容器から供給される燃料を計量して前記燃焼部へと噴射する電磁弁装置と、グリップ部と、を備え、前記燃料容器と前記電磁弁装置を前記燃焼部の外周部に配置し、前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に、前記グリップ部の軸延長線上の位置に配置され、前記燃料容器から前記燃焼部までの距離は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離を超えないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1に記載の発明は上記の通りであり、筒状の燃料容器は、前記燃料容器から前記燃焼部までの距離は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離を超えないように配置されている。このようにすれば、燃料容器は、電磁弁装置よりも燃焼部の熱の影響を大きく受けるように形成することができ、燃料容器から電磁弁装置へと至るガス管路内での燃料の気化を防ぎ、電磁弁装置による流量調節が正しく行われるようにすることができる。すなわち、着火不良を防ぎ、工具の信頼性を高めることができる。
【0025】
しかも、筒状の燃料容器は、燃焼部とグリップ部とを最短距離で結んだ線上を避けて配置される。すなわち、燃料容器は、グリップ部の延設方向から外れた位置に配置されているため、グリップ部のレイアウトに与える影響を小さくすることができる。このため、グリップを後方に下げることなくレイアウトでき、工具の重心バランスを向上させることができる。
【0026】
また、請求項2に記載の発明は上記の通りであり、前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に配置される。このため、燃料容器を燃焼部の外周部に配置したときに、燃焼部に沿ってコンパクトに配置することができる。
【0027】
また、請求項3に記載の発明は上記の通りであり、前記燃料容器は、燃焼部の外周部に配置される。このため、燃料容器を燃焼部に沿って、極力燃焼部の近傍に配置することができるので、燃料容器と電磁弁装置との温度差を抑えることができる。これにより、燃料容器から電磁弁装置へと至るガス管路内での液化燃料の気化を防ぐことができる。
【0028】
また、請求項4に記載の発明は上記の通りであり、前記燃料容器は、前記グリップ部の前端側部に隣接して配置されている。すなわち、グリップ部の根元に燃料容器を配置しているため、工具の重心バランスを向上させることができる。
【0029】
また、請求項5に記載の発明は上記の通りであり、前記燃料容器は、前記燃焼部よりも前記グリップ部寄りに配置されている。このため、燃焼部の側方や前方に燃料容器が突出しないので、工具をコンパクトに形成することができる。
【0030】
また、請求項6に記載の発明は上記の通りであり、前記燃料容器と前記電磁弁装置を前記燃焼部の外周部に配置されている。このため、燃料容器と電磁弁装置を燃焼部に沿って、極力燃焼部の近傍に配置することができるので、燃料容器と電磁弁装置との温度差を抑えることができる。これにより、燃料容器から電磁弁装置へと至るガス管路内での液化燃料の気化を防ぐことができる。
【0031】
また、筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に、前記グリップ部の軸延長線上の位置に配置されている。このため、燃料容器をグリップ部の根元側のグリップハウジング内に配置可能となるため、工具をコンパクトに形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】ガス燃焼式打ち込み工具の側面図である。
【図2】ガス燃焼式打ち込み工具の横断面図(A−A断面図)である。
【図3】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(B−B断面図)である。
【図4】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(C−C断面図)である。
【図5】ガス燃焼式打ち込み工具を斜め後方から見た外観図であって、収容蓋部を閉めた状態の図である。
【図6】ガス燃焼式打ち込み工具を斜め後方から見た外観図であって、収容蓋部を開けた状態の図である。
【図7】シリンダキャップの(a)表側斜視図、(b)裏側斜視図である。
【図8】ガス燃焼式打ち込み工具の側面図である。
【図9】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(D−D断面図)であって、収容蓋部を開けた状態の図である。
【図10】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(E−E断面図)であって、収容蓋部を開けた状態の図である。
【図11】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(D−D断面図)であって、収容蓋部を閉めた状態の図である。
【図12】ガス燃焼式打ち込み工具の縦断面図(F−F断面図)であって、収容蓋部を閉めた状態の図である。
【図13】本実施形態の変形例を示す図であって、電磁弁装置及び燃料容器の他の配置例を示す図である
【図14】本実施形態の変形例を示す図であって、電磁弁装置及び燃料容器の他の配置例を示す図(その1)である。
【図15】本実施形態の変形例を示す図であって、電磁弁装置及び燃料容器の他の配置例を示す図(その2)である。
【図16】本実施形態の変形例を示す図であって、電磁弁装置及び燃料容器の他の配置例を示す図(その3)である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明の実施形態について、図を参照しながら説明する。
【0034】
図1〜4に示すように、本実施形態に係るガス燃焼式打ち込み工具10は、シリンダ13を収容したボデーハウジング11の後方にグリップハウジング12が連設されたものとなっており、シリンダ13内には打撃ピストン15が摺動可能に収容されている。この打撃ピストン15の下面側には、釘を打撃するドライバ14が結合されている。
【0035】
前記ボデーハウジング11の下部には釘を被打込材へ向けて打込み案内するノーズ部16が取り付けられており、前記打撃ピストン15に結合されたドライバ14がこのノーズ部16に摺動可能に収容されて案内されている。このノーズ部16の側方には多数の釘が装填されたマガジン18が連設されており、マガジン18内の釘がノーズ部16へ順次供給され、ノーズ部16へ供給された釘が前記ドライバ14によって打撃されて、ノーズ部16の先端の射出口17から被打込材へ打ち出されるように形成されている。
【0036】
前記シリンダ13の上方には可燃性ガスと空気との混合ガスが生成されるとともにこの混合ガスを燃焼させるための燃焼部である燃焼室19が形成されている。この燃焼室19は、シリンダ13に対して可動スリーブ22を摺動可能に配置することで形成されるものである。詳しくは、シリンダ13の側面上部に設けられた複数の開口を環状の可動スリーブ22で覆うことにより、可動スリーブ22内部にシリンダ13内部と連通した密閉空間を形成し、この密閉空間で燃焼室19を形成している。なお、この可動スリーブ22は、ノーズ部16を被打込材に押し当てることによって上方へ摺動するように形成されており、これにより燃焼室19内が密閉されるように形成されている。
【0037】
燃焼室19内では、可燃性ガスと空気との混合ガスが生成され、この混合ガスを燃焼させることによって生じる燃焼ガスの圧力を前記打撃ピストン15に作用させて、打撃ピストン15をシリンダ13内の下死点位置に配置されているバンパ23まで駆動させるようにしている。
【0038】
シリンダ13の上端を覆うシリンダヘッド21には、可燃性ガスを燃焼室19内に供給するために、燃焼室19内に臨まされた供給口(図示せず)が形成されている。この供給口には、ガス供給管が接続され、電磁弁装置24から噴射されたガス燃料が燃焼室19に導かれるようになっている。
【0039】
電磁弁装置24は、燃焼室19にガス燃料を供給するためのものであって、ガス燃料の供給量を制御する電磁弁を備えている。この電磁弁装置24は、液化したガス燃料を充填した燃料容器25に接続されており、この燃料容器25から供給される燃料を計量して、一定量の可燃性ガスを前記燃焼室19へと噴射するようになっている。
【0040】
上記した電磁弁装置24によって可燃性ガスが燃焼室19内へと噴射されると、シリンダヘッド21に設けられた回転ファン35が回転する。これにより、燃焼室19内に供給された可燃性ガスが燃焼室19内の空気と撹拌され、燃焼室19内で所定の空燃比の混合ガスが生成される。
【0041】
また、シリンダヘッド21には、燃焼室19内で生成された混合ガスに着火して燃焼させるための点火装置(図示せず)が設けられている。この点火装置は、グリップ部12aの後端部に装着されているバッテリー38の電圧を高電圧に昇圧させ、この高電圧を放電させることによって火花を発生させるようにした一般的な点火プラグによって構成されている。この点火装置は、グリップ部12aの基部に形成されているトリガ39が操作されたときに作動する。この点火装置が作動して燃焼室19内で火花が発生すると、高圧の燃焼ガスが燃焼室19内で生成され、その衝撃で打撃ピストン15が摺動して釘を打ち込むように形成されている。
【0042】
なお、上記したグリップ部12aは、図1等に示すように、燃焼室19の軸方向に対して略直交する方向へ延出しており、作業者がこのグリップ部12aを握ることでガス燃焼式打ち込み工具10を安定して保持できるように形成されている。
【0043】
ところで、本実施形態における燃料容器25は、図2及び図3に示すように、筒状(円筒状)に形成されている。この筒状の燃料容器25は、図2に示すように、燃焼室19の軸と略平行となるように、燃焼室19の外周部に配置されている。これにより、燃料容器25は、燃焼室19に沿って極力燃焼室19の近傍に配置されている。
【0044】
また、この筒状の燃料容器25は、図2に示すように、グリップ部12aの軸延長線CLに対して偏った位置に、グリップ部12aの前端側部に隣接するように配置されている。このとき、燃焼室19とグリップ部12aとを最短距離で結んだ線は、上記したグリップ部12aの軸延長線CL上にあるため、必然的に、燃料容器25は、燃焼部19の外周部であって、燃焼部19とグリップ部12aとを最短距離で結んだ線上を避けて配置されることとなる。すなわち、この燃料容器25は、燃焼室19とグリップ部12aの間ではなく、グリップ部12aの延設方向から外れた位置で、グリップ部12aの付け根部分に配置されている。更に詳しくは、燃料容器25は、燃焼室19よりもグリップ部12a寄りに配置されており、図2に示すように、ボデーハウジング11の横幅に対して突出しないように配置されている。
【0045】
なお、電磁弁装置24も、図2に示すように、燃焼室19の軸と略平行となるように、燃焼室19の外周部に配置されている。このとき、電磁弁装置24から燃焼室19までの距離は、燃料容器25から燃焼室19までの距離とほぼ等しくなるように配置されている。
【0046】
ところで、上記した燃料容器25は、グリップハウジング12内に設けられた燃料容器収容部26に収容されている。この燃料容器収容部26の奥には、図3に示すように、燃料容器25を接続するための接続部26aが設けられている。この接続部26aは、ガス管を介して電磁弁装置24へと連通しており、この接続部26aに燃料容器25が接続されることで、燃料容器25内の燃料が電磁弁装置24へと供給されるように形成されている。
【0047】
この燃料容器収容部26において、接続部26aが設けられたのとは逆側の端には、燃料容器収容部26を開閉可能に閉塞するための収容蓋部27が取り付けられている。この収容蓋部27は、ヒンジを介してグリップハウジング12に回動可能に支持されている。この収容蓋部27を開放することで、図6に示すように、燃料容器収容部26の上面が開口し、燃料容器収容部26に収容された燃料容器25を取り出したり、燃料容器収容部26に燃料容器25を挿入したりすることができるようになっている。
【0048】
本実施形態においては、収容蓋部27を開放したときにグリップハウジング12の内部の配線が露出しないようにシリンダキャップ20が覆い隠すようになっている。すなわち、図7に示すように、シリンダキャップ20のグリップ部12a側の側部には、一体的に突出して形成された延出部20aが設けられており、この延出部20aで覆うことにより、グリップハウジング12の内部の配線が露出しないように形成されている(図6参照)。
【0049】
また、収容蓋部27の裏面には、ゴムなどの高分子材料で形成された押圧部材27aが固定されている。この押圧部材27aは、収容蓋部27を閉じたときに燃料容器25と接触し、燃料容器25を接続部26aの方向に押し付ける役割を果たす。なお、押圧部材27aは金属製のバネ等で代用してもよいが、高分子材料の弾性体を使用した方が衝撃吸収の速度が速いため、ガス缶などを痛めることなく衝撃を吸収することができる。
【0050】
また、収容蓋部27の開閉状態は、マイクロスイッチ30により検出されるようになっており、安全に燃料容器25の交換等が行えるようになっている。図9は、収容蓋部27を開けた状態を示す断面図である。この図9が示すように、収容蓋部27を開けると、収容蓋部27の裏面に設けられた係合部27bが、グリップハウジング12の内部に摺動可能に収容された摺動部材28の被係合部28aに係合し、摺動部材28を上方へ持ち上げる。すると、摺動部材28は、バネ29の付勢力も手伝って、外部へと突出する方向へと摺動する。このとき、図10に示すように、摺動部材28の端部がマイクロスイッチ30から離れるようになっている。
【0051】
一方、収容蓋部27を閉じると、図11が示すように、係合部27bが被係合部28aに係合し、摺動部材28を下方へと押し下げる。これにより、図12に示すように、摺動部材28の端部がマイクロスイッチ30と接触し、マイクロスイッチ30を押下するように形成されている。すなわち、このマイクロスイッチ30の押下信号を制御装置(図示せず)が検知することにより、収容蓋部27の開閉が検知されるように形成されている。
【0052】
以上説明したように、本実施形態によれば、円筒状の燃料容器25は、燃焼室19の軸と略平行に燃焼室19の外周部に配置される。このため、燃料容器25を燃焼室19に沿って、極力燃焼室19の近傍に配置することができるので、燃料容器25と電磁弁装置24との温度差を抑えることができる。これにより、燃料容器25から電磁弁装置24へと至るガス管路内での燃料の気化を防ぎ、電磁弁装置24による流量調節が正しく行われるようにすることができる。すなわち、着火不良を防ぎ、工具の信頼性を高めることができる。
【0053】
しかも、円筒状の燃料容器25は、燃焼室19とグリップ部12aとを最短距離で結んだ線上を避けて配置されている。すなわち、燃料容器25は、グリップ部12aの延設方向から外れた位置に配置されているため、グリップ部12aのレイアウトに与える影響を小さくすることができる。このため、グリップ部12aを後方に下げることなくレイアウトでき、工具の重心バランスを向上させることができる。
【0054】
また、前記燃料容器25から前記燃焼室19までの距離が、前記電磁弁装置24から前記燃焼室19までの距離を超えないように配置されている。このようにすれば、燃料容器25は、電磁弁装置24よりも燃焼室19の熱の影響を大きく受けるように形成することができ、燃料容器25から電磁弁装置24へと至るガス管路内での燃料の気化を防ぐことができる。
【0055】
また、前記燃料容器25は、前記グリップ部12aの前端側部に隣接して配置されている。すなわち、グリップ部12aの根元に燃料容器25を配置しているため、工具の重心バランスを向上させることができる。
【0056】
また、前記燃料容器25は、前記燃焼室19よりも前記グリップ部12a寄りに配置されている。このため、燃焼室19の側方や前方に燃料容器25が突出しないので、工具をコンパクトに形成することができる。
【0057】
なお、前記燃料容器25は、図13に示すように、燃焼室19の軸と略平行に燃焼室19の外周部に配置するとともに、前記グリップ部12aの軸延長線上の位置に配置させても良い。この場合、前記電磁弁装置24も燃焼室19の外周部に配置させることとすれば、前記燃料容器25から前記燃焼室19までの距離を、前記電磁弁装置24から前記燃焼室19までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置24から前記燃焼室19までの距離を超えない範囲とすることが容易となるので、燃料容器25から電磁弁装置24へと至るガス管路内での燃料の気化を防ぎ、電磁弁装置24による流量調節が正しく行われるようにすることができる。すなわち、着火不良を防ぎ、工具の信頼性を高めることができる。また、燃料容器25と電磁弁装置24をグリップ部の根元側のグリップハウジング12の内部に配置可能となるため、工具全体としてコンパクトに形成することができる。
【0058】
なお、上記した実施形態においては、燃料容器25及び電磁弁装置24は、いずれも燃焼室19の軸と略平行に燃焼室19の外周部に配置した。しかしながら、燃料容器25から燃焼室19までの距離が、電磁弁装置24から燃焼室19までの距離を超えないように配置するレイアウトとしては様々な態様が考えられる。
【0059】
例えば、図14(a)〜(c)に示すように、燃料容器25は、上記した実施形態と同様に燃焼室19の軸と略平行に燃焼室19の外周部に配置し、電磁弁装置24の位置を変更してもよい。例えば、図14(a)に示すように、電磁弁装置24をグリップ部12aの内部に配置することとしてもよい。また、図14(b)に示すように、電磁弁装置24をマガジン18に沿って配置することとしてもよい。また、図14(c)に示すように、グリップ部12aの後端とマガジン18の後端とを結ぶブリッジ部31に、電磁弁装置24を配置してもよい。
【0060】
また、図15(a)〜(d)、図16(a)〜(e)に示すように、燃料容器25の位置を変更してもよい。
【0061】
すなわち、図15(a)に示すように、燃料容器25をグリップ部12aの内部に配置し、電磁弁装置24をブリッジ部31の内部に配置することとしてもよい。また、図15(b)に示すように、燃料容器25をグリップ部12aの内部に配置し、電磁弁装置24をマガジン18に沿って配置することとしてもよい。また、図15(c)に示すように、燃料容器25をグリップ部12aの内部に配置し、その更に後方のグリップ部12aの内部に電磁弁装置24を配置してもよい。また、図15(d)に示すように、燃料容器25をマガジン18に沿って配置し、その更に後方に電磁弁装置24を配置してもよい。
【0062】
また、図16(a)に示すように、燃料容器25をマガジン18に沿って配置し、電磁弁装置24をグリップ部12aの内部に配置してもよい。また、図16(b)に示すように、燃料容器25をブリッジ部31の内部に配置し、その更に後方のブリッジ部31の内部に電磁弁装置24を配置してもよい。また、図16(c)に示すように、燃料容器25をマガジン18に沿って配置し、電磁弁装置24をブリッジ部31の内部に配置してもよい。また、図16(d)に示すように、燃料容器25をマガジン18に沿って配置し、この燃料容器25の後端付近に電磁弁装置24を配置してもよい。また、図16(e)に示すように、燃料容器25をグリップ部12aの内部に配置し、この燃料容器25の後端付近に電磁弁装置24を配置してもよい。
【符号の説明】
【0063】
10 ガス燃焼式打ち込み工具
11 ボデーハウジング
12 グリップハウジング
12a グリップ部
13 シリンダ
14 ドライバ
15 打撃ピストン
16 ノーズ部
17 射出口
18 マガジン
19 燃焼室
20 シリンダキャップ
20a 延出部
21 シリンダヘッド
22 可動スリーブ
23 バンパ
24 電磁弁装置
25 燃料容器
26 燃料容器収容部
26a 接続部
27 収容蓋部
27a 押圧部材
27b 係合部
28 摺動部材
28a 被係合部
29 バネ
30 マイクロスイッチ
31 ブリッジ部
35 回転ファン
38 バッテリー
39 トリガ
CL グリップ部の軸延長線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃焼部と、
前記燃焼部に供給する燃料を充填した筒状の燃料容器と、
前記燃料容器から供給される燃料を計量して前記燃焼部へと噴射する電磁弁装置と、
グリップ部と、
を備え、
前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部と前記グリップ部とを最短距離で結んだ線上を避けて配置され、前記燃料容器から前記燃焼部までの距離は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離を超えないことを特徴とする、ガス燃焼式打ち込み工具。
【請求項2】
前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に配置されることを特徴とする、請求項1記載のガス燃焼式打ち込み工具。
【請求項3】
前記燃料容器は前記燃焼部の外周部に配置したことを特徴とする、請求項1又は2記載のガス燃焼式打ち込み工具。
【請求項4】
前記燃料容器は、前記グリップ部の前端側部に隣接して配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載のガス燃焼式打ち込み工具。
【請求項5】
前記燃料容器は、前記燃焼部よりも前記グリップ部寄りに配置されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載のガス燃焼式打ち込み工具。
【請求項6】
燃焼部と、
前記燃焼部に供給する燃料を充填した筒状の燃料容器と、
前記燃料容器から供給される燃料を計量して前記燃焼部へと噴射する電磁弁装置と、
グリップ部と、
を備え、
前記燃料容器と前記電磁弁装置とを前記燃焼部の外周部に配置し、
前記筒状の燃料容器は、前記燃焼部の軸と略平行に、前記グリップ部の軸延長線上の位置に配置され、前記燃料容器から前記燃焼部までの距離は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離と実質的に同等、又は、前記電磁弁装置から前記燃焼部までの距離を超えないことを特徴とする、ガス燃焼式打ち込み工具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−179689(P2012−179689A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−45222(P2011−45222)
【出願日】平成23年3月2日(2011.3.2)
【出願人】(000006301)マックス株式会社 (1,275)
【Fターム(参考)】