説明

ガラス上の導電膜形成

ガラス基板を被覆する方法が記載される。被覆は、導電金属酸化物被覆であり、透明でもよい。導電薄膜で被覆されたガラス基板は、例えば、ディスプレイ装置、太陽電池用途および多くの他の急伸する産業および用途において使用できる。

【発明の詳細な説明】
【関連出願の相互参照】
【0001】
本出願は、2008年11月21日に出願された米国特許出願第12/275328号に優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施の形態は、基板を被覆する方法に関し、より詳細には、導電薄膜でガラス基板を被覆する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
透明で導電性の薄膜で被覆されたガラスは、多くの用途、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)のようなディスプレイ装置の背面構造等のディスプレイ用途、および携帯電話のための有機発光ダイオード(OLED)に有用である。透明で導電性の薄膜で被覆されたガラスはまた、太陽電池用途、例えば、ある種類の光電池のための透明電極として、および多くの他の急伸する産業および用途において、有用である。
【0004】
ガラス基板を被覆する従来の方法は通常、材料を真空排気し、被覆前にガラス基板を洗浄し、被覆前にガラス基板を加熱し、その後特定の被覆材料を蒸着する工程を含む。
【0005】
通常、ガラス基板上への導電透明薄膜の蒸着は、スパッタリングにより、または化学蒸着(CVD)、例えばプラズマ支援化学蒸着(PECVD)、噴霧被覆、または金属蒸着およびその後の酸化により、真空槽中で行われる。噴霧被覆を除いては、これらの被覆工程は費用の高い工程である。これらは、通常は真空中で行われるまたは高価な前駆物質を使用する。噴霧被覆は費用効果が良いが、通常は被覆膜上に欠陥部位のある不均一な被覆を生じる。
【0006】
ガラス上への導電透明薄膜のスパッタリング、例えば、ガラス上へのインジウムドープされた酸化スズのスパッタ蒸着には、以下の不都合が1つ以上ある:大面積スパッタリングは、難しく、時間がかかり、一般にガラス基板上、特にサイズの増大したガラス基板、例えばテレビ用のディスプレイガラス上に不均一の膜を生じる。
【0007】
従来の被覆方法のいくつかにおいて被覆前にガラスを洗浄する工程は、複雑さおよび追加の費用をもたらす。また、従来の被覆方法のいくつかは、被覆をドープする工程を必要とし、これは通常困難であり追加の処理工程をもたらす。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
被覆密度を増加させおよび/または従来の被覆方法において明らかな形態の変動を最小にする一方で製造費用および製造時間を減少させる、透明導電薄膜でガラス基板を被覆する方法を開発することが好都合であろう。真空中で導電膜を形成するのではなく、大気圧において導電膜を形成することもまた好都合であろう。
【課題を解決するための手段】
【0009】
ここに記載されるように、導電薄膜でガラス基板を被覆する方法は、特に被覆が金属酸化物を含む場合に、従来の被覆方法の上記の1つ以上の不都合を解決しようとする。
【0010】
ある実施の形態において、導電膜を作製する方法が開示される。この方法は、金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し、溶液のエアロゾル液滴を調製し、加熱したガラス基板にエアロゾル液滴を塗布し、金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えてガラス基板上に導電膜を形成する、各工程を含む。
【0011】
別の実施の形態は、導電膜を作製する方法である。この方法は、金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し;溶液のエアロゾル液滴を調製し;加熱したガラス基板の表面に亘ってエアロゾル液滴の層流を塗布し、金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えてガラス基板上に導電膜を形成する、各工程を含む。
【0012】
本発明のさらなる特徴および利点が、以下の詳細な説明に記載され、一部はこの記載から当業者に明らかであろう、または、明細書および特許請求の範囲、並びに添付の図面に記載されるように本発明を実施することにより認識されるであろう。
【0013】
上記の一般的な説明および以下の詳細な説明はいずれも、本発明の単なる例示であり、特許請求される発明の性質および特徴を理解するための概要または骨組みを提供することを意図することが理解されるべきである。
【0014】
添付の図面は、本発明のさらなる理解を提供するために含まれ、本明細書に組み込まれ、その一部を構成する。図面は、本発明の1つ以上の実施の形態を示し、明細書本文と共に本発明の原理および動作を説明する作用をする。
【0015】
本発明は、以下の詳細な説明のみから、または添付の図面と共に以下の詳細な説明から、理解できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】図1Aは、例示的なエアロゾル液滴サイズ分布のグラフである。図1Bは、例示的な乾燥粒子サイズ分布のグラフである。
【図2】図2Aは、ある実施の形態により作製される導電膜の走査型電子顕微鏡(SEM)画像である。図2Bは、ある実施の形態により作製される導電膜の断面SEM画像である。
【図3】図3Aは、ある実施の形態により作製される導電膜のSEM画像である。図3Bは、ある実施の形態により作製される導電膜の断面SEM画像である。
【図4】図4Aは、ある実施の形態により作製される導電膜のSEM画像である。図4Bは、ある実施の形態により作製される導電膜の断面SEM画像である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
次に、本発明の様々の実施の形態が詳細に参照され、そのうちのある実施例が添付の図面に示される。
【0018】
ある実施の形態において、導電膜を作製する方法が開示される。この方法は、金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し、溶液のエアロゾル液滴を調製し、加熱したガラス基板にエアロゾル液滴を塗布し、金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えてガラス基板上に導電膜を形成する、各工程を含む。
【0019】
別の実施の形態は、導電膜を作製する方法である。この方法は、金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し;溶液のエアロゾル液滴を調製し;加熱したガラス基板の表面に亘ってエアロゾル液滴の層流を塗布し、金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えてガラス基板上に導電膜を形成する、各工程を含む。
【0020】
溶媒が水を含む場合、加水分解反応が起こり得る。これらの反応において、金属ハロゲン化物は水と反応して、それぞれの酸化物に変化する。溶媒がアルコールのみを含む場合、酸素の存在下で、アルコールが蒸発および/または燃焼されるフラッシュ(flash)反応が起こり得る。金属ハロゲン化物は酸化反応で酸素と反応して金属酸化物を形成する。ある実施の形態において、酸化物は焼結して導電膜を形成する。いくつかの実施の形態において、導電膜は透明である。
【0021】
ある実施の形態によれば、溶媒は、水、アルコール、ケトンおよびそれらの組合せから選択される物質を含む。いくつかの実施の形態において、溶媒は、エタノール、プロパノール、アセトンおよびそれらの組合せから選択される。他の有用な溶媒は、金属ハロゲン化物が溶解できる溶媒である。
【0022】
ある実施の形態において、金属ハロゲン化物は、SnCl、SnCl、SnBr、ZnClおよびそれらの組合せから選択される。金属ハロゲン化物は、溶液の5から20質量パーセント、例えば溶液の13質量パーセント以上の量でもよい。
【0023】
いくつかの実施の形態において、溶液はさらにドーパント前駆物質を含む。ドーパント前駆物質は、例えば、HF、NHF,SbCl、およびそれらの組合せから選択されてもよい。
【0024】
ある実施の形態によれば、エアロゾル液滴の調製は、溶液を噴霧する工程を含む。ある実施の形態によれば、溶液を噴霧する工程は、アルゴン、ヘリウム、窒素、一酸化炭素、窒素中の水素および酸素から選択される気体を、噴霧装置中の溶液に通過させる工程を含む。別の実施の形態によれば、溶液を噴霧する工程は、周囲空気を噴霧装置に通過させる工程を含む。いくつかの実施の形態において、噴霧された溶液の速度は、2リットル/分(L/分)から7L/分の間、例えば3L/分でもよい。ある実施の形態において、エアロゾル液滴は、直径4000ナノメートル以下の液滴サイズ、例えば、10ナノメートルから1000ナノメートルまで、例えば50ナノメートルから450ナノメートルまでの液滴サイズを有する。
【0025】
ある実施の形態によれば、エアロゾル液滴の塗布は、噴霧装置からのエアロゾル液滴を受け取るように適合されガラス基板の近くに配置される1つ以上の噴霧器からエアロゾル液滴を噴霧する工程を含む。
【0026】
エアロゾル噴霧器は、被覆されるガラス基板の形状および被覆されるガラス基板の面積に依存して、任意の形状でもよい。エアロゾル液滴を噴霧する工程は、ガラス基板に関して1つ以上の方向で、例えば、3次元デカルト座標系におけるX方向、Y方向、Z方向またはそれらの組合せで、噴霧器を平行移動させる工程を含んでもよい。
【0027】
ある実施の形態において、ガラス基板は、ガラスシート、スライドガラス、加工ガラス基板、ガラス球体、ガラスキューブ、ガラス管、ハニカム、およびそれらの組合せから選択される形状である。
【0028】
ある実施の形態によれば、本発明の方法は、摂氏295度から摂氏600度までの温度、例えば、摂氏350度から摂氏420度までの温度のガラス基板にエアロゾル液滴を塗布する工程を含む。いくつかの用途において、温度範囲の上限は、ガラス基板の軟化点に依存する。導電膜は、通常、ガラス基板の軟化点より低い温度で用いられる。ある実施の形態によれば、導電膜は、大気圧で形成される。
【0029】
ある実施の形態において、導電膜は、ClドープされたSnO、FおよびClドープされたSnO、FドープされたSnO、SnドープされたIn、AlドープされたZnO、CdドープされたSnO、またはそれらの組合せを含む。
【0030】
導電薄膜は、ある実施の形態において、2000ナノメートル以下、例えば、10ナノメートルから1000ナノメートルまで、例えば、10ナノメートルから500ナノメートルまでの厚さを有する。
【0031】
光起電装置、ディスプレイ装置、または有機発光ダイオードは、開示される方法により作製される導電薄膜を含んでもよい。
【0032】
基板上へのエアロゾル液滴の運搬および/または蒸着中に、エアロゾル液滴中の溶媒の蒸発が起こり得る。いくつかの実施の形態において、溶媒の蒸発は、エアロゾル液滴が基板上に蒸着された後に起こり得る。開示される方法により、様々の反応機構、例えば、金属ハロゲン化物とエアロゾル液滴中の溶媒との間の均一系反応、形成されたまたは形成中の酸化物中の酸化物との溶媒および/または気体との間の不均一反応、および/または基板の表面との酸化物核結合および結晶化が、起こり得る。
【0033】
エアロゾル運搬温度をコントロールすることにより、エアロゾル液滴からの溶媒の蒸発をコントロールでき、したがって、平均エアロゾル液滴サイズをコントロールして蒸着をより効果的におよび/またはより均一にすることができる。運搬温度をコントロールすることにより、溶媒と金属ハロゲン化物との間の反応、および液滴中の安定した核の形成が向上され得る。
【0034】
ガラス基板を加熱することにより、酸化物の形成に十分な活性化エネルギーが提供され得る。一方、残りの溶媒は加熱されたガラス基板から蒸発する。加熱により、蒸着された小粒子にエネルギーが提供され、結晶化しより大きい結晶を形成し得る。
【0035】
ある実施の形態において、溶液を提供する工程は、酸化物のための前駆物質および/またはドーパントを溶媒中に溶解する工程を含む。例えば、SnOベースの透明導電酸化物(TCO)膜を調製するために、SnClおよびSnClをSn前駆物質として使用してもよい。HF、NHF、SbCl等をFおよびSbドーパント前駆物質として使用してもよい。これらの前駆物質のための溶媒は、水またはエタノール、プロパノール等のようなアルコール、またはこれらの前駆物質を溶解できる任意の他の溶媒、またはこれらの溶媒の組合せでもよい。異なる溶媒は、異なる表面接着率、異なる蒸発率および異なる化学反応を生じ得る。溶媒として水を使用し、SnOを生じるための前駆物質としてSnClまたはSnClを使用する場合、SnClまたはSnClは水により加水分解され、この反応は、溶液中、液滴中および蒸着表面上で起こる。生じたHClは、水によるSnの完全な酸化を強める。蒸着工程中に、ドーパント(例えばFおよびSb)をSnO格子中に加えてもよい。Sn上の残留Clはまた、格子中に残存してClドープを形成し得る。
【実施例】
【0036】
溶液は、0.27M SnClおよび脱イオン水を混合することにより提供された。SnClは、水により加水分解されてHClを形成した。生じた溶液は、約0.5のpH値を有し酸性であった。TSI9306ジェット噴霧装置を使用し、利用可能な6つのジェットのうち2つを使用して30ポンド/平方インチ(psi)(約207kPa)の圧力で窒素ガスを流し溶液を噴霧して、エアロゾル液滴を形成した。強酸性溶液による噴霧装置のエッチングを最小限にするために、噴霧装置リザーバおよびノズル中の金属パーツをプラスチックに交換した。ガラス基板を、管状加熱炉の3インチ(約7.62cm)の石英管の中心に水平に配置した。この設計により、ガラス基板の表面に亘るエアロゾル液滴の層流が可能となった。層流は、被覆均一性を向上し、被覆率を増加すると考えられる。管状加熱炉は、ガラス基板および噴霧装置により生じるエアロゾル液滴を加熱した。SnO被覆のために、管状加熱炉を350℃の温度にセットした。管状加熱炉を370℃の温度にセットし、追加のガラス基板をSnOで被覆した。ガラス基板は、例えば、15分間から90分間までの範囲の時間、被覆してもよい。この実施例において、350℃で被覆されたガラス基板は30分間被覆され、370℃で被覆されたガラス基板は60分間被覆された。管状加熱炉中に残った被覆ガラス基板を、窒素ガス流と共に30分間それぞれの蒸着温度にセットした。生じた導電膜は、100から1000ナノメートルまでの厚さであった。
【0037】
エアロゾル液滴の蒸着中、以下の加水分解反応が起こった:
SnCl+2HO→370℃→SnO+4HCl
ClもまたSnO格子中にドープされた。HF、NHFまたはSbCl、FまたはSbのような他のドーパントが溶液中に共存する場合、このドーパントもまた、SnO格子中に組み込まれてもよい。このドーピングは、安定した導電膜の形成に役立つ。
【0038】
例示的なエアロゾル液滴サイズ分布が、図1Aの線10により示され、例示的な対応する乾燥粒子サイズ分布が、図1Bの線12により示される。粒子サイズ分布は、エアロゾル液滴サイズ分布から予測できる。
【0039】
図2Aおよび図2Bは、350℃における管状加熱炉中でガラス基板16上に形成されるClドープされたSnO導電膜14のSEM画像を示す。350℃はSnOについての結晶化温度より低いので、膜中のSnO粒子はエアロゾル液滴中の粒子を反映する。
【0040】
図3Aおよび図3Bは、370℃における管状加熱炉中でガラス基板20上に形成されるClドープされたSnO導電膜18のSEM画像を示す。370℃では、SnO粒子は結晶化する。結晶化は、表面温度および/またはエアロゾル液滴からの残存液相により影響され得る。
【0041】
導電膜を、X線回折(XRD)を使用して分析した。測定により、図2Aおよび2Bに示される導電膜の間および図3Aおよび3Bに示される導電膜の間に異なる結晶構造が確認された。XRDは、370℃蒸着された膜が、より高い結晶化度および方位[100]配列を有することを示す。350℃蒸着膜のXRDパターンおよびピーク強度は、SnO粉末のものと同様であり、方位配列を有しない。より高い結晶化度を示す膜は、より良好な導電性を有し得る。
【0042】
350℃蒸着膜および370℃蒸着膜の両方について、電子測定を行った。370℃蒸着膜は、350℃蒸着膜よりも高い導電性を有することが分かった。400ナノメートルの厚さを有する370℃蒸着膜は、50Ω/□のシート抵抗および2×10−3Ω.cmの抵抗率を有することが分かった。
【0043】
ClドープされたSnO膜の透明性を、透過率分光分析により測定した。500ナノメートルの厚さを有する例示的なClドープされたSnO膜は、400ナノメートルから1000ナノメートルまでの波長範囲において80%より大きい透明性を有した。
【0044】
FおよびCl共ドープされたSnO導電膜を、SnClおよびHFを前駆物質として使用することにより調製した。0.27M SnClおよび脱イオン水および異なる量のHFを混合することにより、溶液を調製した。この実施例において、0.7から0.37までのF/Snモル比を調製した。管状加熱炉を370℃の温度にセットし、蒸着時間は15分間であった。図4Aおよび図4Bは、0.22のF/Snモル比で調製されたガラス基板24上のFおよびCl共ドープされたSnO導電膜22のSEM画像を示す。SnOは、結晶であることが分かった。膜厚は、100ナノメートルから200ナノメートルまでであった。
【0045】
FおよびCl共ドープされたSnO膜の二次イオン質量分析(SIMS)測定を行い、SnOマトリクス中のFおよびClドーパントを確認した。
【0046】
FおよびCl共ドープされたSnO膜のシート抵抗は、140ナノメートルの厚さの膜について、60Ω/□であり、抵抗率は8×10−4Ω.cmであった。最も導電性の膜は、約0.5MのSnCl前駆物質溶液中で3:2のF/Snモル比を使用して調製された。
【0047】
前駆物質溶液中で0.30および0.37のF/Snモル比を使用して作製された、FおよびCl共ドープされたSnO膜の透明性を、VIS−NIR透過率により測定した。厚さ150ナノメートルのFおよびCl共ドープされたSnO膜は、400から700ナノメートル波長において約90%の透明性を有した。
【0048】
ある実施の形態によれば、本発明の方法は、導電膜の形成後に導電膜を熱処理する工程をさらに含む。熱処理は、250℃未満、例えば150℃から250℃まで、例えば200℃の温度範囲において空気中で行ってもよい。不活性雰囲気中で、例えば、より高い熱処理温度、例えば250℃より高い、例えば400℃を可能とする窒素中で、熱処理を行ってもよい。
【0049】
導電膜の導電性は、後熱処理によりさらに改良できる。この熱処理は、粒子の境界および粒子表面から吸着物を除去することができ、トラップされた自由電子を開放する。後熱処理温度は、処理が空気中である場合、SnO酸化温度より低くなければならない。200℃の温度は、空気中での好都合な後処理温度であることが分かった。数kΩのClドープされたSnO膜は、この後処理の後に数百Ωに改良できる。数百ΩのFおよびCl共ドープされたSnO膜は、数十Ωまで低下させることができ、例えば、200℃で30分間空気中で熱処理した後に150ナノメートルの膜は60Ω/□のシート抵抗を有した。これにより、9×10−4Ω.cmの抵抗性を有する膜を生じた。
【0050】
本発明の原理および範囲を逸脱せずに、本発明に様々の変更および変化が可能であることが当業者に明らかであろう。したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲およびその均等物の範囲内に基づくものであれば本発明の変更および変化を含むことが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
導電膜を作製する方法であって、該方法が:
金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し;
該溶液のエアロゾル液滴を調製し;
該エアロゾル液滴を加熱したガラス基板に塗布し、前記金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えて前記ガラス基板上に導電膜を形成する、
各工程を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記エアロゾル液滴を調製する工程が、前記溶液を噴霧する工程を含み、
前記エアロゾル液滴を塗布する工程が、噴霧装置から前記エアロゾル液滴を受け取るように調整され前記ガラス基板の近くに配置される1つ以上の噴霧器から前記エアロゾル液滴を噴霧する工程を含む、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
請求項1により作製される導電薄膜を含む、光起電装置、ディスプレイ装置、または有機発光ダイオード。
【請求項4】
前記エアロゾル液滴が、50ナノメートルから450ナノメートルまでの液滴サイズを有することを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
導電膜を作製する方法であって、該方法が:
金属ハロゲン化物および溶媒を含む溶液を提供し;
該溶液のエアロゾル液滴を調製し;
加熱したガラス基板の表面に亘って前記エアロゾル液滴の層流を塗布し、前記金属ハロゲン化物をそれぞれの酸化物に変えて前記ガラス基板上に導電膜を形成する、
各工程を含むことを特徴とする方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2012−509990(P2012−509990A)
【公表日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−537544(P2011−537544)
【出願日】平成21年11月17日(2009.11.17)
【国際出願番号】PCT/US2009/064687
【国際公開番号】WO2010/059585
【国際公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】