説明

ガス絶縁電気機器用絶縁スペーサ

【課題】絶縁スペーサの小型化と構成の簡略化を可能にしたガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを提供する。
【解決手段】中心部に埋め込んだ中心導体10によって高電圧導体を支持した絶縁スペーサ1の外周部に、仮想円周上に複数の埋め込み金具8を設け、この埋め込み金具8は環状フランジ4側に開放し反対側には非貫通の有底凹部とし、ガスケット収納用環状溝部7を埋め込み金具8の配置仮想円周よりも外側に配置し、環状フランジ4側から有底凹部のねじ部に螺合したボルト3で絶縁スペーサ1と環状フランジ4とを連結した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス絶縁電気機器の高電圧導体を絶縁支持するガス絶縁電気機器用絶縁スペーサに関する。
【背景技術】
【0002】
ガス絶縁電気機器として知られるガス絶縁開閉装置やガス絶縁母線等では、絶縁性ガスを充填した密閉容器内に絶縁スペーサを用いて主回路導体などの高電圧導体を支持すると共に、この絶縁スペーサによってガス区画を形成するようにしている。従来の絶縁スペーサは、密閉容器のフランジ間に絶縁スペーサの外周部を直接挟み込むようにして耐気密接続していたが(例えば、特許文献1を参照)、密閉容器のフランジ径に合わせて絶縁スペーサが大型化してしまうため、密閉容器のフランジ間に金属製の環状フランジの外周部を挟み込むようにして耐気密接続し、この環状フランジの内周部に絶縁スペーサを取り付けてガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを構成することが行われている(例えば、特許文献2を参照)。
【0003】
後者のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、図4に示したように中心部に中心導体10を埋め込んだ絶縁スペーサ1の外周部の仮想円周上に離散的に複数の埋め込み金具8を設け、この埋め込み金具8よりも中心導体10側にガスケット収納用環状溝部7を形成している。埋め込み金具8は、中心導体10の軸方向に存在する絶縁スペーサ1の両面に貫通した孔を有する筒状である。このような絶縁スペーサ1をガス絶縁電気機器に組み込んで使用する場合、密閉容器11,12のフランジ5a,5b間に環状フランジ4を挟み込んで図示しないボルトによって対気密接続し、この環状フランジ4における密閉容器11,12の内側では、ガスケット収納用環状溝部7内にガスケットを配置した状態で絶縁スペーサ1の左面を環状フランジ4に接触させ、絶縁スペーサ1の右面側から埋め込み金具8の内面に挿入したボルト3を環状フランジ4に螺合している。このボルト3の締め付けによって環状フランジ4と絶縁スペーサ1間のガスケットによる対気密接続を行っている。また、ボルト3の頭部で電界集中が生じないように同部に電界緩和用シールド9を設け、絶縁スペーサ1の中心導体10の両側にそれぞれ主回路を形成する高電圧導体5,6を接続している。このようにして絶縁スペーサ1により高電圧導体5,6を密閉容器11,12から電気的に絶縁した状態で支持すると共に、密閉容器11側と密閉容器12側をガス的に区分している。
【0004】
【特許文献1】実開昭60−62825号公報
【特許文献2】特開2003−153406号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、埋め込み金具8が絶縁スペーサ1の両面側に貫通する孔を有しているため、密閉容器11と密閉容器12間でガス区画を形成する場合、この埋め込み金具8の貫通孔によるガス的な連通を阻止するために絶縁スペーサ1の埋め込み金具8を配置した仮想円周よりも内側の中心導体10側にガスケットを配置するガスケット収納用環状溝部7を形成しなければならなかった。また、このガスケット収納用環状溝部7に配置したガスケットのガスシール面を形成するために、環状フランジ4の内径側をガスケット収納用環状溝部7よりも中心導体10側に位置させなければならなかった。従って、この環状フランジ4の内径側と中心導体10間における所定の沿面絶縁距離を小さくしてしまい、電圧階級に応じた所定の沿面絶縁距離を同部に確保しようとすると、外径の大きな絶縁スペーサ1となってしまう。また絶縁スペーサ1の外径の増大は密閉容器11,12の径を大きくすることにもなりガス絶縁電気機器の大型化およびコスト高となってしまう。
【0006】
本発明の目的は、絶縁スペーサの小型化と構成の簡略化を可能にしたガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、ほぼ中心部に設けられて高電圧導体に接続される中心導体およびその外周部の仮想円周上に埋め込んだ複数の埋め込み金具とを有した絶縁スペーサと、上記中心導体の軸方向における上記絶縁スペーサの片面の外周部に配置した環状フランジと、この環状フランジに上記絶縁スペーサを固定するために上記埋め込み金具に挿通したボルトと、上記環状フランジと上記絶縁スペーサ間に配置され上記ボルトの締め付けによって耐気密接続する環状ガスケットとを備えたガス絶縁電気機器用絶縁スペーサにおいて、上記埋め込み金具は、上記絶縁スペーサにおける上記環状フランジ側の面に開放し、かつ上記絶縁スペーサの反対側面まで貫通しない有底凹部を有して構成し、上記ボルトは上記環状フランジ側から挿入して上記埋め込み金具の上記有底凹部に螺合させ、上記環状ガスケットは上記埋め込み金具の仮想円周よりも外周部に配置したことを特徴とする。
【0008】
また請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記環状フランジは、上記高電圧導体を収納した隣接する密閉容器のフランジ間にその外周部を配置して耐気密接続したことを特徴とする。
【0009】
さらに請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載のものにおいて、上記環状フランジは、その中心側に3相共通の開口部を形成し、この開口部に3相の中心導体を有する3相一括形の上記絶縁スペーサを配置し、上記3相共通の開口部の外周部に位置する仮想円周上に上記埋め込み金具を設け、上記埋め込み金具の仮想円周のさらに外周部に3相共通の上記環状ガスケットを配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、埋め込み金具を環状フランジ側に開放した有底凹部を有して構成したため、ガスケット収納用環状溝部を埋め込み金具の配置仮想円周よりも外側に配置しても、従来のように埋め込み金具を通してガス的に連通することがないのでガスケットにより気密なガス区分を形成することが可能となり、リング状の環状フランジの中心導体側に位置する内径部は、埋め込み金具との連結を考慮した程度の大きさとすることができ、従来のようにガスケット収納用環状溝部のために環状フランジの中心導体側を延ばして内径をさらに小さくする必要はない。またボルトを環状フランジ側から有底凹部のねじ部へ螺合させることによって、ボルトの頭部側における電界集中を環状フランジを利用して簡単な構成で緩和し、小型の絶縁スペーサで環状フランジの内径部と中心導体間に十分の沿面絶縁距離を確保することができる。
【0011】
また請求項2に記載の本発明によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、高電圧導体を収納した隣接する密閉容器のフランジ間に環状フランジを配置して耐気密接続するようにしたため、絶縁スペーサと環状フランジとの連結体をガス絶縁電気機器用絶縁スペーサとして容易に取り扱うことができる。
【0012】
さらに請求項3に記載の本発明によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、環状フランジに形成した3相共通の開口部に、3相の中心導体を有する3相一括形の絶縁スペーサを配置し、また、この開口部の外周部に環状ガスケットを配置したため、環状フランジおよび環状ガスケットは3相一括形として構造を簡略化すると共に、ガスケット収納用環状溝部を埋め込み金具の配置仮想円周よりも外側に配置して気密なガス区分を作ることができ、リング状の環状フランジの中心導体側に位置する内径部を、埋め込み金具との連結を考慮した程度の大きさとすることができ、全体としても小型で構造簡単にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本発明の一実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図である。
絶縁スペーサ1は、その中心部に高電圧導体を連結するために埋め込んだ中心導体10と、取り付けようとして使用するために外周部の仮想円周上に埋め込んだ複数の埋め込み金具8と、この埋め込み金具8の仮想円周よりもさらに外周部に位置する部分に環状に形成したガスケット収納用環状溝部7を有している。埋め込み金具8は、中心導体10の軸方向に存在する絶縁スペーサ1の両面に貫通する孔を有さず左面側へのみ開放した有底凹部を有し、この有底凹部にねじ部を形成している。従って、絶縁スペーサ1は、埋め込み金具8によってその両面側がガス的に連通することはない。また、この埋め込み金具8は、種々の構成を採用することができるが、ここでは右面側端部を電界緩和のために滑らかな曲面形状として内部に埋め込んだ端部を有している。
【0014】
このような絶縁スペーサ1をガス絶縁電気機器に組み込んで使用する場合、隣接する密閉容器11,12のフランジ11a,12a間にリング状の環状フランジ4を挟み込んで図示しないボルトやOリングによって対気密接続し、ガスケット収納用環状溝部7内に環状ガスケットを配置した状態で密閉容器11,12内に位置する部分の環状フランジ4に絶縁スペーサ1の左面を接触させ、環状フランジ4の左面側から挿入したボルト3を埋め込み金具8の有底凹部のねじ部に螺合する。このときのボルト3の締め付けによって、環状フランジ4と絶縁スペーサ1間を環状ガスケットにより対気密接続すると共に、絶縁スペーサ1を環状フランジ4に固定している。絶縁スペーサ1の両側における中心導体10には、それぞれ主回路を形成する高電圧導体5,6を接続している。このようにして絶縁スペーサ1により高電圧導体5,6を密閉容器11,12から電気的に絶縁した状態で支持すると共に、密閉容器11側と密閉容器12側とをガス的に区分している。
【0015】
絶縁スペーサ1の取り付け状態で、埋め込み金具8は環状フランジ4との接触あるいはボルト3によって環状フランジ4と同電位となっている。この環状フランジ4は密閉容器11,12を介して通常接地されている。しかも、埋め込み金具8の右端部は電界集中を防止した形状になされているので、特別に電界緩和用シールドを付設する必要はない。しかし、この埋め込み金具8が絶縁スペーサ1の外周部の仮想円周状に離散的に存在することが電界集中を生じさせる場合は、各埋め込み金具8を上述の仮想円周上に配置したリング状の電界緩和用金属部材で連結するなど、周知の電界緩和手段を施すことができる。
【0016】
また、従来の構造ではボルト3の頭部における電界集中が発生したが、ここではボルト3の頭部が環状フランジ4側に位置しているため、この環状フランジ4も金属製であることから環状フランジ4の左面側の全体的な形状との関係で電界集中を防止することができる。この構造によってもボルト3の頭部における電界集中が問題となるなら、電界緩和手段として知られるようにボルト3の頭部に対応する位置の環状フランジ4を切削加工し、この切削加工部にボルト3の頭部を埋め込むようにして電界集中を防止することもできる。
【0017】
このようなガス絶縁電気機器用絶縁スペーサによれば、上述したように埋め込み金具8を環状フランジ4側に開放した有底凹部を有して構成したため、この埋め込み金具8によって絶縁スペーサ1の両側面をガス的に連通することはない。従って、ガスケット収納用環状溝部7を埋め込み金具8の配置仮想円周よりも外側に配置することによって両密閉容器11,12間をガス的に区分することができる。しかも、このようなガスケットの配置によって、リング状の環状フランジ4の中心導体10側に位置する内径部は、埋め込み金具8との連結を考慮した程度の大きさとすることができ、従来のようにガスケット収納用環状溝部7のために環状フランジ4の中心導体10側を延ばして内径をさらに小さくする必要はない。このため、絶縁スペーサ1を大型化することなく環状フランジ4の内径部と中心導体10間に十分の沿面絶縁距離を確保することができる。
【0018】
また、このようなガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、密閉容器11,12のフランジ11a,12a間に直接介在する絶縁スペーサとして、埋め込み金具が軸方向に二分割され、一方の埋め込み金具が見かけ上有底凹部であるものを単に選択し、これを環状フランジ4に取り付けただけではない。密閉容器11,12のフランジ11a,12a間に直接絶縁スペーサを介在した場合、その連結によって埋め込み金具と密閉容器11,12とは同電位となるため、埋め込み金具における電界上の問題は殆ど生じない。これに対して、環状フランジ4の内部側に絶縁スペーサを取り付け、しかも絶縁スペーサの小型化を図ろうとする場合、埋め込み金具の電界上の問題が発生し、この新たな課題を解決している。しかも、埋め込み金具が軸方向に二分割されているなら、一方の埋め込み金具は見かけ上有底であるが、他方の埋め込み金具は電位的に浮いた状態になってしまい、電界上の問題となるが、こうした新たな課題を解決し、環状フランジ4の内部側に取り付ける絶縁スペーサ1として望ましい構成を提供することができる。
【0019】
従来構造を示した図3と、本実施の形態による構造を示した図1では、絶縁スペーサ1の大きさと、埋め込み金具8の配置仮想円の大きさを同じものとして示しているため、図1の構成の方が環状フランジ4の内径部と中心導体10間に大きな沿面絶縁距離を確保することができる。しかし、電圧仕様に応じて決まる環状フランジ4の内径側と中心導体10間の沿面絶縁距離を同じとすると、図1に示した絶縁スペーサ1の方が外径を小型にすることができ、これによってガス絶縁電気機器を小型にすることができる。
【0020】
また、上述したように埋め込み金具8を環状フランジ4側に開放した有底凹部を有して構成したため、ボルト3を環状フランジ4側から有底凹部のねじ部へ螺合させることが可能となる。従って、このようなボルト3の頭部側には電界集中を緩和した環状フランジ4が位置することになり、ボルト3の頭部における電界集中を緩和することができるので、従来のように電界緩和用部材を設ける必要がなく、構成が簡略化できる。
【0021】
さらに、上述したガス絶縁電気機器用絶縁スペーサでは、絶縁スペーサ1と環状フランジ4間をボルト3によって分離可能に連結しているため、両者を組み立てたものをガス絶縁電気機器用絶縁スペーサとして容易に取り扱うことができる。しかし、環状フランジ4とは分離して絶縁スペーサ1のみをガス絶縁電気機器用絶縁スペーサとして取り扱うこともできる。この後者の考え方によれば、次のようにガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを構成することもできる。
【0022】
図2は、本発明の他の実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図であり、先の実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
この実施の形態では、ガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを絶縁スペーサ1のみによって構成し、この絶縁スペーサ1の一方の面に連結する環状フランジ4はガス絶縁電気機器を構成する密閉容器11のフランジ11aを兼用するものとして構成している。隣接する密閉容器11,12はそのフランジ11a,12a間を図示しないボルトやOリングなどによって耐気密接続するが、一方の密閉容器11のフランジ11aはその内径部を密閉容器11の径よりも小さくして絶縁スペーサ1を連結する環状フランジ4として機能する部分も一体的に形成している。
【0023】
このようなガス絶縁電気機器用絶縁スペーサによれば、密閉容器11のフランジ11aと環状フランジ4を兼用して構成を簡略することができ、しかも、上述した実施の形態の場合と同様に埋め込み金具8を環状フランジ4側に開放した有底凹部を有して構成したため、この埋め込み金具8によって絶縁スペーサ1の両側面をガス的に連通することはなく、ガスケット収納用環状溝部7を埋め込み金具8の配置仮想円周よりも外側に配置することが可能となり、上述した実施の形態の場合と同様の効果を得ることができる。
【0024】
図3は、本発明の他の実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図であり、先の実施の形態との同等物には同一符号を付けて詳細な説明を省略する。
環状フランジ4は、図1に示した密閉容器11,12の断面形状に合わせて外周部形状を決定するが、その内径部側はほぼ水平方向に楕円状とした3相一括形の共通開口部4aを形成している。この開口部4aにほぼ水平方向に3相の中心導体10a,10b,10cを埋め込んだ3相一括形の絶縁スペーサ1を配置する。この絶縁スペーサ1には、図1の場合と同様に環状フランジ4側に開放した有底凹部を有する埋め込み金具8が埋め込まれ、環状フランジ4側から挿入したボルト3を埋め込み金具8に螺合して、絶縁スペーサ1を環状フランジ4に固定する。しかし、絶縁スペーサ1側に形成するガスケット収納用環状溝部7と、同部に配置する環状ガスケットは、3相共通の開口部4aおよび埋め込み金具8の配置仮想円周よりも外周部に3相一括形として設ける。この3相共通の開口部4aの形状は、各相の中心導体10a,10b,10cまたはこれに接続する高電圧導体の配置に合わせて変化させることもできる。
【0025】
このような3相一括形のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサによれば、環状フランジ4に形成した3相共通の開口部4aに、3相の中心導体10を有する3相一括形の絶縁スペーサを配置し、また、この開口部4aの外周部に環状ガスケットを配置したため、環状フランジ4および環状ガスケットは3相一括形として構造を簡略化すると共に、先の実施の形態の場合と同様にガスケット収納用環状溝部を埋め込み金具8の配置仮想円周よりも外側に配置して両密閉容器11,12間のガス区分を形成することができる。また、リング状の環状フランジの中心導体側に位置する内径部は、埋め込み金具8との連結を考慮した程度の大きさとしても高電圧導体5,6までの沿面絶縁距離を十分に確保しても全体としては小型で構造簡単な3相一括形のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサとすることができる。
【0026】
また、このような3相一括形のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサによれば、密閉容器11,12の断面形状と絶縁スペーサ1の外形を必ずしも合致される必要がないので、様々な密閉容器11,12を使用したガス絶縁電気機器に適用することができる。つまり、密閉容器11,12のフランジ11a,12a間に直接絶縁スペーサ1を介在した場合、絶縁スペーサ1の外径部の形状をフランジ11a,12aの形状に合わせなければならないが、環状フランジ4の内径部側に絶縁スペーサ1を取り付ける場合は、例えば、密閉容器11,12およびフランジ11a,12aを図3の上下方向につぶした形状とすることも可能であり、絶縁スペーサ1に制約されることなく密閉容器11,12およびフランジ11a,12aを設計することができる。
【0027】
さらに本発明の他の実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサでは、絶縁スペーサ1の外周部の仮想円周上に複数の埋め込み金具8を埋め込み、その埋め込み金具8はその左端側で有底凹部を開放しその右面側で絶縁スペーサ1の右面側表面に露出しないように埋め込んでいるが、左端側に開放した凹部が有底でガス的な区分を行うと共に右端面が電界を考慮した形状であるならば、埋め込み金具8の右面側が絶縁スペーサ1の右面側に露出していても良い。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサは、図示の構成に限らずその他の構成のものにも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図である。
【図3】本発明のさらに他の実施の形態によるガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図である。
【図4】従来のガス絶縁電気機器用絶縁スペーサを示す断面図である
【符号の説明】
【0030】
1 絶縁スペーサ
2 埋め込み金具
3 ボルト
4 環状フランジ
6 高電圧導体
7 ガスケット収納用環状溝部
11,12 密閉容器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ほぼ中心部に設けられて高電圧導体に接続される中心導体およびその外周部の仮想円周上に埋め込んだ複数の埋め込み金具とを有した絶縁スペーサと、上記中心導体の軸方向における上記絶縁スペーサの片面の外周部に配置した環状フランジと、この環状フランジに上記絶縁スペーサを固定するために上記埋め込み金具に挿通したボルトと、上記環状フランジと上記絶縁スペーサ間に配置され上記ボルトの締め付けによって耐気密接続する環状ガスケットとを備えたガス絶縁電気機器用絶縁スペーサにおいて、上記埋め込み金具は、上記絶縁スペーサにおける上記環状フランジ側の面に開放し、かつ上記絶縁スペーサの反対側面まで貫通しない有底凹部を有して構成し、上記ボルトは上記環状フランジ側から挿入して上記埋め込み金具の上記有底凹部に螺合させ、上記環状ガスケットは上記埋め込み金具の仮想円周よりも外周部に配置したことを特徴とするガス絶縁電気機器用絶縁スペーサ。
【請求項2】
請求項1に記載のものにおいて、上記環状フランジは、上記高電圧導体を収納した隣接する密閉容器のフランジ間にその外周部を配置して耐気密接続したことを特徴とするガス絶縁電気機器用絶縁スペーサ。
【請求項3】
請求項1に記載のものにおいて、上記環状フランジは、その中心側に3相共通の開口部を形成し、この開口部に3相の中心導体を有する3相一括形の上記絶縁スペーサを配置し、上記3相共通の開口部の外周部に位置する仮想円周上に上記埋め込み金具を設け、上記埋め込み金具の仮想円周のさらに外周部に3相共通の上記環状ガスケットを配置したことを特徴とするガス絶縁電気機器用絶縁スペーサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−14070(P2007−14070A)
【公開日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−189257(P2005−189257)
【出願日】平成17年6月29日(2005.6.29)
【出願人】(503020574)株式会社日本AEパワーシステムズ (56)
【Fターム(参考)】