説明

ガス生成組成物

たとえばガス生成燃料として使用される新規な化合物であり、構造式により定義され、式中、R4はトリアジン環である;R1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;R2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;R3は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
この出願は、2006年9月30日に出願された米国仮出願番号60/848,684の利益を要求する。
【0002】
技術分野
本発明は、ガス生成システムに一般に関し、例えば自動車の拘束システムのためのガス生成装置に使用されるようなガス生成組成物に関する。
【0003】
本発明の背景技術
本発明は、ガス燃焼の際に比較的少量の固体と比較的豊富な量のガスを生産するガス生成組成物に関する。固体の量を減らし、ガスの量を増加させ、インフレーター用のフィルターの必要性を減少させることは進行中の挑戦である。その結果、フィルターはサイズが低減されるか、あるいは全く除去することができ、それによりインフレーターの重量および/またはサイズを低減することができる。
【0004】
同様に重要な挑戦は、衝撃、摩擦あるいは静電放電刺激に関する比較的低い感度を示すガス生成組成物を製造することである。
【0005】
従って、金属をほとんど、または全く含まず、「無煙」の、または燃焼したときに生成物として90%以上のガスを生成することに寄与する成分を含む組成物を提供することは当該技術分野において重要な事項である。
【0006】
そのためには、燃料、酸化剤、およびガス生成組成物において使用されることが公知の他の成分を使用して、上記の利点を示すことが望ましい。
【0007】
発明の要約
上記の課題は、比較的多量の窒素および炭素を含み、そのため燃料を含むガス生成組成物の燃焼の際、固体生成物に相対するガス生成物を生成するように寄与するガス生成燃料の製造により解決される。燃料は、トリアジン環上に1つ、2つ、または3つのテトラゾール環を有する、トリアジンに基づいた分子として記載される。
【0008】
別の言い方をすれば、本発明の燃料は以下の構造式を有するものとして定義される:
【0009】
【化1】

【0010】
Y1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
Y2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
Y3は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
Y1、Y2あるいはY3の少なくとも1つはテトラゾリル基である。
【0011】
別の表現をすれば、本発明の燃料は以下の構造式を有するものとして定義される:
【0012】
【化2】

【0013】
式中、R4はトリアジン環である;

R1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R3は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R1、R2あるいはR3の少なくとも1つはテトラゾリル基である。
【0014】
本発明の1つの態様では、テトラゾロ−トリアジン分子およびそれらの対応する誘導体は高エネルギーを持っており、ガス生成組成物1モル当たりの大きなガス収率を提供する。燃焼を維持するためにより大きなエネルギー量を要求する相安定化された硝酸アンモニウムのような酸化剤を使用する場合、高エネルギーは特に有益である。
【0015】
さらに本発明によれば、該ガス生成組成物を組込むガス発生装置および乗り物乗員保護システムも提供される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1は、本発明にかかるインフレーターの一般的な構造を示す横断面の側面図である。
【図2】図2は本発明にかかるガス生成組成物を含む例示的な乗り物乗員拘束装置の概要の表現である。
【0017】
詳細な説明
本発明はガス生成組成物に関する。本発明のガス生成組成物は比較的多量の窒素および炭素を含むガス生成燃料から選択される第1の燃料を含み、それにより該燃料を含むガス生成組成物の燃焼に際して固体生成物でははなくガス生成物を発生することに寄与する。燃料は、トリアジン環上に1つ、2つまたは3つのテトラゾール環を有する、トリアジンに基づいた分子として記載される。該分子は新規であると考えられ、これらの燃料に本来的な高エネルギーが与えられるロケット技術あるいは防衛に関連する用途を始めとする他の用途にも利用できると考えられる。
次の例はガス生成成分としての種々の燃料と、その製造方法を示す非制限的な例示である。
【0018】
実施例1:
2,4,6−トリス(1−テトラゾリル)−1,3,5−トリアジン
【0019】
【化3】

【0020】
2,4,6−トリス(1−テトラゾリル)−1,3,5−トリアジンの合成のための実験手順
アセトニトリル中の、1H−テトラゾール(1.3g,18.5714mmol)の溶液(約3重量%の1H−テトラゾール、アルドリッチ社製)が調製された。NaHCO(1.607g、19.1285mmol)が約0℃で加えられ、約30分間室温で撹拌された。
その後、反応混合物は冷却され、約0℃にされた。塩化シアヌル(1.1415g、6.1904mmol)が混合物に加えられた。また、混合物は約30分間室温で撹拌され、次に、暖められ、約70℃で4時間保持された。4時間後、反応物は室温にされ、フラスコ内の200mlの水に注がれた。混合物は、約30分間激しく撹拌された。白い固体は溶液から濾過され、乾燥され、2.2gの純粋な物質を得た。
【0021】
2,4,6−トリス(1−テトラゾリル)−1,3,5−トリアジンがIR分光学によって確認された;1444、1473cm−1の吸収ピークはトリアジン環伸縮に対応する;そして1587、3110cm−1のピークは化合物中のテトラゾール部分を表し、これらが確認された。
OB=−75.74.
【0022】
この物質は加熱により爆発可能であり、摩擦に敏感である。そのため、他のすべての同様に敏感なタイプの化合物のように、これらおよび他の本発明の高エネルギー化合物は、当業者によって認識されるような向上された安全に関する配慮に従って加工され扱われるべきである。
【0023】
理論上は、Prop OB=−0.52の場合、燃料/酸化剤の比率は23/77である;合計の燃焼性生成物に対して、得られたガスの収率は約96.4%であり、プロペラント100gm当たり、ガスを4.04モル生産する。
【0024】
実施例2:
2,4−ビ(テトラゾロ)−6−クロロ−1,3、5−トリアジン
【0025】
【化4】

【0026】
2,4−ビ(テトラゾロ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの合成ための実験手順
アセトニトリル中の、1H−テトラゾール(1.3g,18.5714mmol)の溶液(約3重量%の1H−テトラゾール、アルドリッチ社製)が調製された。NaHCO(1.607g、19.1285mmol)が約0℃で加えられ、約30分間室温で撹拌された。その後、反応混合物は冷却され、約0℃にされた。塩化シアヌル(1.6952g、9.1928mmol)が混合物に加えられた。また、混合物は約30分間室温で撹拌され、次に、暖められ、約30−40℃で2時間保持された。2時間後、反応物は室温にされ、フラスコ内の200mlの水に注がれた。混合物は、約30分間激しく撹拌された。白い固体は溶液から濾過され、乾燥され、2.2gの純粋な物質を得た。
【0027】
2,4−ビ(テトラゾロ)−6−クロロ−1,3,5−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1455、1475cm−1の吸収ピークはトリアジン環伸縮に対応する;850cm−1は環塩素に対応する;そして1587、3110cm−1のピークは化合物中のテトラゾール部分を表し、これらが確認された。
注:この物質は摩擦に敏感である。
【0028】
実施例3:
4−テトラゾリル−2,6−ジクロロ−トリアジン
【0029】
【化5】

【0030】
4−テトラゾリル−2,6−ジクロロ−トリアジンの合成のための実験手順
アセトニトリル中の、1H−テトラゾール(1.3g,18.5714mmol)の溶液(約3重量%の1H−テトラゾール、アルドリッチ社製)が調製された。NaHCO(1.607g、19.1285mmol)が約0℃で加えられ、約30分間室温で撹拌された。その後、反応混合物は冷却され、約0℃にされた。塩化シアヌル(3.3905g、18.3856mmol)が混合物に加えられた。また、混合物は約30分間室温で撹拌され、次に、暖められ、約0−10℃で3時間保持された。3時間後、反応物は室温にされ、フラスコ内の200mlの水に注がれた。混合物は、約30分間激しく撹拌された。過剰の炭酸水素ナトリウム不純物が水に完全に溶解された。白い固体は溶液から濾過され、乾燥され、純粋な物質を得た。
【0031】
4−テトラゾリル−2,6−ジクロロ−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1455、1475cm−1の吸収ピークはトリアジン環伸縮に対応する;850cm−1は環塩素に対応する;そして1587、3110cm−1のピークは化合物中のテトラゾール部分を表し、これらが確認された。
注:この物質は摩擦に敏感である。
【0032】
実施例4:
2,4−ジ(メトキシ)−6−テトラゾロ−1,3,5−トリアジン
【0033】
【化6】

【0034】
2,6−ジ(メトキシ)−4−テトラゾロ−1,3,5−トリアジンの合成のための実験手順
アセトニトリル中の、1H−テトラゾール(0.511g,5.7524mmol)の溶液(約3重量%の1H−テトラゾール、アルドリッチ社製)が調製された。NaHCO(0.483g、5.7524mmol)が約0℃で加えられ、約30分間室温で撹拌された。その後、反応混合物は冷却され、約0℃にされた。クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(1.000g、5.6954mmol)が混合物に加えられた。また、混合物は55℃で、約3−4時間撹拌された。4時間後反応混合物は100mlの水に注がれ、ついで100mlの酢酸エチルで抽出された。溶媒はMgSOの上で乾燥され、減圧下に蒸発され、白色の粉末を得た。
【0035】
2,4−ジ(メトキシ)−6−テトラゾロ−1,3,5−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1465、1479cm−1の吸収ピークはトリアジン環伸縮に対応する;2962cm−1はメトキシ基に対応する;1587、1610cm−1、3110cm−1のピークは化合物中のテトラゾール部分を表し、これらが確認された。
DSC:162℃で幅広い発熱があり、加熱によりエアロゾルを形成する。
注:この物質は摩擦に敏感である。
【0036】
実施例5:
2−メトキシ−4,6−ビ(テトラゾロ)−1,3,5−トリアジン
【0037】
【化7】

【0038】
2−メトキシ−4,6−ビ(テトラゾロ)−1,3,5−トリアジンの合成のための実験手順
アセトニトリル中の、1H−テトラゾール(0.511g,5.7524mmol)の溶液(約3重量%の1H−テトラゾール、アルドリッチ社製)が調製された。NaHCO(0.483g、5.7524mmol)が約0℃で加えられ、約30分間室温で撹拌された。その後、反応混合物は冷却され、約0℃にされた。2,4−ジクロロ−6−メトキシトリアジン(1.000g、5.6954mmol)が0℃で混合物に加えられた。また、混合物は70℃で、一晩撹拌された。12時間後、反応混合物は100mlの酢酸エチルに注がれた。溶媒はMgSOの上で乾燥され、減圧下に蒸発され、白色の粉末を得た。
【0039】
2−メトキシ−4,6−ビ(テトラゾロ)−1,3,5−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1453、1477cm−1の吸収ピークはトリアジン環伸縮に対応する;3133cm−1はメトキシ基に対応する;1558、1604cm−1のピークは化合物中のテトラゾール部分を表し、これらが確認された。
DSC:145℃で鋭い発熱があった。
PSANとこの物質との混合物は良好に燃焼した。しかしPSANとともに107℃でエージングすると、若干褐色に変色した。
注:この物質は摩擦に敏感である。
【0040】
実施例6:
2,4−ジ(メトキシ)−2−テトラゾロ−1,3,5−トリアジン
【0041】
【化8】

【0042】
2,4−ジメトキシ−6−(アミノトリアゾロ)−1,3,5−トリアジンの合成のための実験手順
テトラヒドロフラン(アルドリッチ社製)中の、2−クロロ−4,6−ジメトキシトリアジン(1.000g、5.6954mmol)の溶液が調製された。N−メチルモルホリン(0.6336g、6.2649mmol)が室温で加えられた。混合物は約30分間室温で撹拌された。4−アミノトリアゾールが混合物にくわえられ、混合物はゆっくりと70℃に昇温され4時間保持された。4時間後、得られたスラリーは40mlの水に注がれ、それから白色の化合物が分離された。
【0043】
2,4−ジ(メトキシ)−2−テトラゾロ−1,3,5−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1639、1525cm−1の吸収ピークはトリアゾール環伸縮に対応する;3386cm−1は2級アミンの伸縮に対応する;1593、1548cm−1のピークは化合物中のテトラジン部分を表し、これらが確認された。
DSC:160℃で鋭い発熱があった。
【0044】
実施例7:
2,4−ジ(メトキシ),5−アセトアミドテトラゾロ−1,3,5−トリアジン
【0045】
【化9】

【0046】
2,4−ジ(メトキシ),5−アセトアミドテトラゾロ−1,3,5−トリアジン合成のための実験手順
テトラヒドロフラン中(アルドリッチ社製)の2,4−ジクロロ−6−メトキシトリアジン(1.000g、5.6954mmol)の溶液が調製された。
N−メチルモルホリン(0.6336g、6.2649mmol)が室温で加えられた。混合物は約30分間室温で撹拌された。5−アセトアミドテトラゾールが混合物に加えられ、混合物はゆっくりと70℃に昇温され4時間保持された。4時間後、得られたスラリーは40mlの水に注がれ、それから白色の化合物が分離された。物質は風乾され固体の粉末を得た。
【0047】
2,4−ジ(メトキシ),5−アセトアミドテトラゾロ−1,3,5−トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;1693cm−1はアセトアミドの吸収であり;1610、1550cm−1の吸収ピークはトリアゾール環伸縮に対応する;3010cm−1はアミドのN−Hであり;1482、1190cm−1のピークは化合物中のテトラジン部分を表し、これらが確認された。
DSC:180℃で非常に鋭い発熱があり、良好に点火し、非常に良好に燃焼した。
エイジングによりこの物質は質量が損失された(約4%)。
この燃料の17重量%と相安定化された硝酸アンモニウム(公知の方法で硝酸カリウムで安定化された)の83重量%と混合したときに、非常に優良に燃焼したが、107℃で400時間保持した後に約4.8%の質量損失があった。
OB:−108.2
【0048】
実施例8:
2,4−ジ(メトキシ),6−(5−アミノテトラゾロ)−1,3,5トリアジン
【0049】
【化10】

【0050】
2,4−ジ(メトキシ),6−(5−アミノテトラゾロ)−1,3,5トリアジン合成のための実験手順
テトラヒドロフラン中(アルドリッチ社製)の2,4−ジクロロ−6−メトキシトリアジン(1.000g、5.6954mmol)の溶液が調製された。N−メチルモルホリン(0.6336g、6.2649mmol)が室温で加えられた。混合物は約30分間室温で撹拌された。この時白色の沈殿が観察された。カリウム5−アミノテトラゾールが混合物に加えられ、混合物はゆっくりと65−70℃に昇温され4時間保持された。4時間後、得られたスラリーは40mlの水に注がれ、それから白色の化合物が分離された。物質は風乾され固体の粉末を得た。
【0051】
2,4−ジ(メトキシ),6−(5−アミノテトラゾロ)−1,3,5トリアジンの形成がIR分光学によって確認された;3318、3404cm−1の吸収は1級アミンであり;1638、1593cm−1の吸収ピークはトリアゾール環伸縮に対応する;1554、1386、950cm−1のピークは化合物中のテトラジン部分を表し、これらが確認された。
DSC:166℃で非常に鋭く対称な発熱があった。
OB:−99.91
【0052】
実施例9および10:
【0053】
【化11】

【0054】
実施例9および10は、Y1および/またはY2位置で置換された公知のトリアジンに基づいた化合物が本発明にかかる多くの燃料にどのようにして帰着するかを例証する。
Y1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;また、Y2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる。様々な出発化合物のための合成および/または供給者は当該技術分野において公知であり、たとえばアルドリッチ、フィッシャーケミカルがあげられ、および本明細書に記載された反応により得られる。
【0055】
本明細書に記載された主燃料とともに他のガス生成成分が使用でき、当該技術分野において公知のようにして組み合わされ、ガス生成組成物を形成することができる。以下に記載された成分は、本明細書に記載された新規な燃料と組み合わせることができるガス生成成分の非制限的な例示である。本発明により形成される、上記の例において例証されるような第一の燃料は、ガス生成組成物の合計の約0.1から80重量%、より好ましくはガス生成組成物の約5から50重量%で提供される。
【0056】
第一の酸化剤は、たとえば硝酸アンモニウム、相安定化硝酸アンモニウム、硝酸カリウムおよび硝酸ストロンチウムのような非金属または金属の硝酸塩;亜硝酸カリウムのような亜硝酸塩類;塩素酸カリウムのような塩素酸塩類;過塩素酸アンモニウムおよび過塩素酸カリウムのような非金属または金属の過塩素酸塩類;酸化鉄および酸化銅のようなオキサイド;塩基性硝酸銅および塩基性硝酸鉄のような塩基性硝酸塩類;およびそれらの混合物を含む群から選択される。第一の酸化剤は一般にガス生成組成物の約5−95重量%、より好ましくは約10−70重量%で提供されることができる。
【0057】
第二の酸化剤も任意に使用されることができ、上に記載された酸化剤から選ばれる。第二の酸化剤は、一般に約0.1−50重量%で、より好ましくは約0.1−30重量%で提供される。合計の酸化剤成分、すなわちすべての酸化剤の合計の重量%は、0.1〜80重量%の範囲で変動する。
【0058】
任意の第2の燃料は、ビス−(1(2)H−テトラゾール−5−イル)−アミンの誘導体、たとえばビス−(1(2)H−テトラゾール−5−イル)−アミンのモノアンモニウム塩(BTA−1NH3)、その無水酸、その酸一水塩、BTA−1NH3のカリウム、ナトリウム、ストロンチウム、銅、ホウ素、亜鉛塩を始めとするその金属塩類;それらの複合体;5−アミノテトラゾールのようなアゾール類;カリウム 5−アミノテトラゾールのようなアゾール類の金属塩類;5,5’−ビス−1H−テトラゾールのモノ−またはジアンモニウム塩のようなアゾールの非金属塩類;5−アミノテトラゾール硝酸塩のようなアゾールの硝酸塩;5−ニトロアミノテトラゾールのようなアゾールのニトロアミン誘導体;ジカリウム 5−ニトロアミノテトラゾールのようなアゾールのニトロアミン誘導体の金属塩類;モノ−またはジアンモニウム 5−ニトロアミノテトラゾールのようなアゾールのニトロアミン誘導体の非金属塩類;およびジシアンジアミドのようなグアニジン類;グアニジン硝酸塩のようなグアニジンの塩類;ニトログアニジンのようなグアニジン類のニトロ誘導体;アゾジカルボンアミドのようなアゾアミド類;アゾジカルボンアミジン二硝酸塩のようなアゾアミド類の硝酸塩;またそれの混合物からなる群から選択される。第二の燃料はガス生成組成物の合計の重量に基づいて、一般的には0.1−49.9重量%、より好ましくは約0.1−30重量%で使用される。合計の燃料成分、すなわち組成物のすべての燃料の合計量は、0.1−50重量%、より好ましくは約0.1−30重量%である。
【0059】
任意の添加剤は、ヒュームドシリカおよびヒュームドアルミナのようなヒュームド金属酸化物;珪素原子および二酸化ケイ素のようなシリコン化合物;ポリジメチルシロキサンのようなシリコーン;ケイ酸カリウムのようなケイ酸塩;クレー、タルクおよび雲母のような天然の鉱物;グラファイト繊維または粉末、ステアリン酸マグネシウム、窒化硼素、硫化モリブデンのような滑剤;およびそれらの混合物を含むからなる群から選択される。使用される場合には、添加剤は約0.1−10重量%、より好ましくは0.1−5重量%で含まれる。
【0060】
任意のバインダーは、酢酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースの塩、カルボキシメチルセルロース酢酸塩酪酸のようなセルロース誘導体;シリコーン;ポリプロピレンカーボネートおよびポリエチレンカーボネートのようなポリアルキレンカーボネート;それらの混合物の群から選択され、含まれる場合には一般に約0.1−10%、より好ましくは約0.1−5%で提供される。
【0061】
本明細書に記載されたすべての成分のパーセントは、合計のガス生成組成物重量の重量パーセントによる。
【0062】
たとえばヒュームド・シリカ(キャボット社によって提供されるM−5等級)のようなヒュームド金属酸化物の少量をこれらの配合物に提供し、上記の望ましい特性のすべてを発現するガス生成組成物を提供することができ、より重要には熱サイクルまたは熱ショック条件に暴露されたときに安定したバリスティック特性を示す組成物を提供することができる。
【0063】
当該技術分野において公知の方法により、これらの物質を含む配合物の乾燥混合物を作ることができる。原料は、たとえばスベコ(Sweco)震動ミルで15分間、一緒に粉砕することができる。その後、乾燥した物質はタブレットにされ、それの使用のためにインフレーターに充填されることができる。
【0064】
図1の中で示されるように、例示的なインフレータは、組み合わされるエアバッグの展開力を調整するために、デュアルチャンバー設計を組込む。一般に、本明細書に記載されたように形成されたガス生成物質12を含むインフレータは、公知の技術により製造されることができる。米国特許6,422,601、6,805,377、6,659,500、6,749,219および6,752,421は、典型的なエアバッグインフレータ設計を例証し、これらは参照され本明細書の一部として組み込まれる。
【0065】
図2を参照する。上記の例示的なインフレーター10は、ガス生成システムまたはエアバッグシステム200内に組み込まれることができる。エアバッグシステム200は少なくとも1つのエアバッグ202、および本発明のガス生成物質組成物12を含むインフレータ10を含み、該インフレータはエアバッグの内部と流体連絡可能にエアバッグ202と組み合わされる。エアバッグシステム200は、衝突センサー210を含むか、またはこれと接続される。衝突センサー210は既知のクラッシュセンサーアルゴリズムを含み、衝突の場合に例えばエアバッグインフレーター10の活性化によってエアバッグシステム200の起動の信号を送る。
【0066】
図2を参照する。エアバッグシステム200は、安全ベルトアセンブリー150のような追加の要素を含む、より広範な、より包括的な乗り物乗員拘束システム180に組み入れられることができる。図2は、そのような拘束システムの1つの典型的な実施態様の概略図を示す。安全ベルトアセンブリー150は、安全ベルトハウジング152および、ハウジング152から伸びる安全ベルト100を含む。安全ベルトリトラクタメカニズム154(例えば、ばね式のメカニズム)は、ベルトの端部分に連結されることができる。さらに、衝突の際にリトラクタメカニズムを始動させるために、プロペラント12と自動発火剤14を含む安全ベルトプリテンショナー156がベルトリトラクターメカニズム154に連結されることができる。本発明の安全ベルト実施態様と共に使用されることができる典型的なシートベルトリトラクタメカニズムは、米国特許番号5,743,480、5,553,803、5,667,161、5,451,008、4,558,832および4,597,546に開示されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部として組み込まれる。本発明の安全ベルトの実施態様が組み合わされることができる典型的なプリテンショナーの例は、米国特許番号6,505,790および6,419,177に開示されている。これらの特許は参照され、本明細書の一部として組み込まれる。
【0067】
安全ベルトアセンブリ150は、例えばプリテンショナーに組み入れられた火工品イグナイタ(図示せず)の起動によって、ベルトプリテンショナー156の起動の信号を発生する既知のクラッシュセンサーアルゴリズムを含む、衝突センサ158(例えば慣性センサあるいは加速度計)を含むか、またはこれと接続されることができる。先に参照され、本明細書の一部として組み込まれた米国特許番号6,505,790および6,419,177は、そのような方法で始動するプリテンショナーの例を提供する。
【0068】
安全ベルトアセンブリ150、エアバッグシステム200、およびより広範な乗り物乗員保護システム180が例示されるが、本発明により意図されるガス生成システムはこれらに限定されるものではない。
【0069】
本発明の実施態様の先の記述が例示の目的だけのためにあり、本発明の範囲を何ら制限しないことはさらに理解されるだろう。そのため、ここに示された様々な構造操作上の特徴は、当該技術分野における当業者により、特許請求の範囲により規定される本発明の技術範囲を逸脱することなく多くの改良を行うことができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
以下の構造式を有する化合物:
【化1】


式中、R4はトリアジン環である;
R1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R3は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R1、R2あるいはR3の少なくとも1つはテトラゾリル基である。
【請求項2】
R1、R2およびR3がテトラゾリル基である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1およびR2がテトラゾリル基であり、R3は、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項4】
R1がテトラゾリル基であり、R2およびR3はそれぞれ、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる、請求項1記載の化合物。
【請求項5】
以下の構造式を有する化合物として定義される第1の燃料:
【化2】


式中、R4はトリアジン環である;
R1は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R2は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R3は、テトラゾリル基、CH3、OCH3、−CN、−C2H、NCO、−NHNH2、NO、NO2、OH、Cl、−NHCONH2、−OCOR、NHNO2、置換されたテトラゾールおよび置換されたトリアゾールから成る群から選ばれる;
R1、R2あるいはR3の少なくとも1つはテトラゾリル基であり、該第1の燃料は約5−95重量%で提供される;および
塩基性金属の硝酸塩、並びに金属または非金属の硝酸塩類、塩素酸塩類、過塩素酸塩類、亜硝酸塩類、オキサイド、および過酸化物から選択される酸化剤であり、該酸化剤は約5−95重量%で提供される;
を含む組成物。
【請求項5】
カルボン酸、アミノ酸、テトラゾール類、トリアゾール類、グアニジン類、アゾアミド類、それらの金属または非金属塩;並びにそれらの混合物から選択される第二の燃料をさらに含み、該第二の燃料が約0.1−30%で提供される、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
請求項1記載の化合物を含むガス生成システム。
【請求項7】
請求項1記載の化合物を含む乗り物乗員保護システム。
【請求項8】
請求項5記載の組成物を含むガス生成システム。
【請求項9】
請求項5記載の組成物を含む乗り物乗員保護システム。
【請求項10】
請求項1記載の化合物を含む組成物。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公表番号】特表2010−515664(P2010−515664A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530466(P2009−530466)
【出願日】平成19年10月1日(2007.10.1)
【国際出願番号】PCT/US2007/021143
【国際公開番号】WO2008/060366
【国際公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【出願人】(507000143)ティー ケー ホールディングス インク (18)
【Fターム(参考)】