説明

ガラス割れ防止用透明積層体

【課題】プラズマ表示板の視覚側に直接装着して空気層による2重映りの問題をなくし、しかもその装着が容易で軽量化や薄型化さらに低コスト化に寄与し、ガラス割れ防止効果とともに電磁波シールド効果にもすぐれたガラス割れ防止用透明積層体と、これを装着したプラズマ表示装置を提供する。
【解決手段】20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Pa以下である割れ防止層11の一面側11aに反射防止フィルム12を設け、他面側11bに電磁波シールド層13を設けるかまたはこの電磁波シールド層13を上記割れ防止層11中に埋設し、さらに上記割れ防止層11の他面側11bの最表面を粘着面として、ガラス割れ防止用透明積層体1を構成し、この透明積層体1を、プラズマ表示板21の視覚側に上記粘着面を介して直接装着して、プラズマ表示装置2を構成する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プラズマ表示装置におけるプラズマ表示板の視覚側に直接密着して装着されるガラス割れ防止用透明積層体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プラズマ表示装置は、図2に示すように、プラズマ表示板31の視覚側にスペーサ兼アース32による空隙33を設けて強化ガラス板からなる透明前面板34を配置し、これにより外部衝撃力がプラズマ表示板31に直接作用するのを防ぎ、またプラズマ表示装置から発生する電磁波をシールドしている。
しかし、空隙33による空気層とプラズマ表示板31および透明前面板34との界面における光の屈折により、画像が2重に映る問題がある。また、透明前面板34は、外部衝撃力に耐えるように約2.5mm程度の厚さとされるため、重量が重くかつコストも高くなるなどの問題もある。
【0003】
これに対し、本件出願人は、既に、特開平9−259770号公報において、プラズマ表示板の視覚側に緩衝性と密着性を有する耐熱性の透明シートを介して透明保護板を直接装着したことを特徴とするプラズマ表示装置を提案している。この表示装置によれば、前記従来のように、視覚側に空気層がないため、画像の2重映りの問題を回避することができる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかるに、上記の提案では、透明保護板として硬質で厚手のガラス板やアクリル板を使用しているため、これを透明シートを介してプラズマ表示板に装着する操作が容易でなく、ガラス板では重量やコストの問題がなお残っている。また、表示装置の廃棄に際し、リサイクルのために透明保護板などを再剥離して取り外そうとしても、容易には取り外せない問題もある。
【0005】
本発明は、このような事情に照らし、プラズマ表示板の視覚側に直接装着することで空気層をなくし、2重映りの問題がなく、しかもその装着が容易で軽量化や薄型化さらに低コスト化に寄与でき、プラズマ表示板のガラス割れ防止効果が大きく、かつ電磁波シールド効果にすぐれたガラス割れ防止用透明積層体を提供すること、またリサイクルの点よりプラズマ表示板への装着後に容易に取り外せる上記透明積層体を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の目的に対し、鋭意検討した結果、動的貯蔵剪断弾性率を規制した特定の割れ防止層の一面側に反射防止フィルムを設け、かつ上記割れ防止層の他面側に電磁波シールド層を設けるかまたはこの電磁波シールド層を上記割れ防止層中に埋設し、さらに上記割れ防止層の他面側の最表面を粘着面とした構成の透明積層体によると、上記粘着面を利用した貼り付けによりプラズマ表示板に直接装着でき、空気層による2重映りの問題がなく、かつ硬質で厚手のガラス板やアクリル板などの透明保護板を用いていないため、装着が容易で表示装置の軽量化、薄型化および低コスト化に貢献できることがわかった。
【0007】
また、プラズマ表示板への直接装着により、上記特定の割れ防止層の作用にてプラズマ表示板の耐衝撃性が向上してガラス割れ防止効果が増大し、この割れ防止層とともに設けた電磁波シールド層により電磁波シールド機能も付与される。しかも、この電磁波シールド層は、上記割れ防止層の内側つまり上記割れ防止層とプラズマ表示板との間に配置されるか、上記割れ防止層中に埋設されるため、外部衝撃を受けときに上記割れ防止層が上記電磁波シールド層に対する衝撃緩和層としても機能し、外部衝撃による電磁波シールド層の破壊とそれによる性能劣化が防がれ、本来の電磁波シールド効果をより良く発現できることがわかった。さらに、上記割れ防止層の他面側の最表面を再剥離性を有する粘着面とすることにより、装着後の再剥離も可能で容易に取り外せることもわかった。
【0008】
本発明は、以上の知見をもとにして、完成されたものである。
すなわち、本発明は、20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Pa以下である割れ防止層の一面側に反射防止フィルムを設け、かつ上記割れ防止層の他面側に電磁波シールド層を設けるかまたはこの電磁波シールド層を上記割れ防止層中に埋設し、さらに上記割れ防止層の他面側の最表面を粘着面としたことを特徴とするガラス割れ防止用透明積層体に係るものである。
とくに、本発明は、上記割れ防止層の厚さが0.1〜5mmである上記構成のガラス割れ防止用透明積層体と、上記粘着面が再剥離性を有する上記構成のガラス割れ防止用透明積層体とを、提供できるものである。
また、本発明は、プラズマ表示板の視覚側に、上記各構成のガラス割れ防止用透明積層体を、その粘着面を介して直接装着したことを特徴とするプラズマ表示装置に係るものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を、図面を参考にして説明する。
図1は、本発明のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の一例を示したものである。
【0010】
図において、ガラス割れ防止用透明積層体1は、割れ防止層11の一面側11aに反射防止フィルム12を設け、他面側11bに透明基材13Aと電磁波シールド層13Bとからなる電磁波シールドフィルム13を設け、その上に粘着剤層14を設けて、他面側11bの最表面を粘着面とした構成からなっている。
また、プラズマ表示装置2は、プラズマ表示板21の視覚側に、上記の透明積層体1を、上記他面側11bの最表面の粘着面を利用して直接貼り付け、つまり他面側最表面の粘着面を介して直接装着した構成となっている。
【0011】
ガラス割れ防止用透明積層体1において、割れ防止層11は、プラズマ表示板21の視認性を阻害しない、良好な透明性(光透過性)を備えていることはもちろん、20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Pa以下であることが必要であり、好ましくは7×106 〜1×103 Paであるのがよい。このような動的貯蔵剪断弾性率G′を有することにより、外部衝撃を良好に吸収緩和して、プラズマ表示板21のガラス割れを防止するとともに、電磁波シールド層13Bの外部衝撃による破壊をも防止することができる。
【0012】
これに対し、上記割れ防止層11の20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Paを超えてしまうと、上記したような効果が得られなくなり、とくに、ガラス割れ防止効果については、500gの鋼球(直径50mm)を10cmの高さから落下させたときに相当する衝撃エネルギー(0.5J)でもプラズマ表示板21に割れが起こる。また、20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×103 Paより小さくなると、柔らかくなりすぎ、シート化などの打ち抜きや裁断の際に加工しにくくエッジ部のはみ出しなどが起こりやすい。
【0013】
この割れ防止層11の厚さとしては、0.1〜5mmであるのがよく、とくに好ましくは0.2〜3mmであるのがよい。厚さが0.1mmに満たないときには、衝撃緩和能が低下して、上記したような効果が得られにくい。また、厚さが5mmを超えると、プラズマ表示板21への貼り付け作業、つまり装着作業が損なわれたり、視差の観点より画像劣化の問題が起こりやすい。
【0014】
このような特性を備えた割れ防止層11は、前記した動的貯蔵剪断弾性率G′を有する種々の材料が用いられ、とくに限定はない。
具体的には、エチレン−メタクリル酸共重合体の分子間を金属イオン(Na+ 、Znなど)で架橋したアイオノマー樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル樹脂、エチレン−アクリレート共重合体、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド樹脂、ポリブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂などの熱可塑性樹脂や、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリジエン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フッ素系、塩素化ポリエチン系、ポリノルボルネン系、ポリスチレン・ポリオレフィン系共重合体、(水添)ポリスチレン・ポリブタジエン系共重合体、ポリスチレン・ビニルポリイソプレン系共重合体などのゴム弾性を示す熱可塑性エラストマーが用いられる。その他、ポリエチレンやポリプロピレンなどのポリオレフィンに上記のような熱可塑性エラストマーをブレンドしたものなども用いられる。
【0015】
また、割れ防止層11は、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン)/熱可塑性樹脂(エチレン−酢酸ビニル共重合体)/ポリオレフィン、ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン)/ポリオレフィン+熱可塑性エラストマー/ポリオレフィン(ポリエチレンやポリプロピレン)などの多層体、ポリオレフィン+熱可塑性エラストマーのブレンド比を変えた多層体、ポリプロピレン/ポリエチレン/ポリプロピレンなどの種々の多層構成とすることができる。また、熱可塑性エラストマーのコアとアクリル樹脂とのシェル構造からなるコア/シェル型樹脂の多層構成となどとしてもよい。
【0016】
さらに、割れ防止層11として、透明な粘着性材料を使用できる。たとえば、アクリル系、ゴム系、ポリエステル系、シリコーン系などの粘着性材料を使用できる。これらの粘着性材料は、熱架橋タイプであってもよいし、光(紫外線や電子線)架橋タイプのものであってもよい。これらの粘着性材料の中でも、とくに透明性の高いアクリル系の粘着性材料が好ましく用いられる。
【0017】
アクリル系の粘着性材料とは、前記した動的貯蔵剪断弾性率G′と透明性とを有するものであればよく、通常は、アクリル系重合体に必要により適宜の添加剤を含ませてなるものが用いられる。上記のアクリル系重合体は、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、これに必要により光学特性や耐熱性などの物性の改質を目的として共重合可能を改質用単量体を加え、これらを常法により重合処理することにより、得ることができる。粘着性や耐熱性の調整を目的として、必要により適宜の架橋処理を施してもよい。また、必要に応じて、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、可塑剤などの添加剤を加えてもよい。
【0018】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、アルキル基の炭素数が1〜18、好ましくは4〜12である直鎖状または分岐状の(メタ)アクリル酸アルキルエステルが用いられる。具体的には、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸イソオクチル、(メタ)アクリル酸イソノニル、(メタ)アクリル酸アリルなどが挙げられる。
【0019】
上記の改質用単量体としては、(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミドなどのアミド系単量体、(メタ)アクリル酸アミノエチル、N,N−ジメチル(メタ)アクリル酸アミノエチルなどの(メタ)アクリル酸アミノアルキル系単量体、酢酸ビニルやスチレンなどのビニル系単量体、アクリロニトリルなどのシアノアクリレート系単量体などが挙げられる。これらの改質用単量体は、主成分である前記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとの合計量中、通常50重量%以下の割合で用いることができる。
【0020】
これら単量体の重合処理は、適宜の重合開始剤を用いて、溶液重合法、乳化重合法、塊状重合法などにより、行うことができる。得られるアクリル系重合体を用いて、前記した比較的厚手の割れ防止層11を形成する場合、その層内に気泡が含まれないようにすることが肝要であり、そのためには、上記の重合処理を溶液重合法または塊状重合法を採用して行うのが望ましい。
【0021】
溶液重合法では、得られるアクリル系重合体の有機溶剤溶液に、必要により、外部架橋剤としてイソシアネート系架橋剤などを配合して粘着性材料を調製し、この材料をセパレータ上に塗布乾燥して、比較的薄手の材料層をつくり、これを何層か積層することで、単層(同一材料)構成としてその層内に気泡が含まれない、比較的厚手の割れ防止層11を形成することができる。
【0022】
塊状重合法では、前記した単量体に光重合開始剤を加え、これに紫外線などの放射線を照射して、部分的に重合させ、このようにして得られる重合体・単量体混合物にさらに光重合開始剤と通常は内部架橋剤として多官能性単量体を加え、これをセパレータ上に所定厚さに塗布したのち、紫外線などの放射線を照射して完全に重合させることにより、その層内に気泡が含まれない、比較的厚手の割れ防止層11を形成することができる。なお、電子線を照射して重合させるときには、光重合開始剤はあえて加えなくてもよい。
【0023】
上記の光重合開始剤としては、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)−フェニル〕−2−モルホリノプロパン−1などのアセトフェノン系化合物、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、アニゾインメチルエーテルなどのベンゾインエーテル系化合物、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどのα−ケトール系化合物、ベンジルジメチルケタールなどのケタール系化合物、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド系化合物、1−フェノン−1,1−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、3,3’−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノンなどのベンゾフェノン系化合物などが挙げられる。
【0024】
上記の内部架橋剤である多官能性単量体には、ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、(ポリ)プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0025】
割れ防止層11は、上記した材料のほか、透明な有機高分子物質と有機化層状粘土鉱物との複合材料で構成してもよい。この複合材料によると、外部衝撃をより良好に吸収緩和して、プラズマ表示板21のガラス割れおよび電磁波シールド層13Bの破壊を効果的に防止することができる。
【0026】
上記の複合材料において、透明な有機高分子物質としては、フィルム成形加工が可能な透明な有機高分子樹脂またはゴムであって、かつ有機化層状粘土鉱物を分散できるものであればよい。外部衝撃をとくに良好に吸収緩和させるために、好ましくは、20℃での動的貯蔵剪断弾性率が6×106 Pa以下(実用的には1×105 〜1×103 Pa)であるものがよい。具体的には、ポリウレタン系、ポリエステル系、アクリル系などの樹脂や、天然ゴム、ブチルゴムなどのゴムなどが用いられる。耐熱性、耐湿信頼性、透明性、加工性、有機層状粘土鉱物との親和性などの面で、アクリル系樹脂がとくに有用である。
【0027】
また、有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物を有機化処理して有機高分子物質との親和性を良くしたもので、通常は、層状粘土鉱物の交換性無機イオンが有機オニウムイオンでイオン交換されることにより、得られる。層状粘土鉱物には、モンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのスメクタイト系粘土鉱物や、バーミキュライト、ハロイサイト、膨潤性マイカなどがある。層状粘土鉱物の陽イオン交換量は、層間に挿入される有機高分子物質との親和性の点より、50〜200meq/100gの範囲に設定されているのがよい。
【0028】
イオン交換に使用する有機オニウムイオンには、アンモニウムイオン、ピリジニウムイオン、スルホニウムイオン、ホスホニウムイオンなどがあり、とくに、有機アンモニウムイオンが好ましい。この有機アンモニウムイオンとしては、ドデシルアミン、テトラデシルアミン、ヘキサデシルアミン、オクタデシルアミンなどの有機アミンを塩酸などによりカチオン化したアルキルアミン塩酸塩や、テトラアルキルアンモニウム塩などの4級アンモニウム塩が挙げられる。
【0029】
有機化層状粘土鉱物の生成は、層状粘土鉱物のナトリウムやマグネシウムなどの交換性無機イオンを有機オニウムイオンでイオン交換することにより行われるが、その際、層状粘土鉱物の陽イオン交換量と当量の有機オニウムイオンを使用するのが望ましい。イオン交換時の溶媒には、層状粘土鉱物の分散性の点より、水、アルコールなどのプロトン性溶媒が、好ましく用いられる。
【0030】
このようにして得られる有機化層状粘土鉱物は、層状粘土鉱物の主成分であるシリケート層の層間に、有機オニウムイオンが挿入され、イオン的な相互作用でシリケート表面に吸着した、いわゆる、挿入(インターカレーション)構造をとっている。この構造により、有機高分子物質をその層間に呼び込みやすくなる。この挿入構造は、広角または小角のX線散乱分析による層間間隔の拡大の定量化、熱重量分析による有機含有量の定量化により、追跡できる。
【0031】
このような挿入構造をとる有機化層状粘土鉱物において、有機オニウムイオンの含有量は、通常、20〜70重量%であるのが好ましい。有機オニウムイオンの含有量が20重量%未満となると、層間の極性が高すぎ、有機高分子物質を呼び込みにくくなり、また70重量%を超えると、複合材料中に有機オニウムイオンが多量に存在することになり、耐熱性が低下する。
【0032】
有機高分子物質と有機化層状粘土鉱物との複合材料は、▲1▼有機高分子物質と有機化層状粘土鉱物とを1軸または2軸押出機、2本ロール、ニーダーなどの溶融混練機により溶融混練する方法、▲2▼有機高分子物質と有機化層状粘土鉱物との両成分に良好な親和性を有する有機溶媒中に、上記両成分を分散し混合したのち、有機溶媒のみを取り除く方法、▲3▼有機化層状粘土鉱物の層間に、有機高分子物質形成用の単量体や重合開始剤などの一部を挿入(インターカレーション)し、この挿入状態のまま熱や光などの作用により重合反応させて、有機高分子物質と上記粘土鉱物との複合材料を得る方法などにより、調製できる。
【0033】
これらの中でも、上記▲3▼の方法によると、複合材料中での有機化層状粘土鉱物の分散性が良好となり、透明性にすぐれる複合材料を得られるので、望ましい。以下、上記▲3▼の方法により、有機高分子物質であるアクリル系樹脂と有機化層状粘土鉱物との複合材料を調製する方法について、説明する。
【0034】
この方法は、たとえば、アクリル系単量体、重合開始剤、有機化層状粘土鉱物および有機溶媒からなる混合物に、あらかじめ外的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間に上記単量体と重合開始剤の一部を有機溶媒とともに挿入し、その後、脱溶媒したのち、重合反応に供するものである。この方法では、上記粘土鉱物の層間に生成したアクリル系樹脂により上記粘土鉱物の層間分離が起こり、層間の距離が10nm以上という微細に分散した、アクリル系樹脂と上記粘土鉱物とのコンポジッドからなる高い透明性を維持した複合材料が得られる。
【0035】
アクリル系単量体には、(メタ)アクリル酸アルキルエステルを主成分とし、必要によりこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体が併用される。上記の主成分としては、好ましくは非ターシャリーアルキルアルコールの単官能不飽和(メタ)アクリレートで、アルキル基の炭素数が2〜14個のものから選ばれる。具体的には、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートなどが挙げられ、これらの1種または2種以上が用いられる。
【0036】
このような主成分と共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体としては、上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルと共重合させることにより、官能基や極性基の導入による耐熱性や接着性の改善,改質のために用いられる。たとえば、アクリル酸、イタコン酸、スルホプロピルアクリレート、ヒドロキシアルキルアクリレート、シアノアルキルアクリレート、アクリルアミド、置換アクリルアミド、N−ビニルカプロラクタム、アクリロニトリル、2−メトキシエチルアクリレート、アクリル酸グリシジル、酢酸ビニル、N,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、アクリロイルモルホリン、N−ビニルピロリドンなどが挙げられ、目的に応じて1種または2種以上が用いられる。
【0037】
上記の(メタ)アクリル酸アルキルエステルとこれと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体の使用割合としては、主成分である(メタ)アクリル酸アルキルエステルが70〜100重量%、好ましくは85〜100重量%で、これと共重合可能なモノエチレン性不飽和単量体が30〜0重量%、好ましくは15〜0重量%となるようにする。このような範囲で用いることにより、接着性や耐熱性などのバランスをうまくとることができる。
【0038】
有機化層状粘土鉱物は、上記のアクリル系単量体100重量部あたり、通常、1〜150重量部となる使用量とするのがよい。これにより、重合反応で生成するアクリル系樹脂100重量部に対して、有機化層状粘土鉱物が、通常1〜150重量部となり、透明性および割れ防止効果などの衝撃緩和能の大きい複合材料を得ることが可能となる。これに対し、有機化層状粘土鉱物が過少では衝撃緩和能に乏しくなり、過多となると透明性が低下する。
【0039】
重合開始剤には、光重合開始剤や熱重合開始剤がある。
光重合開始剤は、光によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテルなどのベンゾインエーテル類、アニゾインメチルエーテルなどの置換ベンゾインエーテル類、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェノンアセトフェノンなどの置換アセトフェノン類、2−メチル−2−ヒドロキシプロピオフェノンなどの置換−α−ケトール類、2−ナフタレンスルホニルクロリドなどの芳香族スルホニルクロリド類、1−フェノンー1,1−プロパンジオンー2−(o−エトキシカルボニル)オキシムなどの光活性オキシム類がある。
【0040】
熱重合開始剤は、熱によりラジカルを発生する開始剤であり、具体的には、アゾビスイソブチロニトリルのようなアゾ系化合物や、有機過酸化物が挙げられ、とくに有機過酸化物を使用すると、接着力と凝集力との改善に好結果がもたらされる。このような有機過酸化物としては、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイドなどがある。
【0041】
これらの重合開始剤の使用量は、アクリル系単量体100重量部あたり、0.005〜5重量部の範囲内において、その種類に応じて適宜選択される。光重合開始剤は、通常0.005〜1重量部、とくに0.05〜0.5重量部とするのがよい。過少では光重合後に未反応単量体が多く残存して、接着界面において気泡の発生などを生じやすく、過多となると光重合物中にこの光重合開始剤が残存して、黄変などの原因となりやすい。熱重合開始剤は、上記同様の理由により、通常0.01〜5重量部、とくに0.05〜3重量部とするのがよい。
【0042】
有機溶媒は、アクリル系単量体および重合開始剤を溶解して、これらを有機化層状粘土鉱物の層間に挿入しやすくし、かつ、この挿入後は重合反応に供する前に減圧や加熱などにより取り除かれるものであり、上記の挿入促進作用により、上記粘土鉱物の使用量をかなり多くしたときでも、重合反応で生成するアクリル系樹脂に上記粘土鉱物が良好に分散し、透明性と割れ防止効果などの衝撃緩和能とを高度に両立する複合材料の製造が可能となる。
【0043】
このような有機溶媒としては、有機化層状粘土鉱物を湿潤膨潤させる能力と、アクリル系単量体を溶解する能力とを有し、減圧や加熱などにより容易に除去可能なものであればよく、その種類はとくに限定されない。代表的なものとして、トルエン、キシレン、アセトン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノールなどが挙げられる。これらの中でも、トルエンや酢酸エチルなどが好ましい。有機溶媒の使用量は、有機化層状粘土鉱物の使用量などに応じて、適宜、決められるが、通常は、有機化層状粘土鉱物100重量部に対して、50〜1,000重量部となる割合で、用いられる。
【0044】
このようなアクリル系単量体、重合開始剤、有機化層状粘土鉱物および有機溶媒からなる混合物に対し、外的作用を付加して、上記粘土鉱物の層間に上記単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入するが、上記の外的作用としては、剪断的外的作用または振動的外的作用が好ましい。剪断的外的作用には、上記の混合物からなる分散液に対して、高い剪断力を付与する方法、たとえばコロイドミル、ホモジナイザー、ディスパーなどの分散機を用いて分散処理する方法がある。また、振動的外的作用には、上記分散液を非常に強力な超音波ホモジナイザーにより振動処理する方法がある。
【0045】
また、これら以外の外的作用として、熱的外的作用や圧力的外的作用を付加するようにしてもよい。熱的外的作用には、上記分散液を単量体や有機溶媒の沸点を超えない程度の熱をかけることにより処理する方法がある。圧力的外的作用には、上記分散液をオートクレープ中に入れて1〜5Kg/cm2 程度の圧力をかける方法や、超臨界二酸化炭素を媒体として高圧下で処理する方法などがある。
【0046】
このように有機化層状粘土鉱物の層間にアクリル系単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入すると、有機化層状粘土鉱物の層間の距離が拡大し、この層間の距離が、通常10nm以上となる。このような層間の距離の拡大は、広角または小角のX線散乱分析により、定量的に分析できる。また、分散液の透明性の向上(つまり、挿入前の白濁状態から透明状態への変化)により、さらには分散液の粘度の増大現象などにより、間接的、定性的に確認できる。
【0047】
このように有機化層状粘土鉱物の層間にアクリル系単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入したのち、脱溶媒して、重合反応に供する。上記の脱溶媒は、加熱乾燥、減圧乾燥、噴霧乾燥などの手段を用いて、行えばよく、これにより、混合物中の有機溶媒をほぼ除去できる。重合後の複合材料中に有機溶媒が残存すると、使用時に溶媒の揮散に起因した腐食や汚損、透明性の低下などの問題を生じやすく、できるだけ除去するのが望ましい。
【0048】
なお、上記脱溶媒を行う前の混合物中に、複合材料の凝集力などを高めて剪断強さを増加させるための交叉結合剤として、分子内に(メタ)アクリロイル基を2個またはそれ以上有する多官能(メタ)アクリレートを、必要により添加しておいてもよい。このような多官能(メタ)アクリレートとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、1,2−エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0049】
このような多官能(メタ)アクリレートの使用量は、アクリル系単量体100重量部あたり、通常0.02〜5重量部、好ましくは0.1〜3重量部の範囲内で、2官能の場合は多めに、3官能やそれ以上の多官能の場合は少なめにするのがよい。過少では光重合後の架橋度が低くなり、上記の効果が十分に得られず、また過多となると割れ防止効果などの衝撃緩和能の低下が起こりやすい。
【0050】
重合反応は、重合開始剤の種類に応じて、紫外線などの光重合法によるか、熱重合法により、行われる。複合材料のシートへの加工性などの観点からすると、光重合法によるのが好ましい。このように重合反応させると、アクリル系単量体の重合の進行とともに、有機化層状粘土鉱物の層間に挿入されたアクリル系単量体の重合も同時に進行し、これに伴い層状粘土鉱物の層間がさらに拡大し、層の剥離が促進される。その結果、生成したアクリル系樹脂とこれに分散した有機化層状粘土鉱物とからなり、その層間にアクリル系樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こし、層間の距離が10nm以上となる複合材料が得られる。
【0051】
すなわち、この複合材料は、アクリル系樹脂中に上記粘土鉱物がnmサイズの微小薄片として良好に分散したものであるため、上記粘土鉱物の補強作用により割れ防止効果などの衝撃緩和能にすぐれたものとなり、かつ高いレベルの透明性を維持し、とくに上記粘土鉱物がモンモリロナイト、サポナイト、ヘクトライトなどのサイズのもともと小さなものでは格段にすぐれた透明性を維持する。具体的には、全光線透過率が80%以上となる程度である。
なお、この複合材料には、上記のアクリル系樹脂および有機化層状粘土鉱物のほかに、上記の特性を損なわない限り、必要により、粘着付与剤、老化防止剤、着色剤などの各種の添加剤を添加することができる。
【0052】
この複合材料において、無機成分の含有量は3〜25重量%であるのがよい。ここで、無機成分とは、有機化層状粘土鉱物の無機成分(通常、層状粘土鉱物の80〜30重量%)を指すが、層状粘土鉱物以外の無機成分を添加する場合は、この無機成分も含まれる。この無機成分の含有量が過少では、割れ防止効果などの衝撃緩和能に乏しくなり、また過多となると、透明性が低下する。なお、上記の無機成分の含有量は、熱重量分析により、求めることができる。
【0053】
割れ防止層11は、上記の複合材料を適宜の手段でシート化したものである。シート化するには、たとえば、前記方法による脱溶媒および重合反応を、セパレータ上で行うようにすればよい。すなわち、アクリル系単量体に有機化層状粘土鉱物および重合開始剤を有機溶媒とともに混合し、これに外的作用を付加して、有機化層状粘土鉱物の層間にアクリル系単量体、重合開始剤および有機溶媒の一部を挿入し、この混合物を適宜のセパレータ上に塗布したのち、脱溶媒し、重合反応させることにより、シート化することができる。
【0054】
ガラス割れ防止用透明積層体1において、反射防止フィルム12は、割れ防止層11の一面側11aに設けられ、透明積層体1をプラズマ表示板21の視覚側に直接装着したとき、外光の反射防止、写り込み防止または低反射写り込み防止の機能を果たして、プラズマ表示装置の画像表示の劣化を防ぐものである。
このような効果を発揮させる反射防止フィルム12は、割れ防止層11が粘着性材料から構成されているときは、その粘着性を利用して貼り合わせることができ、割れ防止層11が粘着性材料から構成されていないときは、別の粘着剤を用いて貼り合わせればよい。
【0055】
このような効果を発揮させる反射防止フィルム12は、厚さが0.01〜0.5mm、好ましくは0.05〜0.3mmの範囲にあるのがよい。通常は、透明性が良好でかつ機械的強度にすぐれる、ポリエステルフィルム、ポリアセチルセルロースフィルム、ポリアクリルフィルム、ポリカーボネートフィルム、エポキシ系フィルム、ポリウレタンフィルムなどのプラスチックフィルムを透明基材とし、これに可視光反射率が5%以下、好ましくは3%以下となる反射防止処理を施したもの、上記同様の透明基材にヘイズ値が50%以下となるアンチグレア(写り込み防止)処理を施したもの、上記同様の透明基材に低反射処理したアンチグレア(写り込み防止)処理を施したものが用いられる。
上記の各処理の方法には限定はなく、公知の方法を用いて行えばよい。また、上記の各処理を施した市販のフィルムを用いてもよい。さらに、帯電防止処理、防汚染処理、紫外線吸収処理などの適宜の処理を施したものを使用してもよい。また、図2に示すように、反射防止フィルム12の反射防止処理面の保護やプラズマ表示板21への装着作業などのため、上記フィルム12上に保護フィルム16を貼り合わせてもよい。図2において、保護フィルム16以外の構成要素は、図1と同じであり、図1と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0056】
ガラス割れ防止用透明積層体1において、電磁波シールドフィルム13は、割れ防止層11の他面側11bに設けられ、透明積層体1をプラズマ表示板21の視覚側に直接装着したときに、プラズマ表示装置から発生する電磁波をシールド(遮蔽)する機能を果たすものである。またとくに、このフィルム13を割れ防止層11の内側、つまりプラズマ表示板21と割れ防止層11との間に配置する構成とすることにより、プラズマ表示板21に子供がおもちゃをぶつけるなどの外部衝撃を与えても、外側の割れ防止層11に基づく衝撃緩和能により、電磁波シールド層13Bである金属メッシュや透明導電多層膜の破壊(破損)が防がれ、本来の電磁波シールド機能を良好に維持させることができる。
【0057】
電磁波シールドフィルム13に基づく電磁波シールド効果は、たとえば、42インチのプラズマディスプレイ単体からの放射電界強度が40〜50dBμV/mである場合、10dB以上、好ましくは20dB以上のシールド効果が必要である。つまり、30〜1,000MHz、とくに30〜230MHzにおいて、VCCI規制値(10m法)では、クラスAで40dBμV/m以下であり、マージン6〜7dBを考えると、プラズマディスプレイ単体からの放射電界強度が40〜50dBμV/mに対し、シールド効果が10dB以上、好ましくは20dB以上である。相対値として、シールド効果10dB以上に必要な表面抵抗値は10Ω/cm2 以下であり、好ましくは5Ω/cm2 以下である。
【0058】
このような電磁波シールドフィルム13は、図示のように、透明基材13A上に、電磁波シールド層13Bとして、繊維に無電解メッキした金属メッシュ、パターニングした金属メッシュ、導電性微粒子をパターニング印刷した金属メッシュ、金属薄膜と透明薄膜との透明導電多層膜などを、設けたものなどが用いられる。上記の透明基材13Aとしては、可視光線透過率が70%以上の透明性を有し、機械的強度にすぐれ、耐熱性の良好であるプラスチック、たとえば、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、トリアセチルセルロース、アートン樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリスルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリエーテルスルフォンなどのフィルムが用いられる。
【0059】
なお、電磁波シールドフィルム13は、プラズマディスプレイ本体とのアース接続が必要であり、金属ペースト法、導電性テープなど、上記本体とのアース接続ができればとくに限定はない。図1では、ガラス割れ防止用透明積層体1の最表面の周縁部にアース15が設けられているが、このアース15を介し上記本体と上記フィルム13とのアース接続が行えるようになっている。
【0060】
ガラス割れ防止用透明積層体1において、粘着剤層14は、割れ防止層11の他面側11bに設けられる上記の電磁波シールドフィルム13の上、つまりは、電磁波シールド層13Bを支持する透明基材13Aの上に設けられ、この粘着剤層14により上記他面側11bの最表面が粘着面とされ、この粘着面を介して、透明積層体1をプラズマ表示板21の視覚側に直接貼り付けできる、つまり直接装着できるようになっている。
【0061】
粘着剤層14において、粘着性の程度は、90°剥離粘着力として、0.5N/25mm幅以上、好ましくは1N/25mm幅以上であるのがよい。また、リサイクルのため、貼り付け後、容易に再剥離できる再剥離性を有しているのが望ましい。再剥離性の程度は、80℃に40日放置後の90°剥離粘着力として、10N/25mm幅以下、好ましくは8N/25mm幅以下であるのがよい。このような粘着性(再剥離性)を有する限り、粘着剤の種類にはとくに限定はなく、アクリル系、ゴム系などの公知のものを種々使用できる。また、この粘着剤を透明基材13A上に塗布して設けてもよいし、あらかじめ粘着フィルムを作製しておき、これを透明基材13A上に貼り合わせるようにしてもよい。
【0062】
このように構成されるガラス割れ防止用透明積層体1は、さらに必要により、公知の色素による選択吸収、金属薄膜と透明薄膜との透明導電多層膜、Cuに配位した燐酸系アクリル樹脂などを使用して、プラズマ表示装置から発生する近赤外線(800〜1,200nm)の透過率が15%以下となるように、近赤外線をシールドする機能を付加するようにしてもよい。
また、他の機能として、プラズマ表示装置の色再現性を向上させるため、染料や顔料などの色素材料を用いて、プラズマ表示装置からのNe発光を選択的に吸収し、かつ透明積層体1の透過色がニュートラルグレイまたはニュートラルブルーになるように、色調整ないし色補正する機能を付加してもよい。
【0063】
このような機能は、透明積層体1の反射防止フィルム12や電磁波シールドフィルム13(を構成する透明基材)に付加できるほか、反射防止フィルム12の内側、つまり上記フィルム12とプラズマ表示板21との間のいずれかの層に付加することができる。たとえば、他面側11bの最表面となる粘着剤層14に上記機能を付加したり、上記フィルム12,13などを貼り合わせるための粘着剤中に上記機能を付加してもよい。また、電磁波シールドフィルム13に近赤外線をシールドする機能を兼備させてもよい。
さらに、図3に示すように、これらの機能を有する機能性フィルム17を別途作製しておき、この機能性フィルム17を、反射防止フィルム12とプラズマ表示板21との間の任意の位置に設けるようにしてもよい。図3において、上記の機能性フィルム17以外の構成要素については、図1,2と同じであり、図1,2と同一符号を付して、その説明を省略する。
【0064】
また、上記の図1〜3においては、割れ防止層11の他面側11bに透明基材13Aと電磁波シールド層13Bとからなる電磁波シールドフィルム13を設けた例を示しているが、図4〜6に示すように、電磁波シールド層13Bを割れ防止層11中に埋設するようにしてもよい。図4〜6では、図1〜3と同じ構成要素については、図1〜3と同一符号を付している。
図4は、割れ防止層11を前記したアクリル系の粘着性材料で構成して、この材料中に電磁波シールド層13Bとして繊維系の金属メッシュ単体やパターニングされた金属メッシュ単体などを埋設したものである。この例では、割れ防止層11の一面側11aに反射防止フィルム12と保護フィルム16とが設けられ、他面側11bはそれ自体が粘着面を構成しているため、この粘着面がプラズマ表示板21への貼り付けに利用される。
図5は、上記の図4に示すガラス割れ防止用透明積層体1において、さらに、反射防止フィルム12と割れ防止層11との間に機能性フィルム17A(近赤外線シールド機能を有するフィルム)および機能性フィルム17B(Ne発光の遮蔽機能・色調整機能を有するフィルム)を介在させたものである。ただし、この例では、保護フィルム16の設置は省いている。
図6は、割れ防止層11中に前記同様の電磁波シールド層13Bを埋設して、その一面側11aに反射防止フィルム12を設け、他面側11bに前記同様の機能性フィルム17Aおよび機能性フィルム17Bを介して粘着剤層14(再剥離性を有する粘着剤層)を設けた例を示しており、上記粘着剤層14により他面側11bの最表面が粘着面とされ、この粘着面がプラズマ表示板21への貼り付けに利用される。この場合、割れ防止層11は、アクリル系の粘着性材料で構成してもよいし、これ以外の前記した各種材料で構成してもよい。
【0065】
プラズマ表示装置2において、上記のように構成された各種態様のガラス割れ防止用透明積層体1が、割れ防止層11における反射防止フィルム12とは反対面側(他面側11b)の最表面の粘着面を利用して、2枚ガラスからなるプラズマ表示板21の視覚側に、直接貼り付けられて、装着される。
【0066】
このように、ガラス割れ防止用透明積層体1をプラズマ表示板21に装着すると、プラズマ表示板21に対して子供がおもちゃをぶつけるなどの外部衝撃を与えたときでも、この衝撃が割れ防止層11で吸収緩和され、これによりプラズマ表示板21の外部衝撃によるガラス割れが防がれる。また、割れ防止層11の内側に位置する(または割れ防止層11中に埋設される)電磁波シールド層13Bを構成する金属メッシュや透明導電多層膜の破壊(破損)が防がれて、その電磁波シールド機能を良好に維持させることができる。
【0067】
さらに、ガラス割れ防止用透明積層体1がプラズマ表示板21に対して直接装着されるため、従来のような空気層がなく、これに起因した二重映りの問題がなく、また上記透明積層体1が比較的薄手で軽量の反射防止フィルム12や電磁波シールドフィルム13などを積層した構成からなるため、装着作業が容易で、軽量化、薄型化および低コスト化に大きく貢献できる。
また、プラズマ表示板21に直接装着するガラス割れ防止用透明積層体1において、割れ防止層11の他面側11bの最表面を再剥離性を有する粘着面とした構成のものでは、プラズマ表示装置の廃棄にあたり、リサイクルのために再剥離が可能で、容易に取り外せるという効果も奏される。
【0068】
【実施例】
つぎに、本発明の実施例を記載して、より具体的に説明する。なお、以下、部とあるのは重量部を意味するものとする。
【0069】
実施例1
冷却管、窒素導入管、温度計、紫外線照射装置および撹拌装置を備えた反応容器に、アクリル酸2−エチルヘキシル100部、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1部を入れ、紫外線照射により重合処理して、重合率10重量%の重合体・単量体混合物からなる粘稠液体を得た。この粘稠液体に、トリメチロールプロパントリアクリレート(内部架橋剤)0.2部と2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン(光重合開始剤)0.1部とを配合して、光重合性組成物を調製した。
【0070】
この光重合性組成物を、厚さが50μmのポリエステル系セパレータに塗布し、窒素雰囲気下、紫外線ランプにて、2,000mj/cm2 の紫外線を照射して光重合させ、アクリル系の粘着性材料からなる厚さが1mmの割れ防止層を形成した。この割れ防止層の一面側に、厚さが0.1mmの反射防止フィルム(日本油脂社製の「リアルックA−1200」)を貼り合わせた。
また、この割れ防止層の他面側に、下記の方法により作製した電磁波シールドフィルムの金属メッシュ面を貼り合わせ、オートクレーブで脱法処理したのち、その透明基材上に厚さが25μmの再剥離性を有するアクリル系粘着剤フィルムを貼り合わせて、ガラス割れ防止用透明積層体を得た。
【0071】
<電磁波シールドフィルムの作製>
透明基材として、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この透明基材上に厚さが25μmのアクリル系粘着剤を設け、その上に電磁波シールド層として線径40μm、ピッチ140μm、開口率60%、表面抵抗値0.1Ω/□の繊維金属メッシュ(セーレン社製の「Su−4X−13540」)を載せ、接着一体化して、電磁波シールドフィルムとした。
【0072】
実施例2
電磁波シールドフィルムとして、下記の方法により作製したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス割れ防止用透明積層体を得た。
【0073】
<電磁波シールドフィルムの作製>
透明基材として、厚さが100μmのポリエチレンテレフタレートフィルムを使用し、この透明基材上に、電磁波シールド層として、DCマグネトロンスパッタ法により、高屈折率薄膜、銀系透明導電体膜、高屈折率誘電体膜の順序を繰り返して薄膜を形成する手法により、透明導電多層膜を形成した。
なお、高屈折率誘電体膜を形成するターゲット材料には、In2 3 −12.6重量%TiO2 を使用した。また、銀系透明導電体膜を形成するターゲット材料には、Ag−5重量%Auを使用した。
膜厚の測定は、厚膜に付けた膜の表面粗さ計(DEKTAK3)による製膜速度の検量線と透過型電子顕微鏡による精密測定により、行った。
このようにして、透明基材(100μm)/SiO2 (95μm)/ITO(32.5μm)/Ag(13μm)/ITO(65μm)/Ag(13μm)/ITO(65μm)/Ag(13μm)/ITO(32.5μm)からなる電磁波シールドフィルムを作製した。上記のITOはIn2 3 −TiO2 複合酸化物薄膜を、上記のAgはAg−Au合金を、それぞれ意味する。この電磁波シールドフィルムの表面抵抗値は、2.0Ω/□であった。
【0074】
実施例3
割れ防止層として、下記の方法により調製した有機化層状粘土鉱物を使用して下記の方法により作製したものを用いた以外は、実施例1と同様にして、ガラス割れ防止用透明積層体を得た。
【0075】
<有機化層状粘土鉱物の調製>
サポナイト系層状粘土鉱物(カチオン交換容量90meq/100g)20gを400gの蒸留水中に撹拌分散した。つぎの式(1);



で表されるポリオキシプロピレン基を有する4級アンモニウム塩(式中、R1 〜R3 はメチル基、nは25である)47.3g、水100g、エタノール100gを均一に混合し、これを上記層状粘土鉱物の分散液に加えて、30℃で1時間撹拌した。その後、分散液の温度を80℃に昇温し、析出した固体をろ別した。凍結乾燥により水分の乾燥を行い、ワックス状の有機化層状粘土鉱物を得た。
このようにして得た有機化層状粘土鉱物の層間距離は、X線散乱分析により、42Åであった。また、有機化層状粘土鉱物中の有機アンモニウムイオンの含有量は、熱重量分析の結果、60重量%であった。
【0076】
<割れ防止層の作製>
上記の有機化層状粘土鉱物33.6g、アクリル酸2−エチルヘキシル80g、光重合開始剤として1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン(チバガイギーコーポレーション製の「イルガキュア184」)0.2gおよび有機溶媒としてトルエン350gを、スリーワンモータで2時間混合して、分散液とした。この分散液に、超音波分散機(日本精機製)により、500wの照射強度で約3分間の処理を施し、外的作用を付加した。
X線散乱分析の結果、有機化層状粘土鉱物の42Åのピークは消失しており、100Åを超える低角側にブロードな広がりをみせるピークを観察した。これより、有機化層状粘土鉱物の層間にアクリル系単量体、光重合開始剤および有機溶媒の一部が挿入されていることを確認した。
【0077】
このように外的作用を付加した透明分散液に、上記単量体100部あたり、交叉結合剤として2官能アクリレート(新中村化学工業社製の「A−1000」)4部を加え、均一に溶解した。これを、セパレータとして厚さが50μmのシリコーン離型処理したポリエチレンテレフタレートフィルム(中心線平均粗さRaが0.06μm、最大高さRmaxが0.3μm)上に塗布し、乾燥機中で有機溶媒を蒸発させる脱溶媒処理を施した。その後、上記塗布面を上記同様のセパレータでコートし、光強度5mw/cm2 の高圧水銀ランプにより、1,000mj/cm2 の紫外線を照射して、光重合させた。
【0078】
このようにして、セパレータ上に、アクリル系樹脂とこれに分散された有機化層状粘土鉱物とを含有し、かつ上記粘土鉱物の層間に上記樹脂の一部が挿入されて層間分離を起こした透明な複合材料からなる、厚さが1mmの割れ防止層を作製した。X線散乱分析により、光重合前の分散液で観察した低角側のブロードなピークは一段と減少し、有機化層状粘土鉱物の層間分離がさらに進行しており、層間の距離が100Åを大きく超えていることを確認した。
【0079】
比較例1
厚さが0.1mmの反射防止フィルム(実施例1と同じもの)を使用し、その反射防止処理面とは反対側の面に、厚さが25μmのアクリル系粘着剤層を介して電磁波シールドフィルム(実施例1と同じもの)の金属メッシュ面を貼り合わせたのち、この電磁波シールドフィルムの透明基材上に厚さが25μmの再剥離性を有する粘着剤フィルム(実施例1と同じもの)を貼り合わせて、ガラス割れ防止用透明積層体を作製した。
【0080】
比較例2
厚さが0.1mmの反射防止フィルム(実施例1と同じもの)を使用し、その反射防止処理面とは反対側の面に、厚さが25μmのアクリル系粘着剤層を介して電磁波シールドフィルム(実施例1と同じもの)の金属メッシュ面を貼り合わせた。さらに、この電磁波シールドフィルムの透明基材上に、厚さが1mmの割れ防止層(実施例1と同じもの)を貼り合わせることにより、ガラス割れ防止用透明積層体を作製した。
【0081】
比較例3
厚さが0.1mmの反射防止フィルム(実施例1と同じもの)を使用し、その反射防止処理面とは反対側の面に、厚さが25μmのアクリル系粘着剤層を介して電磁波シールドフィルム(実施例2と同じもの)の透明導電多層膜面を貼り合わせた。さらに、この電磁波シールドフィルムの透明基材上に、厚さが1mmの割れ防止層(実施例1と同じもの)を貼り合わせることにより、ガラス割れ防止用透明積層体を作製した。
【0082】
上記の実施例1〜3および比較例1〜3の各ガラス割れ防止用透明積層体について、割れ防止層の20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′の測定および耐衝撃試験を、下記の方法で行った。結果は、表1に示されるとおりであった。
【0083】
<動的貯蔵剪断弾性率G′の測定>
割れ防止層について、粘弾性スペクトロメータ(レオメトリック・サイエンティフィック社製のARES装置)を用いて、周波数1ヘルツにて温度分散測定を行い、20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′を求めた。
【0084】
<耐衝撃性試験>
縦300mm、横300mm、厚さ10mmの金属板上に、厚さが1mmのシリコーンシートと厚さが2.8mmのプラズマディスプレイ用ガラス板(旭硝子社製の「PD200」)とをこの順に載せ、この上に、ガラス割れ防止用透明積層体を、反射防止フィルムの積層側とは反対面側を押し付けて、貼り合わせた。
このように貼り合わせたガラス割れ防止用透明積層体の上に、直径が50mm、重さが510gの鋼球を、20cmの高さから落下させて、上記プラズマディスプレイ用ガラス板が割れるかどうかを調べた。評価は、割れない場合を○、割れた場合を×、とした。なお、鋼球を落下させたときの衝撃エネルギーは、鋼球重さ(Kg)×高さ(m)×9.8(m/s2 )=0.51×0.2×9.81として求められ、約1.0Jであった。
また、この割れ試験後、金属メッシュまたは透明導電多層膜からなる電磁波シールド層に破壊(破損やクラック)が生じているかどうかを、目視で確認した。破壊がなく異常がみられない場合を○、破壊があり異常が認められる場合を×、と評価した。目視による外観評価で異常がわかる程度であれば、実際のプラズマディスプレイの表示画像への影響ならびにプラズマディスプレイが非点燈時でも蛍光灯など映り込んだ像が歪み、商品価値がなくことを意味している。
【0085】



【0086】
つぎに、上記の実施例1〜3および比較例1〜3の各ガラス割れ防止用透明積層体について、電磁波シールド効果を、下記の方法により、測定し、評価した。結果は、表2に示されるとおりであった。
【0087】
<電磁波シールド効果の測定>
ガラス割れ防止用透明積層体を20cm×20cmのサンプルサイズとし、一般的なKEC法による電界シールド効果を、耐衝撃性試験の前後で、10MHzから300MHzまでの領域で測定した。
【0088】



【0089】
上記の結果から明らかなように、本発明の実施例1〜3のガラス割れ防止用透明積層体によれば、割れ防止層の他面側の最表面の粘着面を利用してガラス板に容易に貼り付けでき、貼り付け後の再剥離も容易であり、割れ防止層を持たない比較例1のガラス割れ防止用透明積層体に比べ、ガラス割れ防止効果が大きく、かつ電磁波シールド層の破壊も防げ、電磁波シールド効果を良好に維持できるものであることがわかる。これに対し、電磁波シールドフィルムを割れ防止層の外側に設けるようにした比較例2,3のガラス割れ防止用透明積層体では、ガラス割れ防止効果は得られても、電磁波シールド層の破壊を防止することができず、これに伴い電磁波シールド効果が低下してくることがわかる。
【0090】
【発明の効果】
以上のように、本発明は、20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Pa以下である割れ防止層の一面側に反射防止フィルムを設け、他面側に電磁波シールド層を設けるかまたはこの電磁波シールド層を上記割れ防止層中に埋設し、さらに上記割れ防止層の他面側の最表面を粘着面とする構成としたことにより、上記の粘着面を利用してプラズマ表示板の視覚側に直接装着でき、これにより表示装置の耐衝撃性が向上して、プラズマ表示板のガラス割れ防止効果が大きく、かつ電磁波シールド層の破壊も防げて電磁波シールド効果をうまく維持でき、しかも直接装着のため、空気層による2重映りの問題がなく、また硬質で厚手のガラス板やアクリル板などの透明保護板を必要としないため、装着が容易で表示装置の軽量化、薄型化および低コスト化に貢献でき、さらに上記粘着面を再剥離性を有する構成とすることにより、リサイクルのために再剥離が可能で取り外しが容易なガラス割れ防止用透明積層体を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の一例を示す断面図である。
【図2】上記図1のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の変形例を示す模式断面図である。
【図3】上記図1のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の他の変形例を示す模式断面図である。
【図4】本発明のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の他の例を示す模式断面図である。
【図5】上記図4のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の変形例を示す模式断面図である。
【図6】上記図4のガラス割れ防止用透明積層体とこれを装着したプラズマ表示装置の他の変形例を示す模式断面図である。
【図7】従来のプラズマ表示装置の例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 ガラス割れ防止用透明積層体
11 割れ防止層
11a 一面側
11b 他面側
12 反射防止フィルム
13 電磁波シールドフィルム
13A 透明基材
13B 電磁波シールド層
14 粘着剤層(再剥離性を有する粘着剤層)
15 アース
16 保護フィルム
17(17A,17B) 機能性フィルム
2 プラズマ表示装置
21 プラズマ表示板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
20℃での動的貯蔵剪断弾性率G′が1×107 Pa以下である割れ防止層の一面側に反射防止フィルムを設け、かつ上記割れ防止層の他面側に電磁波シールド層を設けるかまたはこの電磁波シールド層を上記割れ防止層中に埋設し、さらに上記割れ防止層の他面側の最表面を粘着面としたことを特徴とするガラス割れ防止用透明積層体。
【請求項2】
割れ防止層の厚さが0.1〜5mmである請求項1に記載のガラス割れ防止用透明積層体。
【請求項3】
粘着面が再剥離性を有する請求項1または2に記載のガラス割れ防止用透明積層体。
【請求項4】
プラズマ表示板の視覚側に、請求項1〜3のいずれかに記載のガラス割れ防止用透明積層体を、その粘着面を介して直接装着したことを特徴とするプラズマ表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2004−58376(P2004−58376A)
【公開日】平成16年2月26日(2004.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−217998(P2002−217998)
【出願日】平成14年7月26日(2002.7.26)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】