ガラスロール梱包体
【課題】ガラスロールの梱包作業の良好な作業性を維持しつつ、ガラスロールの姿勢を簡単に安定させてガラスフィルムの破損を防止する。
【解決手段】巻芯11の外周にガラスフィルム12を巻き取ったガラスロール1を横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、収納箱2の側壁部21cに支持部材3を設け、ガラスロール1の姿勢を横姿勢で維持させながら、巻芯11が支持部材3を介して側壁部21cに片持支持されるように構成した。
【解決手段】巻芯11の外周にガラスフィルム12を巻き取ったガラスロール1を横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、収納箱2の側壁部21cに支持部材3を設け、ガラスロール1の姿勢を横姿勢で維持させながら、巻芯11が支持部材3を介して側壁部21cに片持支持されるように構成した。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ用又は太陽電池用のガラス基板や、有機EL照明用のカバーガラスなどに使用されるガラスフィルムをロール状に巻き取ったガラスロールの梱包形態の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板を始めとする各種ガラス板においては、更なる薄板化が要請されている。そのため、当該要請を受けて、フィルム状まで薄板化が進められた、所謂ガラスフィルムの開発が進められており、例えば特許文献1に開示されているように200μm以下の厚みをなすガラスフィルムが開発されるに至っているのが実情である。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、ガラスフィルムの梱包形態として、ガラスフィルムを中間層に重ねて巻芯にロール状に巻き取ったガラスロールを採用することが開示されている。このような梱包形態は、ガラスフィルムの可撓性に着目したものであり、しかも省スペース化を図れる等の種々の利点があるため、ガラスフィルムに適した梱包形態として注目されている。
【0004】
その一方で、ガラスフィルムは、その薄さに起因して破損を来たし易いという欠点を有しているので、特許文献2に開示されているように、ガラスフィルムの梱包形態としてガラスロールを採用した場合であっても、依然として解決すべき課題が残されている。
【0005】
すなわち、ガラスロールの軸を上下方向に立てた縦姿勢(例えば、鉛直姿勢)でガラスロールをパレット等の載置面に載置すると、破損を来たし易いガラスフィルムの端部が載置面と接触するので、ガラスフィルムが容易に破損するという問題が生じる。また、ガラスフィルムの端部を載置面から離間させた場合には、自重によってガラスフィルムが巻芯上で移動して、巻き取り状態が大きく乱れるおそれがある。そして、このように巻き取り状態が大きく乱れると、ガラスロールからガラスフィルムを巻き出す際に大きな障害となってしまう。
【0006】
一方、ガラスロールの軸を横に寝かした横姿勢(例えば、水平姿勢)でガラスロールをパレット等の載置面に直接載置すると、載置面との接触部にガラスロール全体の荷重が作用するため、当該接触部に応力集中が生じてガラスフィルムが容易に破損するという問題が生じ得る。
【0007】
そこで、これらの問題に対処すべく、ガラスフィルムに関するものではないが、特許文献3に開示されているように、樹脂製のフィルムや粘着シート等を巻芯に巻き付けたロール状製品の梱包形態を転用することが考えられる。詳細には、同文献には、ロール状製品の中空をなす巻芯内に、両側から軸受け部材の軸受け部を挿入した後、軸受け部材が取り付けられた状態のロール状製品を収納箱内に収納するという梱包形態が開示されている。これにより、ロール状製品が、収納箱内で、軸受け部材の軸受け部によって宙吊り状態で支持されるので、ロール状製品が、収納箱の底部と非接触となる。したがって、当該ロール状製品の梱包形態を、ガラスロールの梱包形態として採用すれば、ガラスロールに含まれるガラスフィルムの破損を低減できるとも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−133174号公報
【特許文献2】特表2002−534305号公報
【特許文献3】特開平7−69341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3に開示の梱包形態では、ロール状製品の両端部を軸受け部材で両持支持しなければ、ロール状製品を支持することができない。そのため、ロール状製品の両側に軸受け部材をセットするまでは姿勢が安定しないため作業性が悪く、しかも、ロール状製品の両側に軸受け部材をセットする前の段階では、ロール状製品の姿勢が乱れて他部材と接触するおそれもある。
【0010】
したがって、このような梱包形態をガラスロールの梱包形態に転用した場合には、梱包作業中にガラスロールが姿勢を乱して他部材と接触し、ガラスフィルムが破損を来たすという問題が生じ得る。また、ガラスロールの姿勢を安定させるまでの作業性が悪ければ、ガラスロールが他部材と接触する機会も増加するため、ガラスフィルムの破損の問題がより顕著なものとなる。よって、ガラスロールの梱包形態として特許文献3に開示の梱包形態を転用することは適当ではなく、破損を来たし易いガラスフィルムに適した新たな梱包形態の開発が望まれる。
【0011】
以上の実情に鑑み、本発明は、ガラスロールの梱包作業の良好な作業性を維持しつつ、ガラスロールの姿勢を簡単に安定させてガラスフィルムの破損を防止することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、巻芯の外周にガラスフィルムを巻き取ったガラスロールを横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、基部と、該基部に立設された立設部と、該立設部に設けられた支持部材とを備え、前記ガラスロールの姿勢を横姿勢で維持させた状態で、前記巻芯が前記立設部に前記支持部材を介して片持支持されるように構成されていることに特徴づけられる。
【0013】
このような構成によれば、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持するだけで、ガラスロールの姿勢を横姿勢の状態で維持することができる。したがって、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持した段階でガラスロールの姿勢を安定させることができるので、ガラスロールの取り扱いが非常に簡単になる。そのため、巻芯を両持支持する段階までガラスロールの姿勢が安定しない梱包形態を採用した場合に比して、梱包作業の作業性を大幅に向上させることができる。また、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持した段階で、ガラスロールの姿勢が乱れることもないので、ガラスフィルムの破損を確実に防止することもできる。
【0014】
上記の構成において、前記巻芯が中空をなし、該巻芯の内部に前記支持部材が挿入されるように構成されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、巻芯の内部に支持部材を挿入するだけで、支持部材で巻芯を支持することができるので、支持部材を介して巻芯を立設部で簡単に片持支持することが可能となる。また、巻芯の内部に支持部材を挿入するようにすれば、支持部材が巻芯の外周に巻き取られたガラスフィルムと干渉することもないので、ガラスフィルムの巻取位置に関係なく、支持部材の挿入深さを決定することができるという利点もある。
【0016】
上記の構成において、前記支持部材が、前記巻芯の一端部から少なくとも前記巻芯の全長の1/4以上の位置まで挿入されることが好ましい。
【0017】
このようにすれば、巻芯の全長に対して、支持部材の挿入深さが十分確保されるので、ガラスロールの姿勢をより確実に安定させることが可能となる。
【0018】
上記の構成において、前記支持部材の先端部に、前記巻芯を基端部側に案内する先細り形状のガイド部を設けてもよい。
【0019】
このようにすれば、ガイド部の機能によって、巻芯の内部に支持部材を挿入させ易くなるので、梱包作業の作業性を向上させることができる。
【0020】
上記の構成において、前記支持部材が、前記立設部に複数設けられていることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、立設部に複数のガラスロールの巻芯を片持支持することができる。そのため、複数のガラスロールを1つの梱包体に纏めることが可能となり、輸送時等の取り扱いが容易になる。
【0022】
上記の構成において、前記支持部材の軸方向に沿った前記巻芯の移動を規制する押え部材を設けてもよい。
【0023】
このようにすれば、押え部材によって、支持部材の軸方向に沿う巻芯の移動が規制されるので、輸送中等に巻芯が支持部材から抜け落ちるという事態を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明によれば、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持するだけで、ガラスロールの姿勢を横姿勢の状態で維持することができるので、ガラスロールの梱包作業の作業性を良好にすると共に、ガラスロールの姿勢を簡単且つ確実に安定させて、ガラスフィルムの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガラスロール梱包体の部品分解配列斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るガラスロール梱包体の梱包手順を説明する図であって、(a)は序盤の状態、(b)は中盤の状態、(c)は終盤の状態をそれぞれ示す。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るガラスロール梱包体の部品分解配列斜視図である。
【図4】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図5】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図6】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図7】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図8】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図9】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図10】支持部材の変形例を示す図であって、(a)はその正面図を、(b)はその側面図をそれぞれ示す。
【図11】支持部材の変形例を示す正面図である。
【図12】支持部材の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るガラスロール梱包体は、ガラスロール1と、このガラスロール1を収納する収納箱2とを備えている。
【0028】
ガラスロール1は、巻芯11の外周面に、ガラスフィルム12と、図示しない緩衝シートとを重ねた状態でロール状に巻き取ったものである。
【0029】
巻芯11は、中空の円筒状を呈している。また、この実施形態では、巻芯11の軸方向寸法は、ガラスフィルム12の幅方向寸法よりも大きく設定されており、巻芯11の軸方向両端部は、ロール状に巻き取られたガラスフィルム12の両側から食み出している。なお、この巻芯11の食み出し部は、適宜増減してもよい。
【0030】
巻芯11の材質としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、マンガン鋼、炭素鋼等の金属、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ジアリルテレフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、若しくは、これらの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂にガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を混合した強化プラスチック、紙等を使用することができる。
【0031】
ガラスフィルム12は、オーバーフローダウンドロー法により成形されたものであって、厚みが1μm〜200μm(好ましくは10μm〜100μm)を呈するものである。このような厚みに設定した理由は、当該数値範囲の厚みであれば、ガラスフィルム12に対して適度な可撓性と強度を付与することができ、巻き取り時に支障を来たすことがないためである。換言すれば、ガラスフィルム12の厚みが1μm未満であると、強度不足によって取り扱いが面倒になり、ガラスフィルム12の厚みが200μmを超えると、可撓性が不十分となって巻き取り半径を不当に大きくせざるを得なくなるという不具合が生じる。
【0032】
ガラスフィルム12の幅は、100mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましく、500mm以上であることが更に好ましい。なお、ガラスフィルム12は、小型の携帯電話用等の小画面ディスプレイから大型のテレビ受像機等の大画面ディスプレイに至るまで、多岐に亘るデバイスに使用されるので、ガラスフィルム12の幅は、最終的には、使用されるデバイスの基板の大きさに応じて適宜選択されることが好ましい。
【0033】
ガラスフィルム12のガラス組成としては、シリカガラスやホウケイ酸ガラスなどのケイ酸塩ガラスなどの種々のガラス組成を使用することができるが、無アルカリガラスを使用することが好ましい。これは、ガラスフィルム12にアルカリ成分が含有されていると、所謂ソーダ吹きと称される現象が生じてガラスフィルム12の一部が構造的に粗となり、ガラスフィルム12を湾曲させた場合に、経年劣化により構造的に粗となった部分から破損が生じるおそれがあるためである。なお、ここでいう無アルカリガラスとは、アルカリ成分を実質的に含有していないガラスのことであって、具体的には、アルカリ金属酸化物が1000ppm以下(好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下)であることをいう。
【0034】
緩衝シートは、ガラスフィルム12を保護する観点から、ガラスフィルム12と重ねて巻芯11に巻き取られ、ガラスフィルム12の相互間に介装される。詳細には、緩衝シートは、ガラスフィルム12の表裏面の全面を覆うように配置されており、ガラスフィルム12の表裏面全体を保護するようになっている。なお、ガラスフィルム12の保護を図る観点からは、巻芯11にロール状に巻き取った状態で、最内層と最外層に、緩衝シートを位置させることが好ましい。また、同様の観点から、緩衝シートは、ガラスフィルム12の幅方向両端部から食み出していることが好ましい。これにより、ガラスフィルム12の両端部が収納箱2に直接触れることがないため、ガラスロール1の破損を防止し易くなる。
【0035】
緩衝シートの厚みは、緩衝効果を十分に得るという観点からは10μm以上であることが好ましく、ガラスロール1のロール外径の不当な膨張を防止するという観点からは2000μm以下であることが好ましい。
【0036】
緩衝シートとしては、合紙や不織布以外にも、例えば、アイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ナイロン(ポリアミド)、ポリイミド、セロファンなどの樹脂材により形成された樹脂シートを使用することができる。なお、緩衝性能と強度を同時に確保する観点からは、緩衝シートとして、ポリエチレン等の発泡樹脂材により形成された発泡樹脂シートを使用することが好ましい。また、ガラスフィルム12との滑り性を向上させる観点からは、緩衝シートとして、これらの樹脂にシリカなどを分散させて形成される樹脂シートを使用することが好ましい。この場合、樹脂シートの滑り性によって、ガラスフィルム12と緩衝シートとの間に生じるズレを吸収することができる。
【0037】
収納箱2は、一側方が開口した箱体本体21と、この箱体本体21の開口部を閉じる蓋22とから構成されている。
【0038】
箱体本体21は、基台としての底壁部21aと、この底壁部21aから立設する3つの側壁部21b〜dと、これら側壁部21b〜dの上端に連なる天壁部21eとを備えている。そして、3つの側壁部21b〜dのうち、側方に形成された開口部と対向する1つの側壁部(立設部に相当)21cの内面側には、横方向(図示例では水平方向)に沿って延びる棒状の支持部材3が設けられている。
【0039】
支持部材3は、巻芯11の内部に一端側から挿入されるようになっている。そして、巻芯11の内部に支持部材3を挿入した状態で、ガラスロール1の姿勢を横姿勢で維持させた状態で、巻芯11が支持部材3を介して側壁部21cに片持支持されるようになっている。
【0040】
一方、蓋22は、支持部材3に片持支持された巻芯11が支持部材3の軸方向に沿って移動するのを規制する押さえ部材として機能するようになっている。詳述すると、蓋22の内面は、支持部材3を介して側壁部21cに片持支持された巻芯11の他端側に当接し、ガラスロール1の移動を規制するようになっている。また、この実施形態では、蓋22の内面に補助支持部材4が設けられており、この補助支持部材4が巻芯11の内部に巻芯11の他端側から挿入され、巻芯11を補助的に支持するようになっている。なお、ガラスロール1の巻芯11は、支持部材3を介して側壁部21cのみで片持支持することが可能であるので、補助支持部材4は適宜省略することができる。すなわち、補助支持部材4を省略して、蓋22の内面で巻芯11の他端側を押さえるだけであってもよい。
【0041】
次に、以上のように構成されたガラスロール梱包体の梱包手順を説明する。
【0042】
まず、図2(a)に示すように、一側方が開口した箱体本体21の内部に、ガラスロール1を進入させる。次に、図2(b)に示すように、進入させたガラスロール1の巻芯11の内部に、箱体本体21の側壁部21cに設けられた支持部材3を挿入する。この状態で、巻芯11は支持部材3を介して側壁部21cに片持支持され、ガラスロール1の姿勢は横姿勢(図示例では水平姿勢)のままで維持される。そして最後に、図2(c)に示すように、蓋22を箱体本体21に取り付けると共に、蓋22の内面に設けられた補助支持部材4を、巻芯11の他端側から巻芯11の内部に挿入する。
【0043】
このようにすれば、巻芯11の内部に支持部材3を挿入して、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持するだけで、ガラスロール1の姿勢を横姿勢の状態で維持することができる。したがって、巻芯11を片持支持した段階でガラスロール1の姿勢を安定させることができるので、ガラスロール1の取り扱いが容易となる。そのため、巻芯11を両持支持する段階までガラスロール1の姿勢が安定しない梱包形態を採用した場合に比して、梱包作業の作業性が極めて良好なものとなる。また、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持した段階で、ガラスロール1の姿勢が乱れることもないので、ガラスフィルム12の破損も確実に防止することができる。
【0044】
この際、支持部材3は、底壁部21aに立設された側壁部21cに設けられているので、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持すれば、ガラスロール1を底壁部21aから離間させることができるので、ガラスロール1と底壁部21aとの接触によってガラスフィル12が破損するという事態も生じない。
【0045】
支持部材3は、ガラスロール1の巻芯11を支持しなければならないので、巻芯11の一端部から巻芯11の全長の1/4以上の位置まで挿入される。なお、支持部材3から巻芯11を抜き取るときの作業性を考慮した場合には、支持部材3の挿入深さは、巻芯11の一端部から巻芯11の全長の1/2以下であることが好ましい。一方、補助支持部材4は、支持部材3に支持された巻芯11を補助的に支持するものであるので、巻芯11に対する挿入深さは、支持部材3よりも短くなっている。具体的には、巻芯11の他端部から巻芯11の全長の1/10以下の位置まで挿入される。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態に係るガラスロール梱包体を図3に基づいて説明する。この第2の実施形態に係るガラスロール梱包体が、第1の実施形態に係るガラスロール梱包体と相違するところは、収納箱2の箱体本体21を分解可能にした点にある。
【0047】
詳述すると、この箱体本体21は、底壁部21a及び支持部材3が設けられた側壁部21cからなるL字状部材211と、対向する2つの側壁部21b,21d及び天壁部21eからなるコ字状部材212とに分離可能になっている。したがって、ガラスロール1を収納する際にコ字状部材212を取り外して置くことができるため、収納作業時の作業スペースを十分に確保することができ、作業性を良好に保つことが可能となる。なお、最終的に箱体を構成せずに、L字状部材211の側壁部21cに設けられた支持部材3でガラスロール1の巻芯11を片持支持した状態で、全体をストレッチフィルム等で覆うようにしてもよい。
【0048】
以上において、支持部材3の形状は、特に限定されるものではないが、円柱形状以外にも、例えば、図4〜図12に示すような形状のものを使用することができる。また、以下に説明する支持部材3の形状の変形例は、補助保持部材4についても同様に該当するものとする。
【0049】
詳述すると、図4に示す支持部材3は、先端部に先細り形状、詳細には、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状のガイド部31を備えている。このガイド部31は、支持部材3に巻芯11を外挿する際に、巻芯11の内周面を案内する機能を有している。更に、この支持部材3は、先端部に形成されたガイド部31に連続する胴部32が、ガイド部31よりも緩やかな傾斜でもって、基端部に向かって漸次拡径するテーパ状をなしている。そのため、巻芯11の内周面が、ガイド部31に案内されて胴部32に差し掛かると、巻芯11の内周面を胴部32が案内するようになっている。そして、この胴部32によって基端部側に案内された巻芯11は、その内径と胴部32の外径が一致する位置で位置決めさた状態で支持される。なお、この状態で、巻芯11の内周面と支持部材3の胴部32の外周面との間には僅かに隙間が形成されるので、巻芯11は、支持部材3の胴部32の傾斜に倣って僅かに傾斜した状態で支持される。また、この隙間によって、ガラスロール梱包体の開梱時に、ガラスロール1の巻芯11を、支持部材3から抜き易くなるという利点も享受することができる。
【0050】
図5に示す支持部材3が、図4に示した支持部材3と相違するところは、胴部32を一定径で構成した点と、胴部32の基端部側に径方向に拡径するフランジ部33を設けた点である。フランジ部33は、巻芯11の端部が当接し、巻芯11の軸方向位置を位置決めする機能を有している。
【0051】
図6に示す支持部材3が、図5に示した支持部材3と相違するところは、胴部32を基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状とした点である。
【0052】
図7に示す支持部材3が、図5及び図6に示した支持部材3と相違するところは、フランジ部33の形状を、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状にした点にある。なお、図示例では、胴部32は、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状を呈しているが、一定径をなすストレート状であってもよい。
【0053】
図8に示す支持部材3が、図4〜図7に示した支持部材3と相違するところは、ガイド部31と胴部32との繋ぎ部において、胴部32をガイド部31よりも縮径させて縮径部を設けた点にある。詳細には、胴部32は、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状を呈しており、胴部32の先端部側の径はガイド部31の最大径よりも小さくなっている。そのため、巻芯11の内周面は、ガイド部31の最大径部分と、胴部32の基端部側(巻芯11の内径と径が一致する部分)との2箇所で支持されるようになっている。したがって、胴部32のうち、巻芯11の内周面の支持に関与しない部分の肉を切除することができるので、支持部材3の軽量化を図ることが可能となる。
【0054】
図9に示す支持部材3が、図8に示した支持部材3と相違する点は、縮径部の形状にある。詳細には、この支持部材3は、胴部32をガイド部31の最大径よりも小径な一定径をなすストレート状とし、この胴部32に基端部側に向かって漸次拡径するフランジ部33を設けた構成となっている。この場合、巻芯11の内周面は、ガイド部31とフランジ部33とで支持される。
【0055】
図10に示す支持部材3が、図4〜図8に示した支持部材3と相違するところは、板状体34を放射状に組み合わせて、軸直角断面の形状が放射状をなすようにした点にある。詳細には、図示例では、支持部材3は、軸直角断面が十字をなすように、2枚の板状体34を十字状に組み合わせて構成されている。この場合、巻芯11の内周面は、各板状体34の端面で支持される。なお、図示例では、板状体34の支持端面には、テーパ面をなすガイド部31と胴部32とが形成されている。
【0056】
また、図11に示すように、支持部材3は、例えば、円板又は円柱状などの形状を呈する芯材35の外周面に切り込みを入れて、当該切り込みに板状体34を挿入することで、軸直角断面が放射状をなすようにしてもよい。なお、図示例では、芯材35の外周面に3枚の板状体34が取り付けられており、支持部材3の軸直角断面が、全体として略Y字状をなすようになっている。また、この場合にも、板状体34の支持端面に、テーパ面をなすガイド部31や胴部32を形成してもよい。
【0057】
図12に示す支持部材3が、図4〜図11に示した支持部材3と相違するところは、支持部材3の中心軸A2が、水平線A1に対して傾斜した状態で側壁部21cに取り付けられている点にある。詳細には、同図では、支持部材3の中心軸A2の先端部側が、基端部側よりも上方に位置するように、支持部材3が傾斜姿勢で側壁部21cに取り付けられている。このようにすれば、巻芯11を片持支持する場合に、巻芯11を傾斜姿勢で支持することが可能となるので、巻芯11が支持部材3から抜け落ちるという事態を防止することができる。なお、巻芯11を両持支持する段階では、巻芯11の姿勢を支持部材3に挿入した状態のまま傾斜姿勢から略水平姿勢に修正し、補助支持部材4を巻芯11の内部に挿入する。
【0058】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、ガラスロール1の巻芯11の内部に支持部材3を挿入する場合を説明したが、支持部材3を中空に構成すると共に、支持部材3の内部に、巻芯11を挿入するように構成してもよい。これは、補助支持部材4についても同様である。
【0059】
また、上記実施形態では、オーバーフローダウンドロー法により成形したガラスフィルム12について説明したが、ガラスフィルム12は、スロットダウンドロー法やリドロー法等の他のダウンドロー法によって成形されたものであってもよい。このようにダウンドロー法を使用すれば、フロート法によってガラスフィルム12を成形した場合のように、ガラスフィルム12の表面が錫等で汚染されていないので、ガラスフィルム12の表面を未研磨面のまま使用することができるという利点がある。ガラスロール1は、厚みの薄いガラスフィルム12を対象とするものなので、未研磨面のまま使用できるということは、ガラスフィルム12の破損リスクを低減する上でも非常に有利となる。なお、ガラスフィルム12の表面の平滑性を確保する観点からは、ダウンドロー法の中でも、オーバーフローダウンドロー法やリドロー法を採用するのが好ましい。さらに、ガラスフィルム12の両端部がレーザ切断された面であると、ガラスロール1の両端面が収納箱2に接触した場合でも割れ難くなるため、好ましい。
【符号の説明】
【0060】
1 ガラスロール
11 巻芯
12 ガラスフィルム
2 収納箱
21 箱体本体
22 蓋
3 支持部材
4 補助支持部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、フラットパネルディスプレイ用又は太陽電池用のガラス基板や、有機EL照明用のカバーガラスなどに使用されるガラスフィルムをロール状に巻き取ったガラスロールの梱包形態の改良技術に関する。
【背景技術】
【0002】
周知のように、近年では、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機ELディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ等のフラットパネルディスプレイ用のガラス基板を始めとする各種ガラス板においては、更なる薄板化が要請されている。そのため、当該要請を受けて、フィルム状まで薄板化が進められた、所謂ガラスフィルムの開発が進められており、例えば特許文献1に開示されているように200μm以下の厚みをなすガラスフィルムが開発されるに至っているのが実情である。
【0003】
また、例えば、特許文献2には、ガラスフィルムの梱包形態として、ガラスフィルムを中間層に重ねて巻芯にロール状に巻き取ったガラスロールを採用することが開示されている。このような梱包形態は、ガラスフィルムの可撓性に着目したものであり、しかも省スペース化を図れる等の種々の利点があるため、ガラスフィルムに適した梱包形態として注目されている。
【0004】
その一方で、ガラスフィルムは、その薄さに起因して破損を来たし易いという欠点を有しているので、特許文献2に開示されているように、ガラスフィルムの梱包形態としてガラスロールを採用した場合であっても、依然として解決すべき課題が残されている。
【0005】
すなわち、ガラスロールの軸を上下方向に立てた縦姿勢(例えば、鉛直姿勢)でガラスロールをパレット等の載置面に載置すると、破損を来たし易いガラスフィルムの端部が載置面と接触するので、ガラスフィルムが容易に破損するという問題が生じる。また、ガラスフィルムの端部を載置面から離間させた場合には、自重によってガラスフィルムが巻芯上で移動して、巻き取り状態が大きく乱れるおそれがある。そして、このように巻き取り状態が大きく乱れると、ガラスロールからガラスフィルムを巻き出す際に大きな障害となってしまう。
【0006】
一方、ガラスロールの軸を横に寝かした横姿勢(例えば、水平姿勢)でガラスロールをパレット等の載置面に直接載置すると、載置面との接触部にガラスロール全体の荷重が作用するため、当該接触部に応力集中が生じてガラスフィルムが容易に破損するという問題が生じ得る。
【0007】
そこで、これらの問題に対処すべく、ガラスフィルムに関するものではないが、特許文献3に開示されているように、樹脂製のフィルムや粘着シート等を巻芯に巻き付けたロール状製品の梱包形態を転用することが考えられる。詳細には、同文献には、ロール状製品の中空をなす巻芯内に、両側から軸受け部材の軸受け部を挿入した後、軸受け部材が取り付けられた状態のロール状製品を収納箱内に収納するという梱包形態が開示されている。これにより、ロール状製品が、収納箱内で、軸受け部材の軸受け部によって宙吊り状態で支持されるので、ロール状製品が、収納箱の底部と非接触となる。したがって、当該ロール状製品の梱包形態を、ガラスロールの梱包形態として採用すれば、ガラスロールに含まれるガラスフィルムの破損を低減できるとも考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2008−133174号公報
【特許文献2】特表2002−534305号公報
【特許文献3】特開平7−69341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところで、特許文献3に開示の梱包形態では、ロール状製品の両端部を軸受け部材で両持支持しなければ、ロール状製品を支持することができない。そのため、ロール状製品の両側に軸受け部材をセットするまでは姿勢が安定しないため作業性が悪く、しかも、ロール状製品の両側に軸受け部材をセットする前の段階では、ロール状製品の姿勢が乱れて他部材と接触するおそれもある。
【0010】
したがって、このような梱包形態をガラスロールの梱包形態に転用した場合には、梱包作業中にガラスロールが姿勢を乱して他部材と接触し、ガラスフィルムが破損を来たすという問題が生じ得る。また、ガラスロールの姿勢を安定させるまでの作業性が悪ければ、ガラスロールが他部材と接触する機会も増加するため、ガラスフィルムの破損の問題がより顕著なものとなる。よって、ガラスロールの梱包形態として特許文献3に開示の梱包形態を転用することは適当ではなく、破損を来たし易いガラスフィルムに適した新たな梱包形態の開発が望まれる。
【0011】
以上の実情に鑑み、本発明は、ガラスロールの梱包作業の良好な作業性を維持しつつ、ガラスロールの姿勢を簡単に安定させてガラスフィルムの破損を防止することを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記の課題を解決するために創案された本発明は、巻芯の外周にガラスフィルムを巻き取ったガラスロールを横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、基部と、該基部に立設された立設部と、該立設部に設けられた支持部材とを備え、前記ガラスロールの姿勢を横姿勢で維持させた状態で、前記巻芯が前記立設部に前記支持部材を介して片持支持されるように構成されていることに特徴づけられる。
【0013】
このような構成によれば、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持するだけで、ガラスロールの姿勢を横姿勢の状態で維持することができる。したがって、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持した段階でガラスロールの姿勢を安定させることができるので、ガラスロールの取り扱いが非常に簡単になる。そのため、巻芯を両持支持する段階までガラスロールの姿勢が安定しない梱包形態を採用した場合に比して、梱包作業の作業性を大幅に向上させることができる。また、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持した段階で、ガラスロールの姿勢が乱れることもないので、ガラスフィルムの破損を確実に防止することもできる。
【0014】
上記の構成において、前記巻芯が中空をなし、該巻芯の内部に前記支持部材が挿入されるように構成されていてもよい。
【0015】
このようにすれば、巻芯の内部に支持部材を挿入するだけで、支持部材で巻芯を支持することができるので、支持部材を介して巻芯を立設部で簡単に片持支持することが可能となる。また、巻芯の内部に支持部材を挿入するようにすれば、支持部材が巻芯の外周に巻き取られたガラスフィルムと干渉することもないので、ガラスフィルムの巻取位置に関係なく、支持部材の挿入深さを決定することができるという利点もある。
【0016】
上記の構成において、前記支持部材が、前記巻芯の一端部から少なくとも前記巻芯の全長の1/4以上の位置まで挿入されることが好ましい。
【0017】
このようにすれば、巻芯の全長に対して、支持部材の挿入深さが十分確保されるので、ガラスロールの姿勢をより確実に安定させることが可能となる。
【0018】
上記の構成において、前記支持部材の先端部に、前記巻芯を基端部側に案内する先細り形状のガイド部を設けてもよい。
【0019】
このようにすれば、ガイド部の機能によって、巻芯の内部に支持部材を挿入させ易くなるので、梱包作業の作業性を向上させることができる。
【0020】
上記の構成において、前記支持部材が、前記立設部に複数設けられていることが好ましい。
【0021】
このようにすれば、立設部に複数のガラスロールの巻芯を片持支持することができる。そのため、複数のガラスロールを1つの梱包体に纏めることが可能となり、輸送時等の取り扱いが容易になる。
【0022】
上記の構成において、前記支持部材の軸方向に沿った前記巻芯の移動を規制する押え部材を設けてもよい。
【0023】
このようにすれば、押え部材によって、支持部材の軸方向に沿う巻芯の移動が規制されるので、輸送中等に巻芯が支持部材から抜け落ちるという事態を確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0024】
以上のような本発明によれば、支持部材を介して巻芯を立設部で片持支持するだけで、ガラスロールの姿勢を横姿勢の状態で維持することができるので、ガラスロールの梱包作業の作業性を良好にすると共に、ガラスロールの姿勢を簡単且つ確実に安定させて、ガラスフィルムの破損を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1の実施形態に係るガラスロール梱包体の部品分解配列斜視図である。
【図2】第1の実施形態に係るガラスロール梱包体の梱包手順を説明する図であって、(a)は序盤の状態、(b)は中盤の状態、(c)は終盤の状態をそれぞれ示す。
【図3】本発明の第2の実施形態に係るガラスロール梱包体の部品分解配列斜視図である。
【図4】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図5】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図6】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図7】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図8】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図9】支持部材の変形例を示す側面図である。
【図10】支持部材の変形例を示す図であって、(a)はその正面図を、(b)はその側面図をそれぞれ示す。
【図11】支持部材の変形例を示す正面図である。
【図12】支持部材の変形例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態に係るガラスロール梱包体は、ガラスロール1と、このガラスロール1を収納する収納箱2とを備えている。
【0028】
ガラスロール1は、巻芯11の外周面に、ガラスフィルム12と、図示しない緩衝シートとを重ねた状態でロール状に巻き取ったものである。
【0029】
巻芯11は、中空の円筒状を呈している。また、この実施形態では、巻芯11の軸方向寸法は、ガラスフィルム12の幅方向寸法よりも大きく設定されており、巻芯11の軸方向両端部は、ロール状に巻き取られたガラスフィルム12の両側から食み出している。なお、この巻芯11の食み出し部は、適宜増減してもよい。
【0030】
巻芯11の材質としては、例えば、アルミニウム合金、ステンレス鋼、マンガン鋼、炭素鋼等の金属、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン、ジアリルテレフタレート樹脂等の熱硬化性樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、AS樹脂、ABS樹脂、メタクリル樹脂、塩化ビニル等の熱可塑性樹脂、若しくは、これらの熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂にガラス繊維や炭素繊維などの強化繊維を混合した強化プラスチック、紙等を使用することができる。
【0031】
ガラスフィルム12は、オーバーフローダウンドロー法により成形されたものであって、厚みが1μm〜200μm(好ましくは10μm〜100μm)を呈するものである。このような厚みに設定した理由は、当該数値範囲の厚みであれば、ガラスフィルム12に対して適度な可撓性と強度を付与することができ、巻き取り時に支障を来たすことがないためである。換言すれば、ガラスフィルム12の厚みが1μm未満であると、強度不足によって取り扱いが面倒になり、ガラスフィルム12の厚みが200μmを超えると、可撓性が不十分となって巻き取り半径を不当に大きくせざるを得なくなるという不具合が生じる。
【0032】
ガラスフィルム12の幅は、100mm以上であることが好ましく、300mm以上であることがより好ましく、500mm以上であることが更に好ましい。なお、ガラスフィルム12は、小型の携帯電話用等の小画面ディスプレイから大型のテレビ受像機等の大画面ディスプレイに至るまで、多岐に亘るデバイスに使用されるので、ガラスフィルム12の幅は、最終的には、使用されるデバイスの基板の大きさに応じて適宜選択されることが好ましい。
【0033】
ガラスフィルム12のガラス組成としては、シリカガラスやホウケイ酸ガラスなどのケイ酸塩ガラスなどの種々のガラス組成を使用することができるが、無アルカリガラスを使用することが好ましい。これは、ガラスフィルム12にアルカリ成分が含有されていると、所謂ソーダ吹きと称される現象が生じてガラスフィルム12の一部が構造的に粗となり、ガラスフィルム12を湾曲させた場合に、経年劣化により構造的に粗となった部分から破損が生じるおそれがあるためである。なお、ここでいう無アルカリガラスとは、アルカリ成分を実質的に含有していないガラスのことであって、具体的には、アルカリ金属酸化物が1000ppm以下(好ましくは500ppm以下、より好ましくは300ppm以下)であることをいう。
【0034】
緩衝シートは、ガラスフィルム12を保護する観点から、ガラスフィルム12と重ねて巻芯11に巻き取られ、ガラスフィルム12の相互間に介装される。詳細には、緩衝シートは、ガラスフィルム12の表裏面の全面を覆うように配置されており、ガラスフィルム12の表裏面全体を保護するようになっている。なお、ガラスフィルム12の保護を図る観点からは、巻芯11にロール状に巻き取った状態で、最内層と最外層に、緩衝シートを位置させることが好ましい。また、同様の観点から、緩衝シートは、ガラスフィルム12の幅方向両端部から食み出していることが好ましい。これにより、ガラスフィルム12の両端部が収納箱2に直接触れることがないため、ガラスロール1の破損を防止し易くなる。
【0035】
緩衝シートの厚みは、緩衝効果を十分に得るという観点からは10μm以上であることが好ましく、ガラスロール1のロール外径の不当な膨張を防止するという観点からは2000μm以下であることが好ましい。
【0036】
緩衝シートとしては、合紙や不織布以外にも、例えば、アイオノマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、エチレン酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−メタクリル酸共重合体、ナイロン(ポリアミド)、ポリイミド、セロファンなどの樹脂材により形成された樹脂シートを使用することができる。なお、緩衝性能と強度を同時に確保する観点からは、緩衝シートとして、ポリエチレン等の発泡樹脂材により形成された発泡樹脂シートを使用することが好ましい。また、ガラスフィルム12との滑り性を向上させる観点からは、緩衝シートとして、これらの樹脂にシリカなどを分散させて形成される樹脂シートを使用することが好ましい。この場合、樹脂シートの滑り性によって、ガラスフィルム12と緩衝シートとの間に生じるズレを吸収することができる。
【0037】
収納箱2は、一側方が開口した箱体本体21と、この箱体本体21の開口部を閉じる蓋22とから構成されている。
【0038】
箱体本体21は、基台としての底壁部21aと、この底壁部21aから立設する3つの側壁部21b〜dと、これら側壁部21b〜dの上端に連なる天壁部21eとを備えている。そして、3つの側壁部21b〜dのうち、側方に形成された開口部と対向する1つの側壁部(立設部に相当)21cの内面側には、横方向(図示例では水平方向)に沿って延びる棒状の支持部材3が設けられている。
【0039】
支持部材3は、巻芯11の内部に一端側から挿入されるようになっている。そして、巻芯11の内部に支持部材3を挿入した状態で、ガラスロール1の姿勢を横姿勢で維持させた状態で、巻芯11が支持部材3を介して側壁部21cに片持支持されるようになっている。
【0040】
一方、蓋22は、支持部材3に片持支持された巻芯11が支持部材3の軸方向に沿って移動するのを規制する押さえ部材として機能するようになっている。詳述すると、蓋22の内面は、支持部材3を介して側壁部21cに片持支持された巻芯11の他端側に当接し、ガラスロール1の移動を規制するようになっている。また、この実施形態では、蓋22の内面に補助支持部材4が設けられており、この補助支持部材4が巻芯11の内部に巻芯11の他端側から挿入され、巻芯11を補助的に支持するようになっている。なお、ガラスロール1の巻芯11は、支持部材3を介して側壁部21cのみで片持支持することが可能であるので、補助支持部材4は適宜省略することができる。すなわち、補助支持部材4を省略して、蓋22の内面で巻芯11の他端側を押さえるだけであってもよい。
【0041】
次に、以上のように構成されたガラスロール梱包体の梱包手順を説明する。
【0042】
まず、図2(a)に示すように、一側方が開口した箱体本体21の内部に、ガラスロール1を進入させる。次に、図2(b)に示すように、進入させたガラスロール1の巻芯11の内部に、箱体本体21の側壁部21cに設けられた支持部材3を挿入する。この状態で、巻芯11は支持部材3を介して側壁部21cに片持支持され、ガラスロール1の姿勢は横姿勢(図示例では水平姿勢)のままで維持される。そして最後に、図2(c)に示すように、蓋22を箱体本体21に取り付けると共に、蓋22の内面に設けられた補助支持部材4を、巻芯11の他端側から巻芯11の内部に挿入する。
【0043】
このようにすれば、巻芯11の内部に支持部材3を挿入して、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持するだけで、ガラスロール1の姿勢を横姿勢の状態で維持することができる。したがって、巻芯11を片持支持した段階でガラスロール1の姿勢を安定させることができるので、ガラスロール1の取り扱いが容易となる。そのため、巻芯11を両持支持する段階までガラスロール1の姿勢が安定しない梱包形態を採用した場合に比して、梱包作業の作業性が極めて良好なものとなる。また、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持した段階で、ガラスロール1の姿勢が乱れることもないので、ガラスフィルム12の破損も確実に防止することができる。
【0044】
この際、支持部材3は、底壁部21aに立設された側壁部21cに設けられているので、支持部材3を介して巻芯11を側壁部21cで片持支持すれば、ガラスロール1を底壁部21aから離間させることができるので、ガラスロール1と底壁部21aとの接触によってガラスフィル12が破損するという事態も生じない。
【0045】
支持部材3は、ガラスロール1の巻芯11を支持しなければならないので、巻芯11の一端部から巻芯11の全長の1/4以上の位置まで挿入される。なお、支持部材3から巻芯11を抜き取るときの作業性を考慮した場合には、支持部材3の挿入深さは、巻芯11の一端部から巻芯11の全長の1/2以下であることが好ましい。一方、補助支持部材4は、支持部材3に支持された巻芯11を補助的に支持するものであるので、巻芯11に対する挿入深さは、支持部材3よりも短くなっている。具体的には、巻芯11の他端部から巻芯11の全長の1/10以下の位置まで挿入される。
【0046】
次に、本発明の第2の実施形態に係るガラスロール梱包体を図3に基づいて説明する。この第2の実施形態に係るガラスロール梱包体が、第1の実施形態に係るガラスロール梱包体と相違するところは、収納箱2の箱体本体21を分解可能にした点にある。
【0047】
詳述すると、この箱体本体21は、底壁部21a及び支持部材3が設けられた側壁部21cからなるL字状部材211と、対向する2つの側壁部21b,21d及び天壁部21eからなるコ字状部材212とに分離可能になっている。したがって、ガラスロール1を収納する際にコ字状部材212を取り外して置くことができるため、収納作業時の作業スペースを十分に確保することができ、作業性を良好に保つことが可能となる。なお、最終的に箱体を構成せずに、L字状部材211の側壁部21cに設けられた支持部材3でガラスロール1の巻芯11を片持支持した状態で、全体をストレッチフィルム等で覆うようにしてもよい。
【0048】
以上において、支持部材3の形状は、特に限定されるものではないが、円柱形状以外にも、例えば、図4〜図12に示すような形状のものを使用することができる。また、以下に説明する支持部材3の形状の変形例は、補助保持部材4についても同様に該当するものとする。
【0049】
詳述すると、図4に示す支持部材3は、先端部に先細り形状、詳細には、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状のガイド部31を備えている。このガイド部31は、支持部材3に巻芯11を外挿する際に、巻芯11の内周面を案内する機能を有している。更に、この支持部材3は、先端部に形成されたガイド部31に連続する胴部32が、ガイド部31よりも緩やかな傾斜でもって、基端部に向かって漸次拡径するテーパ状をなしている。そのため、巻芯11の内周面が、ガイド部31に案内されて胴部32に差し掛かると、巻芯11の内周面を胴部32が案内するようになっている。そして、この胴部32によって基端部側に案内された巻芯11は、その内径と胴部32の外径が一致する位置で位置決めさた状態で支持される。なお、この状態で、巻芯11の内周面と支持部材3の胴部32の外周面との間には僅かに隙間が形成されるので、巻芯11は、支持部材3の胴部32の傾斜に倣って僅かに傾斜した状態で支持される。また、この隙間によって、ガラスロール梱包体の開梱時に、ガラスロール1の巻芯11を、支持部材3から抜き易くなるという利点も享受することができる。
【0050】
図5に示す支持部材3が、図4に示した支持部材3と相違するところは、胴部32を一定径で構成した点と、胴部32の基端部側に径方向に拡径するフランジ部33を設けた点である。フランジ部33は、巻芯11の端部が当接し、巻芯11の軸方向位置を位置決めする機能を有している。
【0051】
図6に示す支持部材3が、図5に示した支持部材3と相違するところは、胴部32を基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状とした点である。
【0052】
図7に示す支持部材3が、図5及び図6に示した支持部材3と相違するところは、フランジ部33の形状を、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状にした点にある。なお、図示例では、胴部32は、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状を呈しているが、一定径をなすストレート状であってもよい。
【0053】
図8に示す支持部材3が、図4〜図7に示した支持部材3と相違するところは、ガイド部31と胴部32との繋ぎ部において、胴部32をガイド部31よりも縮径させて縮径部を設けた点にある。詳細には、胴部32は、基端部側に向かって漸次拡径するテーパ状を呈しており、胴部32の先端部側の径はガイド部31の最大径よりも小さくなっている。そのため、巻芯11の内周面は、ガイド部31の最大径部分と、胴部32の基端部側(巻芯11の内径と径が一致する部分)との2箇所で支持されるようになっている。したがって、胴部32のうち、巻芯11の内周面の支持に関与しない部分の肉を切除することができるので、支持部材3の軽量化を図ることが可能となる。
【0054】
図9に示す支持部材3が、図8に示した支持部材3と相違する点は、縮径部の形状にある。詳細には、この支持部材3は、胴部32をガイド部31の最大径よりも小径な一定径をなすストレート状とし、この胴部32に基端部側に向かって漸次拡径するフランジ部33を設けた構成となっている。この場合、巻芯11の内周面は、ガイド部31とフランジ部33とで支持される。
【0055】
図10に示す支持部材3が、図4〜図8に示した支持部材3と相違するところは、板状体34を放射状に組み合わせて、軸直角断面の形状が放射状をなすようにした点にある。詳細には、図示例では、支持部材3は、軸直角断面が十字をなすように、2枚の板状体34を十字状に組み合わせて構成されている。この場合、巻芯11の内周面は、各板状体34の端面で支持される。なお、図示例では、板状体34の支持端面には、テーパ面をなすガイド部31と胴部32とが形成されている。
【0056】
また、図11に示すように、支持部材3は、例えば、円板又は円柱状などの形状を呈する芯材35の外周面に切り込みを入れて、当該切り込みに板状体34を挿入することで、軸直角断面が放射状をなすようにしてもよい。なお、図示例では、芯材35の外周面に3枚の板状体34が取り付けられており、支持部材3の軸直角断面が、全体として略Y字状をなすようになっている。また、この場合にも、板状体34の支持端面に、テーパ面をなすガイド部31や胴部32を形成してもよい。
【0057】
図12に示す支持部材3が、図4〜図11に示した支持部材3と相違するところは、支持部材3の中心軸A2が、水平線A1に対して傾斜した状態で側壁部21cに取り付けられている点にある。詳細には、同図では、支持部材3の中心軸A2の先端部側が、基端部側よりも上方に位置するように、支持部材3が傾斜姿勢で側壁部21cに取り付けられている。このようにすれば、巻芯11を片持支持する場合に、巻芯11を傾斜姿勢で支持することが可能となるので、巻芯11が支持部材3から抜け落ちるという事態を防止することができる。なお、巻芯11を両持支持する段階では、巻芯11の姿勢を支持部材3に挿入した状態のまま傾斜姿勢から略水平姿勢に修正し、補助支持部材4を巻芯11の内部に挿入する。
【0058】
なお、本発明は、上記の実施形態に限定されるものではなく、種々の形態で実施することができる。例えば、上記の実施形態では、ガラスロール1の巻芯11の内部に支持部材3を挿入する場合を説明したが、支持部材3を中空に構成すると共に、支持部材3の内部に、巻芯11を挿入するように構成してもよい。これは、補助支持部材4についても同様である。
【0059】
また、上記実施形態では、オーバーフローダウンドロー法により成形したガラスフィルム12について説明したが、ガラスフィルム12は、スロットダウンドロー法やリドロー法等の他のダウンドロー法によって成形されたものであってもよい。このようにダウンドロー法を使用すれば、フロート法によってガラスフィルム12を成形した場合のように、ガラスフィルム12の表面が錫等で汚染されていないので、ガラスフィルム12の表面を未研磨面のまま使用することができるという利点がある。ガラスロール1は、厚みの薄いガラスフィルム12を対象とするものなので、未研磨面のまま使用できるということは、ガラスフィルム12の破損リスクを低減する上でも非常に有利となる。なお、ガラスフィルム12の表面の平滑性を確保する観点からは、ダウンドロー法の中でも、オーバーフローダウンドロー法やリドロー法を採用するのが好ましい。さらに、ガラスフィルム12の両端部がレーザ切断された面であると、ガラスロール1の両端面が収納箱2に接触した場合でも割れ難くなるため、好ましい。
【符号の説明】
【0060】
1 ガラスロール
11 巻芯
12 ガラスフィルム
2 収納箱
21 箱体本体
22 蓋
3 支持部材
4 補助支持部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
巻芯の外周にガラスフィルムを巻き取ったガラスロールを横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、
基部と、該基部に立設された立設部と、該立設部に設けられた支持部材とを備え、前記ガラスロールの姿勢を横姿勢で維持させた状態で、前記巻芯が前記立設部に前記支持部材を介して片持支持されるように構成されていることを特徴とするガラスロール梱包体。
【請求項2】
前記巻芯が中空をなし、該巻芯の内部に前記支持部材が挿入されることを特徴とする請求項1に記載のガラスロール梱包体。
【請求項3】
前記支持部材が、前記巻芯の一端部から少なくとも前記巻芯の全長の1/4以上の位置まで挿入されることを特徴とする請求項2に記載のガラスロール梱包体。
【請求項4】
前記支持部材の先端部に、前記巻芯を基端部側に案内する先細り形状のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のガラスロール梱包体。
【請求項5】
前記支持部材が、前記立設部に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスロール梱包体。
【請求項6】
前記支持部材の軸方向に沿った前記巻芯の移動を規制する押え部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスロール梱包体。
【請求項1】
巻芯の外周にガラスフィルムを巻き取ったガラスロールを横姿勢で支持した状態で梱包するガラスロール梱包体であって、
基部と、該基部に立設された立設部と、該立設部に設けられた支持部材とを備え、前記ガラスロールの姿勢を横姿勢で維持させた状態で、前記巻芯が前記立設部に前記支持部材を介して片持支持されるように構成されていることを特徴とするガラスロール梱包体。
【請求項2】
前記巻芯が中空をなし、該巻芯の内部に前記支持部材が挿入されることを特徴とする請求項1に記載のガラスロール梱包体。
【請求項3】
前記支持部材が、前記巻芯の一端部から少なくとも前記巻芯の全長の1/4以上の位置まで挿入されることを特徴とする請求項2に記載のガラスロール梱包体。
【請求項4】
前記支持部材の先端部に、前記巻芯を基端部側に案内する先細り形状のガイド部が設けられていることを特徴とする請求項2又は3に記載のガラスロール梱包体。
【請求項5】
前記支持部材が、前記立設部に複数設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のガラスロール梱包体。
【請求項6】
前記支持部材の軸方向に沿った前記巻芯の移動を規制する押え部材を設けたことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のガラスロール梱包体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−140338(P2011−140338A)
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−2987(P2010−2987)
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年1月8日(2010.1.8)
【出願人】(000232243)日本電気硝子株式会社 (1,447)
【Fターム(参考)】
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