ガラス板用パレット
【課題】ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレットを提供する。
【解決手段】側部支持手段6は、フレーム部材48と側方当接部材49とを備え、フレーム部材48は、一対のアーム部51と連結部とを有し、連結部の両端に一対のアーム部51の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対のアーム部51の一端側に回動部が設けられ、回動部を介してフレーム部材48がベース部2に軸支されて回動可能とされ、側方当接部材49は、側端縁との当接面を有することを特徴とするガラス板用パレット1。
【解決手段】側部支持手段6は、フレーム部材48と側方当接部材49とを備え、フレーム部材48は、一対のアーム部51と連結部とを有し、連結部の両端に一対のアーム部51の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対のアーム部51の一端側に回動部が設けられ、回動部を介してフレーム部材48がベース部2に軸支されて回動可能とされ、側方当接部材49は、側端縁との当接面を有することを特徴とするガラス板用パレット1。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板用パレットの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造されたガラス板等を輸送する際には、複数枚のガラス板をガラス用パレットに収容して梱包し、ガラス板用パレットごと輸送用車両等に搭載して目的地に搬送している。
【0003】
このようなガラス板用パレットには、サイズ(幅、高さ、厚さ)、枚数の異なるガラス板を破損することなく輸送することが要求されている。また、ガラス板用パレットは、目的地に到着し、梱包が解かれガラス板が降ろされると、空のパレットはできるだけコンパクトに積み重ねて効率的に輸送車両等に荷積みして搬送できることが望まれている。
【0004】
ところで、ガラス板用パレットに係る先行技術として、例えば下記特許文献1〜3に記載された技術が知られている。
このうち、特許文献1には、支持レバーと一体化した中空パイプの中にベルトを通して板状物品の側部を無段階に支持する側方当接部を備えると共に、折り畳み可能な板状物品用のポストパレットが開示されている。
一方、特許文献2には、板ガラス群の側部と当接してロック・アンロック可能とされた左右押さえを備えたガラス輸送用コンテナが開示されている。
一方、特許文献3には、角度調節機構を有するサイドストッパーを備えると共に、折り畳み可能なガラス板梱包用パレットが開示されている。
【特許文献1】特許第3320604号公報
【特許文献2】特開平5−16943号公報
【特許文献3】特開2002−37373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ガラス板に当接する側方当接部が断面視円形の中空パイプによって構成されており、この中空パイプとガラス板の側部とが常に線当りとなるため輸送・搬送時にガラス板が破損するという問題があった。
また、特許文献2では、左右押さえが回動自在の当接面を有しており板ガラス群の側部を面当り可能に構成されているが、押さえフレーム全体の剛性が不足しているために厚さが薄い板ガラス群の側部を保持する際に押さえフレームが歪んで当接面がガラス群の側部と平行を維持することができない。このため、当接面がガラス群の側部に斜めに当接してしまい、当該板ガラス群の側部を強固に支持できないという問題があった。
さらに、特許文献3では、サイドストッパーが折り畳み可能に構成されているが、ガラス板の側部を無段階に支持する構成は開示されておらず、ガラス板のサイズによっては側部の支持が不十分となり輸送・搬送時にガラス板が割れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のガラス板用パレットは、ベース部上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台と、前記ガラス板の一方の面を保持する保持手段と、前記ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段とを備え、前記ベース部上に前記ガラス板が縦置きに載置されるガラス板用パレットであって、前記側部支持手段は、前記ベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、前記フレーム部材に回動自在に設けられて前記側端縁に対して接近離反移動自在な側方当接部材とを備え、前記フレーム部材は、一対のアーム部と連結部とを有し、前記連結部の両端に一対の前記アーム部の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対の前記アーム部の他端がそれぞれ前記側方当接部材を回動自在に軸支すると共に、一対の前記アーム部の前記一端側に回動部が設けられ、前記回動部を介して前記フレーム部材が前記ベース部に軸支されて回動可能とされ、前記側方当接部材は、前記側端縁との当接面を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のガラス板用パレットは、側部支持手段がベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、このフレーム部材に回動自在に設けられると共に当接面を有する側方当接部材とから構成されている。このため、ベース部に載置されたガラス板のサイズに応じてフレーム部材が回動すると共に側方当接部材が回動してガラス板の側端縁に当接面を当接させることができる。これにより、ガラス板の側部を確実に面支持することができるため、ガラス板を損傷することなく固定することができる。また、本発明のガラス板用パレットは、フレーム部材が一対のアーム部と連結部とが結合して一体化されると共に、アーム部の一端側に回動部が設けられ、この回動部を介してフレーム部材がベース部に軸支される構成とされている。このため、一対のアーム部の他端で側方当接部材を回動自在に軸支しても、フレーム部材の剛性が十分に確保される。これにより、側方当接部材のいずれの位置でガラス板の側部を支持してもフレーム部材が歪むことがなく、当接面がガラス板の側端縁と平行な状態で当接されるため当該ガラス板の側部を強固に支持することができる。
【0009】
また、前記側部支持手段は、前記側方当接部材の側方位置を無段階で調節して固定し、当該側方当接部材を前記側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段を備え、前記側方当接部材固定手段は、前記側方当接部材の前記当接面と反対側の面に係止されると共に両端が前記ベース部に着脱自在に掛止されるベルト体を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のガラス板用パレットでは、側方当接部材固定手段は、ベルト体から構成されている。このベルト体を側方当接部材の当接面と反対側の面に係止して引っ張り、ベース部に掛止することで側方当接部材の側方位置が無段階で調節されて、当接面をガラス板の側端縁に押圧することができる。これにより、側部支持手段によってガラス板の側部を強固に固定することができる。
【0011】
また、前記側部支持手段は、前記ベース部の四隅に立設すると共に折り畳み自在とされた支柱を折り畳む際に、一対の前記アーム部が前記ベース部と略平行になる位置に移動すると共に、前記側方当接部材は、前記当接面が前記ベース部に対して直交するように回動することを特徴とする。
【0012】
本発明のガラス板用パレットは、アーム部がベース部と略平行になる位置まで移動することができるため、側部支持手段が支柱の折り畳みを阻害することがない。また、側方当接部材の当接面がベース部に対して直交する方向となるように回動することができるため、側部支持手段をベース部の限られたスペースにコンパクトに収納することができる。これにより、パレット不使用時に小型化が阻害されることがない。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のガラス板用パレットによれば、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態を、図面を参照して説明する。尚、以下の説明において参照する図は本発明の一実施形態であるガラス板用パレットを説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のガラス板用パレットにおける各部の寸法関係とは異なる場合がある。
【0015】
先ず、本発明の一実施形態としてガラス板用パレットの構成について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す正面図であり、図2は側面図であり、図3は平面図である。また、図4は、保持手段を示す側面図である。さらに、図5は、受け台を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は断面模式図、図5(c)は背面図である。更にまた、図6は、保持手段及び側部支持手段を示す平面図であり、図7は保持手段及び側部支持手段を示す正面図である。また、図8は、フレーム部材を示す模式図であり、図8(a)は正面図であり、図8(b)は側面図である。さらに、図9は、側方当接部材を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。更にまた、図10は、ガラス板用パレットにガラス板を縦置きに載置した状態を示す斜視図である。また、図11は、パレット返却時におけるガラス板用パレットを折り畳んで重ねた状態を示す正面図である。
【0016】
図1,図2,図3に示すように、本実施形態のガラス板用パレット1は、ベース部2と、このベース部2の四隅に立設された支柱3と、ガラス板の一方の面を保持する保持手段4と、ベース部2上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台5と、ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段6とから概略構成されている。すなわち、ガラス板用パレット1は、ガラス板をベース部2上に縦置きに載置する場合に、ガラス板を一方の面側に若干傾斜させることにより、保持手段4によりガラス板の一方の面を保持すると共に受け台5によりガラス板の下端縁を支持し、側部支持手段6によってガラス板の側端縁をそれぞれ支持することによりガラス板を挟んで固定するものである(図10参照)。
【0017】
ガラス板用パレット1の積載対象となるガラス板は、特に限定されるものではなく、建築用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、太陽電池用ガラス、その他産業用ガラスを例示することができる。さらに、ガラス板としては、構成的には普通単板ガラス、強化ガラス、複層ガラス、合わせガラス、金属線入りガラスなど、材質的には無機ガラスのほか、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリメチルメタクリレート類等のいわゆる有機透明樹脂ガラスやこれらの単独または2種以上の重ねた積層体等が対象となる。
【0018】
<ベース部>
ベース部2は、図1〜図3に示すように、中空の断面矩形の角パイプからなる複数の上部フレーム7と、この上部フレーム7の下面側に固定されると共に接地面を形成する複数の下部フレーム8と、上部フレーム7と下部フレーム8との間に設けられた補強フレーム9とから構成されている。また、ベース部2には、図1及び図2に示すように、フォークリフトのフォーク爪を差し込む差込み口10が設けられている。これにより、コンテナやトラックなどへのガラス用パレット1の積み込み、積み降ろし作業の利便性を図っている。
【0019】
<支柱>
支柱3は、図1及び図2に示すように、ベース部2の四隅に立設されており、ガラス板の積み込み側の両側に位置する一対の前方側の支柱3fと、後述する保持手段4が取り付けられている背枠が設けられている一対の後方側の支柱3rとから構成されている。また、各支柱3は、ベース部2の四隅に取り付けられたポスト部材11と、折り畳み自在に取り付けられた伸縮部材12とを有している。
【0020】
ポスト部材11の下端には、ガラス板用パレット1を多段に積み重ねるための突起13が設けられている。この突起13は、図11に示すように、ガラス板の搬送後の空になったガラス板用パレット1を折り畳んで多段に積み重ねる際に、下段側のガラス板用パレットのポスト部材11の上端開口に嵌合される。これにより、折り畳んだガラス板用パレット1を多段に積み重ねる際の積み崩れを防止することができる。
【0021】
伸縮部材12は、図1及び図2に示すように、中空角パイプの内部に丸パイプが挿入されて伸縮自在に構成されている。そして、各伸縮部材12の上端部には、突起13が嵌合可能な嵌合孔が形成されたキャップ12aがそれぞれ取り付けられている。また、各伸縮部材12は、その下端部がポスト部材11の上端に形成される保持空間内に差し込まれてそれぞれ立設位置に保持されている。さらに、伸縮部材12の側面には、係合突起14が突出して形成されており、ポスト部材11の上端に形成されている係合溝15と係合されている。これにより、伸縮部材12は、立設位置でのブレが抑止されている。
【0022】
以上に説明した支柱3は、ガラス板をガラス板用パレットに積載する際には、各伸縮部材12の下端部を保持空間内に差し込み、係合突起14を係合溝15に係合させることで各伸縮部材12を立設位置に保持することができる。そして、各伸縮部材12を積載したガラス板よりも高い位置まで伸長して固定する。これにより、ガラス板を積載したガラス板用パレット1を搬送する際に、下段のガラス板用パレット1の各伸縮部材12の上端部に設けられたキャップ12aの嵌合孔に、上段のガラス板用パレット1の各ポスト部材11の下端に設けられた突起13が嵌合するため、荷崩れすることなく効率よくガラス板を搬送することができる。一方、ガラス板の搬送後にガラス板パレット1を返却する際には、先ず、各伸縮部材12を上方に持ち上げて係合突起14と係合溝15との係合を解除する。次に、各伸縮部材12をベース部2の内側に回動させてこれにより、支柱3は、伸縮部材12をベース部2の上に折り畳んで収納することができる。
【0023】
<保持手段>
保持手段4は、図1〜図3に示すように、一対の第1の面保持部材16と、この一対の第1の面保持部材16の間に設けられた第2の面保持部材17とから構成されている。また、保持手段4は、一対の後方側の支柱3rを相互に連結するために横方向にわたって取り付けられた3本の背枠フレーム18と、この3本の背枠フレーム18の中心部分を相互に連結して上下方向に延在した中空フレーム19と、この中空フレーム19と支柱3rとの間で3本の背枠フレーム18を相互に連結して上下方向に延在した一対の取り付けフレーム20とからなる背枠に設けられている。
【0024】
(第1の面保持部材)
第1の面保持部材16は、図1に示すように、取り付けフレーム20にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、第1の面保持部材16は、図4に示すように、連結部材21と当接部材22と引張コイルバネ23とを備えている。
【0025】
連結部材21は、図4に示すように、大きさの異なる断面視コ字状の支持板24,25を有し、これらが開口部分を互いに外側に向けると共に90°回転した状態で一体化されている。そして、一方の支持板24は、その開口部分の両先端部によって取り付けフレーム20を挟みこんだ状態でピン26によってこのフレーム20に取り付けられている。これにより、連結部材21は、取り付けフレーム20に対してピン26を中心に当該取り付けフレーム20の延在する方向(すなわち上下方向)に回動自在とされている。なお、支持板24には、その開口部分の上下に一対の補強板27が取り付けられている。これにより、支持板24のねじれ等を防ぐと共に、連結部材21の取り付けフレーム20に対する上下方向の回動範囲が規制されている。
【0026】
また、他方の支持板25は、後述する当接部材22に設けられた上下一対の支持板30の間に差し込まれた状態でピン28によって当接部材22に取り付けられている。これにより、連結部材21と当接部材22とは、ピン28を中心に取り付けフレーム20の延在方向と直交する方向(すなわち左右方向)に回動自在に連結されている。以上説明したように、第1の面保持部材16は、連結部材21により当接部材22が取り付けフレーム20に対して前後左右に回動自在に取り付けられてゆりかごのような動作が可能とされている。
【0027】
当接部材22は、図4に示すように、ベース部2上に縦置き載置されたガラス板の一方側の面に当接する緩衝材29と、ピン28を介して連結部材21に連結される上下一対の支持板30と、両支持板30を連結すると共に緩衝材29を保持する左右一対の支持板31と、緩衝材29が当接すると共に抜け落ちるのを防止するために端部を折り曲げられた受け板32とを有する。そして、図6に示すように、各支持板31の緩衝材29側の端部にはフランジ部31aが折り曲げ形成されており、このフランジ部31aが緩衝材29に形成した溝に係合して、緩衝材29と支持板31,31とが一体化されている。なお、緩衝材29には、例えば、EPDMなどのゴム製弾性材を適用することができるが、その素材は特にこれに限定されるものではない。
【0028】
引張コイルバネ23は、最上段の背枠フレーム18上に設けられたフック33と、受け板32の緩衝材29の当接面とは反対側の面であって当接部材22の長手方向の中心と上端との間に設けられたフック34とに亘って掛け渡して設けられている。このため、当接部材22は、支柱3(3r)が立設位置の際には、当接部材22の上端が引張コイルバネ23により背枠フレーム18側に付勢されてわずかに傾斜した状態で保持される。これにより、ガラス板の転倒が防止される。一方、支柱3(3r)を折り畳む際には、当接部材22の過剰な傾倒が抑制されるため、当接部材22の傾き位置調整をする必要がないため、折り畳み効率が向上される。
【0029】
(第2の面保持部材)
第2の面保持部材17は、ベース部2上に縦置きに載置されたガラス板の一方側の面の上部部分を保持するために設けられた部材である。そして、第2の面保持部材17は、図1に示すように、中空フレーム19に伸縮自在に設けられた伸縮部材35の上端部に取り付けられている。これにより、ガラス板のサイズによって第2の面保持部材17の高さを最適化することが可能となる。
【0030】
第2の面保持部材17は、図4に示すように、伸縮部材35に固定される断面視コ字状の固定部材36と、この固定部材36と一体化された支持板37と、ガラス板の一方側の面に当接する緩衝材38と、この緩衝材38が当接する受け板39と、支持板37と受け板39とを固定するネジ40とを有する。この支持板37の両端部にはフランジ部37aが折り曲げ形成されており、このフランジ部37aが緩衝材38に形成した溝に係合している。さらに、緩衝材38を挟み込んだ受け板39と支持板37とをネジ40で固定することによって、支持板37と緩衝材38と受け板39とが一体化されている。なお、第2の面保持部材17は、緩衝材38のガラス板との当接面がわずかに上側を向くように傾斜させて設けられている。
【0031】
<受け台>
受け台5は、図1及び図3に示すように、ベース部2の中央から左右の等距離の位置にベース部2上にそれぞれ設けられている。また、受け台5は、図3に示すように、一対の前方側の支柱3f,3fとの間の上部フレーム7aと、一対の後方側の支柱3r,3rとの間の上部フレーム7bとの間に掛け渡すように設けられている。さらに、受け台5は、ガラス板用パレット1を折り畳む際に前述した保持手段4と干渉しないように、第1の面保持部材16と第2の面保持部材17との間となる位置に設けられている。
【0032】
受け台5は、図3及び図5(b)に示すように、中空の断面矩形の角パイプからなる台座41と、この台座41の上に取り付けられる受け板42と、さらにこの受け板42の上面にネジ止めで取り付けられる緩衝材43と、台座41の長手方向の両端部の上に取り付けられる軸体44とを有する。受け台5は、ガラス板の下端縁を支持する際に過大な衝撃が加わるが、角パイプからなる台座41を用いることによって、重量を増加させることなく強度を確保することができる。また、ガラス板の下端縁が当接する部分に緩衝材43を敷設しているので、ガラス板が破損することなくガラス板用パレット1に積載することができる。なお、緩衝材43は、その素材が特に限定されるものではなく、例えばEPDMなどのゴム製弾性材を用いることができる。
【0033】
また、受け台5は、ベース部2に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられている。より詳しくは、一方の軸受け体45は、図3に示すように、一対の前方側の支柱3f間に取り付けられた上部フレーム7上に設けられている。そして、軸受け体45は、図5(a)に示すように、中央部上方に嵌合穴45aが形成されており、受け台5の一方の軸体44が嵌合可能とされている。これに対して、他方の軸受け体46は、図3に示すように、一対の後方側の支柱3r間に取り付けられた上部フレーム7上に設けられている。そして、軸受け体46は、図5(c)に示すように、側面から中央に向かって形成された横溝46aと、この横溝46aの端部と連結するように形成された縦溝46bとを有し、この横溝46aから挿入した受け台5の他方の軸体44が縦溝46bと係合可能とされている。これにより、受け台5は、軸受け体45,46を介してベース部2に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられている。したがって、受け台5が回動自在とされていることから、ガラス板への衝撃が緩和されて破損することなくガラス板の下端縁を確実に支持することができる。また、受け台5が着脱自在とされていることから、緩衝材43の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、軸受け体46に横溝46aが形成されていることにより、後述する側部支持手段6の回動時にこの側部支持手段6の接触によって受け台5が容易に外れることが防止されている。
【0034】
受け台5は、図3及び図5に示すように、軸受け体45における軸体44の嵌合位置に対して軸受け体46における軸体44の係合位置を下方とすることにより、わずかに傾斜させてそれぞれベース部2に取り付けられている。受け台5の傾斜角度は、図2及び図5に示すように、台座41の下面に取り付けられた複数の傾斜出し体47によって任意に変更することができる。すなわち、軸受け体45側の傾斜出し体47aを最も高くし(図5(a)参照)、軸受け体46側の傾斜出し体47cを最も低くして(図5(c)参照)、傾斜出し体47aと傾斜出し体47cとの間の傾斜出し体47bをその中間の高さとする。これにより、受け台5は、任意の角度に傾斜されてベース部2上に保持される。なお、受け台5の傾斜角度は、軸受け体46に形成された縦溝46bの長さの範囲において変更可能である。
【0035】
このように、受け台5を傾斜させることにより、ガラス板用パレット1に積載するガラス体の側端縁を面保持部材4へ当接させることができる。また、傾斜出し体47は、下端側が半円形状とされている。これにより、受け台5の両端側に取り付けられた一対の軸体44が軸受け体45,46によって軸支されて回動する際に、滑らかに可動することができる。
【0036】
<側部支持手段>
側部支持手段6は、図1〜図3に示すように、ベース部2上に対をなすように設けられており、前方側の支柱3fと後方側の支柱3rとの間にわたって設けられている上部フレーム7の内側且つこの上部フレーム7と平行にそれぞれ設けられている。また、各側部支持手段6は、図2及び図7に示すように、ベース部2に回動可能に設けられたフレーム部材48と、このフレーム部材48に回動自在に設けられると共にガラス板の側端縁に対して接近離反移動自在に設けられた側方当接部材49と、この側方当接部材49の側方位置を無段階で調節して固定して当該側方当接部材49をガラス板の側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段50とからそれぞれ構成されている。そして、側部支持手段6は、ガラス板用パレット1に載置されたガラス板の左右の側端縁にそれぞれ側方当接部材49を押圧させることにより、ガラス板の側部を固定する。これにより、ガラス板の左右方向へのズレが抑制されて、破損することなく搬送することができる。
【0037】
(フレーム部材)
フレーム部材48は、図2及び図8に示すように、一対のアーム部51と連結部52とを有しており、連結部52の両端52a,52aにアーム部51の一端51aがそれぞれ結合して一体化されている。これにより、フレーム部材48の剛性が向上されている。また、本実施形態では、矩形の板状部材の両端を折曲して一対のアーム部51,51と連結部52とが形成されてフレーム部材48とされているが、これに限定されるものではなく、別体のアーム部51,51と連結部52とを溶接等によって結合することによりフレーム部材48を形成してもよい。さらに、フレーム部材48には、図8(b)に示すように、アーム部51と連結部52との結合部にわたって補強部材53が設けられている。フレーム部材48は、この補強部材53の一方の端部53aがアーム部51に、他方の端部53bが連結部52にそれぞれ溶接等により固定されており、さらに剛性が向上されている。
【0038】
フレーム部材48は、図2に示すように、一対のアーム部51の他端51bによって側方当接部材49を回動自在にそれぞれ軸支している。より詳しくは、図9(c)に示すように、アーム部51の他端51bと後述する回転支持部材57とがネジ54を介して連結されている。これにより、側方当接部材49は、ネジ54を中心に回動自在とされている。
【0039】
フレーム部材48は、図2に示すように、一対のアーム部51の一端51a側に回動部51cが設けられ、この回動部51cを介してフレーム部材48がベース部2に軸支されて回動可能とされている。ここで一端51a側とは、一端51aであっても、一端51aと他端51bとの間であって一端51a側であっても良い。本実施形態のフレーム部材48は、より具体的には、図8(b)に示すように、アーム部51に回動部51cとして貫通孔が設けられ、この貫通孔とベース部2を構成する上部フレーム7上に取り付けられたブラケット55とがネジ56を介して連結されており、フレーム部材48がブラケット55を介してベース部2に軸支されている。これにより、フレーム部材48は、回動部51cに挿入されたネジ56を中心に回動可能とされるため、側方当接部材49がガラス板の側端縁に対して接近離反移動自在とされている。
【0040】
ところで、フレーム部材48が連結部52を有さずに一対のアーム部51のみで構成されている場合には、この一対のアーム部51,51に回動自在とされた側方当接部材49をガラス板の側端縁に押し当てた際に、フレーム部材48は、一対のアーム部51が互いに平行な状態を保つことができずに歪んでしまう。このため、側部支持手段6は、ガラス板の側部を強固に保持することができない。このような現象は、積載されたガラス板の枚数が少なく、側方当接部材49のいずれかのアーム部51側でガラス板の側端縁を支持する場合に発生しやすい。
【0041】
これに対して、本実施形態では、フレーム部材48は、一対のアーム部51,51と連結部52とが連結されて一体化しているとともに、一対のアーム部51,51の一端51a側に設けられた回動部51cによってブラケット55と連結されており、フレーム部材48の剛性が向上されている。これにより、梱包されたガラス板の枚数が少なく、ガラス板の側端縁を側方当接部材49の中央部から離れた位置で支持する場合であっても、フレーム部材48は、一対のアーム部51が互いに平行状態を保ったまま側方当接部材49をガラス板の側端縁に当接させることができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に支持することができる。なお、本実施形態のフレーム部材48では、一対のアーム部51,51に設けられる回動部51cの位置を一端51aよりもわずかに他端51b側にずらした位置とすることにより、フレーム部材の剛性をより効果的に向上させている。
【0042】
(側方当接部材)
側方当接部材49は、図2及び図9に示すように、アーム部51の他端51bと連結された一対の回転支持部材57,57と、空間58を設けて回転支持部材57と固定されると共にガラス板の側端縁との当接面59aを有する当接部59とから構成されている。
【0043】
回転支持部材57は、図7に示すように、様々な荷幅のガラス板がガラス板用パレット1に積載されてフレーム部材が回動した場合であっても、当接面59aをガラス板の側端縁に確実に当接することができるように、側方当接部材49を回動自在とするために設けられている。この回転支持部材57は、図9(c)に示すように、板状部材の両端をそれぞれ垂直に折り曲げて形成されており、互いに平行な一対のツメ部57aと、一対の折曲部57bと、この一対の折曲部57bの間に設けられた連結部57cとから構成されている。そして、各回転支持部材57は、当接部59の端部59bと連結部57cとの間に後述するベルト体67を通すための空間58を設けるように、一対のツメ部57aが当接部59の端部をそれぞれ挟んで固定している。これにより、一対の回転支持部材57,57と当接部59とが一体化されている。
【0044】
また、回転支持部材57は、図9(a)及び図9(b)に示すように、当接部59の略半分程度の幅とされている。そして、回転支持部材57は、当接部59の回動軸から当接面59aと反対側に取り付けられている。これにより、後述するベルト体67をベース部2に掛止する際に、側方当接部材49の端部に当接して折れ曲がることを防ぐことができる。なお、回転支持部材57には、図9(a)〜図9(c)に示すように、丸棒を折り曲げて形成したベルト保護部材60が、当接面59aをガラス板の側端縁に当接した際に下側となる折曲部57bの当接面59a側に取り付けられている。これにより、ベルト体67が回転支持部材57の端部と直接接触することがないため、ベルト体67の損傷をさらに効果的に防ぐことができる。
【0045】
さらに、連結部57cの当接部59の端部59bと対向する面57dには、図9(a)〜図9(c)に示すように、回転軸受け部材61が取り付けられている。この回転軸受け部材61は、図9(b)に示すように、ネジ54が取り付けられる貫通孔61aを有しており、貫通孔61aの略半分が連結部57cから露出するように面57dに固定されて一体化されている。これにより、側方当接部材49の回動軸の外側に回転支持部材57が設けられていても、ネジ54によって回転支持部材57とアーム部51とを回動自在に連結することができる。
【0046】
当接部59は、ベース部2上に縦置きに載置されたガラス板の側端縁に当接するために当接面59aが設けられている。そして、当接部59は、図7に示すように、前述した回転支持部材57を介してフレーム部材48に回動自在に支持されている。これにより、ガラス板のサイズによってフレーム部材48が回動した場合でも、確実にガラス板の側端縁に当接面59aを当接することができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を確実に面支持することができる。
【0047】
当接部59は、図9(a)〜図9(c)に示すように、ツメ部57aにそれぞれ固定される一対の支持板62,62と、ガラス板の側端縁に当接する当接面59を形成する緩衝材63と、この緩衝材63の当接面59aと反対面を支持する受け板64と、支持板62と受け板64とを固定するネジ65とを有する。この支持板62の端部にはフランジ部62aが折り曲げ形成されており、このフランジ部62aが緩衝材63に形成した溝に係合されている。そして、当接部59は、緩衝材63を挟み込んだ受け板64と支持板62とをネジ65でそれぞれ固定することによって、一対の支持板62,62と緩衝材63と受け板64とが一体化されて構成されている。これにより、ガラス板用パレット1は、側部当接手段6によって、ガラス板の側部を損傷することなく確実に面支持することができる。なお、緩衝材63には、例えばEPDM等のゴム製弾性材を適用することができる。
【0048】
上記の受け板64の緩衝材63を支持する面と反対面には、図2及び図9に示すように、丸棒部材をC字状に折り曲げて形成された複数のベルトフック66が取り付けられている。このベルトフック66にベルト体67を係止することで、ベルト体67のズレを抑制することができる。
【0049】
(側方当接部材固定手段)
側方当接部材固定手段50は、図2に示すように、側方当接部材49の固定位置を無段階で調整するベルト体67を有している。このベルト体67は、図7に示すように、当接部59(側方当接部材49)の当接面59aと反対側の面に設けられた複数のベルトフック66に係止されると共に、その両端がベース部2を構成する上部フレーム7に設けられたベルト止め68を介してベース部2に着脱自在に掛止されている。ガラス板の側端縁に当接面59aを当接させてガラス板の側部を支持する際には、ベルト体67をベルトフック66に通して係止し、ベルト体67の端部をそれぞれベルト止め68にゆるみがないように結びつけて掛止する。これにより、側部支持手段6は、側方当接部材49の固定位置を無段階で調整することができ、ガラス板の側部を強固に固定することができる。一方、ガラス板用パレット1を折り畳む際には、ベルト体67をベルト止め68及びベルトフック66から容易に取り外すことができる。これにより、作業性を向上することができる。
【0050】
以上のような側部支持手段6によるガラス板の側部の支持方法は、まず、フレーム部材48を回動して側方当接部材49の位置を調節し、側方当接部材49を回動してガラス板の側端縁に当接面59aを当接させる。次に、ベルト体67を上述したように側方当接部材49に係止すると共にゆるみなくベルト止め68に掛止する。これにより、側部支持手段6は、当接面59aガラス板の両側の側端縁に確実に当接することができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に支持し、確実に固定することができる。一方、ガラス板用パレット1を折り畳む際には、側部支持手段6は、フレーム部材48(アーム部51)がベース部2を構成する上部フレーム7と略平行になる位置に、ネジ56を中心に回動させて移動することができる。このとき、側方当接部材49は、図7に示すように、受け台5の緩衝材43に当って当接面59aがベース部2を構成する上部フレーム7に対して垂直方向となるように回動する。このため、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6をベース部2の内部空間にコンパクトに収納することができる。
【0051】
次に、本実施形態のガラス板用パレット1の使用方法について説明する。
ガラス板用パレット1にガラス板を載置する場合には、まず、ベース部2の四隅に配設された支柱3のうち、背枠が設けられている後方側の一対の支柱3rを立設位置に保持する。次に各側部支持手段6のフレーム部材48をベース部2の外側へと回動して側方当接部材49をそれぞれ外方に拡げる。なお、前方側の一対の支柱3fは、ベース部2から取り外しても良く、積載するガラス板の幅が前方側の支柱3f,3fの間の幅よりも十分に小さく、支柱3f,3fを立設する際に側部支持手段6が干渉しない場合には、折り畳み位置のままとしてもよい。これにより、ガラス板の積載時における前方側の作業スペースを確保することができる。次に、保持手段4及び受け台5にプラスチックダンボールを敷設し、ガラス板を一枚ずつ鉛直方向からわずかに傾斜させて保持手段4に持たれかけるように受け台5上に縦置きに載置する。また、各ガラス板の間には合紙を設けてガラス板面を保護する。なお、作業者が一人で積載する場合は、一方の側部指示手段6をあらかじめ保持位置に固定してもよい。これにより、積載するガラス板の一方の側端縁を側方当接部材49に当接させてガラス板の幅方向の位置決めを容易にすることができる。全てのガラス板の積載完了後に、最後のガラス板面を保護するプラスチックダンボールを載置して、全てのガラス板を拘束体によって梱包する。そして、前方側の一対の支柱3fを立設位置に保持する。
【0052】
次に、図10に示すように、側部支持手段6により、上述した手順にしたがって梱包されたガラス板体Gを十分に固定する。側部支持手段6は、固定位置を無段階で調整することができるので、ガラス板体Gの側部を強固に固定することができる。また、ガラス板用パレット1に載置するガラス板の大きさによって、保持手段4及び側部支持手段6は、図1の仮想線に示すように、第2の面保持部材17の高さ、フレーム部材48の回動位置、側方当接部材49の当接面59aの向きを変えて、ベルト体67を適宜調節すれば、様々な幅を有するガラス板でも確実に側部を固定することができる。さらに、ガラス板をガラス板用パレット1に積載して運搬する際に、ガラス板用パレット1は、保持手段4の一対の第1の面保持部材16及び一対の受け台5が回動可能とされており、搬送時の衝撃を分散させることができる。このため、ガラス板Gを損傷させることなく搬送することができる。なお、第1の面保持部材16及び一対の受け台5が回動可能とされているため、ガラス板用パレット1の繰り返し利用により、一部に反りや変形が生じた場合にも、積載されるガラス板に応力集中が生じにくく、ガラス板の破損が減る。結果として、ガラス板用パレット1の補修コストが低減する。
【0053】
ガラス板用パレット1からガラス板を取り出す場合には、先ず、前方側の一対の支柱3fを折り畳み位置へと折り畳むか、ベース部2から取り外して前方側の作業スペースを確保する。次に、ベルト体67の両端をベルト止め68から取り外して、各側部支持手段6をベース部2の外方へと拡げる。そして、ガラス板体Gの梱包を解いて前方側からガラス板を一枚ずつ取り出す。この際、ガラス板は、保持手段4に持たれかけるように載置されているため、側部支持手段6を解放しても転倒することがない。
【0054】
ガラス板用パレット1を返却する場合には、先ず、図11に示すように、側部支持手段6をガラス板用パレット1の内側に回動させて、ベース部2の空間内に収納する。この場合、フレーム部材48のアーム部51がベース部2と略平行になる位置に移動すると共に、側方当接部材49は、当接面59aがベース部2に対して直交するように回動するため、折り畳む際の小型化が阻害されることがない。次に、先に折り畳んだ前方側の一対の支柱3fの上に、後方側の一対の支柱3rを折り畳む。図11に示すように、各支柱3が折り畳み位置に移動すると、ガラス板用パレット1の全高はポスト部材11の高さとなり、返却時の小型化を達成することができる。また、ガラス板用パレット1は、折り畳んだ際にも多段的に積み重ねることができる。この場合には、上段側のガラス板用パレット1の突起13が、下段側のガラス板用パレット1のポスト部材11の上端開口に嵌合するため、段積みの崩れが防止される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のガラス板用パレット1は、側部支持手段6がベース部2に回動可能に設けられたフレーム部材48と、このフレーム部材48に回動自在に設けられると共に当接面59aを有する側方当接部材49とから構成されている。このため、ベース部2に載置されたガラス板のサイズに応じてフレーム部材48が回動すると共に側方当接部材49が回動してガラス板の側端縁に当接面59aを当接させることができる。これにより、ガラス板の側部を確実に面支持することができるため、ガラス板を損傷することなく固定することができる。
【0056】
また、本実施形態のガラス板用パレット1は、フレーム部材48が一対のアーム部51,51と連結部52とが結合して一体化されると共に、アーム部51の一端側51aに回動部51cが設けられ、この回動部51cを介してフレーム部材48がベース部2に軸支される構成とされている。このため、一対のアーム部51,51の他端51b,51bで側方当接部材49を回動自在に軸支しても、フレーム部材48の剛性が十分に確保される。これにより、側方当接部材49のいずれの位置でガラス板の側部を支持してもフレーム部材48が歪むことがなく、当接面59aがガラス板の側端縁と平行な状態で当接されるため当該ガラス板の側部を強固に支持することができる。
【0057】
さらに、本実施形態のガラス板用パレット1では、側方当接部材固定手段50は、ベルト体67から構成されている。このベルト体67を側方当接部材49の当接面59aと反対側の面に係止して引っ張り、ベース部2にベルト止め68を介して掛止することで側方当接部材49の側方位置が無段階で調節されて、当接面59aをガラス板の側端縁に押圧することができる。これにより、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に固定することができる。
【0058】
更にまた、本実施形態のガラス板用パレット1は、アーム部51,51がベース部2と略平行になる位置まで移動することができるため、側部支持手段6が支柱3の折り畳みを阻害することがない。また、側方当接部材49の当接面59aがベース部2に対して直交する方向となるように回動することができるため、側部支持手段6をベース部2の限られたスペースにコンパクトに収納することができる。これにより、パレット不使用時に小型化が阻害されることがない。
【0059】
以上のように、本実施形態のガラス板用パレット1によれば、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレット1を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す側面図である。
【図3】図3は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す平面図である。
【図4】図4は、保持手段を示す側面図である。
【図5】図5は、受け台を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は断面模式図、及び図5(c)は背面図である。
【図6】図6は、保持手段及び側部支持手段を示す平面図である。
【図7】図7は、保持手段及び側部支持手段を示す正面図である。
【図8】図8は、フレーム部材を示す模式図であり、図8(a)は正面図であり、図8(b)は側面図である。
【図9】図9は、側方当接部材を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。
【図10】図10は、ガラス板用パレットにガラス板を縦置きに載置した状態を示す斜視図である。
【図11】図11は、パレット返却時におけるガラス板用パレットを折り畳んで重ねた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ガラス板用パレット、2…ベース部、3…支柱、4…保持手段、5…受け台、6…側部支持手段、7…上部フレーム、8…下部フレーム、9…補強フレーム、10…差込み口、11…ポスト部材、12…伸縮部材、12a…キャップ、13…突起、14…係合突起、15…係合溝、16…第1の面保持部材、17…第2の面保持部材、18…背枠フレーム、19…中空フレーム、20…取り付けフレーム、21…連結部材、22…当接部材、23…引張コイルバネ、24,25…支持板、26,28…ピン、27…補強板、29…緩衝材、30…支持板、31…支持板、31a…フランジ部、32…受け板、33,34…フック、35…伸縮部材、36…固定部材、37…支持板、38…緩衝材、39…受け板、40…ネジ、41…台座、42…受け板、43…緩衝材、44…軸体、45,46…軸受け体、47,47a,47b,47c・・・傾斜出し体、48…フレーム部材、49…側方当接部材、50…側方当接部材固定手段、51…アーム部、51a…一端、51b…他端、51c…回動部、52…連結部、53…補強部材、54,56…ネジ、55…ブラケット、57…回転支持部材、58…空間、59…当接部、59a…当接面、60…ベルト保護手段、61…回転軸受け部材、61a…貫通孔、62…支持板、62a…フランジ部、63…緩衝材、64…受け板、65…ネジ、66…ベルトフック、67…ベルト体、68…ベルト止め、G…ガラス板体
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガラス板用パレットの改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、製造されたガラス板等を輸送する際には、複数枚のガラス板をガラス用パレットに収容して梱包し、ガラス板用パレットごと輸送用車両等に搭載して目的地に搬送している。
【0003】
このようなガラス板用パレットには、サイズ(幅、高さ、厚さ)、枚数の異なるガラス板を破損することなく輸送することが要求されている。また、ガラス板用パレットは、目的地に到着し、梱包が解かれガラス板が降ろされると、空のパレットはできるだけコンパクトに積み重ねて効率的に輸送車両等に荷積みして搬送できることが望まれている。
【0004】
ところで、ガラス板用パレットに係る先行技術として、例えば下記特許文献1〜3に記載された技術が知られている。
このうち、特許文献1には、支持レバーと一体化した中空パイプの中にベルトを通して板状物品の側部を無段階に支持する側方当接部を備えると共に、折り畳み可能な板状物品用のポストパレットが開示されている。
一方、特許文献2には、板ガラス群の側部と当接してロック・アンロック可能とされた左右押さえを備えたガラス輸送用コンテナが開示されている。
一方、特許文献3には、角度調節機構を有するサイドストッパーを備えると共に、折り畳み可能なガラス板梱包用パレットが開示されている。
【特許文献1】特許第3320604号公報
【特許文献2】特開平5−16943号公報
【特許文献3】特開2002−37373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1では、ガラス板に当接する側方当接部が断面視円形の中空パイプによって構成されており、この中空パイプとガラス板の側部とが常に線当りとなるため輸送・搬送時にガラス板が破損するという問題があった。
また、特許文献2では、左右押さえが回動自在の当接面を有しており板ガラス群の側部を面当り可能に構成されているが、押さえフレーム全体の剛性が不足しているために厚さが薄い板ガラス群の側部を保持する際に押さえフレームが歪んで当接面がガラス群の側部と平行を維持することができない。このため、当接面がガラス群の側部に斜めに当接してしまい、当該板ガラス群の側部を強固に支持できないという問題があった。
さらに、特許文献3では、サイドストッパーが折り畳み可能に構成されているが、ガラス板の側部を無段階に支持する構成は開示されておらず、ガラス板のサイズによっては側部の支持が不十分となり輸送・搬送時にガラス板が割れるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレットを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明は以下の構成を採用した。
すなわち、本発明のガラス板用パレットは、ベース部上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台と、前記ガラス板の一方の面を保持する保持手段と、前記ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段とを備え、前記ベース部上に前記ガラス板が縦置きに載置されるガラス板用パレットであって、前記側部支持手段は、前記ベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、前記フレーム部材に回動自在に設けられて前記側端縁に対して接近離反移動自在な側方当接部材とを備え、前記フレーム部材は、一対のアーム部と連結部とを有し、前記連結部の両端に一対の前記アーム部の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対の前記アーム部の他端がそれぞれ前記側方当接部材を回動自在に軸支すると共に、一対の前記アーム部の前記一端側に回動部が設けられ、前記回動部を介して前記フレーム部材が前記ベース部に軸支されて回動可能とされ、前記側方当接部材は、前記側端縁との当接面を有することを特徴とする。
【0008】
本発明のガラス板用パレットは、側部支持手段がベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、このフレーム部材に回動自在に設けられると共に当接面を有する側方当接部材とから構成されている。このため、ベース部に載置されたガラス板のサイズに応じてフレーム部材が回動すると共に側方当接部材が回動してガラス板の側端縁に当接面を当接させることができる。これにより、ガラス板の側部を確実に面支持することができるため、ガラス板を損傷することなく固定することができる。また、本発明のガラス板用パレットは、フレーム部材が一対のアーム部と連結部とが結合して一体化されると共に、アーム部の一端側に回動部が設けられ、この回動部を介してフレーム部材がベース部に軸支される構成とされている。このため、一対のアーム部の他端で側方当接部材を回動自在に軸支しても、フレーム部材の剛性が十分に確保される。これにより、側方当接部材のいずれの位置でガラス板の側部を支持してもフレーム部材が歪むことがなく、当接面がガラス板の側端縁と平行な状態で当接されるため当該ガラス板の側部を強固に支持することができる。
【0009】
また、前記側部支持手段は、前記側方当接部材の側方位置を無段階で調節して固定し、当該側方当接部材を前記側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段を備え、前記側方当接部材固定手段は、前記側方当接部材の前記当接面と反対側の面に係止されると共に両端が前記ベース部に着脱自在に掛止されるベルト体を有することを特徴とする。
【0010】
本発明のガラス板用パレットでは、側方当接部材固定手段は、ベルト体から構成されている。このベルト体を側方当接部材の当接面と反対側の面に係止して引っ張り、ベース部に掛止することで側方当接部材の側方位置が無段階で調節されて、当接面をガラス板の側端縁に押圧することができる。これにより、側部支持手段によってガラス板の側部を強固に固定することができる。
【0011】
また、前記側部支持手段は、前記ベース部の四隅に立設すると共に折り畳み自在とされた支柱を折り畳む際に、一対の前記アーム部が前記ベース部と略平行になる位置に移動すると共に、前記側方当接部材は、前記当接面が前記ベース部に対して直交するように回動することを特徴とする。
【0012】
本発明のガラス板用パレットは、アーム部がベース部と略平行になる位置まで移動することができるため、側部支持手段が支柱の折り畳みを阻害することがない。また、側方当接部材の当接面がベース部に対して直交する方向となるように回動することができるため、側部支持手段をベース部の限られたスペースにコンパクトに収納することができる。これにより、パレット不使用時に小型化が阻害されることがない。
【発明の効果】
【0013】
以上説明したように、本発明のガラス板用パレットによれば、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレットを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を適用した一実施形態を、図面を参照して説明する。尚、以下の説明において参照する図は本発明の一実施形態であるガラス板用パレットを説明するためのものであり、図示される各部の大きさや厚さや寸法等は、実際のガラス板用パレットにおける各部の寸法関係とは異なる場合がある。
【0015】
先ず、本発明の一実施形態としてガラス板用パレットの構成について説明する。
図1は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す正面図であり、図2は側面図であり、図3は平面図である。また、図4は、保持手段を示す側面図である。さらに、図5は、受け台を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は断面模式図、図5(c)は背面図である。更にまた、図6は、保持手段及び側部支持手段を示す平面図であり、図7は保持手段及び側部支持手段を示す正面図である。また、図8は、フレーム部材を示す模式図であり、図8(a)は正面図であり、図8(b)は側面図である。さらに、図9は、側方当接部材を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。更にまた、図10は、ガラス板用パレットにガラス板を縦置きに載置した状態を示す斜視図である。また、図11は、パレット返却時におけるガラス板用パレットを折り畳んで重ねた状態を示す正面図である。
【0016】
図1,図2,図3に示すように、本実施形態のガラス板用パレット1は、ベース部2と、このベース部2の四隅に立設された支柱3と、ガラス板の一方の面を保持する保持手段4と、ベース部2上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台5と、ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段6とから概略構成されている。すなわち、ガラス板用パレット1は、ガラス板をベース部2上に縦置きに載置する場合に、ガラス板を一方の面側に若干傾斜させることにより、保持手段4によりガラス板の一方の面を保持すると共に受け台5によりガラス板の下端縁を支持し、側部支持手段6によってガラス板の側端縁をそれぞれ支持することによりガラス板を挟んで固定するものである(図10参照)。
【0017】
ガラス板用パレット1の積載対象となるガラス板は、特に限定されるものではなく、建築用ガラス、自動車用ガラス、ディスプレイ用ガラス、太陽電池用ガラス、その他産業用ガラスを例示することができる。さらに、ガラス板としては、構成的には普通単板ガラス、強化ガラス、複層ガラス、合わせガラス、金属線入りガラスなど、材質的には無機ガラスのほか、ポリカーボネート類、ポリスチレン類、ポリメチルメタクリレート類等のいわゆる有機透明樹脂ガラスやこれらの単独または2種以上の重ねた積層体等が対象となる。
【0018】
<ベース部>
ベース部2は、図1〜図3に示すように、中空の断面矩形の角パイプからなる複数の上部フレーム7と、この上部フレーム7の下面側に固定されると共に接地面を形成する複数の下部フレーム8と、上部フレーム7と下部フレーム8との間に設けられた補強フレーム9とから構成されている。また、ベース部2には、図1及び図2に示すように、フォークリフトのフォーク爪を差し込む差込み口10が設けられている。これにより、コンテナやトラックなどへのガラス用パレット1の積み込み、積み降ろし作業の利便性を図っている。
【0019】
<支柱>
支柱3は、図1及び図2に示すように、ベース部2の四隅に立設されており、ガラス板の積み込み側の両側に位置する一対の前方側の支柱3fと、後述する保持手段4が取り付けられている背枠が設けられている一対の後方側の支柱3rとから構成されている。また、各支柱3は、ベース部2の四隅に取り付けられたポスト部材11と、折り畳み自在に取り付けられた伸縮部材12とを有している。
【0020】
ポスト部材11の下端には、ガラス板用パレット1を多段に積み重ねるための突起13が設けられている。この突起13は、図11に示すように、ガラス板の搬送後の空になったガラス板用パレット1を折り畳んで多段に積み重ねる際に、下段側のガラス板用パレットのポスト部材11の上端開口に嵌合される。これにより、折り畳んだガラス板用パレット1を多段に積み重ねる際の積み崩れを防止することができる。
【0021】
伸縮部材12は、図1及び図2に示すように、中空角パイプの内部に丸パイプが挿入されて伸縮自在に構成されている。そして、各伸縮部材12の上端部には、突起13が嵌合可能な嵌合孔が形成されたキャップ12aがそれぞれ取り付けられている。また、各伸縮部材12は、その下端部がポスト部材11の上端に形成される保持空間内に差し込まれてそれぞれ立設位置に保持されている。さらに、伸縮部材12の側面には、係合突起14が突出して形成されており、ポスト部材11の上端に形成されている係合溝15と係合されている。これにより、伸縮部材12は、立設位置でのブレが抑止されている。
【0022】
以上に説明した支柱3は、ガラス板をガラス板用パレットに積載する際には、各伸縮部材12の下端部を保持空間内に差し込み、係合突起14を係合溝15に係合させることで各伸縮部材12を立設位置に保持することができる。そして、各伸縮部材12を積載したガラス板よりも高い位置まで伸長して固定する。これにより、ガラス板を積載したガラス板用パレット1を搬送する際に、下段のガラス板用パレット1の各伸縮部材12の上端部に設けられたキャップ12aの嵌合孔に、上段のガラス板用パレット1の各ポスト部材11の下端に設けられた突起13が嵌合するため、荷崩れすることなく効率よくガラス板を搬送することができる。一方、ガラス板の搬送後にガラス板パレット1を返却する際には、先ず、各伸縮部材12を上方に持ち上げて係合突起14と係合溝15との係合を解除する。次に、各伸縮部材12をベース部2の内側に回動させてこれにより、支柱3は、伸縮部材12をベース部2の上に折り畳んで収納することができる。
【0023】
<保持手段>
保持手段4は、図1〜図3に示すように、一対の第1の面保持部材16と、この一対の第1の面保持部材16の間に設けられた第2の面保持部材17とから構成されている。また、保持手段4は、一対の後方側の支柱3rを相互に連結するために横方向にわたって取り付けられた3本の背枠フレーム18と、この3本の背枠フレーム18の中心部分を相互に連結して上下方向に延在した中空フレーム19と、この中空フレーム19と支柱3rとの間で3本の背枠フレーム18を相互に連結して上下方向に延在した一対の取り付けフレーム20とからなる背枠に設けられている。
【0024】
(第1の面保持部材)
第1の面保持部材16は、図1に示すように、取り付けフレーム20にそれぞれ取り付けられている。より具体的には、第1の面保持部材16は、図4に示すように、連結部材21と当接部材22と引張コイルバネ23とを備えている。
【0025】
連結部材21は、図4に示すように、大きさの異なる断面視コ字状の支持板24,25を有し、これらが開口部分を互いに外側に向けると共に90°回転した状態で一体化されている。そして、一方の支持板24は、その開口部分の両先端部によって取り付けフレーム20を挟みこんだ状態でピン26によってこのフレーム20に取り付けられている。これにより、連結部材21は、取り付けフレーム20に対してピン26を中心に当該取り付けフレーム20の延在する方向(すなわち上下方向)に回動自在とされている。なお、支持板24には、その開口部分の上下に一対の補強板27が取り付けられている。これにより、支持板24のねじれ等を防ぐと共に、連結部材21の取り付けフレーム20に対する上下方向の回動範囲が規制されている。
【0026】
また、他方の支持板25は、後述する当接部材22に設けられた上下一対の支持板30の間に差し込まれた状態でピン28によって当接部材22に取り付けられている。これにより、連結部材21と当接部材22とは、ピン28を中心に取り付けフレーム20の延在方向と直交する方向(すなわち左右方向)に回動自在に連結されている。以上説明したように、第1の面保持部材16は、連結部材21により当接部材22が取り付けフレーム20に対して前後左右に回動自在に取り付けられてゆりかごのような動作が可能とされている。
【0027】
当接部材22は、図4に示すように、ベース部2上に縦置き載置されたガラス板の一方側の面に当接する緩衝材29と、ピン28を介して連結部材21に連結される上下一対の支持板30と、両支持板30を連結すると共に緩衝材29を保持する左右一対の支持板31と、緩衝材29が当接すると共に抜け落ちるのを防止するために端部を折り曲げられた受け板32とを有する。そして、図6に示すように、各支持板31の緩衝材29側の端部にはフランジ部31aが折り曲げ形成されており、このフランジ部31aが緩衝材29に形成した溝に係合して、緩衝材29と支持板31,31とが一体化されている。なお、緩衝材29には、例えば、EPDMなどのゴム製弾性材を適用することができるが、その素材は特にこれに限定されるものではない。
【0028】
引張コイルバネ23は、最上段の背枠フレーム18上に設けられたフック33と、受け板32の緩衝材29の当接面とは反対側の面であって当接部材22の長手方向の中心と上端との間に設けられたフック34とに亘って掛け渡して設けられている。このため、当接部材22は、支柱3(3r)が立設位置の際には、当接部材22の上端が引張コイルバネ23により背枠フレーム18側に付勢されてわずかに傾斜した状態で保持される。これにより、ガラス板の転倒が防止される。一方、支柱3(3r)を折り畳む際には、当接部材22の過剰な傾倒が抑制されるため、当接部材22の傾き位置調整をする必要がないため、折り畳み効率が向上される。
【0029】
(第2の面保持部材)
第2の面保持部材17は、ベース部2上に縦置きに載置されたガラス板の一方側の面の上部部分を保持するために設けられた部材である。そして、第2の面保持部材17は、図1に示すように、中空フレーム19に伸縮自在に設けられた伸縮部材35の上端部に取り付けられている。これにより、ガラス板のサイズによって第2の面保持部材17の高さを最適化することが可能となる。
【0030】
第2の面保持部材17は、図4に示すように、伸縮部材35に固定される断面視コ字状の固定部材36と、この固定部材36と一体化された支持板37と、ガラス板の一方側の面に当接する緩衝材38と、この緩衝材38が当接する受け板39と、支持板37と受け板39とを固定するネジ40とを有する。この支持板37の両端部にはフランジ部37aが折り曲げ形成されており、このフランジ部37aが緩衝材38に形成した溝に係合している。さらに、緩衝材38を挟み込んだ受け板39と支持板37とをネジ40で固定することによって、支持板37と緩衝材38と受け板39とが一体化されている。なお、第2の面保持部材17は、緩衝材38のガラス板との当接面がわずかに上側を向くように傾斜させて設けられている。
【0031】
<受け台>
受け台5は、図1及び図3に示すように、ベース部2の中央から左右の等距離の位置にベース部2上にそれぞれ設けられている。また、受け台5は、図3に示すように、一対の前方側の支柱3f,3fとの間の上部フレーム7aと、一対の後方側の支柱3r,3rとの間の上部フレーム7bとの間に掛け渡すように設けられている。さらに、受け台5は、ガラス板用パレット1を折り畳む際に前述した保持手段4と干渉しないように、第1の面保持部材16と第2の面保持部材17との間となる位置に設けられている。
【0032】
受け台5は、図3及び図5(b)に示すように、中空の断面矩形の角パイプからなる台座41と、この台座41の上に取り付けられる受け板42と、さらにこの受け板42の上面にネジ止めで取り付けられる緩衝材43と、台座41の長手方向の両端部の上に取り付けられる軸体44とを有する。受け台5は、ガラス板の下端縁を支持する際に過大な衝撃が加わるが、角パイプからなる台座41を用いることによって、重量を増加させることなく強度を確保することができる。また、ガラス板の下端縁が当接する部分に緩衝材43を敷設しているので、ガラス板が破損することなくガラス板用パレット1に積載することができる。なお、緩衝材43は、その素材が特に限定されるものではなく、例えばEPDMなどのゴム製弾性材を用いることができる。
【0033】
また、受け台5は、ベース部2に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられている。より詳しくは、一方の軸受け体45は、図3に示すように、一対の前方側の支柱3f間に取り付けられた上部フレーム7上に設けられている。そして、軸受け体45は、図5(a)に示すように、中央部上方に嵌合穴45aが形成されており、受け台5の一方の軸体44が嵌合可能とされている。これに対して、他方の軸受け体46は、図3に示すように、一対の後方側の支柱3r間に取り付けられた上部フレーム7上に設けられている。そして、軸受け体46は、図5(c)に示すように、側面から中央に向かって形成された横溝46aと、この横溝46aの端部と連結するように形成された縦溝46bとを有し、この横溝46aから挿入した受け台5の他方の軸体44が縦溝46bと係合可能とされている。これにより、受け台5は、軸受け体45,46を介してベース部2に対して回動自在かつ着脱自在に取り付けられている。したがって、受け台5が回動自在とされていることから、ガラス板への衝撃が緩和されて破損することなくガラス板の下端縁を確実に支持することができる。また、受け台5が着脱自在とされていることから、緩衝材43の交換等のメンテナンスを容易に行うことができる。さらに、軸受け体46に横溝46aが形成されていることにより、後述する側部支持手段6の回動時にこの側部支持手段6の接触によって受け台5が容易に外れることが防止されている。
【0034】
受け台5は、図3及び図5に示すように、軸受け体45における軸体44の嵌合位置に対して軸受け体46における軸体44の係合位置を下方とすることにより、わずかに傾斜させてそれぞれベース部2に取り付けられている。受け台5の傾斜角度は、図2及び図5に示すように、台座41の下面に取り付けられた複数の傾斜出し体47によって任意に変更することができる。すなわち、軸受け体45側の傾斜出し体47aを最も高くし(図5(a)参照)、軸受け体46側の傾斜出し体47cを最も低くして(図5(c)参照)、傾斜出し体47aと傾斜出し体47cとの間の傾斜出し体47bをその中間の高さとする。これにより、受け台5は、任意の角度に傾斜されてベース部2上に保持される。なお、受け台5の傾斜角度は、軸受け体46に形成された縦溝46bの長さの範囲において変更可能である。
【0035】
このように、受け台5を傾斜させることにより、ガラス板用パレット1に積載するガラス体の側端縁を面保持部材4へ当接させることができる。また、傾斜出し体47は、下端側が半円形状とされている。これにより、受け台5の両端側に取り付けられた一対の軸体44が軸受け体45,46によって軸支されて回動する際に、滑らかに可動することができる。
【0036】
<側部支持手段>
側部支持手段6は、図1〜図3に示すように、ベース部2上に対をなすように設けられており、前方側の支柱3fと後方側の支柱3rとの間にわたって設けられている上部フレーム7の内側且つこの上部フレーム7と平行にそれぞれ設けられている。また、各側部支持手段6は、図2及び図7に示すように、ベース部2に回動可能に設けられたフレーム部材48と、このフレーム部材48に回動自在に設けられると共にガラス板の側端縁に対して接近離反移動自在に設けられた側方当接部材49と、この側方当接部材49の側方位置を無段階で調節して固定して当該側方当接部材49をガラス板の側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段50とからそれぞれ構成されている。そして、側部支持手段6は、ガラス板用パレット1に載置されたガラス板の左右の側端縁にそれぞれ側方当接部材49を押圧させることにより、ガラス板の側部を固定する。これにより、ガラス板の左右方向へのズレが抑制されて、破損することなく搬送することができる。
【0037】
(フレーム部材)
フレーム部材48は、図2及び図8に示すように、一対のアーム部51と連結部52とを有しており、連結部52の両端52a,52aにアーム部51の一端51aがそれぞれ結合して一体化されている。これにより、フレーム部材48の剛性が向上されている。また、本実施形態では、矩形の板状部材の両端を折曲して一対のアーム部51,51と連結部52とが形成されてフレーム部材48とされているが、これに限定されるものではなく、別体のアーム部51,51と連結部52とを溶接等によって結合することによりフレーム部材48を形成してもよい。さらに、フレーム部材48には、図8(b)に示すように、アーム部51と連結部52との結合部にわたって補強部材53が設けられている。フレーム部材48は、この補強部材53の一方の端部53aがアーム部51に、他方の端部53bが連結部52にそれぞれ溶接等により固定されており、さらに剛性が向上されている。
【0038】
フレーム部材48は、図2に示すように、一対のアーム部51の他端51bによって側方当接部材49を回動自在にそれぞれ軸支している。より詳しくは、図9(c)に示すように、アーム部51の他端51bと後述する回転支持部材57とがネジ54を介して連結されている。これにより、側方当接部材49は、ネジ54を中心に回動自在とされている。
【0039】
フレーム部材48は、図2に示すように、一対のアーム部51の一端51a側に回動部51cが設けられ、この回動部51cを介してフレーム部材48がベース部2に軸支されて回動可能とされている。ここで一端51a側とは、一端51aであっても、一端51aと他端51bとの間であって一端51a側であっても良い。本実施形態のフレーム部材48は、より具体的には、図8(b)に示すように、アーム部51に回動部51cとして貫通孔が設けられ、この貫通孔とベース部2を構成する上部フレーム7上に取り付けられたブラケット55とがネジ56を介して連結されており、フレーム部材48がブラケット55を介してベース部2に軸支されている。これにより、フレーム部材48は、回動部51cに挿入されたネジ56を中心に回動可能とされるため、側方当接部材49がガラス板の側端縁に対して接近離反移動自在とされている。
【0040】
ところで、フレーム部材48が連結部52を有さずに一対のアーム部51のみで構成されている場合には、この一対のアーム部51,51に回動自在とされた側方当接部材49をガラス板の側端縁に押し当てた際に、フレーム部材48は、一対のアーム部51が互いに平行な状態を保つことができずに歪んでしまう。このため、側部支持手段6は、ガラス板の側部を強固に保持することができない。このような現象は、積載されたガラス板の枚数が少なく、側方当接部材49のいずれかのアーム部51側でガラス板の側端縁を支持する場合に発生しやすい。
【0041】
これに対して、本実施形態では、フレーム部材48は、一対のアーム部51,51と連結部52とが連結されて一体化しているとともに、一対のアーム部51,51の一端51a側に設けられた回動部51cによってブラケット55と連結されており、フレーム部材48の剛性が向上されている。これにより、梱包されたガラス板の枚数が少なく、ガラス板の側端縁を側方当接部材49の中央部から離れた位置で支持する場合であっても、フレーム部材48は、一対のアーム部51が互いに平行状態を保ったまま側方当接部材49をガラス板の側端縁に当接させることができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に支持することができる。なお、本実施形態のフレーム部材48では、一対のアーム部51,51に設けられる回動部51cの位置を一端51aよりもわずかに他端51b側にずらした位置とすることにより、フレーム部材の剛性をより効果的に向上させている。
【0042】
(側方当接部材)
側方当接部材49は、図2及び図9に示すように、アーム部51の他端51bと連結された一対の回転支持部材57,57と、空間58を設けて回転支持部材57と固定されると共にガラス板の側端縁との当接面59aを有する当接部59とから構成されている。
【0043】
回転支持部材57は、図7に示すように、様々な荷幅のガラス板がガラス板用パレット1に積載されてフレーム部材が回動した場合であっても、当接面59aをガラス板の側端縁に確実に当接することができるように、側方当接部材49を回動自在とするために設けられている。この回転支持部材57は、図9(c)に示すように、板状部材の両端をそれぞれ垂直に折り曲げて形成されており、互いに平行な一対のツメ部57aと、一対の折曲部57bと、この一対の折曲部57bの間に設けられた連結部57cとから構成されている。そして、各回転支持部材57は、当接部59の端部59bと連結部57cとの間に後述するベルト体67を通すための空間58を設けるように、一対のツメ部57aが当接部59の端部をそれぞれ挟んで固定している。これにより、一対の回転支持部材57,57と当接部59とが一体化されている。
【0044】
また、回転支持部材57は、図9(a)及び図9(b)に示すように、当接部59の略半分程度の幅とされている。そして、回転支持部材57は、当接部59の回動軸から当接面59aと反対側に取り付けられている。これにより、後述するベルト体67をベース部2に掛止する際に、側方当接部材49の端部に当接して折れ曲がることを防ぐことができる。なお、回転支持部材57には、図9(a)〜図9(c)に示すように、丸棒を折り曲げて形成したベルト保護部材60が、当接面59aをガラス板の側端縁に当接した際に下側となる折曲部57bの当接面59a側に取り付けられている。これにより、ベルト体67が回転支持部材57の端部と直接接触することがないため、ベルト体67の損傷をさらに効果的に防ぐことができる。
【0045】
さらに、連結部57cの当接部59の端部59bと対向する面57dには、図9(a)〜図9(c)に示すように、回転軸受け部材61が取り付けられている。この回転軸受け部材61は、図9(b)に示すように、ネジ54が取り付けられる貫通孔61aを有しており、貫通孔61aの略半分が連結部57cから露出するように面57dに固定されて一体化されている。これにより、側方当接部材49の回動軸の外側に回転支持部材57が設けられていても、ネジ54によって回転支持部材57とアーム部51とを回動自在に連結することができる。
【0046】
当接部59は、ベース部2上に縦置きに載置されたガラス板の側端縁に当接するために当接面59aが設けられている。そして、当接部59は、図7に示すように、前述した回転支持部材57を介してフレーム部材48に回動自在に支持されている。これにより、ガラス板のサイズによってフレーム部材48が回動した場合でも、確実にガラス板の側端縁に当接面59aを当接することができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を確実に面支持することができる。
【0047】
当接部59は、図9(a)〜図9(c)に示すように、ツメ部57aにそれぞれ固定される一対の支持板62,62と、ガラス板の側端縁に当接する当接面59を形成する緩衝材63と、この緩衝材63の当接面59aと反対面を支持する受け板64と、支持板62と受け板64とを固定するネジ65とを有する。この支持板62の端部にはフランジ部62aが折り曲げ形成されており、このフランジ部62aが緩衝材63に形成した溝に係合されている。そして、当接部59は、緩衝材63を挟み込んだ受け板64と支持板62とをネジ65でそれぞれ固定することによって、一対の支持板62,62と緩衝材63と受け板64とが一体化されて構成されている。これにより、ガラス板用パレット1は、側部当接手段6によって、ガラス板の側部を損傷することなく確実に面支持することができる。なお、緩衝材63には、例えばEPDM等のゴム製弾性材を適用することができる。
【0048】
上記の受け板64の緩衝材63を支持する面と反対面には、図2及び図9に示すように、丸棒部材をC字状に折り曲げて形成された複数のベルトフック66が取り付けられている。このベルトフック66にベルト体67を係止することで、ベルト体67のズレを抑制することができる。
【0049】
(側方当接部材固定手段)
側方当接部材固定手段50は、図2に示すように、側方当接部材49の固定位置を無段階で調整するベルト体67を有している。このベルト体67は、図7に示すように、当接部59(側方当接部材49)の当接面59aと反対側の面に設けられた複数のベルトフック66に係止されると共に、その両端がベース部2を構成する上部フレーム7に設けられたベルト止め68を介してベース部2に着脱自在に掛止されている。ガラス板の側端縁に当接面59aを当接させてガラス板の側部を支持する際には、ベルト体67をベルトフック66に通して係止し、ベルト体67の端部をそれぞれベルト止め68にゆるみがないように結びつけて掛止する。これにより、側部支持手段6は、側方当接部材49の固定位置を無段階で調整することができ、ガラス板の側部を強固に固定することができる。一方、ガラス板用パレット1を折り畳む際には、ベルト体67をベルト止め68及びベルトフック66から容易に取り外すことができる。これにより、作業性を向上することができる。
【0050】
以上のような側部支持手段6によるガラス板の側部の支持方法は、まず、フレーム部材48を回動して側方当接部材49の位置を調節し、側方当接部材49を回動してガラス板の側端縁に当接面59aを当接させる。次に、ベルト体67を上述したように側方当接部材49に係止すると共にゆるみなくベルト止め68に掛止する。これにより、側部支持手段6は、当接面59aガラス板の両側の側端縁に確実に当接することができる。したがって、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に支持し、確実に固定することができる。一方、ガラス板用パレット1を折り畳む際には、側部支持手段6は、フレーム部材48(アーム部51)がベース部2を構成する上部フレーム7と略平行になる位置に、ネジ56を中心に回動させて移動することができる。このとき、側方当接部材49は、図7に示すように、受け台5の緩衝材43に当って当接面59aがベース部2を構成する上部フレーム7に対して垂直方向となるように回動する。このため、ガラス板用パレット1は、側部支持手段6をベース部2の内部空間にコンパクトに収納することができる。
【0051】
次に、本実施形態のガラス板用パレット1の使用方法について説明する。
ガラス板用パレット1にガラス板を載置する場合には、まず、ベース部2の四隅に配設された支柱3のうち、背枠が設けられている後方側の一対の支柱3rを立設位置に保持する。次に各側部支持手段6のフレーム部材48をベース部2の外側へと回動して側方当接部材49をそれぞれ外方に拡げる。なお、前方側の一対の支柱3fは、ベース部2から取り外しても良く、積載するガラス板の幅が前方側の支柱3f,3fの間の幅よりも十分に小さく、支柱3f,3fを立設する際に側部支持手段6が干渉しない場合には、折り畳み位置のままとしてもよい。これにより、ガラス板の積載時における前方側の作業スペースを確保することができる。次に、保持手段4及び受け台5にプラスチックダンボールを敷設し、ガラス板を一枚ずつ鉛直方向からわずかに傾斜させて保持手段4に持たれかけるように受け台5上に縦置きに載置する。また、各ガラス板の間には合紙を設けてガラス板面を保護する。なお、作業者が一人で積載する場合は、一方の側部指示手段6をあらかじめ保持位置に固定してもよい。これにより、積載するガラス板の一方の側端縁を側方当接部材49に当接させてガラス板の幅方向の位置決めを容易にすることができる。全てのガラス板の積載完了後に、最後のガラス板面を保護するプラスチックダンボールを載置して、全てのガラス板を拘束体によって梱包する。そして、前方側の一対の支柱3fを立設位置に保持する。
【0052】
次に、図10に示すように、側部支持手段6により、上述した手順にしたがって梱包されたガラス板体Gを十分に固定する。側部支持手段6は、固定位置を無段階で調整することができるので、ガラス板体Gの側部を強固に固定することができる。また、ガラス板用パレット1に載置するガラス板の大きさによって、保持手段4及び側部支持手段6は、図1の仮想線に示すように、第2の面保持部材17の高さ、フレーム部材48の回動位置、側方当接部材49の当接面59aの向きを変えて、ベルト体67を適宜調節すれば、様々な幅を有するガラス板でも確実に側部を固定することができる。さらに、ガラス板をガラス板用パレット1に積載して運搬する際に、ガラス板用パレット1は、保持手段4の一対の第1の面保持部材16及び一対の受け台5が回動可能とされており、搬送時の衝撃を分散させることができる。このため、ガラス板Gを損傷させることなく搬送することができる。なお、第1の面保持部材16及び一対の受け台5が回動可能とされているため、ガラス板用パレット1の繰り返し利用により、一部に反りや変形が生じた場合にも、積載されるガラス板に応力集中が生じにくく、ガラス板の破損が減る。結果として、ガラス板用パレット1の補修コストが低減する。
【0053】
ガラス板用パレット1からガラス板を取り出す場合には、先ず、前方側の一対の支柱3fを折り畳み位置へと折り畳むか、ベース部2から取り外して前方側の作業スペースを確保する。次に、ベルト体67の両端をベルト止め68から取り外して、各側部支持手段6をベース部2の外方へと拡げる。そして、ガラス板体Gの梱包を解いて前方側からガラス板を一枚ずつ取り出す。この際、ガラス板は、保持手段4に持たれかけるように載置されているため、側部支持手段6を解放しても転倒することがない。
【0054】
ガラス板用パレット1を返却する場合には、先ず、図11に示すように、側部支持手段6をガラス板用パレット1の内側に回動させて、ベース部2の空間内に収納する。この場合、フレーム部材48のアーム部51がベース部2と略平行になる位置に移動すると共に、側方当接部材49は、当接面59aがベース部2に対して直交するように回動するため、折り畳む際の小型化が阻害されることがない。次に、先に折り畳んだ前方側の一対の支柱3fの上に、後方側の一対の支柱3rを折り畳む。図11に示すように、各支柱3が折り畳み位置に移動すると、ガラス板用パレット1の全高はポスト部材11の高さとなり、返却時の小型化を達成することができる。また、ガラス板用パレット1は、折り畳んだ際にも多段的に積み重ねることができる。この場合には、上段側のガラス板用パレット1の突起13が、下段側のガラス板用パレット1のポスト部材11の上端開口に嵌合するため、段積みの崩れが防止される。
【0055】
以上説明したように、本実施形態のガラス板用パレット1は、側部支持手段6がベース部2に回動可能に設けられたフレーム部材48と、このフレーム部材48に回動自在に設けられると共に当接面59aを有する側方当接部材49とから構成されている。このため、ベース部2に載置されたガラス板のサイズに応じてフレーム部材48が回動すると共に側方当接部材49が回動してガラス板の側端縁に当接面59aを当接させることができる。これにより、ガラス板の側部を確実に面支持することができるため、ガラス板を損傷することなく固定することができる。
【0056】
また、本実施形態のガラス板用パレット1は、フレーム部材48が一対のアーム部51,51と連結部52とが結合して一体化されると共に、アーム部51の一端側51aに回動部51cが設けられ、この回動部51cを介してフレーム部材48がベース部2に軸支される構成とされている。このため、一対のアーム部51,51の他端51b,51bで側方当接部材49を回動自在に軸支しても、フレーム部材48の剛性が十分に確保される。これにより、側方当接部材49のいずれの位置でガラス板の側部を支持してもフレーム部材48が歪むことがなく、当接面59aがガラス板の側端縁と平行な状態で当接されるため当該ガラス板の側部を強固に支持することができる。
【0057】
さらに、本実施形態のガラス板用パレット1では、側方当接部材固定手段50は、ベルト体67から構成されている。このベルト体67を側方当接部材49の当接面59aと反対側の面に係止して引っ張り、ベース部2にベルト止め68を介して掛止することで側方当接部材49の側方位置が無段階で調節されて、当接面59aをガラス板の側端縁に押圧することができる。これにより、側部支持手段6によってガラス板の側部を強固に固定することができる。
【0058】
更にまた、本実施形態のガラス板用パレット1は、アーム部51,51がベース部2と略平行になる位置まで移動することができるため、側部支持手段6が支柱3の折り畳みを阻害することがない。また、側方当接部材49の当接面59aがベース部2に対して直交する方向となるように回動することができるため、側部支持手段6をベース部2の限られたスペースにコンパクトに収納することができる。これにより、パレット不使用時に小型化が阻害されることがない。
【0059】
以上のように、本実施形態のガラス板用パレット1によれば、ガラス板を破損することなく当該ガラス板の側部を強固に支持することができるガラス板用パレット1を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す正面図である。
【図2】図2は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す側面図である。
【図3】図3は、本発明を適用した一実施形態であるガラス板用パレットを示す平面図である。
【図4】図4は、保持手段を示す側面図である。
【図5】図5は、受け台を示す図であり、図5(a)は正面図、図5(b)は断面模式図、及び図5(c)は背面図である。
【図6】図6は、保持手段及び側部支持手段を示す平面図である。
【図7】図7は、保持手段及び側部支持手段を示す正面図である。
【図8】図8は、フレーム部材を示す模式図であり、図8(a)は正面図であり、図8(b)は側面図である。
【図9】図9は、側方当接部材を示す図であり、図9(a)は平面図、図9(b)は正面図、図9(c)は側面図である。
【図10】図10は、ガラス板用パレットにガラス板を縦置きに載置した状態を示す斜視図である。
【図11】図11は、パレット返却時におけるガラス板用パレットを折り畳んで重ねた状態を示す正面図である。
【符号の説明】
【0061】
1…ガラス板用パレット、2…ベース部、3…支柱、4…保持手段、5…受け台、6…側部支持手段、7…上部フレーム、8…下部フレーム、9…補強フレーム、10…差込み口、11…ポスト部材、12…伸縮部材、12a…キャップ、13…突起、14…係合突起、15…係合溝、16…第1の面保持部材、17…第2の面保持部材、18…背枠フレーム、19…中空フレーム、20…取り付けフレーム、21…連結部材、22…当接部材、23…引張コイルバネ、24,25…支持板、26,28…ピン、27…補強板、29…緩衝材、30…支持板、31…支持板、31a…フランジ部、32…受け板、33,34…フック、35…伸縮部材、36…固定部材、37…支持板、38…緩衝材、39…受け板、40…ネジ、41…台座、42…受け板、43…緩衝材、44…軸体、45,46…軸受け体、47,47a,47b,47c・・・傾斜出し体、48…フレーム部材、49…側方当接部材、50…側方当接部材固定手段、51…アーム部、51a…一端、51b…他端、51c…回動部、52…連結部、53…補強部材、54,56…ネジ、55…ブラケット、57…回転支持部材、58…空間、59…当接部、59a…当接面、60…ベルト保護手段、61…回転軸受け部材、61a…貫通孔、62…支持板、62a…フランジ部、63…緩衝材、64…受け板、65…ネジ、66…ベルトフック、67…ベルト体、68…ベルト止め、G…ガラス板体
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース部上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台と、前記ガラス板の一方の面を保持する保持手段と、前記ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段とを備え、前記ベース部上に前記ガラス板が縦置きに載置されるガラス板用パレットであって、
前記側部支持手段は、前記ベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、前記フレーム部材に回動自在に設けられて前記側端縁に対して接近離反移動自在な側方当接部材とを備え、
前記フレーム部材は、一対のアーム部と連結部とを有し、前記連結部の両端に一対の前記アーム部の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対の前記アーム部の他端がそれぞれ前記側方当接部材を回動自在に軸支すると共に、一対の前記アーム部の前記一端側に回動部が設けられ、前記回動部を介して前記フレーム部材が前記ベース部に軸支されて回動可能とされ、
前記側方当接部材は、前記側端縁との当接面を有することを特徴とするガラス板用パレット。
【請求項2】
前記側部支持手段は、前記側方当接部材の側方位置を無段階で調節して固定し、当該側方当接部材を前記側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段を備え、
前記側方当接部材固定手段は、前記側方当接部材の前記当接面と反対側の面に係止されると共に両端が前記ベース部に着脱自在に掛止されるベルト体を有することを特徴とする請求項1に記載のガラス板用パレット。
【請求項3】
前記側部支持手段は、前記ベース部の四隅に立設すると共に折り畳み自在とされた支柱を折り畳む際に、一対の前記アーム部が前記ベース部と略平行になる位置に移動すると共に、前記側方当接部材は、前記当接面が前記ベース部に対して直交するように回動することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板用パレット。
【請求項1】
ベース部上に設けられてガラス板の下端縁を支持する受け台と、前記ガラス板の一方の面を保持する保持手段と、前記ガラス板の側端縁を支持する側部支持手段とを備え、前記ベース部上に前記ガラス板が縦置きに載置されるガラス板用パレットであって、
前記側部支持手段は、前記ベース部に回動可能に設けられたフレーム部材と、前記フレーム部材に回動自在に設けられて前記側端縁に対して接近離反移動自在な側方当接部材とを備え、
前記フレーム部材は、一対のアーム部と連結部とを有し、前記連結部の両端に一対の前記アーム部の一端がそれぞれ結合して一体化され、一対の前記アーム部の他端がそれぞれ前記側方当接部材を回動自在に軸支すると共に、一対の前記アーム部の前記一端側に回動部が設けられ、前記回動部を介して前記フレーム部材が前記ベース部に軸支されて回動可能とされ、
前記側方当接部材は、前記側端縁との当接面を有することを特徴とするガラス板用パレット。
【請求項2】
前記側部支持手段は、前記側方当接部材の側方位置を無段階で調節して固定し、当該側方当接部材を前記側端縁に押圧させる側方当接部材固定手段を備え、
前記側方当接部材固定手段は、前記側方当接部材の前記当接面と反対側の面に係止されると共に両端が前記ベース部に着脱自在に掛止されるベルト体を有することを特徴とする請求項1に記載のガラス板用パレット。
【請求項3】
前記側部支持手段は、前記ベース部の四隅に立設すると共に折り畳み自在とされた支柱を折り畳む際に、一対の前記アーム部が前記ベース部と略平行になる位置に移動すると共に、前記側方当接部材は、前記当接面が前記ベース部に対して直交するように回動することを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス板用パレット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−179343(P2009−179343A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19146(P2008−19146)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】
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