説明

ガス除去フィルタおよびガス除去フィルタユニット

【課題】フィルタ自身からガスの発生が無く、高清浄度が要求される環境で使用できるガス除去フィルタが必要とされている。
【解決手段】本発明のガス除去フィルタは、粒状吸着剤1を粉末状ホットメルト樹脂7で連結して得られた成型体12を加熱し、成型体12表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤8を接触させ、粉末状吸着剤8を成型体12表面に担持することを特徴とするものである。成型体12を加熱し表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤8を成型体12と接触させることにより、粉末状ホットメルト粉末表面に粉末状吸着剤8が接着・担持される。これにより、ガス除去フィルタは粉末状吸着剤8に覆われ、自身から発生するガスが空間に放出される前に吸着することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガスを除去する空気清浄用のガス除去フィルタおよびガス除去フィルタユニットに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、空気清浄の分野においては、一般的な生活環境以外にも、半導体製造工場や精密電子製造工場のクリーンルームにおける半導体の製造過程に使用されるケミカルフィルタに代表されるように、極微量のガス状不純物成分(以下ガスと呼ぶ)を除去して高清浄度の空気を保つことができるガス除去フィルタが必要とされている。高清浄度を保つためには、高いガス除去性能に加えて、ガス除去フィルタの下流側を汚染しないこと、すなわちガス除去フィルタ自身からガスが発生しないことが要求される。このようなガス除去フィルタとしては、特許文献1および特許文献2に記載されるような形態のガス除去フィルタが提案されている。特許文献1に記載のガス除去フィルタは、接着剤を用いて三次元網状構造物に粒状吸着剤を担持したものに、表裏貫通孔を設け間隔を空けて積層したものである。また、特許文献2に記載のガス除去フィルタは、粒状吸着剤とプラスチック粉末の混合物をゴムの型を用いてハニカム状に成型したものである。
【特許文献1】特開2005−131506号公報
【特許文献2】特許第2523059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
従来のガス除去フィルタには通気性に優れた基材に吸着剤を担持する形態のものが多く見られる。これらのガス除去フィルタは、基材に吸着剤を接着・担持するために接着力の大きい有機系接着剤を用いることが多い。しかしながら、有機系接着剤は接着力が大きい反面、製造に使用した溶剤や未反応の原料といった揮発性の高い成分が残存しており、使用中に接着剤からこれらの成分が揮発しガス除去フィルタ自身がガスの発生源となるという課題がある。
【0004】
例えば、特許文献1のガス除去フィルタは三次元網状構造物に接着剤を塗布し乾燥後に吸着剤を担持するため、接着剤中の溶剤や未反応成分が揮発しガス除去フィルタからガスが発生するという課題がある。また、特許文献2のガス除去フィルタは、粒状吸着剤とプラスチック粉末の混合物をハニカム状に成型したものであるが、プラスチック粉末中の低分子量成分が揮発してくるという課題がある。
【0005】
特に、クリーンルームで使用されるケミカルフィルタのように数ppbレベルの極低濃度のガス除去性能が求められる場合、ガス除去フィルタ自身からのガスの発生が大きな問題となることがある。そのため、ガス除去フィルタに使用されている接着剤から発生するガスをいかに低減するかが、高性能のガス除去フィルタを作製する時の課題となる。
【0006】
本発明は、このような従来の課題を解決するものであり、ガス除去性能が高いとともに、ガス除去フィルタ自身からのガスの発生が少ないガス除去フィルタを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明のガス除去フィルタは、粒状吸着剤を粉末状ホットメルト樹脂で連結して得られた成型体を加熱し、前記成型体表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤を接触させ、粉末状吸着剤を前記成型体表面に担持することを特徴とするものである。
【0008】
また、請求項1に記載のガス除去フィルタにおいて、粉末状吸着剤が非極性ガスを吸着することを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項1に記載のガス除去フィルタにおいて、粉末状吸着剤が酸性ガスを吸着することを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項1に記載のガス除去フィルタにおいて、粉末状吸着剤がアルカリ性ガスを吸着することを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項1乃至4いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、粉末状吸着剤が成型体表面に存在する粉末状ホットメルト樹脂を均一に被覆していることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項1乃至5いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、成型体に担持されていない余剰の粉末状吸着剤を除去することを特徴とするものである。
【0013】
また、請求項1乃至6いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、粉末状ホットメルト樹脂として、酢酸ビニルが6重量%以上配合されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなるものを用いることを特徴とするものである。
【0014】
また、請求項1乃至7いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、成型体が、通気方向において上流面から下流面まで達する貫通孔を有することを特徴とするものである。
【0015】
また、請求項8記載のガス除去フィルタにおいて、成型体に貫通孔を設けるための複数のピンを有する型に粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の混合物を充填した後、加熱後冷却して粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の成型体を作製し、前記成型体を型から取り外すことで貫通孔を設けることを特徴とするものである。
【0016】
また、請求項9記載のガス除去フィルタにおいて、型の表面が易剥離性を有することを特徴とするものである。
【0017】
また、請求項8乃至10いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、貫通孔を形成する貫通孔壁の内部に補強材を有することを特徴とするものである。
【0018】
また、請求項11記載のガス除去フィルタにおいて、貫通孔壁内部が繊維体を有することを特徴とすることを特徴とするものである。
【0019】
また、請求項12に記載のガス除去フィルタにおいて、繊維体がガス吸着能を有することを特徴とするものである。
【0020】
また、請求項1乃至13いずれかに記載のガス除去フィルタにおいて、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に、通気性を有し粒状吸着剤の粒径よりも目が小さいシートを設けることを特徴とするものである。
【0021】
また、請求項14に記載のガス除去フィルタにおいて、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートがガス吸着能を有することを特徴とするものである。
【0022】
また、請求項14に記載のガス除去フィルタにおいて、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートが空気中の粉塵を捕集する機能を有することを特徴とするものである。
【0023】
また、本発明のガス除去フィルタユニットは、請求項1乃至16いずれかに記載のガス除去フィルタをプリーツ状に配置してなることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0024】
本発明のガス除去フィルタは、粒状吸着剤を粉末状ホットメルト樹脂で連結して得られた成型体を加熱し、前記成型体表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤を接触させ、粉末状吸着剤を前記成型体表面に担持するため、フィルタ自身からのガスの発生がほとんど無いガス除去フィルタを容易に得ることができる。
【0025】
また、粉末状吸着剤が非極性ガスを吸着するため、フィルタ自身から有機ガス等の非極性ガスの発生がほとんど無いガス除去フィルタを得ることができる。
【0026】
また、粉末状吸着剤が酸性ガスを吸着するため、フィルタ自身から酸性ガスの発生がほとんど無いガス除去フィルタを得ることができる。
【0027】
また、粉末状吸着剤がアルカリ性ガスを吸着するため、フィルタ自身からアルカリ性ガスの発生がほとんど無いガス除去フィルタを得ることができる。
【0028】
また、粉末状吸着剤が成型体表面に存在する粉末状ホットメルト樹脂を均一に被覆しているため、フィルタ自身からガスの発生がほとんど無いとともにガス捕集効率に優れたガス除去フィルタを得ることができる。
【0029】
また、成型体に担持されていない余剰の粉末状吸着剤を除去するため、使用中に粉末状吸着剤が下流側に流出することのないガス除去フィルタを得ることができる。
【0030】
また、粉末状ホットメルト樹脂として、酢酸ビニルが6重量%以上配合されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなるものを用いるため、弾性に富んだガス除去フィルタを得ることができる。
【0031】
また、成型体が、通気方向において上流面から下流面まで達する貫通孔を有するため、通気性が高く除去性能が高いガス除去フィルタが得られる。
【0032】
また、成型体に貫通孔を設けるための複数のピンを有する型に粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の混合物を充填した後、加熱後冷却して粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の成型体を作製し、前記成型体を型から取り外すことで貫通孔を設けるため、容易に作製可能なガス除去フィルタを得ることができる。
【0033】
また、型の表面が易剥離性を有するため、成型後に容易に型から取り外すことが可能なガス除去フィルタを得ることができる。
【0034】
また、貫通孔を形成する貫通孔壁の内部に補強材を有するため、強度に優れたガス除去フィルタを得ることができる。
【0035】
また、貫通孔壁内部が繊維体を有するため、粒状吸着剤の粒落ちが少なく強度に優れたガス除去フィルタを得ることができる。
【0036】
また、繊維体がガス吸着能を有するため、強度に優れ、より吸着容量の大きいガス除去フィルタを得ることができる。
【0037】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に、通気性を有し粒状吸着剤の粒径よりも目が小さいシートを設けるため、衝撃や振動などの外力を受けても粒状吸着剤がガス除去フィルタから脱落したり、また、粒状吸着剤が下流側に流出したりすることのないガス除去フィルタを得ることができる。
【0038】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートがガス吸着能を有するため、より多量のガスを吸着できるガス除去フィルタを得ることができる。
【0039】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートが空気中の粉塵を捕集する機能を有するため、ガスのみでなく空気中の粉塵も捕集することができるガス除去フィルタを得ることができる。
【0040】
また、本発明のガス除去フィルタユニットは、請求項1乃至16いずれかに記載のガス除去フィルタをプリーツ状に配置してなるため、より高い通気性が得られ、かつガスおよび空気中の粉塵の捕集効率をより高めたガス除去フィルタユニットを得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0041】
上記目的を達成するために本発明のガス除去フィルタは、粒状吸着剤を粉末状ホットメルト樹脂で連結して得られた成型体を加熱し、前記成型体表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤を接触させ、粉末状吸着剤を前記成型体表面に担持するという特徴を有する。成型体は粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂を混合したものを成型しているため、加熱することにより粉末状ホットメルト樹脂が溶融し成型体表面に粘着性が生じる。この状態で粉末状吸着剤を振り掛ける等して成型体と粉末状吸着剤を接触させることにより、粉末状ホットメルト粉末表面に粉末状吸着剤が接着・担持される。粉末状ホットメルト樹脂表面からは残存している溶剤等由来の多様なガスが発生するため、ガス除去フィルタにおいて自身からのガス発生の主な原因となりうるが、このような処理を施すことにより、新たに接着剤を使用することもなく容易に粉末状ホットメルト樹脂表面は粉末状吸着剤に覆われ、発生するガスが空間に放出される前に吸着・除去することができるという作用を有する。この結果、自身からのガスの発生がほとんど無いガス除去フィルタが得られる。
【0042】
また、粉末状吸着剤が非極性ガスを吸着することを特徴とするものである。フィルタに使用される粉末状ホットメルト樹脂からは、製造時に使用した溶剤や未反応の原料など残存物由来の非極性ガスが放出されるが、粉末状吸着剤が非極性ガスを吸着するためこれらのガスが放出されないという作用を有する。
【0043】
また、粉末状吸着剤が酸性ガスを吸着することを特徴とするものである。フィルタに使用される粉末状ホットメルト樹脂の種類によっては、酢酸等の酸性ガスが放出される。また、陽イオン交換樹脂のように粒状吸着剤の種類によってはスルホ基等の酸性官能基が脱離して酸性ガスが放出されることもある。粉末状吸着剤が酸性ガスを吸着するためこれらの酸性ガスが放出されないという作用を有する。
【0044】
また、粉末状吸着剤がアルカリ性ガスを吸着することを特徴とするものである。陰イオン交換樹脂のように、粒状吸着剤の種類によってはアミノ基等のアルカリ性官能基が脱離してアルカリ性ガスが放出されることもある。粉末状吸着剤がアルカリ性ガスを吸着するためこれらのアルカリ性ガスが放出されないという作用を有する。
【0045】
また、粉末状吸着剤が成型体表面に存在する粉末状ホットメルト樹脂を均一に被覆していることを特徴とするものである。粉末状ホットメルト樹脂を隙間無く粉末状吸着剤が覆うので、粉末状ホットメルト樹脂から発生するガスを逃すことなく除去できる作用を有する。また本来粉末状ホットメルト樹脂自身には吸着能はなく、粉末状ホットメルト樹脂が存在する面はガス吸着が起こらないが、粉末状ホットメルト樹脂を粉末状吸着剤が均一に被覆しているため、吸着能を有する面積が増加しガス捕集効率を増大させる作用を有する。
【0046】
また、成型体に担持されていない余剰の粉末状吸着剤を除去することを特徴とするものである。粉末状吸着剤を担持する際に、粉末状ホットメルト樹脂に接触せず成型体に担持されない状態の粉末状吸着剤が生じ、そのままでは使用中に粉落ちの原因となる。余剰の粉末状吸着剤を予め除去することにより、使用中の粉落ちを低減させる作用を有する。
【0047】
また、粉末状ホットメルト樹脂として、酢酸ビニルが6重量%以上配合されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなるものを用いることを特徴とするものである。柔軟性と接着性に富むエチレン酢酸ビニル共重合体をバインダーとして用いることで、柔軟なつなぎ部分が成型体内部に形成され成型体全体に柔軟性が出るため、ガス除去フィルタに弾性を付与し落下時等の衝撃や振動によるガス除去フィルタの破損や型崩れを防止するという作用を有する。
【0048】
また、成型体が、通気方向において上流面から下流面まで達する貫通孔を有することを特徴とするものである。貫通孔が存在することにより、空気が通気方向に対して平行に流れることができるため、通気性に優れ圧力損失が低減するという作用を有する。
【0049】
また、成型体に貫通孔を設けるための複数のピンを有する型に粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の混合物を充填した後、加熱後冷却して粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の成型体を作製し、前記成型体を型から取り外すことで貫通孔を設けることを特徴とするものである。型に入れて加熱・冷却するだけで容易に型の形状を反映した貫通孔が得られ、また型の形状を変化させることにより任意の形状の貫通孔を容易に得ることができるという作用を有する。充填された混合物は型の形状に沿って硬化するため、複数のピンを任意の配列で有する型を用いることにより、成型体に複数の貫通孔を任意の配列で設けることができるという作用を有する。
【0050】
また、型の表面が易剥離性を有することを特徴とするものである。粉末状ホットメルト樹脂を用いた場合、加熱時に型に対しても接着性を有するため、取り外す際に型崩れを起こす可能性があるが、型の表面が易剥離性を有することにより型崩れをすることなく取り外すことができるという作用を有する。
【0051】
また、貫通孔を形成する貫通孔壁の内部に補強材を有することを特徴とするものである。補強材を用いることにより、ガス除去フィルタの強度を増加させ運搬時や使用時のガス除去フィルタの型崩れを防ぐ作用を有する。
【0052】
また、貫通孔壁内部が繊維体を有することを特徴とするものである。繊維体は、粒状吸着剤の隙間に絡むように存在し、一本の繊維で多数の粒状吸着剤を同時に連結できるため、貫通孔壁の強度を増加させるとともにガス除去フィルタからの粒状吸着剤の粒落ちを低減させる作用を有する。
【0053】
また、繊維体がガス吸着能を有することを特徴とするものである。補強材として添加してある繊維体がガスを吸着することにより、ガス除去フィルタの強度を増加させるとともに吸着容量を増加させる作用を有する。
【0054】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に、通気性を有し粒状吸着剤の粒径よりも目が小さいシートを設けることを特徴とするものである。粒状吸着剤がガス除去フィルタから脱落することを防ぎ、また、粒状吸着剤をガス除去フィルタの下流側に流出させないことは空気および使用環境の汚染を防ぐために重要である。通気性を有するが粒状吸着剤の大きさよりも目の細かいシートをガス除去フィルタの上流面もしくは下流面、もしくは両方の面に設けることにより、粒状吸着剤がガス除去フィルタから脱落したり、また、粒状吸着剤がガス除去フィルタの下流側に流出したりすることをほぼ確実になくすことができるという作用を有する。
【0055】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートがガス吸着能を有することを特徴とするものである。イオン交換不織布などの吸着能を有する繊維群をシートとして用いることにより、ガス除去フィルタ全体の吸着容量を増加させて寿命を大きくするという作用を有する。
【0056】
また、通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートが空気中の粉塵を捕集する機能を有することを特徴とするものである。例えばポリプロピレンをメルトブロー法で繊維状に吹き付けてシート化し、帯電処理を行って作成した静電濾材などをガス除去フィルタの上流面もしくは下流面、もしくは両方の面に設けることにより、ガスのみでなく空気中の粉塵をも捕集することが可能なガス除去フィルタを得ることができるという作用を有する。
【0057】
また、本発明のガス除去フィルタユニットは、請求項1乃至16いずれかに記載のガス除去フィルタをプリーツ状に配置してなることを特徴とするものである。複数のガス除去フィルタをプリーツ状、すなわち蛇腹状に配置して、空気をガス除去フィルタのプリーツ面から通過させることによって濾過面積が増大して空気の通過速度が小さくなり、通気性およびガスや粉塵の捕集効率を高める作用を有する。
【0058】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、以下に記述する実施の形態は本発明における一例であり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0059】
(実施の形態1)
粒状吸着剤1を粉末状ホットメルト樹脂7で連結して得られた、通気方向2において上流面4から下流面5まで達する貫通孔3を有する成型体12を加熱し、前記成型体12表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤8を接触させ、粉末状吸着剤8を前記成型体12表面に担持したガス除去フィルタの正面図を図1に、側面断面図を図2に、粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の連結部分の拡大図を図3に示す。なお、図1および図2では粉末状ホットメルト樹脂7および粉末状吸着剤8は省略してある。図1、図2および図3に示すように、粒状吸着剤1は粉末状ホットメルト樹脂7によって強固に連結され、粒状吸着剤1自身が貫通孔3を形成する貫通孔壁6を形成している。
【0060】
図3に示すように粉末状吸着剤8は粉末状ホットメルト樹脂7を覆うように担持されている。粉末状ホットメルト樹脂7から発生するガスは非極性ガスであることが多く、ガス除去フィルタに使用されている粒状吸着剤1が酸性ガスのみあるいはアルカリ性ガスのみ吸着するものであった場合、非極性ガスを吸着することはできないので発生したガスは下流に流出してしまうが、本実施の形態において粉末状吸着剤8として例えば無添着活性炭を用いれば、粉末状ホットメルト樹脂7から発生する非極性ガスは表面を覆う粉末状吸着剤8に即座に吸着され、下流側に流出することがない。また、粒状吸着剤1から酸性やアルカリ性のガスが発生する場合においても、後述のように粉末状吸着剤8として酸性やアルカリ性のガスを吸着できるものを選択することにより、下流側へのガスの流出を低減することができる。すなわち、下流側への流出が懸念されるガスの性質に応じた粉末状吸着剤8を選択することにより、ガス除去フィルタ自身からのガスの発生を無くすことができる。
【0061】
また、ガス除去フィルタには通気方向2において上流面4から下流面5まで達する貫通孔3が存在しているため、通気方向2に沿って上流面4から流入したガスは貫通孔3の内部を通り抜け、空気中に含まれるガスは貫通孔壁6を形成している粒状吸着剤1に接触・吸着されて除去される。ガスが粒状吸着剤1に吸着されることにより、粒状吸着剤1近傍のガス濃度が小さくなって貫通孔3内でガスの濃度勾配が生じる。そして、ガス濃度が均一になるように貫通孔3内でガスの拡散が起こる。このガスの濃度勾配の発生と拡散が繰り返し連続して起こることによってガスは捕集され空気中から除去される。貫通孔3を全て均一で孔径が小さくて通気方向2における長さをある程度有するものとすることによって、ガスと粒状吸着剤1の距離を小さく、またガスと粒状吸着剤1とが接触する機会を多くすることができる。さらに、粉末状吸着剤8が本来吸着能を持たない粉末状ホットメルト樹脂7表面に存在するため、粉末状吸着剤8として除去対象ガスを吸着できるものを使用した場合、ガス除去フィルタのほぼ全ての表面がガス捕集に使用されるので、よりガス捕集効率が向上する。このように、貫通孔3内部ではガスの濃度勾配の発生と拡散の繰り返しが迅速かつ無数に繰り返されることになることから全ての貫通孔3において高いガス捕集効率が得られる。
【0062】
ここで、図3に示すように、粒状吸着剤1どうしは粉末状ホットメルト樹脂7により連結しているが、粒状吸着剤1粒子間の隙間を完全には埋めておらず、ガスは粒状吸着剤1の粒子間の隙間を縫って内部まで拡散することができるので、貫通孔壁6の内部にある粒状吸着剤1についても吸着能力を有効に使用することができる。また、ガス除去フィルタの一部分だけにガスの流れが偏ってしまうとその部分だけに多量のガスが流れることになり、その一部分だけガス捕集効率の低下が早くなってガス除去フィルタ全体の寿命の低下を起こしてしまう。本実施の形態では、ガス除去フィルタ全面に同じ孔径の小さな貫通孔3が無数に空いているので、すべての貫通孔3に均一にガスを含む空気が通過する構造となっている。そのため、貫通孔3の一部だけ早くガス捕集効率が低下して寿命が低下してしまうといったことが無い。また、通気方向2において上流面4から下流面5まで達する貫通孔3が多数存在しているため、空気の流れが通気方向2に対して平行流となるので通気抵抗が小さく、粒状吸着剤1が多いにもかかわらず通気性に優れ、低圧力損失を実現している。
【0063】
粒状吸着剤1は球状や破砕状といった粒子状であり、様々な種類のものが挙げられるが主に活性炭やイオン交換樹脂、ゼオライトなどが挙げられ、粒径は0.1mm以上10mm以下程度が望ましい。アンモニアなどのアルカリ性ガスの吸着捕集には燐酸などの酸を添着した酸添着活性炭や陽イオン交換樹脂が用いられる。また、塩酸ガスやSOx、NOxやボロンといった酸性ガスの吸着捕集には炭酸カリウムなどを添着したアルカリ添着活性炭や陰イオン交換樹脂が用いられる。また、ジオクチルフタレート、ジブチルフタレートやトルエンといった非極性ガスの吸着捕集には化学物質の添着を行わない無添着活性炭や、また、芳香族系やアクリル系樹脂から合成され、メソ孔やマクロ孔を有する多孔質体である合成吸着剤がよく用いられる。
【0064】
粉末状吸着剤8としては、粒状吸着剤1と同じく活性炭やイオン交換樹脂が挙げられ、粒径は10μm以上1.0mm以下程度が望ましい。粉末状ホットメルト樹脂7としてエチレン酢酸ビニル共重合体のような多種の非極性ガスを発生する可能性がある場合は、無添着活性炭を用いると多種のガスを吸着できるため好ましい。また、酢酸のような酸性ガスを発生する粉末状ホットメルト樹脂7や、陽イオン交換樹脂のように酸性官能基が脱離して酸性ガスを発生する可能性がある場合は、アルカリ添着活性炭のような酸性ガスを吸着できるものを使用することが好ましい。また、アミン類のようなアルカリ性ガスを発生する粉末状ホットメルト樹脂7や、陰イオン交換樹脂のようにアルカリ性官能基が脱離してアミン類のガスを発生する可能性がある場合は、酸添着活性炭のようなアルカリ性ガスを吸着できるものを使用することが好ましい。また、発生するガスの組み合わせに応じて、これらの粉末状吸着剤8を混合して使用することも効果的である。
【0065】
粉末状ホットメルト樹脂7の材質としては例えばポリオレフィン系樹脂、ポリビニル系樹脂、ウレタン系樹脂あるいはポリアミド系樹脂等が挙げられる。特にポリオレフィン系樹脂であるポリエチレンホットメルト樹脂は加熱してもガスの発生がほとんどないという利点を有する。また、酢酸ビニルを6重量%以上、好ましくは20%以上配合されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなるものを用いるとより低い溶融温度と高い接着性が得られ、低い温度で作製できるとともに接着性が高いため強度の高いガス除去フィルタが得られる。さらにエチレン酢酸ビニル共重合体は柔軟性に優れるため、成型体12に添加した際には粒状吸着剤1を結合させるだけではなく成型体12に弾力を与える作用があり、落下時等の衝撃によるガス除去フィルタの破損を低減させることができる。また、粉末状ホットメルト樹脂7の粒径は好ましくは10μm以上1.0mm以下であるが、粒状吸着剤1の1〜60%程度の粒径であると、粒状吸着剤1の表面を粉末状ホットメルト樹脂7が覆うことなく十分な接着強度を得られるため好ましい。
【0066】
粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の混合比率としては、粉末状ホットメルト樹脂7の重量が全体の重量の5%以上30%以下程度であると粒状吸着剤1の表面を粉末状ホットメルト樹脂7が覆うことなく十分な接着強度を得られるため好ましい。
【0067】
貫通孔3の断面形状としては、多角形や円形など、規則的に配列しやすい形状が挙げられる。貫通孔3の大きさは、平均半径が0.5mm以上10mm以下程度であると十分な通気性が得られ好ましい。また、粒状吸着剤1により形成される貫通孔壁6の厚みは、薄いとガス除去フィルタの強度が低下し、厚すぎると貫通孔壁6内部に埋もれる粒状吸着剤1の割合が多くなるため、0.5mm以上10mm以下程度が好ましい。貫通孔3の形状や貫通孔壁6の厚みは、圧力損失、ガス捕集効率、寿命およびガス除去フィルタの強度に大きく影響するため、要求される項目および通気方向2における寸法すなわちガス除去フィルタの厚みを考慮して決定するのが好ましい。
【0068】
製造方法としては、図4に示すような複数のピン9を有し、表面が易剥離性を有する型に粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の混合物を充填した後、加熱後冷却して粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の成型体12を作製し、前記成型体12を型から取り外すことで貫通孔3を設ける方法が挙げられる。この方法では、粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の混合物を型に充填して加熱冷却するだけで、型の形状を反映した貫通孔3が設けることができ、多様なガス除去フィルタ設計に対しても対応し易いという利点がある。さらに、成型体12作製時、粒状吸着剤1と粉末状ホットメルト樹脂7の混合物を充填した後に加圧する工程を加えることにより、より密で強固な成型体12が得られる。
【0069】
ピン9の断面形状がガス除去フィルタの貫通孔3の断面形状に反映される。そのため、ピン9の断面形状は得ようとする貫通孔3の断面形状と同じにすればよい。また、ピン9の先端が徐々に細くなっていると、成型体12を型から取り外すのが容易になる。また、ピン9の長さはガス除去フィルタの厚みを考慮して決定することが好ましいが、一般的には5mm以上200mm以下程度である。
【0070】
易剥離性は、型と成型体12の接着性を弱め成型体12を型から外し易くするために重要である。しかしながら、液体の離型剤を用いると粒状吸着剤1の表面が離型剤によって覆われてガス捕集効率に悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、型に易剥離性を付与するには、フッ素樹脂系の離型剤を型に噴霧し、溶剤を揮発させて型の表面をフッ素樹脂でコーティングしたり、フッ素樹脂コーティング剤に含浸乾燥してフッ素樹脂の膜を形成して表面を被覆したりして型の表面に易剥離性をもたせる方法が好ましい。
【0071】
加熱温度は、粉末状ホットメルト樹脂7が溶融する温度で十分であるが、粒状吸着剤1としてイオン交換樹脂等の吸着に寄与する官能基が高温で脱離し易いものを用いる場合、その脱離温度以下で加熱することが好ましい。例えばトリメチルアンモニウム基を有する陰イオン交換樹脂なら60℃以下、スルホ基を有する陽イオン交換樹脂なら120℃以下で溶融する粉末状ホットメルト樹脂7を用いて、官能基の脱離温度以下で加熱することが好ましい。
【0072】
成型体12に粉末状吸着剤8を担持する方法としては、成型体12を加熱し成型体12表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤8を接触させた後、冷却して担持する方法がある。加熱温度は、粉末状ホットメルト樹脂7の溶融する温度以上が必要であるが、あまりに高温であると担持作業時に成型体12が型崩れする可能性があるため、溶融温度に近い温度が好ましい。また、粉末状吸着剤8を成型体12表面に接触させる方法としては、加熱した成型体12に粉末状吸着剤8を振り掛ける、噴霧する、あるいは多量の粉末状吸着剤8中に加熱した成型体12を沈める等の方法がある。これらの方法を用いると、成型体12表面に均一に粉末状吸着剤8が接触できるため、粉末状ホットメルト樹脂7に均一に粉末状吸着剤8を担持することが可能である。また、これらの方法で余剰の粉末状吸着剤8が成型体12に付着するが、使用時にこれらがフィルタから脱落したりしないように、予め除去しておく必要がある。その方法としては、成型体12を冷却後に振動を与えて振り落とす、あるいは実使用条件を上回る高風速で通風して吹き飛ばす等の方法がある。
【0073】
クリーンルーム等に使用される高性能のガス除去フィルタに求められる要求事項としては、特に自身からガスを出さないことが要求され、その他にもコンパクト、低圧力損失、長寿命が挙げられるが、これら4つの要求事項は得てして相反するため全てを満たすことが難しい。しかしながら、本発明に従って作製したガス除去フィルタは粉末状吸着剤8が成型体12表面を覆っており自身から発生するガスを下流側に流出させない特徴がある。また、小さな空間により多くの粒状吸着剤1を充填しており、コンパクトで長寿命であるにもかかわらず、貫通孔3の存在により高い通気性を確保している。本発明に従って作成したガス除去フィルタは、成型体12表面が粉末状吸着剤8に覆われていること、体積あたりの粒状吸着剤1の充填量が大きいこと、通気性の高い貫通孔3が設けられているといった理由から相反する要求事項である自身からガスを出さない、コンパクト、低圧力損失、長寿命を実現している。
【0074】
(実施の形態2)
本発明の実施の形態2を図5を参照しながら説明する。なお、実施の形態1と同一部分は同一符号を附し詳細な説明は省略する。
【0075】
貫通孔壁6内部がガス吸着能を有する繊維体10を有しているガス除去フィルタの拡大図を図5に示す。図5に示すように、長い繊維体10が粒状吸着剤1の隙間を縫うように、また絡み合って存在しているため、繊維体10と粒状吸着剤1間の接着によりさらにガス除去フィルタの強度が増加している。また、繊維体10自身がガス吸着能を有するため、より多くのガスを吸着することが可能となっている。
【0076】
繊維体10としては一般的な有機繊維や無機繊維が使用できるが、特にガラス繊維や炭素繊維、セラミック繊維等の強度に優れた繊維体10を用いるとより強度に優れたガス除去フィルタとなり、またイオン交換繊維や活性炭素繊維等のガス吸着能を有する繊維体10を用いるとより吸着容量に優れたガス除去フィルタとなる。繊維長は短すぎるとガス除去フィルタから脱落し易くなるため2mm以上50mm以下程度であることが好ましい。このような繊維体10を成型前の粒状吸着剤1および粉末状ホットメルト樹脂7の混合物に添加することにより、成型後の貫通孔壁6の内部に繊維体10が補強材として存在するガス除去フィルタが得られる。繊維体10の配合量としては、繊維体10の重量が全体の重量の1%以上20%以下程度であると粒状吸着剤1の量を保ちつつガス除去フィルタ強度を増加することができるため好ましい。
【0077】
(実施の形態3)
本発明の実施の形態3を図6を参照しながら説明する。なお、実施の形態1または2と同一部分は同一符号を附し詳細な説明は省略する。
【0078】
実施の形態1に記載されたガス除去フィルタの両方の面に、通気性を有し粒状吸着剤1の粒径よりも目が小さいシート11が設けられ、そのシート11が粉塵を捕集する機能を有するガス除去フィルタの斜視図を図6に示す。本来は、成型体12およびシート11は一体化しているが、構造をわかり易くするため少し離して示してある。粒状吸着剤1がガス除去フィルタから絶対に脱落しないとは限らず、使用時に粒状吸着剤1が下流側に流出して空気を汚染したり、取り扱い時に粒状吸着剤1がガス除去フィルタから脱落して使用環境を汚染する可能性が万が一でもありうる。シート11をガス除去フィルタの上流面4および下流面5に設けることにより粒状吸着剤1のガス除去フィルタからの脱落をほぼ確実になくすことができる。シート11としては、スパンボンド法やサーマルボンド法により製造される繊維径1μm以上50μm以下の不織布で、通気口径5μm以上100μm以下のものを、使用する粒状吸着剤1等の粒径に合わせて適時用いると下流側の汚染を漏れなく防止でき好ましい。また、シート11として粉塵を捕集する機能を有する集塵濾材、例えばポリプロピレンをメルトブロー法で繊維状に吹き付けてシート化し帯電処理を行って作成した静電濾材や、ガラス繊維をすきこみバインダーで結合したガラス繊維濾材などを用いることにより、ガスのみでなく空気中の粉塵をも効率よく捕集することができ、家庭や事務所などの室内環境における空気清浄フィルタとして用いることができる。また、シート11作製時にイオン交換繊維や活性炭繊維等を添加して吸着能を持たせたり、グラフト重合等によりシート11に吸着官能基を付加したりすると、ガス除去フィルタの総吸着容量が増加し寿命を延ばすことができる。
【0079】
(実施の形態4)
本発明の実施の形態4を図7を参照しながら説明する。なお、実施の形態1乃至3のいずれかと同一部分は同一符号を附し詳細な説明は省略する。
【0080】
実施の形態1に記載されたガス除去フィルタをプリーツ状に配置してなるガス除去フィルタユニットの上面図を図7に示す。
【0081】
ガス除去フィルタをプリーツ状に配置すると、プリーツ状に配置していない平面状のものと比較して濾過面積が増大して空気を通過させたときの流速が小さくなり、ガスのガス捕集効率が向上するとともに圧力損失が低減して通気性が向上するという効果が得られる。ガス除去フィルタをプリーツ状に配置する場合、プリーツ深さが20mm以上でプリーツ間隔が10mm以上であるとプリーツの山と山の間に空気が通りやすくなり通気性とガス捕集効率が向上するため好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明のガス除去フィルタおよびガス除去フィルタユニットは自身からのガス発生が少なく、コンパクト、低圧力損失でありながら長寿命であり、クリーンルームのような高清浄度が要求される環境で用いられるガス除去フィルタおよびガス除去フィルタユニットとして利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】本発明の実施の形態1に記載のガス除去フィルタの正面図
【図2】本発明の実施の形態1に記載のガス除去フィルタの側面断面図
【図3】本発明の実施の形態1に記載のガス除去フィルタの拡大図
【図4】本発明の実施の形態1に記載の型の斜視図
【図5】本発明の実施の形態2に記載のガス除去フィルタの拡大図
【図6】本発明の実施の形態3に記載のガス除去フィルタの斜視図
【図7】本発明の実施の形態4に記載のガス除去フィルタユニットの上面図
【符号の説明】
【0084】
1 粒状吸着剤
2 通気方向
3 貫通孔
4 上流面
5 下流面
6 貫通孔壁
7 粉末状ホットメルト樹脂
8 粉末状吸着剤
9 ピン
10 繊維体
11 シート
12 成型体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
粒状吸着剤を粉末状ホットメルト樹脂で連結して得られた成型体を加熱し、前記成型体表面に粘着性を持たせた状態で粉末状吸着剤を接触させ、粉末状吸着剤を前記成型体表面に担持することを特徴とするガス除去フィルタ。
【請求項2】
粉末状吸着剤が非極性ガスを吸着することを特徴とする請求項1記載のガス除去フィルタ。
【請求項3】
粉末状吸着剤が酸性ガスを吸着することを特徴とする請求項1記載のガス除去フィルタ。
【請求項4】
粉末状吸着剤がアルカリ性ガスを吸着することを特徴とする請求項1記載のガス除去フィルタ。
【請求項5】
粉末状吸着剤が成型体表面に存在する粉末状ホットメルト樹脂を均一に被覆していることを特徴とする請求項1乃至4いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項6】
成型体に担持されていない余剰の粉末状吸着剤を除去することを特徴とする請求項1乃至5いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項7】
粉末状ホットメルト樹脂として、酢酸ビニルが6重量%以上配合されたエチレン酢酸ビニル共重合体からなるものを用いることを特徴とする請求項1乃至6いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項8】
成型体が、通気方向において上流面から下流面まで達する貫通孔を有することを特徴とする請求項1乃至7いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項9】
成型体に貫通孔を設けるための複数のピンを有する型に粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の混合物を充填した後、加熱後冷却して粒状吸着剤と粉末状ホットメルト樹脂の成型体を作製し、前記成型体を型から取り外すことで貫通孔を設けることを特徴とする請求項8記載のガス除去フィルタ。
【請求項10】
型の表面が易剥離性を有することを特徴とする請求項9記載のガス除去フィルタ。
【請求項11】
貫通孔を形成する貫通孔壁の内部に補強材を有することを特徴とする請求項8乃至10いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項12】
成型体内部に繊維体を有することを特徴とする請求項11記載のガス除去フィルタ。
【請求項13】
繊維体がガス吸着能を有することを特徴とする請求項12記載のガス除去フィルタ。
【請求項14】
通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に、通気性を有し粒状吸着剤の粒径よりも目が小さいシートを設けることを特徴とする請求項1乃至13いずれかに記載のガス除去フィルタ。
【請求項15】
通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートがガス吸着能を有することを特徴とする請求項14記載のガス除去フィルタ。
【請求項16】
通気方向における上流面、下流面のうち少なくとも一方の面に設けられたシートが空気中の粉塵を捕集する機能を有することを特徴とする請求項14記載のガス除去フィルタ。
【請求項17】
請求項1乃至16のいずれかに記載のガス除去フィルタをプリーツ状に配置してなることを特徴とするガス除去フィルタユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−56388(P2009−56388A)
【公開日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−225557(P2007−225557)
【出願日】平成19年8月31日(2007.8.31)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】