説明

ガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム

【課題】光学的な機能を有する低極性フィルムに対しても粘着性等の性能が優れた粘着剤の提供すること。
【解決手段】次の成分(A)及び成分(B)、(A)少なくとも次の成分(a1)、(a2)及び(a3)を共重合してなる重量平均分子量が100万〜200万の範囲である高分子量ポリマー(a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル30〜90質量%(a2)芳香環含有モノマー9〜50質量%(a3)官能基含有モノマー0.5〜10質量%(B)架橋剤を含有する粘着剤を光学機能を有するノルボルネンフィルム系樹脂フィルムに塗工してなる、ガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、低極性フィルム用粘着剤に関するものであり、より詳細には、液晶ディスプレイなどに用いられる視野角拡大フィルムや位相差板フィルムなどの低極性フィルムに対しても密着性の良好な粘着剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイには、偏光板や位相差板などが積層されているが、近年、ディスプレイの大型化や高性能化の要求が高まり、積層されるフィルムの高機能化が進んでいる。例えば、偏光板に使用されているPVC層保護フィルムにおいては、トリアセチルセルロースフィルムからノルボルネン樹脂フィルムに代わる動きがあり、位相差板フィルムおいても、ポリカーボネートの低極性変性フィルムやノルボルネン樹脂フィルムへの置き換えが進んでいる。
【0003】
しかし、これらのフィルムは、極性が低いものが多く、従来用いられてきた粘着剤では、フィルム表面への密着性が悪く、耐久性に問題が生じることがあった。
【0004】
一方、従来からアクリル系の粘着剤として、脂環式モノマーを共重合させたポリマーを用いることが知られている(特許文献1及び特許文献2)。しかしながら、これらの粘着剤は、再剥離性(一旦接着されたフィルムを再度剥がし易い性能)の向上を目的として、経時での粘着力の上昇を抑制するために開発されたものであるため、経時で発泡やハガレが生じやすく、耐久性が十分でないという問題点があった。また、かかる粘着剤は、経時で粘着力が不充分になるため、高温化や高湿下において、特にハガレが生じる場合があるという問題点があった。
【0005】
また、光学フィルム用粘着剤として、芳香族含有モノマーを共重合させたポリマーを用いることが知られている(特許文献3及び特許文献4)。しかしながら、これらの粘着剤は、偏光板や位相差板などの光学部材と粘着剤との間及び粘着剤と被着体との間の界面反射を抑制するために、粘着剤の屈折率を調整することを目的とするものであった。また、貼り付け直後から強い接着性を示すように設計されているため、貼り付けミスをしても張り直しができる性能(リワーク性)に劣るという問題点があった。すなわち、これらの粘着剤では、極性の低い光学フィルム表面に対しての密着性やリワーク性を改良することには全く認識がなく、実際これらの粘着剤は、低極性フィルム用粘着剤としては、密着性、リワーク性に問題があるものであった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平8−143842号公報
【特許文献2】特開2001−279208号公報
【特許文献3】特開2002−173656号公報
【特許文献4】特開2003− 13029号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従って、本発明は、光学的な機能を有する低極性フィルムに対しても粘着性等の性能が優れた粘着剤の提供をその課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、上記実状において鋭意検討を重ねた結果、脂環式モノマー又は芳香族含有モノマーを共重合成分とする重量平均分子量100万〜200万の高分子量ポリマーと架橋剤を粘着剤に含有させることにより、上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成した。
【0009】
すなわち本発明は、次の成分(A)及び成分(B)
(A)少なくとも次の成分(a1)、(a2)及び(a3)を共重合してなる重量平均分子量が100万〜200万の範囲である高分子量ポリマー
(a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル 30〜90質量%
(a2)脂環式モノマー又は芳香環含有モノマー 9〜50質量%
(a3)官能基含有モノマー 0.5〜10質量%
(B)架橋剤
を含有する低極性フィルム用粘着剤を提供するものである。
【0010】
また本発明は、光学的機能を有する低極性フィルムに、上記低極性フィルム用粘着剤を塗工してなる光学機能性粘着フィルムを提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の粘着剤は、低極性フィルムに対して使用した場合でも、密着性やリワーク性が優れたものである。
【0012】
従って、この粘着剤を使用することにより、視野角拡大フィルム、位相差板フィルム、偏光板等の光学的機能を有する低極性フィルムに適度な粘着性を付与することができ、使用しやすい光学機能性粘着フィルムを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本明細書において、低極性フィルム用粘着剤とは、低極性フィルム、例えば、視野角拡大フィルム、位相差フィルム、偏光板等のノルボルネン系樹脂やポリカーボネート系樹脂で形成されたフィルムに使用した場合でも良好な密着性を示す粘着剤を意味する。
【0014】
本発明の低極性フィルム用粘着剤(以下、「本発明粘着剤」という)は、高分子量ポリマー(成分(A))と架橋剤(成分(B))を含有するものである。
【0015】
このうち、成分(A)を構成する共重合成分の一つである(メタ)アクリル酸アルキルエステル(成分(a1))は、鎖状のアルキル基を有し、脂肪族環も芳香環もその構造中に有さない(メタ)アクリル酸アルキルエステルである。
【0016】
この(メタ)アクリル酸アルキルエステルの好ましい例としては、炭素数1〜12の分岐していてもよいアルキル基を有するものが挙げられ、具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0017】
また、成分(A)の別の必須共重合成分である脂環式モノマー又は芳香環含有モノマー(成分(a2))は、その構造中に環状アルキル基又は芳香族基を含む共重合可能な化合物である。
【0018】
具体的な、脂環式モノマーの例としては、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシ(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンタン(メタ)アクリレート等が挙げられる。特に好ましくは、シクロヘキシルアクリレート又はシクロヘキシルメタクリレート等が挙げられる。また、具体的な、芳香環含有モノマーの例としては、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性ノニルフェノール(メタ)アクリレート、スチレン、ビニルトルエン、α-メチルスチレン等が挙げられる。
【0019】
更に、成分(A)の他の別の必須共重合成分である官能基含有モノマー(成分(a3))は、後記する架橋剤(成分(B))と反応する官能基をその分子構造中に含み、共重合可能な化合物である。
【0020】
成分(a3)に含まれる官能基のうち、好ましいものとしては、水酸基、カルボキシル基、アミド基又はN置換アミド基等が挙げられる。これらの基を含む具体的な成分(a3)の例としては、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等の水酸基含有モノマー、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸等のカルボキシル基含有モノマー、(メタ)アクリルアミド等のアミド基含有モノマー、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メトキシエチル(メタ)アクリルアミド等のN置換アミド基含有モノマーが挙げられる。
【0021】
上記成分(A)は、上記成分(a1)、成分(a2)及び成分(a3)を共重合させることにより製造される。この共重合に当たっての重合方法は、特に限定はされないが、ポリマー設計の容易さの点でラジカル重合が好ましく、汚染性などを考慮すると溶液重合が特に好ましい。
【0022】
この共重合においては、成分(a1)は、成分(A)に対して30〜90質量%(以下、単に「%」で示す)の範囲、好ましくは、50〜85%の範囲で、成分(a2)は、9〜50%の範囲、好ましくは、9〜30%の範囲で、成分(a3)は、0.5〜10%の範囲、好ましくは、1〜5%の範囲で使用される。また、成分(a1)と成分(a2)の合計量が、成分(A)に対して80%以上であることが基材への密着性や耐久性の面で好ましく、特に好ましくは、90%以上である。
【0023】
なお、成分(A)の製造に当たっては、上記必須共重合成分以外に、他の共重合性モノマーを共重合してもよい。他の共重合性モノマーとしては、例えば酢酸ビニル等の脂肪族カルボン酸ビニル化合物等が挙げられる。これらは、成分(A)に対して、0〜10%の範囲で共重合される。
【0024】
上記のように重合して得られる成分(A)の分子量は、重量平均分子量として、100万〜200万の範囲であることが必須である。分子量が100万未満の場合は、高温時に発泡する場合があり、200万より大きい場合は、高温又は高湿熱時にハガレが発生する場合がある。より好ましい重量平均分子量としては、120万〜160万である。
【0025】
一方、本発明粘着剤の別の必須成分である架橋剤(成分(B))は、成分(A)の有する官能基と反応又は相互作用し得る化合物である。この成分(B)としては、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤がリワーク性に優れ、また粘着シートにアワ、ハガレが発生しにくいため、好ましく使用される。
【0026】
上記成分(B)のうちイソシアネート系架橋剤は、その分子中に2以上のイソシアネート基を有する化合物であり、具体的には、トリレンジイソシアネート、クロルフェニレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、水添されたジフェニルメタンジイソシアネートなどのイソシアネートモノマーや、それらをトリメチロールプロパンなどの2価以上のアルコール化合物等に付加反応させたイソシアネート化合物ないしイソシアヌレート化物、ビュレット型化合物等が例示される。また、公知のポリエーテルポリオールやポリエステルポリオール、アクリルポリオール、ポリブタジエンポリオール、ポリイソプレンポリオールなどにイソシアネート化合物を付加反応させたウレタンプレポリマー型のイソシアネート等も挙げられる。
【0027】
また、エポキシ系架橋剤は、その分子中に2以上のエポキシ基を有する化合物であり、具体的には、ビスフェノールAエピクロルヒドリン型のエポキシ系樹脂、エチレングリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ジグリシジルアニリン、ジアミングリシジルアミン、N,N,N',N'−テトラグリシジル−m−キシリレンジアミン、1,3−ビス(N,N'−ジアミングリシジルアミノメチル)シクロヘキサン等が挙げられる。
【0028】
本発明粘着剤の調製は、上記成分(A)と成分(B)を常法に従って混合することにより行われる。本発明粘着剤中の成分(A)の量は特に限定されず、他の配合成分のバランス量とすれば良いが、好ましい含有量は粘着剤全体に対して50%以上、特に好ましくは70%以上である。
【0029】
また、本発明粘着剤中の架橋剤(B)の含有量は、特に制約されるものではないが、成分(A)100重量部に対して、0.01〜5重量部の範囲で含有させることが好ましい。さらに、成分(B)としてイソシアネート系架橋剤を使用する場合は、0.05〜1重量部の範囲とすることが特に好ましく、エポキシ系架橋剤を使用する場合は、0.02〜0.2重量部の範囲とすることが特に好ましい。この架橋剤(B)の含有量が少なすぎると、高温時の耐久性が悪化し、アワ、ハガレが発生する場合があり、多すぎても耐久性が悪化する場合がある。
【0030】
本発明粘着剤には、上記必須含有成分に加え、更に成分(C)としてシランカップリング剤を含有させることが、高湿熱時のハガレ防止の点で好ましい。
【0031】
成分(C)としては公知のものが使用できるが、エポキシ基、イソシアネート基、メルカプト基、アミノ基、カルボキシル基、アルコキシ基を有するものが特に好ましい。
【0032】
成分(C)を使用する場合は、成分(A)100重量部に対して、0.05〜0.5重量部の範囲とすることが好ましい。これらシランカップリング剤は、その含有量が少なすぎると、ハガレ防止の効果を発揮できず、多すぎるとブリードしてハガレやアワが発生する場合がある。
【0033】
本発明粘着剤には、上記必須含有成分に加え、更に成分(D)として低分子量(メタ)アクリル系ポリマーを含有させることが好ましい。
【0034】
この成分(D)を構成する共重合成分としては、特に限定されないが、成分(A)の共重合成分として例示した、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(a1)や、脂環式モノマー又は芳香環含有モノマー(a2)を利用することができる。この際、使用する共重合成分として、成分(A)で使用する共重合成分(a1)や(a2)と同じ共重合成分を共重合させると、高分子量ポリマー(成分(A))との相溶性が増すので特に好ましく、特に(a1)及び(a2)の両者とも一致させ、更にこれらの共重合比も、成分(A)のそれとほぼ同じにすることが相溶性の点で好ましい。
【0035】
上記成分(D)の重量平均分子量は、1000〜30000の範囲であり、好ましくは、1000〜20000、特に好ましくは、3000〜10000である。1000未満だと、耐久性が低下する場合があり、30000より大きいと相溶性が悪くなる場合がある。
【0036】
上記のように、成分(D)は、原料であるモノマーが、成分(A)のものとほぼ同一のものであり、分子量が小さいものであり、その製造に当たっては、溶液重合することが特に望ましい。
【0037】
上記のようにして得られる成分(D)の配合量は、成分(A)100重量部に対して、5〜100重量部の範囲であり、好ましくは、10〜50重量部である。
【0038】
以上のようにして製造される本発明粘着剤を、例えば、偏光板に積層される視野角拡大フィルムや、位相差板フィルム等の光学的機能を有する低極性光学フィルムに塗工し、光学機能性粘着フィルムとするには、常法に従って本発明粘着剤を酢酸エチル、トルエン、メチルエチルケトン等の有機溶剤に溶解し、これを低極性フィルム上に塗布、乾燥させて架橋反応を起こさせ、反対側の粘着面上に剥離フィルムないし剥離紙を貼り合わせればよい。
【作用】
【0039】
本発明の必須成分である高分子量ポリマー(成分(A))は、重量平均分子量100万〜200万と大きな分子量を有しているため、これを含有させて得られた粘着剤は、耐久性に優れている。
【0040】
また、成分(A)中に、脂環式モノマー又は芳香環含有モノマーが共重合されることにより、低極性フィルムに対する密着性及び耐久性が向上する。この理由は明らかではないが、これらモノマーが低極性の環を有するため、高分子量ポリマー自体の極性が低くなり、同様に極性の低い光学フィルムへの密着性が上昇したものと考えられる。
【0041】
さらに、本発明粘着剤は貼り付け直後の粘着力が低く、基材への密着力が良いためリワーク性に優れている。さらに、低極性フィルムに適用した場合、特にその特性が生かされる。
【実施例】
【0042】
次に実施例等を挙げて本発明を更に説明するが、本発明はこれらにより何ら制約されるものではない。
【0043】
製 造 例 1〜7、9〜15、17〜21
撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、それぞれ表1に示す重量部(以下、実施例又は表で、「部」と略記することがある)の共重合性モノマーと酢酸エチル及び/又はトルエンを仕込み、アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を加えた。次いで、窒素ガス気流中、68℃にて8時間重合を行うことにより、高分子量ポリマー(成分(A))を得た。
【0044】
製 造 例 8、16
撹拌機、還流冷却器、温度計及び窒素導入管を備えた反応装置に、それぞれ表1に示す重量部の共重合性モノマーとトルエンを仕込み、過酸化ベンゾイル3部とα−スチレンダイマー5部を加えた。次いで、窒素ガス気流中、110℃にて6時間重合を行うことにより、低分子量(メタ)アクリル系ポリマー(成分(D)を得た。
【0045】
なお、各ポリマーの分子量は、反応溶媒の使用量を、100〜220部の範囲で調節することによって変化させた。得られたポリマーの重量平均分子量を表1に併記する。
【0046】
【表1】

表1中の略号は、以下の通りである。
BA :ブチルアクリレート
2EHA:2−エチルヘキシルアクリレート
CHA :シクロヘキシルアクリレート
IBXA:イソボルニルアクリレート
PHEA:フェノキシエチルアクリレート
BzA :ベンジルアクリレート
2HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
AA :アクリル酸
3HPA:3−ヒドロキシプロピルアクリレート
【0047】
実 施 例 1〜13 及び 比 較 例 1〜12
製造例1〜7、製造例9〜15又は製造例17〜21で製造した高分子量ポリマーと、製造例8又は製造例16で製造した低分子量(メタ)アクリレート系ポリマーとを使用し、これらを酢酸エチルに表2に記載した組成と量でそれぞれ混合溶解した。次いで、表2に記載した架橋剤及び/又はシランカップリング剤、をそれぞれ加えて混合し、粘着剤溶液を得た。得られた粘着剤溶液を、厚さ100μmのノルボルネン樹脂フィルム上に、乾燥後の厚みが25μmになるように塗布し、80℃で溶媒を除去し乾燥するとともに架橋反応させた。乾燥面に厚み38μmのシリコーンコートされたポリエチレンテレフタレートフィルム(PETフィルム)を貼り合わせて、23℃、65%RHで7日放置し粘着シートを得た。
【0048】
【表2】

表2中、成分(B)及び成分(C)の名称は以下の通り。
コロネートL :日本ポリウレタン工業社製イソシアネート系架橋剤
テトラッドX :三菱瓦斯化学社製エポキシ系架橋剤
KBE−9007:信越ポリマー社製イソシアネート型シランカップリング剤
KBE−402 :信越ポリマー社製エポキシ型シランカップリング剤
【0049】
試 験 例 1
上記実施例及び比較例で得られた粘着シートについて、その耐久性及び粘着力・リワーク性を以下の評価方法で評価した。この結果を表3にまとめて示す。
【0050】
( 耐 久 性 )
上記粘着シートをそれぞれ60mm×120mmに裁断し、PETフィルムを剥離後、ガラス基板上に貼り付け、85℃、ドライで500時間及び60℃、95%RHで500時間放置し、粘着シートに発生するアワ、ハガレの状態を目視で観察し耐久性を評価した。また、観察した後、粘着シート表面を手でこすり密着性を確認した。
【0051】
<アワ>
○:粘着シートに発泡が確認されなかった
△:粘着シートにわずかに発泡が確認された
×:粘着シートに発泡が確認された
<ハガレ>
○:粘着シートに剥がれが起こらなかった
△:粘着シートに剥がれがわずかに起こった
×:粘着シートに剥がれが起こった
<密着性>
○:強くこすっても剥がれなかった
△:強くこすると剥がれた
×:軽くこすると剥がれた
【0052】
(粘着力・リワーク性)
<初期接着力>
上記粘着シートをそれぞれ25mm×120mmに裁断し、JIS−Z−0237及びJIS−Z−0238に準じて接着力を測定した。被着体としては、ガラス板を使用した。
【0053】
<経時接着力>
上記粘着シートをそれぞれ25mm×150mmに裁断し、70℃で6時間放置した後、23℃まで放冷し、JIS−Z−0237及びJIS−Z−0238に準じて接着力を測定した。被着体としては、ガラス板を使用した。
【0054】
【表3】

*:粘着シートをガラス基板から剥離した後に、ガラス基板上に粘着剤の残りが確認された。
【0055】
表3に示した評価結果から明らかなように、本発明の粘着剤を用いた粘着シートには、アワ、ハガレが発生せず、耐久性及び密着性に優れていた。また、経時粘着力が低下することがなく、リワーク性に優れた粘着剤であることも示された。一方、比較例の粘着シートは、密着性、耐久力、リワーク性に劣っており、ガラス基板上に粘着剤の残りが見られるものもあった。
以 上


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び成分(B)
(A)少なくとも次の成分(a1)、(a2)及び(a3)を共重合してなる重量平均分子量が100万〜200万の範囲である高分子量ポリマー
(a1)(メタ)アクリル酸アルキルエステル 30〜90質量%
(a2)芳香環含有モノマー 9〜50質量%
(a3)官能基含有モノマー 0.5〜10質量%
(B)架橋剤
を含有する粘着剤を光学機能を有するノルボルネンフィルム系樹脂フィルムに塗工してなる、ガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。
【請求項2】
成分(B)が、イソシアネート系架橋剤又はエポキシ系架橋剤である請求項1記載のガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。
【請求項3】
さらに、成分(C)としてシランカップリング剤を含有する請求項1又は請求項2記載のガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。
【請求項4】
さらに、成分(D)として成分(A)で使用する共重合成分(a1)及び/又は(a2)と同じ共重合成分を共重合し、かつ重量平均分子量が1000〜30000の範囲である低分子量(メタ)アクリル系ポリマー10〜100重量部を含有する請求項1ないし請求項3のいずれかの請求項記載のガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。
【請求項5】
ノルボルネンフィルム系樹脂フィルムが、視野角拡大フィルム、位相差板フィルム又は偏光板としての機能を有する請求項1ないし請求項4のいずれかの請求項記載のガラス基板貼り付け用光学機能粘着フィルム。

【公開番号】特開2010−100857(P2010−100857A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−282479(P2009−282479)
【出願日】平成21年12月14日(2009.12.14)
【分割の表示】特願2003−206345(P2003−206345)の分割
【原出願日】平成15年8月6日(2003.8.6)
【出願人】(000202350)綜研化学株式会社 (135)
【Fターム(参考)】